JP3748623B2 - ゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反撥性能、飛行性能、コントロール性、打撃時フィーリングに優れたゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術においては、主として2種類のゴルフボールがある。一方は、中実のツーピースボールやスリーピースボール等のソリッドゴルフボールであり、一体成形されたゴム製部材から成るコアおよび該コア上に被覆したアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂カバーから構成される。また、他方は糸巻きゴルフボールであり、中心の固体または液体の芯部を、ゴム糸で巻き付け、次いで1〜2mm厚のアイオノマー樹脂やバラタ等によるカバーで被覆したものである。ソリッドゴルフボールの中で、主として市販されているのは、製造の容易性等の理由から、コアとカバーのみから成るツーピースソリッドゴルフボールである。ツーピースソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフボールと比較すると、耐久性、および打撃時のボール速度が大きいことから飛距離が大きく、飛行特性に優れ、特にアマチュアゴルファーを中心に多くのゴルファーに使用されている。その反面、ツーピースソリッドゴルフボールは、反撥が強く、打撃時フィーリングが硬くなる。また、ツーピースソリッドゴルフボールでは打撃時のボール速度が大きく、ゴルフクラブの打撃面との接触面積が小さくなるので、スピンが減少して、アプローチのコントロール性に欠ける。そのため、ツーピースソリッドゴルフボールは、打撃時フィーリングやコントロール性を重視するプロゴルファーや上級ゴルファーは敬遠しがちである。
【0003】
この問題点であるコントロール性と打撃時のフィーリングを解決するために、カバーを軟質化して、ボールの外側部分に柔軟性を持たせるという提案がなされている(例えば、特開平7-132152号公報)が飛距離での向上はなされていない。
【0004】
また、上記特許出願における飛距離の欠点を改善するために、ソリッドコアを2層構造にしてスリーピースソリッドゴルフボールを得、その外層コアのゴム体積分率を大きくすることが提案されている(例えば、特開昭62-137075号公報)。カバーが硬質の場合は、大きく飛距離を伸ばすことができたが、打撃時のフィーリングを良くするために、カバーを軟質にすると、もともと慣性モーメントが大きいためにスピンが増大して飛距離が低下する問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のソリッドゴルフボールの有する問題点を解決し、優れた飛行性能を低下させることなく、コントロール性を向上させたソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、コアと該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するゴルフボールにおいて、該内層コア(1)が直径8〜36.8mmを有し、該外層コア(2)が厚さ2〜16.4mmおよびゴム体積分率83〜98%を有し、該カバー(3)が厚さ1〜4mmを有し、かつ外層コアの比重と内層コアの比重の差(内層−外層)が−0.1〜0.2を有することにより、慣性モーメントを低下させることなく高反撥化させて、飛行性能とコントロール性を両立させ得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、コアと該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するゴルフボールにおいて、該内層コア(1)が直径8〜36.8mmを有し、該外層コア(2)が厚さ2〜16.4mmおよびゴム体積分率83〜98%を有し、該カバー(3)が厚さ1〜4mmおよびショアーD硬度55〜65を有し、かつ外層コアの比重と内層コアの比重の差(内層−外層)が−0.1〜0.2を有することを特徴とするゴルフボールに関する。更に本発明をより好適に実施するには、上記外層コア(2)が、シス‐1,4‐結合を90%以上含むポリブタジエンゴム50重量%以上を含有するゴム組成物から成り、上記内層(1)および外層コア(2)が、JIS‐C型硬度40〜90を有することが望ましい。
【0008】
以下、本発明について更に詳述する。内層コア(1)はゴム体積分率60〜90%を有するのが好ましい。ゴム体積分率が60%より小さいと、ボール重量が重くなり過ぎ、90%より大きいとボール重量が軽くなり過ぎる。尚、ゴム体積分率はコア全体積に占めるゴムの体積比率と定義される。
【0009】
