JP3737829B2 - Mri用静音グラジエント・コイル設計における能動的音響制御 - Google Patents

Mri用静音グラジエント・コイル設計における能動的音響制御 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、磁気共鳴画像法(MRI)における音響的に静音であるグラジエント・コイルの設計に関するものである。
背景技術
磁気グラジエント・コイルはNMR画像法(生物医学でのNMR画像法、マンスフィールドP.、およびP.C.モリス、アカデミック・プレス、ニューヨーク(1982年))の必要条件であり、拡散の研究や流れなどのNMR応用範囲にも使用される。NMR画像法では、より高い静磁場強度を伴った急速なグラジエント切替は、よくて不快なものであり、最悪の場合には患者に危害を及ぼすこともある。成人や子供に関しては耳を防護する器具を使用することで、ある程度の保護が可能だが、胎児のスキャニングや動物への応用例では、音響的防護は困難、もしくは不可能である。
このような音響雑音の問題を改善しようとする目的で、いくつかの試みが成されている。例えば、コイルをゴム製のクッションの上に軽く取り付ける方法、グラジエント・アッセンブリ全体の質量を増す方法、および音を吸収するための吸音フォームを用いた吸音技術などがそれである。また、局所的に音の空白領域を作り出すために、ヘッドホンに逆相の雑音を入れる音響雑音相殺技術もいくつか提唱されている。これらの方法は周波数や位置に依存することから、雑音が抹消されるずに、逆に雑音の振幅が倍加されるという事故も起こり得る。
本発明は静音磁気グラジエント・コイルの音響出力を能動的に制御する新規な方法に関するもので、以下、単に磁気コイルまたは磁気グラジエント・コイルにおける能動的音響制御と呼ぶことにする。これは非制御の能動音響遮蔽法の業績(P.マンスフィールド、B.チャップマン、P.グローバー、およびR.バウテル、国際特許申請、番号PCT/GB94/01187;優先データ9311321.5、6月2日(1993);P.マンスフィールド、P.グローバー、およびR.バウテル、能動音響遮蔽。MRIにおける静音グラジエント・コイルの設計の原理。Meas. Sci. Technol. 5, 1021−1025(1994);P.マンスフィールド、B.L.W.チャップマン、R.バウテル、P.グローバー、R.コクソン、およびP.R.ハービー、能動音響遮蔽。ローレンツ力平衡法によるグラジエント・コイルの雑音削減。Magn. Reson. Med. 33, 276−281(1995))を越えて、音響雑音の問題に再び取り組んだもので、雑音抑制技術を大きく前進させるものである。
発明の開示
本発明は、静磁場に置くのに適した、能動的に音響制御される磁気コイル系を提供するものである。コイルは複数の第1導体と、複数の少なくとも第2導体とを含んでいる。第1と、少なくとも第2導体は、予め設定された音響伝搬特性を持った、少なくとも1つの材料ブロックによって機械的に連結され、第1と、少なくとも第2の導体は予め設定された距離だけ互いに離れている。また、前記第1導体に第1の交流電流を提供するための第1の電流供給手段、および少なくとも第2の交流電流を前記第2導体に供給するための少なくとも第2の電流供給手段とを含んでいる。前記第1、および少なくとも第2電流は、振幅が異なり、かつ、変動し、位相も異なり、かつ、変動することを特徴とし、これらの特徴はいずれも材料の音響特性、形状寸法、および予め設定された距離によって決定される。
第1と第2の電流供給手段は、その波形が制御可能な電流波形を供給する手段を含んでいてもよく、前記波形は機械的連結材料の波伝ぱ特性特徴に合うように波形成形される。電流の波形は矩形、もしくは台形でもよく、その場合、第2電流波形は第1の電流波形よりも遅延させる。したがって「交流」という表現には矩形や台形波形が含まれ、「可変相対位相」という表現には遅延第2波形が含まれる。
第2波形の前縁と後縁は時間的に遅延され、音波が伝搬している材料ブロックの遠位側に到達する波形に合致させることで、機械的連結材料の波伝ぱ特性特徴に合うように形作られる。
第2電流の振幅は第1電流に対して定まった比率として計算されることが望ましく、定義されたその比率は第1と第2導体との間隔、および連結材料の音響伝搬の両方の関数である。
実施形態としては、第1の導体が外側ループを形成し、第2の導体が内側再入ループを形成するのが望ましい。
内側再入ループは実質的に平行な第1と第2の経路部分からなり、これら経路部分は比較的短い接合部分によって接合され、第1と第2部分は別々の第1、および第2の材料ブロックに埋め込まれており、これらのブロックは互いに機械的に連結されている。
連結方法は第1と第2のブロックを隔てるための空隙に、間隔を置いて配置されたスペーサーを用いるのが望ましい。
別の方法として、適切な連結材料を用いた機械的連結法がある。
連結材料は第1導体や外側ループを支えるのに使用されているものとは違った、ポリマー材料やゴムなど、より柔らかい材料であるのが望ましい。
また、本発明では能動的音響制御磁気コイル系の設計方法も提供する。それは次のような手順からなる。
a)実質的に平行している第1と第2の導体経路を定める。
b)予め設定された特徴を持つ音響伝搬材料を定め、これを平行する第1と第2の導体を予め設定した距離だけ隔てて包み込むのに使用する。
c)第1の振幅および位相にある第1の交流電流を決定し、第1の平行導体経路の中に流す。
d)第1の振幅や位相とは異なった第2の振幅および位相にある第2の交流電流を決定し、第2の平行導体経路の中に流す。このとき第2の電流の振幅と相対位相は材料の音響特性、形状寸法、および予め設定された距離によって決定される。
本発明においては、実質的に平行な経路は、例えば矩形のループが閉弧ループに変形された場合には弧状であることもある。この発明の中で用いる「実質的に平行」という表現は、間隔が等距離な弧状経路を含むものと定義する。
本発明ではさらに、機械的に連結された系の中で実質的に平行な4つの導体を含むコイル構造を提供する。これは外側の第1と第2の導体、及び、内側の第1と第2の導体を含んでおり、外側の第1と第2の導体は、それぞれ、定義された音響伝搬特性を持つ第1と第2のブロック材料によって、内側の第1と第2の導体に機械的に連結される。第1と第2ブロックは、第3の音響伝搬材料によって接合されている。
第1と第2のブロックの材料は、第3の音響伝搬材料と同一の材料であっても、音響伝搬特性が異なっていても構わない。
第3の音響伝搬材料は空気であってもかまわない。
本発明は、また、外側の第1と第2導体に、第1の振幅と位相を持つ第1の交流電流を供給する手段、および、内側の第1と第2導体に、第2の振幅と位相を持った第2の電流を供給する手段を提供する。第2の振幅と位相はいずれも第1の交流電流のそれとは異なる。
本発明は、更に、能動的音響制御磁気コイルの励磁電流を供給する装置を提供する。ここの装置は、第1の位相にて、磁気コイルに第1の電流を提供するための第1コイル電流供給手段、及び、第1の電流とは異なり、かつ、変動する振幅、並びに第1の位相とは異なり、かつ、変動する第2の位相を持つ第2の電流を磁気コイルに供給するための第2コイル電流供給手段を含んでいる。
この装置は、同様の波形で、遅延変量分だけ遅延されたパルス励磁電流を供給することもできる。
第1と第2の電流のそれぞれの位相を制御するためには分相器を利用するのが望ましい。
コイルから発する音をモニタするために音響フィードバックが提供されることが望ましい。
さらに、コイル系には能動磁気遮蔽コイルが含まれていることが望ましい。
以下、例を挙げ、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図の示す内容は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
図1は、等しく、かつ、逆の電流を流す、質量mが等しい導体の連結された線要素2本dlを示している。この系の重心は、ばね定数kが等しければ固定されたままである。この系は磁場Bに入れ、これによって力Fが発生して変位が生じる。
図2は、磁場Bに入れられ、電流Iを流し、ループ面がBに対して正規な矩形の導体ループを示している。すべての力FおよびF'は平衡している。
図3(a)は、電流I1とI2を流し、同じ面にある平行した真っ直ぐの2本の電線を示している。電線は硬い材料ブロックによって機械的に連結される。電線の面は、z軸にそろえた磁場Bに対して正規となるように配置されている。
図3(b)は上記(a)に示した電線対の平面図であり、ローレンツ力FとF'がブロックを締め付け、点線で示すように変形させ、±z軸に沿った密封固体の表面から音Sが発せられる。
図4は幅がa、長さがbである2つの矩形ループからなる試験コイルの平面図を示したものである(図2も併せて参照)。コイルは距離xだけ間隔が開けられている。コイルの面はBと平行である。斜線部分は樹脂への埋め込みによってコイルの間に作り出された機械的な連結部分を示している。各コイルI1、I2に流れる電流は、一般的に、等しくはなく、逆である。Bと平行の導体の電流は力を発生しないことに注意されたい。y軸に沿った両方のコイルの長さはbである(図示せず)。
図5(a)は、試験コイルの実験構成のスケッチを示したもので、試験コイルは、分相器と、2本のコイルに別々の電流I1及びI2(相対位相φ)を供給する独立したTechron増幅器とを経由して、Hewlett PAckardネットワーク・アナライザによって励磁される。試験コイルからの音響出力は、マイクロホンによって受音され、ネットワーク・アナライザにフイードバックされる。
図5(b)は、パルス・グラジエント・モードで運転するときに要求される追加的な電子機器を示したブロック図である。この装置はまた、波形が可変で、遅延変量分だけ遅延されたパルス励磁電流を供給することもできる。
図6(a)は、図5(a)の試験コイル構成に関して、音圧レベル出力Is(dB)に対する周波数f(kHz)を示したグラフである。受音マイクロホンはコイル構成の1つの面から約1mのところに置いた。線は,α=θ=0、20log101=80dBの時の、式[12]の理論曲線である。詳しくは本文参照。四角印はI1=−I2の場合の実験データを示している。丸印は位相が180°の状態から変動した場合、若干低くなるIs値を示している。三角印はIsがさらに減ったことを示している。Δ1は電流I1の初期値20Aからの増分に対応しており、Δ2点は、雑音出力が理論から予期されるとおり、全般的にさらに大きく減少したことを示している。
