JP3748883B2 - 音響遮蔽磁気コイル装置、磁気共鳴画像装置及びその作動方法 - Google Patents
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Description
本発明の特定用途は、勾配コイルが静電磁気の存在下でパルスされるMRIまたはNMR装置にある。ノイズが磁界のどのような強さにおいても生じるが、本発明は特に、磁界強さが0.1T(テスラ)以上であるMRIにおける諸状況に関連を有する。統一性を持たせるため、以下本文ではNMR装置をMRI装置と呼ぶ。
磁気勾配コイルは、MRIのために必須要件であり(P.MansfieldおよびP.G.MorrisによりBiomedicine Academic Pressにおける「NMRイメージ形成(NMR imaging)」(ニューヨーク1982年)で論じられるように)、また拡散研究および流動を含む用途の範囲内で使用するための必須要件である。医療用イメージ形成においては、急激な勾配スイッチングと関連する音響ノイズ(acoustic noise)は、比較的高い静電磁界強さで病気などを悪化させ、患者にとって良くても刺激を生じ、悪ければ傷害を生じ得る。成人および子供に対しては、耳栓の使用によってある程度の保護を与えることができる。しかし、胎児の研究において、また動物を用いる研究において、一般的な獣医学的用途においては、不可能ではなくとも音響保護は困難である。
音響ノイズ問題を改善するため幾つかの試みがなされてきた。例えば、コイルをゴムのクッションに軽く載置することにより、完全に勾配位置の質量を増すことにより、および音響吸収発泡体が音を減殺するため使用される吸収技術によった。音響ノイズの問題は、公告されたヨーロッパ特許出願第EP−A1−431216号、同第EP−A2−350640号および同第EP−A1−304127号において考察されている。音響遮蔽もまた、米国特許出願第4680545号、同第5018359号、および公告された国際特許出願第WO−A1−8607459号において考察されている。これらは、以下に簡単に考察する。
米国特許出願第4680545号は、高周波成分が低減あるいは排除されるように電流パルスを整形する方法を記載している。これは、一部の高周波ノイズを低減する。
ヨーロッパ特許出願第A1−431216号は、パルス整形によりパルスの立上がりと立下がり時間を最小化する技術を記載している。これは、高周波ノイズ成分を取除く。
ヨーロッパ特許出願第A1−304127号は、堅固な自立構成の成型体に接続されたアーク導体のスタックを含む構成を記載している。この構成は、アーク導体間の相対的運動が低減される如きものである。これは、音響ノイズを生じる振動量を低減する。
国際特許出願第A1−8607459号は、コイルがエポキシ中に埋設され、および(または)ゴム・ダンパー(rubber damper)上に懸架される構成を記載している。一実施例では、ステンレス鋼の質量がコイルに取付けられ、これがシステムの特性的周波数を低下させるために用いられる。ノイズは、振動装置の音響吸収及び(または)減衰によって低減された。
ヨーロッパ特許出願第A2−350640号は、勾配コイルが粘弾性材料の層内に埋設される構成を記載している。この層は、次に拘束するように挟持される。
米国特許出願第5018359号は、超伝導コイルにより生じる磁界が磁気スクリーンにより遮蔽され、振動吸収手段により真空容器に接続される低温に冷却された装置を記載している。
また、音響ノイズの打ち消しが用いられる技術も提案されている。この方法では、イヤホンまたは音響パイプを用いて、患者の頭部の領域に等しいが反対の振幅の音を伝送し、これにより限定された領域におけるノイズを打ち消す。この種の打ち消し技術は、周波数と位置に依存するものであり、おそらくはノイズの打ち消しではなくノイズ振幅が増大する事故を導くおそれがある。
米国特許出願第5198769号は、磁気コイル内に配置された等軸の勾配コイルについて記載している。この勾配コイルは、検査中の主体に誘導された渦電流を低減するように配置された複数の閉ループ・コイルを含む。
公告された国際特許出願第WO−A1−9119209号は、磁気コイルの音響遮蔽のための構成を記載している。この構成は、1つ以上のコイルを担持する少なくとも2つの略々同心状の円筒部材を含んでいる。この2つの円筒部材は、その間に充填材を提供することにより、一つにボンドされる。あるいはまた、連続する材料層を形成した後、電流の経路を画成するために他の部分でなく材料の一部を取除くことによって、各円筒状面に担持されたコイルが形成される。これは、例えば経路が円筒の表面に簡単な螺旋を描くならば、このような経路が例えば旋盤または中ぐり盤により容易に形成できるので、難しくはない。しかし、勾配コイルはしばしば、慎重な巻付けを必要とする複雑な形状の経路を含む。複雑な螺旋状でない経路が形成されるように材料を除去するために旋盤または中ぐり盤を用いることは難しい。
英国特許第B−2180943号は、導体における電流の分布がコイルを磁気的に遮蔽するように、仮想の超伝導金属面に誘導された電流に近似する磁気的に遮蔽されたコイル組立体について記載し請求している。
前掲の従来技術において述べた構成は、半径方向応力と捩り応力の結果として生じる振動の問題に対するものではなかった。
上記の全ての手法は、ノイズ、即ち磁気コイルにおける振動を低減することを目的としたが実際にノイズの原因に対処するものではなかった受動的、あるいはせいぜい「半受動的」構成と呼ばれるものを記載している。構成は、使用された材料の吸収特性、パルスを再整形することができる精度、あるいは弾性ダンパーの周波数応答によって制約を受ける。振動の問題は、コイルに流れる電流が特にこの時使用されるより高い磁界において変調される時、コイル構造に依然として存在する。本発明は更に低い磁界では使用できないが、高い磁界は、一般に約0.1T(テスラ)より高い磁界であると見做される。
本発明は、上記の諸問題の考察から生起した。
本発明によれば、静電磁界に置かれるための音響的に遮蔽される磁気コイルが提供され、このコイルは、電気的に伝導性の経路を含み、この経路は、経路の第1の部分に働く第1のローレンツ力が経路の第2の部分に働く第2のローレンツ力を実質的に低減するように働くように第1および第2の電流を運ぶ第1および第2の部分を有するコイルであって、この第1および第2の部分が機械的に結合されることを特徴とする。
前記第1および第2の部分は、成分が2つ以上のローレンツ力を持つ結果として生じる力が大きさにおいて実質的に低減され、望ましくはゼロになるように、機械的に結合されることが望ましい。これは、合成プラスチック即ち樹脂の如き成形材料を用いることにより達成される。あるいはまた、他の材料も第1および第2の部分を画成する導体を受取るための予め形成された溝を持たせることもでき、この材料は前記導体を収受してこれを溝内に拘束するスラブを形成する。
上記の公告された国際特許出願第WO−A1−9119209号は、磁気遮蔽を生じるが、コイル装置に働く結果として生じるローレンツ力が依然として存在するため、部分的な音響遮蔽を達成するに過ぎない。
同様に、米国特許出願第5198769号は、開ループ・システム(例えば、図11の実施例に示される如き)における定常電流が本発明とは対照的にローレンツ力の打ち消しを達成しないため、対応するものとは考えられない。このため、ノイズの低減に供する装置のこのような参照事項は有効な記述とは考えられない。
音響遮蔽された磁気コイルは、閉ループと、第1の経路を画定する内部と、第2の経路を画定する外部とを含むことが望ましい。しかし、開ループも使用できるが、この場合には経路は別のワイヤにより画成される。
複数の第1および第2の電気的経路は、一連の入れ子された(nestec)閉ループを形成するように次元が与えられ構成される。このような構成においては、閉ループは、閉ループの第1の円弧部分(arcuate portion)により画定された第1の電気経路と、閉ループの第2の円弧部分により画定された第2の電気経路と含むことが望ましい。円弧部分は、以下に定義するように半径方向に整合されることが望ましい。
2つ以上のコイルの重なりは、装置の大きさと質量を減じるように行われる。この装置は、例えば勾配磁界を生じるために磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging)において用いられる。同様に、別の音響遮蔽が別のコイルによって提供される。
本発明の更に別の特徴によれば、第1の部分に働く第1のローレンツ力が第2の部分に働く第2のローレンツ力により実質的に打ち消されるように、電気経路の第1の部分に沿って電流を通し、かつ電気経路の第2の部分に沿って電流を通すことによって磁界勾配を確立し、これら2つの部分を機械的に結合されるように配置するステップを含む磁気勾配コイルを音響的に遮蔽する方法が提供される。
本発明の別の特徴によれば、第1のコイル装置により磁界勾配を確立し、第1のコイル装置を第2のコイル装置により能動的に音響的に遮蔽し(先に述べたように)、第1および第2のコイル装置を第3のコイル装置により能動的に磁気的に遮蔽し、第3のコイル装置を第4のコイル装置により能動的に音響的に遮蔽するステップを含み、前記第1および第2のコイル装置が相互に機械的に結合され、前記第3および第4のコイル装置が相互に機械的に結合される能動的な磁気的および能動的な音響的に遮蔽される磁気コイルを作る方法が提供される。
1つ以上の別の音響スクリーンは、任意に前記装置に導入される。
磁界勾配を生じる方法は、磁気共鳴映像法に組込まれて、物体を第1のコイルにより提供される第1の磁界勾配を受けさせると同時に、第1の磁界勾配を第2のコイルにより与えられる第2の磁界勾配で能動的に磁気的に遮蔽して、第1および第2の磁気コイルにより生じるローレンツ力を実質的に打ち消すローレンツ力を生じる第3のコイルによって与えられる第3の磁界勾配を確立するステップを含むことが望ましい。
第3の磁気コイルにより生じるローレンツ力は、第1および第2のコイルにより生じるローレンツ力の和と実質的に等しいが方向が反対であり、これにより振動を打ち消すことが望ましい。
コイルの機械的結合は、堅固な結合部材即ちストラットにより得ることができる。結合は、適当な合成可塑性材料中にコイルを浸すか満たすことにより得られることが望ましい。
望ましい音響的な能動型磁気スクリーンは、本出願人の与えられた英国特許第2180943B号に記載されたものに類似する能動型磁気スクリーン装置を組込んでいる。この特許の内容は、参考のため本文に援用される。この装置は、振動作用力が均衡されて音響スクリーンを提供するように、本発明により修正される。その結果は、能動的、磁気的かつ音響的に遮蔽され、MRI装置での使用に適し、かつこれまで得られたより低減した音響ノイズで0.1T(テスラ)より高い範囲で動作し得る磁気コイル装置である。
好都合にも、ローレンツ力の打ち消しが結果として合力(resultant force)が生じないことを保証するので、半径方向作用力および捩り作用力が音響スクリーンによって除去される。
コイルおよびスクリーンは、1つの軸の周囲に同軸状かつ同心状である。磁界に用いられ、あるいは静電磁界と関連して用いられる時、音響的に静かなコイルは、一次コイルにおける各経路毎に、この一次コイルと反対の極性で大きさが機械的に結合された解き経路のローレンツ力を正確に均衡させるように配置され、かつ音響の減衰がsin(πfx/v)の関数である電流を送る半径方向に整合されたワイヤ経路に配置される。但し、fは音響周波数、vは結合材料における音の速度である。
音響的に遮蔽されるコイルは、一次コイルと、複数の均衡された音響スクリーン(n)とを含むことが望ましく、各スクリーンは、一次コイルを形成するワイヤとその各音響スクリーンとの間の間隔を減じることができ、これにより音響の減衰を増しかつその周波数レンジをアンペール(Ampere)の回路理論を利用することにより拡張するように、複合セグメント構成の音響スクリーンを含む。これは、勾配磁界強さを保証することにより達成され、コイル構造の効果は、一次音響スクリーン(arcuate screen)からの距離xに配置された1つの音響スクリーンを用いることによりコイル構造全体にわたり減衰されず、周波数fにおける音響の減衰がsin(πfx/nv)の関数である。但し、vは複合音響スクリーンの各セグメントに対する結合材料における圧縮波の音速である。この実施例の理論は以下に論述される。
磁界勾配を生じる装置は、磁界勾配を生じるための第1のコイルと、第1のコイルの少なくとも一部を囲むための、磁界勾配を確立することができかつ第1のコイル装置によるローレンツ力と反対の作用力を生じる第2のコイルと、第1および第2のコイル装置の少なくとも一部を囲んで第1のコイル装置を能動的に磁気的に遮蔽するための第3のコイル装置とを含むことが望ましい。
