JP4373722B2 - 洗浄剤およびそれを用いた洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドライクリーニングに使用する洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄溶剤として、パラフィン系、ナフテン系の炭化水素などの石油系溶剤や塩素系溶剤,フッ素系溶剤に代表されるハロゲン化炭化水素などの合成溶剤が使用されていることが多い。
【0003】
石油系溶剤とは、引火点がある有機溶剤の総称であり、安価なことや入手が容易であることからよく用いられる。
【0004】
合成溶剤とは、引火点がない有機溶剤の総称であり、安価なことや溶解力が高いこと、比重が1.0以上と比較的重いことで、水による洗浄と比べ、洗浄時間が短くできることからよく用いられる。しかしながら、被洗浄物への作用が大きく被洗浄物を傷め易い欠点が有る。
【0005】
前記合成溶剤のうち塩素化炭化水素系溶剤としては、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)などがあり、フッ素系溶剤としては、フロン113等が用いられている。又、その他にも臭素等を付与したものがある。
【0006】
近年、より安全性を考慮したシリコーン系溶剤を用いることもある。このシリコーン系溶剤には、下記の特開2001−279291、特開2002−256292公報のようなものが挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−279291公報
この公報では、カルボキシル変性シリコーンとシリコーン系の溶剤とを混合させたものであり、これを使用することで、再汚染性、平滑性、柔軟性に優れた洗浄ができるものである。
【0008】
【特許文献2】
特開2002−256292公報
この公報では、トリス(トリメチルシロキシ)シランを用いるものであり、これを使用することで、被洗浄物への残留溶剤臭が少なく、風合いが良好で、安全性に優れ、オゾン層を破壊することなく、皮膚刺激が少ないものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、1,1,1−トリクロロエタンあるいはテトラクロロエチレン(パークロロエチレン)の塩素化炭化水素系溶剤、フロン113等の合成溶剤は不燃性で溶解力が大きく乾燥速度が速いなど優位な特徴を持つ一方で、地球環境保護の観点からその生産と使用は厳しく制限されている。
【0010】
これらの代替洗浄剤としてのシリコーン系溶剤あるいは従前より存在する炭化水素系溶剤を用いた場合において、溶剤自体は低毒性であり抗菌作用を持たない為、被洗浄物中に含まれる水分と水溶性の有機物は洗浄剤をリサイクル使用する際、洗浄剤中に蓄積され、長期間の貯蔵では嫌気性の雑菌が繁殖し洗浄剤そのものの腐敗臭を持つ原因に繋がる事となった。洗浄剤が腐敗臭を持つと、洗浄剤の貯蔵タンクはもとより被洗浄物にその腐敗臭が転移し、洗浄に利用できないことにもなった。
【0011】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ドライクリーニングに用いた際に、洗浄剤が抗菌性を有し、かつ被洗浄物への残留臭気が少ない洗浄剤及びそれを用いたドライクリーニングの方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリコーン系溶剤とリモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、その混合割合がシリコーン系溶剤100容量部に対して、リモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部とすることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、炭化水素系溶剤とリモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、その混合割合が炭化水素系溶剤100容量部に対して、リモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部であることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、シリコーン系溶剤と、炭化水素系溶剤と、リモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、シリコーン系溶剤と炭化水素系溶剤との混合割合は、容量部において10:90〜90:10であって、シリコーン系溶剤と炭化水素系溶剤との混合溶剤100容量部に対してリモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部とすることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、ドライクリーニングにおいて、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄剤中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分をその洗浄剤中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤を分離し、被洗浄物を乾燥させることを要旨とした。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について詳細に説明する。本実施形態においては、具体例として、洗浄剤をドライクリーニング用に使用した場合を説明する。
前記洗浄剤の用途はドライクリーニングに限らず、機械部品洗浄、電子部品洗浄、電子回路の基板洗浄、フラックス洗浄、脱脂洗浄、レジスト除去剤等に使用することができる。
【0017】
まず始めに、この発明の主成分である、シリコーン系溶剤、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体あるいは炭化水素系溶剤について説明する。