図6(b)は、丸印のデータ点に関する位相角φ対fのグラフである。一旦この位相を発見した後は、その後I1とI2の振幅が変動しても変化はなかった。直線は式[17]による理論位相である。詳しくは本文参照。
図7はx軸に沿って磁場グラジエントを発生するように構成されたカルテット(4つ1組のもの)の組からの矩形電流ループのn番目のカルテットを示した平面図である。n番目のカルテットの中心線の電流の向きが全て同じであることに注意されたい。y軸に沿ったコイルの長さはbnである(図示せず)。
図8(a)は電流I1を流す矩形電線ループ及び電流I2を流す第2の再入ループを示す図である。外側と内側のループはポリマー・マトリクスの中に支持される。ループ面は磁場Bに対して正規となるように構成されている。
図8(b)は、式[17]上記の図8(a)の電線ループ構成の平面図である。ループ構成の各半分はポリマー樹脂の中に固定され、各半分の間の隙間は中央に空隙を残しながら同じ材料で充たされるか、ループ・アッセンブリの両半分が機械的に連結できるような異なった材料で空隙全体を充たす。図示した通り、アッセンブリの各半分の電流I1とI2は逆相である。
図8(c)は、空隙にまたがる正味の抗張力、及び、圧縮力を許す、プレートの各半分を機械的に連結する別の方法を示している。
図9は、図8で示したのと同種の二重矩形ループのアッセンブリの平面図を示したもので、アッセンブリでは、領域0において静磁場Bに対して横方向である磁場グラジエントを生じるように構成されている。各四分円の外側ループは電流I1を流し、各四分円の内側再入ループは電流I2を流す。導体は適当なポリマー樹脂に固定し、中央に空隙を残しながら同じ材料を用いることも、各四分円の半分を隔てる異なった材料で空隙全体を充たすこともできる。
図10は図4に示したのと同種の機械的に連結された、電流I1及びI2を流す矩形ループのアッセンブリの平面図を示している。このアッセンブリは、0領域に、静磁場Bに対して横方向である磁場グラジエントを生じるように構成されている。
図11(a)は図9に示したのと同種のグラジエント組の1つの四分円の側面図を示す。ただし図示される通り、矩形ループが閉弧ループに変形されているものを示したものである。外側ループは電流I1を流し、内側再入弧ループは電流I2を流す。外側ループが閉じているために、I3=I1である。導体は適当なポリマー樹脂に固定し、中央に空隙を残しながら同じ材料を用いることも、各四分円の半分を隔てる異なった材料で空隙全体を充たすこともできる。
図11(b)は閉ループ構造を構成する指紋形模様の分布巻の同心円筒横コイルの端面図である。コイル構造の厚さが
Figure 0003737829
である限り、円筒の平均半径、電流I1、I2、および相対位相φは式[26]にしたがって決定される。コイルはポリマー・マトリクスの中で支持される。電線に関する詳細は、中央に空隙を残した同じ材料、もしくは異なった材料で充たされる空隙と共に挿入図に表示した。
図12のスケッチは実験データを得るための2つの形状寸法における電線のレイアウトを示したもので、図12(a)は矩形板状レイアウトを示す。図12(b)は閉弧ループ・レイアウトを示す。板の寸法は図に示した。板は2mmの空隙を残して、それぞれにスロットを設けた。
図13(a)はスペーサ−(斜線部分)を有する複数のプレートからなるグラジエント・セットのスケッチである。アッセンブリ全体はテンション・ロッドの圧力で圧縮される。スペーシング材料はゴム、バルカナイト、もしくはこれに類似した吸音材である。図13(b)は逆巻の埋め込み冷却管を持つスペーサーの1つのスケッチを示す。図13(c)はy−グラジエント・コイル・プレートの1つのスケッチを示している。
図14(a)は点Oにおいて、対する異なった弧角を持つ閉ループ音響制御コイル部分のための電流経路のスケッチを示し、図14(b)は再入ループ形成音響遮蔽を有する閉弧ループのための電線経路を示す図である。点線Abに沿ってスロットが切られている。
図15は電流I1を流し、z−グラジエント・セットの一部を形成する半径がaである音響的に制御されたフープ(帯鋼、たが)の電流経路を示したスケッチである。音響遮蔽は、主フープと同軸かつ共面で、半径がbである第2のフープ内に電流I2を流す。すべての電線は適切なポリマー樹脂製の板の中に差し込み、もしくは埋め込み成形される。点線は電線のための板の配置を示している。
図16は、半径がaで、電流I1を運ぶ導電フープの音響制御のための別の構成を示したスケッチである。半径がb及びb'である電線からなる音響遮蔽には、電線(点線)の間にスロットが設けられ、内側の電線フープの一体性を維持するための3つの部分が示されている。電流±I2は半径がそれぞれbとb'である電線の中を流れる。第3の電流−I3は半径がcである外側のフープの中を流れる。すべての電線は適切なポリマー樹脂製の板の中に差込み、もしくは埋め込み成形される。点線で描いた内側と外側の円は板支持材の寸法を示したものである。
図17(a)は、電流I1を流す半径aの主フープの一体型磁気遮蔽と音響遮蔽を示したものである。磁気遮蔽は半径cの筒に設けられる。音響遮蔽は主コイルと磁気スクリーンの間に設けられ、電流は半径b、b'において±I2である。音響遮蔽電線の間には細い連続的なスロットがある。2つの支持材料を利用して半径と厚さがそれぞれa,x1およびb',x2である2つの同心環状円筒が形成される。これらの特性はそれぞれV1、α1およびV2、α2である。
図17(b)は、指紋形模様の横グラジエント主コイルの一体型の磁気遮蔽、および音響遮蔽(図示せず)を示す図である。主コイルと音響遮蔽の半分は内側の円筒環に埋め込まれる。磁気遮蔽及び音響遮蔽のもう半分は、内側の環とは材質の異なる外側の円筒環に埋め込まれる。この2つの円筒は軽く連結される。すべての電線は環状円筒に切削によって設けられたスロットに差し込まれるか、適当なポリマー樹脂によってその中に成形される。
図18は、図12(a)の矩形板配置における音響出力強度I5対fを示したものである。四角印はI1=−I2であるときのデータに相当する。曲線はθ=α=0であるときの理論式[14]である。三角形は音響遮蔽が適切に調節されたときに出力が減少した状態を示している。肩文字1はI2が変動するときのI1=10Aに相当する。肩文字2はI1が変動するときのI2=10Aに相当する。これらのデータは、周波数によっては−10dBよりも良好な残留減衰が得られていることを示している。式[31、32]参照。
図19は位相φに対する図14のデータに相当するfの変動を示したグラフである。
図20は図12(b)の弧状部分構成における音響出力強度I5対する周波数f(kHz)を示したものである。四角印はI1=−I2であるときのデータに相当する。曲線はθ=α=0であるときの理論式[14]である。肩文字aとbはそれぞれ、板材料のポリスチレン、もしくはPerspexを表したものである。三角形は音響遮蔽が適切に調節されたときに出力が大幅に減少した状態を示している。肩文字1はI2が変動するときのI1=10Aに相当する。肩文字2はI1が変動するときのI2=10Aに相当する。これらのデータは、周波数によっては残留減衰量が0dB内外であることを示している。式[50、61]参照。
図21は、位相φ対図20に対応するfの変動を示したグラフである。肩文字a、bはそれぞれ、板材料のポリスチレンもしくはパースペックス(Perspex)を示す。
図22は、主半径がaで、磁気遮蔽半径がbである能動磁気遮蔽コイルの側面高さ(実線)を示したスケッチである。また、点線で示されるのは音響遮蔽の配置である。主コイル音響遮蔽の半径はfで、磁気遮蔽の音響遮蔽の半径はFである。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しつつ本発明を解説していく。
基本原理
電流Iが流れ、均一磁場B=Bkに置かれた導体エレメント ι=ιηは、次の式で表される単位長さ当たりF=Fζのローレンツ力を受ける。
(式1)
F=Il×B=ζBIsinδ [1]
このときδは導体と磁場方向との間の角度で、η、ζ、およびkはそれぞれ、導体方向、力方向、そして磁場方向に沿った単位ベクトルである。δ=0、F=0、δ=90°の時、Fが最大となる。導体を生かしたときに動いたり、曲がったりしないように、不動の巻型にしっかりと固定することができれば、音は発生しない。
実用のコイル系では、巻型の質量を増して実質的に不動にしようとすることが試みられるが、現在の高速画像技術において、グラジエントを発生するのに高い静磁場と非常に高い電流を使用している状況では、磁力があまりにも大きく、実質的に不動の質量を作り上げるのは不可能である。
最も単純な形態として、能動的力平衡法は機械的に連結された、等しく、逆の電流を運ぶ真っ直ぐの平行電線を利用する。電線エレメントの対に関する構成を図1に示した。質量mはそれぞれ連結定数κのバネによって連結されている。電線を通る面は場Bに対して垂直となるように配置される。
能動的力平衡コイル
上記の能動的力平衡の原理を利用して、電流Iを運ぶ導体からなる矩形ループを考え、図2に示すように、これを磁場Bに置いた。コイル・ループの面がB場の方向に対して垂直である場合、導体内のすべての力F、F'は電流Iのすべての向きにおいて等しく、逆となる。これらの力を非圧縮型の支材や連結材で連結すれば、系内のすべての正味力の平衡をとることができる。さらに、すべてのモーメント、連結が抹消され、したがってトルクも抹消される。
非圧縮型の材料を使用した場合、導体そのものが動けないことは明らかである。そのような場合、このようなコイル構成で音が発生することはない。むろんコイル構造全体を適当なプラスチック樹脂で充填、または埋め込むこともできるし、個別の支材やつなぎ材に代わるべく、実質的に連続した支材や連結材でブロックのくぼみに入れることもできる。
圧縮型支材
固体は全て粘弾性特性を有している。これの意味するところは、上述の雑音抹消方式には、導体の残留動作があるという点で限界があるということである。導体が急に動くことで、振幅が進行的に減衰する圧縮波が材料の中に送り込まれる。そのような波の速度vは次の式で表される。
