JP3746678B2 - ウェッジ式スライド調整機構を備えた鍛造プレス - Google Patents
ウェッジ式スライド調整機構を備えた鍛造プレス Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェッジ式スライド調整機構を備えた鍛造プレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェッジ式スライド調整機構を有する従来の鍛造プレスは、コンロッドが1ポイント式であった。この従来例を図4に基づき説明する。偏心軸101 の偏心部102 には、1本のコンロッド103 が連結されており、コンロッド103 の下端部は幅狭となっている。このコンロッド103 の下端部の両サイドにスライド105 の上端部を配置し、両者間にリストピン104 を通してコンロッド103 とスライド105 を連結している。スライド105 の下面中央部には、ウェッジ107 とスライドハードプレート108 からなるウェッジ式スライド調整機構106 が配置されている。
【0003】
上記従来例の構造では、コンロッド103 とスライド105 間の相対運動を許容するとともに、鍛造時に上金型にくっついた製品を突き落とす図示しないノックアウトピンをストロークさせるためのノックアウトレバーを設置するために、スライド105 の中間部に、コンロッド103 の下端より大きい凹所109 が必要である。
また、凹所109 があるために、スライド105 からプレスフレームへの荷重の伝達は、太線矢印Bで示すように、スライドハードプレート108 の中心にかかった荷重が、スライド105 で左右二方向に分れ、その後リストピン104 とコンロッド103 を経て、偏心軸101 の左右両端部からプレスフレームに伝えられる。
上記のごとくスライド105 での荷重の伝達が二方向に分かれるため、凹所109 両側におけるリストピン104 とスライド105 との接触点を支点として、スライド105 の中央には、図中Aで示す方向に曲げが生じる。このため、スライド105 の強度、剛性を高めるために、スライド105 における凹所109 の下面に充分な厚みS1が必要となる。その結果スライド105 の下部寸法の高さが大きくなり、重量が増加し、フレームの高さH1が高くなってしまう。
【0004】
手動プレスにおいては、最も荷重のかかる仕上工程は、プレス中心部で行うことが可能であるが、自動プレスではトリム工程の追加による工程数の増加やプレス内搬送機構の関係から仕上用の金型Cはプレス中心より偏心した位置に取り付けられるため、仕上工程において、スライド105 には偏心荷重が作用する。すると、コンロッド103 を挟むスライド105 の上端部のうち、一方のスライド105 (図4では右側)の上端部に大きな荷重がかかり、一方のスライド105 の上端部とリストピン104 との間の面圧が大きくなる。したがって、スライド105 のさらなる強度と剛性向上が必要となり、ますます重量が増加する。
【0005】
一方、偏心荷重に強い構造として、2ポイント式のコンロッドが知られている。この構造は、これまで偏心リストピン式スライド調整機構を有するプレスにのみ採用されており、例えば特公昭55−16739号公報に記載されたものがある。
この2ポイント式の従来例では、コンロッドの左右に分かれた2本のロッド部の間に、リストピンの偏心部を入れ、この偏心部を自軸まわりに回転させるスライド調整機構を設ける構造となっている。このようにスライド調整機構をロッド部の間に組込むため、プレスの左右幅や高さ寸法を十分に取る必要があり、プレス自体が大形化してしまう。
よって、プレスの大形化や重量増加を避けたい場合は、2ポイント式のコンロッド構造は好ましくない、とこれまで考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、プレスの重量や寸法が増加せず、しかも偏心荷重に強く、プレスの剛性とプレス精度を高めた鍛造プレスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の鍛造プレスは、プレスフレームに回転自在に軸支され、中央部に偏心部が形成された偏心軸と、前記偏心軸の偏心部に、その基部が回転自在に連結された2本のコンロッドと、前記2本のコンロッドの先端の連結部に、その上部が連結されたスライドとからなり、前記スライドの上部は中央支持部と右側支持部と左側支持部とからなり、前記2本のコンロッドの連結部に対し互いに入れ合わせて配置されており、前記2本のコンロッドの連結部と、前記スライドの3つの支持部にはピン挿通孔が同心に形成されて、リストピンが挿入されており、前記スライドの下面にはウェッジ式スライド調整機構が取付けられており、前記2本のコンロッドの連結部における前記リストピンの上面に接触する上連結部は幅広で、前記リストピンの下面に接触する下連結部は幅狭であることを特徴とする。
