JP3745990B2 - 囲繞枠材及びそれを用いた構築物、並びにその施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土石等を囲繞して護岸や堤防、道路、住宅地等の法面、護床工、魚礁等に使用され、又、立体状又は箱状等に組み立てることにより家庭用のガーデニング資材等に使用される囲繞枠材及びそれを用いた構築物、並びにその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、構築物の1種である護岸等の法面の斜面の安定を図る手段として、コンクリート製法枠等が使用されてきた。
しかしながら、近年、護岸による河川域での自然の消滅などが問題視されるようになってきており、草本類やコケ類等の自然生物の発生を可能とする護岸が研究されている。このような護岸においては、護岸の法面に草本類やコケ類等の自然生物を発生させるため、鉄線籠や鋳田籠等により法面に砕石を固定させ、固定した砕石間に土砂を堆積させることにより、草本類やコケ類等の自然生物の発生が促されるように構成されている。
【0003】
また、土石囲繞枠材は、護岸に限らず、堤防、道路、住宅地等の法面や、護床工、魚礁等においても広く使用されている。
【0004】
従来の土石囲繞枠材としては、特開平8−27758号公報(以下、イ号公報と呼ぶ)に「剛製の柱材が四隅に配置され、各柱材の端部を連結する横材とで主枠体が形成され、主枠体の各面にスクリーン材が配置されて成る枠組みの中に石材が詰め込まれ、隣り合う枠組みはガセットプレート等を用いて連結される剛製枠において、枠組みのうち少なくとも隣り合う枠組と連結される面のスクリーン材は、内部に詰め込まれた石材のはみ出しを吸収可能な寸法だけ内側へ凹んだ逆はらみ形状に形成されていることを特徴とする石詰め用剛製枠」が開示されている。
【0005】
また、特開平10−273909号公報(以下、ロ号公報と呼ぶ)には「柱材と、同柱材の左右の端部を接続する水平材と、柱材の前後の端部を接続するつなぎ材とで直方体形状の骨格が作られ、その骨格の各面にスクリーン材が設けられた枠構造体ユニットが、河川又は山の谷部を横断する配置で水平方向及び垂直方向に隣接するもの同士を連結して設置され、その各枠構造体ユニットの中に石材が充填されて成る石詰め堰堤において、透水率の低い透水板が枠構造体ユニットの内部に水の流れ方向に対して垂直又は少し傾斜した配置で設けられていることを特徴とする、枠構造の石詰め堰堤」が開示されている。
【0006】
また、特開平11−117255号公報(以下、ハ号公報と呼ぶ)には「棒鋼を格子状に接合したものからなる底面金鋼、複数の側面金網および蓋面金網を、箱形に組み立てたものからなる鋼製籠枠において、前記側面金網の側面側端部棒鋼に鋼管を固定し、前記鋼管は、前記側面金網の側面側端部同士を連結して箱形に組み立てたときに連結部で互いに重なり合わないように互いに位置をずらして、且つ、管軸が同軸となるように設けられており、前記側面金網を箱形に組み立て、管軸が同軸となっている前記鋼管に結合棒を挿入して結合することにより前記側面金網の側面側端部同士が連結されてなることを特徴とする鋼製籠枠」が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)イ号公報及びロ号公報並びにハ号公報に記載の技術は、枠組みの形状が固定されており、現場の形状に合わせて施工することが困難である。従って、河川中流域から上流域の法面を形成する場合のように、施工現場に障害物が多く曲面状の法面を形成する必要がある場合、現場の状況に適合して変形させることが困難である。
(2)イ号公報及びロ号公報に記載の技術は、ガゼットプレートや受け金具等の剛製枠を連結する連結材を必要とするため、施工作業が繁雑となると同時に、連結部の強度を強くすることが困難である。
(3)イ号公報及びロ号公報に記載の技術は、枠組みが施工前に形成されており、連結材がなくとも石材等を充填させることができるため、施工時に、一部の連結部に連結材を取り付け忘れる可能性がある。また、法面のように積み重ねて施工された場合、連結材の取り付け忘れを施工後に検査することが困難であり、完成検査ができず安全性に欠ける。
(4)ハ号公報に記載の技術は、底面金網、側面金網、蓋面金網で箱形に組み立てられるので、内部に充填された石材や土砂等により歪や破損が生じ易く、歪や破損が生じた鋼製籠枠を並設するのは困難であり、施工性に劣る。
(5)ハ号公報に記載の技術は、部材点数が多く、格子状の棒鋼同士の当接部等溶接箇所が多く、生産性に劣る。
(6)ハ号公報に記載の技術は、丸鋼管が鋼製籠枠の平面部と面一に配設されていないため、段積みができず、運搬時や収納時に場所を取る。