Figure 0003737829
ここで、Eはヤング係数、ρは材料の密度である。速度と波長λは次のような関係になっている。
v=fλ [3]
ここでfは伝ぱ波の周波数である。
音響制御理論
簡略化の目的で、間に距離xの隙間があり、長さbのブロックによって連結された2本の真っ直ぐな平行の電線(図3(a)参照)を考える。2本の電線の位置におけるブロックの一般圧縮/膨張変位を考える。振幅がI1、I2で、位相差がφである電流によって電線が励磁されている場合を考える。電線はそれぞれ面音響的な波を固体に放射する。この波によって、次の式で表される電線位置において音源の横方向の正味振幅Asが発生する。
As=A1eiωteikxe-αx+A2ei(ωt・φ) [4]
ここで、A1及びA2はそれぞれI1とI2に比例する各電線位置における最初の波振幅でω=2πfである。fはコイル内の励磁電流の適用周波数、kは次の式で表されるポリマー・ブロックの波伝ぱ定数である。
k=2πf/v [5]
また、αは単位長さ当たりの波減衰量である。この横方向の動作が、図3bのスケッチで表したようにブロックの変換器の動作を通じて、式[4]に関連した形態の波伝ぱSをz軸に沿って生じさせるものと想定する。音響測定は1本、もしくは両方の電線が生かされている状態で行うことができる。
1本の電線の場合、無遮蔽音源振幅As1は次の式で表される。
Figure 0003737829
ここで、ブロックのマクロ並進の可能性があるために、一般的には
Figure 0003737829
である。位相φを、次の式で表される2つの構成要素に分割する。
φ=π+θ. [7]
次に振幅A2を次のように表記する。
A2=A1e [8]
このとき、因数e−βが減衰項となるようにβは実数する。
Figure 0003737829
で、
Figure 0003737829
であるために、電流I2を次のように表記することができる。
I2=I1e. [9]
2が実験管理のもとにあるか、I2が変動することで、実質的にβがゼロ以外の値となる。式[7]と[9]を使って、式[4]を次のように書き直す。
As=A1eiωt(eikxe-αx-ee). [10]
β=αχで、θ=kxとなるように位相を変えることで、As=0とすることができる。θ,βはいずれも実験を通じて得られる数値である。式[10]を消してしまう上記の条件は、能動的音響制御の新しい基本原理となる。β=αχとなる特殊の場合においてのみ、式[10]から次式が得られる。
As=A1eiωte-αxei(kx+θ)/2[ei(kx+θ)/2-ei(kx+θ)/2]
=A1eiωte-αxei(kx+θ)/22isin[(kx+θ)/2]. [11]
したがって、この構成における、発生した音の強さのデシベル値Isは次式に比例する。
Is=20log10{2A1e-αxsin{(kx-θ)/2}}. [12]
1本の電線について、発生した音の強さのデシベル値は次式の通りである。
Figure 0003737829
したがって発生した音の強さの相対減衰Aは、次の式で求められる。
Figure 0003737829
したがって、あるvとfの値において、θには発生した音の強さの相対雑音減衰の無限値を与えることができる。式[14]のθに加え、無限減衰の条件を満たす値は他に数多くあることを指摘しておきたい。例えば、θ±nπもこの条件を満たす。この点については再び実験セクションで言及することにする。むろん、α自体が周波数の関数である場合、βを各f値について調節する必要が出てくる。
理論位相
固体中の音伝ぱ速度vが周波数と独立している場合、固体の片側で発生させた音パルスは、次の式で求められる時間γだけ遅れて、距離xを進む。
τ=x/v. [15]
したがって、周波数fにおいて、式[14]を消すところの、これに対応した位相遅延は次のようになる。
θ=+ωτ±nπ=+2πfτ±nπ. [16]
したがって、θはfに比例し、f=0の場合はゼロである。全位相φへの代入、式[7]からは次式が求められる。
φ=π(1±n)+2πfτ. [17]
我々の場合、装置の限界のためにnはn=0,±1の値しかとることができず、周波数による位相変動を表す3つの式ができる。
能動的音響制御に関するこの新しい原理を導入することは、ポリマー樹脂や支持材料の選択がこれまでほど厳密でなくてもいいということである。これによって波伝ぱ位相と波減衰を完全に補正することが可能となる。
実験構成
上記で構築した理論を試験するために、それぞれ電流I1とI2という電流電源によって独立して励磁することができる平行で平らな矩形コイル2本を含む試験コイル構成を製作した。
この構成は図4の平面図に示した。図4の斜線部分は、能動電流搬送電線を固体ポリスチレンの中に埋め込んだ。したがって、各端部の電線は図3(a)に相当する平行対として振る舞う。埋め込まれた電線の2つめの対は、各個別のコイルの電流帰路の一部である。その構成が幾何学的になっているために、Bの方向に沿って流れる電流はローレンツ力を受けない。音Sは示されているように各ブロックの前面に垂直な方向に発せられる。
コイルはそれぞれ電線を10回巻きつけて製作した。コイル寸法はa=40cm、b=40cmである。2本のコイルはそれぞれの面がBに平行で、7.5cm離れた状態で同軸に取り付けた。
図5(a)の構成図回路は実験構成を示したもので、AFソース、および受信信号ディスプレイを持ったHewlett PAckardネットワークアナライザ(HP8751A)を含んでいる。AF出力は分相器を経由して2台のテクロン(Techron)増幅器に送られる。分相器は、振幅と相対位相、つまりV11およびV22を独立して調節できる2つの定電圧信号AFを提供する。Techron出力は試験アッセンブリの各コイルに別々に送られる。試験アッセンブリは、図4に示した方向に沿った磁場におく。
試験コイルから発せられる音は、発音面から約1m離れた中心位置(図4、点P)に置いたエレクトレット・マイクロホン(RS 250−485型)で拾う。マイクロホンの出力は20dBのゲインを有するプリアンプに送り、ネットワークアナライザ入力Rに戻した。また、ネットワークアナライザは入力A、Bを経由して、電流の振幅と位相を監視するのにも使用した。
パルス・モードでの動作の際には、図5(b)の回路を図5の回路の点P、P'、およびQ、Q'の間に挿入する。この構成では、スイッチS1とS2は分相器入力をOFFにし、非分散型の電線支持材料の場合は、個別に可変の振幅や波形を持った、形のある出力パルスを発生するパルス発生器PG1とPG2をONにする。これらは次にグラジエント励磁増幅器への入力信号を形成する。各パルス発生器は、図5(a)、(b)の共通トリガ入力Tに関連して、可調整のディレイD1、D2を経由してトリガされる。一般的に、D1はゼロに、D2はパルス振幅PG2と共に可変とし、雑音出力を最低限に抑えることができる。音響分散型の連結材料に関しては、支持ブロックの遠位側に到達する波形を観察する必要がある。次に、この波形を利用して出力波形PG2の振幅と波形を発生する。
実験結果
図6(a)は各種の条件下で両方のコイルに正弦電流を供給したときの音響雑音出力実験データを示したものである。四角印のデータ点はI1=−I2=20Aのときに得られたものである。理論曲線、式[12]もα=0、およびθ=0で、20Log101=80dB、v=0.975×103ms-1、およびx=0.075mのときに決めたものである。vの値は最適のはめ合いが得られるものを選択した。ポリスチレンのvの計算値は(1.15−2.02)×103ms-1の範囲内にある。点4は、クラドニ共鳴や構成座屈モードによる不正データである。
完全を期すためにここに含めたが、圧縮波理論には無関係である。
丸いデータ点は、雑音出力が最低となるようにθを180°の状態から変動させて得たものである。実験位相は図6(b)に示した。直線は、式[17]の理論位相で、そのときブロック内の音速度v=0.9kms-1に対応してγ=83μsである。I1またはI2の振幅を変動することで、雑音出力をさらに削減することができた。これは式[9]、[10]でβにゼロ以外の値を入れることに等しい。これらの結果は三角印のデータ点に対応する。式[9と10]を見ると、θ=kxのときに、I2を減少、もしくはI1を増加させることでAs=0とすることができる。つまり、βを固定したときに、比I1/I1=eは2通りの方法で得ることができる。肩文字1はI2=20AのときのI1の増加を、一方、肩文字2はI1=20AのときのI2の減少に関するものである。三角点すべてにおいて大幅な雑音削減が見られるが、予想通りΔ2点で最も良好な結果が得られている。
実験手順は、まず位相を設定し、次に振幅を調節するというものだった。よりよい取り組み方としては(このセクションでは解説せずに、後ほど利用する)手順を反復して雑音減衰性能全体を最適化する方法がある。このデータの中で意外な特徴の一つは、5.5kHz付近で−40dBという劇的な雑音削減が得られていることである。この周波数は、通常であれば音出力が最大となる、ブロックの半波長共鳴におおよそ相当している。このように音響出力が大幅に変化したことは式[14]の理論予測を支持するもので、我々の取り組み方が実質的に正しいことを確認するものである。
低損失材料については、Aがより高い周波数において定期的にピークすることを指摘したい。α≠0であるために、埋め込み材料にポリスチレンを利用した実験ではこのような振る舞いは見られなかった。実に、式[9]を利用したβの測定値からは、αのわずかな変動が見られ、周波数は次の通りである。f=2.0kHz、β=0.28、α=3.76m-1。f=3.0kHz、β=0.47、α=6.26m-1。f=5.5kHz、β=0.21、α=2.76m-1
グラジエント・コイル
一般的な原理
