JP3747284B2 - アンカー部材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアンカー部材に関し、詳しくは地盤、特には軟弱な地盤を補強したり、あるいは地盤の上に敷設した防水マット、植生マット、防草マットなどマット体(シート状のものを含む)を、当該地盤上にてしっかり固定するために、地盤にねじ込んだり、地中に埋設するアンカー部材に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、例えば河川の法面上に敷設した植生マット等のマット体を固定しておくために、敷設したマットの上から地盤に向けてアンカー部材を打ち込んでいた。従来のアンカー部材としては、例えば釘の形状、すなわち打込み側の先端が先細りとなった柱状をなしていた。このようなアンカー部材を使用することにより、法面上に敷設したマットを動かないように固定することができる。
【0003】
しかしながら、時間の経過に伴って、地盤に打ち込んだアンカー部材が次第に抜け出ることがあるため、この問題を回避すべくアンカー部材における柱状本体に返し部を設ける提案がなされた。
【0004】
なるほど、アンカー部材に返し部を設けることにより、抜け出ようとする方向に対して係止力が働くため、アンカー部材が抜け出るのを一応は防止できるが、このようなアンカー部材であっても、たとえば地盤が軟弱であったり、あるいは法面の傾斜が急な場合には、前記返し部が機能せず、やはりアンカー部材が抜け出るという問題を防ぐことはできなかった。
【0005】
ところで、話は変わるが、近年になって街での緑化運動があちらこちらで進められてきている。すなわち、近年、めっきりと街から緑(植物)が少なくなり、そこで住む人や働く人の憩いの場所が無くなりつつあるというのが実情である。少なくなった緑を復活させようと、政府や自治体などが植樹・植林を薦めており、緑化を促進する企業に対しては補助金を交付するという提案もされている。
【0006】
そこで本発明者は、地盤が軟弱であっても、法面の傾斜が急な場合であっても、きわめて抜け出にくく、かつ緑化推進に一役を担うことができるアンカー部材はないものかと考え、鋭意検討および研究を重ねた結果、ついに本発明のアンカー部材を発案するに至った。
【0007】
【課題を解決するため手段】
請求項1に記載のアンカー部材は、地盤を補強すべく当該地盤に対してねじ込んで埋設したり、また地盤の上に敷設した防水マットや植生マット等のマット体を固定すべく前記マット体を介して地盤にねじ込むためのアンカー部材であって、上側開口部と周壁開口部を備えるとともに、内部に植物を育成する空間を備えた筒状体からなり、前記内部の空間は前記周壁開口部を介して外部と連通してなり、また前記筒状体は下方に向かって次第に先細となった形状をなし、前記筒状体を、これの上下方向に延びる軸を中心にして回転させながら地盤にねじ込んだ際、前記周壁開口部を介して地盤中の土砂が当該筒状体の内部に入り込んでなり、地盤に対してねじ込むことにより前記筒状体内部の空間に土砂を充填せしめ、のち前記筒状体の内部に植物を植設し、前記筒状体の内部にて成長する植物の根の多数が前記周壁開口部を通って地盤中に張り巡らされるようにしたものである。
【0008】
請求項2に記載のアンカー部材のように、螺旋方向にねじ込まれる前記筒状体は、これの周壁開口部の、前記螺旋方向の直下部分が凹入形成されてなり、これにより、前記周壁開口部は前記筒状体のねじ込み方向に対して拡開され、当該筒状体を地盤に対してねじ込んだ際、地盤中の土砂が筒状体の内部に入り易くなるように構成されていることが好適である。
【0009】
請求項3に記載のアンカー部材のように、前記筒状体の外周面上に螺旋状に延びる溝が設けられ、この溝によって筒状体のねじ込み作業を容易ならしめることが好ましい。
【0010】
[作用]
請求項1に記載のアンカー部材にあっては、筒状体の内部空間が植物育成用の空間となっている。このアンカー部材を、例えば軟弱な地盤にねじ込むことにより、このアンカー部材における筒状体の周壁開口部を介して内部空間に、土(土壌、土砂)が次々と入り込む(充填される)。この際、必要に応じて、筒状体の上側開口部を介して肥料を充填してもよい。
【0011】