【0018】
シリコーン系溶剤には、直鎖状あるいは環状シリコーンが有る。前者には、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、カルボキシル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーンとアミンのアルキレンオキサイド付加物との塩、、ジメチルポリシロキサン:〔SiO2(CH3)2〕n;n=3〜6、後者にはオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、前者および後者の両方の組成物が有るものとして、トリス(トリメチルシロキシ)シラン:RSi〔OSi(CH3)3〕3;Rは1〜6の一価炭化水素基が例示される。
【0019】
環式モノテルペンとは、2つのイソプレンが環状に結合したものであり、下記(化1)〜(化6)に示されるような一般式で表されるものである。R1、R2、R3は、同じであっても、異なっても良い。
【0020】
また、これらには、少なくとも2カ所以上の2重結合が、隣り合っていない限り任意の位置に存在し、更に、任意の位置に水酸基を付与させることもできる。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0021】
この環式モノテルペンには、(化1)に示されたボルナン類、(化2)に示されたカラン類、(化3)に示されたフェンカン類、(化4)に示されたp-メンタン類、(化5)に示されたピナン類、(化6)に示されたツジャン類がある。
【0022】
ボルナン類(化1)としては、ボルナン、ボルニル、ボルネオール、イソボルネオール、ショウノウ、カンホルキノン、ノルボルナン、ノルボルニル、カンフェンなどがあり、カラン類(化2)には、カラン、カリル、ノルカラン、ノルカリルなどがある。
【0023】
フェンカン類(化3)としては、フェンカン、フェンキルアルコール、フェンコンなどがあり、p-メンタン類(化4)には、p-メンタン、p-メンチル、リモネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、α-テルピネオール、ペリルアルデヒド、メントン、カルボン、ピペリトン、プレゴンなどがある。
【0024】
ピナン類(化5)としては、ピナン、α-ピネン、β-ピネン、クリサンテノン、ベルベノン、ノルピナンがあり、ツジャン類(化6)には、ツジャン、ツジル、ツジョンなどがある。
【0025】
これらの環式モノテルペンのうち、炭素数が10〜13であることにより、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高い洗浄剤となる。
【0026】
炭素数が9以下の場合では、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ったものではあるが、環式モノテルペンではなくなり、その分子の極性が大きくなることで、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが多くなる。又、分子量が小さくなることで、引火点が下がり、より安全性が高い洗浄剤を得ることができない。
【0027】
逆に、炭素数が14以上の場合では、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、より安全性が高い洗浄剤ではあるが、環式モノテルペンの分子量が大きくなり、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を得ることができない。又、環式モノテルペンの分子量が大きくなることで、洗浄剤の生分解性が低下するため、不要となった洗浄剤の処理が困難になることがある。
【0028】
前記炭素数が10〜11の範囲の場合には、洗浄力、乾燥性と安全性とのバランスが良く、被洗浄物の傷みが少ない洗浄剤となり、好ましいものとなる。
上記環式モノテルペンの誘導体では、(化1)〜(化6)の式中のR1〜R3が炭素数1〜2の基のものであり、この基には、アルキル基、ビニル基、アルコキシル基、アルデヒド基など一般的なものがあり、これらのうち、極性が無いアルキル基、ビニル基などが好ましく用いられる。極性が無いことにより、被洗浄物の繊維を痛めることが少なく、汚れの洗浄が効果的なものとなり、より洗浄性を向上させることができる。
【0029】
p-メンタン類(化4)又はツジャン類(化6)は、炭素数が10〜13の範囲内であり、液状であって取扱いが容易であることや、皮膚への刺激が比較的少ないため健康上の問題が小さいことから洗浄剤として好適である。
【0030】
また、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、引火点が40℃以上と比較的高いためその使用に際しての制約が少なく、より安全性が高く、水との分離が容易で、洗浄剤を再利用することが簡単に行うことができる。又、被洗浄物をあまり傷めることなく、汚れを落とすことができるものである。
【0031】
これらp-メンタン類(化4)、ツジャン類(化6)のうち、引火点が40℃で、水に不溶であるp-メンタン、引火点が48℃で、水に不溶であるリモネン、引火点が51℃で、水に不溶であるγ-テルピネン又はそれらの誘導体が溶解力と安全性とのバランスがとれたものとして、望ましく用いられる。
【0032】
炭化水素系溶剤には、JIS K2201「工業ガソリン」に分類される溶剤、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族類等が有る。
【0033】
上記した溶剤を、洗浄剤とするために、請求項1の発明ではシリコーン系溶剤(以下、成分イとする。)と炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体(以下、成分ロとする。)を、容量部において、100容量部:1〜100容量部としている。
【0034】