(7)ハ号公報に記載の技術は、嵌め込み部材を底面側金網に垂直に溶接しなければならず、更に自立用棒鋼を嵌め込み部材に嵌め込んで側面金網が垂直に自立できるように、自立用棒鋼を側面側金網に溶接しなければならないので、生産性に劣る。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、施工現場の状況に合わせて施工することが可能であり、少ない部材点数で生産性に優れるとともに在庫管理が容易であり、施工時に作業者が各部材を連結し忘れることがなく、施工精度に優れるとともに短時間で施工することができ、かつ規格化が容易で保管性や搬送性に優れた土石等の囲繞枠材を提供すること、及び様々な形状に構築することができるので汎用性に優れ、少ない連結部材で強度が強く耐久性に優れた構築物を提供すること、並びに1〜2人の少人数で短時間で施工することができ、省力化に優れ、施工ミスが少なく、工期を著しく短縮できる構築物の施工方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の囲繞枠材及びそれを用いた構築物、並びにその施工方法は、以下の構成を有している。
【0010】
本発明の請求項1に記載の囲繞枠材は、正方形のパネル本体と、前記パネル本体の各々の辺が、一端側から順に分割域R1〜R8の8分割された分割域を有し、前記各辺の2個の前記分割域に形設又は配設された継手と、を備え、各辺の前記継手が、4辺の内第1の辺ではR1,R5の分割域に、第2の辺ではR2,R6の分割域に、第3の辺ではR3,R7の分割域に、第4の辺ではR4,R8の分割域に形設又は配設され、かつ、前記継手が前記辺の長さ方向と平行に中央部に貫通孔を有し、前記貫通孔が同軸に形成されている構成を有している。
【0011】
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)囲繞枠材の各々の継手は各々の辺の外周部の異なる分割域に形設又は配設されているので、囲繞枠材を連結させる場合に継手同士が重なり合わずに貫通孔を同軸に配置することが容易であり、これらの貫通孔に棒状又は管状の挿設部材を挿設することにより、上下左右に無限に囲繞枠材を連結させていくことができる。
(2)パネル本体は正方形であり、囲繞枠材の形状は、上下左右を逆にしても、継手が形設又は配設されている分割域が変わるだけなので、施工する際に、配設方向を気にする必要がなく、施工性に優れるとともに施工ミスを防止することができる。
(3)囲繞枠材の各々の継手は各々の辺において、異なる分割域に形設又は配設されているので、囲繞枠材の配置の仕方は、4辺の何れか一辺を所定の位置に配置する場合と裏表を逆にして4辺の何れか一辺を所定の位置に配置する場合の8通りがあり、他の囲繞枠材に連結させる継手を適宜選択することができるので、施工性に優れる。
(4)1種類の囲繞枠材の各々の外周部の継手を連結させていくことによって構築物を構築していくことができるので、囲繞枠材は1種類のみを生産すればよく生産性に優れるとともに在庫管理が容易である。
(5)永久的な土木構築物を一種類の囲繞枠材と継手の貫通孔に挿入して上下左右を連結させる挿設部材だけで施工でき、部品点数が従来のものと比べ著しく少ないので生産性に優れる。
(6)一種類の囲繞枠材を辺の位置を変えるだけで、継手を介して無限に連設できるので、土木の設計の自在性に優れるだけでなく、施工が極めて容易で施工性、作業性に優れる。
(7)囲繞枠材の4辺の互いに位置の異なる分割域に継手を各々有しているので、1つの囲繞枠材の上下左右前後に他の囲繞枠材を挿設部材で連結し、各種構築物を建造できる。
(8)継手は、1辺につき2分割域ずつにある程度離れて形設又は配設されているので、囲繞枠材同士を連結させる際に、重なり合わない継手が配設された辺をすぐに見つけることができ、施工性に優れ、また、2分割域の継手で連結させるので、囲繞枠材同士を強固に連結させることができる。
(9)継手は、各々の辺において互いに同数の2つの分割域に略均等に形設又は配設されているので、各々の辺を連結させた場合に連結強度の偏りがなく、構築物を構成した場合に各々の継手に荷重が略均等にかかり、耐久性に優れるとともに、大きな石等の衝突等の衝撃耐えることができ耐衝撃性や安全性に優れる。
(10)2つの分割域の継手で連結させるので、囲繞枠材同士を強固に連結させることができ、継手間の連結強度が大きく耐震性に優れる。
【0012】
ここで、各囲繞枠材は鋳鉄等の鋳物の鋳造物、ステンレス等の耐腐食性鋼材やコンクリート、FRP、FRTP、合成樹脂やフィラーとの複合樹脂、アルミニウム等で作製される。特に、鋳造物で一体に成型すると規格化、標準化を行うことが容易であり、高品質のものを低原価で量産できるので好ましい。また、鋳鉄の鋳造物で一体に成型した場合、機械的強度に優れるだけでなく水中での酸化が遅く耐久性が著しく向上し、半永久的に使用することができる。