簡略化を図るために、実質的に図3に示したような断面を持った、有限長の真っ直ぐの電線の対からなるグラジエント・コイルを考える。横グラジエント・コイルを形成するのに最低必要な導体対の数は4である。4つ1組のものがn個ある内の最初の4対を図7に示した。内側の電線4本すべてに流れる電流は、Gx(図示)、またはGy構成においても同じ向きでなくてはならない。グラジエント場は8本の電線すべてからの磁場の合計である。1つの四分円の電線1本がI1の電流を運んでいるものと考える。この電線を能動的に音響遮蔽するには、電流I2を運ぶ第2の導線があり、これを第1の電線に機械的に連結する必要がある(図3参照)。離れた点P(x,yz)での磁場Bp(x,y,z)のz−成分は次の式(V.バンガート、およびP.マンスフィールド、NMR画像のための磁場グラジエント・コイル。J. Phy. E. Sci. Instrum., 15. 235−239(1982))によって得られる。
Bp=-(μ0/4π)((x-D1)g1I1-(x-D2)g2I1ee)eiωt. [18]
ここで、
D1,2=A1,2tanε1,2 [19]
および
Figure 0003737829
ただし、ywは電線に沿った距離で、A1,2は電線からy軸への正規の距離である(図3参照)。角度ε12は図3に定義した。式[18]のθ=0のとき、Pにおける第1の電線からの磁場は、第2の電線からの負の磁場によって削減される。ただし、これは接続ブロックをλ/2、θ=πで振動させるのに充分な高周波数においてのことである。この場合2つの電流は同相となり、各電線の磁場は加算される。これは一部の静音グラジエント・コイルの設計効率を改善するという点で重要な意味を持っている。
実用的なグラジエント構成
能動的音響制御の原理はグラジエント・コイルの設計にただちに応用(P.マンスフィールド、B.チャップマン、P.グローバー、およびR.バウテル、国際特許出願PCT/GB94/01187;優先データ9311321.5、6月2日(1993);P.マンスフィールド、P.グローバー、およびR.バウテル、能動音響遮蔽。MRIにおける静音グラジエント・コイルの設計の原理。Meas. Sci. Technol. 5, 1021−1025(1994);P.マンスフィールド、B.L.W.チャップマン、R.バウテル、P.グローバー、R.コクソン、およびP.R.ハービー、能動音響遮蔽。ローレンツ力平衡法によるグラジエント・コイルの雑音削減。Magn. Reson. Med. 33, 276−281(1995))することができる。上述のとおり、図7の平面図に示したような、4つ以上の矩形ループから横グラジエント・コイルを設計し、x−グラジエントであるGxを作り上げることができる。
この構成では4つのループで1組のそれぞれの組の幅はan、長さはbnで、Nnターンの導体を含んでいる。そのあとの4つのループからなる組の電流はInに等しい。n番目の組の面分離は2znで、面内ループ変位はan+Xnである。このようなコイル構成では力とトルクが抹消し合う。n>1では、空間的により均一な磁場グラジエントが得られる。
ほとんどの全身画像システムが円筒形の静磁場対称性を用いていることから、図7で説明した矩形ループもむろん弧形に変形することがある。弧が閉ループを形成する場合に限り、ループの面は磁場Bに対して垂直で、コイルの電線が支材や樹脂で埋め込まれ「機械的に連結」されているときに限り、矩形ループの場合と同じようにすべてのトルクと力が平衡する。これは電流Iを運び、ある面に拘束され、δ=90°(式[1]参照)であるどのような閉ループについてもいえることである。ループの周りのローレンツ力の線積分が下記式の通りであることによる。
Figure 0003737829
この結果はループ内の電流が変動する場合、つまり下記の式で表されるようなとき、線積分に一般化することができる。
Figure 0003737829
このときI1は輪郭のi番目の線分を流れる電流である。このような形態では開ループにおいて力平衡を実現することができる。
図4の試験コイル構成は、帰還電流がx−y面においてゼロである開電流ループの例である(式[22]参照)。ただし、能動的音響制御を行うためには、線積分(式[22])は消えず、これは本発明と先行技術とを区別する特徴である。
新しいグラジエント・コイル構成
電流の振幅と位相調節を利用するこの新しい能動的音響制御の原理から、図8(a)に示すように電流I1を流す外側の閉ループと、電流I2を流すより細い再入の内側ループとを含む平らな矩形コイル構成を作り上げた。第1の実施形態では、両方のループは図8(b)に示すようなポリマー・マトリクスによって支持される。この支持マトリクス材料は中央で割けており、その隙間は図8(b)に示すように充たされる。隙間の中の材料は別のポリマーかゴムであることが望ましい。プレート・アッセンブリの2つの半分の一体性を維持するために、プレートを連結する別の方法を図8(c)に示した。この構成は抗張力、および圧縮力が加わったときにも連結されるようにするものである。平面図の図8(b)に見られるとおり、プレートの各半分は別個のコイルのように見える。ただし、先行技術と異なる点は、位相と振幅の両方の働きによってI1≠−I2となる点である。このことによる正味効果は、プレートのそれぞれの半分の中のローレンツ力が全体として平衡しないということである。ただし、アッセンブリの両半分の力は平衡する。アッセンブリの各半分の中の波伝ぱは[I1/I2]であれば消減し、それに応じた位相が適切に選択される。プレート・アッセンブリの各半分は連結材料を圧縮、伸張しながら一致した動作で動く。
隙間は細くなるように構成されているために、ほとんどの連結材料について隙間を越えた波伝ぱ位相効果は実質的に無視することができる。
図8(a)に示す第2の実施形態においては、コイル・アッセンブリの2つの半分の機械的一体性を維持するために材料BL1とBL2の2つのブロック材料を用いる。これらのブロックは支持材料と同じであってもかまわない。隙間の残りの部分は何も充たされていない空隙であってもかまわない。
新しい矩形プレート・ユニットは図9に示すような横グラジエントを形成するように構築することができる。つまり、図7に示す矩形コイルの4本1組のセットの各四分円の代わりに、ここでは図8に示す閉ループ構成が用いられる。
図4の基本的な試験コイル構成は、図10に示すようなグラジエントのセットを作り上げるのに使用することもできる。ただし、この構成における各四分円内の正味ローレンツ力はゼロではない。したがって、この構成では全体として大きな曲がり動作が発生することになる。
最後に、この新しい能動的音響制御の原理は円筒形のコイルの形状寸法にも応用することができる。例えば、矩形のコイルは弧状ユニットに変形させることができる。この1つを図11(a)に示した。これらのユニットはさらに、横グラジエント・コイル・アッセンブリの基本的な構築単位として利用することができる。このほかの円筒の形状寸法としては、例えば指紋型コイルのような分布横グラジエント設計が含まれる。この構成では2組のコイル対を図11(b)のように構成する。
真っ直ぐな電線を弧に変形させるということは、もはや式[10]は有効ではないことになる。その理由は、角変位が共通である場合、異なった弧半径における電線の長さが等しくないからである。内側の電線弧の半径はaで、電流I1を流す。中間の電線対の半径はbとb'で、電流±I2を流し、外側の電線の半径はcで、電流−I3を流す。ここで重要な点は、各円筒間ではローレンツ力が平衡していることである。ローレンツ力はすべて、電流と弧長の積に比例する。図11(b)の弧半径におけるローレンツ力をFa,Fb,Fb',Fcとする。内側のコイル対の間隔が狭い場合、顕著な誤差を生じることなくFbとFb'を等しいものと考えることができる。
コイル構成の放射構造がt<<a、コイル・アッセンブリの平均半径であることを条件として、円筒間の音波の平面波伝搬を想定することができる。この場合、2つの開ループ部分について式[4]を次のように書き換えることができる。
Figure 0003737829
ここで、Az,A,A',Aはそれぞれの電線位置における最初の波振幅である。各電線におけるローレンツ力は次の式によって求められる。
Fa=aψaI1;Fb=Fb'=±bψbI2;Fc=-cψcI3; [24]
ここで、ψaなどは弧の角変位である。下記ではこれらの変位がすべて方位角ψに等しいものとする。式[23]における波振幅は、すべてそれぞれのローレンツ力に比例する。つまり、
Aa=ΛFa,etc., [25]
ここで、Λは定数である。式[23]に常識を代入することで、次式が得られる。
Figure 0003737829
次に、r1=r2=rを使ってφ=π+θ(式[7])とすると、式[26]は次のようになる。
Figure 0003737829
ここで、bI2/aI1=exp(−β1)とbI2/cI3=exp(−β2)を置換した。kr=θを選択し、このことにより位相項を因数として除外することができた。また、|Fa|=|Fc|だから、定数弧角についてはAI1=cI3であることにも注目した。これの意味するところはβ1=β2=βである。最後に、β=crを選択することで式[27]の式全体を消去することができる。
図11(b)の構成では、半径b、b'における内側のコイルの対は、ローレンツ力が平衡した導体の真っ直ぐなセットの中の細い再入ループと同じ役割を果たす。内側のコイル対の間の隙間は連結材料で充たされるが、これは全体を支持するポリマー埋め込み材料とは異なることが望ましい。これと同じ原理を、音響的に制御された単一弧、および幾何学的形状が分布弧台である横グラジエント・コイルを形成するのにも用いることができる。
上記の導体構成すべてにおいて、弧ループは直列もしくは並列構成、もしくはその両方の組み合わせによって接続することができる。いずれの場合も弧への接続は給電線と接続電線、または導体が対となって主磁場Bに対して平行に走るかたちになっていなくてはならず、最終配線構成においてはプラスチック樹脂の中に固定されるのが望ましい。
能動的音響制御による磁場遮蔽
音響的に制御されたコイルは、マンスフィールドとチャップマンが紹介した能動磁気遮蔽の原理を用いることで、磁気的に遮蔽を行い、うず電流の発生の問題を回避することができる(P.マンスフィールド、およびB.チャップマン、NMR画像法におけるグラジエント・コイルの能動磁気遮蔽。J. Mag. Res. 66, 573−576(1986)、(P.マンスフィールド、およびB.チャップマン、NMR画像法における静磁場、および時間依存磁場を発生するコイルのための能動磁気遮蔽。J. Phys. E. 19, 540−545(1986))。これを実行するにはアッセンブリに遮蔽コイルを追加することであり、何通りかのやり方がある。全般的な詳細については別の文献((P.マンスフィールド、B.チャップマン、P.グローバー、およびR.バウテル、国際特許出願PCT/GB94/01187;優先データ9311321.5、6月2日(1993)(P.マンスフィールド、P.グローバー、およびR.バウテル、能動音響遮蔽。MRIにおける静音グラジエント・コイルの設計の原理。Meas. Sci. Technol. 5, 1021−1025(1994))で解説されており、当業者にとっては自明である。