請求項2の鍛造プレスは、プレスフレームに回転自在に軸支され、中央部に偏心部が形成された偏心軸と、前記偏心軸の偏心部に、その基部が回転自在に連結された2本のコンロッドと、前記2本のコンロッドの先端の連結部に、その上部が連結されたスライドとからなり、前記スライドの上部は中央支持部と右側支持部と左側支持部とからなり、前記2本のコンロッドの連結部に対し互いに入れ合わせて配置されており、前記2本のコンロッドの連結部と、前記スライドの3つの支持部にはピン挿通孔が同心に形成されて、リストピンが挿入されており、前記スライドの下面にはウェッジ式スライド調整機構が取付けられており、前記スライドにおける前記リストピンの下面に接触する前記中央支持部において、4工程鍛造プレスの4つの金型を取り付けたときに、前記中央支持部の左右方向の一端が、前記金型のうち第2工程金型の左右幅方向中心よりも外方に位置し、前記中央支持部の左右方向の他端が、前記金型のうち第3工程金型の左右幅方向中心よりも外方に位置することを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、スライドの中心に加えられた荷重は、スライドの中央支持部からリストピンを経て2本のコンロッドの連結部に伝えられ偏心軸の中央部の偏心部に伝達される。よって、スライドからリストピンへの力の伝達経路はプレスフレームの中心に沿った1本のルートに近く、力の伝達がスムーズであり、スライドには圧縮応力しかかからない。また、スライドの中心から外れた位置に加えられた荷重は、スライドの左または右の支持部と中央支持部の2本のルートを経てリストピンに伝えられるので、荷重がリストピンの中央部にも分散し、偏心荷重への対抗力が強くなる。これらの理由によりスライドの下部高さを低くでき、プレスフレームの全高も低くなって、重量を軽減でき、従来と同一寸法にすればより高い強度と剛性を保持でき、プレス精度も向上する。しかも、型打ち時の反力が、リストピンから、コンロッドへ伝えられるときに、コンロッドの上連結部が幅広であって受圧面積が広いので、面圧が低くなる。よってコンロッドの剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
請求項2の発明によれば、スライドの中心に加えられた荷重は、スライドの中央支持部からリストピンを経て2本のコンロッドの連結部に伝えられ偏心軸の中央部の偏心部に伝達される。よって、スライドからリストピンへの力の伝達経路はプレスフレームの中心に沿った1本のルートに近く、力の伝達がスムーズであり、スライドには圧縮応力しかかからない。また、スライドの中心から外れた位置に加えられた荷重は、スライドの左または右の支持部と中央支持部の2本のルートを経てリストピンに伝えられるので、荷重がリストピンの中央部にも分散し、偏心荷重への対抗力が強くなる。これらの理由によりスライドの下部高さを低くでき、プレスフレームの全高も低くなって、重量を軽減でき、従来と同一寸法にすればより高い強度と剛性を保持でき、プレス精度も向上する。型打ち時の反力が、スライドからリストピンへ伝えられるときに、スライドの中央支持部とリストピン下面との接触面積が広くなるので、面圧が低くなる。また、最も荷重の大きい仕上工程においてスライドには圧縮応力しかかからないので、スライドの剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る鍛造プレスの要部断面正面図である。同図に示すように、本実施形態のウェッジ式スライド調整機構を備えた鍛造プレス(以下、単に鍛造プレスで示す)は、プレスフレーム1、偏心軸10、コンロッド20、スライド30、リストピン40およびウェッジ式スライド調整機構50から基本構成されたものである。
【0010】
まず、プレスフレーム1を説明する。
プレスフレーム1はベッド2、コラム3、クラウン4、タイロッド5およびボルスター6から基本構成されている。
図1において、符号2はベッドを示している。このベッド2は、鍛造プレスの重量を支えるとともに、鍛造時の荷重を支えるものである。
