JP3749229B2 - 車両用床下収納庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用床下収納庫に関し、特に、使い勝手が良く、荷物を分類分けして収納できる車両用床下収納庫に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用床下収納庫としては、例えば、前後の座席間のフロアパネルにスペアタイヤのトランクルームを形成し、このトランクルームの開口部をフロアパネルに設けたフロアリッドにより開閉するものがある。このような車両用床下収納庫によれば、トランクルームの開口部を開閉するフロアリッドが前席及び後席間に配置されているので、座席を倒すことなくスペアタイヤの出し入れを行うことができ、スペアタイヤの出し入れ作業が行い易いメリットがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−105746号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、車両が多目的で使用される中で、利用者のニーズに合わせて車両用床下収納庫においても使い勝手の良さが要求される傾向にある。つまり、前述したような特定の荷物を対象とした固定的な利用の仕方ではなく、いろいろなものを収納でき、また、いろいろな収納態様が利用者のニーズに合わせて選択できるようなものが要望されるようになってきている。
そこで、この発明は、使い勝手がよく、荷物を分類分けして収納できる車両用床下収納庫を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、フロア(例えば、実施形態におけるフロアF)に凹部(例えば、実施形態における凹部11)を形成し、この凹部を開閉可能に閉塞するフロアリッド(例えば、実施形態におけるフロアリッド28)を設け、前記凹部内にフロアバケット(例えば、実施形態におけるフロアバケット14)を設け、フロアバケット内にフロア面に沿う方向に回転可能なボックス(例えば、実施形態におけるボックス15)を設け、ボックスの中央部にマウント部(例えば、実施形態におけるマウント部93)を設け、このボックスのマウント部と底壁(例えば、実施形態における底壁90)と周壁(例えば、実施形態における周壁91)とに亘ってマウント部から放射状に溝(例えば、実施形態における溝103)を設け、この溝に仕切壁(例えば、実施形態における仕切壁100)を着脱可能に設け、前記溝に装着される仕切壁の差し込み部(例えば、実施形態における差し込み部104)にはリブ(例えば、実施形態におけるリブ107)により間隔を置いて連結された空隙部(例えば、実施形態における空隙部106)を形成して、前記仕切壁の差し込み部を前記溝に対して弾性をもって挿入することを特徴とする。
このように構成することで、利用者はフロアリッドを開いた状態で、ボックスを好きな位置まで回転させて、仕切壁により区画された部位から、あるいは仕切壁により区画された部位へ荷物を出し入れでき、また、荷物の種類に応じて仕切壁で区画された部位毎に分類分けして荷物を収納することが可能となる。
【0006】
また、前記仕切壁がボックスの溝に対して着脱可能に取り付けられ、前記溝に装着される仕切壁の差し込み部にはリブにより間隔を置いて連結された空隙部が形成されているため、仕切壁を軽量化できると共に、差し込み部を溝に対して弾性をもって挿入できる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記差し込み部を挟む位置にボックスに当接する設置部(例えば、実施形態における設置部105)が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、設置部を補強材としても機能させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの発明の実施形態の車両用床下収納庫を適用した一例であって、前後3列シートを備えた2ボックスタイプの車両1を示している。
この車両1はフロアF上に前方から後方に向けて1列目シート2,2、2列目シート3,3が左右に離間して配置されたもので、更に後方に設けた3列目シート4はいわゆるベンチシートで構成されている。尚、3列目シート4も2列目シート3と同様の構成のシートに替えもよく、3列目シートが配置されていない前後2列シートの車両に適用してもよい。
【0009】
