JP3749774B2 - ディスプレイモニタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラウン管を用いたディスプレイモニタ(CRTモニタ)に係り、さらに詳しくは、ブラウン管の表面等から透過される交番電界を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16は、一般的なディスプレイモニタ用の高圧発生トランスであるフライバックトランス(以下、FBTと略称する)において、外付高圧コンデンサを用いてブラウン管の表面等から透過される交番電界を低減する回路の一例を示したもので、米国特許明細書第 5,218,270号に記載されている発明を応用した例である。
【0003】
同図において符号1はFBT、2は内蔵高圧コンデンサ、3(3a,3b,3c,3d)は高圧整流ダイオード、4は3次側の逆パルス発生用巻線、5は外付高圧コンデンサ、6(6a,6b,6c,6d)は高圧コイル、7は偏向ヨーク、16は水平出力トランジスタ、17は1次側低圧コイル、18は波形比較制御器である。
【0004】
図17は、従来の交番電界の低減システムの一例を示したものである。同図において符号8は内装黒鉛膜、9は偏向ヨークの静電容量、10は高圧・偏向回路、11はブラウン管である。このシステムにおいて、内装黒鉛膜8における電荷Q1 は下式で表される。
【0005】
Q1 =k×CDY×VDY
式中のk:定数で約0.5
CDY:内装黒鉛膜と偏向ヨークの間に介在する静電容量(偏向ヨークの静電容量)
VDY:偏向ヨークの駆動用水平パルス
交番電界をキャンセルするために重畳するコイルのパルスeX は、重畳される電荷Q2 が内装黒鉛膜8における電荷Q1 に等しくなるように選ぶ。
【0006】
これは内蔵高圧コンデンサの容量C1 、ブラウン管の容量C2 及びパルス波高値eP により決定する。内蔵高圧コンデンサの容量C1 を考慮し、逆パルス発生用コイルの巻数を決め、内装黒鉛膜8に逆パルスeX を印加することにより交番電界VDY′の振幅は低減される。
【0007】
図18は、図17の交番電界低減システムの一例を等価的に表した回路図である。同図において12はパネル透明導電膜、13はパネル透明導電膜12の表面抵抗、14はパネル透明導電膜12の容量である。
【0008】
この等価回路では、以下の動作により交番電界が低減される。偏向ヨーク7を駆動する水平パルスVDY(1000VPP)が、偏向ヨーク7の静電容量9(60PF)を介して、ブラウン管11の内装黒鉛膜8にパルス電圧VDY′を生じる。パルス電圧VDY′は、パネル透明導電膜12の容量14とその表面抵抗13により、インピーダンス分割されたVP がパネル透明導電膜12に生じ、交番電界の発生源となる。
【0009】
この交番電界を低減する一例として、前述のようにFBT1の3次側の逆パルス発生用巻線4で得られた逆パルスVF ′(−150VPP)をFBT1の外付の高圧コンデンサ5(容量:CF =200PF)を介して内装黒鉛膜8に印加することにより、内装黒鉛膜8においてパルス電圧VDY′が逆パルスVF ′でキャンセルされ、ブラウン管11より輻射される交番電界VDY′の振幅が低減される。
【0010】
この関係は下式のように表せる。
k×CDY(60PF)×VDY(−1000VPP)
=−3×10E−8[C]
=CF (200PF)×VF ′(−150VPP) (但し、k≒0.5)
図19は従来の外付高圧コンデンサの外観図、図20はその高圧コンデンサの内部回路図である。これらの図において符号19はアノードキャップ、20は高圧コネクタ、21はグランド端子である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この外付高圧コンデンサ5は、図19に示すように高電圧の絶縁を施すため、40mm×40mm×65mm程度の外装ケース及びその中に注入する絶縁樹脂(エポキシレジン等)が必要となる。そのため高価になるばかりでなく、ディスプレイモニタ内での設置場所の制約があり、構造上取り扱いが難しくなるという問題がある。また、高圧接続が必要となるため、高圧接続部(高圧コネクタ20)の信頼性確保が難しいなどの欠点を有している。
【0012】
本発明の目的は、交番磁界が低減できるディスプレイモニタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の本発明は、
分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、例えば、波高値調整用のインダクタと、コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の前段に、整流用ダイオードと抵抗器の並列回路を直列に接続した位相および波形調整用の回路から構成される制御回路を接続したことを特徴とするものである。
前記目的を達成するため、第2の本発明は、
分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の3つが調整できる制御回路を接続したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は前述のように、パルス誘導トランスを介して別コアに巻付けあるいは通した高圧出力電線に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを重畳することにより、交番電界を軽減することができる。そのため、外装ケースおよび注液樹脂で絶縁された高価な外付高圧コンデンサが不要となり、安価で高圧絶縁が容易で、かつ取扱性が良好になる。
【0015】
また、前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の少なくとも1つが調整できる制御回路が接続されているため、パルス誘導トランスを介して高圧出力電線に交番電界と等価的に同一振幅となる逆相あるいは同相のパルスを重畳することができ、交番電界の軽減効果が確実に発揮され、信頼性の高いディスプレイモニタを提供することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態に係るFBTの回路図である。FBT1の多分割された高圧コイル6a〜6dの出力側(巻終わり端)にそれぞれ高圧整流ダイオード3a〜3dを接続する他に、制御回路25とパルス誘導トランス31を備えている。この例では、パルス誘導トランス31はFBT1に内蔵されている。
