JP3747512B2 - 軟質組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業機器、輸送機器、家電製品、文具、スポーツ用品、レジャー用品および土木・建築分野などに利用される軟質組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴムに代表される低硬度の材料は、従来より各種分野で使用されている。そして、近年、更なる低硬度材料が要望されているが、一般的な高分子材料では、到達できる硬度に限界があり、また成形加工性との両立も難しい。このような要望に対して、高分子材料に軟化剤などの低分子材料を添加した素材が開発されているが、柔軟性や形状保持性などが充分ではない。
一方、高分子材料と低分子材料とを組み合わせる代表的な用途の1つに、ホットメルト粘・接着剤用途があるが、上記特性とホットメルト粘・接着性とを両立させる材料は、これまでに無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、特定構造の水添ブロック共重合体および液状添加剤のブレンドにより、柔軟性、低分子保持性、力学的性質、ホットメルト粘・接着性および液体保持性に優れた軟質組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)1,2−結合含量がブロック中の5〜25%であるポリブタジエン重合体ブロック(A)、および共役ジエンと他のモノマーの重量比が100/0〜50/50であり、側鎖に不飽和結合を有する共役ジエンの含量がブロック中に全共役ジエン量の25〜95重量%である重合体ブロック(B)、をそれぞれ分子中に少なくとも1つ有するブロック共重合体中の、オレフィン性不飽和結合を水素化してなる水添ブロック共重合体1〜10重量%、ならびに(ロ)液状添加剤99〜90重量%、を含有してなる軟質組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
(イ)成分
本発明の組成物における(イ)成分は、ポリブタジエン重合体ブロック(A)(以下「ブロック(A)」ともいう)および共役ジエンを主体とする重合体ブロック(B)(以下「ブロック(B)」ともいう)を、それぞれ少なくとも1つ有するブロック共重合体(以下「水添前共重合体」ともいう)を水素添加した水添ブロック共重合体である。
【0006】
ブロック(A)において、ポリブタジエンの1,2−結合含量は、5〜25%である。従って、ブロック(A)は、水素添加によりエチレン−ブテン共重合体に類似の構造を示す結晶性のブロックとなる。ブロック(A)中の1,2−結合含量は、5〜25%、好ましくは10〜20%、さらに好ましくは10〜16%である。ブロック(A)中の1,2−結合含量が5%未満では、柔軟性やホットメルト粘・接着性が低下し、一方25%を超えると、力学的性質や形状保持性が劣るため好ましくない。
【0007】
また、ブロック(B)において、側鎖に不飽和結合を有する共役ジエン部分(1,2−および3,4−結合、以下「ビニル結合」ともいう)の割合は、25〜95%である。従って、ブロック(B)は、水素添加により、例えば共役ジエンが1,3−ブタジエンの場合、ゴム状のエチレン−ブテン共重合体ブロックと類似の構造を示す重合体ブロックとなる。このビニル結合含量が25〜60%、特に30〜50%の場合、力学的性質が極めて優れた組成物が得られる。また、ビニル結合含量が60〜95%、特に70〜90%の場合、柔軟性、ホットメルト粘・接着性が極めて優れた組成物が得られる。ブロック(B)中のビニル結合含量が、25%未満あるいは95%を超えると、水素添加後、それぞれポリエチレン連鎖、ポリブテン−1連鎖に由来する結晶構造を示すため、形状保持性やホットメルト粘・接着性が劣るものとなる。
【0008】
ここで、ブロック(B)に使用される共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどの1種または2種以上が挙げられるが、工業的に利用でき、また物性の優れた組成物を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、さらに好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0009】
また、ブロック(B)に使用されることのある他のモノマーとしては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
なお、ブロック(B)において、共役ジエンと他のモノマーとが共重合した場合、共役ジエンの分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状、またはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0010】
ブロック(B)における共役ジエン/他のモノマーの重量比は、100/0〜50/50、好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜90/10である。この範囲以外では、柔軟性、低分子保持性、ホットメルト粘・接着性が低下する。
【0011】
本発明に使用される(イ)成分の水添前共重合体の構造は、上記要件を満たすものであればいかなるものでもよく、例えば一般式
(A−B)n1
(A−B)n2−A
(B−A)n3−B