第1のコイルが一次コイルとなり、第2のコイルがこの一次コイルの音響的かつ磁気的なスクリーンを組合わせ、他方、第3のコイルは一次コイルに対する磁気スクリーンであるように、コイルを組合わせることが可能である。
望ましい構成は、実際に、上記コイルの2つをコイルの重なりにより1つのコイルへ組込む。このように、同時の音響的かつ磁気的な遮蔽が少なくとも3つの独立的なコイルで得ることができるが、4つ以上のコイルを使用することもできることは理解されよう。実際に、2つのコイルの重なり、従って電流の分布は、材料量を減じ、かつ製造が容易かつ安価であるより小さな構成をもたらす。
第1と第2と第3のコイル(または、4つ以上のコイル装置の組合わせ)により生じる半径方向力のベクトル和が、結果として生じる力がゼロとなるように組合わさることが望ましい。これが成就されると、全ての機械的振動が除去され、装置は静粛になる。これは、各コイルを画成するワイヤ導体が、所定の動作周波数における高い音速を持つ材料を用いて他のコイルにおける対応するワイヤに機械的に接続される時にのみ生じる。ワイヤ導体は半径方向に整合されるように配置されることが望ましい。即ち、コイルは、同心状円筒上に存在し、全体円筒の共通軸により一端部で繋がる線で画成される半径上に実質的に存在する電気的に非伝導性のコネクタによって相互に接続される。
従って、望ましい構成は、エポキシまたは強靭でありかつ高い音伝搬速度を持つ他の類似の充填材料の如き固定樹脂中に埋め込まれ(ポッティング:potting)即ち密閉される上記の半径方向に整合され作用力が均衡したコイル装置に対するものである。個々のワイヤの微小な運動は依然としてあり得る。コイル装置の諸元は加熱時に変化する。従って、音響的遮蔽を強化するために、コイル装置は、高周波ノイズ成分を吸収できる複合充填材料を形成するため、音の吸収材料と共にエポキシ樹脂中に埋め込まれあるいは密封することができる。
同様に、他のパルス整形法もまた、このコイル装置と組合わせて用いられ、これは更に音響出力を低減することができる。本発明によるコイル装置が現在のMRIその他の装置に使用するために磁界されることが理解されよう。この場合、これらコイル装置は、このような現存装置に対するモジュラー・ユニットとして販売されるのに適合する。
コイル装置は、縦方向および(または)横方向の磁界勾配を生じるように構成することができる。勾配が異なる軸心に沿って確立されるように、別個の磁気的かつ音響的に遮蔽されたコイル装置を提供することができる。これらの軸心は直交してもよい。
コイル装置は、磁界中に配置される時、コイルの円弧の少なくとも一部が磁界により影響を受けないような寸法とされ配置されることが望ましい。特に、入れ子されたコイル(nested coil)のこのような構成は、挿入用勾配コイルとしての使用に特に適合する。
コイル装置は、複数の円弧状の閉ループを含むことが望ましい。これら円弧状ループは、実質的に120°の角度に対するものであることが望ましい。
閉ループ構成について記述したが、本発明の開ループ構成、即ち、いわゆる分散コイル構成にも等しく適応し得ることは明らかであろう。このような分散コイル構成は、時に指紋型コイルまたは拇印型コイル(finger−printor thumb−print coils)として知られる。同様に、開ループと閉ループの両コイルは、勾配磁界の生成のために用いることができる。開ループと閉ループの両コイルはセグメント化することができ、即ち、アンペールの定理に一致するようにすることができ、そして(または)両方の形式のコイルを入れ子状にすることもできる。
アンペールの回路定理は、物理的な意味では、全面積が1つの比較的大きい閉ループに等しい比較的小さな複数の閉ループとして理解される。導体により形成される閉ループは正確には1つの面内に存在し得ないので、磁気軸に直交する面内の実効面積を計算するため、閉ループ内に画成される面積を上記の直交する面に投影することが必要である。この投影された面積は、いわゆる開ループ・コイルがアンペールの回路定理に従う時、有効に見かけ面積であることが理解されよう。即ち、第1および第2の経路により囲まれた領域内に画成される見かけ面積が、磁気軸に直交する面に投影される。
種々の構成の実施例が、図面と実験結果の表に関して以下に記述される。
図1は、電流Iを運び磁界Bに置かれた導体要素dlにおける作用力Fを図解で示し、
図2は、ばね定数κを持つばねにより表わされる圧縮ストラットを介して動かない物体に取付けられる電流Iを運ぶ質量mの導体線要素dlに対する支持部を図解で示し、
図3は、等しいが方向が反対の電流を運ぶ等しい質量mの導体の2つの結合線要素を示し、
図4aは、ループ面が均衡した磁界Bの力FとF′に対して直角であるように磁界Bに置かれた電流Iを運ぶ矩形状の導体ループを示し、
図4bは、導体の運動を阻止するストラットをとタイを持つ矩形状の電流を運ぶループの概略図、
図4cは、導体の運動を阻止するポリマー樹脂中に埋め込まれた導体ループを示し、
図5は、x軸に沿って磁界勾配を生じるように配置され、中心ワイヤの全電流が同じ方向を持つ4つの矩形状電流ループを示す概略図、
図6は、x軸に沿って磁界勾配を生じる分散電流アレイに近似するよう配置された電流I1、I2、、、Inを運ぶ1組の矩形状電流ループを示す平面図、
図7は、各々が電流Iを運び、x軸に沿って磁界勾配を生じるよう配置された接続された円弧に変形された4つの電流ループを示し、
図8は、共通の原点0と電流+Iaと−Ibをそれぞれ運ぶ半径aとbを持ち、角度変位φaとφbが等しくない2つの接続されない電流円弧を示し、
図9aは、電流Isを運ぶNs巻線を持つ半径bのコイルで能動的に遮蔽される、電流Ipを運ぶ半径aを持つNp巻線の一次コイルの一般図、
図9bは、別のコイル(点線)とスクリーン(点線)が音響スクリーン構造を形成する、半径b(実線)の遮蔽コイルにより能動的に遮蔽される半径a(実線)の一次コイルを示し、
図10は、いわゆる拇印コイルを生じる分散円弧構成による能動的に遮蔽されたx−またはy−勾配コイル・システムに対する典型的なコイル配線レイアウトの図、
図11は、円筒状座標系を示す図、
図12は、z−軸方向に沿って線形磁界勾配を生じるマクセル・コイルを示す概略図、
図13は、4つの内部円弧を持つ簡単な横方向勾配コイル・セットを示す図、
図14は、共面回帰円弧を持つ4つの内部円弧を含む横方向勾配セットを示し、
図15は、円筒軸に沿って円弧ループ面が不均等に隔てられる図14に示された如き1組の120°弧ループを示し、
図16は、円筒軸に沿った不均等な面間隔を示す異なる角度変位の分散円弧ループを示す図、
図17は、可塑性樹脂内に埋め込まれた1対の弧状ループ(点線)を示し、
図18は、静粛なx−またはy−勾配コイル設計における多数の分散された離散120°弧状ループの位置を示し、
図19は、多数の分散された離散弧状ループまたは静粛なx−またはy−勾配設計における種々の円の角度変位の位置を略図的に示し、
図20は、分散された全体の静粛勾配コイル構成の1象限に対するワイヤ経路を示し、(a)は一次コイルに対するワイヤ位置を、(b)は組合わされた一次/磁気スクリーンの音響スクリーンに対するワイヤ位置を示し、(c)は能動型磁気スクリーンに対するワイヤ位置を示し、
図21は、音響スクリーンが一次勾配コイルに対する戻り経路として用いられる音響遮蔽実施例の単巻線図を示し(音響スクリーンは磁気スクリーンに対する戻り経路を提供するためにも用いることができる)、
図22は、電流戻り経路(図21参照)のための音響スクリーンを用いる別の分散型全体の静粛な勾配コイル設計の1象限に対するワイヤ経路を示す図で、(a)は一次コイルに対するワイヤ位置、(b)は組合わせた一次/磁気スクリーンの音響スクリーンに対するワイヤ位置、(c)は能動型磁気スクリーンに対するワイヤ位置を示し、
図23(a)乃至(d)は、表2に示したパラメータにより図7、図12、図14および図17に記述された静粛な勾配セットによる3.0テスラで得られるエコー面の「スナップショット」イメージを示し、
図23(a)は、面内の分解能0.75mmとイメージ・アレイ・サイズ256×256ピクセルとを持つガラスと水の仮想図、
図23(b,cおよびd)は、正常なボランティアの頭部のイメージを示し、脳室、灰白質および白質、および脳幹の詳細による脳の順次図であり、面内の分解能は1.5mm、
図24aは、ばね定数が等しければ、システムの質量中心が固定されたままである図24bと等しい機械的ばね質量の図、
図24bは、ループ面が磁界Bに対して直角となるように、磁界Bに置かれた電流Iを運ぶ矩形状導体ループを示し、
図25aは、x軸に沿って磁界勾配を生じるように構成された1組の4要素からn番目の4要素の矩形状電流ループの平面内を示す図で、n番目の4要素の中心ワイヤにおける全ての電流が同じ方向を有し、
図25bは、軸aと長さbの2つの矩形状ループを含み、コイルが距離xだけ離れて配置されコイル面がBに対する平行であるテスト・コイルの平面図を示し、
図26は、ピーク値10Aを持つ正弦波電流により駆動される時、図25のテスト・コイル装置に対する音圧レベル減衰A(dB)と周波数(Hz)の関係を示すグラフで、カーブAはテスト装置における1つのコイルが励起される時適当に位置されたマイクロフォンで受取られる放射音と対応し、カーブBは両方のコイルが励起される時マイクロフォンにより受取られる低減した音レベルであり、減衰カーブCはAとBの差であり、カーブDは理論的減衰A、式(10)であり、
図27乃至図29は、略図的に弧状の閉ループ形態を示し、
図30乃至図32は、異なる実施例のコイル巻線と形態を示し、
図33乃至図41は、コイル巻線の異なる実施例を示している。
(実施例)
図1において、均一な磁界B=Bk内に置かれた電流I=Iαを運ぶ導体要素dl(10)が下式により与えられる単位長さ当たりのローレンツ力Fを生じる。即ち、
但し、θは導体と磁界方向間の角度、α、Bおよびkは、それぞれ導体方向、作用力方向および磁界の方向(z−軸)に沿って存在する単位ベクトルである。θ=0、F=0である時、およびθ=90°である時、Fは最大である。
図2は、弾性支持体12を介して不動物体14に固定される質量mの導体の要素10dlを示す。弾性支持体12は、ばね定数κを持つばねにより表わされる。従って、導体要素10は、各周波数ωを持つ高調波発振器として働く。実際の取付けにおいては、アカウントはダンピングでなされ、この場合システムに対する運動式は下式により与えられる。
但し、ηは減衰定数である。
導体要素10における磁力は、これを下式により与えられる変位xに対する一般解を持つ強制振動モードへ加速する。即ち、
但し、
また、A1、A2、B1およびB2は、システムの特性から決定することができる定数である。
実際のコイル系においては、不動物体におけるコイルの取付けは無論不可能である。コイル形成部の質量は、それを運動不能にすることを試みるため増加することができるが、高い静電磁界と拘束イメージ化技術における磁気勾配を生じるため用いられる非常に高い電流により、磁力が非常に大きいため有利に動かない質量を生じることは不可能である。
図3は、「背中合わせの」2つの振動質量10、11を含む高調波発振器システムを示す。この構成においては、不動物据付け(immoveable mount)はもはや不要であり、質量10、11が等しくかつばね12、13のばね定数κ1およびκ2が等しいと仮定すると、図3の構成はシステムの質量中心を一定に保持する。この機械的モデルは、先に述べた如き磁力遮蔽の本発明の背後の原理を部分的に示す。
上記の磁力遮蔽原理を用いて、図4aに示されるように、電流Iを運び磁界Bに置かれる導体の矩形状ループ16について考察しよう。コイル・ループ16の面が磁界Bの方向に直角をなすと仮定すると、導体16における全ての力F、F′は等しく、かつ電流Iのどの方向に対して反対となる。これらの力が図4bに示されるように、非圧縮ストラット(strut)18とボルト20を介して結合されるならば、システムにおける全ての力は打ち消される。更に、全てのモーメント、偶力およびトルクは打ち消される。この機械的モデルは、能動型音響遮蔽(active acoustic screening)またはコイルの力の均衡の原理である本発明の原理を示す。
非圧縮材料が用いられるならば、導体16は移動し得ない。この場合、このようなコイル22の構成においては音は生成されない。図4cに示されるように、ストラット連続体により有効に個々のストラットを置換するため、コイル22の全構造を適当な可塑性樹脂24で埋め込むことができる。
しかし、全ての材料は、ある程度まで圧縮され得る。このことは、先に述べた如き音響遮蔽が導体のある残留運動がある限り、ある実際の制限を持つことを意味する。しかし、本発明は、音響ノイズをかなりの量だけ低減する。