2列目シート3,3間には図2に示すように2列目シート3よりも幅の狭い中央シート5がフロアFに対して取り付けられている。中央シート5は一対の脚部6,6を備えたシートフレーム7上にシートクッション8が着脱可能に取り付けられ、シートフレーム7の後側部にシートバック9がシートフレーム7に対して折り畳み可能に取り付けられている。前記脚部6,6はシートフレーム7の両側部下面に車体前後方向に沿って設けられ、ヒンジ部10を介して互いに車幅方向に向かって折り畳み可能に取り付けられている。また、この脚部6,6の下端が図示しないブラケットによりフロアFに対して着脱可能に取り付けられている。
【0010】
そして、取り外された中央シート5は、図3に示すように2つの脚部6,6を上側にして一方向側に折り畳み、シートクッション8を取り外した状態でシートバック9を重ね合わせるように折り畳んだシートフレーム7と、予めシートフレーム7から取り外されたシートクッション8とを前後に並べるようにして、後述する凹部11内に収納できるようになっている。
尚、12はヘッドレストを示す。
【0011】
図4、図5に示すように左右シートが離間した1列目シート2,2と中央シート5を外した2列目シート3,3の間は乗員が前後に移動できる通路13となっている。
左右の1列目シート2,2の間に位置するフロアFには、前述したように折り畳まれシートクッション8が取り外された中央シート5が収納可能な四角形状の凹部11が形成されている。凹部11には後述するフロアバケットアッセンブリFBが着脱可能に収納されている。フロアバケットアッセンブリFBは凹部11に着脱可能に取り付けられるフロアバケット14とボックス15とで構成されている。
【0012】
前記凹部11の上部開口部16には前後方向の中央部付近に1列目シート2,2の後部脚部17を支持する閉断面構造のクロスメンバ18が横断するように配置されている。クロスメンバ18には前記凹部11の前縁に接合され後方に延出する遮蔽プレート19の後縁が接合され、この部分におけるフロア剛性を確保している。遮蔽プレート19はフロアFの一部を構成している。
【0013】
具体的には、前記クロスメンバ18はクロスメンバアッパー20とクロスメンバロア21とが前縁フランジ22と後縁フランジ23とで接合されたもので、前縁フランジ22下面と後縁フランジ23上面に遮蔽プレート19が接続されている。したがって、上部開口部16は後半部を開放した状態となっている。尚、1列目シート2,2の前部脚部24は、フロアパネルP下面に接合されフロアパネルPとで閉断面構造を形成するクロスメンバ25の配置部位に取り付けられている。
【0014】
また、前記遮蔽プレート19の後縁と凹部11の後縁とで形成された開口部分27を残してフロアカーペット26が敷設されている。尚、フロアパネルPとフロアカーペット26とでフロアFが構成されている。
そして、この上部開口部16の後半部、つまり凹部11の開口部分27を覆うようにしてフロアリッド28が遮蔽プレート19に開閉可能に取り付けられている。
【0015】
フロアリッド28は左右の1列目シート2,2の間に配置され、その前縁に設けた一対のヒンジブラケット29により遮蔽プレート19に回動可能に支持されている。
また、フロアリッド28の裏側に取り付けられたストラップ30端部のフック31がフロアリッド28の裏側にセット可能に構成され、フロアリッド28を開いた状態でフロアリッド28を1列目シート2のシートバックに係止し、フロアリッド28を開状態で保持できるようになっている(図1、図5参照)。
【0016】
図6〜図9に示すように、フロアリッド28は前縁が車幅方向に沿って直線状に形成された部材で、ここに前記一対のヒンジブラケット29が取り付けられ、後縁は3列目シート4のシートクッション前端よりもやや前側に位置しており、後縁の両側部はアール形状に形成されて開閉時における3列目シート4に着座する乗員の脚部にできるだけ干渉しないようになっている。
【0017】
フロアリッド28は樹脂製の基材32の上面側に樹脂製のマット材33が配置された多重樹脂プレート構造となっており、基材32に車幅方向に沿って形成された樹脂製の閉断面構造部(図6、図8、図9に示す)34内に中空角断面形状の金属フレーム35が前後2本内装されている。金属フレーム35は一端がボス部材36に挿入され、他端が基材32に支持されて取り付けられ、前記凹部11を横断する長さを有している。
このように基材32の閉断面構造部34と金属フレーム35,35により補強されたフロアリッド28により前記開口部分27が閉塞されているため、通路13を移動する乗員の体重を支えるのに十分な強度剛性を確保してある。
【0018】
フロアリッド28の後部の車幅方向中央部付近には基材32の落とし込み部32a内に把持部37が回動可能に設けられている。ここで、把持部37はフロアF面下に位置してフロアF面の平坦性を損なうことのないように基材32を凹設した前記落とし込み部32a内に配置され、引き上げられた把持部37はスプリング38により水平状態に復帰できるようになっている。把持部37にはフロアF側に設けられたストライカ39に係止するロック部材40が連係し、ロック部材40はスプリング41によりロック方向に付勢されている。したがって、把持部37をスプリング38に抗して引き上げると、ロック部材40がスプリング41に抗して後退しストライカ39との係合が解除されるため、把持部37をそのまま引き上げればフロアリッド28を開くことができる。
