JP3749512B2 - 電力安定供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統に連結される電力安定供給装置に関するものであり、特にレドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池などの2次電池を用いる電力安定供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータや精密モータを搭載した精密電子機器などのように、電源電圧の変動に敏感なエレクトロニクス機器が多用されてきている。このため、電源電圧が短時間大幅に低下する現象である瞬時電圧低下(以下、瞬低と略記する)に対する対策の要求が高まってきており、瞬時電圧低下対策装置としての電力安定供給装置の需要が増大しつつある。また従来から用いられている負荷平準化装置、ピークカット装置、周波数変動抑制装置、電圧安定化装置、フリッカー対策装置などの各種の電力安定供給装置に対しても瞬時電圧低下対策の機能を付加することが必要とされている。上記負荷平準化装置やピークカット装置等が、負荷平準化やピークカットなどの本来の機能で動作している状態を以下「通常時」という。
【0003】
図11は2次電池としてレドックスフロー電池を用いた従来の電力安定供給装置101を有する電力供給系統のブロック図である。図において、変電所130の電力系統100に変圧器120を介して系統母線102が連結されている。電力安定供給装置101はこの系統母線102に開閉器103を介して連系されている。系統母線102には、例えば重要負荷104および105がそれぞれの開閉器114、115を経て接続されている。重要負荷104、105は、例えば半導体製造工場、精密機械加工工場など、特に安定な電力供給が必要な大口需要家の重要な設備である。系統母線102には開閉器109、111を介して一般負荷110も接続されている。電力安定供給装置101は、主に連系リアクトルを兼ねる変圧器106、交流電力を直流電力に変換し、又はその逆の変換をするコンバータ107及び大容量の2次電池108としてレドックスフロー電池を備えている。この電力安定供給装置101は、通常時はピークカット装置や負荷平準化装置として機能するが、雷事故の発生等による瞬低時には重要負荷104、105の稼働停止等を防止するための瞬時電圧低下対策装置としても働く。
【0004】
以下、電力安定供給装置101の機能を詳細に説明する。変電所130と、重要負荷104、105及び一般負荷110とを結ぶ電力供給系統の電力の需給が均衡を保っている状態である「定常時」には、系統母線102から開閉器103及び変圧器106を経て電力安定供給装置101に供給される交流電力がコンバータ107で直流電力に変換されて2次電池108を充電する。一方、重要負荷104又は105の消費電力が大幅に増加して、一時的に負荷104、105に供給される電力が変電所130の容量を超過する場合には、電圧検出器10及び電流検出器11を有する検出回路8により、その状態が検出される。検出回路8の検出出力は制御回路9に与えられる。制御回路9はコンバータ107を制御して、2次電池108の放電による直流電力をコンバータ107で交流電力に変換し、上記の超過する分の有効電力を系統母線102に供給して需給を安定化させる。系統母線102から供給されるべき超過分の電力を電力安定供給装置101が代りに供給して、系統母線102の供給電力のピークをカットできるのでこの機能を「ピークカット」と呼んでいる。
【0005】
電力安定供給装置101の2次電池108の容量を大きくし長時間供給できる電力を蓄電できるようにすると負荷平準化装置として使用できる。すなわち、夜間の低需要時間帯に一定時間(典型的には約8時間)定電力で2次電池108を充電し、昼間の高需要時間帯には一定時間(典型的には約8時間)定電力で2次電池108から電力を供給する。これにより、高需要時間帯には変電所130の供給可能電力以上の電力を供給できる。この用途の電力安定供給装置は、昼と夜の電力需要の大きなギャップを平準化するので「負荷平準化装置」と呼ばれている。
【0006】
電力系統100に雷が到来して系統の電圧に瞬低が生じた場合には、電圧検出器10が瞬低を検出する。瞬低による重要負荷104、105の稼働停止等を防ぐために、直ちに瞬低前の系統電圧に復帰させる必要がある。そのために、電力安定供給装置101は、制御回路9によりコンバータ107を制御して、2次電池108から重要負荷104、105にコンバータ107及び系統母線102を介して無効電力や有効電力を供給して電力の安定供給を維持する。2次電池108からの供給電力が不十分なときは開閉器109を開き重要度の低い一般負荷110を切り離し、少なくとも重要負荷104、105だけには所望の電力を供給して重要負荷104、105の稼働停止を防ぐようにしている。瞬低が回復すると直ちにコンバータ107を通常時の動作状態に戻して電力を供給する。
【0007】
従来の電力安定供給装置においては、ピークカット時や負荷平準化時には、例えばそれぞれ前者では500kW、後者では2MW程度の電力を比較的長時間(例えば、前者では約1時間、後者は約8時間)供給することが必要とされる。ピークカットや負荷平準化の動作時に雷が到来して瞬低が発生した時には、低下した電圧の復帰のために比較的短時間(例えば、2秒間)ではあるが1から数MWの電力を追加供給する必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−105484号公報
【特許文献2】
特開2002−84683号公報
【特許文献3】
特開昭61−116934号公報
【特許文献4】
特開平11−32438号公報
【特許文献5】
国際公開番号WO98/43301
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池などの2次電池は、「瞬時大電流供給能力」を有しており、数秒から数分間であれば通常時に供給できる定格電流の数倍程度の電流を供給できる。瞬低時にこの能力を活用すれば2次電池の定格容量を増大しなくても瞬時電圧低下対策ができる。そこで、従来の電力安定供給装置では、2次電池の瞬時大電流供給能力に対応した大きな電力容量を有する大型のコンバータ107を備えていた。コンバータ107の電力容量は、例えば通常時の電力容量の数倍に設定する必要があった。
【0010】
雷の到来による瞬低はそれほど頻繁に発生するものではなく、多くても年間20回程度である。また雷の影響による瞬低の持続時間は多重雷の場合でも数秒間である。まれではあるが送電線にへびや鳥などの小動物がひっかかったり、樹木が接したりして短絡や地絡が発生することがある。このような場合には数分を超える比較的長時間の「瞬時停電」が起こることもある。しかしこのように発生頻度が低い瞬低や瞬時停電に対応するために、通常時の供給電力の数倍にも及ぶ電力定格を有する大型のコンバータを設けることは、電力安定供給装置が大型化し重くなるとともに、電力損失も大きくなり、設備費が高くつくばかりでなく運転中の経費も高くつく、という問題があった。
【0011】
本発明は、通常時に必要な電力に相当する電力定格を有するコンバータを用いて、瞬低や瞬時停電の時には通常時の電力を大幅に超える電力を供給できる電力安定供給装置を実現し、電力安定化装置の小型化・軽量化・低損失化・低コスト化を図ることを目的とする。
【0012】
本発明の電力安定供給装置は、直流電力を充放電する2次電池、及び前記2次電池と、電力送電電源の系統母線との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記系統母線に出力し、かつ、それ自体の定格電力の3から30倍の電力を数秒間制御可能なコンバータを備える