導体の急激な運動は、材料を介して圧縮波を送ることになる。このような波の速度vは、下式により与えられる。即ち、
v=(E/ρ)1/2 (4)
但し、Eはヤング率、ρは材料の密度である。異なる瞬間に生じる等しく反対の導体の運動および(または)導体の運動から生じる問題がないためには、ストラット長さlが≦λ/12であることも望ましい。
速度と波長λは下式により関連する。即ち、
v=fλ (5)
但し、fは伝搬波の周波数である。Eおよびρに対して引用した値を用いて、多くの共通材料に対する波の速度を推定することができる。ガラスの場合は、v=5.0km s-1である。典型的な硬木の場合は、v=4.5km s-1である。アルミニウムの場合は、v=5.1km s-1であり、真鍮の場合は、v=3.4km s-1である。木の速度値を用い、0.15mのストラット長さを用いると、(式5から)最大周波数f=2.0KHzである。これより高い周波数では、逓増位相効果を予期することができ、これが更に音響波の打ち消し不能を招来し得る。この方式では、更に伝統的な音響吸収材料を能動型音響スクリーンと組合わせて使用することもできる。耳栓の使用は、常に付加的な選択であるが、先に述べたように、胎児の走査あるいは獣医学的用途においてはほとんど使用されない。
以上の議論は、最善の効果でも、ストラット材料または合成可塑性樹脂の容器がEの大きな値と密度ρの小さな値を持つことを示唆する。このような組合わせは、高い圧縮波の速度を生じることになる。このため、直感に反して、高い強度の光り結合構造が必要とされる。従って、思い充填材が用いられる負荷を与えた可塑性樹脂が望ましいが、これはこれら樹脂がコイル装置に対してかなりの重量を加え、また増加したv(音の速度)を呈するからである。
先に述べた均衡力コイル(balanced force coil)の原理は、勾配コイルの設計にも適用される。これについては、以下において図5乃至図10に関して詳細に述べる。最も簡単な構成においては、横方向勾配コイルは、図5および図6に示される如き4つの矩形状ループ26を含む。
図5において、ループ26はx−勾配Gxを生じる。この構成においては、各ループは、N回の導体の巻きを含み、各ループの全てのアームにおける電流はIに等しい。このようなコイル装置では、力とトルクが打ち消し合う。
実験の結果は、以下に述べる如き音響スクリーンの有効性を示す。
図5における構成は、図6の平面図に示される如き多重ループに拡張することができ、この場合導体28の累加的な弧(progressive arcs)における電流および(または)分離は、空間的に更に均一な磁界または磁界勾配を生じるように変更することができる。ループの平行面間の間隔は等しくない。大半の全身用MRIイメージ形成システムが円筒状の静電磁界の対称性を有するので、図5および図6に示した矩形状ループは、図7に示される如き円弧(arc)30へ変形することができる。円弧30が閉ループを形成すること、およびループの面が磁界Bと垂直をなすことを仮定すると、全てのトルクと力は矩形状ループの場合におけるように均衡する。この結果は、どんな閉ループに対しても真である。
共通に原点Oと電流+Iaおよび−Ibを選ぶ角変位φaおよびφbを持つ半径aおよびbの2つの弧を考察しよう。これら弧は、閉ループを形成しない。この構成は、図8に示される。力とトルクがこの構成において均衡するためには、φa=φbの場合に、下式を必要とする。即ち、
Ib=−(a/b)Ia=−Ia/α (6)
2つの弧が閉ループを形成するように一つに接合される時にのみ、弧電流が等しくなる。全ての円筒状勾配コイル設計において、力の均衡原理、式(6)がコイル装置の湾曲部即ち方位角部分に対してのみ適用することを指摘することは価値がある。静電磁界B0の方向(z−軸)に沿った電流成分は、それに働くローレンツ力は持たない。
図7の弧30は、直列あるいは並列構成で、あるいは両者の組合わせで接続することができる。全ての場合、弧に対する接続は、フィーダとコネクタ・ワイヤまたは導体が対で主磁界B0に対して平行に伸びるように行われねばならない。この並列ワイヤ構成は、固い共軸対、並列バスのバー対、あるいは更に捩り対の形態をとり得る。並列バス・バー(parallel bus bar)の利点は、正確な並列ストリップを導体の残留運動を阻止あるいは減少するため隔ててボルト止めすることができることである。捩り対(twisted pairs)は柔軟性に富み、従って最終的な配線構造でエポキシまたはそのような樹脂中に固定しなければならない。
超伝導磁石の狭い構造内のコイルを切換える時は、勾配コイル・セットから生じる外部磁界が低温自動装置の包囲する金属構造と強く相互に作用し得る。この相互作用は、低い抵抗のゆえにややゆっくりと減衰する低温自動装置および超伝導コイル自体に渦電流を誘導し得る。この効果は更に、主要勾配品質を低下する望ましくない別の時間に依存する勾配を生じる。能動型磁気遮蔽が渦電流問題を回避すると、MansfieldおよびChapmanによって紹介された。即ち、P.MansfieldおよびChapmanのMag.Res.66,573〜576(1986年)、患者P.MansfieldおよびB.J.ChapmanのPhy.E.19,540〜545(1986年)、P.MansfieldおよびB.ChapmanのMag.Res.72,211〜223(1987年)。現在の状況ならびに能動型作用力または音響スクリーンの紹介において、勾配コイル・セット全体を能動的に磁気的に遮蔽させることも望ましい。
単純な事例として、図9aに示される如き半径bの円筒上に置かれたスクリーンで磁気的に遮蔽される半径aの単一のフープ32の場合について考察しよう。先に述べた能動型磁気遮蔽の理論から、このような構成では、スクリーン電流Isが下式により一次電流Ipと関連付けられることが判る。即ち、
Is=(Np/Ns)[a/b]2Ip (7)
但し、NpおよびNsは、それぞれ一次巻き数およびスクリーン巻き数である。しかし、この構成は音響的に遮蔽されるものではない。半径aの内部コイルの場合は音響スクリーンが要求され、半径bの磁気スクリーンの場合は第2の音響スクリーンが要求される。一次コイルには1回の巻線が存在するため、音響スクリーンはそれ自体一次コイルと同じ面内の1回の巻線となる。その半径をαaとし、この場合α>1となる。音響スクリーンが磁気的に遮蔽されるためには、必要な全てのことは、そのスクリーンが半径αbの円筒上に置かれることである。即ち、元の遮蔽コイル・セットは、係数比αだけ半径方向に拡張され、その長さは同じままである。このことは、図9bに略図的に示され、1回の一次コイルから分散一次コイルへ一般化される。いわゆる一次音響スクリーンおよび磁気スクリーンの音響スクリーンの長さが音響的に遮蔽されるコイルの各長さに等しく保持されるならば、音響スクリーンの磁界遮蔽の有効性は、遮蔽される磁界の特性および強さを僅かに変化させることにより妥協することができる。この状況は、以下に述べるように磁界遮蔽方式を修正することにより、および(または)αを小さく保持することによりコイルの巻線とそのそれぞれの音響スクリーンの小さな不正整合を受入れることによって改善することができる。
先に述べた構成においては、音響スクリーンの一次電流Ipfおよびスクリーン電流isfが式7に従ってスケールされる。即ち、αIpf=IpおよびαIsf=Isである。音響スクリーンの位置決めは任意である。このことが妥当すれば、一次音響スクリーンの半径が一次コイル磁気スクリーンの半径と一致するようにコイルを構成することができる。即ち、αa=bである。この場合、磁気スクリーンの音響スクリーン半径b′は下式により与えられる。即ち、
b′=αb=α2a (8)
このことは、aおよびb′が固定される最適に設計されるシステムの場合は、αは幾何学によって決定される。種々のコイル、スクリーンおよび音響スクリーンの電流の方向は、様式:+Ip,−Ipf、−Is、+Isfに従い、これにより一次コイルの音響スクリーン半径αaが一次コイル磁気スクリーンの半径bと一致する場合に電流の不連続を生じない。
典型的な全身勾配セットの場合、a=65cmおよびb′=94cmがα=1.2を生じる。αのこの値は、一次巻線および一次音響スクリーンの巻線、あるいは一次スクリーン巻線およびその音響スクリーン巻線のいずれかの半径方向整合を著しく変化させることがないように著しく小さい。用語「半径方向の整合(radial registration)」とは、内部コイルの表面における導体位置が外部の同軸状円筒の表面に対して半径方向に投影され、これによりこのコイルの巻線の位置を規定することを意味する。この投影は、内部巻線パターンの長さと、外部巻線パターンの長さとが同じになるように行われる。先に述べた特定の実施例は、ある程度勾配装置の磁気遮蔽効率を犠牲にする。しかし、これは、磁気スクリーンおよびその音響スクリーンにおける硬化を変化させるが一次スクリーンとその音響スクリーンにおける電流を維持することによりある程度回復することができる。後者は、スクリーンとスクリーンの電流の比を一定に保持することにより力の均衡を維持することにより行われる。
磁気遮蔽効率を回復して音響遮蔽を維持するために、個々の半径方向に整合されたワイヤ対またはセットの詳細な力の均衡よりも全スクリーン面における力(積分された力)の均衡を考察することが可能である。更に後で理論的部分において述べる当該方式においては、正味作用力とトルクはゼロである。磁気遮蔽もまた大幅に改善される。作用力の積分は、この場合、適当な固定樹脂中に3つまたは4つのコイルを埋め込むことによりコイル構造全体を堅固にすることによって達成される。
別の音響スクリーンは、その自由空間値B1から遮蔽される磁界を更に低減する。議論したシステムの場合、実効一次磁界B1eが下式により近似的に与えられる。即ち、
幾つかの活性力または音響的に遮蔽されたフープ(hoop)の構成をマクセル・タイプの線形勾配コイルまたはヘルモホルツ・タイプの均一な磁界コイルを形成するように構成できるることが明らかである。円筒状の磁気的に遮蔽された(あるいは遮蔽されない)横方向勾配コイルもまた、上記の発明を用いて音響的に遮蔽することができる。能動的に遮蔽された横方向勾配コイルの場合は、第2のスケールの遮蔽勾配セットが先に述べた如き第1の遮蔽勾配コイル・セットとインターリーブされる。この構成は、第1の遮蔽勾配セットが実線により略図的に表される図9bに示されている。第2の遮蔽勾配セットは、点線で表される。
図10は、横方向勾配を生じる能動的に遮蔽される勾配コイルに対する配線レイアウトの一例を示している。巻線パターンは、ロール状でない平坦面即ち展開面として見える。一次巻線とスクリーン巻線の両者は、いわゆる指紋パターン(fingerprint pattern)の分散された巻線である。一次巻線と遮蔽巻線の両パターンは、aθ軸およびbθ軸に沿ってスケールされて、遮蔽コイル装置に対する音響スクリーンを提供する。
一次コイル・レイアウトにおけるQを付した象限は、1つの輪郭から他の輪郭へのワイヤ経路がどのように直列構成で結合されるかを示す。力均衡原理によれば、一次コイルと遮蔽コイルに対する音響スクリーンの配線レイアウト・フォーマットは図10のそれと類似しているが、係数αだけa軸およびb軸に沿って拡張される。
一次コイル、音響スクリーンおよび磁気スクリーンの位置決めは、コイルを3つ以上の軽い円筒の表面にコイルを巻付けることにより得ることができる。適正な力の均衡を得るためには、全体構造が更に別の保有円筒内の中心位置に置かれ、次いで高い弾性係数と低い密度を持つ適当な硬化型ポリマー樹脂で埋め込まれる。樹脂が硬化させられる前に、コイル・システムに真空を生じるように圧送することにより気泡が取除かれる。ポリカーボネートの如き高い強度のポリマーが最良の材料であるが、比較的低い周波数で良好な音響的性能を持つため、他の類似のエポキシおよびアクリル樹脂、更にはポリスチレンを用いることができる。
磁気的遮蔽および能動型音響遮蔽の組合わせ効果は、勾配コイルドライバからの他の電流を求める付加的な要求をすることができる。B1eを低減する効果が勾配コイル・セットのインダクタンスを低下させ、その結果インダクタンスをその所要の値まで回復するようにある程度は付加的な巻き数を加えることができることになる。このことは更に、B1eを増加することにより助けとなる。しかし、B1eがNpに線形的に依存する間LがNp 2と共に変化するため、インダクタンスを回復するために巻き数を加えることはB1eの損失を完全に補償することができない。従って、一般に、所要の勾配強さを達成するために更に多くの電流でシステムを駆動することが必要となる。この余分な電流は、同時により大きな力で、得られた音響的低減の一部を損なうことがある。これについては、以下に実験結果において記述する。