〔式中、Aはブロック(A)、Bはブロック(B)、n1〜n3は1以上の整数を示す〕
などで表されるブロック共重合体が挙げられる。なお、本発明の(イ)成分としては、トリブロック以上のブロックからなる共重合体が、形状保持性や力学的性質が特に優れているため好ましい。従って、上記一般式では、n1は、2以上の整数の場合が特に好ましい。
【0012】
また、(イ)成分の水添前共重合体としては、例えば下記式のように、カップリング剤残基を介して重合体分子鎖が延長または分岐されたものであってもよい。
(A−B)m X
(B−A)m X
(A−B−A)m X
(B−A−B)m X
〔式中、A〜Bは上記に同じ、mは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す。〕
ここで、特にmが3以上の場合、形状保持性、ホットメルト粘・接着性に優れた組成物が得られる。
【0013】
この場合のカップリング剤としては、例えば1,2−ジブロモエタン、メチルジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化アマニ油、テトラクロロゲルマニウム、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタンなどが挙げられる。
【0014】
なお、本発明の(イ)成分は、その水添前共重合体の構造が上記要件を満たしていれば、共役ジエン以外の他のモノマーを50重量%を超えて含むブロックを含有することも可能である。ここで、他のモノマーとしては、上記と同様のものが用いられる。すなわち、水添前共重合体の構造が、例えば一般式
(A−B−C)n
(A−B−C)m X
(A−B−C)X(C−B)
(式中、A〜B、m、Xは上記に同じ、nは1以上の整数、Cは共役ジエン以外の他のモノマーを50重量%を超えて含むブロックを示す。)
のような構造であってもよい。この場合のカップリング剤としては、上記と同様のものが好適に用いられる。例えば、ブロック(C)として、ポリスチレンブロックを用いた場合、ホットメルト粘・接着性の良好な組成物が得られる。
【0015】
なお、本発明の(イ)成分の水添前共重合体としては、上記共重合体を単独で用いることもできるが、2種以上のブレンド物も好適に用いることもできる。その具体例としては、A−B−A/A−B、(A−B)2 −X/A−B、(A−B)4 −X/A−B、(A−B)4 −X/(A−B)2 −X/A−B、(A−B)4 −X/(A−B)3 −X/(A−B)2 −X/A−B(ただし、A、B、Xは上記に同じ)などの2種またはそれ以上のブロック共重合体のブレンド物が挙げられる。
【0016】
さらに、2種またはそれ以上の(イ)成分どうしのブレンド物、例えばA−B−Aの水添物/A−Bの水添物、(A−B)2 −Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4 −Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4 −Xの水添物/(A−B)2 −Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4 −Xの水添物/(A−B)3 −Xの水添物/(A−B)2 −Xの水添物/A−Bの水添物(ただし、A、B、Xは上記に同じ)なども、本発明の(イ)成分として好適に用いられる。なお、上述のとおり、本発明の(イ)成分としては、トリブロック以上のブロックからなる重合体が特に好ましい。従って、(イ)成分が、A−Bジブロック共重合体の水添物を含む2種またはそれ以上の成分からなる場合、(イ)成分中に占めるこのジブロック体水添物の割合は、50重量%以下が特に好ましい。
【0017】
なお、水添前共重合体のブロック(A)の含有量は、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%、ブロック(B)の含有量は、好ましくは95〜10重量%、さらに好ましくは95〜15重量%である。ブロック(A)の含有量が5重量%未満である〔すなわち、ブロック(B)の含有量が95重量%を超える〕場合、形状保持性、力学的性質および液体保持性が劣るものとなり、一方ブロック(A)の含有量が90重量%を超える〔すなわち、ブロック(B)の含有量が10重量%未満である〕場合、柔軟性が劣り、低分子保持性も不充分となる。
また、本発明の(イ)成分が、ブロック(C)を含有する場合、(イ)成分中のブロック(C)の含有量は、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がさらに好ましく、55重量%以下が特に好ましい〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕。ブロック(C)の含有量が70重量%を超える場合、得られる組成物の柔軟性、低分子保持性、力学的性質、ホットメルト粘・接着性、液体保持性が劣るものとなる。
【0018】
本発明の(イ)水添ブロック共重合体において、オレフィン性不飽和結合(ブタジエン部分および/または共役ジエン部分の二重結合)の水添率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。この水添率が80%未満では、形状保持性や力学的性質が劣るものとなる。