また、本発明の他の観点の電力安定供給装置は、直流電力を充放電する2次電池、及び前記2次電池と、電力送電電源の系統母線との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記系統母線に出力し、かつ、それ自体の定格電力の1.4から5倍の電力を数分間制御可能なコンバータを備える。
ワイドギャップバイポーラ半導体素子は数秒間の短時間であれば定格電力の3から30倍の電力を制御することができる。また高性能のヒートシンクを用いた場合、数分間であれば定格電力の1.4から5倍の電力を制御できる。本発明ではコンバータのスイッチング素子にワイドギャップ半導体素子を用い、その定格電力は「通常時」の値に設定しておく。短時間に大電力を供給する必要がある瞬低時や瞬時停電時には、定格電力を大幅に超える大電力でコンバータを動作させるが、大電力の供給時間は短いのでコンバータが破壊されることはない。
【0013】
本発明の他の観点の電力安定供給装置は、直流電力を充放電する2次電池、及び前記2次電池と、電力送電電源の系統母線に接続された負荷との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記負荷に出力し、かつ、それ自体の定格電力の3から30倍の電力を数秒間制御可能なコンバータを備える。
また、本発明の他の観点の電力安定供給装置は、直流電力を充放電する2次電池、及び前記2次電池と、電力送電電源の系統母線に接続された負荷との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記負荷に出力し、かつ、それ自体の定格電力の1.4から5倍の電力を数分間制御可能なコンバータを備える。
【0014】
前記2次電池と前記コンバータに接続され、前記2次電池への充電電圧を降圧し、前記2次電池の放電電圧を昇圧する双方向のチョッパー回路をさらに備えることが好ましい。双方向のチョッパー回路により2次電池の充電電圧を降圧し、放電電圧を昇圧するので、前記の効果に加えて、2次電池の電圧より高い電圧を有する系統母線にも電力安定供給装置を適用することができる。
【0015】
前記系統母線の電圧を検出し、検出した電圧に基づいて、電力の需給状態を検出する検出装置、及び前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路をさらに備えることが好ましい。系統母線の電圧を検出することにより瞬低の発生を検出して、瞬低時の系統の電圧低下を防ぐことができる。
【0016】
前記系統母線の電圧及び電流を検出し、検出した電圧及び電流に基づいて、電力の需給状態を検出する検出装置、及び前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路をさらに備えることが好ましい。系統母線の電圧と電流を検出することにより、系統の電力の需給状況を検出することができる。電力の需給状況を検出できるので、本発明の電力安定供給装置を負荷平準化用に用いることができる。
また、前記系統母線の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて電力の需給状態を検出する検出装置、及び前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路をさらに備えることが好ましい。
前記2次電池が、レドックスフロー電池ナトリウム硫黄電池、リチウムイオン電池、および鉛電池のいずれかであることを特徴とする。
【0017】
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、シリコンカーバイド(SiC)を母材とするゲートターンオフサイリスタ(GTO)であることを特徴とする。
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、窒化ガリウムを母材とする半導体素子であることを特徴とする。
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのGTOの少なくとも1つのチップで形成されていることを特徴とする。
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、シリコンカーバイド(SiC)を母材とするインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であることを特徴とする。
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのGTOの少なくとも1つのチップ又は複数のチップを並列に接続したもので形成されていることを特徴とする。
前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのIGBTの少なくとも1つのチップ又は複数のチップを並列に接続したもので形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記系統母線とコンバータとの間に連系リアクトルを設けたことを特徴とする。
前記系統母線とコンバータとの間にトランスを設けたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、ダイヤモンドなどを母材としたワイドギャップ半導体素子は、Si(シリコン)を母材とした半導体素子に比べて損失が少なく、且つ高温でも動作できるという物理的性質を有している。この点に注目してワイドギャップ半導体素子で制御できる短時間の最大許容電力を調べたところ、数秒間程度の短時間であればワイドギャップ半導体素子に定格電流をはるかに超える電流を流しても破壊されないことが判った。特にワイドギャップバイポーラ半導体素子は2次電池の「瞬時大電流供給能力」を越える大電流を流すことができる「瞬時大電力稼働能力」をもつことが確認された。このような特性を有するワイドギャップ半導体素子をスイッチング素子として用いてコンバータを構成し、通常時はワイドギャップ半導体素子の定格内の電圧および電流で動作させる。瞬低時には2次電池の瞬時大電力供給能力による通常時の数倍の放電直流電力を前記コンバータにより交流電力に変換して系統母線に供給する。
【0021】
通常時には、2次電池の放電による直流出力電圧はチョッパー回路で昇圧された後、コンバータで交流電力に変換されて系統母線に出力され各種の電力安定化機能を果たす。2次電池は、電力安定化機能を果たしていない「定常時」に充電される。2次電池の充電時は、系統母線からの交流電力がコンバータで直流電力に変換され、チョッパー回路で降圧されて2次電池に充電される。定常時及び通常時に充放電される電力値はコンバータの定格内にある。
【0022】
瞬低時又は瞬時停電時には、2次電池からその瞬時大電流供給能力に応じて定格の数倍の電流が、ほぼ電池の定格電圧を保ちつつ供給される。すなわち、定格電力のほぼ数倍の直流電力が供給される。この直流電力はチョッパー回路で昇圧された後にコンバータで交流電力に変換されて系統母線に出力され、電力の供給を安定化する。
コンバータとしては一般的な既知のPWM動作型のスイッチング素子を有するコンバータを用い、パルス幅変調をする。パルス幅変調式コンバータ(以下、PWMコンバータと記す)の出力電圧の位相を系統母線の電圧の位相よりも進ませて通常時と同じ電力を系統母線に出力し、電力安定供給のための有効電力を出力するのが望ましい。瞬低時には系統母線の電圧が低下する場合が多いのでパルス幅変調のパルス幅を広げてコンバータを動作させることにより、通常時の数倍の無効電力を出力し、系統母線の低下した電圧を瞬低前の電圧に急速に戻す。