【0013】
パネル本体としては、構築物の枠内に石材や土嚢を充填する場合には、開口幅が10〜200mm、好ましくは50〜150mm程度の、格子状、多孔板状等の開口部を形成すると、重量を軽減化できるだけでなく、省資源化を図ることができる。法面などにおいて土砂を内部に充填する場合には、パネル本体は開口のない平板状、若しくは水抜き穴が1乃至複数形設された板状に形成される。
また、パネル本体の大きさは囲繞枠材の用途や充填される石材や土壌によって適宜選択され、1辺の長さが200〜3600mm、好ましくは400〜900mmのものが用いられる。1辺の長さが400mmより小さい場合は、家庭用や公園や学校等の公共施設等の小口に好適に使用される。400〜900mmのものは河川、法面等の土留工や擁壁、漁礁に好適に使用できる。3600mmを越えると輸送面で問題があるが、大型漁礁等に好適に使用できる。なお、1辺の長さが200mmより小さい囲繞枠材は、樹脂成形して家庭用等のガーデニング資材等として用いることもできる。
【0014】
継手はパネル本体の各辺の外周部に延設して形成又は配設固定されることが好ましい。継手が形設又は配設される分割域としては、例えば、各辺の分割域が4分割(分割域R1〜R4)されている場合は1辺につき1分割域ずつ(例えば、第1の辺は分割域R1に、第2の辺は分割域R2に、第3の辺は分割域R3に、第4の辺は分割域R4に)形設又は配設され、5分割や6分割されている場合は何れか1辺に2つ若しくは3つ(6分割)他の3辺に1つずつ形設又は配設というように、分割の数を増やすにつれ適宜各辺に増やして形設又は配設される。
継手のパネル本体の辺方向の長さは、軽量化を図るため強度の許す限り短くすることが好ましいが、分割域と略同様の長さであってもよい。また、継手は、1つの辺において、1分割域に複数形設又は配設してもよい。例えば、第1の辺の分割域R1に2つの継手を形設又は配設してもよい。このとき、分割域R1の両端部側に幅の狭い例えばリング状等の継手を2つ形設又は配設してもよい。これにより、強度を維持したまま軽量化を図ることができる。
継手の貫通孔の形状としては、円形や楕円形等の円筒状又は多角形(正三角形や正四角形、正六角形等)筒状に形成される。貫通孔を円筒状に形成した場合は、挿設部材の形状としては円柱状とすることがより好ましい。施工作業時に、一旦、各々の継手を挿設部材を挿設させ各囲繞枠材同士を連結させた後、施工現場の形状に合わせて各囲繞枠材の連結角度を自在に調整することが可能であるからである。
尚、魚礁や魚道等の構築に使用する場合のように、最初から構築する構築物の形状が長方形等に決まっている場合には、継手の形状として楕円筒状や方形筒状とし、挿設部材の形状として楕円柱状や方形柱状としてもよい。
【0015】
挿設部材の形状としては、円柱状又は多角形(正三角形や正四角形、正六角形等)柱状に形成される。断面形状が三角形、四角形、六角形等多角形形状として、それに合わせて継手の貫通孔の形状を三角形、四角形、六角形等多角形形状としてもよい。これにより、連結する2つの囲繞枠材の連結角度を種々に設定して固定して構築できるため、施工現場の形状に合わせて自在に調整でき、その連結を強固にすることができる。また、挿設部材の一端部に外形を貫通孔の内径より大きく形成した抜け止め部を設けてもよい。これにより、挿設部材を貫通孔に挿設した後、抜け落ちることを防止することができる。なお、このとき、挿設部材を挿入する継手の貫通孔の開口縁部に、切欠きや段差等を設けてもよい。これにより、挿設部材を継手の貫通孔に挿設した際に、抜け止め部が貫通孔から突出することを防ぐことができる。
また、挿設部材の材質としては、ステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等が用いられる。挿設部材の長さとしては、パネル本体の一辺と略同一の長さ、パネル本体の一辺の2倍に継手の幅を足した長さ、継手の幅の略2倍の長さ等が用いられ、構築物の形状や囲繞枠材の配設位置等によって適宜選択される。なお、連結する2つの囲繞枠材の同軸に配設された各々の継手が隣接し、各々の貫通孔が連通して配設される場合は、継手の幅の略2倍の長さの挿設部材を連通した2つの貫通孔に挿設することができ、この場合、挿設部材が短くてよいためコストを低減できる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の囲繞枠材は、正方形のパネル本体と、前記パネル本体の各々の辺が、一端側から順に分割域R’1〜R’3,あそび分割域,分割域R’4〜R’6に分割された分割域を有し、前記各辺の2個の前記分割域に形設又は配設された継手と、を備え、各辺の前記継手が、4辺の内第1の辺ではR’1,R’6の分割域に、第2の辺ではR’2,R’5の分割域に、第3の辺ではR’2,R’5の分割域に、第4の辺ではR’3,R’4の分割域に形設又は配設され、かつ、前記継手が前記辺の長さ方向と平行に中央部に貫通孔を有し、前記貫通孔が同軸に形成されている構成を有している。
