JP3746204B2 - 作業函 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は作業函に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、河川などの水中に構築された構造物の保守、点検、補修、補強などが急務となっている。これらの作業は、図12の(1)および(2)に示すように、橋脚20を囲むようにして作業函21を装着し、この内側の水を排出して陸上と同じドライな作業空間23を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の作業函はドライな作業空間を形成するために、断面円形の止水チューブを作業対象物に密着させて止水していたが、図12の(3)に示すように、作業対象物24が平面方形になると止水チューブ25にしわがよって角部の密着性が劣るという問題があった。
【0004】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、平面方形の作業対象物であっても角部の密着性に優れた作業函を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための手段は、請求項1の発明の作業函が、一対の組立ユニットがヒンジで接合され、該ヒンジを中心に回転して平面方形の環状体に形成される作業函において、該作業函の下部の内面に沿って平面方形の環状体でかつ断面方形の止水チューブが設けられたことを特徴とし、また請求項2の発明の作業函が、請求項1において、止水チューブは四枚板を張り合わせて構成されたことを特徴とし、また請求項3の発明の作業函が、請求項1または2において、止水チューブは分割され、一端部に他端部を嵌入するスリーブが設けられたことを特徴とし、また請求項4の発明の作業函が、請求項1〜3のいずれかにおいて、止水チューブは作業函の下部の内面に沿って設けた溝状の固定部に設置されたことを特徴とし、また請求項5の発明の作業函が、請求項4において、固定部は上板が取外自在であることを特徴とする。
【0006】
断面方形の止水チューブは作業対象物が平面方形であっても、角部の止水性に優れ、ドライな作業空間内への浸水を防ぐことができる。また四枚板を張り合わせた断面方形の止水チューブを簡単に製作することができる。分割された止水チューブの端部を、他端部のスリーブに嵌入すると端部同士が簡単に接合されて平面方形の環状体が形成できる。作業函を作業対象物に設置する前または設置した後でも、止水チューブを溝状の固定部に設置することができる。固定部の上板が取外自在なので、止水チューブを固定部に取り付け易くなった。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。作業函の実施の形態は3つあり、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成にのみ異なった符号を付して説明する。
【0008】
図1〜図3は第1の実施の形態の作業函1を示し、該作業函1は一対の中空の組立ユニット2の一端部がヒンジ3で接合され平面方形の環状体に形成され、前記ヒンジ3を中心に開閉して杭や橋脚などの作業対象物を囲むことができるようになっている。
【0009】
また作業函1の下部には、図2に示すように、内面に沿って断面方形の止水チューブ4がボルト5で取り付けられ、該止水チューブ4が作業対象物に密着できるようになっている。この止水チューブ4は平面方形の環状体であるが、作業函の接合部における箇所(ヒンジ3と対向した箇所)で切れており、この切れた一端部にスリーブ6が接着され、これに切れた他端部4aを挿入すると一体的に接合された環状体になる。また止水チューブ4は、図3に示すように、4枚のゴム板、すなわち上面板7、下面板8、外側面板9および内側面板10を接着剤で接着して断面方形に形成されている。したがって平面方形の作業対象物を囲む場合でも、それに沿って止水チューブ4を密着させることができる。
【0010】
図4は第2の実施の形態の作業函11を示したものである。この作業函11は、下部の内面に沿って設けた溝状の固定部12に止水チューブ4が設けられたものであり、これ以外は第1の実施の形態の作業函1と同じ構成である。このような固定部12を設けたことにより、作業函11を作業対象物に設置する前または設置した後にでも止水チューブ4を取り付けることができる。
【0011】
図5は第3の実施の形態の作業函13を示したものである。この作業函13は固定部の上板14を任意に取り外せるようにボルト止めしたものであり、これ以外は第2の実施の形態の作業函11と同じ構成である。これにより止水チューブ4を固定部12に簡単に取り付けすることができる。
【0012】
以下に、第1の実施の形態の作業函1の設置方法について説明する。まず、図6に示すように、作業函1を開いた状態で作業対象物15まで曳航する。このとき止水チューブ4は萎んだ状態で、かつ切り離されて帯状となっている。
【0013】
次に、図7に示すように、平面方形のフーチング16を囲むようにして作業函1を閉じるとともに、止水チューブ4の端部同士をスリーブ6で接合して平面方形の環状体にする。そして各組立ユニット2に注水して、止水チューブ4がフチーング16の周りに位置するように作業函1を沈める。
【0014】
次に、図8に示すように、止水チューブ4を空気で膨張させてフーチング16に密着させるとともに、作業函1の内側の水17をポンプ18で排出する。そして、前記の水17が全て排出されると、図9に示すような、陸上と同じドライな作業空間19が形成される。
【0015】
この作業函1は、図10および図11に示すように、止水チューブ4が断面方形で、かつフーチング16と同じ平面方形であるため、フーチングの側面16aに沿って密着することができる。
【0016】
なお、第2および第3の実施の形態の作業函11、13を使用した場合も、前記と同じ方法で設置し、かつ同じ効果を得ることができる。
【0017】
【発明の効果】
断面方形の止水チューブは作業対象物が平面方形であっても、角部の止水性に優れドライな作業空間内への浸水を防ぐことができる。
【0018】
四枚板を張り合わせた断面方形の止水チューブを簡単に製作することができる。
【0019】
分割された止水チューブの端部を、他端部のスリーブに嵌入することにより、端部同士が簡単に接合されて平面方形の環状体を形成することができる。
【0020】
作業函を作業対象物に設置する前または設置した後でも、止水チューブを固定部に設置することができる。
【0021】
固定部の上板を取外自在としたので、止水チューブが固定部に取り付け易くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (1)は第1の実施の形態の作業函の横断面図、(2)は同縦断面図である。
【図2】 (1)は作業函の下部の断面図、(2)は止水チューブの断面図である。
【図3】 (1)は止水チューブの斜視図、(2)は同分解斜視図である。
【図4】 第2の実施の形態の作業函の一部省略断面図である。
【図5】 第3の実施の形態の作業函の一部省略断面図である。
【図6】 作業函を開いた状態で作業対象物に曳航する断面図である。
【図7】 作業対象物を囲むようにして設置した作業函の断面図である。
【図8】作業函の内側の水を排出する断面図である。
【図9】作業函の内側にドライな作業空間を形成した断面図である。
【図10】(1)は作業函をフーチングに設置した断面図、(2)は止水チューブの断面図である。
【図11】 フーチングに作業函を設置した横断面図である。
【図12】(1)は従来の平面円形の作業函の横断面図、(2)は同縦断面図、(3)は平面方形の作業函の横断面図である。
【符号の説明】
1、11、13、21 作業函
2 組立ユニット
3 ヒンジ
4、25 止水チューブ
5 ボルト
6 スリーブ
7 上面板
8 下面板
9 外側面板
10 内側面板
12 固定部
14 固定部の上板
15、24 作業対象物
16 フーチング
17 水
18 ポンプ
19、23 作業空間
20 橋脚
Claims (5)
- 一対の組立ユニットがヒンジで接合され、該ヒンジを中心に回転して平面方形の環状体に形成される作業函において、該作業函の下部の内面に沿って平面方形の環状体でかつ断面方形の止水チューブが設けられたことを特徴とする作業函。
- 止水チューブは四枚板を張り合わせて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作業函。
- 止水チューブは分割され、一端部に他端部を嵌入するスリーブが設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の作業函。
- 止水チューブは作業函の下部の内面に沿って設けた溝状の固定部に設置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業函。
- 固定部は上板が取外自在であることを特徴とする請求項4に記載の作業函。
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