【0023】
瞬低時に2次電池の瞬時大電流供給能力に応じて大電力でコンバータのワイドギャップ半導体素子を動作させる場合、ワイドギャップ半導体MOSFET等のユニポーラ半導体素子は、その瞬時大電力稼働能力が定格の約2倍程度あることが実験により見いだされた。一方、GTO(Gate turn off thyristor)やIGBT(Insulated gate bipolar transistor)等のワイドギャップバイポーラ半導体素子はユニポーラ半導体素子よりも瞬時大電力稼働能力が大きく、定格の3から30倍以上であることが実験により見いだされた。以上の実験結果から、本発明の電力安定供給装置のコンバータのスイッチング素子に用いる半導体素子としては、ワイドギャップバイポーラ半導体素子のほうがユニポーラ半導体素子より好適である。
【0024】
小電力の制御用のものでは、ワイドキャップ半導体の1つのチップを用いてコンバータを構成することができる。大電力の制御用のものでは、ワイドギャップ半導体素子の母材のSiCには多くの結晶欠陥が存在するために、本発明の用途のような大電流を流すことができる面積の大きいチップの作製は困難である。SiCの結晶欠陥を減少させる技術が向上すればSiと同様に1つの大面積のチップで半導体素子が実現できるが、現状では大電流を流すために複数のチップを並列に接続する方法が考えられる。複数のチップの並列接続は、Si半導体素子の場合は、IGBTなどのユニポーラ動作とバイポーラ動作が共存する融合素子では可能であるが、GTO等のバイポーラ動作のみをする半導体素子では困難であるとされている。その理由は以下の通りである。IGBTなどのユニポーラ動作とバイポーラ動作が共存する融合素子では、バイポーラ動作は負の温度依存性を持ち、ユニポーラ動作は正の温度依存性を持つ。そのため正負の温度依存性の相殺効果により大電流が流れても熱暴走を生じない。すなわちユニポーラ動作素子の場合は素子のオン抵抗においてチャンネルの抵抗が最も大きく、主にこのチャンネル抵抗の正の温度依存性が支配的である。
【0025】
一方、バイポーラ動作素子の場合は温度が高くなると接合ポテンシャルが低くなりキャリアの注入が増大する一方ライフタイムも長くなるために電流が増大する。このため更に素子の温度が高くなりキャリアの注入とライフタイムの増大を促進しますます電流が増大するといった負の温度依存性を持つ。これらの正負の温度依存性の相殺効果によりIGBTは大電流が流れても熱暴走が生じない。しかし、GTO等の純粋なバイポーラ素子は負の温度依存性のみを持つために大電流が流れると熱暴走しひいては素子の破壊にいたってしまう。
【0026】
発明者は、SiCの場合は、GTOであっても長時間でなければ、並列接続による大電流化が可能なことを見いだし、これを適用することにより本発明の電力安定供給装置を実現した。大電流化は、SiC−GTOの電界緩和領域である低濃度ベース領域の抵抗が正の温度依存性をもつことにより得られる。すなわち、低い温度ではバイポーラ動作の負の温度依存性が低濃度ベース領域の抵抗の正の温度依存性よりも大きいためにSiC−GTOは負の温度依存性をもつ。しかし数百℃以上では低濃度ベース領域の正の温度依存性がバイポーラ動作の負の温度依存性を相殺し逆にの温度依存性の方が優位になるためSiC−GTOはの温度依存性をもつようになる現象を発明者は見出した。
【0027】
SiCはバンドギャップが広いため1000℃以上の高温でも半導体としての性質を維持できるので、本発明ではこの現象を十分に活用する。これに対してSiの半導体素子では、半導体としての性質が維持される限界温度が低い。通常は接合温度を200℃以下にして使用しなければならないため、上記の現象の発現には至らずその活用が困難である。この現象を活用できる時間は、素子の内部の発生熱量と外部への放熱量の差により、素子内部温度が上昇して半導体としての性質を維持できなくなる限界温度にいたるまでの時間である。この時間は、素子の構造や通電電流の密度、モジュールの構造等により決まる。SiCはSiに比べて電力損失が少なくかつ熱伝導率が大きいこともコンバータに適用したときの瞬時大電力稼働能力を大きくするのに極めて有利に作用する。また、SiCを用いたGTOのスイッチング時間は1μs程度であり、Siを用いたGTOに比べて1桁以上短い。この点からターンオフ時にはSiのGTOのように遮断時間の長いGTOでは一部のGTOに遮断電流が集中し破壊されやすい、という問題を回避でき並列接続が可能になる。
【0028】
また、SiC−IGBTにおいてもSi−IGBTとは異なり、電界緩和領域である低濃度ドリフト領域の抵抗の正の温度依存性が大きな効果を及ぼし、数百℃以上ではSiC−IGBTは正の温度依存性を示すことがわかった。すなわち、Si−IGBTにおいて、バイポーラ動作の負の温度依存性がユニポーラ動作の正の温度依存性を相殺し大電流が流れても熱暴走を生じないように保てるのはSiが半導体の性質を堅持できる限界温度以内であり、限界温度に近い200℃以上ではバイポ−ラ動作が急激に優位になる。この程度の温度では低濃度ドリフト領域の正の温度依存性は未だ小さくバイポーラ動作の急増した負の温度依存性を相殺することができず熱暴走に至る。しかし、SiC−IGBTの場合は数百℃以上では低濃度ドリフト領域の正の温度依存性がバイポーラ動作の負の温度依存性を相殺し、逆に正の温度依存性の方が優位になるためSiC−IGBTが正の温度依存性をもつようになる。その結果、SiC−IGBTを複数個並列接続すれば、Si−IGBTに比べて遙かに大きな電流を短時間流すことができ、且つその信頼性も向上する。
【0029】
SiのGTOやIGBTを用いた従来のコンバータを有する電力安定供給装置では、瞬低時に2次電池から供給される通常時の数倍の電力に合わせた大容量のコンンバータを設けなければならない。
これに対して本発明の電力安定供給装置における、SiCのGTOやIGBTを用いたコンバータは、定格電流の数倍の過大な電流に耐えられるので、定格電流を通常時の電流に合わせたコンバータによって瞬低時の大電流時に対応できる。そのため電力安定供給装置を構成する種々の部品、例えばリアクトルとしてのトランス、半導体素子のヒートシンク、ブスバー等が小型にできる。また、容量が小さいので、同じ変換効率でも損失の絶対値が小さく低損失化ができるとともに大幅な低コスト化も達成できる。電力用途の大型コンバータは、小型のコンバータに比べて高耐圧であるとともに高い信頼性が求められる。また多くの保護機能を要求されるので価格が高い。例えば従来の電力安定供給装置で5MWのコンバータが必要である用途の場合、本発明のものでは1MWのもので済む。このためにコストは従来のもののほぼ5分の1になり大幅な低コスト化が達成できる。電力容量の大きい電力安定供給装置ほど低コスト化の効果が大きくなる。以上のように、本発明の電力安定供給装置は、大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化が実現できる。
【0030】
以下、本発明の好適な実施例を図1から図7を参照して説明する。
《第1実施例》