パルス
これまで、グラジエントが連続した被変調正弦波を形成するときの状況を解説してきた。一方、画像法ではパルス/グラジエントが必要となる応用分野も数多くある。我々は、前縁が勾配を描く方形パルスを試験コイルに流した場合を考えてみた。音響非分散型の支持ブロックでは、I1を流すと時間tに材料の中へ波が発せられ、ブロックの反対側には時間t+γに到達する。したがって、ローレンツ力を平衡させるには、I2はI1に対してγだけ遅延させる必要がある。これを実現するための実験構成を図5(a)、(b)に示した。
台形が連なっている通常のパルス形態の場合、I1(t)の台形波形は、その形状フーリエ・シーケンスで表すことができる(P.マンスフィールド、P.R.ヘーヴェー、およびR.J.コクソン、超高速NMR画像法における多モード共鳴グラジエント・コイル回路。Meas. Sci Technol. 2, 1051−1058(1991)参照)。
Figure 0003737829
ここで、anはn番目のフーリエ倍音の振幅で、nは倍音数で、ωは基本モードの角周波数である。この場合のnの値は奇数の整数である。つまり、n=1,3,5....である。能動的音響制御を適切に実施するには、I2(t)は次の波形形態をとる必要がある。
Figure 0003737829
このときθnはn番目のモードに関する位相遅延である。また、θnはパルスの立ち上がりと立ち下がり時間を維持し、したがって形を維持するために選択することができることも判明する。
分散型の媒体については、2番目の波形の前縁と後縁は時間的に遅延され、音波がなかを移動している材料ブロックの遠位側に到達する波形に波形を合わせることにより、機械的連結材料の波伝ぱ特性に合うように形作られる。
考察
グラジエント・コイル設計における能動的音響制御を拡張する場合に考慮すべき重要な課題は、音響遮蔽効力である。達成される音響減衰が大きければ大きいほど、能動的音響制御によるグラジエント振幅不足を補うためにコイル電流を増加させたときに、この構想全体の質が損なわれる可能性が少なくなる。
静かなコイルを設計しようとするこれまでの試みにおいては、グラジエント・コイル電線は圧縮波速度vが高い材料によって支持されるべきであるとされてきた。また、単位長さ当たりの波減衰Aが理想的にはゼロであることが望ましいとされた。
本発明では、閉ループをそれぞれ2本のループに分割することで、この両方の制約が実質的に取り除かれる。これらの2本のループは狭い空隙、もしくはプレート自体とは異なった、より柔らかい材料によって連結された狭い隙間によって隔てられる。
ある実施形態においては、内側の電線が電流I2を運ぶ狭い再入ループを形成し、それは電流I1を流す大型のループの中に位置する。内側ループ電線が近いということは、外側ループの外部への磁場の影響は実質的にゼロであることを意味する。この新しい構成においては、最適の雑音削減効果が得られるために、I1とI2の振幅と位相はいずれも可変である。
閉弧ループ、再入ループ、矩形ループ、矩形の再入ループを基にしたグラジエント・コイル設計に加え、この新しい能動的音響制御の原理は指紋型の同心円筒横グラジエント設計にも、分布z−グラジエントにも応用することができる。
上記すべてのコイル構成において、エコー面画像法(EPI)、およびエコー容積画像法(EVI)で利用される一般的な周波数範囲(1.0−3.0kHz)においては、10〜25dBのさらなる音響減衰が容易に達成可能で、30〜50dBの総減衰も可能である。
更なる実施形態
励磁電線の効果
上記の分析は電流励磁回路がなんら音響雑音に貢献しないということを前提にしている。そのような場合、Aの測定値は無限大となるが、実験のセクションでも述べるとおり、実際にはそうはなっていない。実現可能な減衰量は、コイルへの給電線が発生する外生音によって制限される。
外生音Aの振幅を次のようにする。
Aes=eiωtAe. [30]
これは式[11]に加えなくてはならない。この結果、式[11]は次のようになる。
Figure 0003737829
サイン項が消えるとき、減衰は次のようになる。
Figure 0003737829
したがって、式[32]は、達成可能の最大減衰はコイルではなく、励磁バス構成によって決定されることを示している。励磁バスを慎重に構築し、幾何学的に配置することで、残留減衰量が50〜60dBのオーダーになるぐらいまでAeを削減することができる。
スロットつきの板
ここまでは、切削によって設けられたスロットに板材料とは概ね異なった材料を充たす可能性について考えてきた。次は、ただの空隙を残すという別の可能性を考えてみることにする。この方法の利点は板構成の両方の半分がより独立して動くことができるということと、特に、各半分がもう一方の半分とは逆相の振動モードになることができるという点である。
スロットに硬い材料を挿入したのではこのモードが不可能である。板のいずれの半分もその位置的な一体性を維持する限り、空隙を残すことはできる。図12(a)、(b)はこのような構成を2つ示したもので、1つは矩形の再入コイル構成、もう一方は再入閉弧ループ構成のためのものである。
全体コイル・アッセンブリ
コイル・アッセンブリを構成する弧ループの長さの種類を入念に考慮してきたが、これまでこのようなアッセンブリのための積層構成については触れていない。この研究全体を通して、弧ループ、もしくは矩形ループを支持する板の、磁場に対して垂直に置かれた平面部分から音響雑音が発せられるということを想定してきた。むろん理想的なプレート構成では、磁場の軸に沿って音は発せられない。しかし、残留音が発せられることは考えられ、これらを吸収するためにコイル支持プレートはゴム、もしくは適当なプラスチック吸音材料によって隔てられる。これらの材料は、最適の磁場グラジエントを実現するために必要となる可変間隔で図13(a)、(c)に示すようにプレートの間に挟み込まれる。プレート・スタックがボルトで一体化されていることを条件として、プレートの表面から発せられる残留音を吸収するばかりでなく、このような構成は座屈モードやクラドニ共鳴が発生する可能性を大幅に削減する。
プレート・スペーサーとコイル冷却
硬い構造を維持するためにスペーサー・プレート134が必要となる。これは吸音特性の優れた成形ゴムやプラスチックでもかまわない。一般的にいって、スペーサー・プレートには隣りにコイルからの熱を分散するための平らなパンケーキ状の冷却チューブ138が含まれる。この構成全体は長い、非金属製のボルトで引き合わせられる。図13(a)、(b)にその構成を示した。
平らな環、または環の弧部分における音の伝ぱ
これまでに行ってきたすべての分析では、環内の波の伝ぱが、矩形プレートについて導き出される平面波式によって近似的に求められるものと暗黙の内に想定してきた。
体積弾性係数がM8で、密度がρである固体の音伝ぱのデカルト座標内の波方程式は下記によって得られる。
Figure 0003737829
ここで、a(x,y,z,t)は材料の中を通る音波の振幅で、波の速度vは√(M8/ρ)に等しい。薄く平らな材料のシート用NBに関しては、M8をヤング係数Eに代えることができる。波方程式の解は、変数分離によって得るのが最もよく、その場合の一般解は次の式で表される。
A(x,y,z,t)=Aoeik.rteiωt [34]
ここで、
Figure 0003737829
は、材料ブロックの許容振動モードを説明するもので、これはブロック面でのゼロ振幅の境界条件に依存し、p、q、sは整数でLx,Ly,Lzがブロック材料の寸法、
k=ikx+jky+kkz [36]
および
r=ix+jy+kz. [37]
である。
一次元伝ぱについて、式[34]はすでに前述した結果にまで帰着させるものである。z軸に沿った波振幅が一定している3次元材料の厚板について次の式がある。
Figure 0003737829
波の解が直交性を呈しているために、x軸とy軸沿いの伝ぱは独立しており、波の解は前述したものに類似している。その場合は、y軸沿いの波振幅は一定であるものと想定していた。この状況は、厚板材料の寸法がx軸方向よりもy軸においてのほうがはるかに大きい場合に発生する。
厚板材料を矩形とすることで、長軸沿いの伝ぱを実質的に抑制し、したがって短軸、つまりx軸方向に伝ぱを集中させることができる。矩形シートに関する実験結果を解釈するうえで、我々はこのことを暗黙のうちに想定した。
次に、円筒極座標における波方程式の一般解に目を向けている。円筒極座標を選んだのは、現代の医療用画像法に利用される一般的な超電導磁石では、多くの共通グラジエント・コイル構造のおおよその形状が磁場軸に沿った円筒対称性を呈しているからである。
円筒極座標においては、波方程式は次の通りである。
Figure 0003737829
座標の変更とは別に、Aとvの印は上記と同じ意味を持っている。この式ではrは円筒軸に対して直交である方向に測った半径で、ψは方位角、そしてzは円筒軸沿いの位置座標である。式[39]も変数分離で説くことができる。我々は式[39]に対して直交解を、z(r)、θ(ψ)、F(z)として3つ選択した。したがって式[39]の一般解は次の通りである。
a(r,ψ,z,t)=zl(r)Θ(ψ)F(z)eiωt. [40]
式[39]に代入し、A(r,ψ,x,t)で割ることで、次の式が得られる。
Figure 0003737829
各関数はそれぞれ独立しているために、この方程式の各部分を別々に説くことができる。これにより、式[41]はこのようになる。
Figure 0003737829
ここで
(式43)
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
をK=√(k2−m2)と共に置いた。この場合Z1(Kr)はθ(ψ)=e±ilψとF(z)=e±imzなどの円筒関数族を構成し、これによって完全解は次のように表される。