また本発明に用いられる内層コア(1)および外層コア(2)は、基本的にはゴルフボールのコアに用いられるゴム組成物を加硫成形することにより得られる。ゴム組成物は通常、基材ゴム、不飽和カルボン酸金属塩、有機過酸化物、充填材等を含有する。基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴムおよび/または合成ゴムが用いられ、特にシス-1,4-結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、所望により、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、EPDM等を配合してもよい。本発明の外層コア(2)は、シス-1,4-結合を90%以上含むポリブタジエンゴム50重量%以上を含有するゴム組成物から成ることが好ましい。シス-1,4-結合が90%未満では、変形量が大きくなり反撥性が低下し、50重量%未満では少なくて所望の効果が達成できない。
【0010】
不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤として作用し、特にアクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β-不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩が挙げられるが、高い反撥性を付与するアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は基材ゴム100重量部に対して、3〜40重量部が好ましい。40重量部より多いと硬くなり過ぎ、フィーリングが悪くなり、3重量部より少ないと反撥が悪くなり飛距離が低下する。
【0011】
有機過酸化物は架橋剤または硬化剤として作用し、例えばジクミルパーオキサイドまたはt-ブチルパーオキサイドが挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.5〜20重量部であることが好ましい。0.5重量部未満では軟らかくなり過ぎて反撥が悪くなり飛距離が低下する。20重量部を越えると硬くなり過ぎ、フィーリングが悪くなる。
【0012】
充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜30重量部であることが好ましい。10重量部未満ではボールが軽くなり過ぎ、30重量部を越えるとボール重量が重くなり過ぎる。
【0013】
本発明では、内層コア(1)上に外層コア(2)が形成される。外層コア(2)は、内層コア(1)上に圧縮成形等により容易に被覆できるが、その他の方法で被覆してもよい。
【0014】
本発明に用いられる内層コア(1)は、直径8〜36.8mmを有することが好ましい。8mm未満では外層のゴム体積分率が上がらず反撥係数が小さくなり、36.8mmを越えると外層コアのボール全体に占める体積が小さくなり過ぎて反撥係数が小さくなる。
【0015】
本発明の外層コア(2)は、厚さ2〜16.4mmを有することが好ましい。厚さ2mm未満では反撥係数が小さくなり、16.4mmを越えるとコアのゴム体積分率が上がらず反撥係数が小さくなる。また本発明の外層コア(2)は、ゴム体積分率83〜98%を有することが好ましい。ゴム体積分率83%未満では反撥係数が小さくなり、98%を越えるとボール全体の軟らかくなり過ぎ反撥係数が小さくなる。上記体積分率は、比重の高いタングステンを用いることで容易に得られるが、硫酸バリウムを用いても体積分率は若干低下するが可能である。
【0016】
また内層コア(1)および外層コア(2)は、ショアーD硬度45〜75、より好ましくは70〜85を有することが好ましい。45未満では軟らかくなり過ぎて反撥係数が小さくなり、75を越えると硬くなり過ぎてコントロール性、打撃時フィーリングが悪くなる。更に内層コア(1)および外層コア(2)において、両者の比重の差、即ち(外層コア)−(内層コア)値が−0.1〜0.2を有することが好ましい。上記値が−0.1未満では慣性モーメントが小さくなるため飛距離が短くなり、0.2を越えると外層コア(2)のゴム体積分率が下がり反撥が低くなる。内層コア(1)の比重は好ましくは1.10〜1.22であり、外層コア(2)の比重は好ましくは1.05〜1.20である。
【0017】
次いで、上記コア上にはカバー(3)を被覆する。カバーはソリッドゴルフボールのカバー材として通常使用されるアイオノマー樹脂やバラタで形成することができ、少量の他の樹脂を加えてもよい。また、上記カバー用組成物には、硫酸バリウム等の充填材や着色のために二酸化チタン等の添加物や、その他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通常、着色剤の配合量は0.1〜0.5重量部が好ましい。
【0018】