図1は、本発明の第1実施例であるピ−クカット用の電力安定供給装置1、及びこの電力安定供給装置1が接続された、変電所130から重要負荷104、105及び一瞬負荷110に至る電力供給系統のブロック図である。「ピークカット」とは、電力需要の急増により、消費電力が変電所130の供給可能な電力を超過するとき、変電所130以外の電源から超過分を供給することをいい、この状態にあるときを「ピークカット時」という。またピークカット時以外の状態のときを「正常時」という。図において、変電所130の電力系統100にトランス120を経て系統母線102が連結されている。系統母線102には、特に重要な重要負荷104及び105がそれぞれの開閉器114及び115を介して接続されている。また、系統母線102には開閉器109及び111を介して重要負荷104、105より重要度の低い一般負荷110が接続されている。開閉器109は系統母線102に異常が発生したとき、まず一般負荷110を切り離して、重要負荷104、105への電力供給を優先して維持するためのものである。系統母線102には、本発明の電力安定供給装置1が開閉器6を介して接続されている。開閉器6、109、111、114及び115を動作させる制御装置については、当分野では周知であるので図示を省略している。
【0031】
電力安定供給装置1は例えば500kW定格のレドックスフロー電池を用いた2次電池2、昇圧及び降圧をする双方向のチョッパー回路3,500kW定格のコンバータ4及び、連系リアクトルも兼ねた変圧器5を有し、開閉器6を介して6.6kVの系統母線102に連結されている。系統母線102の電圧と電流は、それぞれ電圧検出器10及び電流検出器11で検出され、検出した電圧、電流に基づいて電力の需給状態が検出回路8で検出される。電圧検出器10にはポテンシャルトランス(PT)等が用いられる。電流検出器11はカレントトランス(CT)等であり、変電所130内に設けられて変電所130の出力電流を検出する。制御回路9は、検出回路8から与えられる電力の需給状態を示す検出出力に応じてコンバータ4の出力電力を制御する。2次電池2のレドックスフロー電池は電圧800V、電流625Aの直流を約1時間供給できる容量を有する。チョッパー回路3およびコンバータ4のスイッチング素子はアノードゲート型のSiCを用いたGTO(以下、SiC−GTOと記す)であり、それぞれの定格電圧電流は、8kV・800Aおよび8kV・400Aである。本装置の電力容量はチョッパー回路3、コンバータ4及び変圧器5で発生する電力損失を考慮すると約450kWである。重要負荷104、105の電力消費が増えて一時的に変電所130の電力容量を超過する場合には、電圧検出器10及び電流検出器11によりその状態を検出し、系統母線102に向けて2次電池2から超過電力に応じた有効電力を最大約450kWまで供給できる。2次電池2は「定常時」(変電所130と、重要負荷104、105及び一般負荷110等との間の電力の需給が均衡を保っている状態)に系統母線102から供給される電力により充電されている。
【0032】
レドックスフロー電池等の2次電池2の直流の出力電圧は、使用期間の初期には例えば800Vであるが、使用期間が長くなるとともに800Vより低下する傾向がある。そこで、ピ−クカット時は定電圧出力保持型のチョッパー回路3で2次電池2の出力電圧を昇圧し電圧を常に一定にしてコンバータ4に供給している。直流電力を交流電力に変換するコンバータ4はSiC−GTOをスイッチング素子として用いている。コンバータ4は、一般的な既知の回路構成を有するものであるので図示を省略している。SiC−GTOはSiCの結晶内の欠陥による制約のために、電流定格を大きくするのが困難である。そこで電圧定格を高くして低い電流定格において所望の電力定格を得るのが望ましい。本実施例では、2次電池2のレドックスフロー電池の出力電圧800Vをチョッパー回路3で1600Vに昇圧している。例えば約1600V、300Aの直流電力をコンバータ4に供給している。コンバータ4ではこの直流電力を736V、354Aの交流電力に変換して変圧器5に印加する。変圧器5は736Vの電圧を6.6kVに昇圧して開閉器6を経て系統母線102に出力し負荷104、105及び110に供給する。
【0033】
ピークカット時に電力安定供給装置1が450kWのピ−クカット時の電力を供給しているとき、もし電力系統100に落雷事故が発生し、その影響で系統母線102の電圧に瞬時電圧低下(以下、瞬低という)が生じると、重要負荷104、105に稼働停止などの重大な障害を与えるおそれがある。そこでこれを防ぐために、直ちに開閉器109を開き一般負荷110を切り離す。同時に電力安定供給装置1において、2次電池2からその瞬時大電流供給能力に相当する、例えば電圧が800Vで、2.5MWの直流電力が出力されるように制御回路9でコンバータ4を制御する。チョッパ回路3は800Vの直流電圧を3.2kVに昇圧してコンバータ4に供給する。コンバータ4を駆動するPWMパルス幅は定格動作時よりも拡大され、コンバータ4からは、電圧が1.47kVで450kWの有効電力と、電圧が約1.47kVで、2.78MVAR(無効電力の単位を表す)の無効電力が出力される。有効電力及び無効電力の電圧は変圧器5で6.6kVに昇圧されて系統母線102に供給されて電圧低下を防ぐ。落雷の影響による系統母線102の電圧低下が0.5秒間以上続くのは極めて稀である。本実施例の電力安定供給装置1は450kWの有効電力と最大2.78MVARの無効電力を約6秒間供給できるようにコンバータ4を設計してあるので、落雷による瞬低の対策として十分である。上記の例ではコンバータ4は4秒間であれば定格の約6倍の瞬時大電力を変換することができる。
本実施例の電力安定供給装置を瞬低のみに対応させる場合には、図8に示すように、電圧を検出する電圧検出器10のみを設ければよく、図1に示す電流検出器11は設けなくても、変電所の電圧データを用いることにより対応できる。
【0034】
本実施例の電力安定供給装置1において定格を大幅に越える電力でコンバータ4を動作させることができるのは、スイッチング素子としてSiC−GTOを用いているからである。
本実施例で用いている、定格電圧及び電流が8kV・400Aのアノードゲート型SiC−GTO素子の上面図を図2の(a)に示し、b−b断面図を図2の(b)に示す。このSiC−GTO素子は、定格電流80Aの5個のアノードゲート型SiC−GTOチップ131〜135を並列に接続してモジュール化している。図2の(b)において、カソード電極14に設けられた中間下部電極16と、アノード電極15に設けられた中間上部電極17との間に一辺が7mmの略正方形の5個のGTOチップ131、132、133、134、135を挟み込み電気的に並列に接続している。スペーサ18はカソード電極14の上における各GTOチップ131から135の位置を定めるためのものである。セラミックス外囲器19はカソード電極14とアノード電極15間を一定距離に保持すると共に絶縁するものであり、その直径は約10cmである。図3にアノードゲート型SiCのGTOチップ131の断面を示す。このGTOチップ131はn型SiCの、エミッタとして機能する基板50の上面にp型ベース層51、n型ベース層52及びp型エミッタ層53をこの順序で積層している。基盤50の下面にカソード電極54を設け、p型エミッタ層53にアノード電極55を設けている。n型ベース層52にアノードゲート電極56を設けている。
【0035】