なお、本発明の組成物における(イ)成分は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1万〜70万、好ましくは2万〜60万、さらに好ましくは3万〜50万である。1万未満では、組成物とした場合の力学的性質が劣り、一方70万を超えると、ホットメルト粘・接着性や加工性が劣る。
また、本発明の(イ)水添ブロック共重合体は、少なくとも1種の官能基をこの水添ブロック共重合体に導入して、変性水添ブロック共重合体として用いることも可能である。
本発明の(イ)水添ブロック共重合体は、例えば特開平2−133406号公報、特開平3−128957号公報、特開平5−170844号公報に開示されている方法によって得ることができる。
【0019】
(ロ)成分
本発明の組成物における(ロ)液状添加剤としては、室温で液体ないしはペースト状である各種公知の材料が好適に用いられる。(ロ)成分の具体例としては、プラスチック・ゴム用の各種滑剤、可塑剤および軟化剤などである。
ここで、滑剤としては、パラフィン系滑剤、炭化水素系滑剤、金属セッケンなどが挙げられる。また、可塑剤としては、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体、フマル酸誘導体、クエン酸誘導体などの各種脂肪酸誘導体などが挙げられる。さらに、軟化剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系軟化剤や、エチレン−α−オレフィン系コオリゴマー、ギルソナイト、アスファルトなどの鉱物油系軟化剤、オリーブ油、大豆油、ひまし油、アマニ油などの植物油系軟化剤、オレイン酸やリシノール酸などの脂肪酸などが挙げられる。
【0020】
また、上記以外の各種液状オリゴマーも、(ロ)成分として好適に用いられる。ここで、オリゴマーとしては、ポリイソブチレンや各種液状ゴム(ポリブタジエンやスチレン−ブタジエンゴムなど)などが挙げられる。さらに、シリコーンオイル、ラテックス、エマルジョン、各種有機溶剤、各種水溶液、各種動物油、各種薬効成分、スクワラン、芳香成分、殺虫剤、土壌改良剤、食用油、各種糖類なども、(ロ)成分として用いられる。これらの(ロ)成分は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0021】
本発明の組成物における(イ)成分/(ロ)成分の配合割合は、重量比で1〜10/99〜90である。(イ)成分が1重量%未満では、力学的性質が低下し、組成物の形状保持も困難であり、一方10重量%を超えると、柔軟性が充分ではない。
【0022】
本発明の組成物を構成する成分として、上記(イ)〜(ロ)成分以外の熱可塑性重合体やゴム状重合体、例えばポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−(エチリデン−2−ノルボルネン)共重合体、エチレン−1−ブテン−(エチリデン−2−ノルボルネン)共重合体などのエチリデン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、プロピレン−1−ブテン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリメチルペンテン類、エチレン−ノルボルネン共重合体などのエチレン−環状オレフィン共重合体類、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸アルキルエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アクリルゴム、エチレン系アイオノマーなどを配合することもできる。また、本発明の組成物の特性を損ねない範囲であれば、熱硬化性重合体、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂などを配合することもできる。
【0023】
また、本発明の軟質組成物には、以上の(イ)〜(ロ)成分や、上記の各種成分のほかに、用途に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、難燃化剤、加硫剤、加硫助剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色防止剤、発泡剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの着色剤、フェライトなどの金属粉末、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの有機繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカーなどの無機ウィスカー、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、モンモリナイト、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂などの充填剤などを、単独であるいは2種以上混合して適宜使用することもできる。
【0024】
本発明の組成物は、本質的に高温で低粘度となる材料と高分子材料とのブレンド物である。従って、各成分の混合には、液状の材料を高速攪拌できる機器が好ましい。具体的には、本発明の組成物は、上記(イ)成分と(ロ)成分、さらに必要に応じて他の添加剤を、ホモミキサーなどを用いて、回転数100rpm以上、好ましくは500rpm以上の高速剪断下で攪拌することによって調製される。