a(r,ψ,z,t)=AoZl(Kr)e±ilψe±imzeiωt. [45]
定数l、mは整数である。つまり、1=0,±1、±2......で、m=0、±1、±2...である。我々が問題とするのはl=0,±1の値だけであることを下記で見ていく。値m=0は、z軸沿いに振幅が一定した放射音波に相当する。本発明では、後述のほとんどの部分においてm=0を利用できるようにするために、薄い材料の中での放射波の伝ぱを考えていく。
実際のグラジエント・コイル設計のほとんどが、適切な材料で作られた環、もしくは環の一部分に形成された電線に相当するために、lについては3つの値だけに目を向けることにする。具体的には完全な環l=0、および環の一部分l=±1である。
l=0の角解は角座標の変化のない放射波に相当する。この状況はz−グラジエント・コイルやマックスウェル・コイルを考えるときに生じる。放射部分の一般解、式[42]、Zl(kr)は、第1種のベッセル関数Bl(kr)、第2種のベッセル関数Yl(kr)、またの名をノイマン関数Nl(kr)、および第3種のベッセル関数
Figure 0003737829
(kr)、または第1種、および第2種のハンケル関数を含む。このときnはそれぞれ1と2に等しい。値の大きいkrについては、ハンケル関数は加重指数関数になるという便利な特性を持っている。具体的には次の通りである。
Figure 0003737829
および
(式47)
Figure 0003737829
ハンケル関数におけるl=0とl=±1の違いは、単なる移相であることが指摘される。また、波振幅も1/√(πkr/2)として減少することも指摘されている。その他の点では、解は矩形のシート材料における平面波の解に類似している。また、大きい構造物の比較的低周波での観察、もしくは小さな構造物の高周波での観察を行えるようにするうえで、近似ハンケル解を適用するにはkrが大きいということが条件になる点も指摘される。
これらの条件を満足しない状況では、第1種、もしくは第2種のベッセル関数、または正確なハンケル関数に戻ることが必要となる。これらは次の恒等式によって表される。
Figure 0003737829
このとき(+)と(−)は、それぞれ第1種と第2種のハンケル関数を指すものである。式[48]は次のように書き換えることができる。
Figure 0003737829
このときθl≠krであるが、次の式から計算することができる。
tanθl(kr)=Yl(kr)/Jl(kr) [49a]
さらに、ここで、
Figure 0003737829
したがってkrの値が小さい場合、周波数を伴った位相変化は必ずしも線形ではなく、式[49a]に応じて変更される。
以前と同様の仕方で、式[49]の振幅項を次のように書くことができる。
Figure 0003737829
このとき、γl(kr)は単に-lnRl(kr)に等しい。ノイマン関数の発散を通じて、精確なハンケル関数はその起源において発散する点を指摘する。ただし、ここでは環、もしくは環の部分を取り上げているために、解に起源は含まれない。したがってハンケル関数やそのおおよその形態には拘束されない(式[46,47])。この研究で使用した寸法や周波数では、上述の近似ハンケル解が許される。
円筒解が含まれるようにするための平面波抹消の変更
上記の理論を使用することで、矩形板に関するこれまでの結果を変更し、電線が弧、もしくは円形の際の近似解を得ることができる。近似ハンケル解を使用することで、式[23]を次のように書き換えることができる。
Figure 0003737829
ここで、弧部分に関してはl=1である。この式では、弧角ψ1,ψ2,ψ3を取り入れた。この場合2つの事例を考える必要がある。はじめは角度が等しいという場合。電線構成は図14(a)に示した。この場合、式[50]の両方の半分は位相項が均等化されたときに同時に消えるようにすることができる。つまりkx=θのとき、および、
Figure 0003737829
のときである。ここで、n=0,1で、振幅は次の式から得られる。
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
これらの条件を同時に満たすための要件を次のようにした。
I1a=-I3c. [54]
この場合、電流の比は、次式になるように調節することができる。
Figure 0003737829
したがって最終的に次のようになる。
Figure 0003737829
この解にはI1、I2、およびI3=(a/c)I1が必要であることを指摘する。
2つめの可能性は、図14(b)に示すような閉弧ループの場合である。この構成の一体性を維持するためには、スロットAb(点線)の両端にはなんらかの材料が残されていなければならない。これによって波伝ぱパターンが複雑となり、スロットの各端の放射信号モードを消滅させる。したがって、楔形の端部を無視し、これらの持つ振動モードの周波数が大幅に異なっていることを想定する。この場合、弧角ψ1,ψ2,ψ3はすべて違っている。位相項が均等化され、次のようであるとき、式[50]の各半分は同時にゼロ解を持つ。
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
aψ1=ψ2=ψ3を使ってI1=−I3=I1を設定することができれば、式[57と58]の両方を満足させ、次式を得ることができる。
Figure 0003737829
次に、次式
Figure 0003737829
を条件に、最終的に次の式を得る。
Figure 0003737829
スロットAVの位置に関連する一般的なコメントとして、図14(b)では、それはスロットが切られる前に基本モードで共鳴するときに反節線に沿っている必要がある。
次にzコイルの設計に目を転じる。円筒形のzコイルは、z軸に対して垂直である面を持つz軸沿いに分散された導電フープを含んでいる。したがって、単一のフープの音響遮蔽を考える。実際には3つの事例を考慮する必要がある。電流I1とI2を運ぶ2つの同心フープ151と152を持つタイプ1は図15に示した。両方の弧によって作られる角度が等しい、つまりψa=ψb=2πであるために、1=0であるとき、式[50]の半分から実質的に次式が得られる。
Figure 0003737829
kx=θで、次が成り立つ場合、
φ=π-θ±nπ [63]
n=0,1とすると、式[62]は次が成り立つときに消去され得る。
Figure 0003737829
その時、次式が得られる。
Figure 0003737829
タイプIの構成の問題点は、遮蔽されたフープの中央の磁場には、I1とは位相角度が異なるI2からの影響が含まれることである。これは望ましくない特徴と考えることもできるが、図16に示すタイプ2構成を利用することで克服することができる。ここでは3つの電流I1,I2,I3を持つスロット構成を示した。スロット153,154,155がフープの周囲において連続していない場合、各線分においてψ1≠ψ2≠ψ3となる。この場合、3つの部分において2πa=3ψ2b=3ψ3cとなるようにψnを選択することを条件に、I3=−I1を設定することができる。この場合、音出力が消えるようにするための条件は、閉弧ループのそれと類似している。
タイプ3構成においては、すべての弧角が等しい場合を考える。この場合、図16に示す内側のコイルを支えるものは何もない。この状況で、式[50]の両方の半分が消えるための条件には3つの電流I1、I2、I3が必要となり、ならびに上記の式[65]と同じ条件が得られるようにaI1==cI3であることが必要である。実際的な構成では、むろん支持材が必要である。スロットの周囲3〜4個所に支持材として材料の何らかの部分が残っている場合、ある程度式[65]が侵害されることになる。
音響的に制御され、磁気的に遮蔽されたグラジエント・コイル
これまで主に音響的に制御されたグラジエント・コイルのうち、固有の能動磁気遮蔽がないものの設計について述べてきた。能動的音響制御を伴った磁気遮蔽のセクションでは、主として音響雑音を軽減するように設計された現存のグラジエント・コイルに能動磁気遮蔽を追加する可能性について述べた。
このやり方の難しい点は、このようなコイルの周りに磁気遮蔽を追加することで、それ自体が発生する可能性のある雑音を減衰するための音響エネルギー遮蔽が必要となるという点である。さらに、グラジエント・コイル系の追加機能を収納するために、容積や放射構造のより大きいものが要求される。したがって、このセクションでは、能動磁気遮蔽を能動的音響制御に組み合わせることを出発点から考えてみる。
ここでは標準的な磁気遮蔽指紋型円筒グラジエント・コイル系を考える。ここで次の質問を問うてみる。コイルの磁気遮蔽特性をなんら損なったり、犠牲にすることなく基本的なグラジエント・コイル設計に音響雑音を削減する手段を設けることができるか。磁気遮蔽の標準設計には実質的に2つの円筒コイル、つまり半径がaの円筒に主コイル171、および半径cで主コイルと同軸の円筒に巻かれた磁気遮蔽172が必要である。この構成は図17(a)に表した。この図では音響遮蔽173、174構成をaとcの間に、距離が主からx1であるところの半径b、b'においてはさみ込む。主コイルと磁気遮蔽の間の距離はxである。この新しい構成では主コイルと磁気遮蔽の間は2つの異なった材料で充たされており、音響伝ぱ速度がそれぞれV1とV2、減衰がそれぞれα1とα2であるところの、厚みがx1とx2の2つの別々の円筒形の環を形成しているものと想定する。
ここで、上記に発展させた円筒波理論を応用できるところまで来た。
音響遮蔽を設ける最適の位置を見つけだすために、半径aの表面から発せられ、半径bの表面に到達する波の位相と振幅は、半径cの表面で発せられ、半径b'の表面に到達する円筒波と等しく、逆であることが必要である。これまでの分析から、b≒b'のときの条件を次のように簡単に表すことができる。
(式66)
Figure 0003737829
このときI1とI3は主コイルと磁気遮蔽コイルの中の電流である。厳密にいって、力が主と磁気遮蔽の表面に働きかけているのを見ることができる。その例として、円筒フープのセットからなるz−グラジエント・コイルを考えてみる。これらの2つの電流の関係は次の通りである。
Figure 0003737829
このとき、naとncは主コイルと磁気遮蔽それぞれにおける回転の数である。