本発明の更に別の実施例においては、音響的遮蔽と磁気的遮蔽の双方の理論的特質が記述される。これらは、スクリーンの有効性の改善を導く。
この理論の単純な説明を次に行う。
磁界におかれた長さlの導体に対して及ぼされる全作用力は、ローレンツ式によって与えられる。即ち、
F=−IB×l (10)
完全に軸方向の磁界においては、この力は完全に半径方向面内に働く。磁界B=3Tである1つのシステムの場合、質量が0.0765kg/mの銅の導体では、lは典型的に0.5mの大きさでありI=200Aである。これは、800gの加速度を生じるワイヤ上に600Nの力を結果として生じることになる。この電流は典型的に500Hzの速度で切換えられて、通常は多重モードの台形状態で(P.Mansfield、P.R.HarveyおよびR.J.Coxon(1992)、Meas.Sci.Technol.2,1051〜1058)人間の聴覚のピーク感度範囲内で高調波を生じる。
球形状の高調波弧の場合、標準的な線要素設計理論は、レゲンダ多項式(Pnm)に関して磁界の球形上高調波拡張を用いて、一連の弧の角度長さと位置を指定し、これが構造の中心点における所要の磁界に可能な限り最良の近似を提供する(RomeoおよびHoultの(1984)磁界の特性付け:分析と補正、コイル設計、Mag.Res.in Med.第1巻第1部44〜65ページ。B.CapmanおよびP.Mansfield(1984)全身MRIイメージ形成磁石に対する簡単な調整戦略、22nd Congress Ampere on Mag.Res.and Related Phen.Proc.512〜513)。包囲磁界の1つが球形状前面で線要素に向かって外側へ移動する時、包囲磁界は理想状態から逸脱する。MRIの場合、最も好都合な構造は図11の円筒の表面であり、これに対しては磁界の拡張が下式により与えられる。即ち、
但し、
および、さもなければ、m=0および2に対して、∈m=1
軸方向の勾配m=0の場合は、システムは中心面の周囲で非対称である。その結果、解は反対電流を運ぶ軸の各側で等距離のフープ対の形態を呈する。これは、拡張における全ての偶数項を直ちに除去する。半径aと半径bの1対の導体に対して積分して解を求めると、下記の拡張を生じる。即ち、
中心において最適な勾配は、3乗項T3がゼロである時、即ち、b=(a√3)/2である時に生じ、この場合
B=0.6413μ0nIz/a2+O(r5) (13)
これは、標準マクセル解である(および、図12に示される)。図12に示される実施例においては、Bzの相互作用から生じる各フープに対するローレンツ力は均衡される。フープ間の磁気ダイポラー力(magnetic dipolar force)は均衡されないが、これらは比較的小さい。
更に多くのフープを用いて、5次以上の項における同時のゼロについて解を求めることによりより良い解を見出すことができるが、問題は急激に非常に複雑になる。より優れた更に直截な解が、表面電流分布に対するBiot−Savart式を直接解くバイト得られる(V.BangertおよびP.Mansfieldの(1982)「Magnetic field gradient coils for MRI imaging」(J.Phy.E.:Instrum.,235〜239、およびP.MansfieldおよびB.Chapmanの(1987)「Multi−screen active magnetic screening of gradient coils in MRI.J.Mag.Res.72,211〜223」、およびR.J.Turnerの(1986)「A target field approach to optimal coil design.」(J.Phys.D:Appl.Phys.第19巻、1147〜1151。)この方法は、以下に論述する。
一般に、導体に対する角度がΔΨ=2qπ/m(図11に示される如く)となるように構成する(但し、qは性の整数、Ψは方位角)ことにより、m度の全高調波が取除かれる。更に、弧が交互の電流方向でπ/mラジアン毎に隔てられられるならば、全ての偶数高調波およびmより小さな度の全ての高調波が取除かれる。横方向勾配m=1の場合は、電流は対称でなければならず、180°離れた反対方向の電流との120°弧(arcs)がT11、T13、などを除いて全てを取除くことになる。マクセル・コイルの上記事例におけるように、これは、間隔/直径の最適の比を与えるようにT13のゼロを見出すことにより容易に解くことができる。即ち、
これは、直ちにtan-1(a/b)=21.3°および68.7°を生じる。好都合にも、2番目の解は図13に示される如く戻り経路のために位置を提供する。2つの解の存在は、T15を同時に取除くために用いることができる。しかし、磁界品質における改善は小さくなりがちである。
これらのコイル構造に生じる力は、これら構造が軸方向の磁界に置かれる時には半径方向となり、弧間の結合部分は、磁界に対して平衡であり従ってこれにより影響を受けない。同様に、これらの力は磁界Bzに対して寄与しない。マクセル・コイルの場合は、力は均衡され、作用する正味力は存在しない(図12における如く)。その結果、充分に係止されたワイヤの場合は、マクセル・コイルからの音響ノイズは、構造全体の膨張収縮から生じる局部的な微小運動から専ら生じる。横方向コイルの場合は、特定の軸方向位置における全ての弧が同じ方向で一緒に働く(図13)ので、力が構造の長さに沿ってかなりの正味モーメントを生じるこの構成における力は、構造の長さに沿って正味モーメントを生じる。
先に述べたように、代替的なコイル構成が提案され、これにおいては、戻り弧が一次側と同じ軸方向位置に取り付けられる。その結果、各部分における力およびトルクはゼロである。
この概念の最も単純な実施例は、コイル上に均衡した力をもつ線要素設計を用いる。ルジャンドル(Legendre)拡張、図14の分析から、また結合弧からの影響を無視すると、最適な角測定長さ(angular length)は120°に対するものであり、最適な間隔は下式がゼロであることにより与えられる。即ち、
F(a)−F(c)=0 (15)
但し、aとcはそれぞれ一次弧と戻り弧の半径である。図14における構成は、各弧ループに正味力またはトルクが存在しないことを保証する。
式(15)に対しては、最小間隔がbである効率の理由を除いて、2つの解がある。これは、所与の半径に対する最適な間隔bに対して数値的に得ることができ、cが必要とされる。これらの値は共に任意に選定することができる。
磁界の品質は、点bの周囲の分離空間を探すことにより、弧を結ぶ半径の影響を勘定に入れて改善することができる。これは、以下により容易に得られる。即ち、
(i)1つの軸方向位置における1つのコイル対に対するサーチ空間を収容するように軸方向に拡張される内部の関心領域(ROI)における多数の格子点における磁界を計算すること、
(ii)これをそれ自体で点bの周囲の種々の場所で畳み込みを行うこと、および
(iii)ROIにおける理想的勾配磁界からの最小偏差を求めること。2つの別の自由度をほとんど利益を与えずに問題に対して生じるが、両方の角測長さの自由度を許容することによって僅かな更なる改善が可能である。半径方向の弧の問題もまた、直線の弧に対する正確な式を分析に盛込むことにより解析的に対峙することができる(V.BangertおよびP.Mansfield(1982)の「Magnetic field gradient coils for MRI imaging」、J.Phy.E.:Sci.Instrum.,15,235〜239)。
これに代わる試みは、表面電流勾配コイルの形態における表面分布電流を用いることである。軸方向の勾配については、これらは、標準的方法のどれかを用いて好都合に解決することができる(P.MansfieldおよびB.Chapman(1987)の「Multiscreen active magnetic screening オリフィス gradient coils in MRI」、J.Mag.Res.72,211〜223)、およびR.J.Turner(1986)の最適なコイル設計に対する目標磁界の試みは、J.Phys.D:Appl.Phys.第19巻、L147〜L151に記載される。B.Chapman、M.DoyleおよびG.M.Pohost(1992)の「Optimised electromagnetic coil design theory」(IEEE proceedings Southestcon,2,757〜762)正味力が全ての場合に打ち消すように構成することができるためである。同様に、全ての方法は、能動型磁気スクリーンの音響遮蔽の有無に拘わらず能動型磁気遮蔽を可能にするために容易に用いることができる。下記の分析は、このことをChapmanの方法について示している。B.Chapman,M.DoyleおよびG.M.Pohost(1992)。最適化された電磁コイル設計理論。IEEE Proceedings,Southestcon,2,757〜762。最適化された磁界をもつ制限長さの遮蔽電磁コイルおよび方法。
電流を磁界に関連付ける基本的Biot−Savart式は畳み込みであり、従ってフーリエ領域において最も好都合に取扱われる。有限長さの円筒状面の場合は、電流Iは方位モードと軸方向モードで流れるように制限される。B.Chapman,M.DoyleおよびG.M.Pohost(1992)。最適化された電磁コイル設計理論。IEEE proceedings,Southestcon,2,757〜762。基本的単位電流フープを考えよう。許容される高調波モードは、cos(mθ)の形態であり、ここでmは整数である。半径rもおける軸方向磁界の軸方向における関連するフーリエ変換は、
Ba(r,k)=ΣmBa(r,m,k) (16)
但し、
同様に、長さlの円筒における許容軸方向高調波Jnは下式により与えられる。即ち、
Jn(z)=CnH(z)cos(2πnz/l+φ) (18)
但し、Cnはn番目の高調波の電流振幅であり、
式(18)のフーリエ変換は下記を生じる。即ち、
Jn=πlCn[ejφsinc(kl/2-nπ)+e-iφsinc(kl/2+nπ)] (20)
結果として得る軸方向磁界のフーリエ交換は、下式により与えられる2つの項の式(18)および(20)の積である。即ち、
Bz=ΣnΣmJn(k)Bar,m,k) (21)
一貫して唯一つの高調波モードに関心を持っており、即ち、軸方向磁界に対してはm=0であり、横方向磁界については、m=1である。フーリエ空間とは違って、実空間ではROIにわたる有意義モード結果として生じる磁界の最小2乗適合により、振幅Cnを見出すことができる。コイル構造に対する長さlが演繹的に決定されるものとすれば、全ての設計問題がこのように1次元の探索に減じたことに注意されたい。
正味力を打ち消すために第2の面が加えられる。構成技術に応じてこれが可能である幾つかの方法がある。その一部を以下に記述する。
固定角測長さの均衡力ループ
図15は、全てが120°の固定された角度変位を持つ1組の弧ループを示す。このループの位置は、先に概要を述べたように、球面調和関数式におけるルジャンドル項を打ち消すことにより決定することができる。更に直接的かつ一般的な試みは、これらのループを用いて次のように連続的分布を近似化することである。即ち、1つの位置におけるループ対からの磁界は、軸方向に伸ばされた関心領域(ROI)にわたり、例えばBiot−Savart式の直接的な数値の積分によって決定される。
但し、太字はベクトル量を表わし、dτ′は基本体積である。
mの適当な値に対する連続分布が、下式のCnの最小2乗の確定によって決定される。即ち、
Bz=ΣnJn(k)B1(r,m,k) (23)
但し、B1(r,m,k)は、1つのループ対からの磁界の軸方向成分のフーリエ変化である。このループは、次に各相等電流を要求するように配置される。あるいはまた、各ループと並列の抵抗の構成により異なる電流が共通ソースから、あるいはまた異なる1組の電流ソースから各ループへ与えられる。この設計方法は、接続する半径弧を勘定に入れる利点を有する。
これに代わる方法は、力が均衡した表面対から、即ち、円筒状コイルに対する式(21)から全表面電流を計算することである。下記を得る。
Bz=ΣnJn(k)[Ba(r,m,k)−Bc(r,m,k)] (24)
結果として得る弧は、図16の変化する弧長さを持ち、これは好都合にも電流分布の隣接する相等電位輪郭(流線)間に弧を置くことにより得ることができる。これは、式(22)から結果として得るものより良好な解を与えるが、式(24)は半径方向弧の寄与の大きさに強く依存する半径方向弧を勘定に入れるものではない。
低周波の音響ノイズを著しく低減する均衡力に加えて、吸音材料もまた図17に示されるように設計中に取込むことができる。これは、残留高周波ノイズを減衰させる。中実のコアは、力均衡弧および半径方向結合を一次弧に結合する。更に、柔軟な吸音材料(ブラック)が残留高周波ノイズを低減する。