【0019】
このように配置されたフロアリッド28の下方の凹部11内に図10、図11に示すフロアバケットアッセンブリFBが着脱可能に取り付けられている。
フロアバケットアッセンブリFBは、フロアパネルPの凹部11に沿う形状に形成され該凹部11内に着脱可能に取り付けられる主として樹脂製のフロアバケット14と、このフロアバケット14内でフロアF面に沿う方向、つまり略水平方向に回転可能な主として樹脂製のボックス15とで構成されている。
【0020】
フロアバケット14は平坦で略円形状の底壁42の周囲から周壁43が斜めに立ち上がるように形成されている。フロアバケット14の前半部の周壁43上縁には、略半円形状のバケットリッド46が複数のビス47(図10にのみ示す)によって取り付けられている。バケットリッド46は上面に格子状の補強リブ45を備え、下面は平坦が形状に形成され荷物が引っ掛からないようになっている。このバケットリッド46によって、1列目シート2下のフロアパネルPとボックス15との間を隔てて、荷物がフロアパネルPに噛み込みボックス15の回転の妨げとなるのを防止し、荷物の出し入れをスムーズに行えるようになっている。
【0021】
前記フロアバケット14の後半部の周壁43上縁には、前記凹部11の後縁に沿って凹部11を閉塞するフランジ部48が形成されている。よって、このフランジ部48は平面から視るとフロアバケット14の底壁42が円形状であるため、後部の両側で凹部11を覆うべく2つの幅広部分49によって構成されることとなる。そして、この幅広部分49の後縁にフロアパネルPに着脱可能に取り付けるための取付片50が形成されている。また、フランジ部48は2つの幅広部分49の間に前記フロアリッド28の把持部37周囲の落とし込み部32aに対応する凹状部80を有している。ここで、フランジ部48は前記バケットリッド46よりも高い位置に設定され、フロアリッド28を閉じた状態でボックス15上方に、ノートパソコンNの収納スペースである空間部75が確保されている。
【0022】
また、フロアバケット14の底壁42裏面には図12に示すように前方斜め下に延び上側に湾曲した弧状の係止部51を備えたフック52が左右に2つ形成されている。フック52の先端には、フロアパネルPの凹部11の底壁に設けたストライカ53の受け入れをスムーズに行うための案内部54が前方斜め下に向かって形成されている。したがって、フロアリッド28を開きフロアバケット14を凹部11内に挿入すると、ストライカ53にフック52が係止してフロアバケット14の前方向の移動は規制される。
【0023】
図13に示すように、取付片50にはロックピン57を押し込んだ状態で保持するロックピン孔55が形成されると共に裏面には段付部56が形成されている。この取付片50を介してフロアバケット14、つまりフロアバケットアッセンブリFBがロックピン57とクリップ本体58とからなるクリップ65を介してフロアパネルPに着脱可能に取り付けられている。
【0024】
具体的には、ロックピン57は平坦な頭部59に可倒可能な引き抜き用の取っ手60を備え、ピン頭部59から下側に延びるピン部61が設けられたものである。一方、クリップ本体58はクリップ頭部62の下側にフロアパネルPの挿通孔63に挿入可能で、前記ロックピン57のピン部61が挿入されると拡径してフロアパネルPの挿通孔63からの抜けが防止される弾性部64を有している。
【0025】
したがって、クリップ本体58の弾性部64をフロアパネルPの挿通孔63に挿通し、クリップ本体58のクリップ頭部62を取付片50の段付部56にセットしてフロアパネルPとの間に挟み込んだ状態で、ロックピン57を取付片50のロックピン孔55に差し込むと、クリップ本体58の弾性部64がロックピン57のピン部61により拡径するため、ロックピン57を抜かない限り取付片50、つまりフロアバケット14はフロアパネルPから外れず固定される。尚、フロアバケット14の底壁42は、裏面の補強リブ123により強度剛性を確保してある。
【0026】
フロアリッド28の下方であって後述するボックス15の上方には、図14〜図16に示すように、フロアバケット14の周壁43の側壁部43aに車幅方向に跨るようにしてP/Cブラケット67がセットされている。P/Cブラケット67は、フロアバケット14のフランジ部48の幅広部分49に凹設されたセットベース66に係止し、ノートパソコンN(図10、図11に示す)の前端部が支持される金属製の部材でこのノートパソコンNを支持する一方の係止部として架設されている。
