JP3748004B2 - 洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素系洗浄剤や石油系溶剤の代替洗浄剤として、光学部品や電子部品、金属部品、プラスチック部品、更には衣類等の繊維の洗浄に用いることができる洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、レンズなどの光学部品、鉄などの金属部品、シリコンウエハーなどの半導体部品及び衣類などのドライクリーニングの洗浄剤として、フロン、パークロロエチレン、トリクロロエタンに代表される塩素系溶剤や、パラフィン、ナフテンに代表される石油系溶剤を使用することが知られている。いずれの溶剤を使用するかは使用目的もしくは対象によって適宜選択されている。
【0003】
しかしながら、塩素系溶剤は不燃性でかつ乾燥速度が早い等の優れた性質を有しているものの、オゾン層破壊及び地下水汚染の原因物質となっており、地球環境保護の立場からその使用は厳しく制限される方向にある。また、石油系溶剤は作業環境の観点から許容濃度勧告値100ppm(ガソリン)が設定されており、溶剤中毒に対して充分な注意を払わなければならない。
【0004】
そのため、代替洗浄剤として揮発性シリコーン油を用いた溶剤系が検討されている。例えば、特開平8−302397号公報には、オクタメチルシクロテトラシロキサンと乳酸ブチル等との共沸様組成物が洗浄剤として有効である旨の記載がある。しかしながら、オクタメチルシクロテトラシロキサンは環状シロキサンであるため、酸又はアルカリにより開環重合が起こり、高分子シロキサンが生成してしまう問題がある。更に、オクタメチルシクロテトラシロキサンは融点が17℃と比較的高いため、冬季には保管中に凍結して作業性が非効率になることも考えられる。一方、特開平6−93294号公報にはオクタメチルトリシロキサンとプロピレングリコールエチルエーテルアセテートとの共沸組成物による洗浄剤が開示されている。オクタメチルトリシロキサンは表面張力が小さいため浸透性に優れており、更に直鎖状ポリシロキサンであるため、前述の開環重合が生じないものの、洗浄力を表すカウリブタノール値(KB値)が小さく、ほとんど洗浄力を有していない。そのため、KB値の大きい他の有機化合物との混合物、更には蒸留再使用時に液組成が変わらないようにするために共沸組成物にする必要があり、その実現のためには存在割合を共沸組成±0.5%と極めて狭い範囲に調製しなくてはならない。
【0005】
以上のように、従来から代替洗浄剤として種々検討されてきてはいるものの、未だ決定的な代替溶剤が見つかっていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記問題点を改善するためになされたもので、プラスチック、繊維等の被洗浄物を変質させることなく、優れた洗浄力を有し、オゾン層を破壊することなく、安全性に優れた洗浄剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、沸点が1気圧において210℃以下の下記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンが、金属、シリコン、プラスチック、繊維などを浸し、変質させることがなく、これらの被洗浄物の汚れに対する浸透性に優れ、高い洗浄力を発揮し、またオゾン層を破壊する等の不都合もなく、安全性に優れていることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
【化2】
(式中、RはCnH2n+1(nは1〜4の整数)で示されるアルキル基であるが、Rのうち少なくとも1個はnが2〜4であるアルキル基である。mは0又は1である。)
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の洗浄剤は、カウリブタノール値が10以上であり、かつ沸点が1気圧において210℃以下の直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンを含有するものである。
【0010】
ここで、カウリブタノール値(KB値)は溶剤の樹脂に対する溶解力を示す指標であり、洗浄性の目安として使われる。数値の大きいものほど油脂や樹脂に対する溶解力が大きいことを表す。KB値の測定方法はASTM D1133−61に記載があり、カウリ樹脂のブタノール溶液にサンプル溶剤を滴下し、カウリ樹脂を析出させるのに要した溶剤の量(ml)を求めるものである。従って、KB値は大きい方が汚れを除去するには良い結果を与えるが、洗浄剤として使用するためには10以上が好ましい。これより小さいKB値では良好な洗浄力を期待できない。
【0011】
また、洗浄剤として使用するためには乾燥性が良好であること、及び経済的に蒸留再使用することを考慮すると沸点の範囲は1気圧において210℃以下が望ましい。
【0012】
本発明の洗浄剤おけるオルガノポリシロキサンの構造は直鎖状又は分岐状のオルガノポリシロキサンである。トリメチルシロキシ等の末端基を有しないオクタメチルポリシロキサン等の環状シロキサンでは酸もしくはアルカリの混入で開環反応が起こり、次々と環状シロキサンが重合して粘度の高い不揮発性のオルガノポリシロキサンが生成するため、被洗浄物をかえって汚染してしまう結果となる。直鎖状又は分岐状のシロキサンは末端基を有しているので、被洗浄物を汚染するようなオルガノポリシロキサンは生成せず、蒸留再使用が容易に可能な洗浄剤となり得る。
【0013】
本発明において、洗浄剤として用いる直鎖状又は分岐状のオルガノポリシロキサンとしては、上記KB値及び沸点を有しているものであればいずれのものでもよいが、特に下記式(1)で表されるものが好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】