【0019】
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)あそび分割域を有し、囲繞枠材の各々の辺について、継手が辺の両端部側に各々1つ形設又は配設されるので、囲繞枠材同士の連結が辺の両端部側において行われ、少ない継手であっても連結を強固にすることができ、辺の中央部にのみ継手が形設又は配設されその部分において連結強度が低下することを防ぐことができる。
(2)囲繞枠材の各々の辺について、辺の中央に対して対称に継手が形設又は配設され、あそび分割域の両側が各々3つの分割域に分割され、囲繞枠材の4辺の内、あそび分割域の両側の3つの分割域の内の中央の分割域に継手を有しているものが2つあり、これらが対向する辺に配設されていないので、囲繞枠材を連結させる際に連結する辺の継手同士を必ず近接させるようにして連結することができ、隣接させた継手の貫通孔を連通させることができるので継手の貫通孔に挿通させる挿設部材として挿通孔の約2倍程度の長さを有するものだけで連結できる。
(3)継手の貫通孔に挿通させる挿設部材として挿通孔の約2倍程度の長さを有するものだけで連結でき、囲繞枠材の1辺の長さを有するものを使用する必要がないので、長さを短くでき搬送性に優れ、コストの低減となるとともに施工作業を容易に行うことができ、また、施工作業の際、1種類の挿設部材のみを用意すればよいので、施工作業やその準備を容易に行うことができる。
(4)囲繞枠材の各々の辺について、辺の中央に対して対称に継手が形設又は配設されているので、施工作業の際作業者が容易に継手の位置を認識でき、容易に構築することができる。
ここで、あそび分割域はパネル本体の辺の長さの1/2〜1/10程度の長さを有することが好ましい。これにより、囲繞枠材同士の連結が辺の両端部側において行われ、少ない継手であっても連結を強固にすることができ、かつ、継手の長さを十分にとることができるので、連結強度が低下することがない。
【0022】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の囲繞枠材であって、前記あそび分割域が、前記貫通孔に挿設される挿設部材の長さ以上の長さを有する構成を有している。
【0023】
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)あそび分割域の長さが貫通孔に挿設される挿設部材の長さと同じであるので、2つの囲繞枠材を連結する際にあそび分割域両側の隣接した分割域に継手が形設又は配設されている場合、挿設部材を継手の貫通孔に内側から、すなわちあそび分割域側から挿入することができ、囲繞枠材を上下左右等に複数連結した場合に、辺の端部側の貫通孔が他の囲繞枠材や挿設部材によって塞がれ、そこから挿設部材を挿入できない場合であっても、あそび分割域側から挿入することができるので、施工性及び作業性に優れる。
なお、このとき用いられる挿設部材は、例えば、継手の貫通孔の2倍程度の長さを有するものであり、隣接した2つの継手の連通した貫通孔に挿入し連挿して連結することができるものを用いる。したがって、このとき、あそび分割域の長さは継手の貫通孔の2倍程度の長さ、すなわち継手の長さの2倍程度となる。
【0024】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内何れか一項に記載の囲繞枠材であって、前記継手が、前記パネル本体の平面部と面一に延設され、又は配設固定された管体で形成され前記パネル本体の平面部と面一に形成されている構成を有している。
【0025】
この構成により、請求項1乃至3の内何れか一項の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)継手の厚み(最大外径)はパネル本体と略同一の厚みに形成されているので、搬送時や保管時にパネル本体の平面部の上面や下面に凹凸部がないので段積みしても収納効率や搬送効率に優れる。鋳鉄製の場合は、横滑りがないので段積み作業性や搬送時の安全性や搬送性に優れる。
【0028】
本発明の請求項に記載の発明は請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材であって、前記パネル本体の所定部に開口部が形成されている構成を有している。