GTOチップ131は、アノードAからアノードゲートGに駆動電流を流すことによりオンになる。オンになった後、カソードKとアノードAとの間を流れている電流を、カソードKとアノードゲートGとの間に迂回して流すと、GTOチップ131はオフになる。GTOチップ131を構成する各層の厚さは、例えば、基板50が約400ミクロン、p型ベース層51が約80ミクロン、n型ベース層52が約3ミクロン、p型エミッタ層53が約5ミクロンである。現状のSiCでは、p型SiCはn型SiCに比べて最少の抵抗率が1桁以上大きい。従って、最も厚い基板50の部分をn型SiCを用いて構成すると、p型SiCを用いた場合に比べて抵抗を小さくできる。これによりオン時の電力損失を著しく小さくできるという利点がある。この場合、アノードゲート電極56をp型ベース層51に設けてカソードゲート駆動をするよりは、図3のようにn型ベース層52に設けてアノードゲート駆動をする方が、GTOサイリスタのゲートターンオン電流やゲートターンオフ電流を大幅に低減できる。これにより、図示を省略した駆動回路の出力が小電力ですみ、大幅に小型化・軽量化できるとともに低損失化でき本発明の目的をより効果的に達成できる。
【0036】
前に説明したように、Si−GTO素子は、バイポーラ動作で負の温度依存性を持つので、大電流が流れて素子の内部温度上がると更に電流が増えて益々温度が上昇し、ついには熱暴走して素子の破壊に致る。複数のSi−GTOチップを並列に接続した場合は、あるSi−GTOチップに一旦電流集中が起こると、他のSi−GTOチップの電流もそのチップに集中してしまい熱暴走に至る場合がある。従ってSi−GTOチップを多数並列に接続するのは困難である。これに対して、SiC−GTOの場合は前に記したように、大電流の流れる時間が10秒以下の短時間であれば並列接続が可能である。大電流を流せる時間は、素子の内部での発生熱量と放出熱量の差により素子の内部温度が上昇し、半導体としての性質を維持できる限界温度にいたるまでの時間である。この時間は素子の構造や通電電流の密度、モジュールの構造等に依存して決まるが、図2に示す構成では約8秒間は全く問題を生じないことが実験により確認された。例えば、約45分間のピークカットの動作試験をしている間に8秒間の瞬低を発生させてテストしたが、重要負荷104、105にほとんど影響を及ぼすことなくピークカット電力を供給できた。
【0037】
本実施例ではSiC−GTOの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、このSiC−GTOを用いたコンバータは瞬低の影響を防止する4.5秒間は定格の6倍の電力を変換するコンバータとして働く。従って、従来の設計のようにコンバータの容量を瞬低時を考慮に入れた大電力のものにする必要はなく、瞬低時の電力の数分の1のピークカット時の電力が供給できる能力があれば十分である。これにより、ピークカットの電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化が実現できる。
【0038】
《第2実施例》
図4は、本発明の第2実施例である負荷平準化用の電力安定供給装置21のブロック図である。電力安定供給装置21は定格電圧1.5KV、定格電力1.5MWのナトリウム硫黄電池を用いた2次電池22、双方向のチョッパー回路23、コンバータ24及び変圧器25を有しており、前記図1の電力安定供給装置1と同様に、開閉器6を介して、電圧6.6KVの系統母線102に接続されている。その他の構成は電力安定供給装置1と同じである。
【0039】
「負荷平準化」とは、電力の需要が1日の中の時間帯により大幅に異なる現象に対処するために、電力需要の少ない時間帯に電力を蓄積し、需要の多い時間帯に放出することをいう。チョッパー回路23のスイッチング素子は、電圧・電流が10kV・1400Aのアノードゲート型SiC−GTOであり、コンバータ24のスイッチング素子は、電圧・電流が10kV・600Aのアノードゲート型SiC−GTOである。電力需要の少ない夜間の、例えば22時から6時の8時間に2次電池22を一定電力で充電する。電力需要の特に多い昼間の、例えば9時から17時の8時間は約1.35MWの電力を2次電池22から供給する。本実施例のコンバータ22に用いるSiC−GTO素子は、定格電流100AのGTOチップを図2に示すものと類似のパッケージ内に6個設け、それらを並列接続してモジュール化している。
【0040】
定格電流の比較的小さいSiC−GTOを用い、電圧を高くして定格電力を大きくするために、昼間の1.35MWの電力供給時は、チョッパー回路23で2次電池2の1.5kVの直流出力電圧を3kVに昇圧している。その結果、コンバータ4には約3kV・480Aの直流電力が供給される。コンバータ24はこの直流電力を約1.38kV・566Aの交流電力に変換し変圧器25に供給する。変圧器25は電圧を6.6kVに昇圧し、開閉器6を介して系統母線102に供給している。
1.35MWの電力を供給している時に、電力系統100(図1)に落雷事故による瞬低が発生しその影響で系統母線102の電圧が大幅に低下すると、重要負荷104、105が稼働を停止するおそれがある。これを防ぐために、2次電池22の出力電圧をチョッパ回路23で4.5kVに昇圧してコンバータ24に供給する。また、コンバータ24のスイッチング制御のPWMパルス幅を拡大する。これによりコンバータ24から、定格値である約1.35MWの有効電力と、電圧が約2.07kVで約6.44MVARの無効電力が出力される。コンバータ24の出力は変圧器25で昇圧されて系統母線102に供給され系統母線102の電圧低下を防ぐ。
【0041】
本実施例ではSiC−GTOの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、定格電力が1.5MWのコンバータが瞬低の影響を阻止する所定時間の間は1.5MWの約4.7倍の定格電力のコンバータとして働く。従って、負荷平準化用の電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化が実現できる。
【0042】
《第3実施例》
図5は、本発明の第3実施例である周波数変動抑制用の電力安定供給装置31のブロック図である。電力安定供給装置31は電圧が800Vで定格電力が700kWのレドックスフロー電池を用いた2次電池32、双方向のチョッパー回路33、定格電力600kWのコンバータ34、及び変圧器35を有しており、図1の開閉器6を介して電圧6.6kVの系統母線102に連結されている。その他の構成は図1のものと同じである。
「周波数変動抑制」とは、電力需要の急変により、電力系統100の交流の周波数が定格値(50Hz又は60Hz)からずれるのを防止するため、他の電源により電力供給の調整をして周波数を定格値に保つことをいう。チョッパー回路33およびコンバータ34のスイッチング素子は、定格電圧及び定格電流がそれぞれ8kV・1000Aおよび8kV・500Aのアノードゲート型SiC−GTOである。例えば、負荷の変動や短絡事故などにより有効電力の需要と供給が急激に不均衡になると、電力系統100の周波数が変動し不安定になる。系統母線102の周波数を検出器10Aで測定し、測定出力を検出回路8に入力する。検出回路8の検出出力は制御回路9に印加される。制御回路9は検出出力に基づいてコンバータ34を制御して、周波数が下がった時には2次電池32から系統母線102へ有効電力を追加供給し、逆に周波数が上がった時には系統母線102から2次電池32へ有効電力を吸収して周波数の変動を抑制する。本実施例の電力安定供給装置31の定格電力は例えば540kWであり、周波数の変動に応じてレドックスフロー電池の2次電池32から有効電力を最大出力約540kWまで供給できる。
【0043】
本実施例においても、2次電池32のレドックスフロー電池の経時劣化による電圧低下に対処するために、2次電池32から540kWの電力を供給する時は、チョッパー回路33で2次電池32の出力電圧800Vを1600Vに昇圧している。周波数が下がった場合はコンバータ34には2次電池32から電圧1600V・電流360Aの直流電力が供給される。コンバータ34はこの直流電力を約736V・425Aの交流電力に変換して変圧器35に印加する。変圧器35は電圧736Vを6.6kVに昇圧し、約6.6kV・47.4Aの交流電力を開閉器6を経て系統母線102に供給し周波数の低下を抑制する。