その後、筒状体の上側開口部から植物の苗木を植える(又は蒔種する)。この苗木(あるいは種子)は、筒状体の内部にて成長を開始し、根が延び始める。この根は水分と養分を求め、根の先端がやがて、筒状体における周壁開口部を介して筒状体の内部から外側(筒状体の外部)に出ていく。植物が更なる成長を続けるに伴って、幾本もの根が延びて外側に出ていき、地盤中に多数の根が張られた状態を形成する。そして、地盤に張った多数本の根によって当該地盤の軟弱性が改善され、強固なものとなって地滑りや崩落等が防止されるとともに、アンカー部材が当該地盤にしっかり固定され、非常に抜けにくくなる。なお、地盤上に敷設した防水マットや植生マットなどのマット体を固定する目的でアンカー部材を用いる場合にあっても、アンカー部材が当該地盤にしっかり固定され、非常に抜けにくくなることから、当該マット体が地盤上にてしっかりと固定されることになる。
【0012】
また一方で、苗(又は種子)が成長することによって発生した植物体(幹、枝、葉など)がアンカー部材の上側開口部から延び、緑化促進が図られる。
【0013】
請求項2に記載のアンカー部材のように、前記筒状体が、前記周壁開口部の螺旋方向直下部分において凹入形成されていれば、前記周壁開口部はねじ込み方向に対して拡開され、当該筒状体を地盤に対してねじ込んだ際、地盤中の土砂が筒状体の内部に入り易くなる。
【0014】
請求項3に記載のアンカー部材のように、筒状体の外周面上に螺旋状に延びる溝が設けられていれば、筒状体のねじ込みが容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
大きさ
本発明のアンカー部材の筒状体の大きさとしては、例えば、上側開口部の直径2cm〜50cm、長さ5cm〜200cmであり、直径:長さ=1:5〜15であるが、これによって限定されるものではない。
【0016】
形状
本発明のアンカー部材の筒状体の形状としては、例えば、上側開口部の形状が円形、楕円形、四角形、三角形などが挙げられ、地盤に対してねじ込むことから、錐体(円錐体、角錐体等)であるとともに、外周面上において螺旋状に延びる溝(ねじ込み方向と略同じ方向に延びる溝)を備えていることが好適である。
【0017】
素材
本発明のアンカー部材の素材としては、例えば、合成樹脂、金属、ゴムなどが挙げられる。
【0018】
また、例えば、天然繊維(ヤシ殻繊維、シュロ繊維など)を絡合させたものや生分解性プラスチックを使用することもできる。この場合にあっては、アンカー部材が地盤中において次第に土壌バクテリアによって分解されるが、その頃には、無数の根が地盤中に張り巡らされているので、地盤の補強・強化に使用する場合には特に問題はない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0020】
図1、図2に本発明のアンカー部材(10)の一例を示す。このアンカー部材(10)は、図示されているように、上側開口部(12)および下側開口部(14)を備えた円筒状の筒状体(11)からなり、下方に向かって次第に先細となった形状をなしている。外周面上には螺旋状に延びるV字溝が設けられて、丁度、巻き貝のような形状を呈しおり、当該筒状体(11)のねじ込みを容易にしている。
【0021】
筒状体(11)の内部は植物育成空間(15)となっている。また、その大きさは、例えば、直径(上端開口部の直径)3cm、長さ20cmである。
【0022】
アンカー部材(10)における本体周壁(10a)には、当該本体周壁(10a)を貫通し、内外を連通(流通)可能にする楕円形の周壁開口部(16)が穿設されている。周壁開口部(16)は、本体周壁(10a)におけるV字溝間に形成する山部に複数個存在している。周壁開口部(16)は、筒状体(11)の上下方向において、ほぼ均等に配置されている。
【0023】
また、図3に示すように、周壁開口部(16)の、筒状体(11)の螺旋方向(=ねじ込み方向(螺入方向))における直ぐ下方部分は凹入形成され、周壁開口部(16)の開口面が拡大(拡開)されている。
【0024】
筒状体(11)の上端部には、径方向外方に向かって延びるフランジ(20)が延設されている。フランジ(20)の上面には、筒状体(11)をねじ込むためにこれ(11)を回転させるドリル(図示せず)とのアタッチメント(20a)が設けられている。
【0025】