均衡力の表面電流分布
更に他の試みは、標準的な表面電流分布法を用いることであり、これにおいてはコイルが表面内に完全に埋設されている。弧の場合の力の均衡は、2つの表面をその全領域にわたり、あるいは有効地点で結合することにより達成される。式(24)は、外半径におけるより長い長さを許容するため半径の比に等しいスケール・ファクタだけ力を低減するように修正されねばならない。即ち、
Bz=ΣnJn(k)[Ba(r,m,k)−a/cBc(r,m,k)] (25)
この方法では、結合弧が存在しないため、結合弧からの影響はない。
能動型磁気スクリーン
下式により与えられる全遮蔽フープ磁界で遮蔽されない磁界を置換することにより磁気スクリーンをこれらの式に加えることは簡単なことである。即ち、
Bs=μ0kaIm(kr)[K′m(ka)-k′m(ks)I′m(ka)/I′m(ks)] (26)
必要に応じては、スクリーン自体もまた音響的に遮蔽することができる。全磁界成分(Bn)は、
但し、aは一次コイル半径、cは一次コイルの音響遮蔽半径、sは磁気スクリーンの音響遮蔽半径、tは磁気スクリーンの力スクリーン半径である。式(27)における諸量は下記の如くに定義される。即ち、
Jc(k)=−(a/b)Ja(k) (28a)
Js(k)-(a/s)Ja(k)[I′m(ka)-I′m(kc)]/[I′m(kt)-I′m(ks)] (28b)
および
Jt(k)=−(s/t)Js(k) (28c)
c=tとすることにより、2つの音響スクリーン電流分布を重ねることができる。これは、更にコンパクトであり、抵抗が低くかつ製造が容易な構造を提供する。
幾何学的相似を用いる音響スクリーンまたは力スクリーン
一次遮蔽半径aおよび磁気遮蔽半径bの両方が半径f、Fの別の円筒状コイルで力均衡される、完全に遮蔽され、完全に音響遮蔽された円筒状勾配セットに対する数学的処理について考察しよう。また、MRIにおける勾配コイルの多重スクリーン能動型磁気遮蔽−P.MansfieldおよびB.Chapman(J.Mag.Res.72,211〜223.)R.J.Turner(1986).−円筒状分布ワイヤ・コイルにおける最適なコイル設計に対する目標磁界の試み(J.Phys.D:Appl.Phys.第19巻、L147〜L151)も参照しよう。
半径aの円筒におけるx−勾配コイルについて流れの関数S(φ,z)により記述しよう。ワイヤ経路は、Sの輪郭によって与えられる。電流分布は下式により記述される。即ち、
J=−▽S.n (29)
但し、nはどの地点でも円筒表面に対して直角である。Jは下記の成分を有する。
Jz=1/a/∂S/∂φ (30)
Jφ=−∂S/∂z (31)
式(31)のフーリエ変換におけるm番目の成分は
Jφ m(k)=ik Sm(k) (32)
但し、
および
sm(k)=FT{S(φ,z)} (34)
x−勾配コイルの場合は、S1およびS-1のみがゼロでない。
内部磁界は下式により与えられる。即ち、
外部磁界は下式により与えられる。即ち、
但し、rは半径方向極の座標である。
第2のコイルを持つ音響スクリーン
半径fの円筒における流れの関数S(φ,z)による記述される第2のコイルを加える。従って、力の均衡のためには、下記のことを必要とする。即ち、
S(φ,z)=−a/f・S(φ,z) (37)
これは、ワイヤ経路が各コイルにおいて同じz、φの値と1:a/fの正しい電流比とを持つことを保証する。即ち、ワイヤ経路は、半径方向に整合される。
音響遮蔽および能動型遮蔽
半径a、b(一次スクリーンと磁気スクリーン)とf、F(実質的に、一次音響スクリーンと磁気スクリーン)の円筒状表面に巻付けられた4つのコイルについて考察しよう。図9bは、全体的なコイル構成のレイアウトを示す。f=αaおよびF=abの表記法を用いれば、この構成における関連する流れの関数は下記の如く与えられる。即ち、
力の遮蔽とも呼ばれる音響遮蔽に対しては、下記を必要とする。即ち、
Sf=−a/f・Sa (38)
また、
SF=−b/f・Sb (39)
半径r>dにおける磁界の打ち消しのためには、下記を必要とする。即ち、
aI1′(ka)Sa 1(k)+fI1′(kf)S1 f(l)+bI1′(kb)Sb k(k)+FI1′(kF)S1 F(k)=0 (40)
k−空間に適用される式(38)と(39)を用いると、下記となる。即ち、
a[I1′(ka)-I1′(kf)]S1 a(k)=-b[I1′(kF)-I1′(KF)]Sb 1(k) (41)
整理し直すと、
内部磁界は下式により与えられる。即ち、
但し、
ここで、l=a,b,fおよびFである。式(38)と(39)を用いると、下式を得る。即ち、
T=aSa 1(k)[K1′(ka)-k1′(kf)]+bSb 1(k)[K1′(kb)-K1′(kF)] (45)
T=S1 a(k)T′ (46a)
目標磁界の試み−R.J.Turner(1986)。最適なコイル設計に対する目標磁界の試み−J.Phys.D:Appl.Phys.第19巻、L147〜L151がこの時用いることができる、これにおいてはBx(c,φ,z)が指定される。式(43)の被積分関数を磁界Bz 1(c,k)に等しくて、反転で下式Sa 1(k)を得る。即ち、
全スクリーン電流の均衡による全力遮蔽および能動型磁気遮蔽
他の円筒の1つに該当する各コイル円筒に対する全ての戻り弧により能動型遮蔽と力遮蔽を組込むシステムを設計するためには、全ての円筒に対する全電流の和がゼロになることが必要である。これは、3個のみのコイル円筒では理論的には不可能である。しかし、電流均衡されたコイル、音響遮蔽されたコイルおよび能動的磁気的に遮蔽されたコイルのセットは、4つのコイル円筒における電流分布を用いて設計することができる。
Sa m(k)、Sf m(k)、Sb m(k)、およびSF m(k)により示されるフーリエ空間における流れの関係によって記述される半径a、f、bおよびF(a<f<b<F)の円筒における電流分布について考察しよう。
満たされなければならない3つの条件は、
a)電流の均衡のため
Sa m+Sf m+Sb m+SF m=0 (48)
b)力の均衡のため
aSa m+fSf m+FSF m=0 (48)
c)および、能動型磁気遮蔽のため
これらの解を求めると、流れの関数のSb m、Sf mおよびSF mが下式によりSa mと関連することが判った。即ち、
f→bならば、予期されるように、Sm F→∞が3つのコイル円筒に対する解がないことを示すことが判った。このため、この試みの作業を行うためには4つのコイル円筒が必要である。しかし、以下に述べるように、その時の要求値を略々満足する3つの円筒の構成を見付けることができる。
これにより、Bz(c,φ,z)を指定し、式(47)を用いてSa 1(k)を計算し、次に式(38、39、41および42)を用いてSf 1(k)、Sb 1(k)およびSF 1(k)を計算することができる。
能動型音響遮蔽は、3つのコイルを担持する少なくとも3つの円筒面を持つコイル構造を生じるため能動型磁気遮蔽と組合わせることができる。これを達成するためには、力の均衡が円筒面間に適正に生じることが必要である。これは、3つの全ての円筒のワイヤが半径方向に整合されることを保証することによって達成される。
インダクタンス
コイル
閉鎖した平坦あるいは略々平坦なループのインダクタンスLfは、等価の円形フープのインダクタンス、即ち、同じ封止面積の円形フープのインダクタンスによって略々与えられる。この場合、
但し、Aは封止面積(enclosed area)、dは半径方向における導体の厚さ、nは半径方向における導体の巻数、Aは封止面積である。
分布コイル
分布コイルに対する有効な近似化は、下記の短い均等ソレノイドのインダクタンスLsにより行われる。即ち、
Ls=μon2・A/l・E (55)
但し、lは構造の長さ、Aは平均断面面積、Eは表面電流分布に対する適正な係数を示す表1に示された終端補正因数である。
インダクタンスに対する一般式は、
但し、pおよびqは、電流分布JpおよびJqがそれぞれ流れる2つの面の半径であり、DpおよびDqはそれらの各大きさである。
結果
1.離散弧状ループの設計
図14のこの設計は、ノッティンガム大学のMRセンターで現在使用中の3T全身MRシステムにおけるEPIに用いられる挿入型勾配コイルの構造用に実現された。このコイル構成は、炭酸カルシウムを充填したポリスチレン樹脂中に埋込まれ、x、yおよびz勾配コイルを組込んでいる。
寸法、接近性、使用可能な電源、そしてとりわけ全製造能力の実際の制約が、詳細が表2に示される設計をもたらす結果となった。
これは、50cmの半径における外部磁界が下記の如き磁気遮蔽システムである。即ち、
a)マクセル・コイルにおいては、2.4×10-7T/Amp−巻数(略々z=±20cmにおいて)
b)横方向勾配において、3.6×10-7T/Amp−巻数(z=0cmにおいて)
これらは、最悪点であり、受入れ得る限度内にある。
この設計による著しい音響ノイズ低下が、EPIの結果を仮想状態でボランティアの頭部で3.0Tで得ることを可能にした。最初の結果の一部が図23b、図23cおよび図23dに示される。
軸間スナップショット(transaxial snap−shots)が、脳室、灰白質および白質、および脳幹の細部を含む頭脳の順次像を示す。(a)ガラスおよび水の人体模型。面内分解能0.75mm。像アレイ・サイズ256×256ピクセル。スライス厚さ2.5mm。(b、cおよびd)正常なボランティアの頭部像。これら像の面内分解能は1.5mm。像アレイ・サイズ128×128ピクセル。スライス厚さ5mm。全ての像は単一スナップショットであり、それぞれ約140msで得られた。コイル・パラメータは表2に与えられる。
理論的設計はまた、以下を用いる横方向勾配セットのため作られた。2.定常(120°)角測長さの分布弧ループ;3.変化する角測長さの分布軸ループ;4.力表面電流分布;5.完全力均衡遮蔽面電流分布、および6.完全力均衡遮蔽面電流分布。戻り経路に対する力スクリーンを用いる。
比較の目的のため、これらの設計は、先に述べた分離弧ループ(discrete arc loops)を用いて作られたコイル・セットの寸法に限定された。これらは、長さが40cm、直径が40cmで、ROIは20cmの長さと直径の中心円筒領域として定義された。この理由から、一次コイルの制約長さのコイルに対する最適化方法−R.J.Turner(1986)の最適コイル設計に対する目標磁界の試み(J.Phys.D:Appl.Phys.第19巻、L147〜L151)が用いられた。最適化は、最大勾配(r=0、2、...10cm;z=0、0.2、...10cm)の面の1つの典型的象限に跨がる点の格子上で行われる。
定常(120°)角測長さの分布弧ループ
z=0における1対の基本弧ループからの磁界が拡張された軸方向範囲にわたり決定された。これらは、次に連続的な軸方向電流高調波で畳み込みが行われた。ROIにおける結果として得る磁界の最小2乗適合の結果、最初の4つの軸方向調和関数からなる最適電流分布を生じた。結果として得た(20)ループ位置は図18に示される。
変化する角測長さの分布弧ループ
式24を用い、結合弧の影響を無視して、最小2乗最適化の結果、4つの係数(0〜3)を含む解を得た。結果として得た(20)ループ位置は図19に示される。これらの長さは、弧を等電位の流線間に弧を配置することによって決定された。
均衡力表面電流の分布
この特定の設計規範は、拘束される一次面には適さない。その結果、式25を用いた結果の設計は、この特定の場合に特に有効ではない。長さの制約を持つこの設計の実際例は、分離弧ループ法より有効でない長さが10cm程度の関心領域において可能であるに過ぎない。
完全力均衡遮蔽面電流の分布
電流戻り経路の要件の故に、より長い前進システムが設計され、この場合一次コイルの長さの制約はやや緩めることができた。コイル寸法は、念頭にある実用上の配慮で選定された。典型的には、これらは患者のアクセスおよび電源の制限である。寸法は、
1.一次コイル半径(a)30cm
2.一次コイル長さ120cm(2×直径)
3.スクリーン半径(s)5cm(1.5×a)
4.半径が20cm(aの66%)と長さが40cmの円筒状ROI
一次スクリーンと磁気スクリーンの双方に対するフォース・スクリーン(force screen)は一貫して作られ、1つの結果として得る電流分布が決定された。個々の電流分布、および従ってワイヤ経路は、単にそれぞれ方位における一次スクリーンと磁気スクリーンの分布の半径方向スケールによって提供される。