【0044】
本実施例の電力安定供給装置が周波数変動抑制の動作をして540kWの電力を系統母線102に供給している時、電力系統100に落雷事故が発生しその影響で系統母線102の電圧に瞬低が生じた場合、重要負荷104、105が稼働を停止するおそれがある。これを防ぐために、直ちに、2次電池32からその瞬時大電流供給能力に対応する3MWの直流電力を取り出し、チョッパ回路33で電圧を3.2kVに昇圧してコンバータ34に供給する。コンバータ34では制御回路9の制御によりスイッチング動作のPWMパルス幅が定格動作時よりも拡大され、コンバータ34から540kWの有効電力とともに、電圧が約1.47kVで3.72MVARの無効電力が出力される。コンバータ34の電圧は変圧器35で昇圧され開閉器6を経て系統母線102に供給され系統母線102の電圧低下を防ぐ。
【0045】
落雷の影響による系統母線102の電圧低下は通常0.5秒間以下でありそれ以上続くのは極めて稀である。本実施例の電力安定供給装置31は、540kWの有効電力とともに、最大3.46MVARの無効電力を3.5秒間は供給できる。従ってこの装置は通常の落雷による瞬低には十分対処できる。この場合、コンバータ34は3.5秒間、定格電力の約5.7倍の瞬時大電力で動作している。
【0046】
本実施例のコンバータ34に用いるSiC−GTO素子は、定格100AのSiC−GTOチップを図2に示すものと類似のパッケージ内に6個設けそれらを並列に接続してモジュール化している。コンバータ34の制御電流がSiC−GTO素子の定格電流を大幅に越えた場合でも、大電流が流れる時間が短時間であれば、SiC−GTOの素子電界緩和領域(図示省略)である低濃度ベース領域の抵抗が正の温度依存性をもつので、数百℃以上の温度範囲ではバイポーラ動作の負の温度依存性と相殺され電流集中による熱暴走を防止できる。
【0047】
本実施例ではSiC−GTOの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、定格電力700kWのコンバータ34を瞬低の影響を防止する短時間の間は約5.7倍の定格電力のコンバータとして動作させることができる。これにより周波数変動抑制用の電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化が実現できる。
【0048】
《第4実施例》
図6は、本発明の第4実施例であるピ−クカット用の他の例の電力安定供給装置41のブロック図である。本実施例では2次電池42として電圧が800Vで定格出力が500kWのナトリウム硫黄電池を用いている。コンバータ44のスイッチング素子は、定格電圧・電流が7kV・400Aのp型ゲート型SiC−IGBTである。それ以外の構成、動作、機能等は実質的に第1実施例と同様である。電力安定供給装置41が例えば450kWのピ−クカット電力を供給している時に電力系統100に落雷事故が発生し、その影響で系統母線102の電圧が低下したとき、重要負荷104、105の稼働停止を防ぐために、コンバータ44から460kWの有効電力とともに、約1.47kVの電圧で2.78MVARの無効電力が出力される。コンバータ44の出力は変圧器45で昇圧されて系統母線102に供給され、系統母線102の電圧低下を防ぐ。この場合、コンバータ44からは約3秒間定格電力の約6倍の瞬時大電力が供給される。
【0049】
本実施例のSiC−IGBT素子は定格電流50Aのチップを8個並列に接続してモジュール化している。本実施例のように、定格電流を大幅に超えた装置の稼働はSiC−IGBT特有の温度依存性によって可能になる。先に記したように、SiC−IGBTはSi−IGBTとは異なり、電界緩和領域である低濃度ドリフト領域の抵抗の正の温度依存性が大きな効果を及ぼす。数百℃以上ではSiC−IGBTは負の温度依存性を示す。
Si−IGBTにおいてもバイポーラ動作の負の温度依存性がユニポーラ動作の正の温度依存性を相殺し、大電流が流れても熱暴走を生じないようにできる。しかしこれはSiの温度が半導体の性質を維持できる限界温度より低い場合である。限界温度に近い200℃以上ではバイポーラ動作が急激に優位になり、低濃度ドリフト領域の正の温度依存性をもってしても負の温度依存性を相殺することができず熱暴走に至る。
SiC−IGBTの場合は数百℃以上では低濃度ドリフト領域の正の温度依存性がバイポーラ動作の負の温度依存性を相殺し、逆に低濃度ドリフト領域の正の温度依存性の方が優位になるためSiC−IGBTが正の温度依存性をもつようになる。これによりSiC−IGBTを複数個並列に接続すれば、Si−IGBTに比べて遙かに大きな電流を短時間流すことが出来る。このように、SiC−IGBTでは大きな電流定格容量を実現するために素子を複数個並列接続してモジュールにすることが容易にでき、且つそのモジュールの信頼性も高い。
【0050】
IGBTはGTOなどのサイリスタ素子と異なりゲートに制御電圧を印加することにより通電電流を制御する機能を有する。従って、SiC−IGBT素子の通電電流を高速で検出し、制御信号のPWMパルス幅を所定の電流以上に流れないように制限すれば熱暴走を防ぐことができ、この点からも多数のIGBTチップを並列に接続して使用しやすい。スイッチング速度が遅い素子を多数並列接続するとターンオフ時の遮断速度が遅い素子に電流が集中し破壊されやすい。しかし、SiC−IGBTのスイッチング速度はSiC−GTOに比べて1桁以上速いのでこの電流の集中が避けられ、この点からも並列接続が可能になる。
本実施例の電力安定供給装置を瞬低のみに対応させる場合には、図9に示すように、電圧を検出する電圧検出器10のみを設ければよく、図6に示す電流検出器11は設けなくても、変電所の電圧データを用いることにより対応できる。
【0051】
本実施例ではSiC−IGBTの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、定格電力が500kWのコンバータ44を瞬低の影響を防止するための短時間の間は約6倍の定格電力のコンバータとして動作させることができる。従って、ピークカット用の電力安定供給装置41の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化が実現できる。
【0052】
《第5実施例》
図7は本発明の第5実施例である、ピークカット用の電力安定供給装置61のブロック図である。本実施例のピークカット用電力安定供給装置は特に重要性の高い重要負荷104のみに対してピークカットを行う装置である。本ピークカット装置61は、350kW定格のレドックスフロー電池62、双方向チョッパー回路63、350kW定格のコンバータ64、連系リアクトルも兼ねた変圧器65、電圧検出器66、電流検出器69、検出回路67及び制御回路68を備えている。本装置は開閉器6を介して重要負荷104と開閉器114接続点に接続されており、この開閉器114を介して6.6kVの系統母線102に連系されている。レドックスフロー電池62はほぼ800Vの直流電圧で約1.5時間電力を供給できる。チョッパー回路63およびコンバータ64は各々8kV・1000Aおよび8kV・300A定格のアノードゲード型SiC−GTOで構成されている。本装置の電力容量はチョッパー回路63やコンバータ64や変圧器65で電力損失が発生するので約317kWとなるが、重要負荷104に変動が生じ一時的に変電所の所定の電力容量を超過する場合、レドックスフロー電池62から有効電力を負荷に追従して最大約317kWまで供給できるものである。レドックスフロー電池62はピークカット時以外は系統母線102により充電されている。