成分イ100容量部に対する成分ロの割合が、1容量部未満である場合には、被洗浄物中に含まれる水分と水溶性の有機物とが洗浄剤中に蓄積され、長期間貯蔵することによって嫌気性の雑菌が繁殖し、腐敗臭を持つ原因になる。
【0035】
逆に、成分イ100容量部に対する成分ロの割合が、100容量部を超える場合には、被洗浄物に成分ロの臭気が残留する。
【0036】
また、請求項2の発明では炭化水素系溶剤(以下、成分ハとする。)と炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体とを、容量部において、100容量部:1〜100容量部としている。
【0037】
成分ハ100容量部に対する成分ロの割合が、1容量部未満である場合には、被洗浄物中に含まれる水分と水溶性の有機物とが洗浄剤中に蓄積され、長期間貯蔵することによって嫌気性の雑菌が繁殖し、腐敗臭を持つ原因になる。
【0038】
逆に、成分ハ100容量部に対する成分ロの割合が、100容量部を超える場合には、被洗浄物に成分ロの臭気が残留する。
【0039】
さらに、請求項3の発明ではシリコーン系溶剤(成分イ)、炭化水素系溶剤(成分ハ)と炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体(成分ロ)を主成分とし、シリコーン系溶剤と炭化水素系溶剤との混合溶剤100容量部に対して炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を1〜100容量部としている。
【0040】
3種類の溶剤を主成分とする場合における、成分イと成分ハの混合割合は容量部にて成分イと成分ハとの混合溶剤100容量部に対して、成分ロが1容量部未満である場合には、被洗浄物中に含まれる水分と水溶性の有機物とが洗浄剤中に蓄積され、長期間貯蔵することによって嫌気性の雑菌が繁殖し、腐敗臭を持つ原因になる。
【0041】
逆に、成分ハ100容量部に対する成分ロの割合が、100容量部を超える場合には、被洗浄物に成分ロの臭気が残留する。
【0042】
上記記載の通り、洗浄剤は構成され、その洗浄剤中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分を洗浄剤中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤を分離し、被洗浄物を乾燥させる洗浄方法に用いることができる。
【0043】
この洗浄方法では、まず、被洗浄物を洗浄剤中に浸す。浸すことにより、被洗浄物に付着している汚れの成分を洗浄剤中に溶出させることができる。又、浸した洗浄物に、攪拌、回転、落下、振動等の物理的な力を加える。この物理的な力を加えることにより、被洗浄物繊維の細部にまで洗浄剤を浸透させることができ、繊維と汚れ成分との分離を促進することができ、より効率的に汚れを溶出させることができる。
【0044】
また、この洗浄に際して、洗浄剤を加熱して洗浄剤の温度を上げることで、洗浄剤を構成する分子の運動が激しくなり、汚れの成分の溶解性を向上させることができる。このときの洗浄剤の温度は、30〜40℃が好ましく、この範囲にあるとき最も汚れに対する洗浄力と被洗浄物の傷み度合いのバランスが取れたものになる。
【0045】
被洗浄物と汚れの成分とを分離した後、その被洗浄物と汚れの成分が溶出した洗浄剤とを分離し、被洗浄物を乾燥させる。分離、乾燥を行うことで、被洗浄物中に洗浄剤成分が残ることを防ぎ、化学やけどの危険を低下させる。この分離では、被洗浄物を搾る、被洗浄物に遠心力などの外力を与え、より多くの汚れの成分が溶出した洗浄剤を被洗浄物から分離する。前記分離工程を終えても被洗浄物に残った洗浄剤は、被洗浄物を乾燥させることで蒸発させる。
【0046】
この乾燥では、常温、加熱いずれの場合でも可能であるが、加熱乾燥を行うことにより、乾燥速度が速まるため好ましく用いられる。この際の加熱温度は、40〜80℃が好ましく、この範囲にあるとき乾燥が速く被洗浄物の傷みが少ないものとなる。
【0047】
一方、洗浄に用いられた洗浄剤は、再度、ドライクリーニングに用いることが可能である。この場合、ある方法では、汚れた洗浄剤に対して、同量程度又はそれ以上の新しい洗浄剤を混ぜることで、洗浄剤中の汚れ成分の割合を希釈し、次の洗浄に用いることができる。
【0048】
また、別の方法では、汚れの成分が溶出した洗浄剤を回収し、蒸留することで、再び洗浄剤として用いることが好ましい。これにより、汚れの成分がほとんど溶出していない洗浄剤を用いることができ、十分な洗浄作用及び効果を持続させることができるものである。
さらに、乾燥工程により揮発した洗浄剤を冷却回収し、再利用することも可能である。
【0049】
【実施例】
以下、この発明について、実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1の洗浄剤では、シリコーン系溶剤:成分イに直鎖状シリコーンである信越化学工業(株)のKF96L−1.5CS、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体:成分ロに上記(化4)において、R1〜R3が全て−CH3の環式モノテルペンであるリモネンを用いた。成分イと成分ロの割合は、容量部で100:5とした。
【0050】
実施例2〜実施例3および比較例1〜比較例2の配合を下記表1に記す。これらに用いる、成分イあるいは成分ロは実施例1と同じ原材料を用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例4の洗浄剤では、シリコーン系溶剤:成分イに環状シリコーンである東レダウシリコーン(株)のSH245、成分ロに上記(化4)において、R1=C2H5、R2及びR3が−CH3の環式モノテルペンであるリモネンの誘導体を用いた。成分イと成分ロの割合は、容量部で100:90とした。
【0053】