ベッド2の上方にはクラウン4が設けられている。このクラウン4には、後述する偏心軸10が、スリーブ4Sを介して回転自在に取り付けられている。
ベッド2とクラウン4の間には左右一対のコラム3,3が設けられている。この左右一対のコラム3,3は、クラウン4を支持するとともにベッド2とクラウン4との間隔を保つものである。各コラム3の内面にはガイド3gがそれぞれ設けられている。この一対のガイド3g,3gは、その間に挿入される後述するスライド30の上下動を案内するものである。
前記ベッド2、前記コラム3および前記クラウン4は、タイロッド5によって締め付けられ、組み立てられている。このタイロッド5は、所定のプリロードをかけて締め付けられており、プレスの荷重によってコラム3とクラウン4との間に隙間が生じることを防いでいる。
【0011】
また、左右一対のコラム3,3間におけるベッド2の上面には、ボルスター6が設けられている。このボルスター6の上面には、4工程鍛造プレスの4つの金型Mの下型が取り付けられている。金型Mは、例えば図の左から、つぶし型Ma、荒打型Mb、仕上型Mc、抜型Mdの順に設けられている。
【0012】
つぎに、偏心軸10について説明する。
前記クラウン4には、偏心軸10が水平に取り付けられており、偏心軸10の両端の支持部11が、スリーブ4Sを介して、クラウン4に回転自在に軸支されている。この偏心軸10の軸方向の中央部には、支持部11よりも直径が大きい軸状の偏心部12が設けられている。この偏心部12の軸中心は、偏心軸10の軸中心に対して半径方向に偏心している。
【0013】
また、偏心軸10の両端は、クラウン4の外部に突出しており、一端には図示しないクラッチおよびフライホイールが取り付けられており、他端には図示しないブレーキが取り付けられている。このため、図示しない駆動モータの回転エネルギーがフライホール、クラッチを介して偏心軸10に伝達され、偏心軸10が回転されるのである。
【0014】
つぎに、コンロッド20を説明する。
前記偏心軸10の偏心部12には、左右一対のコンロッド20,20の基部21が、平行に並んで回転自在に取り付けられている。各コンロッド20の先端部には、連結部22が形成されている。各連結部22には、その幅方向(図1では左右)を貫通する偏心軸10と平行なピン挿通孔22h が形成されている。
しかも、各連結部22のピン挿通孔22h は、同心に形成されている。
【0015】
図3はリストピン40まわりの拡大断面図である。図1および図3に示すように、左右一対の連結部22,22において、ピン挿通孔22h の中心よりも先端側の部分は、互いに向かい合った面がそれぞれ削られ、段差が形成されている。つまり、ピン挿通孔22h の中心よりも基端側(以下、上連結部23で示す)は、基部21と同じ幅であるが、ピン挿通孔22h の中心よりも先端側(以下、下連結部24で示す)は、基部21よりも幅が狭くなっている。このため、連結部22の下連結部24における左右一対のコンロッド20,20の互いに向かい合った面の間隔は、連結部22の上連結部23における互いに向かい合った面の間隔よりも広くなっているのである。
【0016】
つぎに、スライド30を説明する。
図1および図3に示すように、前記左右一対のコラム3,3のガイド3gの間には、スライド30が挿入されている。このスライド30の上部には、下方に凹んだコンロッド取付部31が形成されている。このコンロッド取付部31にはその中央部よりもより深く下方に凹んだ左右一対の逃げ溝31a ,31b が形成されている。
【0017】
コンロッド取付部31において、この逃げ溝31a ,31b の外方上部には右支持部33および左支持部34がそれぞれ形成されている。この右支持部33および左支持部34には、その幅方向(図1では左右)を貫通するピン挿通孔33h ,34h が同心で、かつ前記偏心軸10と平行にそれぞれ形成されている。
また、コンロッド取付部31における前記逃げ溝31a ,31b の間には、中央支持部32が形成されている。この中央支持部32の左右両側端は、その左端が、金型Mの荒打型Mbの左右幅方向中心よりも外方に位置し、その右端が金型Mの仕上型Mcの左右幅方向中心よりも外方に位置している。しかも、この中央支持部32の左右の幅は、スライド30の幅の約40%を占めている。
また、中央支持部32の上面は、下方に凹んだ円筒面状に形成されており、この円筒面の軸中心が、前記右支持部33および左支持部34のピン挿通孔32h ,34h の軸中心と一致している。
【0018】