力スクリーン面の半径は、勾配の効率を最大化するように選定された。これは、最初の電流調和関数に対する自己インダクタンスの最小化によって達成された。この結果、39.75cmの最適半径が得られた。式(27)および(28)からの勾配磁界の完全な最小2乗最適化が、この領域における半径に対して行われ、その結果表5の38cmの最適値を得た。一次スクリーンと力スクリーン(force screen)と磁気スクリーンの組合わせの1つの象限に対する結果として得た表面コイル分布が、図20a、図20bおよび図20cにそれぞれ与えられている。
各面において要求される電流は、表3に示されている。
戻り経路用のフォース・スクリーンを使用する完全力均衡遮蔽面電流分布
上記の実施例では、各面における電流分布の積分はゼロである。表3から、力(フォース・スクリーン:force scrcen)に流れる全電流は、略々他の2つの和である。このことは、略々妥当し、力スクリーンが他の2つのコイルの戻り経路のために利用される図21に示された可能性をもたらす。電流における残留不均衡が、これら弧からの半径方向作用力を均衡させるため結合弧の位置において要求される。キルヒホッフの法則が満たされる時力が正確に均衡することを幾何学的に照明することは簡単なことである。このことは、r−θ面上の投影を考えれば直ちに明らかである(I=I′+I″、図21)。
先に述べたように、完全な電流均衡、力均衡および磁気遮蔽のための別の拘束は、式(48〜50)の要求される同時条件を得るため4つの別個のコイルが巻付けられる少なくとも4つの面が要求されることである。これとの何らかの相違は、遮蔽または力の均衡または電流均衡のいずれかの妥協を必要とする。後者は、略々最初の瞬間に得られ、次いで不均衡を生じる弛みを吸収するように別の低電流経路を導入することにより得られる。
設計の比較
以下の表4は、これらの色々な設計に対する磁界品質、効率およびインダクタンスの比較を含んでいる。
分離状弧ループ設計
結果として得るコイルは、軸方向に非常にコンパクトである。これは、コイルを挿入勾配コイルに特に適したものにする。これらのコイルは構成が比較的容易であり、かつ(図17に示される構成の如く)更なる音響ノイズ低下特性を持つ構造に容易に組込むことができる。
定常(120°)角測長さの分布弧ループ
これらのコイルもまたコンパクトであるが、更により大きな軸方向長さの範囲にわたり勾配磁界を提供することができる。その結果、これらコイルもまた挿入勾配コイルの設計に適している。
変化する角測長さの分布弧ループ
これらの実施例は、コイルの軸方向長さの大部分にわたって勾配磁界を提供する点で定常角測長さのものに類似する特性を有する。結果として、これらの実施例は挿入勾配コイルの設計に非常に適する。
半径方向の分離を変えることにより、設計の効率を最適化することが可能である。
均衡力表面電流分布
横方向の勾配のためには、これらコイルは一般に、各表面における戻り経路を収容するため上記のループ設計よりも大きな軸方向長さを必要とする。これらは、全身の接近を許容する標準的勾配コイル設計に特に適する。
この遮蔽されない事例は、非効率的設計をもたらす結果となる。このことは、一次スクリーンおよび力スクリーンに対する電流還路がそれらの表面にそれぞれ別々に拘束されているという事実から生じる。
磁気的に遮蔽されると、この設計は、スクリーンにより提供される付加的な磁界によって効率が改善する。
全てのこれら設計は、磁気的に遮蔽することができ、この遮蔽はそれ自体一次力スクリーンと一致し得る第2の力スクリーンを包含することができる。
完全に力が均衡された遮蔽面電流の分布
磁気スクリーンの追加は、使用可能な磁界の大きさを改善すると共に効率をも改善するのに役立つ。この力スクリーン面は、一次磁界を部分的に遮蔽するという二次的効果を有する。電流比(a/b)が磁気遮蔽に要求されるもの((a/b)2)より高いので、力スクリーン面は一次の外部磁界を過剰補償する。従って、磁気スクリーン電流は、主として力スクリーンの外部磁界を補償して、ROI上の一次磁界に付加する。
最大効率を得るためには、磁気スクリーンおよび力スクリーンの表面は、できるだけ一次スクリーンから離れなければならない。スクリーンの半径は、通常はMRIシステムの自由開口によって制約を受ける。力均衡面の最適な位置決めを決定するには、他の物理的制限、例えば導体の最大電流保持容量が用いられねばならない。例えば、電流が流れる磁気スクリーンと組合わされる力スクリーン表面の軸方向長さは一次スクリーンに利用可能なものより大きい(通常は、2倍程度)。従って、一次側と同じ電流を運ぶ巻線数の2倍であることが望ましい。代替例は、最小合計インダクタンスあるいは最大効率のいずれかを提供するように力スクリーン面(force screen surface)を配置することである。
通常の磁気的遮蔽コイルの場合は、システムの総インダクタンスは、ちょうど一次側のインダクタンスとスクリーンの相互インダクタンスとの和である。
力スクリーンが導入され、その自己インダクタンスがゼロとなるようにその位置が選択されるならば、他の表面による相互インダクタンスは無視し得ることが期待できる。その結果、全インダクタンスLは通常の遮蔽の場合のそれと比肩し得ることになる。これは、更に最大効率をもたらす結果となり、その場合効率(η)は下式の如き定義される。即ち、
ここでIは単位勾配当たりの電流である。
全身コイル
この設計は、amp−巻数当たり1.2μT/mの勾配磁界を提供する。比較において、同様に最適化された遮蔽コイルはamp−巻数当たり2.6μT/mを提供する。完全に力均衡された遮蔽コイルは、インダクタンスのペナルティなしに付加的なスクリーン巻数で容易に収容できるが、スクリーンにおける著しく多くの電流を要求する。
この最適位置から一次側または磁気スクリーン表面へ力スクリーン面を移動すると、それ自体と前記表面の両方における電流の逓増的増加を結果として生じる。
戻り経路に対する力スクリーンを用いる完全力均衡遮蔽面電流の分布
図22a、図22bおよび図22cは、パラメータが後の表5に示される当該設計に対する一次側、力スクリーンおよび磁気スクリーンのワイヤ分布を示している。戻り経路(return path)がないことは、短いコイルを作るのにこれを特に適したものにする。この構造の形状との組合わせは、システムのインダクタンスを著しく減じて、非常に効率のよい選択になる。このような決定で、力スクリーン電流(その全ては小さい)に対する結線と必要な付加的な還路は無視される。これらの特徴の全ては、必要に応じて設計に組込むことができる。
「完全スクリーン電流の均衡による完全力遮蔽および能動型磁気遮蔽」において述べたように、一般に、式(48〜50)に対する正確な解を得るために4つの円筒が要求される。この章で示された事例では、僅かに3つの円筒が使用され、このことは完全な電流均衡のためには磁気遮蔽効率が悪くなり、あるいは磁気遮蔽が完全であれば、力の均衡が犠牲となる。
力の打ち消しの同じ原理が、接続ワイヤに対して適用し得る。内外の電流を運ぶワイヤは、磁界が無視できるようにできるだけ近くに一緒に配置されるべきである。このような構成における正味力は自動的にゼロとなるが、力は小さなスケールで有意にし得る。3つの選択は、撚り対(twisted pair)、並列導体、あるいは同軸ケーブルである。撚り対は、ほとんど外因性の磁界を生じないが、かなりの運動を許容する。更に、力がゼロである姿勢は存在しない。撚り対は、インターレース状コイル対と見做すことができる。その結果、この対の主軸を磁界と整合することで、実効コイル構成要素を最悪の姿勢にそのまま残す。
並列ワイヤの場合は、磁界のみに並列に整合される時、各ワイヤは絶対的にゼロの力を持つが、それぞれにおける力は、均衡されるが著しく他の姿勢であり得る。更に、小さいが正味の磁気双極子が存在する。
同軸ケーブルは、磁気を持たないので最適状態を呈する、即ち、それ自体完全に遮蔽し、力が姿勢に依存するが、1つの導体が他の導体に対して入れ子されていることが両者間の作用力を最適に分布させ、即ち、正味力もまた無論ゼロである。標準的同軸ケーブルは、高電圧および低電流に対して設計される。反対に、MRの要件は、高電流および中程度の電圧である。その結果、6.35mmの銅管ないに12本のAWG条溝ケーブルを入れ子することにより高電流低抵抗導体を自分で構成した。次に、全体構造を平坦に圧延してワイヤを所定位置に固定し絶縁のため柔軟性プラスチック管(Portex 7mm×10.5mm)内に配置した。
高周波音響ノイズの低減のための1つの戦略は、結合された均衡力対を吸収材中に密封することである。球面調和関数弧ループ(spherical harmonic arc loop)に対するこの構成例が図17に示される。
磁気的に遮蔽されない設計でも、一次側(primaries)と力スクリーンからの磁界がある程度打ち消すので、それ自体で部分的に遮蔽する。挿入コイルの場合のように一次側の長さが厳しく制限される時は、弧ループ設計の使用がかなり有利である。そうでない場合は、表面分布コイルの採用で得られる製造が更に容易であること更に優れた磁界品質が、これらを優れた選択にする。特定用途のため特定の実施例を実現するかの最終的な決定の前に、常に得られる空間および総コイル・インダクタンスも勘案しなければならない。
力遮蔽設計の採用により音響ノイズの著しい低減が可能であり、これによりより高い磁界システムにおける利益を増し勾配強さと切換え速度が増加することを証明する。これらの設計は、従来の遮蔽コイルよりも低減した効率に照らして、不当なオーバーヘッドを持たない。
他の設計の最適化方法論は、J.W.Carison、K.A.Derby、K.C.HawryszkoおよびM.Weideman(1992)の遮蔽された勾配コイルの設計および評価(Mag.Res.Med.26,191〜206)。総インダクタンスの最小化、効率の最大化などは、音響ノイズを低減する力スクリーンの使用と完全に比肩し得る。
分布弧ループ設計は、従来の設計よりも大きな長さ範囲にわたる均質性を提供し、これらの設計を挿入勾配で使用するために理想的にする。その高効率と共に、このことは、FLASHおよびEPIの如き要求が高度なMRイメージ形成技術での使用に特に適したものにする。全作用力の均衡に加えて、弧ループ設計はまた完全なトルクの打ち消しを提供する。弧ループ設計は、磁界の軸方向成分が2つの横方向成分より1回りあるいは2回り大きくなる如きものである。これは、軸方向成分が横方向成分の1つより小さい従来の横方向勾配とは対照的である。このことは、主体に加えられる勾配磁界のレベルに関してこの設計を本質的に安全なものにする。
分布面設計は、本質的に製造が容易である。これらの設計は弧ループ設計のように完全なトルクの打ち消しは生じないが、小さな方位距離にわたり小さな残留トルクが作用する。このことは、図13に示される如く軸方向長さの半分後とに働く大きなトルクを生じる従来設計と対照的である。
全ての設計は、磁気的に能動的に遮蔽されるように修正が容易に可能である。
能動型力遮蔽コイルの原理については記述し、このような試みがMRIに用いられる磁気的に遮蔽された勾配コイルおよび遮蔽されない勾配コイルにおけるノイズの発生の基本的原因に取り組むことができることが示された。この試みにおける主目的は.患者および動物用に安全かつ控え目のものである静粛な勾配コイルの生成であるが、力遮蔽コイルもまたコイルの運動が問題となる状況においては価値があり得る。このような状況は、非常に高い空間的解像度像が要求されるMRI顕微鏡検査において存在する。勾配コイル構造の小さな運動は、達成可能な最終的な解像度を振動させあるいは制約する結果を充分に生じ得る。
更に他のテスト結果について、図24乃至図26に関して式58乃至63を含めて以下に記述する。
以上の論議から、最良の効果でも、ストラット材料または可塑性樹脂の密閉がEに対して大きな値でありかつ密度ρに対しては小さな値であることが明らかである。このような組合わせは、高い圧縮波速度を生じることになる。このため、直感ではなく、高い強度の光結合構造が比較的重い材料としても役立ち、いずれの場合も重要な因子は高い波動速度である。重い充填材料が用いられる充填可塑性樹脂は、コイル装置にかなりの重量を加えることができ、かつ余分な強度を呈することができる。
均衡力コイルの原理は、勾配コイルの設計に対して直ちに適用し得る。最も小さな構成においては、図5の横方向勾配コイルを4つ以上の矩形状ループから設計することができ、その1つが図24bでx勾配Gxを生じるように示される。更に純粋な勾配に対しては、勾配コイル(gradient coil)は、図25aの平面図に示される如きn個の4組のループ(n quartets of loops)から構成することができる。この構成においては、ループの各4組(quartets:カルテット)が幅alと長さbnを持ち、巻数がNnの導体を含む。ループの連続的な組における電流はInに等しい。n番目の組に対する面の分離は2znであり、面内のループの変位は(an+xn)である。このようなコイル構成においては、作用力とトルクが打ち消し合う。空間的に更に均一な磁界あるいは磁界勾配がn>1で達成される。