ここで、RはCnH2n+1(nは1〜4の整数)で示されるアルキル基、即ちメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、又はtert−ブチル基であるが、Rの少なくとも1個はnが2〜4であるアルキル基、即ち上記のうちメチル基以外のアルキル基である。また、mは0又は1である。
【0016】
具体的には、本発明における分岐状シロキサンとして、3−トリメチルシロキシヘプタメチルトリシロキサン等が挙げられ、直鎖状シロキサンとしては、3−エチルヘプタメチルトリシロキサン、1−エチルヘプタメチルトリシロキサン、1−プロピルヘプタメチルトリシロキサン、1−ブチルヘプタメチルトリシロキサン、1,5−ジエチル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,3−ジエチル−1,1,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、3−プロピルヘプタメチルトリシロキサン、3−ブチルヘプタメチルトリシロキサン、ペンタメチルプロピルジシロキサン、ペンタメチルブチルジシロキサン、ペンタメチルヘキシルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエチルジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,1−トリメチル−3,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジイソブチルジシロキサン等が挙げられる。上記のオルガノポリシロキサンは、メチルハイドロジェンポリシロキサンとオレフィンとのヒドロシリレーション、シラノールとクロロシランとの脱塩酸反応もしくはクロロシランの共加水分解等に代表される公知の合成法により得ることができる。
【0017】
本発明の洗浄剤の洗浄力向上及び体積抵抗率低下のために界面活性剤を添加しても良く、洗浄剤の長期に渡る性能維持のために酸化安定剤、腐食抑制剤を加えても良い。
【0018】
本発明の洗浄剤は、上記シロキサンを主成分とするものであるが、被洗浄物としては、金属、シリコン、プラスチック、セラミック、ガラス、繊維など、いずれの材質のものでも良く、また洗浄法としては、浸漬法、蒸気洗浄法、スプレー法、手ふきなど、公知の洗浄法を採用することができる。
【0019】
【実施例】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0020】
[合成例1]3−エチルヘプタメチルトリシロキサンの合成
2Lの4つ口フラスコにトリエチルアミン202g(2mol)、ヘキサン100ml及びメチルエチルケトン100mlを加え、氷水浴に浸した。フラスコ中にトリメチルシラノール216g(2.4mol)メチルエチルケトン溶液とエチルメチルジクロロシラン143g(1.0mol)ヘキサン溶液をそれぞれ同時に滴下した。滴下後、水洗中和し、濃縮、常圧蒸留して、3−エチルヘプタメチルトリシロキサンを得た。沸点174℃。
【0021】
[合成例2]3−プロピルヘプタメチルトリシロキサンの合成
1Lの4つ口フラスコに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン222g(1.0mol)とトルエン300g及び塩化白金酸50mgを加えた。そこへプロピレンガスを吹き込み、ガスクロマトグラフィーにて反応を追跡した。原料の1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが消失した時点で反応を終了し、濃縮、蒸留し、目的物を得た。沸点189℃。
【0022】
[合成例3]3−ブチルヘプタメチルトリシロキサンの合成
1Lの4つ口フラスコに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン222g(1.0mol)とトルエン300g及び塩化白金酸50mgを加えた。そこへブテンガスを吹き込み、ガスクロマトグラフィーにて反応を追跡した。原料の1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが消失した時点で反応を終了し、濃縮、蒸留し、目的物を得た。沸点204℃。
【0023】
上記シロキサンのKB値、表面張力、及び沸点の結果を表1に示す。なお、KB値はASTM D1133−61の方法によって測定した。
【0024】
【表1】
【0025】
[実施例、比較例]
ガラス板、銅板、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル布及び綿布にモーター油を塗布し、以下の方法にて洗浄した。合成例1〜3で得られた洗浄液を各々第1槽に充填し、撹拌しながら洗浄した後、第2槽にも第1槽と同じ種類の洗浄液を充填し、撹拌しながら更に洗浄した。被洗浄物を60℃の乾燥機にて60分乾燥後、モーター油の残り具合を観察した。比較例として、ヘキサメチルジシロキサン及びオクタメチルトリシロキサンを用いて、同じ方法で洗浄を行った。結果を表2に示す。
評価結果
○:モーター油残存せず
×:モーター油残存
【0026】
【表2】
注:PPはポリプロピレンを示す。
【0027】
洗浄後の素材の変質はいずれの場合も観察されなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤は、オゾン層を破壊せず、被洗浄物を変質させることなく優れた洗浄能力を有するので、機械部品、電気電子部品、精密部品、光学部品及び繊維に対して、浸漬洗浄の他、蒸気洗浄、手ふき用の洗浄剤として優れた効果を発揮する。
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