本発明のカバー層は、ゴルフボールのカバーの形成に使用されている一般に公知の方法、例えば射出成形、プレス成形等により形成される。カバー層厚さは1〜4mmが好ましく、1mm未満ではボール全体の硬度が小さくなって反撥係数が小さくなり、4mmを越えるとボール全体の硬度が大きくなってコントロール性とフィーリングが悪くなる。また、カバー層はショアーD硬度45〜75、より好ましくは55〜65を有することが好ましく、45未満では反撥が下がるのに加えスピンが多くなり過ぎ、75を越えるとフィーリングが非常に悪くなる。
被覆する際に通常、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。本発明のゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイントで被覆され、市場に投入される。
【0019】
本発明では、優れた飛行性能を低下させることなく、コントロール性と打撃時のフィーリングを向上させたソリッドゴルフボールを提供する。
【0020】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5および比較例1〜6)
表1(実施例)および表2(比較例)に示した配合の内層コア用組成物を混練し、155℃で20分間加圧成形して、表1(実施例)および表2(比較例)に示すような直径、ゴム体積分率、比重の内層コアを作製した。
この内層コア上に同中心的に、表1(実施例)および表2(比較例)に示した配合の外層コア用組成物の未加硫のハーフシェルを被せ、155℃、20分間圧縮加熱成形し、表1(実施例)および表2(比較例)に示すような厚さ、ゴム体積分率、比重の外層コアを得た。
得られたソリッドコア上に表3に示したカバー配合を射出成形することにより、カバーを被覆し、ソリッドゴルフボールを得た。得られたカバーの厚みおよび硬度、並びにソリッドゴルフボールの慣性モーメント、飛距離(ラン含む)およびスピンを表1および表2に示した。試験方法は後記の通り行った。
【0021】
(比較例7)
外層コアを用いずに、表2に示したような配合量の内層コアとした以外は、上記実施例1〜5および比較例1〜6と同様にソリッドゴルフボールを作製(ツーピース)し、同様の特性を評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【0026】
(試験方法)
▲1▼慣性モーメント
INERTIA DYNAMICS社製の、モデルNo.005-002シリーズNo.M992745により測定した。
▲2▼飛距離およびスピン
ツルーテンパー社製スイングロボットにドライバーを取付け、ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃し、ランを含むトータル距離を飛距離として測定し、連続写真撮影することによってスピンを求めた。同様に5番アイアンを取付け、ヘッドスピード38m/秒で打撃した際の飛距離およびスピンを測定した。
【0027】
以上の結果より、本発明の実施例1〜5は、比較例1〜7と比較して、反撥が高く、スピンが最適になるために飛距離が大きくなることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
コアと該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有する本発明のゴルフボールにおいて、内層コア(1)の直径、外層コア(2)の厚さおよび配合、カバー(3)の厚さ、および[比重(外層コア)−比重(内層コア)]の値を特定範囲に設定することにより、慣性モーメントを低下させることなく高反撥化させて、飛行性能とコントロール性を両立させ得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの断面概略図である。
【符号の説明】
1 … 内層コア
2 … 外層コア
3 … カバー
Claims (3)
- コアと該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するゴルフボールにおいて、該内層コア(1)が直径8〜36.8mmを有し、該外層コア(2)が厚さ2〜16.4mmおよびゴム体積分率83〜98%を有し、該カバー(3)が厚さ1〜4mmおよびショアーD硬度55〜65を有し、かつ外層コアの比重と内層コアの比重の差(内層−外層)が−0.1〜0.2を有することを特徴とするゴルフボール。
- 該外層コア(2)が、シス‐1,4‐結合を90%以上含むポリブタジエンゴム50重量%以上を含有するゴム組成物から成る請求項1記載のゴルフボール。
- 該内層(1)および外層コア(2)が、JIS‐C型硬度40〜90を有する請求項1記載のゴルフボール。
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- 1996-06-12 JP JP15085996A patent/JP3748623B2/ja not_active Expired - Lifetime
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