【0027】
また、図11に示すようにP/Cブラケット67に対応してフロアバケット14の後部のフランジ部48にはノートパソコンNの後部コーナー部分が支持される2つの載置部68が落とし込み形成されている。前記載置部68は略三角形状に形成され前記取付片50の近傍に設けられている。つまり、P/Cブラケット67と載置部68とに渡ってフロアリッド28の下側にノートパソコンNが載置できるようになっている。
【0028】
図16に示すように、P/Cブラケット67は幅の狭い板状の部材であって長手方向に沿い補強ビード69が形成された部材である。P/Cブラケット67の長手方位中央部が凹字状に折り曲げられ、この折り曲げ部70の底部の長さ寸法はノートパソコンNの幅寸法に設定されノートパソコンNの前端部が収まるようになっている。また、折り曲げ部70の底部の前縁には縦壁71が形成され、この縦壁71によりノートパソコンNの前端が前側に移動するのを阻止できるようになっている。
【0029】
したがって、ブレーキ操作などによりノートパソコンNに前側に向かう力が作用した場合でもノートパソコンNがP/Cブラケット67から脱落するのを防止できる。また、折り曲げ部70の両側壁72,72によりノートパソコンNの左右方向の移動も阻止され、車両が発進する際に後ろ側に移動しようとするノートパソコンNは、後部のコーナー部分が支持される2つの載置部68が落とし込み形成されているため後側に移動することもない。
【0030】
ここで、P/Cブラケット67の両端部裏面には図14に示すようにフランジ部48のセットベース66に形成された位置決め孔73に選択的に係止するピン74が設けられている。セットベース66には位置決め孔73が3箇所(複数箇所ならばよい)前後方向に渡って形成され、ノートパソコンNの前後方向長さに合わせてP/Cブラケット67の位置、厳密には縦壁71の位置を調整できるようになっている。
【0031】
したがって、ノートパソコンNを載置する場合に、前記載置部68にノートパソコンNの後部コーナー部をセットして、次にP/Cブラケット67を前後方向に移動してその縦壁71の位置がノートパソコンNの前端に整合するような位置決め孔73を選択してここにピン74を係止してP/Cブラケット67をセットすればよい。
このようにすることで、フロアリッド28の下方でボックス15の上方にある空間部75(図10に示す)を有効利用して、広く普及しているものの車載のためには載置場所が確保し難いノートパソコンNの車載を可能としている。
【0032】
図11、図16、図17に示すように前記フランジ部48の上面にはフロアバケット14の後半部を取り囲むようにシールラバー76が取り付けられている。
シールラバー76は下部に形成された中空状の基部77と、上部に形成された中空状のリップ本体78から構成され、基部77底壁に所定間隔をもって設けた取付部79を介して前記フランジ部48に取り付けられ、具体的にはフランジ部48の2つの幅広部分49及び前記フロアリッド28の把持部37の落とし込み部32aを受容する凹状部80に渡って連続して取り付けられている。尚、取付部79に替えてクリップを用いることもできる。
【0033】
したがって、前記フロアリッド28を閉じると前記フロアリッド28の落とし込み部32aを含めたフロアリッド28の裏面にシールラバー76のリップ本体78が密接し、フロアバケット14の後半部にフロアFのフロアカーペット26上から水などが流れ込まないようになっている。よって、ジュース等や、傘に付着した雨水が2列目シート3下のフロアカーペット26から前側に移動してもフロアバケット14内に浸入することはない。
【0034】
図21に示すようにフロアバケット14の底壁42の中央部にはボックス15をベアリング89を介して回転可能に支持する軸部81が設けられている。軸部81は金属製の支持部82と金属製の裏当て板83とこれらに挟持されビス84止めされる前記樹脂製のフロアバケット14(厳密には底壁42)で構成されている。
【0035】
支持部82は金属板をプレス成形したカップ状の部材で開口部を下側に向けた状態でフロアバケット14の底壁42に取り付けられている。この支持部82の開口部周縁にはフランジ部85が形成され、このフランジ部85の位置に対応してフロアバケット14の底壁42の裏面に金属製の裏当て板83が設けられ、この裏当て板83がビス84によりフランジ部85に取り付けられて補強されている。つまり、支持部82のフランジ部85と裏当て板83との間に介在されるようにして、フロアバケット14の底壁42が挟持されて支持剛性を高めている。
【0036】