次に、アンカー部材(10)の使用状態に関して説明する。図4に示すように、地盤の上に、例えば防草マットなどマット体(M)が敷設されている。このマット体(M)を地盤上に固定すべく、アンカー部材(10)をドリルによってねじ込む(手動でも構わない)。すなわち、図4に示すように、マット体(M)に対し、アンカー部材(10)を、その下端部からねじ込む。アンカー部材(10)の下側部分がマット体(M)を介して地盤に入り込み、そしてアンカー部材(10)におけるフランジ(20)の下面がマット体(M)の上面に当接した際にあっては、それ以上のねじ込みが阻止され、これによりアンカー部材(10)は位置決めされる。このようにして、アンカー部材(10)の多数個をマット体(M)上において所定間隔毎にねじ込み、マット体(M)を地盤に固定する。
【0026】
筒状体(11)を、これの上下方向に延びる軸を中心にして回転させながら地盤にねじ込んだ際、当該周壁開口部(16)を介して地盤中の土砂が筒状体(11)の内部、すなわち植物育成空間(15)に入り込む。これにより、筒状体(11)の内部に土砂を充填することができる。のち筒状体(11)の内部空間に植物(苗)を植設する。
【0027】
やがて苗は生長して根を伸ばし始め、図5に示すように、アンカー部材(10)における周壁開口部(16)を介して根が地盤中に延びていく。そして、時間の経過に伴って、当該植物がさらなる生長(成長)を続け、アンカー部材(10)における上側開口部(12)からは幹(茎)や枝が伸び、その枝にはたくさんの葉がつく。また、根は、図6に示すように、さらに伸びて地盤中における広い範囲に張っていく。地盤に張った多数本の根によって、アンカー部材(10)が地盤にしっかりと固定され、非常に抜けにくくなり、延いてはマット体(M)が地盤に対してしっかりと固定される。この作用効果は、図7に示すような傾斜した地盤上(法面上)に敷設したマット体(M)に対しても奏され、当該地盤の傾斜が比較的急なものであっても同様である。
【0028】
本発明のアンカー部材(10)は、軟弱な地盤を補強する目的で使用することもできる。すなわち、図8に示すように、崩落や地滑りの危険がある軟弱地盤層に本発明のアンカー部材(10)をねじ込み、そのアンカー部材(10)の内部に苗や種子を入れて植物を育てる。これにより、上記と同様、地盤に張った多数本の根によって当該地盤の軟弱性が改善され、強固なものとなって地滑りや崩落等が防止されるとともに、アンカー部材(10)が当該地盤にしっかり固定される。また一方で、苗(又は種子)が成長することによって発生した植物体(幹、枝、葉など)がアンカー部材(10)の上側開口部(12)から延び、緑化促進が図られる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、地盤が軟弱であっても、法面の傾斜が急な場合であっても、きわめて抜け出にくく、しかも緑化推進に一役を担うことができるアンカー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカー部材の一実施例を示した斜視図である。
【図2】前図のアンカー部材を別の方向から見た斜視図である。
【図3】周壁開口部とその近傍を示した拡大部分説明図である。
【図4】アンカー部材をマット体を介して地盤にねじ込む状態を示した一部断面説明図である。
【図5】アンカー部材の周壁開口部を介して根が延び始めた状態を示す一部断面説明図である。
【図6】アンカー部材に植えた植物がさらに生長し、根の多数本が地盤中において広く張り巡らせている状態を示す一部断面説明図である。
【図7】比較的傾斜が急な法面上にアンカー部材を使用した状態を示す一部断面説明図である。
【図8】軟弱地盤層にアンカー部材を使用した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
M……マット体
10……アンカー部材
10a……本体周壁
11……筒状体
12……上側開口部
14……下側開口部
15……植物育成空間
16……周壁開口部
20……フランジ
【発明の属する技術分野】
本発明はアンカー部材に関し、詳しくは地盤、特には軟弱な地盤を補強したり、あるいは地盤の上に敷設した防水マット、植生マット、防草マットなどマット体(シート状のものを含む)を、当該地盤上にてしっかり固定するために、地盤にねじ込んだり、地中に埋設するアンカー部材に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、例えば河川の法面上に敷設した植生マット等のマット体を固定しておくために、敷設したマットの上から地盤に向けてアンカー部材を打ち込んでいた。従来のアンカー部材としては、例えば釘の形状、すなわち打込み側の先端が先細りとなった柱状をなしていた。このようなアンカー部材を使用することにより、法面上に敷設したマットを動かないように固定することができる。