Figure 0003737829
では、式[67]を式[66]の中で代入し、次が得られる。
[68]
Figure 0003737829
式[68]の均等化の条件は
位相については
k1x1=k2x2 [69]
幾何学的制約に関しては、
x1+x2=c-a=Δ [70]
そして、最後に振幅係数について、
Figure 0003737829
上記の3つの式の全体同時解を得るためには、k1とk2が分かっている状態で式[69]と式[70]を同時に解く。これによってx1とx2が固定される。次にこれらの値を既知のα1とα2の値と共に式[71]に代入し、これによって式[71]を解くことができ、式[68]を同時に解くのに必要となる主半径aの値が生じる。別の方法としては、比a/cを選択し、k1/k2を得るための減衰項を無視して、式[71]を近似的に解く。この比を利用することでx1とx2を見つけることができ、k1/k2およびx1とx2の反復が可能となる。
むろん特定の材料で可能な速度や減衰のなかには、aの要求値がなくては式が解けない場合もある。実際、共通材料については、選択可能な伝ぱ速度は広範囲にわたっている。一般的に、伝ぱ速度の速い材料では、単位長さ当たりの減衰は伝ぱ速度の低い材料よりも小さいことが多い。式の解の微調整をするために、そして特に主半径aに具体的な値が必要な場合は、厚さがx1とx2の2つの環それ自体が、要求される平均速度と要求される減衰を生じるように選択した材料からなる同心円の円筒からなる複合構造とする。例えば、ガラス粒子や繊維、またはアルミナ結晶を添加することで速度が上昇する。図17(b)は横指紋型磁気遮蔽グラジエント・コイル171(図示せず)を、遮蔽172で内側の表面に取り付けたところである。さらに、音響遮蔽の一部を形成する1つの176の表面である。2つの円筒177、178のコイルは2つの異なる材料の中に埋め込まれる。
重要なことは、音響問題に関するこのような解決方法が原理としては可能で、このような解決方法によって磁気遮蔽の損失、またはコイル系の中心における磁場強度の損失という弊害もないという単純な事実である。後者の理由は、音響遮蔽が2つのコイル構造、およびコイル系の中心にゼロ磁場を作り上げる電流分配からなるためである。2つのコイル構造の間には非常に薄い空隙、もしくは内側と外側の円筒の間には柔らかい支持材を設ける。
音響遮蔽を構成する2つのコイルの電線パターンは、b=b'である場合は実質的には同じである。
横指紋型コイルの各四分円のパターン詳細は、大方は任意で、半径aにおける内側の、または主磁気コイル、または半径cにおける外側の磁気遮蔽コイルのいずれかの放射状のものであってもかまわない。b≠b'の場合、半径bにおける音響遮蔽の半分が主コイルに対して放射状で、半径b'における音響遮蔽の半分が外側の磁気遮蔽に対して放射状の場合、適当な解を求めることができる。いずれの経路を選択する場合も、支持環を円形から楕円形に変形させてしまうような円筒の曲がりモードの励起を防止するために、方位対称性はグラジエント・コイル対称性に従う必要がある。また、セットm=0であるためz軸沿いには波伝ぱがないものと想定する。後述の副セクション「磁気遮蔽を伴った音響制御」参照。
実験結果
このセクションでは、再入ループを持った矩形コイル、および再入ループを持った閉弧ループに関する実験結果を提示する。実験構成を示すスケッチ、および両方のループ構成の寸法を図12に示した。前述の図5の実験構成では矩形コイルの音響反応を測定した。一般的な結果を図18に表した。四角形は内側と外側ループが逆相の同じ電流を運ぶときの音響反応を示している。丸は音響出力を減少させるために位相のみを最適化したときの音響反応を示している。音響出力を最低限にするために内側か外側ループの位相と振幅を変化させたとき、三角形で示すところの結果が得られた。
肩文字1と2は、最低値を得るために電流1を一定に保ち電流2を変化させたこと、もしくは音響出力を最低にするために電流2を一定に保ち電流1を変化させたことを意味している。いずれの場合も、位相φと電流比の最良の組み合わせを得るために、反復手順が使用される。連続的な線はθ=α=0のときの理論式、式[31]である。最適の状況では40〜50dBの出力減衰が簡単に得られることが指摘される。
残留雑音出力レベルは電流励磁回路、および駆動装置からコイル支持ボードへの連結から発生するものと考えられる。矩形ループの大体の振る舞いは式[14と31]で詳しく説明した。図19は図18に示したデータに関する位相角度φ対周波数fのグラフを示している。位相は単一の曲線を描くのではなく、予測通りに1つの曲線から別の曲線にジャンプすることがあることは明らかである。ボードの寸法、図18のデータ、および式[3]から、γ=111.11μsであり、伝ぱ速度はv=0.9kms-1となることが推論される。ボード材料は未充填のポリスチレン固体で、ボードの厚さは12mmだった。内側と外側の電線ループは16s.w.g(16mm)銅線を3回転させたものからなる。受音マイクロホンは、ボードから約1m離れたところに置いた。ボードは磁石の中におかれ、その面は磁石の軸、したがってその磁場方向に対して直交である。中央のスロットをガラスの入ったエポキシ、またはゴムで充填した構成を試してみたものの、最良の結果が得られたのは未充填の中央のスロットで空隙を形成するものだった。
固体のポリスチレン(a)とPerspex(b)に取り付けられた、再入コイルを持つ弧ループの部分についても同様の実験を行った。これらの構成においては中央のスロットは未充填のままとした。図20は測定された音響反応を示し、図21はそれに対応する位相変化を示している。弧部分の寸法、図20のデータ、および式[3]から、両方の材料についてγ=83.33μsで、共通の伝ぱ速度v=0.84kms-1となることを実験誤差の範囲内で推論する。
この構成で得られたデータは比較的に少なかったが、得られたものからは矩形構造のものを閉弧ループ部分に変形させることで音響制御の原理が損なわれることがなく、このような弧部分においてほとんど完全に音響出力を無効化することが可能であるという我々の理論結果、式[50と61]が確認された。位相データはまた、式[51]によって予測された一般的な振る舞いをも確認するものである。矩形コイルの結果同様、外側ループと外側の再入ループのコイルも16s.w.g.銅線を3回転させたものである。
これらの結果はこれまでに発展させてきた理論を裏付けるものだが、あくまで横グラジエント・コイル構成を作成するための構築単位の基礎を成す孤立平面コイルについて得られたものであるということを強調しなくてはならない。本格的なグラジエント・セットにおいても孤立コイル部分と同様の音響出力減衰が得られるかどうかは実験で確かめるほかない。
磁気遮蔽を伴った音響制御
上記では半径b、b'の円筒コイルからなる音響遮蔽を標準的な磁気遮蔽グラジエント・コイルに挿入した場合のことを考えた。
この処理においては2つの要素を無視した。具体的には(i)コイルの中心で生じる残留磁場グラジエントを無視し、(ii)音響遮蔽の各半分に関して任意の電線パターンを用いた。ここでは、音響遮蔽を形成する半径がそれぞれf、Fであるところの追加的な円筒コイルに、半径がそれぞれa、bであるところの主コイルと磁気遮蔽をマッチさせた、本格的な遮蔽と本格的な力遮蔽が施された円筒グラジエント・セットに関する数学的処理を考えることで、これらの2点を扱っていくことにする。しかしながら、これを説明する前に、円筒分配電線コイルに関するフーリエ空間設計方法について手短に要点を繰り返して述べることにする(R.ターナー、およびR.バウリー、切替磁場グラジエントの受動遮蔽。J. Phys. E. 19, 876−879(1986)(R.ターナー、最適コイル設計における目標磁場アプローチ。J. Phys. D。Appl. Phys. 19, L147−L151(1986)(P.マンスフィールド、およびB.チャップマン、NMRのグラジエント・コイルの多シールド能動磁気遮蔽。J. Mag. Res. 72, 211−223(1987))。
円筒半径aのx−グラジエント主コイルを表面電流流れ関数Sa(ψ,z)によって特徴づけられるものとする。電線経路はSaの輪郭によって得られ、電流分配は次のように表される。
J=-∇Sa×n [72]
このときnはすべての点において円筒表面に対して正規な単位ベクトルである。Jには次の要素が含まれる。
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
式[74]のフーリエ変換の中のm番目の要素は次の通りである。
Figure 0003737829
ここで、
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
このとき、およびこれ以降に使用するkは、磁気設計工程における相反空間を表すものであることを強調する。これ以降音波伝ぱ定数はqで表す。
x−グラジエント・コイルにおいては
Figure 0003737829
だけがゼロではない。
内側の磁場は次のように表される。
Figure 0003737829
外側の磁場は次のように表される。
Figure 0003737829
ここで、rは放射極座標である。
能動音響遮蔽
ここで、半径fの円筒に置かれる被遮蔽物と同様の表面電流流れ関数、Sf(ψ,z)で特徴づけられる音響遮蔽を形成するところの第2のコイルを追加する。音響制御を得るには、次の条件が必要である。
Figure 0003737829
これによって電線経路を放射状とすることができる。つまり、各コイルにおいてzとの値が同一で、1:aA/fで表される適正な比になっているということである。
音響遮蔽と能動磁気遮蔽
次に円筒表面の、半径aとbにそれぞれ巻かれた主と磁気遮蔽、半径fとFにそれぞれ巻かれた主音響遮蔽と磁気遮蔽 音響遮蔽の4本のコイルを考えてみる。全般的なコイル・アッセンブリのレイアウトについては図22参照。この構成に関連する流れ関数は下表に表した。
Figure 0003737829
音響制御については次の条件が要求される。
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