一方、スライド30の下部には、上方に凹んだ凹部30G が形成されており、この凹部30G の内部上面が、スライド30の下面となっており、水平な平坦面に形成されている。また、この凹部30G 内側の前面、背面および左右両側面は、鉛直な平坦面となっている。
【0019】
よって、スライド30のコンロッド取付部31の、右支持部33と中央支持部32の間および左支持部34と中央支持部32の間に、前記左右一対コンロッド20の連結部22をそれぞれ挿入し、各連結部22の下連結部24を前記逃げ溝31a ,31b にそれぞれ挿入する。
ついで、コンロッド20,20のピン挿通孔22h と、スライド30のピン挿通孔33h ,34h の中心を合わせると、偏心軸10と平行かつ、中心が一致した貫通孔が形成される。
この貫通孔に、リストピン40を挿入すると、コンロッド20,20とスライド30とが、リストピン40を介して回転自在に連結されるのである。
【0020】
このときリストピン40の上面は、左右一対のコンロッド20,20の連結部22の上連結部23に接しており、この上連結部23が幅広であるので、リストピン40との接触面積が広くなる。
また、リストピン40の下面は、中央支持部32の上面に接しており、この中央支持部32の幅が広いので、中央支持部32とリストピン40との接触面積が大きくなる。
【0021】
つぎに、ウェッジ式スライド調整機構50を説明する。
図2は図1のII線に沿うスライド30まわりの断面側面図である。図2および図3に示すように、前記スライド30の下面には、ウェッジ52の上面が、前後に摺動自在に、密着して取り付けられている。このウェッジ52は、上面が水平な平坦面であり、下面が上面に対して傾斜した傾斜面となったくさび形をしている。
【0022】
このウェッジ52の下面には、スライドハードプレート51の上面が摺動自在に密着して取り付けられている。このスライドハードプレート51の上面は、水平に対してウェッジ52の下面と同じ傾斜をもつ傾斜面となっている。また、スライドハードプレート51の下面は水平な平坦面となっており、前記金型Mの上型が取り付けられている。
【0023】
前記スライドハードプレート51の前面、背面および左右両側面は、スライドハードプレート51の下面に対して垂直に形成された平坦面である。このスライドハードプレート51の前面、背面および左右両側面が、前記スライド30の凹部30G の内側の前面、背面および左右両側面に、上下に揺動自在にそれぞれ密着している。
【0024】
さらに、スライドハードプレート51の下端の外周には、フランジ状の固定部51f が形成されている。この固定部51f の上面には、図示しない軸が立設されている。この軸の上端は、スライド30の下面を貫通し、スライド30の下端に設けられた図示しないばね室に挿入されている。この軸の上端にはフランジ状のステーが設けられており、このステーの下面と前記ばね室の上面との間にばねが取り付けられている。このばねは、ステーを上方に持ち上げている。したがって、スライドハードプレート51は、ばねによって、常に上方へ引き上げられ、ウェッジ52に押し付けられて固定されている。
また、スライド30の下端において、凹部30G の外周には、図示しない油圧シリンダが、ピストンロッドを下向きに取り付けられている。この油圧シリンダのピストンロッドの先端は、前記スライドハードプレート51の固定部51f の上面に取り付けられている。この油圧シリンダは、スライド30の高さ調整を行うときに、スライドハードプレート51の下方に移動させ、スライドハードプレート51のウェッジ52への固定を開放するためのものである。
【0025】
前記ウェッジ52の後端には、ネジ53の一端が取り付けられている。ネジ53の他端は、前記スライド30の凹部30G を貫通し、スライド30の背面に突出している。このネジ53の他端の、外周面に雄ネジが形成されている。
このネジ53の雄ネジには、中心に雌ネジが形成されたドリブンギア54a が螺合している。このドリブンギア54a にはドライブギア54b が噛み合っており、このドライブギア54b はスライド30の背面に取り付けられた調整モータ55の主軸に取り付けられている。
【0026】