支持部82の上壁86には軸部81を構成する金属パイプ製の軸87が溶接固定され、この軸87の外周には樹脂製のカラー88が取り付けられている。そして、軸87の周囲にカラー88上端に当接して前記ベアリング89が設けられ、このベアリング89を介してボックス15が回転可能に支持されている。
【0037】
図18に示すように、ボックス15はフロアバケット14に対応して円形状の底壁90と周壁91を備えた樹脂製の部材で、中央部には前記軸部81を逃げるように立ち上がる肩部92を備えたマウント部93が設けられている。図21に示すようにこのマウント部93の肩部92の裏側には金属製のプレート94を挟んで金属製のレインフォース95がボックス15の底壁90の裏側に延びるようにして取り付けられている。
【0038】
ここで、プレート94とレインフォース95はロアーギヤ(後述する)97によりベアリング89を挟み込んだ状態で共締めされている。具体的には、図18に示すようにボックス15の肩部92から立ち上がるピン96を挿入してロアーギヤ97を位置決めした状態で、図21に示すようにロアーギヤ97の底壁97aから挿入されたビス98によりプレート94とレインフォース95が共締めされている。尚、ボックス15の肩部92には3つのピン96とビス98の6つの挿通孔98aが設けられている。
【0039】
ボックス15にはマウント部93の周壁99からボックス15の底壁90上面を経て周壁91内面に渡る部位にボックス15の底壁90面から盛り上がるリブ部102が放射状に6箇所(60度毎に)設けられている。そして、このリブ部102に沿って溝103が形成され、この溝103に仕切壁100が着脱可能に装着されるようになっている。
したがって、仕切壁100を溝103に装着することでボックス15の内部に最も多い場合で6つの収納部101が形成されるようになっている。これにより各収納部101に荷物を種類に応じて分類分けして収納することができる。
【0040】
図19に示すように、仕切壁100は、溝103に差し込まれる差し込み部104と、この差し込み部104を挟む位置に、前記ボックス15のリブ部102上面に当接する設置部105を有している。
図20に示すように設置部105は仕切壁100の各面の底辺側、側辺側に沿うようにして配設されたリブ形状の部位であるため、仕切壁100自体の強度剛性を高めることができる補強材としても機能している。
また、仕切壁100の差し込み部104は中実構造ではなく、仕切壁100の差し込み部104の長手方向に空隙部106が形成され、この空隙部106が厚さ方向に設けたリブ107により間隔を置いて連結されているため、仕切壁100を軽量化できると共に、差し込み部104を溝103に対して弾性をもって挿入でき脱落し難い構造となっている。
【0041】
図10に示すように、ボックス15の底壁90の裏面にはフロアバケット14の軸部81を中心にしてベアリング89を介して回転するボックス15の回転抵抗を低減するため、ローラ108が複数取り付けられている。
ローラ108はフロアバケット14の底壁42に形成された環状の凹部109内に接地して転動するものであり回転するボックス15をフロアバケット14に対して滑らかに支持できるようになっている。
尚、ボックス15の底壁90の裏面には、複数の補強リブ110が形成されボックス15の強度剛性を高めている。
【0042】
図21に示すように、前記軸部81、具体的には軸87内部には金属製のシャフト111がスプリング112により上方向に付勢された状態で上下動可能に装着されている。前記軸87の下部にはシャフト111に形成された長孔113を貫く位置にロックピン114が挿通固定され、前記スプリング112により付勢されたシャフト111の飛び出し及び回転を阻止している。
シャフト111の軸87に対する挿入部分の外周にはシャフト111の上下方向の移動の際に軸87内壁に対する摺動を滑らかにするスペーサ115が装着されこのスペーサ115とロックピン114との間に前記スプリング112が装着されている。ここで、前記カラー88の下部はロックピン114の頭部114aを覆うように拡径部88aが設けられ、ロックピン114の抜け止め部材として機能している。したがって、例えば、Eリングなどのロックピン114の抜け止め部材が不要となり部品点数を削減できる。
【0043】
前記ロアーギヤ97は、図22、図25に示すように、上側に開口したカップ状の部材であり、底壁97aにはビス孔97bとボックス15の肩部92のピン孔97cが形成され、外周壁97dの内周面には上下方向に長い(長さL)ロアーロック歯LLGが周方向に部分的に形成されている。
前記シャフト111の上部には段付部111aが形成されこの段付部111aにワッシャ116を介して円環状のクラッチギヤ117がシャフト111の上端の小径部111bに貫通された状態で固定されている。
【0044】