【0003】
しかしながら、時間の経過に伴って、地盤に打ち込んだアンカー部材が次第に抜け出ることがあるため、この問題を回避すべくアンカー部材における柱状本体に返し部を設ける提案がなされた。
【0004】
なるほど、アンカー部材に返し部を設けることにより、抜け出ようとする方向に対して係止力が働くため、アンカー部材が抜け出るのを一応は防止できるが、このようなアンカー部材であっても、たとえば地盤が軟弱であったり、あるいは法面の傾斜が急な場合には、前記返し部が機能せず、やはりアンカー部材が抜け出るという問題を防ぐことはできなかった。
【0005】
ところで、話は変わるが、近年になって街での緑化運動があちらこちらで進められてきている。すなわち、近年、めっきりと街から緑(植物)が少なくなり、そこで住む人や働く人の憩いの場所が無くなりつつあるというのが実情である。少なくなった緑を復活させようと、政府や自治体などが植樹・植林を薦めており、緑化を促進する企業に対しては補助金を交付するという提案もされている。
【0006】
そこで本発明者は、地盤が軟弱であっても、法面の傾斜が急な場合であっても、きわめて抜け出にくく、かつ緑化推進に一役を担うことができるアンカー部材はないものかと考え、鋭意検討および研究を重ねた結果、ついに本発明のアンカー部材を発案するに至った。
【0007】
【課題を解決するため手段】
請求項1に記載のアンカー部材は、地盤を補強すべく当該地盤に対してねじ込んで埋設したり、また地盤の上に敷設した防水マットや植生マット等のマット体を固定すべく前記マット体を介して地盤にねじ込むためのアンカー部材であって、上側開口部と周壁開口部を備えるとともに、内部に植物を育成する空間を備えた筒状体からなり、前記内部の空間は前記周壁開口部を介して外部と連通してなり、また前記筒状体は下方に向かって次第に先細となった形状をなし、前記筒状体を、これの上下方向に延びる軸を中心にして回転させながら地盤にねじ込んだ際、前記周壁開口部を介して地盤中の土砂が当該筒状体の内部に入り込んでなり、地盤に対してねじ込むことにより前記筒状体内部の空間に土砂を充填せしめ、のち前記筒状体の内部に植物を植設し、前記筒状体の内部にて成長する植物の根の多数が前記周壁開口部を通って地盤中に張り巡らされるようにしたものである。
【0008】
請求項2に記載のアンカー部材のように、螺旋方向にねじ込まれる前記筒状体は、これの周壁開口部の、前記螺旋方向の直下部分が凹入形成されてなり、これにより、前記周壁開口部は前記筒状体のねじ込み方向に対して拡開され、当該筒状体を地盤に対してねじ込んだ際、地盤中の土砂が筒状体の内部に入り易くなるように構成されていることが好適である。
【0009】
請求項3に記載のアンカー部材のように、前記筒状体の外周面上に螺旋状に延びる溝が設けられ、この溝によって筒状体のねじ込み作業を容易ならしめることが好ましい。
【0010】
[作用]
請求項1に記載のアンカー部材にあっては、筒状体の内部空間が植物育成用の空間となっている。このアンカー部材を、例えば軟弱な地盤にねじ込むことにより、このアンカー部材における筒状体の周壁開口部を介して内部空間に、土(土壌、土砂)が次々と入り込む(充填される)。この際、必要に応じて、筒状体の上側開口部を介して肥料を充填してもよい。
【0011】
その後、筒状体の上側開口部から植物の苗木を植える(又は蒔種する)。この苗木(あるいは種子)は、筒状体の内部にて成長を開始し、根が延び始める。この根は水分と養分を求め、根の先端がやがて、筒状体における周壁開口部を介して筒状体の内部から外側(筒状体の外部)に出ていく。植物が更なる成長を続けるに伴って、幾本もの根が延びて外側に出ていき、地盤中に多数の根が張られた状態を形成する。そして、地盤に張った多数本の根によって当該地盤の軟弱性が改善され、強固なものとなって地滑りや崩落等が防止されるとともに、アンカー部材が当該地盤にしっかり固定され、非常に抜けにくくなる。なお、地盤上に敷設した防水マットや植生マットなどのマット体を固定する目的でアンカー部材を用いる場合にあっても、アンカー部材が当該地盤にしっかり固定され、非常に抜けにくくなることから、当該マット体が地盤上にてしっかりと固定されることになる。
【0012】
また一方で、苗(又は種子)が成長することによって発生した植物体(幹、枝、葉など)がアンカー部材の上側開口部から延び、緑化促進が図られる。
【0013】