このため、図示しない油圧シリンダを伸長すると、スライドハードプレート51がスライド30の凹部30G 内面に案内されて、下方に移動し、スライドハードプレート51のウェッジ52への固定が解放される。ついで、調整モータ55を駆動すると、ドライブギア54b 、ドリブンギア54a が回転される。すると、ドリブンギア54a の雌ネジと螺合していたネジ53が、ドリブンギア54a に対して前進後退し、ウェッジ52を前進後退させる。所望の量だけウェッジ52を移動させると、油圧シリンダを収縮させる。すると、スライドハードプレート51は、図示しないばねによってウェッジ52に押し付けられ、再び固定される。このとき、ウェッジ52はくさび状をしているため、ウェッジ52における凹部30G の前後方向中央部に位置する部分の厚さが変化し、スライドハードプレート51の上面とスライド30の下面との距離が変化する。
このため、スライド30の高さを、ウェッジ式スライド調整機構50によって調整できる。しかも、スライドハードプレート51は、図示しないばねによってウェッジ52に強く押し付けられ、固定されているので、鋳造中にがたつくことがない。
【0027】
つぎに、本実施形態の鍛造プレスの作用と効果を説明する。
プレスフレーム1の偏心軸10を図示しない駆動モータによって回転させると、偏心軸10の回転に伴って、スライド30が上下に昇降する。
すると、スライド30が下降したときには、下死点において、つぶし型Ma、荒打型Mb、仕上型Mc、抜型Mdにそれぞれ取り付けられた4つの鍛造品が、各金型Mの上型と下型に挟まれて、4つ同時に成型される。
【0028】
成型が終了すると、スライド30が上昇すると、抜型Mdでトリムされた鍛造品は、完成品として搬出され、つぶし型Ma、荒打型Mb、仕上型Mcにおいて成形された3つの鍛造品は、図示しない公知のフィーダによって、同時に次工程である荒打型Mb、仕上型Mc、抜型Mdにそれぞれ移動される。また、つぶし型Maには新しい素材が供給される。
鍛造品の移動が終了すると、再びスライド30が下降し、各金型Mによって鍛造品が成型される。
【0029】
上記の動作を繰り返すことによって、連続して鍛造作業を行うことができる。
【0030】
ところで、下死点において、各金型Mによって、4つの鍛造品が同時に成型されるが、このとき、仕上型Mcでは仕上工程が行われるが、仕上工程は、最も大きな荷重を鍛造品に加えるので、スライド30が仕上型Mcから受ける反力も大きくなる。
この仕上型Mcは、その左端がプレス中心と一致しており、しかも、仕上型Mcとプレス中心に対して対称な位置にある。荒打型Mbよりも仕上型Mcに加わる荷重が大きいため、スライド30にはプレス中心よりも、右側の荷重が左側の荷重よりも大きい偏心荷重が加わる。
【0031】
しかし、スライド30の中央支持部32の右端は、反力が最も大きくなる仕上型Mcの左右幅方向中心よりも外方に位置するので、仕上型Mcの荷重がスライド30に加わる位置と、スライド30からの荷重がリストピン40に加わる位置が、鉛直方向において、ほぼ一直線上に位置する。このため、スライド30には圧縮応力しかかからない。しかも、仕上型Mcからスライド30に加えられた荷重は、スライド30の中央支持部32からリストピン40を経て2本のコンロッド20の上連結部23に伝えられ偏心軸10の中心部の偏心部12に伝達される。よって、仕上型Mcから加えられた荷重が、スライド30からリストピン40へ伝達される経路はプレスフレームの中心に沿った1本のルートに近く、力の伝達がスムーズである。
【0032】
しかも、スライド30に加えられた荷重が、リストピン40へ伝えられるときに、スライド30の中央支持部32とリストピン40下面との接触面積が広いので、面圧が低くなる。よって、スライド30の剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
また、リストピン40に加えられた荷重が、コンロッド20へ伝えられるときに、コンロッド20の上連結部23が幅広であって受圧面積が広いので、面圧が低くなる。よってコンロッド20の剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
【0033】
一方、スライド30がつぶし型Maから受ける反力は、プレス中心から大きく偏心した位置に加わる。しかし、この荷重はスライド30の左支持部34の下支持部34L と中央支持部32の2本のレールを経てリストピン40に伝えられるので、荷重がリストピン40の中央部にも分散し、左支持部34の下支持部34L からリストピン40に加える荷重を小さくすることができる。したがって、左支持部34の下支持部34L とリストピン40との間の面圧を小さくすることができる。
【0034】