【0017】
制御回路25は、波高値調整用インダクタ32、波高値及び位相調整用コンデンサ33、波高値及び位相調整用抵抗器34、波形調整用抵抗器35、コンデンサ36から構成されている。図に示すようにコンデンサ33と抵抗器34の直列微分回路の後段とグランドとの間に、抵抗器35とコンデンサ36の直列回路を接続したもので、出力パルスの波高値及び位相・波形調整を行う。
【0018】
パルス誘導トランス31は、制御回路25により波高値及び位相・波形調整された偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスが誘起する多種類(本実施の形態では2種類)の1次巻線24a,24bと、2次巻線となる高圧出力電線別コア巻付コイル30(高圧出力電線22)と、パルス誘導用別コア23a,23b,23cとから構成されている。
【0019】
図2は、この逆パルス誘導トランス31を備えたFBTの一部を断面にした外観図である。同図に示すよう1次巻線24aを巻装したコア23aと1次巻線24bを巻装したコア23bが保持用ケース26bに並んで収納され、巻線を巻装しないコア23cが保持用ケース26aに収納されて、両ケース26a,26bを合致させることによりコア23a,23bとコア23cが対向して配置される。このパルス誘導用別コア23a,23b,23cは、円筒状のコアを軸線方向に沿って2つに分割してトロイダル形とし、その一方をコア23cとし、残りのコアを軸線方向の中間位置でさらに2つに分割してコア23a,23bとしており、従ってコア23a,23bとコア23cを対向させることにより、ほぼ元の円筒状になる。そしてコア23a,23b,23cの中空部に高圧出力電線22を挿通して(ケース26a,26bを貫通して)逆パルス誘導トランス31を構成している。
【0020】
この実施の形態では、前記制御回路25を搭載したプリント配線基板60を収納したケース26cが前記ケース26bに一体に取付けられ、前記1次巻線24a,24bがプリント配線基板60に接続されている。
【0021】
図3(a),(b)は、逆パルス誘導用別コアの他の例を示す外観図である。円筒状のコアをそれの軸線方向に沿って半分に切断し、切断面を突き合わせて使用する、いわゆる2分割トロイダル形の一方のコア23に逆パルス誘導のための1次巻線24(1次巻線24aまたは1次巻線24bあるいは両巻線24a,24b)を所定ターン数巻き付け、これらを保持用ケース26a,26bに装着する。
【0022】
図4はこれをFBT1に装着した状態を示す図で、切断面を突き合わせた2分割トロイダル形のコア23,23の中空部に高圧出力電線22を挿通して(ケース26a,26bを貫通して)逆パルス誘導トランス31を構成している。なお、この実施の形態では制御回路25を搭載したプリント配線基板60は逆パルス誘導トランス31に内蔵されておらず、FBT1の外側の他の位置に取り付けられ(図示せず)、逆パルス誘導トランス31とプリント配線基板60がリード線を介して接続されている。
【0023】
図5は、逆パルス誘導用別コア23と1次巻線24の各種の例を示す図である。なお、図示していないが組み合わされたトロイダル形コアの中空部に高圧出力電線22が挿通されている。
【0024】
同図(a)は、1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1種類の1次巻線24が巻装された例を示している。
【0025】
同図(b)は、1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに2種類の1次巻線24aと24abが巻装された例を示している。
【0026】
同図(c)は、2つの1次側コア23a,23bと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが、それぞれ巻装された例を示している。
【0027】
同図(d)は、2つの1次側コア23a,23bと2つの2次側コア23c−1,23c−2を有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが、それぞれ巻装された例を示している。
【0028】
同図(e)は、n個に多数分割された1次側コア23a……,23nと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23a……,23nに1次巻線24a……,24nがそれぞれ巻装された例を示している。
【0029】
同図(f)は、n個に多数分割された1次側コア23a……,23nとn個に多数分割された2次側コア23c−1,23c−nを有し、1次側コア23a……,23nに1次巻線24a……,24nがそれぞれ巻装された例を示している。
【0030】
図6は、2次側コア23cに高圧出力電線22を巻き付けた例を示している。同図(a)は1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1次巻線24が巻装され、2次側コア23cに高圧出力電線22が巻装された例を示している。
【0031】
同図(b)は、2つの1次側コア23a,23bと2つの2次側コア23c−1,23c−2を有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが巻装され、2つの2次側コア23c−1,23c−2に高圧出力電線22が巻装された例を示している。
【0033】
図7(a)は逆相パルス誘導システムを示した図、図7(b)は逆相パルス誘導トランスの等価回路図である。図7(a)に示す如く、FBT1の3次逆パルス発生用コイル4で発生した逆パルスe2 は制御回路25で波高値及び位相・波形が調整される。
【0034】
制御回路25は位相調整用コンデンサ33、位相調整用抵抗器34、波形調整用抵抗器35ならびにコンデンサ36を有しており(図1参照)、図8(a)に示すように波高値及び位相調整用コンデンサ33と波高値及び位相調整用抵抗器34で調整された波形v2 は、図8(b)に示すように波形調整用抵抗器35とコンデンサ36により波形v2 ′に調整されされる。このようにして波高値及び位相・波形が調整された逆パルスe3 が、逆相パルス誘導トランス31の1次巻線24に印加される〔図7(a)参照〕。