大半の全身イメージ形成システムが対称の円筒状静電磁界を使用するので、先に述べた矩形状ループを弧状に変形することができる。弧が閉ループを形成するものとすれば、ループの面は磁界Bと直角をなし、コイルのワイヤがストラットあるいは樹脂中の埋込みによって機械的に結合されるものとすれば、全てのトルクと作用力はちょうど矩形状ループの場合のように均衡する。この結果は、ループ周囲の線積分が下式であるので、1つの面に拘束されかつθ=90°である電流Iを運ぶどんな閉ループに対しても真である。即ち、
■dF=0 (58)
この結果は、下記の如きループ中の電流が変化する線積分に一般化される。即ち、
但し、Iiは輪郭のセグメントに流れる電流である。この形態においては、力の均衡もまた開ループを用いて得られる。
弧ループ(arc loop)は、直列構成または並列構成のいずれか、あるいは両方の組合わせで接続することができる。全ての場合に、弧に対する接続は、フィーダとコネクタ・ワイヤ即ち導体が対で主磁界Bと並列に伸び、かつ望ましくは最終配線構成で可塑性樹脂中に固定されるように作られねばならない。
ここで述べる特定のテスト構成においては、2つの平坦な矩形状コイル50、51がそれぞれ10回の巻数のワイヤで構成され、コイル寸法はa=40cm、b=40cmである。2つのコイルは、その面がBに対して平行で7.5cm隔てられて同軸状に取付けされている。この構成は、図25bに平面図で示される。接続は、いずれか一方または両方のコイル(それぞれ音響的に遮蔽されない構成と音響的に遮蔽された構成と対応する)が電流ソース(図示せず)から駆動することができる如くになっている。図25bのの2つのハッチ領域が、反対方向の電流を運ぶワイヤ50、51を密封するように中実のポリスチレン52中に埋込まれた。ハッチは、樹脂中の埋込みにより生じるコイル間の機械的結合を示す。各コイルの電流は、等しく方向が反対である。Bと並列の導体における電流は作用力を生じない。従って、この構成は、戻り電流がx−y面内でゼロである開電流ループの一例である。コイル長さbが面の間隔xより大きいので、2つのワイヤ50、51(各コイルから1つ)の圧縮/延長方向の変位は、等しく方向が反対であると見做される。簡単にするため、各ワイヤ50、51は固体中の表面音響波を生じるものとする。この音響波は、遮蔽された場合に、下式により与えられるワイヤ位置に横方向の正味音響ソース振幅(net transverseacoustic source amplitude)A1を生じる。即ち、
A1′=±A1e2iπft(eikx c -αx−1) (60)
但し、A1は各ワイヤ位置における初期音響波振幅、fはコイルにおける電流パルスの印加周波数、kは下式により与えられるポリスチレン中の音響波伝搬定数である。即ち、
k=2πf/v (61)
また、αは単位長さ当たりの音響波の減衰である。簡単にするため、α=0とする。この横方向運動が、おそらくはブロックのトランスジューサ動作を介してz軸に沿った式(60)に対する類似の形態の音響波伝搬を生じるものとする。音響測定は、励起された一方もしくは両方のコイルにより行われる。
唯一のコイルの場合は、遮蔽されない音響ソースの振幅A0が
A0′=A0e2iπft (62)
により与えられる。
従って、式(60)および(62)から、dB単位のノイズ減衰Aは
A=−20log10([2A1/A0]sin(πxf/v)) (63)
図26は、いずれか1つのコイル、カーブAあるいは2つのコイル、カーブBがTECHRON(商標)増幅器(図示せず)から与えられる10Aの正弦波電流でパルスを与えられる時の実験的音響ノイズの減衰を示している。これらの結果は、エレクトレット・マイクロフォン(図示せず)タイプEK3033、KNOWLES(商標)を用いて得られ、その出力は20dBの利得の前置増幅器を介してHEWLETT PACKARD(商標)ネットワーク・アナライザ(HP8751A)へ送られた。このネットワーク・アナライザ出力は、TECHRON勾配電力増幅器(gradient power amplifier)を駆動するため用いられた。カーブCは、カーブAとB間の差である実験減衰である。また図26上でプロットされたカーブDは、理論式(10)であり、A1/A0=0.707、v=0.975×103msおよびx=0.075mである。
比A1/A0の1からの偏差は、唯一つのコイルが励起される時に力の不均衡と関連付けることができ、音響波振幅A0を有効に増加する。あるいはまた、この偏差はワイヤが円筒波を生じる事実から生じ得る。リボン導体は、平面波の発生に更によく近似する。vの値は、最適な適合を生じるように選定された。ポリスチレンに対するvの計算値は、範囲(1.15−2.02)×103ms-1に存在する。
データは、100Hzにおける約40dBから3.5Hzにおける0dBまでの正の減衰を示している。理論式が、平滑化データに対する合理的適合を与えて、以下に述べる理論的試みの実質的な補正を確認する。損失の少ない材料では、Aは比較的高い周波数で周期的にピークとなる。この挙動は、おそらくはα≠0の故に実験では観察されなかった。
勾配コイル設計における音響遮蔽の長さの重要な考察は勾配の効率である。音響遮蔽は不可避的に勾配の強さを減じる。従って、問題は、コイル電流が増加して勾配振幅の不足を生じる時に、得られる音響の減衰が損なわれるかどうかである。
実験は、図25bの1つのコイル面中心と直角に10cmの距離における点Pにおいて、遮蔽されない状態から遮蔽された状態への相対的な磁界の変化が3.16Tであることを示し、電流駆動における約3の因数の増加がこの点における全磁界強さの回復のため必要であることを示す。別の実験では、音響の減衰がコイル電流駆動と線形的に変形することが確定された。このように、電流における3倍の増加が、得られる音響減衰を9.5dBだけ低減することになる。しかし、この結果からは、約1KHzより低い周波数に対しては音響の減衰の利点が依然としてあるはずである。事態を改善するためには、より高い伝搬速度vを生じるワイヤ密封/埋込み材料が必要である。完全勾配コイル(full gradient coil)の設計においては、寸法に応じて、音響遮蔽なしに得られる電流への勾配強さを回復するため必要な電流の増加が僅かに因数2になるように充分に構成することができ、この場合の達成可能な音響減衰を6dBだけ減じる。
コイル構成の以上の記述では、一次コイルと種々の力スクリーンおよび磁気スクリーンを形成する用語「個々のワイヤ」の使用が強調された。これに代わる製造方法も同様に用いることができる。例えば、コイル構成の円筒状の各面に対する導体経路のレイアウトをエッチング法によって固体の銅(solid coppcr)または他の金属から作ることができる。更に他の代替方法は、ミリング・カッタまたは液体ジェット・カッターを用いて銅または他の金属板からワイヤ経路を切出すことである。
能動型の音響遮蔽および能動型磁気遮蔽を組込み、かつ図4、図5、図6、図7、図14、図15、図16、図17、図18および図19に関して先に概要を述べた如き本発明の拡張である本発明の更に別の実施例について、図27乃至図19に関して以下に述べる。図4乃至図7および図14乃至図19に含まれるコイル形態のどれでも磁気的に遮蔽することは可能であったが、磁気遮蔽の能動型音響遮蔽を達成するためには、更に2つの円筒面が必要であった。その第1の円筒面は能動型磁気スクリーンを担持し、第2のものはその能動型音響スクリーンを画定する。この別の実施例においては、図4乃至図7および図14乃至図19のどれかに概要を示した形式の勾配コイル構造を磁気的に遮蔽する統一的な方法について、次に述べる。特に、この構成は、例えば図7、図15および図16に示される如き閉じた弧状ループを含む円筒状対称勾配構成の場合に組込むことが可能である。
この別の実施例を理解する際に、内半径がρsであり電流還路が半径ρFに存在する2φ0の夾角で電流Iを運ぶ単一の弧状閉ループを示す図27を考察することが役立つ。閉鎖コイル・ループが完全にx,y面内に存在するものと考え、x,y面と直角をなすz軸に沿って存在する磁界強さBzに対する式を見出す。ρ<ρsの場合は、磁界Bzは下式により与えられる。即ち、
但し、Im(kρ)およびKm(kρ)は修正ベッセル関数であり、m=1,3,5...が極角度φ0における磁界の調和次数である。μ0は自由空間の磁気モーメントである。ρ>ρFである場合、磁界は下式により与えられる。即ち、
但し、c(k)は下式により与えられる空間的フーリエ変換である。即ち、
ここで、c(z)はz軸に沿った弧の分布、kはここではzの共役または循環空間変位である。実際のコイルの勾配においては、少なくとも4つの弧状閉ループの対称的配置が図7に示されるように配置されることになる。あるいはまた、図15および図16に示される如き4つ以上のループの分布を用いることができる。
先に述べたように、電流ループが閉鎖されるものとすれば、弧状ループ・ワイヤを拘束して密封するストラットまたは担持材料が存在するとして、各々における作用力とトルクの合計がループ均衡を分ける。図27は、式64乃至66と共に、閉鎖形態式を用いて入れ子状の弧ループの構成がどのように設計されるかを示す。4組の1つの象限(one quadrant of quartet)が図28に示される。この構成においては、特定のm値に対して要求されるBzの性格を最適化するように角度変位を選択することができる。より高次のmを取除くことにより、コイル構成内の磁界の純度を改善することができる。コイル構造内外の磁界強さに対して閉鎖形態式を生じることができるという事実は、一次コイル構成を磁気的に遮蔽するため構成でる1組の入れ子状ループを生成するため同じ数学的理論を用いることを可能にする。この一例は図29に示され、同図でも勾配コイルの一部が示される。入れ子されたループ(nested loops)60は、特定のオーダ(order)のmおよび特性φ2へ勾配を生じる一次勾配コイル・システムの一部を示している。コイル・ループ62は、能動型磁気遮蔽を含み、図29に示されるように、一次コイルに対して類似の極角度変位を持つ。しかし、ループ60の電流および半径は、図29に示されるように、同様な一次コイル構造62a、62bおよび62cを磁気的に遮蔽するように構成される。このような構成により、能動型磁気遮蔽が達成され、全ての勾配コイル構造がこの場合z軸に沿って存在する印加された静電磁界と直角をなす面内に存在するものとすれば、一次コイルまたは磁気的に遮蔽されたコイルのどちらかの閉鎖された各弧ループは常に力が均衡される(従って、トルクが均衡される)。
図27乃至図29に示されるものに対する代替的な能動型磁気遮蔽策は、半径ρFの外側に存在する半径bの円筒上の遮蔽コイルを形成することである。この場合、一次勾配コイル(1組の弧状閉ループを含む)を遮蔽するのに必要な電流分布は、下式により与えられる。即ち、
但し、空間的フーリエ変換Jφm(k)は下式により定義される。即ち、
実際の空間Jφ(z,ρ)における極電流密度は、連続関数が前記表面上の流れの関数に従ってワイヤにより置換されるが、能動型スクリーン上の実際の電流密度を記述する。単一の能動型磁気スクリーンを使用することは、ある程度この構成における一次コイルで得た音響し損なうおそれがあるが、能動型スクリーンの半径bが充分に大きければ、表面の電流密度、従って遮蔽コイルにおける電流は非常に小さくなり得、これによりこのスクリーン上のローレンツ力を最小化する。
先に述べた如き望ましい遮蔽方法は、弧状閉ループの第2の分布により一次コイルを遮蔽することであり、この場合、内部コイルの完全な磁気遮蔽のための条件は、下式により与えられる。即ち、
但し、ρS′およびρF′は、それぞれ図29におけるBで示される磁気遮蔽弧状ループの内半径と外半径であり、この場合
ここで、d(z)は一次勾配コイルを含む閉鎖弧c(z)の空間的分布を磁気的に遮蔽するため必要なz軸に沿った遮蔽弧の空間的分布である。式69は、遮蔽条件がm=1のみに対して評価されることを示す。一次弧状ループと遮蔽弧状ループが同じ面内に存在することは必要条件ではない。より純粋かつ高次の磁界または磁界勾配の生成のためには、ある範囲の極角度φlを持つ別の弧状ループが図28および図29に示されるように要求される。全ての次数が(2N+1)次のゼロ消滅以下であることの条件は、下式が満たされることである。即ち、
この式は、特定のm値、例えば、φ0=π/3に対して満たすことができる。3次のm=3は式64においてゼロになり、磁界の拡張時の最も低い非消滅次数としてm=5を残す。