クラッチギヤ117の上部周縁には、図23、図25に示すように、係合歯CGが形成されている。尚、クラッチギヤ117の係合歯CGは内側に向かってやや傾斜して形成されている。そして、クラッチギヤ117の係合歯CGにはアッパーギヤ118の係止歯UGが噛合した状態で、アッパーギヤ118がクラッチギヤ117の上部に配置されている。尚、クラッチギヤ117の係合歯CGはアッパーギヤ118の係止歯UGに対して1山単位で回転方向位置にロックできるようになっている。
【0045】
アッパーギヤ118は、図24、図25に示すように、中央部にシャフト111の小径部111bを受け入れる孔118aを備えた円盤状部118bと、この円盤状部118bの外縁に形成され、ロアーギヤ97の外周壁97dを内側下部から上部を経て外側下部に至る部位で受け入れる受容部118cとを有している。アッパーギヤ118の円盤状部118bの下面には前記クラッチギヤ117の係合歯CGに噛合する係止歯UGが形成されている。また、アッパーギヤ118の受容部118cの内側壁部118dの外面には前記ロアーギヤ97のロアーロック歯LLGに噛み合う上下方向に長い(長さL)アッパーロック歯ULGが形成されている。
【0046】
そして、シャフト111の小径部111bにはキャップ119がスライド可能に貫通して設けられ、このキャップ119はシャフト111の小径部111bの先端にネジ120により固定されたブッシュ121により抜け止めされ、且つ、前記アッパーギヤ118の円盤状部118bとの間に介装されたスプリング122を保持する保持部119aを有している。よって、このスプリング122により前記アッパーギヤ118が下方に押し付けられて、アッパーギヤ118の係止歯UGがクラッチギヤ117の係合歯CGに噛合可能(図27参照)及び噛合解除可能(図26参照)に構成されている。尚、図21は噛合した状態を示す。
【0047】
つまり、図28に示すように前記フロアリッド28を閉じキャップ119の上部が押圧されて下側のスプリング112が圧縮変形すると、アッパーギヤ118とキャップ119は、両者の位置関係を保ったまま、つまりアッパーギヤ118の係止歯UGがクラッチギヤ117の係合歯CGに噛み合った状態のままでシャフト111と共に下方に変位して、アッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGがロアーギヤ97のロアーロック歯LLGに噛合した状態となる。
【0048】
このとき、スプリング112はフロアリッド28を閉じた際に、無理なくシャフト111を下方に押し込めてフロアリッド28の閉作動をさせることができる弾性係数に設定してある。一方、スプリング122はスプリング112に比較して弾性係数が大きく設定してあり、フロアリッド28を閉じた状態でアッパーギヤ118がスプリング112を上方向に押し縮め上方に変位できるリフト量CLが確保されるようになっている。
【0049】
つまり、スプリング122はフロアリッド28が閉じられた状態で、ボックス15に所定以上の回転力が作用し、ロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGを介してアッパーギヤ118が回動力を受けると、クラッチギヤ117の係合歯CGに噛み合っている状態(図27参照)のアッパーギヤ118の係止歯UGが、クラッチギヤ117の係合歯CGにより乗り上がって歯飛びして噛合が解除され(図21の鎖線位置、及び図26参照)、回転力を逃がすことができるようになっている。
【0050】
また、スプリング112は、図29に示すように閉じられたフロアリッド28を開いてキャップ119への押圧が解除されるとシャフト111を押し上げてアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGとロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとの噛合を解除できる弾性係数に設定されている。
【0051】
ここで、ロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGとは、共に長さLの上下に長い歯であるため、多少の上下方向の寸法誤差があっても両者に少しでも噛合長があればロアーギヤ97に対するアッパーギヤ118の噛み合いは維持されるため厳密な建て付け精度を確保しなくてもよい。
また、ロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGとの上下の位置が噛合範囲内でどのように変化しようとも、これとは無関係にスプリング122によりアッパーギヤ118が下方に押し付けられているため、アッパーギヤ118の係止歯UGとクラッチギヤ117の係合歯CGとの噛み合い状態は確実に維持される。よって、ボックス15に無理な回転力が作用した場合には確実にアッパーギヤ118がクラッチギヤ117に対して上方にリフトし歯飛びして回転力を逃がして、回転力が作用する部位の破損を防止できる。