【0053】
317kWのピークカット電力の供給時に上位系統に落雷事故が発生しその影響で系統母線の電圧が低下した場合は、重要負荷104が稼働停止してしまうのを防ぐために、瞬時に開閉器114をオフにする。重要負荷104には、コンバータ64から変圧器6を介して3MWの有効電力を供給し、瞬低の影響を防ぐことができる。この場合、2秒以下であれば、コンバータ64を定格の約9.5倍の瞬時大電力で動作させることができる。この間に系統母線102の電圧が瞬低前の状態に復帰すれば、開閉器114をオンし系統母線から重要負荷に所定の電力が供給される。この瞬時大電力は動作時間によって変わり定格電力の2から12倍の有効電力で動作させることができる。実用設計上は3から10倍にするのが望ましい。上記の定格を大幅に超えたコンバータ64の稼働は実施例1や2と同様にSiC−GTOの使用によって可能になされている。本実施例のSiC−GTO素子は定格50Aのチップを例えば6個並列に接続してモジュール化している。
本実施例の電力安定供給装置を瞬低のみに対応させる場合には、図10に示すように、電圧を検出する電圧検出器66のみを設ければよく、図7に示す電流検出器69は設けなくても、変電所の電圧データを用いることにより対応できる。
本実施例ではSiC−GTOの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、350kW定格のコンバータを瞬低の影響を阻止する2秒以下の短時間の間は9.5倍の定格のコンバータとして稼働できるので、ピークカット電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量・低損失・低コスト化を実現できる。
【0054】
《第6実施例》
本発明の第6実施例は、負荷平準化用の電力安定供給装置であり、図4に示す前記第2実施例のものと同様の構成を有している。よって図4を参照して説明する。前記第2実施例の電力安定供給装置21は定格値の有効電力を供給していたが、本実施例の電力安定供給装置21は定格値の2から12倍の有効電力を供給するように、制御回路9でコンバータ24を制御する。このために、制御回路9は、系統母線102の電圧の位相に対して、コンバータ24の出力電圧の位相を進めるように制御する。本実施例の電力安定供給装置21は、定格1.0MWのナトリウム硫黄電池の2次電池22、チョッパー回路23、定格1.0MWの双方向のコンバータ24、及び変圧器25を有し、開閉器6を介して6.6kVの系統母線102に連系されている。チョッパー回路23およびコンバータ24のスイッチング素子は8kV・800Aのアノードゲート型SiC−GTOで構成されている。本実施例の電力安定供給装置21は電力需要の少ない夜間の8時間に定電力で2次電池22を充電し、電力需要の多い昼間に例えば0.9MWの電力を8時間の間2次電池22から供給する。本実施例のコンバータ24に用いるSiC−GTO素子は定格100Aのチップを8個並列に接続してモジュール化している。
【0055】
前記第1実施例と同様に本実施例においても、SiC−GTOの比較的小さい電流定格に対応するために、昼間に0.9MWの電力を供給する時は、2次電池22の出力直流電圧をチョッパー回路23で3kVに昇圧している。その結果、コンバータ4には約320Aの直流電流が流れる。コンバータ24は、3kVの直流電圧を約1.2kVの交流電圧に変換し変圧器25に印加する。交流電圧は、変圧器25により6.6kVに昇圧され、開閉器60を介して系統母線102に出力され各負荷に供給される。
0.9MWの電力を供給している時に落雷事故が発生し、その影響で系統母線102の電圧が低下した場合、電圧の低下により重要負荷104、105の稼働停止が発生するのを防ぐために、4.8MWの直流電力が2次電池22からチョッパー回路23を経てコンバータ24に供給される。コンバータ24からは約4.5MWの有効電力と、出力電圧が約1.38kVで約3.38MVARの無効電力が出力される。有効電力は極く短時間であれば、最大で定格の12倍の12MW程度まで出力できる。出力電圧は変圧器25で6.6kVに昇圧されて系統母線102に供給される。これにより系統母線102の電圧低下を防ぐとともに、重要負荷104、105に有効電力の一部を供給して瞬低による稼働停止を防止する。
【0056】
以上のように、本実施例ではSiC−GTOの瞬時大電力稼働能力を活用することにより、瞬低の影響を防止する短時間の間、定格1MWの2次電池22から定格の約5倍の約5MWの直流電力を出力させ、定格1MWのコンバータ24を定格の約6倍の約6MWの電力で稼働させる。すなわち、瞬低時に定格の2倍から数倍の電力を放電できる2次電池22と、定格の2倍から数倍の電力で稼働できるコンバータ24を用いることで、負荷平準化用の電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化を実現できる。
【0057】
以上、第1から第6実施例により本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、各種の変形応用ができるものである。
例えば、コンバータ4、24、34、44のスイッチング素子はGTOやIGBTに限定されるものではなく、静電誘導サイリスタ、バイポーラトランジスタ、エミッタスイッチドサイリスイタ(EST)、IEGT、SIAFET、SIJFET等の各種のワイドギャップバイポーラ半導体素子をスイッチング素子として使用できる。またSiC以外の他のワイドギャップ半導体材料すなわち窒化ガリウムやダイヤモンドなどを用いた上記の各半導体素子も同様に前記各コンバータに使用可能である。
【0058】
2次電池2、22、32、42はレドックスフロー電池やナトリウム硫黄電池の他に、鉛電池、亜鉛塩素電池や亜鉛臭素電池、リチウムイオン電池などでもよい。
電力容量が200kW以下の小容量電力安定供給装置の場合は、電流容量も小さいのでチップ面積の小さいワイドギャップバイポーラ半導体素子で十分対応可能である。この場合には、所定の電力を小さい電流で得るために電圧を昇圧する目的のチョッパー回路は必ずしも必要がない。この場合は電池の電圧を直接コンバータに印加すればよい。
【0059】
ワイドギャップバイポーラ半導体素子は高耐圧の実現が容易である。例えば20kV以上の耐圧にすることにより、直接6.6kVの系統母線102に連系できるのでトランス5、25、35、45を用いずに連系用リアクトルのみを用いることもできる。
前記各実施例では、6.6kVの配電系統母線の例で説明したが、電力安定供給装置を構成する各要素を高耐圧大電流にすることにより、更に上流の電力系統に連結する電力安定供給装置にも適用できる。また送電線にへびや鳥などの小動物がひっかかったり、樹木が接したりして短絡や地絡が発生した場合の数分を超える比較的長時間の「瞬時停電」にも本発明の電力安定供給装置を適用できる。さらに電力送電電源の複数の発電機の内1つが故障したり、電力の大口需要家の負荷(工場など)が突然稼働を停止したりした場合、急激な電力変動が生じ、電力需給の不均衡が5分以上継続する場合がある。雷による瞬低の継続時間(数秒)よりはるかに長い5分から1時間の電力需給の不均衡による系統周波数の変動等に対しても、2次電池の容量を増やし、かつスイッチング素子を冷却するなど、その温度を所定値以下に保つ手段を講じることにより、本発明の電力安定供給装置を適用することができる。このような長時間の場合、本発明の電力安定供給装置は、定格出力の1.5から3倍程度の電力を調整することができ、非常用電線としても利用できる。