【0035】
この制御回路としては図9に示す構成の制御回路37でもよく、この回路でもパルス波高値及び位相調整・波形の調整が可能である。同図において38は波高値調整インダクタ、39は波高値及び位相調整用コンデンサ、40は波高値及び位相調整用抵抗器、41は波形調整用抵抗器、42はインダクタである。同図に示すようにコンデンサ39と抵抗器40の直列微分回路の後段に、抵抗器41とインダクタ42の並列回路が接続されており、出力パルスの波高値及び位相・波形調整を行う。
【0036】
この例においてFBT1の3次側より発生させるパルスは負パルスで説明したが、3次側より発生させるパルスは正パルスとしても、逆パルス誘導コイル24の巻き付け方向を逆にすれば、同様に高圧出力電線22に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆のパルスを重畳することができる。
【0037】
図7(b)において、逆パルス誘導コイル24の自己インダクタンスをL1 、高圧出力電線別コア巻き付けコイル30の自己インダクタンスをL2 とし、それぞれ有する回路(X),(Y)が相互インダクタンスMで結合された回路の電流をそれぞれI1 ,I2 とすると、回路(X),(Y)ではそれぞれ下式の関係が成り立つ。
【0038】
(R1 +jωL1 )I1 +jωMI2 =e3
jωMI1 +(R2 +jωL2 )I2 =0
式中ω:角周波数 ω=2πf
この式により、回路(Y)の電流I2 を求めると下式のように表される。
【0039】
I2 =−jωMe3 /〔(R1 +jωL1 )(R2 +jωL2 )+ω2 M2 〕
式中Me3 :相互インダクタンス
よって、高圧出力電線別コア巻付コイルに発生する逆パルスe4 は下式のように表される。
【0040】
e4 =−jωMe3 R2 /[( R1 +jωL1)( R2 +jωL2)+ω2 M2 ] 逆パルス誘導トランス31で誘導された逆相パルスe4 を高圧出力電線22に重畳することにより、ブラウン管11の内装黒鉛膜8において、誘起している偏向ヨークの水平パルスがキャンセルされ、交番電界の振幅が低減される。
【0041】
この実施の形態に係る偏向ヨーク駆動用水平パルスは正パルスで説明しているが、水平の負パルスで偏向ヨーク7が駆動した場合でも同様に、逆パルス誘導トランス31を介して高圧出力電線22に正パルスを重畳することにより、水平パルスがキャンセルされ、交番電界VDY′の振幅が低減される。
【0042】
ブラウン管11の内装黒鉛膜8に重畳する逆相パルスe4 の波高値は、FBT1の1次側低圧コイル17の巻数、3次側逆パルス発生用コイル4の巻数、およひ逆パルス誘導コイル24の巻数で調整可能であるが、逆相パルスe4 の最適条件は、制御回路25により、逆相パルスe4 の波高値及び位相・波形の微調整をすることにより交番電界と等価的に同一のパルス信号が設定でき、交番電界のキャンセルに有効である。
【0043】
図7(a)において、高圧出力電線別コア巻付コイル30の両端の逆相パルスe4 は、内蔵高圧コンデンサ容量C1 とブラウン管容量C2 により容量分担される。但し、そのコイル30の両端の逆相パルスe4 の分担電圧は、コイル30の巻き位置、及び周囲の布線等により変化する。
【0044】
ブラウン管11は構造上限界の容量があり、内蔵高圧コンデンサ2はブラウン管容量C2 を補正するためにFBT1の内部に設けてある(図1参照)。この容量(内蔵高圧コンデンサ容量C1 +ブラウン管容量C2 )は、高圧の安定化を図るためのもので、この高圧容量が少ないとブラウン管11の画面上でくねり等の現象を引き起こす原因となる。
【0045】
内蔵高圧コンデンサ2の容量を変えることで、高圧出力電線22に印加する逆相パルスe4 の波高値が調整できる。容量を大きくすると波高値は高くなり、容量を小さくすると波高値は低くなる。
【0046】
本発明は、逆パルスをブラウン管11の陽極電極に印加する役割の容量機能と、上記高圧安定化のためのブラウン管11の容量機能の両方を兼用できる。
【0047】
図10は本発明の第2の実施の形態に係るFBTの回路図、図11(a)は高圧偏向系分離タイプの内装黒鉛膜に誘起するパルスの波形図、図11(b)は第2の実施の形態に係る逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形図である。
【0048】
ディスプレイモニタはブラウン管11を大型化した場合、画質を良くするため、トランジスタ16で駆動する偏向系と、電界効果トランジスタ(FET)27で駆動する高圧系とに分離して駆動する場合がある。このように分離して駆動する場合、トランジスタ16よりFET27のスイッチングタイムが早いため、図11(a)に示すように、ブラウン管11の内装黒鉛膜8に誘起するパルスは高圧系成分と偏向系成分で位相のずれが生じる。
【0049】
高圧系パルス成分は、内蔵高圧コンデンサ2の内部インピーダンスが大きいため、またFBT1の高圧変動量が大きいために発生するもので、偏向ヨークの静電容量9を介して、ブラウン管11の内装黒鉛膜8に発生する偏向系パルスが複合され、図11(a)に示すようなパルス波形となる。
【0050】
そのため図10に示すように、水平センタリングトランス28に偏向系逆パルス発生用コイル29を設け、制御回路25により波高値及び位相を調整した逆パルスを逆パルス誘導トランス31を介し、図11(b)に示すような逆パルスを高圧出力電線22に重畳する構成とすることにより、ブラウン管11の内装黒鉛膜8において複合されたパルス電圧〔図11(a)〕を逆パルス電圧〔図11(b)〕にてキャンセルし、交番電界の振幅を低減することも可能である。
【0051】
図12は、第3の実施の形態に係るFBTの回路図である。この実施の形態において制御回路50は、波高値調整用インダクタ51、波高値及び位相調整用コンデンサ52、波高値及び位相調整用抵抗器53、位相、波形調整用整流ダイオード54、位相、波形調整用抵抗器55から構成されている。図に示すようにコンデンサ52と抵抗器53の直列の微分回路の前段に、整流用ダイオード54と抵抗器55を並列接続した回路が直列に接続されている。さらにこれらの回路に対してインダクタ51が並列に接続されている。
【0052】