なお、本発明の組成物の成形品は、圧縮成形や射出成形などの従来公知の加工方法により、容易に作製することができる。また、必要に応じて、発泡、接着、着色、印刷、塗装などの加工を施すこともできる。さらに、本発明の組成物には、必要に応じて、従来公知の方法により、イオウ架橋、過酸化物架橋、金属イオン架橋、シラン架橋などの架橋を施すこともできる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
【0026】
1,2−結合含量(ビニル結合含量)
1,2−結合含量、ビニル結合含量(1,2−および3,4−結合結合含量)は、赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。
結合スチレン含量
分子鎖中にスチレンユニットを含む成分については、679cm-1のフェニル基の吸収を基に、赤外分析法により、結合スチレン含量を測定した。
【0027】
水添率
共役ジエンの水添率は、四塩化エチレンを溶媒に、100MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
重量平均分子量
重量平均分子量(以下「分子量」ともいう)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC、カラム;東ソー(株)製、GMHHR−H〕を用いて、ポリスチレン換算で求めた。
【0028】
形状保持性
一辺5cmの立方体状の試験片を85℃ギアオーブン中で24時間熱処理し、熱処理前後の試験片形状の変化の目視観察および試験片高さ保持率(処理前の高さに対する割合)から、下記の基準に従って評価を行なった。
5;熱処理前後で、試験片の形状に全く変化が見られない。
4;熱処理前後で、試験片の形状に僅かな変化が見られる。
3;立方体状もしくは直方体状の形状であるが、形状に変化が見られる。
試験片高さの保持率が、70%以上である。
2;立方体状もしくは直方体状の形状であるが、形状に変化が見られる。
試験片高さの保持率が、30%以上、70%未満である。
1;試験片が流動するなど、形状変化が著しい。
試験片高さの保持率が、30%未満である。
【0029】
柔軟性
JIS−A硬度を測定し、下記の基準に従って評価を行なった。
5;JIS−A硬度が20以下である。
4;JIS−A硬度が20を超え、25以下である。
3;JIS−A硬度が25を超え、30以下である。
2;JIS−A硬度が30を超え、60以下である。
1;JIS−A硬度が60を超える。
【0030】
力学的性質
JIS K6301に準拠して、引張破断伸度(EB)を測定し、下記の基準に従って評価を行なった。
5;EBが1,000%以上である。
4;EBが950%以上、1,000%未満である。
3;EBが900%以上、950%未満である。
2;EBが800%以上、900%未満である。
1;EBが800%未満である。
【0031】
ホットメルト粘・接着性(HMA性)
高温(100〜150℃)での流動性および室温での粘・接着強度を測定し、下記の基準に従って評価を行なった。
5;高温での流動性が良好で、かつ室温での粘・接着強度が極めて優れる。
4;室温での粘・接着強度が良好である。
3;高温での流動性が劣るものの、室温での粘・接着強度は良好である。
2;流動性および/または粘・接着性が充分ではないが、粘・接着剤としては使用可能である。
1;流動性および/または粘・接着性が劣り、粘・接着剤として使用不可能である。
【0032】
液体保持性
形状保持性の評価で使用した試験片を40℃ギアオーブン中で166時間熱処理し、熱処理後の試験片の外観を目視観察し、下記の基準に従って評価を行なった。
5;熱処理前後で、試験片の外観が全く変化が見られない。
3;熱処理後に、試験片表面に僅かなブリードが見られる。
1;熱処理後に、試験片表面に顕著なブリードが見られる。
【0033】
参考例
実施例および比較例に示す配合に用いられる各種成分は、以下のとおりである。
水添ブロック共重合体〔(イ)成分〕
イ−1〜イ−19;
表1〜5に示すミクロ構造、分子量、水添率の水添ブロック共重合体。
イ−20;
水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体〔シェル化学(株)製、KG1650、分子量=9.8万、1,2−結合含量=35〜40%〕
イ−21;
水添スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体〔クラレ(株)製、セプトン2043、分子量=10.5万、ポリブタジエン部分=無し〕
【0034】
なお、イ−20、イ−21の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒に用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算で求めた。また、イ−20の項に記載したブタジエン部分の1,2−結合含量は、イ−20のブチレン含量を13C−NMRにより測定し、その値に基づいて算出した。また、算出した数値の妥当性については、示差走査熱量測定のおけるサーモグラムの形状から確認した。イ−21については、ポリブタジエンに由来する構造を有していないため、分子量のみ測定を実施した。
【0035】
液状添加剤〔(ロ)成分〕
ロ−1;
パラフィン系プロセスオイル〔出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−90〕
ロ−2;