しかも、つぶし型Maによる荒打ち工程では、スライド30かつぶし型Maから受ける反力は大きくなく、また逃げ溝31a の幅も狭いので、スライド30に曲げ応力はほとんど発生しない。
【0035】
また、抜型Mdによるトリム工程においても、抜型Mdからの反力は小さく、この荷重はスライド30の右支持部33の下支持部33L と中央支持部32の2本のルートを経てリストピン40に伝えられるので、右支持部33の下支持部33L からリストピン40に加える荷重を小さくすることができ、右支持部33の下支持部33L とリストピン40との間の面圧を小さくすることができる。
【0036】
上記のごとく、本実施形態のウェッジ式スライド調整機構を備えた鍛造プレスによれば、プレスの重量や寸法が増加せず、しかも偏心荷重に強く、プレスの剛性とプレス精度を高めることができる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、スライドには圧縮応力しかかからず、偏心荷重への対抗力が強く、スライドの下部高さを低くでき、プレスフレームの全高も低くなって、重量を軽減でき、従来と同一寸法にすればより高い強度と剛性を保持でき、プレス精度も向上する。しかも、コンロッドの上連結部が幅広であって受圧面積が広いので、面圧が低くなり、コンロッドの剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
請求項2の発明によれば、スライドには圧縮応力しかかからず、偏心荷重への対抗力が強く、スライドの下部高さを低くでき、プレスフレームの全高も低くなって、重量を軽減でき、従来と同一寸法にすればより高い強度と剛性を保持でき、プレス精度も向上する。スライドの中央部とリストピン下面との接触面積が広くなるので、面圧が低くなり、最も荷重の大きい仕上工程においてスライドには圧縮応力しかかからないので、スライドの剛性を高め、プレス精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る鍛造プレスの要部断面正面図である。
【図2】 図1のII線に沿うスライド30まわりの断面側面図である。
【図3】 リストピン40まわりの拡大断面図である。
【図4】 従来の鍛造プレスの概略説明図である。
【符号の説明】
1 プレスフレーム
10 偏心軸
12 偏心部
20 コンロッド
22 連結部
23 上連結部
24 下連結部
30 スライド
32 中央支持部
33 右支持部
34 左支持部
40 リストピン
50 ウェッジ式スライド調整機構
Claims (2)
- プレスフレームに回転自在に軸支され、中央部に偏心部が形成された偏心軸と、
前記偏心軸の偏心部に、その基部が回転自在に連結された2本のコンロッドと、
前記2本のコンロッドの先端の連結部に、その上部が連結されたスライドとからなり、
前記スライドの上部は中央支持部と右側支持部と左側支持部とからなり、
前記2本のコンロッドの連結部に対し互いに入れ合わせて配置されており、
前記2本のコンロッドの連結部と、前記スライドの3つの支持部にはピン挿通孔が同心に形成されて、リストピンが挿入されており、
前記スライドの下面にはウェッジ式スライド調整機構が取付けられており、
前記2本のコンロッドの連結部における前記リストピンの上面に接触する上連結部は幅広で、前記リストピンの下面に接触する下連結部は幅狭である
ことを特徴とする鍛造プレス。 - プレスフレームに回転自在に軸支され、中央部に偏心部が形成された偏心軸と、
前記偏心軸の偏心部に、その基部が回転自在に連結された2本のコンロッドと、
前記2本のコンロッドの先端の連結部に、その上部が連結されたスライドとからなり、
前記スライドの上部は中央支持部と右側支持部と左側支持部とからなり、
前記2本のコンロッドの連結部に対し互いに入れ合わせて配置されており、
前記2本のコンロッドの連結部と、前記スライドの3つの支持部にはピン挿通孔が同心に形成されて、リストピンが挿入されており、
前記スライドの下面にはウェッジ式スライド調整機構が取付けられており、
前記スライドにおける前記リストピンの下面に接触する前記中央支持部において、
4工程鍛造プレスの4つの金型を取り付けたときに、前記中央支持部の左右方向の一端が、前記金型のうち第2工程金型の左右幅方向中心よりも外方に位置し、
前記中央支持部の左右方向の他端が、前記金型のうち第3工程金型の左右幅方向中心よりも外方に位置する
ことを特徴とする鍛造プレス。
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