波高値調整用インダクタ51のインダクタンスを大きくすると波高値は小さくなり、位相調整用コンデンサ52及び抵抗器53を小さくすると位相は進み、波高値は大きくなる。
【0053】
図13(a)は制御回路50の入力波形図、図13(b)は制御回路50の出力波形図である。前記位相調整用整流ダイオード54により、同図(a)における制御回路入力波形v2 のパルス入力を急峻にして、同図(b)に示すように位相を進め、抵抗器55により立ち上がったパルスを短時間で0レベルまで引き戻すことができる。
【0054】
図14は第4の実施の形態に係るFBTの回路図で、前記第3の実施の形態に係るFBTに図10に示す第2の実施の形態の場合と同様に水平センタリングトランス28を接続した例である。従って逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形は図11(b)と同様である。
【0055】
前記逆パルス誘導トランス31は、FBT1から分離して外付けとし、任意の位置に設置することも可能である。
【0056】
図15は、本発明の実施の形態に係るディスプレイモニタの作用効果を説明するための波形図である。同図(a)に示すようなブラウン管管面波形に対して、同図(b)に示すような逆パルスを印加しようとすると、コイルの自己インダクタンス成分およびコアの初期透磁率などにより同図(c)に示すように入力波形に対し出力波形に位相遅れαと波形歪みβが生じる。パルス誘導トランスで誘導されたパルス波形を高圧出力電線に重畳させて、ブラウン管の管面波形を観察してみると同図(d)のようになる。これでも電界強度は低減するが、その強度を確実に1V/m以下とすることが難しい。そこで同図(d)の合成された波形に対して同図(e)に示すように全く逆のバルス波形を前記制御回路で調整して、それを高圧出力電線に重畳させることにより、同図(e)に示す如く交番磁界を実質的に消滅させることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は前述のように、パルス誘導トランスを介して別コアの高圧出力電線に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを重畳することにより、交番電界を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図2】そのFBTの一部を断面にした外観図である。
【図3】(a),(b)は、逆パルス誘導トランスの他の例を示す外観図である。
【図4】その逆パルス誘導トランスを備えたフライバックトランスの一部を切断した外観図である。
【図5】(a)〜(f)は逆パルス誘導トランスにおけるコアと1次巻線の各種の例を示す図である。
【図6】(a),(b)はコアに高圧出力電線を巻き付けた逆パルス誘導トランスの例を示す図である。
【図7】(a)は逆相パルス誘導システムを示す図、(b)は逆相パルス誘導トランスの等価回路図である。
【図8】(a)は制御回路の波高値及び位相調整用コンデンサと波高値及び位相調整用抵抗器で調整された波形v2 の波形図、(b)はその後に波形調整用抵抗器とコンデンサで調整された波形v2 ′の波形図である。
【図9】制御回路の変形例を示す回路図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るFBTの回路図である
【図11】(a)は高圧偏向系分離タイプの内装黒鉛膜に誘起するパルスの波形図、(b)は第2の実施の形態に係る逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図13】(a)はその実施の形態に係る制御回路の入力波形図、(b)は制御回路の出力波形図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るディスプレイモニタの作用効果を説明する波形図である。
【図16】従来のFBTの回路図である。
【図17】従来の交番電界の低減システムを示した図である。
【図18】その交番電界低減システムの等価回路図である。
【図19】従来のFBTの外付高圧コンデンサの外観図である。
【図20】その外付高圧コンデンサの内部回路図である。
【符号の説明】
1 FBT
2 内蔵高圧コンデンサ
3 高圧整流ダイオード
6 高圧コイル
7 偏向ヨーク
8 内装黒鉛膜
11 ブラウン管
22 高圧出力電線
23 コア
24 1次巻線
25,37,50 制御回路
28 水平センタリングトランジスタ
30 高圧出力電線別コア巻付コイル
31 パルス誘導トランス
32,38,42,51 インダクタ
33,36,39,52 コンデンサ
34,35,40,41,53,55 抵抗器
54 整流ダイオード
60 プリント配線基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラウン管を用いたディスプレイモニタ(CRTモニタ)に係り、さらに詳しくは、ブラウン管の表面等から透過される交番電界を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16は、一般的なディスプレイモニタ用の高圧発生トランスであるフライバックトランス(以下、FBTと略称する)において、外付高圧コンデンサを用いてブラウン管の表面等から透過される交番電界を低減する回路の一例を示したもので、米国特許明細書第 5,218,270号に記載されている発明を応用した例である。
【0003】
同図において符号1はFBT、2は内蔵高圧コンデンサ、3(3a,3b,3c,3d)は高圧整流ダイオード、4は3次側の逆パルス発生用巻線、5は外付高圧コンデンサ、6(6a,6b,6c,6d)は高圧コイル、7は偏向ヨーク、16は水平出力トランジスタ、17は1次側低圧コイル、18は波形比較制御器である。
【0004】
図17は、従来の交番電界の低減システムの一例を示したものである。同図において符号8は内装黒鉛膜、9は偏向ヨークの静電容量、10は高圧・偏向回路、11はブラウン管である。このシステムにおいて、内装黒鉛膜8における電荷Q1 は下式で表される。
【0005】
Q1 =k×CDY×VDY
式中のk:定数で約0.5
CDY:内装黒鉛膜と偏向ヨークの間に介在する静電容量(偏向ヨークの静電容量)
VDY:偏向ヨークの駆動用水平パルス
交番電界をキャンセルするために重畳するコイルのパルスeX は、重畳される電荷Q2 が内装黒鉛膜8における電荷Q1 に等しくなるように選ぶ。