これによって放射状の2つのコイル対が得られる。定数AとBは支持媒体の音響特性に依存する。音響遮蔽に導入される電流移相によって、r>bに関して完全な磁場抹消を得ることはできない。したがって、この条件を主コイルと磁気遮蔽からの磁場にだけ限定する。半径r>bにおける磁場抹消については、次のものが必要となる。
Figure 0003737829
半径r<Aだけにおける音響遮蔽の内側の磁場は次の核によって制御される。
Figure 0003737829
式[12]を再構成すると、次式が得られる。
Figure 0003737829
音響遮蔽を除いた内側の磁場は次のように表される。
Figure 0003737829
このとき内側の核は次式の通りである。
Figure 0003737829
さらにこのとき、l=a,bである。式[81]と[82]を使用することで、次が得られる。
Figure 0003737829
式[84]と[85]を使用することで、次式が得られる。
Figure 0003737829
このとき副核
Figure 0003737829
は次の通りである。
Figure 0003737829
ここで、半径cの円筒領域内に磁場Bz(c,ψ,z)を空間的に指定する標的磁場のアプローチをとることができる。次にフーリエ変換によって半径cにおいて
Figure 0003737829
が得られる。式[46]の被積分関数を
Figure 0003737829
に等置し、反転することで
Figure 0003737829
に関して次式が得られる。
Figure 0003737829
これまでの我々の研究から、上記の定数AとBは次の通りである。
Figure 0003737829
および
Figure 0003737829
このとき、角度周波数ωを導入することで、2つの媒体について、磁気設計手順で相反空間を表すのにここで使用するkと区別するために、波伝ぱ定数q1=ω/V1、およびq2=ω/V2として表す。式[81,82]および[84]から、音響遮蔽用の内副核が得られる。
Figure 0003737829
この式は、はじめは波減衰と位相を無視し、独立した変数f,F,V1,V2を変化させることで、特定の値a,b用に最小にする必要がある。位相と幾何学的制約、式[69]、[70]は、波減衰項が含まれる後の反復過程の中で考慮に入れる。
まとめると、この手順はBz(c,ψ,z)を指定し、
Figure 0003737829
を計算するために式[91]を使用し、次に
Figure 0003737829
を計算するために式[85]を使用するという手順で進める。音響遮蔽用の最小の内部磁場は式[94]によって決まる。
式[81]と[82]から、音響遮蔽内の電流は、必ずその隣の音響的に遮蔽されたコイルより少ない。音響コイルは、振幅と位相角度が適切なそれ自体の発電源から励磁されているために、電流平衡の問題はない。磁気遮蔽に関しては、式[85]が主として磁気遮蔽の間の電流比を指定している。音響的に遮蔽されない通常のコイル同様、式[85]は主/遮蔽回転の比を変化させることで満足させることができる。音響遮蔽についても同じ手順が当てはまる。
遮蔽が要求されるグラジエントに対して与える磁場の影響が最小であるようにしたが、磁気遮蔽の外の遮蔽、つまりr>bによっても小さい磁場が生じることを強調する必要がある。これは次式で表される。
Figure 0003737829
ここで、
Figure 0003737829
さらに、
Figure 0003737829
は次のように表される。
Figure 0003737829
外部磁場は比較的小さいものにとどまると予想される。したがって、対応する隣り合わせの主コイルと磁気遮蔽を持った音響遮蔽の両方の半分の放射状態を利用した音響制御設計では、必ずグラジエント・コイルの中心において不要の磁場成分が生じ、磁場遮蔽効率が損なわれると結論づける。
コイルの中心において音響遮蔽の磁気の影響をゼロにすることで、磁気グラジエントの純粋性を保つほうが重要であるという議論も予想される。これは式[94]においてTi=0を設定することで実現される。また、遮蔽コイルの少なくとも一方をグラジエント・コイルに対して強制的に放射状にすることもできる。
半径aとfにおけるコイルを放射状にする。すると式[84]は次のように書くことができる。
Figure 0003737829
音響遮蔽からの外部磁場は、次式で表される核T0によって制御される。
Figure 0003737829
式[98]から
Figure 0003737829
を置換することで、最終的に副核
Figure 0003737829
について、次式が得られる。
Figure 0003737829
式[100]から、f→Fの時、T0→0であることが分かる。したがって、上述のような空隙の狭い音響遮蔽コイルについては、コイル系の磁気遮蔽は完璧ではないものの、十分に許容される。このアプローチではまた、fとFを選択する際に柔軟に対応でき、したがって音響マッチングをより簡単に実現することができる。

Claims (11)

  1. 時間変動電流を流すのに適し、静磁場に置くのに適し、かつ、交流ローレンツ力による音響放射が能動的制御によって実質的に低減される磁気コイル装置であって、
    第1の導体経路と、第2の導体経路と、第1の電流供給手段と、第2の電流供給手段とを含み、
    前記第1の導体経路及び前記第2の導体経路は、実質的に平行であり、予め設定された距離だけ互いに離れ、予め設定された音響伝搬特性を持った材料によって機械的に連結されており、
    前記第1の電流供給手段は、前記第1の導体経路に第1の時間変動電流を供給し、
    前記第2の電流供給手段は、前記第2の導体経路に第2の時間変動電流を供給し、
    前記磁気コイル装置は、
    (a)前記第1、第2の電流供給手段は、振幅が変動し、かつ、位相が変動する第1、第2の時間変動電流を供給する手段を含み、前記第1、第2の時間変動電流は、振幅又は位相が互いに異なっており、
    (b)前記磁気コイル装置は、前記第1、第2の電流供給手段を制御するのに特に適した制御手段を有し、これにより、前記第2の時間変動電流の振幅及び位相は、前記第1、第2の導体経路を連結する前記材料の実際の音響伝搬特性を考慮すると、前記第1、第2の導体経路を連結する前記材料中の音響波伝播モードが、前記第2の導体経路において実質的に抑制されるようなものとなり、よって、前記磁気コイル装置の音響ノイズ出力が実質的に低減される
    ことを特徴とする磁気コイル装置。
  2. 請求項1に記載された磁気コイル装置であって、
    前記第1の電流供給手段及び前記第2の電流供給手段は、電流波形を供給する、磁気コイル装置。
  3. 請求項2に記載された磁気コイル装置であって、
    前記第2の電流の振幅を、前記第1の電流の振幅に対して設定された比になるように調節する手段を有しており、
    前記設定された比は、前記第1の導体と前記第2の導体との間の距離、前記連結材料のヤング係数及び前記材料の密度の関数である
    磁気コイル装置。
  4. 請求項1に記載された磁気コイル装置であって、
    前記第1の導体が外側ループを形成し、前記第2の導体が内側再入ループを形成する
    磁気コイル装置。
  5. 請求項4に記載された磁気コイル装置であって、
    前記内側再入ループは、第1及び第2の実質的に平行な経路部分を含んでおり、前記第1の経路部分及び前記第2の経路部分は、比較的に短い接続部分によって接続されており、
    前記第1の経路部分と前記第2の経路部分は、別々の第1のブロック材料と第2のブロック材料に埋め込まれ、前記ブロックは互いに機械的に連結されている磁気コイル装置。
  6. 請求項5に記載された磁気コイル装置であって、
    前記機械的連結は、適切な連結材料を含む
    磁気コイル装置。
  7. 請求項6に記載された磁気コイル装置であって、
    前記連結材料は固体ポリマー材料であり、前記固体ポリマー材料は前記第1の導体及び前記外側ループを支持する材料とは異なる
    磁気コイル装置。
  8. 請求項6に記載された磁気コイル装置であって、
    前記機械的連結は空隙を含んでおり、前記空隙はスペーサを有し、前記スペーサはある間隔で位置決めされ、前記第1のブロックと前記第2のブロックとを隔てる
    磁気コイル装置。
  9. 請求項4に記載された磁気コイル装置であって、前記コイルはグラジエント・コイルである磁気コイル装置。
  10. 時間変動電流を流すのに適し、かつ、静磁場に置くのに適した磁気コイル装置を作成する方法であって、前記方法は、交流ローレンツ力の効果により生じる前記磁気コイル装置の磁気コイルの音響放射を能動的に制御するものであり、
    (a)第1のステップでは、実質的に平行している第1の導体経路及び第2の導体経路を画定し、
    (b)第2のステップでは、実質的に平行している前記第1及び第2の導体経路を、予め定められた距離だけ隔てて包み込み、かつ、機械的に連結するため、予め定められた音響伝搬特性を有する音響伝搬材料を選択し、
    (c)第3のステップでは、前記第1の導体経路に流す第1の時間変動電流を決定し、第2の導体経路に流す第2の時間変動電流を決定し、前記第1の時間変動電流は第1の振幅および第1の位相を有し、前記第2の時間変動電流は第2の振幅および第2の位相を有し、これにより、前記第2の時間変動電流の振幅は可変となり、前記第1の時間変動電流の振幅とは異なってもよくなり、
    前記方法は、
    (i)前記第2の時間変動電流の位相は可変であり、前記第1の時間変動電流の位相またはその±180°遅れ位相の何れとも異なっていてもよく、
    (ii)前記第1、第2の時間変動電流の振幅及び位相は、前記音響伝搬材料の実際の音響伝搬特性と、前記第1、第2の平行導体経路間の予め定められた距離とに依存して決定され、これにより、前記音響伝搬材料中の音響波伝播モードが、前記第2の導体経路において実質的に抑制され、よって、前記磁気コイル装置の音響ノイズ出力が実質的に低減される
    ことを特徴とする方法。
  11. 請求項10に記載された方法であって、
    前記第1の導体が外側ループを形成し、前記第2の導体が内側再入ループを形成し、
    前記実質的に平行な前記経路は、矩形ループが閉弧ループに変形されたときに弧状となる
    方法。
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