【0052】
このように、ボックス15の回転を許容できるようにアッパーギヤ118の係止歯UGとクラッチギヤ117の係合歯CGとを略水平位置で噛合させ、フロアリッド28の建て付けのバラツキ等の上下方向の寸法誤差を吸収するようにロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGとを上下方向で噛み合わせたため、スプリング122はボックス15に作用する許容回転力に応じて弾性係数を設定するだけでよく、また、スプリング112はフロアリッド28を開いた状態でロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとアッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGとの係合が解除されるような弾性係数及び取付長にすれだけでよい。よって、上述したように各スプリング112,121の機能を分けたためスプリングの設定が容易となる。
【0053】
上記実施形態によれば、図28に示すようにフロアリッド28を閉じると、フロアFはフラットな状態となるので、乗員は通路13を支障なく移動できる。この場合、フロアリッド28は基材32の閉断面構造部34と金属フレーム35によりフロアFと変わらない強度剛性を確保でき、移動する乗員に違和感を与えることはない。
【0054】
このように28を閉じた状態では、アッパーギヤ118の係止歯UGはクラッチギや117の係合歯CGに噛み合っているため、フロアバケット14に対してボックス15は回転を規制された状態でロックされるため、ボックス15が回転して異音が生ずるようなことはない。
【0055】
そして、この状態で例えばブレーキング操作などでボックス15に対して回転方向の所定以上の大きな力が作用した場合には、ボックス15に作用する回転方向の力がロアーギヤ97からアッパーギヤ118に伝達されると、アッパーギヤ118の係止歯UGはクラッチギヤ117の係合歯CGから乗り上がりスプリング122を上側に押し縮めて歯飛びする。これにより力が作用する部位の破損を確実に防止できる。
【0056】
次に、図29に示すようにフロアリッド28を開くとフロアリッド28による押圧が解除されたシャフト111はスプリング112により突出して、アッパーギヤ118のアッパーロック歯ULGがロアーギヤ97のロアーロック歯LLGとの係合を解除するまでシャフト111が上方へ変位するため、ボックス15の回転方向のロックは解除され、ボックス15はベアリング89によりスムーズにフロアFに沿う方向に回転することができる。
【0057】
また、フロアリッド28を閉じた状態では、フロアリッド28とボックス15との間の空間部75がデッドスペースとなるが、ここにはP/Cブラケット67とフロアバケット14のフランジ部48に設けた2つの載置部68によりノートパソコンNを載置できるため、広く普及しているものの車載のためには載置場所が確保し難いノートパソコンNの車載を可能としている。
また、P/Cブラケット67の両端部のピン74をセットベース66の位置決め孔73を選択して挿入することで、ノートパソコンNの前後方向長さに合わせてP/Cブラケット67の位置を調整できる。
【0058】
そして、フロアバケット14のフランジ部48の上面にフロアバケット14の後半部を取り囲むようにシールラバー76が取り付けられているため、フロアリッド28を閉じた場合に、前記フロアリッド28の落とし込み部32aを含めたフロアリッド28の裏面にシールラバー76のリップ本体78が密接するため、ジュース等や、傘に付着した雨水が2列目シート3下のフロアカーペット26から前側に移動してもフロアバケット14内に浸入することはない。
【0059】
とりわけ、この実施形態によれば、利用者はフロアリッド28を開いた状態で、ボックス15を好きな位置まで回転させて、仕切壁100により区画された収納部101から、あるいは仕切壁100により区画された収納部101へ荷物を出し入れでき、また、荷物の種類に応じて収納部101毎に分類分けして荷物を収納することが可能となるため、仕切壁100の使用数により荷物の大きさに合わせつつ分類分けして荷物を収納ができ使い勝手のよいものとなる。
【0060】
また、前記仕切壁100がボックス15の溝103に対して着脱可能に取り付けられ、前記溝103に装着される仕切壁100の差し込み部104にはリブ107により間隔を置いて連結された空隙部106が形成されているため、仕切壁100を軽量化できると共に、差し込み部104を溝に対して弾性をもって挿入できる。よって仕切壁10が脱落し難く、確実に固定できる。
【0061】