【0006】
これは内蔵高圧コンデンサの容量C1 、ブラウン管の容量C2 及びパルス波高値eP により決定する。内蔵高圧コンデンサの容量C1 を考慮し、逆パルス発生用コイルの巻数を決め、内装黒鉛膜8に逆パルスeX を印加することにより交番電界VDY′の振幅は低減される。
【0007】
図18は、図17の交番電界低減システムの一例を等価的に表した回路図である。同図において12はパネル透明導電膜、13はパネル透明導電膜12の表面抵抗、14はパネル透明導電膜12の容量である。
【0008】
この等価回路では、以下の動作により交番電界が低減される。偏向ヨーク7を駆動する水平パルスVDY(1000VPP)が、偏向ヨーク7の静電容量9(60PF)を介して、ブラウン管11の内装黒鉛膜8にパルス電圧VDY′を生じる。パルス電圧VDY′は、パネル透明導電膜12の容量14とその表面抵抗13により、インピーダンス分割されたVP がパネル透明導電膜12に生じ、交番電界の発生源となる。
【0009】
この交番電界を低減する一例として、前述のようにFBT1の3次側の逆パルス発生用巻線4で得られた逆パルスVF ′(−150VPP)をFBT1の外付の高圧コンデンサ5(容量:CF =200PF)を介して内装黒鉛膜8に印加することにより、内装黒鉛膜8においてパルス電圧VDY′が逆パルスVF ′でキャンセルされ、ブラウン管11より輻射される交番電界VDY′の振幅が低減される。
【0010】
この関係は下式のように表せる。
k×CDY(60PF)×VDY(−1000VPP)
=−3×10E−8[C]
=CF (200PF)×VF ′(−150VPP) (但し、k≒0.5)
図19は従来の外付高圧コンデンサの外観図、図20はその高圧コンデンサの内部回路図である。これらの図において符号19はアノードキャップ、20は高圧コネクタ、21はグランド端子である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この外付高圧コンデンサ5は、図19に示すように高電圧の絶縁を施すため、40mm×40mm×65mm程度の外装ケース及びその中に注入する絶縁樹脂(エポキシレジン等)が必要となる。そのため高価になるばかりでなく、ディスプレイモニタ内での設置場所の制約があり、構造上取り扱いが難しくなるという問題がある。また、高圧接続が必要となるため、高圧接続部(高圧コネクタ20)の信頼性確保が難しいなどの欠点を有している。
【0012】
本発明の目的は、交番磁界が低減できるディスプレイモニタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の本発明は、
分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、例えば、波高値調整用のインダクタと、コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の前段に、整流用ダイオードと抵抗器の並列回路を直列に接続した位相および波形調整用の回路から構成される制御回路を接続したことを特徴とするものである。
前記目的を達成するため、第2の本発明は、
分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の3つが調整できる制御回路を接続したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は前述のように、パルス誘導トランスを介して別コアに巻付けあるいは通した高圧出力電線に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを重畳することにより、交番電界を軽減することができる。そのため、外装ケースおよび注液樹脂で絶縁された高価な外付高圧コンデンサが不要となり、安価で高圧絶縁が容易で、かつ取扱性が良好になる。
【0015】
また、前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の少なくとも1つが調整できる制御回路が接続されているため、パルス誘導トランスを介して高圧出力電線に交番電界と等価的に同一振幅となる逆相あるいは同相のパルスを重畳することができ、交番電界の軽減効果が確実に発揮され、信頼性の高いディスプレイモニタを提供することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態に係るFBTの回路図である。FBT1の多分割された高圧コイル6a〜6dの出力側(巻終わり端)にそれぞれ高圧整流ダイオード3a〜3dを接続する他に、制御回路25とパルス誘導トランス31を備えている。この例では、パルス誘導トランス31はFBT1に内蔵されている。
【0017】
制御回路25は、波高値調整用インダクタ32、波高値及び位相調整用コンデンサ33、波高値及び位相調整用抵抗器34、波形調整用抵抗器35、コンデンサ36から構成されている。図に示すようにコンデンサ33と抵抗器34の直列微分回路の後段とグランドとの間に、抵抗器35とコンデンサ36の直列回路を接続したもので、出力パルスの波高値及び位相・波形調整を行う。
【0018】
パルス誘導トランス31は、制御回路25により波高値及び位相・波形調整された偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスが誘起する多種類(本実施の形態では2種類)の1次巻線24a,24bと、2次巻線となる高圧出力電線別コア巻付コイル30(高圧出力電線22)と、パルス誘導用別コア23a,23b,23cとから構成されている。
【0019】
図2は、この逆パルス誘導トランス31を備えたFBTの一部を断面にした外観図である。同図に示すよう1次巻線24aを巻装したコア23aと1次巻線24bを巻装したコア23bが保持用ケース26bに並んで収納され、巻線を巻装しないコア23cが保持用ケース26aに収納されて、両ケース26a,26bを合致させることによりコア23a,23bとコア23cが対向して配置される。このパルス誘導用別コア23a,23b,23cは、円筒状のコアを軸線方向に沿って2つに分割してトロイダル形とし、その一方をコア23cとし、残りのコアを軸線方向の中間位置でさらに2つに分割してコア23a,23bとしており、従ってコア23a,23bとコア23cを対向させることにより、ほぼ元の円筒状になる。そしてコア23a,23b,23cの中空部に高圧出力電線22を挿通して(ケース26a,26bを貫通して)逆パルス誘導トランス31を構成している。