請求項2に記載のアンカー部材のように、前記筒状体が、前記周壁開口部の螺旋方向直下部分において凹入形成されていれば、前記周壁開口部はねじ込み方向に対して拡開され、当該筒状体を地盤に対してねじ込んだ際、地盤中の土砂が筒状体の内部に入り易くなる。
【0014】
請求項3に記載のアンカー部材のように、筒状体の外周面上に螺旋状に延びる溝が設けられていれば、筒状体のねじ込みが容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
大きさ
本発明のアンカー部材の筒状体の大きさとしては、例えば、上側開口部の直径2cm〜50cm、長さ5cm〜200cmであり、直径:長さ=1:5〜15であるが、これによって限定されるものではない。
【0016】
形状
本発明のアンカー部材の筒状体の形状としては、例えば、上側開口部の形状が円形、楕円形、四角形、三角形などが挙げられ、地盤に対してねじ込むことから、錐体(円錐体、角錐体等)であるとともに、外周面上において螺旋状に延びる溝(ねじ込み方向と略同じ方向に延びる溝)を備えていることが好適である。
【0017】
素材
本発明のアンカー部材の素材としては、例えば、合成樹脂、金属、ゴムなどが挙げられる。
【0018】
また、例えば、天然繊維(ヤシ殻繊維、シュロ繊維など)を絡合させたものや生分解性プラスチックを使用することもできる。この場合にあっては、アンカー部材が地盤中において次第に土壌バクテリアによって分解されるが、その頃には、無数の根が地盤中に張り巡らされているので、地盤の補強・強化に使用する場合には特に問題はない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0020】
図1、図2に本発明のアンカー部材(10)の一例を示す。このアンカー部材(10)は、図示されているように、上側開口部(12)および下側開口部(14)を備えた円筒状の筒状体(11)からなり、下方に向かって次第に先細となった形状をなしている。外周面上には螺旋状に延びるV字溝が設けられて、丁度、巻き貝のような形状を呈しおり、当該筒状体(11)のねじ込みを容易にしている。
【0021】
筒状体(11)の内部は植物育成空間(15)となっている。また、その大きさは、例えば、直径(上端開口部の直径)3cm、長さ20cmである。
【0022】
アンカー部材(10)における本体周壁(10a)には、当該本体周壁(10a)を貫通し、内外を連通(流通)可能にする楕円形の周壁開口部(16)が穿設されている。周壁開口部(16)は、本体周壁(10a)におけるV字溝間に形成する山部に複数個存在している。周壁開口部(16)は、筒状体(11)の上下方向において、ほぼ均等に配置されている。
【0023】
また、図3に示すように、周壁開口部(16)の、筒状体(11)の螺旋方向(=ねじ込み方向(螺入方向))における直ぐ下方部分は凹入形成され、周壁開口部(16)の開口面が拡大(拡開)されている。
【0024】
筒状体(11)の上端部には、径方向外方に向かって延びるフランジ(20)が延設されている。フランジ(20)の上面には、筒状体(11)をねじ込むためにこれ(11)を回転させるドリル(図示せず)とのアタッチメント(20a)が設けられている。
【0025】
次に、アンカー部材(10)の使用状態に関して説明する。図4に示すように、地盤の上に、例えば防草マットなどマット体(M)が敷設されている。このマット体(M)を地盤上に固定すべく、アンカー部材(10)をドリルによってねじ込む(手動でも構わない)。すなわち、図4に示すように、マット体(M)に対し、アンカー部材(10)を、その下端部からねじ込む。アンカー部材(10)の下側部分がマット体(M)を介して地盤に入り込み、そしてアンカー部材(10)におけるフランジ(20)の下面がマット体(M)の上面に当接した際にあっては、それ以上のねじ込みが阻止され、これによりアンカー部材(10)は位置決めされる。このようにして、アンカー部材(10)の多数個をマット体(M)上において所定間隔毎にねじ込み、マット体(M)を地盤に固定する。
【0026】
筒状体(11)を、これの上下方向に延びる軸を中心にして回転させながら地盤にねじ込んだ際、当該周壁開口部(16)を介して地盤中の土砂が筒状体(11)の内部、すなわち植物育成空間(15)に入り込む。これにより、筒状体(11)の内部に土砂を充填することができる。のち筒状体(11)の内部空間に植物(苗)を植設する。
【0027】