そして、前記差し込み部104を挟む位置に設けられた設置部105は、仕切壁100の各面の底辺側、側辺側に沿うようにして配設されたリブ形状の部位であるため、仕切壁100自体の強度剛性を高めることができる補強材としても機能している点で有利である。
【0062】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、3列シートの車両以外の2列シート、4列シートの車両にも適用することができる。また、凹部11は、折り畳んだ中央シート5を格納できる大きさに設定してあるが、2列目シート3を各々取り外し自在に構成して、これを折り畳んで格納できるようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、利用者はフロアリッドを開いた状態で、ボックスを好きな位置まで回転させて、仕切壁により区画された部位から、あるいは仕切壁により区画された部位へ荷物を出し入れでき、また、荷物の種類に応じて仕切壁で区画された部位毎に分類分けして荷物を収納することが可能となるため、仕切壁の使用数により荷物の大きさに合わせつつ分類分けして荷物を収納ができ使い勝手のよいものとなる効果がある。
【0064】
また、仕切壁を軽量化できると共に、差し込み部を溝に対して弾性をもって挿入できるため、脱落し難い効果がある。
【0065】
請求項2に記載した発明によれば、設置部を補強材としても機能させることができるため、設置部により仕切壁自体の強度剛性を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態の車両の側面透視図である。
【図2】 この発明の実施形態の2列目シートの斜視図である。
【図3】 図1の要部拡大断面図である。
【図4】 この発明の実施形態のフロアの平面図である。
【図5】 この発明の実施形態のフロアバケットアッセンブリを取り外す様子を示す断面図である。
【図6】 この発明の実施形態のフロアリッドの平面図である。
【図7】 図6のa−a線に沿う断面図である。
【図8】 図6のb−b線に沿う断面図である。
【図9】 図6のc−c線に沿う断面図である。
【図10】 図5の要部拡大断面図である。
【図11】 この発明の実施形態のフロアバケットアッセンブリの平面図である。
【図12】 フロアバケットアッセンブリ取付状態における図11のd−d線に沿う断面図である。
【図13】 フロアバケットアッセンブリ取付状態における図11のe−e線に沿う断面図である。
【図14】 P/Cブラケット取付前状態を示す図11のf部の斜視図である。
【図15】 P/Cブラケット取付後状態を示す図11のf部の斜視図である。
【図16】 この発明の実施形態のフロアバケットアッセンブリの斜視図である。
【図17】 図10のg部拡大図である。
【図18】 この発明のボックスの斜視図である。
【図19】 この発明の実施形態の仕切壁を下側から視た斜視図である。
【図20】 この発明の実施形態の仕切壁を上側から視た斜視図である。
【図21】 ボックス取付部分の拡大断面図である。
【図22】 ロアーギヤの斜視図である。
【図23】 クラッチギヤの斜視図である。
【図24】 アッパーギヤの下側から視た斜視図である。
【図25】 各ギヤの位置関係を示す断面説明図である。
【図26】 クラッチギヤとアッパーギヤの噛合解除状態を示す説明図である。
【図27】 クラッチギヤとアッパーギヤの噛合状態を示す説明図である。
【図28】 フロアリッド閉時におけるアッパーギヤとロアーギヤとの噛合状態を示す説明図である。
【図29】 フロアリッド開時におけるアッパーギヤとロアーギヤとの噛合解除状態を示す説明図である。
【符号の説明】
11 凹部
14 フロアバケット
15 ボックス
28 フロアリッド
100 仕切壁
103 溝
104 差し込み部
105 設置部
106 空隙部
107 リブ
F フロア
Claims (2)
- フロアに凹部を形成し、この凹部を開閉可能に閉塞するフロアリッドを設け、前記凹部内にフロアバケットを設け、フロアバケット内にフロア面に沿う方向に回転可能なボックスを設け、ボックスの中央部にマウント部を設け、このボックスのマウント部と底壁と周壁とに亘ってマウント部から放射状に溝を設け、この溝に仕切壁を着脱可能に設け、前記溝に装着される仕切壁の差し込み部にはリブにより間隔を置いて連結された空隙部を形成して、前記仕切壁の差し込み部を前記溝に対して弾性をもって挿入することを特徴とする車両用床下収納庫。
- 前記差し込み部を挟む位置にボックスに当接する設置部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用床下収納庫。
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