【0020】
この実施の形態では、前記制御回路25を搭載したプリント配線基板60を収納したケース26cが前記ケース26bに一体に取付けられ、前記1次巻線24a,24bがプリント配線基板60に接続されている。
【0021】
図3(a),(b)は、逆パルス誘導用別コアの他の例を示す外観図である。円筒状のコアをそれの軸線方向に沿って半分に切断し、切断面を突き合わせて使用する、いわゆる2分割トロイダル形の一方のコア23に逆パルス誘導のための1次巻線24(1次巻線24aまたは1次巻線24bあるいは両巻線24a,24b)を所定ターン数巻き付け、これらを保持用ケース26a,26bに装着する。
【0022】
図4はこれをFBT1に装着した状態を示す図で、切断面を突き合わせた2分割トロイダル形のコア23,23の中空部に高圧出力電線22を挿通して(ケース26a,26bを貫通して)逆パルス誘導トランス31を構成している。なお、この実施の形態では制御回路25を搭載したプリント配線基板60は逆パルス誘導トランス31に内蔵されておらず、FBT1の外側の他の位置に取り付けられ(図示せず)、逆パルス誘導トランス31とプリント配線基板60がリード線を介して接続されている。
【0023】
図5は、逆パルス誘導用別コア23と1次巻線24の各種の例を示す図である。なお、図示していないが組み合わされたトロイダル形コアの中空部に高圧出力電線22が挿通されている。
【0024】
同図(a)は、1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1種類の1次巻線24が巻装された例を示している。
【0025】
同図(b)は、1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに2種類の1次巻線24aと24abが巻装された例を示している。
【0026】
同図(c)は、2つの1次側コア23a,23bと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが、それぞれ巻装された例を示している。
【0027】
同図(d)は、2つの1次側コア23a,23bと2つの2次側コア23c−1,23c−2を有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが、それぞれ巻装された例を示している。
【0028】
同図(e)は、n個に多数分割された1次側コア23a……,23nと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23a……,23nに1次巻線24a……,24nがそれぞれ巻装された例を示している。
【0029】
同図(f)は、n個に多数分割された1次側コア23a……,23nとn個に多数分割された2次側コア23c−1,23c−nを有し、1次側コア23a……,23nに1次巻線24a……,24nがそれぞれ巻装された例を示している。
【0030】
図6は、2次側コア23cに高圧出力電線22を巻き付けた例を示している。同図(a)は1つの1次側コア23aと1つの2次側コア23cを有し、1次側コア23aに1次巻線24が巻装され、2次側コア23cに高圧出力電線22が巻装された例を示している。
【0031】
同図(b)は、2つの1次側コア23a,23bと2つの2次側コア23c−1,23c−2を有し、1次側コア23aに1次巻線24aが、1次側コア23bに1次巻線24bが巻装され、2つの2次側コア23c−1,23c−2に高圧出力電線22が巻装された例を示している。
【0033】
図7(a)は逆相パルス誘導システムを示した図、図7(b)は逆相パルス誘導トランスの等価回路図である。図7(a)に示す如く、FBT1の3次逆パルス発生用コイル4で発生した逆パルスe2 は制御回路25で波高値及び位相・波形が調整される。
【0034】
制御回路25は位相調整用コンデンサ33、位相調整用抵抗器34、波形調整用抵抗器35ならびにコンデンサ36を有しており(図1参照)、図8(a)に示すように波高値及び位相調整用コンデンサ33と波高値及び位相調整用抵抗器34で調整された波形v2 は、図8(b)に示すように波形調整用抵抗器35とコンデンサ36により波形v2 ′に調整されされる。このようにして波高値及び位相・波形が調整された逆パルスe3 が、逆相パルス誘導トランス31の1次巻線24に印加される〔図7(a)参照〕。
【0035】
この制御回路としては図9に示す構成の制御回路37でもよく、この回路でもパルス波高値及び位相調整・波形の調整が可能である。同図において38は波高値調整インダクタ、39は波高値及び位相調整用コンデンサ、40は波高値及び位相調整用抵抗器、41は波形調整用抵抗器、42はインダクタである。同図に示すようにコンデンサ39と抵抗器40の直列微分回路の後段に、抵抗器41とインダクタ42の並列回路が接続されており、出力パルスの波高値及び位相・波形調整を行う。
【0036】
この例においてFBT1の3次側より発生させるパルスは負パルスで説明したが、3次側より発生させるパルスは正パルスとしても、逆パルス誘導コイル24の巻き付け方向を逆にすれば、同様に高圧出力電線22に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆のパルスを重畳することができる。
【0037】
図7(b)において、逆パルス誘導コイル24の自己インダクタンスをL1 、高圧出力電線別コア巻き付けコイル30の自己インダクタンスをL2 とし、それぞれ有する回路(X),(Y)が相互インダクタンスMで結合された回路の電流をそれぞれI1 ,I2 とすると、回路(X),(Y)ではそれぞれ下式の関係が成り立つ。
【0038】
(R1 +jωL1 )I1 +jωMI2 =e3
jωMI1 +(R2 +jωL2 )I2 =0
式中ω:角周波数 ω=2πf
この式により、回路(Y)の電流I2 を求めると下式のように表される。
【0039】
I2 =−jωMe3 /〔(R1 +jωL1 )(R2 +jωL2 )+ω2 M2 〕
式中Me3 :相互インダクタンス
よって、高圧出力電線別コア巻付コイルに発生する逆パルスe4 は下式のように表される。