ナフテン系プロセスオイル〔富士興産(株)製、フッコールフレックス#2050N〕
ロ−3;
アロマティック系プロセスオイル〔富士興産(株)製、フッコールAROMAX#1〕
ロ−4;
シリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、SH550〕
ロ−5;
アジピン酸ジエステル系可塑剤〔新日本理化(株)製、サンソサイザーDIDA〕
【0036】
実施例1〜12
表6〜7に示す(イ)成分と(ロ)成分を、表中記載の重量比率で混合した。混合には、ホモミキサーを用い、温度120〜170℃、ローター回転数=2,500〜3,500rpmで、1時間攪拌することにより組成物を得た。この組成物について、さらにプレス成形を行い、物性評価用の試験片を作製した。物性評価の結果を表6〜7に示す。実施例1〜12は、いずれも本発明の範囲内の組成物であり、形状保持性、柔軟性、力学的物性、HMA性のいずれも良好なものである。
【0037】
実施例13〜15
表8に示す配合について、上記と同様に組成物を得て、物性評価を行った。これら組成物は、(イ)成分の構造が本発明の範囲内であるが、好ましい範囲から外れる組成物である。それぞれの(イ)成分の構造に応じて、形状保持性、柔軟性、力学的性質およびHMA性のいずれか1つないし2つ以上、若干低いことが分かる。
【0038】
比較例1〜9
表9〜10に示す配合について、上記と同様に組成物を得て、物性評価を行った。これらの組成物は、いずれも本発明の範囲外の組成物である。比較例1は、(ロ)成分のみの例であるが、形状保持性のほか、いずれの物性も劣るものである。また、比較例2は、(イ)成分のみの例であり、柔軟性および力学的性質が充分ではない。比較例3は、組成物中での(イ)成分と(ロ)成分の構成比が本発明の範囲外の組成物であり、比較例2と同様に柔軟性および力学的性質が充分ではない。比較例4〜9は、(イ)成分の構造が本発明の範囲外の組成物である。いずれも、柔軟性、HMA性、形状保持性などが劣ることが分かる。
【0039】
【表1】
【0040】
*1)BD;1,3−ブタジエン
【0041】
【表2】
【0042】
*1)BD;1,3−ブタジエン
*2)ST;スチレン
【0043】
【表3】
【0044】
*1)BD;1,3−ブタジエン
*2)ST;スチレン
【0045】
【表4】
【0046】
*1)BD;1,3−ブタジエン
*2)ST;スチレン
*3)IP;イソプレン
【0047】
【表5】
【0048】
*1)BD;1,3−ブタジエン
*2)ST;スチレン
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】
【表10】
【0054】
【発明の効果】
本発明の軟質組成物は、優れた柔軟性、低分子保持性、ホットメルト粘・接着性、力学物性、付形性、加工性、低温特性、ホットスタンプ性、ゴム弾性、ゴム的感触、可撓性などを生かして、種々の用途に利用することができる。
本発明の組成物は、極めて低硬度のゴム材料として、OA機器用などの低硬度ゴムロール用ゴム、免震ゴムなどとして使用することができる。
【0055】
また、防振・制振・緩衝材として、シール材、パッキング、ガスケット、グロメットなどの固定部材、マウント、ホルダー、インシュレーターなどの支持部材、ストッパー、クッション、バンパーなどの緩衝部材、制振鋼板用材料などの形で、クーラー、洗濯機、冷蔵庫、扇風機、掃除機、ドライヤー、プリンター、マッサージ機、バスタブ、送風機などの振動・音を発生する装置または家電製品や、グラブ、ミット、ゴルフクラブ、テニスラケットなどのグリップなどのスポーツ用品、靴中底用、各種玩具、各種スピーカー、CDプレーヤーなどのオーディオ機器、電子・電気機器、あるいは医療用ベッド、理容用・美容用ベッドなどのベッドや、椅子、車両用や航空機の座席用材料、自動車内装材、自転車、三輪車、オートバイ、自動車、遊園地の乗り物なのハンドルやグリップ、切削機、チェーンソーなどの機械のグリップ、肱当て、膝当て、手袋、ヘルメットなどの身体と接触する部分、OA機器の人体接触部材、義足や義手の人体への接続用緩衝材として使用することができる。
【0056】
また、低分子材料の徐放性を利用して、芳香剤、医療用剤、機能材などの各種徐放性材料、化粧用パフ、蓄熱・保冷材、印字部材、薬用被服材、クリーナーおよびコーターなどとして使用することができる。そのほか、低周波治療用電極材などの医療機器、生体模擬材、電解質液膜、液晶膜、塗料膜などの機能材料や各種舗装材、表面転写用材料としても使用できる。さらに、マットなどの各種文具製品、土木建築用材料、食品関係材料、事務機器部品などの種々の用途に使用することができる。また、ホットメルト粘・接着剤として、金属、プラスチック、木材などの種々の被着体の熱接着に利用できる。
Claims (1)
- (イ)1,2−結合含量がブロック中の5〜25%であるポリブタジエン重合体ブロック(A)、および共役ジエンと他のモノマーの重量比が100/0〜50/50であり、側鎖に不飽和結合を有する共役ジエンの含量がブロック中に全共役ジエン量の25〜95重量%である重合体ブロック(B)、をそれぞれ分子中に少なくとも1つ有するブロック共重合体中の、オレフィン性不飽和結合を水素化してなる水添ブロック共重合体1〜10重量%、ならびに(ロ)液状添加剤99〜90重量%、を含有してなる軟質組成物。
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