実施例4と同一成分にて、配合割合を変えて、実施例5、実施例6あるいは比較例5、比較例6とした。その組成を下記表2に記す。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例7の洗浄剤では、炭化水素系溶剤:成分ハに新日本石油(株)の商品名「ニューソルDXハイソフト」を、成分ロに上記(化4)において、R1=C2H5、R2及びR3が−CH3の環式モノテルペンであるリモネンの誘導体を用いた。成分ハと成分ロの割合は、容量部で100:50とした。
【0056】
実施例7と同一成分にて、配合割合を変えて、実施例8、実施例9あるいは比較例7、比較例8とした。その組成を下記表3に記す。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例10の洗浄剤では、シリコーン系溶剤:成分イに直鎖状シリコーンである信越化学工業(株)のKF96L−1.5CS、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体:成分ロに上記(化4)において、R1〜R3が全て−CH3の環式モノテルペンであるリモネン、炭化水素系溶剤:成分ハに新日本石油(株)の商品名「ニューソルDX」を用いた。成分イ、成分ハの混合割合を90:10とし、成分イと成分ハの混合物100容量部に対する成分ロの混合割合は、容量部で20とした。
【0059】
実施例10と同一成分にて、配合割合を変えて、実施例11ないし実施例14あるいは比較例9ないし比較例13とした。その組成を下記表4に記す。
【0060】
【表4】
【0061】
実施例15の洗浄剤では、シリコーン系溶剤:成分イに直鎖状シリコーンである信越化学工業(株)のKF96L−1.5CS、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体:成分ロに上記(化4)において、R1〜R3が全て−CH3の環式モノテルペンであるリモネン、炭化水素系溶剤:成分ハに新日本石油(株)の商品名「ニューソルDXハイソフト」を用いた。成分イ、成分ハの混合割合を60:40とし、成分イと成分ハの混合物100容量部に対する成分ロの混合割合は、容量部で20とした。
【0062】
上記した、実施例あるいは比較例による洗浄剤を用いて、試験を行った。
まず、試験1として、被洗浄物に残留する臭気を比較した。この試験は、一辺5cmの正方形の羊毛布に食用油1gを滴下して50℃で8時間乾燥し試験体とした。
【0063】
実施例、比較例による洗浄剤を容器に1リットル取り、この洗浄剤中に試験体を入れ、常温にて錨型撹拌羽根により15分間、100rpm攪拌し、洗浄を行った。洗浄を終えた試験体は、洗浄剤中から取り出し、80℃で15分乾燥した。その後、試験体に残留した臭気を官能試験により判定した。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
更に、試験2として、ドライクリーニング洗浄剤の抗菌性能について試験した。実施例及び比較例の洗浄剤について、100ミリリットルをビーカーに取り分け、重量比5%の水道水を添加した後、封をして30℃恒温室内に一週間放置した。その後、ビーカーの底に沈んだ水分のみを回収し、シャーレ上の標準寒天培地に表面に満遍なく滴下した。前記シャーレに蓋をして30℃の恒温室内にて2日間培養し、その表面における菌の発生状況を確認した。判定基準は培地20cm2当たりのコロニーの数を測定することによって行った。その判定結果については、下記表9に示す。
【0069】
【表9】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1及び請求項2に記載の発明の洗浄剤によれば、2成分を主成分とする洗浄剤にあって、洗浄剤が抗菌性を有し、かつ被洗浄物への残留臭気が少なくなる。
請求項3に記載の発明の洗浄剤によれば、3成分を主成分とする、洗浄剤にあって、洗浄剤が抗菌性を有し、かつ被洗浄物への残留臭気が少なくなる。
請求項4に記載の発明の洗浄剤によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の洗浄剤を洗浄に用いることで、洗浄剤が抗菌性を有し、かつ被洗浄物への残留臭気が少ない洗浄をすることができる。
Claims (4)
- シリコーン系溶剤とリモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、その混合割合がシリコーン系溶剤100容量部に対して、リモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部とすることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤。
- 炭化水素系溶剤とリモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、その混合割合が炭化水素系溶剤100容量部に対して、リモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部であることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤。
- シリコーン系溶剤と、炭化水素系溶剤と、リモネン又はリモネンの誘導体とを主成分とし、シリコーン系溶剤と炭化水素系溶剤との混合割合は、容量部において10:90〜90:10であって、シリコーン系溶剤と炭化水素系溶剤との混合溶剤100容量部に対してリモネン又はリモネンの誘導体を1〜100容量部とすることを特徴とするドライクリーニング洗浄剤。
- ドライクリーニングにおいて、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄剤中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分をその洗浄剤中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤を分離し、被洗浄物を乾燥させることを特徴とする洗浄方法。
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