【0040】
e4 =−jωMe3 R2 /[( R1 +jωL1)( R2 +jωL2)+ω2 M2 ] 逆パルス誘導トランス31で誘導された逆相パルスe4 を高圧出力電線22に重畳することにより、ブラウン管11の内装黒鉛膜8において、誘起している偏向ヨークの水平パルスがキャンセルされ、交番電界の振幅が低減される。
【0041】
この実施の形態に係る偏向ヨーク駆動用水平パルスは正パルスで説明しているが、水平の負パルスで偏向ヨーク7が駆動した場合でも同様に、逆パルス誘導トランス31を介して高圧出力電線22に正パルスを重畳することにより、水平パルスがキャンセルされ、交番電界VDY′の振幅が低減される。
【0042】
ブラウン管11の内装黒鉛膜8に重畳する逆相パルスe4 の波高値は、FBT1の1次側低圧コイル17の巻数、3次側逆パルス発生用コイル4の巻数、およひ逆パルス誘導コイル24の巻数で調整可能であるが、逆相パルスe4 の最適条件は、制御回路25により、逆相パルスe4 の波高値及び位相・波形の微調整をすることにより交番電界と等価的に同一のパルス信号が設定でき、交番電界のキャンセルに有効である。
【0043】
図7(a)において、高圧出力電線別コア巻付コイル30の両端の逆相パルスe4 は、内蔵高圧コンデンサ容量C1 とブラウン管容量C2 により容量分担される。但し、そのコイル30の両端の逆相パルスe4 の分担電圧は、コイル30の巻き位置、及び周囲の布線等により変化する。
【0044】
ブラウン管11は構造上限界の容量があり、内蔵高圧コンデンサ2はブラウン管容量C2 を補正するためにFBT1の内部に設けてある(図1参照)。この容量(内蔵高圧コンデンサ容量C1 +ブラウン管容量C2 )は、高圧の安定化を図るためのもので、この高圧容量が少ないとブラウン管11の画面上でくねり等の現象を引き起こす原因となる。
【0045】
内蔵高圧コンデンサ2の容量を変えることで、高圧出力電線22に印加する逆相パルスe4 の波高値が調整できる。容量を大きくすると波高値は高くなり、容量を小さくすると波高値は低くなる。
【0046】
本発明は、逆パルスをブラウン管11の陽極電極に印加する役割の容量機能と、上記高圧安定化のためのブラウン管11の容量機能の両方を兼用できる。
【0047】
図10は本発明の第2の実施の形態に係るFBTの回路図、図11(a)は高圧偏向系分離タイプの内装黒鉛膜に誘起するパルスの波形図、図11(b)は第2の実施の形態に係る逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形図である。
【0048】
ディスプレイモニタはブラウン管11を大型化した場合、画質を良くするため、トランジスタ16で駆動する偏向系と、電界効果トランジスタ(FET)27で駆動する高圧系とに分離して駆動する場合がある。このように分離して駆動する場合、トランジスタ16よりFET27のスイッチングタイムが早いため、図11(a)に示すように、ブラウン管11の内装黒鉛膜8に誘起するパルスは高圧系成分と偏向系成分で位相のずれが生じる。
【0049】
高圧系パルス成分は、内蔵高圧コンデンサ2の内部インピーダンスが大きいため、またFBT1の高圧変動量が大きいために発生するもので、偏向ヨークの静電容量9を介して、ブラウン管11の内装黒鉛膜8に発生する偏向系パルスが複合され、図11(a)に示すようなパルス波形となる。
【0050】
そのため図10に示すように、水平センタリングトランス28に偏向系逆パルス発生用コイル29を設け、制御回路25により波高値及び位相を調整した逆パルスを逆パルス誘導トランス31を介し、図11(b)に示すような逆パルスを高圧出力電線22に重畳する構成とすることにより、ブラウン管11の内装黒鉛膜8において複合されたパルス電圧〔図11(a)〕を逆パルス電圧〔図11(b)〕にてキャンセルし、交番電界の振幅を低減することも可能である。
【0051】
図12は、第3の実施の形態に係るFBTの回路図である。この実施の形態において制御回路50は、波高値調整用インダクタ51、波高値及び位相調整用コンデンサ52、波高値及び位相調整用抵抗器53、位相、波形調整用整流ダイオード54、位相、波形調整用抵抗器55から構成されている。図に示すようにコンデンサ52と抵抗器53の直列の微分回路の前段に、整流用ダイオード54と抵抗器55を並列接続した回路が直列に接続されている。さらにこれらの回路に対してインダクタ51が並列に接続されている。
【0052】
波高値調整用インダクタ51のインダクタンスを大きくすると波高値は小さくなり、位相調整用コンデンサ52及び抵抗器53を小さくすると位相は進み、波高値は大きくなる。
【0053】
図13(a)は制御回路50の入力波形図、図13(b)は制御回路50の出力波形図である。前記位相調整用整流ダイオード54により、同図(a)における制御回路入力波形v2 のパルス入力を急峻にして、同図(b)に示すように位相を進め、抵抗器55により立ち上がったパルスを短時間で0レベルまで引き戻すことができる。
【0054】
図14は第4の実施の形態に係るFBTの回路図で、前記第3の実施の形態に係るFBTに図10に示す第2の実施の形態の場合と同様に水平センタリングトランス28を接続した例である。従って逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形は図11(b)と同様である。
【0055】
前記逆パルス誘導トランス31は、FBT1から分離して外付けとし、任意の位置に設置することも可能である。
【0056】
図15は、本発明の実施の形態に係るディスプレイモニタの作用効果を説明するための波形図である。同図(a)に示すようなブラウン管管面波形に対して、同図(b)に示すような逆パルスを印加しようとすると、コイルの自己インダクタンス成分およびコアの初期透磁率などにより同図(c)に示すように入力波形に対し出力波形に位相遅れαと波形歪みβが生じる。パルス誘導トランスで誘導されたパルス波形を高圧出力電線に重畳させて、ブラウン管の管面波形を観察してみると同図(d)のようになる。これでも電界強度は低減するが、その強度を確実に1V/m以下とすることが難しい。そこで同図(d)の合成された波形に対して同図(e)に示すように全く逆のバルス波形を前記制御回路で調整して、それを高圧出力電線に重畳させることにより、同図(e)に示す如く交番磁界を実質的に消滅させることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は前述のように、パルス誘導トランスを介して別コアの高圧出力電線に偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを重畳することにより、交番電界を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図2】そのFBTの一部を断面にした外観図である。