やがて苗は生長して根を伸ばし始め、図5に示すように、アンカー部材(10)における周壁開口部(16)を介して根が地盤中に延びていく。そして、時間の経過に伴って、当該植物がさらなる生長(成長)を続け、アンカー部材(10)における上側開口部(12)からは幹(茎)や枝が伸び、その枝にはたくさんの葉がつく。また、根は、図6に示すように、さらに伸びて地盤中における広い範囲に張っていく。地盤に張った多数本の根によって、アンカー部材(10)が地盤にしっかりと固定され、非常に抜けにくくなり、延いてはマット体(M)が地盤に対してしっかりと固定される。この作用効果は、図7に示すような傾斜した地盤上(法面上)に敷設したマット体(M)に対しても奏され、当該地盤の傾斜が比較的急なものであっても同様である。
【0028】
本発明のアンカー部材(10)は、軟弱な地盤を補強する目的で使用することもできる。すなわち、図8に示すように、崩落や地滑りの危険がある軟弱地盤層に本発明のアンカー部材(10)をねじ込み、そのアンカー部材(10)の内部に苗や種子を入れて植物を育てる。これにより、上記と同様、地盤に張った多数本の根によって当該地盤の軟弱性が改善され、強固なものとなって地滑りや崩落等が防止されるとともに、アンカー部材(10)が当該地盤にしっかり固定される。また一方で、苗(又は種子)が成長することによって発生した植物体(幹、枝、葉など)がアンカー部材(10)の上側開口部(12)から延び、緑化促進が図られる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、地盤が軟弱であっても、法面の傾斜が急な場合であっても、きわめて抜け出にくく、しかも緑化推進に一役を担うことができるアンカー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカー部材の一実施例を示した斜視図である。
【図2】前図のアンカー部材を別の方向から見た斜視図である。
【図3】周壁開口部とその近傍を示した拡大部分説明図である。
【図4】アンカー部材をマット体を介して地盤にねじ込む状態を示した一部断面説明図である。
【図5】アンカー部材の周壁開口部を介して根が延び始めた状態を示す一部断面説明図である。
【図6】アンカー部材に植えた植物がさらに生長し、根の多数本が地盤中において広く張り巡らせている状態を示す一部断面説明図である。
【図7】比較的傾斜が急な法面上にアンカー部材を使用した状態を示す一部断面説明図である。
【図8】軟弱地盤層にアンカー部材を使用した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
M……マット体
10……アンカー部材
10a……本体周壁
11……筒状体
12……上側開口部
14……下側開口部
15……植物育成空間
16……周壁開口部
20……フランジ
Claims (3)
- 地盤を補強すべく当該地盤に対してねじ込んで埋設したり、また地盤の上に敷設した防水マットや植生マット等のマット体を固定すべく前記マット体を介して地盤にねじ込むためのアンカー部材であって、
上側開口部と周壁開口部を備えるとともに、内部に植物を育成する空間を備えた筒状体からなり、
前記内部の空間は前記周壁開口部を介して外部と連通してなり、
また前記筒状体は下方に向かって次第に先細となった形状をなし、
前記筒状体を、これの上下方向に延びる軸を中心にして回転させながら地盤にねじ込んだ際、前記周壁開口部を介して地盤中の土砂が当該筒状体の内部に入り込んでなり、
地盤に対してねじ込むことにより前記筒状体内部の空間に土砂を充填せしめ、のち前記筒状体の内部に植物を植設し、前記筒状体の内部にて成長する植物の根の多数が前記周壁開口部を通って地盤中に張り巡らされるようにしたことを特徴とするアンカー部材。 - 螺旋方向にねじ込まれる前記筒状体は、これの周壁開口部の、前記螺旋方向の直下部分が凹入形成されてなり、
これにより、前記周壁開口部は前記筒状体のねじ込み方向に対して拡開され、当該筒状体を地盤に対してねじ込んだ際、地盤中の土砂が筒状体の内部に入り易くなるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンカー部材。 - 前記筒状体の外周面上に螺旋状に延びる溝が設けられ、この溝によって筒状体のねじ込み作業を容易ならしめたことを特徴とする請求項1または2に記載のアンカー部材。
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