一次コイルと磁気遮蔽コイルの両方に対する弧状閉ループの構成は、それ自体個々の弧状ループ構造の簡単な方法を可能にする。埋込み樹脂を用いる全コイル装置を浸す代わりに、更に別の構成は弧状ループにおける各ワイヤを平坦なストリップの形態にし、これを次に適当な材料から加工された良好に固く嵌合するスロットへ押込めることができる。この構成は、図30aに示される。この構成は、この材料が先に述べたように正しく選定されることを前提として、個々に取付けられたワイヤが非常に少ない音響ノイズを生じることを保証する。1本以上のワイヤが特定の弧状ループにおいて要求されるならば、代替的な構成として、各ワイヤが固くそれ自体の担持板に押込められること、かつこの板が図30bに略図的に示される如きスペーサと支持ロッド上に取付けられることが堤案される。このように、相互に巻付けられたワイヤ間の相対的運動は、可塑性樹脂などがワイヤ束に完全に浸透させる真空浸漬技術の必要もなく完全に排除される。先に概要を述べた方法はまた、それ自体で、ある種類のセラミック板およびピロサライト・ブロックの如き更に異質の支持材料の使用を可能にする。注入前のこの材料は、完全に加工が可能であり、スロット、穴などを加工することを可能にする。注入されると、この材料は更にセラミック状の材料となり、もはや加工できない。また、ガラスまたはガラス質の材料を同様に使用することも可能である。
上記の取付け手順において、矩形状または円形状の部分導体がスロットに挿入され、適当な接着材料、おそらくはエポキシ樹脂または他の硬度が非常に大きい硬化ポリマー樹脂が磁界でパルスを与えられる時のワイヤの残留運動を阻止するため注入される。セラミックを使用する利点は、先の実験章で述べた如く力均衡コイルにおける良好な高周波音響の打ち消しを生じる如き材料中における音響速度が非常に高いことである。
音響伝搬理論および実験結果との一致から、減衰A(式63)はsin(πxf/v)の関数である。これまで、全ての周波数に対して小さいsin(πxf/v)の論議を堅持するためには、理想的には波伝搬速度vが大きいことを必要とする。この要件を満たす適当な材料を選定する多くの可能性については先に述べた。しかし、生じた実験結果において充填ポリスチレン樹脂が用いられ、この材料に対する典型的な波伝搬速度は1km s1付近である。実験結果は、x=7.5cmの場合、ブロックが約6または7KHzで共振状態になることを示す。はるかに高い波伝搬速度を持つ材料は加工が難しく非常に硬化であることを念頭に置けば、これに代わる試みはポリスチレンの使用であるが、正弦波の引き数におけるxの値を減じる。xを減じる通常の状況下では、達成可能な磁界勾配を劇的に低減することになり、これによりはるかに高い駆動電流を必要とする。
図5、図6、図7、図12、図14、図15、図16および図17における如く一連の弧状閉ループにより磁界勾配が生じる本発明の更に別の実施例においては、各々の大きなループが多くの比較的小さなループにより置換されて複合力スクリーンを形成する。より小さな閉ループ構造の全面積は、理想的には置換する1つの大きなループの面積と等しい。
この実施例の一例は図33aに示され、図33bの幅2xの実質的に矩形状閉ループを含む。これは、2つのループの隣接するワイヤが相互に適正に近いものとすれば、図33a乃至図33bに示される如き幅xの2つのループと磁気的に等価である。これは、アンペアの循環定理(Ampere’s circuital theorem)に従う。このため、2つの回路は磁気的に等価であるが、これら回路は音響的には等価ではない。複合コイルの小さな各セグメントは、伝搬定数kの適当な材料中に密封される。隣接コイル間の間隔gは、伝搬定数k1を持つ材料により軽く結合される。この構成においては、各セグメントにおけるワイヤが対交点位置にあることを確認することが重要である。このことは、図34に示されるように、理想的には特定の周波数fにおいて、x=λ/2および更にg=λ/2であることを意味する。しかし、アンペアの回路定理を保持するためには、g≪xである。このことは更に、間隔v1における伝搬速度がv1=(g/x)vにより与えられねばならないことを意味する。比較的低い波速度を持つ材料を見出すことは比較的容易であり、従ってこの条件は満たすことが比較的容易であるはずである。
これに代わる試みは、図33cにおいて間隔を埋めることではなく、2つの複合コイルが自由に運動するように小さな空隙を許すことである。重要な点は、コイルが接触するかあるいはこの構成が全体としてモジュール化されるならば、等しいが反対方向の電流を有する隣接するワイヤが結果を損なう音響ノードを実質的に形成することである。
更に別の代替策は、図35の形態で各サブコイルをそれ自体のプレート(plate)上に載置することである。このプレートとワイヤが充分に薄ければ、2つの平坦コイルを一方のワイヤ厚さだけ偏移させる効果が磁気的な等価性を損なうことがない。1つのフープを1組n個のループで置換する効果について述べた全てのことは、構造の応答周波数をv/λからnv/λにすることである。このことは更に、図26における0dBの交点が同じ埋込み材料に対してはるかに高い周波数に移動されることを意味する。即ち、n個のループの場合、減衰A(式63)はsin(πfx/nv)の関数となる。このような試みにより、はるかに広い周波数レンジにわたって高い音響減衰を維持することが可能となる。
図36乃至図42は、複合力スクリーンの閉ループ構造に対する原理の種々の実施例を示す。図36a、図36bおよび図36cは、3つのセグメントからなる1つの矩形状の複合ループと、その磁気的に等価な1つのループを示している。また平面図で示されるのは、摺動ラップ・ジョイント(sliding lap joint)を用いて可能な構成方法である。図37a、図37bおよび図37cは、3つの弧状閉鎖部分からなる1つの弧状複合るのはと、その1つのループの磁気的等価性を示している。また、側面図で示されるのは、摺動ラップ・ジョイントを用いて可能な構成方法である。図38a、図38bおよび図38cは、2つの力均衡フープをその磁気的等価と共に含む複合フープ・コイルを示す。再び、図38cにおける如き摺動ラップ・ジョイントを用いて可能な構成方法が示される。
矩形状の閉ループおよび弧状閉ループにおいて、全てのセグメントにおける電流が等しいことが強調される。適正に力均衡されたフープの場合、電流は下記の比にあるべきである。即ち、セグメント化されたフープの場合、I2=−I1(a/b)であり;I3=I2(b/c)は、図38aおよび図38bに示される如く磁気的に等価である力スクリーン・コイルの場合は、I3=−I1(a/c)を生じる。
複合力遮蔽開ループ構造を形成するために同様なセグメント化を用いることができる。この事例は図39乃至図41に示される。図39a、図39bおよび図41cは、セグメント化された直線ワイヤの開ループ力均衡構成と、その磁気的に等価を摺動ラップ・ジョイントを用いて可能な構成方法と共に示す。図40a、図40bおよび図40cは、セグメント化された開ループの力均衡構成と、その磁気的に等価を摺動ラップ・ジョイント原理を用いて可能な構成方法を示す。図41aおよび図41bは、円筒状表面電流分布の一部を形成する開弧状ループに対する複合セグメント化力スクリーンを示す。この構成においては、一次コイルに対する力スクリーンが2つの円筒状セグメントから構成される。この2つの円筒状セグメントは、ポリマー材料中に適当に埋込まれるが、各セグメントにおける隣接導体に音響対交点円筒面を形成させるように薄いゴム片により相互に隔てられている。
図36aは、図36bにおける1つの閉ループに磁気的に等価である3つの複合閉ループを示す。図36cは、埋込み材料のスラブに埋設された3つのループの端面図を示す。各ループは、他の2つに対して運動することができる。各スラブの運動方向は、スラブが配置される1つの面内である。
図37aは、図37bにおける閉ループと等価である複合閉ループを示す。この複合閉ループは弧状を呈する。図37cは図37aの側面図である。
図38aは、フープの形態である複合閉ループを示し、図38bに示された1つのフープと等価である。図38cは、図38aの側面図である。弧状の複合開ループが図39aと図40aに示される。端面図が図39cおよび図40cにそれぞれ示される。複合開ループ相等物が図39bおよび図40bにそれぞれ示される。図40aおよび図40cに示される弧状の複合開ループ・コイルは同じ角度に対している。
図41bは、コイル210、212、230および232を含む構成200の部分断面図を示す。コイルは埋込み材料中に埋設される。外部の埋込みコイル支持部220は、圧縮可能なゴム・スペーサ250を用いて内部埋込みコイル支持部240から隔てられている。内径260は、物体(例えば、患者)がイメージ形成のため定置される場所である。
先に述べた実施例が単なる事例であって本発明の範囲から逸脱することなくその変更が可能であることが理解されよう。
Claims (11)
- 一様な静電磁界Bとともに使用される、磁気共鳴撮影に使用される音響遮蔽磁気コイル装置において、
第1の放射状の内部部分と、第2の放射状の外部部分である2つの弧状の電気的に導電的な部分であり、該2つの弧状部分は共通の原点を有し、該第1および第2の弧状部分の両方が該共通原点の同じ側にあり、該第1および第2の弧状部分はそれぞれ第1の時間的に変化する電流と第2の時間的に変化する電流とを運ぶ該第1及び第2の弧状部分と、
該第1の時間的に変化する電流と、第2の時間的に変化する電流とを該第1の弧状部分および該第2の弧状部分に供給する手段と、
該第1及び第2の弧状部分を機械的に結合する手段と、
を備え、
該第1及び第2の弧状部分が、開ループであり、電気的に相互に連結されない構成であり、該第1の電流及び第2の電流を供給する手段が、下式の線積分を満足し、
Σi∫i B×I idl=0;i=1,2
該第1の弧状部分に働くローレンツ力が該第2の弧状部分に働くローレンツ力を平衡にすることを特徴し、ここで上式で、アンダーラインされた文字はベクトル量を示し、Bは磁界であり、Iiはi番目の部分に流れる電流であり、dlは前記第1の弧状部分と第2の弧状部分の要素長である該音響遮蔽磁気コイル装置。 - 前記第1及び第2の弧状部分が、前記共通の原点に関して同じ角度に対する円弧であり、該共通の原点に関する該第1および第2の弧状部分の曲率半径がそれぞれaおよびbであり、第1の電流(Ia)と第2の電流(Ib)を供給する手段が
Ib=−(a/b)Ia
の電流を供給する請求項1に記載の音響遮蔽磁気コイル装置。 - コイルが入れ子された第1および第2の部分を各コイルが含む複数のコイルを備えた請求項1に記載の音響遮蔽磁気コイル装置。
- 前記音響遮蔽磁気コイル装置を能動的に磁気的に遮蔽する請求項1乃至3のいずれかに記載の音響遮蔽磁気コイル装置。
- 画像領域の対象物を映像化する磁気共鳴画像装置において、
各々が請求項1乃至4のいずれかに記載されるような音響遮蔽磁気コイル装置である複数の音響遮蔽磁気コイル装置であって、該コイル装置はコイルの各々の内部部分の間に該対象物を映像化する画像領域を規定する、該複数の音響遮蔽磁気コイル装置と、
該画像領域に実質的に一様な静電磁界を発生する手段とを備える磁気共鳴画像装置。 - 内部部分と、外部部分とが、共通の原点を有し、該共通の原点に関して同じ角度に対し、該共通の原点に関する該第1および第2の弧状部分の曲率半径がそれぞれaおよびbであり、第1の電流(Ia)と第2の電流(Ib)を供給する手段が
Ib=−(a/b)Ia
の電流を供給する請求項5に記載の磁気共鳴画像装置。 - 前記音響遮蔽磁気コイル装置の各々が、複数のコイルを含み、コイルが入れ子された、内部部分と外部部分とを各コイルが含む請求項5または6に記載の磁気共鳴画像装置。
- 前記音響遮蔽磁気コイル装置を能動的に磁気的に遮蔽する請求5乃至7のいずれかに記載の磁気共鳴画像装置。
- 請求項5乃至8のいずれかに記載された磁気共鳴画像装置の作動方法であって、
各々が請求項1乃至4のいずれかに記載されるような磁気コイル装置である複数の音響遮蔽磁気コイル装置を供給するステップと、
該コイル装置の各々の内部部分の間に規定された画像領域に映像化されるべき対象物を配置するステップと、
該画像領域に一様な静電磁界を発生するステップと、
磁気共鳴画像処理を実行するステップと、
を備えた磁気共鳴画像装置の作動方法。 - 内部弧状部分と、外部弧状部分とが、共通の原点を有し、該共通の原点に関して同じ角度に対する円弧を含み、該共通の原点に関する該内部部分と外部部分の曲率半径がそれぞれaおよびbであり、第1の電流(Ia)と第2の電流(Ib)が
Ib=−(a/b)Ia
である請求項9に記載の磁気共鳴画像装置の作動方法。 - 前記音響遮蔽磁気コイル装置を能動的に磁気的に遮蔽するステップを更に含む請求項9または10に記載の磁気共鳴画像装置の作動方法。
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