【図3】(a),(b)は、逆パルス誘導トランスの他の例を示す外観図である。
【図4】その逆パルス誘導トランスを備えたフライバックトランスの一部を切断した外観図である。
【図5】(a)〜(f)は逆パルス誘導トランスにおけるコアと1次巻線の各種の例を示す図である。
【図6】(a),(b)はコアに高圧出力電線を巻き付けた逆パルス誘導トランスの例を示す図である。
【図7】(a)は逆相パルス誘導システムを示す図、(b)は逆相パルス誘導トランスの等価回路図である。
【図8】(a)は制御回路の波高値及び位相調整用コンデンサと波高値及び位相調整用抵抗器で調整された波形v2 の波形図、(b)はその後に波形調整用抵抗器とコンデンサで調整された波形v2 ′の波形図である。
【図9】制御回路の変形例を示す回路図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るFBTの回路図である
【図11】(a)は高圧偏向系分離タイプの内装黒鉛膜に誘起するパルスの波形図、(b)は第2の実施の形態に係る逆パルス誘導トランスに誘導されたパルスの波形図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図13】(a)はその実施の形態に係る制御回路の入力波形図、(b)は制御回路の出力波形図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るFBTの回路図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るディスプレイモニタの作用効果を説明する波形図である。
【図16】従来のFBTの回路図である。
【図17】従来の交番電界の低減システムを示した図である。
【図18】その交番電界低減システムの等価回路図である。
【図19】従来のFBTの外付高圧コンデンサの外観図である。
【図20】その外付高圧コンデンサの内部回路図である。
【符号の説明】
1 FBT
2 内蔵高圧コンデンサ
3 高圧整流ダイオード
6 高圧コイル
7 偏向ヨーク
8 内装黒鉛膜
11 ブラウン管
22 高圧出力電線
23 コア
24 1次巻線
25,37,50 制御回路
28 水平センタリングトランジスタ
30 高圧出力電線別コア巻付コイル
31 パルス誘導トランス
32,38,42,51 インダクタ
33,36,39,52 コンデンサ
34,35,40,41,53,55 抵抗器
54 整流ダイオード
60 プリント配線基板
Claims (7)
- 分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の少なくとも1つが調整できる制御回路を接続したことを特徴とするディスプレイモニタ。 - 請求項1記載のディスプレイモニタにおいて、前記トロイダルコアのうちの1次側コアが少なくとも2つに分割され、
その分割コアのうちの少なくとも1つの分割コアに、前記制御回路の波高値調整用回路に接続されたパルス誘導コイルが巻装され、
前記分割コアのうちの他の少なくとも1つの分割コアに、前記制御回路の位相および波形調整用回路に接続されたパルス誘導コイルが巻装されていることを特徴とするディスプレイモニタ。 - 分割された2次側の各高圧コイルの出力側に、直列に高圧整流用ダイオードをそれぞれ接続し、その高圧整流用ダイオードのうちの最終段の高圧整流用ダイオードのカソード側に高圧コンデンサを接続したフライバックトランスによりディスプレイに高圧電圧を供給するとともに、
前記フライバックトランスのコアとは別の2つ以上に分割されたトロイダルコアに高圧出力電線を巻付けあるいは通し、このトロイダルコアを用いて偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを誘起する巻線を有するパルス誘導トランスを設け、
このパルス誘導トランスを介して偏向ヨーク駆動用水平パルスと逆相あるいは同相のパルスを前記高圧出力電線に重畳し、
前記パルス誘導トランスの1次側に、出力パルスの波高値、位相、波形の3つが調整できる制御回路を接続したことを特徴とするディスプレイモニタ。 - 請求項3記載のディスプレイモニタにおいて、前記制御回路が、コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の前段に、整流用ダイオードと抵抗器の並列回路を直列に接続した回路から構成されていることを特徴とするディスプレイモニタ。
- 請求項3記載のディスプレイモニタにおいて、前記制御回路が、
波高値調整用のインダクタと、
コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の前段に、整流用ダイオードと抵抗器の並列回路を直列に接続した位相および波形調整用の回路から構成されていることを特徴とするディスプレイモニタ。 - 請求項3記載のディスプレイモニタにおいて、前記制御回路が、コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の後段とグランドの間に、抵抗器とコンデンサの直列回路を直列に接続した回路から構成され、
前記微分回路と直列回路の接続部に前記パルス誘導トランスの巻線を接続したことを特徴とするディスプレイモニタ。 - 請求項3記載のディスプレイモニタにおいて、前記制御回路が、
波高値調整用のインダクタと、
コンデンサと抵抗器を直列にした微分回路の後段とグランドの間に、抵抗器とコンデンサの直列回路を直列に接続した位相および波形調整用の回路から構成され、
前記微分回路と直列回路の接続部に前記パルス誘導トランスの巻線を接続したことを特徴とするディスプレイモニタ。
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