【0060】
【発明の効果】
以上の各実施例で詳細に説明したように、本発明によれば、ワイドギャップバイポーラ半導体素子の瞬時大電力駆動能力を活用することにより、瞬低の影響を阻止する短時間の間は、このワイドギャップバイポーラ半導体素子を有するコンバータを、2次電池の瞬時大電力供給能力を上回る、コンバータの定格電力の数倍以上の電力で動作させる。これにより、電力安定供給装置の大幅な小型化・軽量化・低損失化・低コスト化できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるピ−クカット用の電力安定供給装置のブロック図
【図2】(a)は第1実施例のコンバータに用いるSiC−GTO素子のモジュール構成の平面図
(b)は(a)のb−b断面図
【図3】SiC−GTOチップの断面図
【図4】本発明の第2実施例及び第6実施例の負荷平準化用の電力安定供給装置のブロック図
【図5】本発明の第3実施例である周波数変動抑制用の電力安定供給装置のブロック図
【図6】本発明の第4実施例であるピ−クカット用の電力安定供給装置のブロック図
【図7】本発明の第5実施例である電力安定供給装置のブロック図
【図8】本発明の第1実施例の瞬低対応の場合の電力安定供給装置のブロック図
【図9】本発明の第4実施例の瞬低対応の場合の電力安定供給装置のブロック図
【図10】本発明の第5実施例の瞬低対応の場合の電力安定供給装置のブロック図
【図11】従来のピ−クカット用の電力安定供給装置のブロック図。
【符号の説明】
1、21、31、41、101 電力安定供給装置
100 電力系統
5、120 変圧器
6、109、111、114、115 開閉器

Claims (17)

  1. 直流電力を充放電する2次電池、及び
    前記2次電池と、電力送電電源の系統母線との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記系統母線に出力し、かつ、それ自体の定格電力の3から30倍の電力を数秒間制御可能なコンバータ
    備える電力安定供給装置。
  2. 直流電力を充放電する2次電池、及び
    前記2次電池と、電力送電電源の系統母線との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記系統母線に出力し、かつ、それ自体の定格電力の1.4から5倍の電力を数分間制御可能なコンバータ
    備える電力安定供給装置。
  3. 直流電力を充放電する2次電池、及び
    前記2次電池と、電力送電電源の系統母線に接続された負荷との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記負荷に出力し、かつ、それ自体の定格電力の3から30倍の電力を数秒間制御可能なコンバータ
    備える電力安定供給装置。
  4. 直流電力を充放電する2次電池、及び
    前記2次電池と、電力送電電源の系統母線に接続された負荷との間に接続され、スイッチング素子としてワイドギャップバイポーラ半導体素子を備え、前記系統母線から入力される交流を直流に変換して前記2次電池に出力し、前記2次電池から出力される直流を交流に変換して前記負荷に出力し、かつ、それ自体の定格電力の1.4から5倍の電力を数分間制御可能なコンバータ
    備える電力安定供給装置。
  5. 前記2次電池と前記コンバータに接続され、前記2次電池への充電電圧を降圧し、前記2次電池の放電電圧を昇圧する双方向のチョッパー回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電力供給安定装置。
  6. 前記系統母線の電圧を検出し、検出した電圧に基づいて、電力の需給状態を検出する検出装置、及び
    前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力安定供給装置。
  7. 前記系統母線の電圧及び電流を検出し、検出した電圧及び電流に基づいて、電力の需給状態を検出する検出装置、及び
    前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき 、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力安定供給装置。
  8. 前記系統母線の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて電力の需給状態を検出する検出装置、及び
    前記検出装置の検出出力に基づいて、前記系統母線に接続された負荷と、電力送電電源との電力の需給が均衡しているとき、前記2次電池を充電し、需要が供給を上回ったとき、前記2次電池を放電して電力を系統母線へ供給するよう前記コンバータを制御する制御回路
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力安定供給装置。
  9. 前記2次電池が、レドックスフロー電池ナトリウム硫黄電池、リチウムイオン電池、および鉛電池のいずれかであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  10. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、シリコンカーバイド(SiC)を母材とする半導体素子であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  11. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、窒化ガリウムを母材とする半導体素子であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  12. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのGTOの少なくとも1つのチップで形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  13. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのIGBTの少なくとも1つのチップで形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  14. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのGTOの複数のチップを並列に接続して形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  15. 前記ワイドギャップバイポーラ半導体素子が、SiCのIGBTの複数のチップを並列に接続して形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  16. 前記系統母線とコンバータとの間に連系リアクトルの機能を含むトランスを設けたことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の電力安定供給装置。
  17. 前記系統母線とコンバータとの間に連系リアクトルを設けたことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の電力安定供給装置。
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