【0029】
この構成により、請求項1乃至の内何れか一項の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)雨などによって構築物内部に進入する水を外部に排出し、構築物内に水が溜まることを防止することができる。
(2)囲繞枠材で護岸を構築した場合は、開口部が形成されているので、この開口部に水生生物の生息が可能であると共に、護岸の水はけもよくなる。更に、大きな岩石を構築物内に充填するだけで、岩石間に土砂がたまり、草木類が生え自然の河川に近い護岸とすることもできる。
(3)囲繞枠材で内部に水質浄化材が充填された水質浄化ブロックを構築した場合は、開口部を介して水質の浄化が行われる。
(4)囲繞枠材を階段状に構築する際に、水平に配設された1つの囲繞枠材の開口部に他の囲繞枠材の継手を差し込んで垂直に配設することができるので、囲繞枠材を用いた階段状の構築物を45°以上の傾斜面に構築することができ、種々の傾斜角度の傾斜面に対応できる。
ここで、開口部の形状は、三角形や四角形等の多角形や丸形、楕円形、星形、円弧状や直線状のスリット状等に形成される。
また、囲繞枠材を階段状に構築する際に水平に配設された囲繞枠材に垂直に他の囲繞枠材を配設し開口部に継手を挿し込むことができるように、開口部を囲繞枠材の辺と同方向に長尺に囲繞枠材の略中央に設けることが好ましい。また、このとき、開口部の幅を継手の厚みよりも大きくしてもよい。これにより、垂直に配設する囲繞枠材の位置にある程度の自由度を持たせることができる。
【0030】
本発明の請求項に記載の発明は請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材であって、前記パネル本体の所定部に係止部が配設されている構成を有している。
【0031】
この構成により、請求項1乃至の何れか一項の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)係止部を備えているので、ネットや金網等の網状体や植生マット等を直接又は番線等で容易に配設することができる。
(2)囲繞枠材でブロック体を構築し内部に浄化材を充填させた場合は開口部に金網等の網状体を配設することによって、浄化材が抜脱するのを防止することができる。
(3)囲繞枠材で、漁礁ブロックを構築し内部に小魚のみが出入りできるようにする場合は、開口部に開口径が所望の小魚より若干大きい金網等の網状体を配設することにより、小魚のみが出入りすることができ、天敵から身を守らせることができる。
ここで、係止部の形状は、T型状やL型状、レ型状等に形成される。
また、係止部は、パネル本体に開口部が形成されている場合は、開口部の縁部に配設してもよい。
【0032】
本発明の請求項に記載の発明は請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材であって、前記パネル本体の辺の一角部を基点として周縁部に沿って刻印又は印字された目盛りを備えている構成を有している。
【0033】
この構成により、請求項1乃至の内何れか一項の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)下方の囲繞枠材の上方に他の囲繞枠材を所定の距離ずらして連結させ階段状の構築物を構築する際に、どの程度ずらせば構築される階段状構築物の所望の傾斜角度が得られるかが一目でわかるので、施工性に優れる。
ここで、目盛りとしては、刻印又は印字された角度(度)や法(割、分)等が用いられる。
【0034】
本発明の請求項に記載の発明は請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材であって、前記囲繞枠材は鋳鉄の鋳造物により一体成型されている構成を有している。
【0035】
この構成により、請求項1乃至の内何れか一項の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)各囲繞枠材の継手はパネル本体と一体であるため、連結強度が強い。
(2)鋳鉄等の鋳物の鋳造物で一体に成型するため、囲繞枠材の耐久性が著しく向上し、半永久的に使用することができる。
(3)鋳鉄等の鋳物の鋳造物で一体に成型するため、規格化されやすく、機械的強度に優れ、従来のものに対し大幅に軽量化できるので、現場での搬送性や作業性を向上させることができる。
(4)鋳鉄製なので、河川や湖沼、海岸等に設置しても水質を汚染することがなく安全性に優れる。
【0036】
本発明の請求項に記載の構築物は、請求項1乃至の内何れか一項に記載された囲繞枠材と、前記囲繞枠材の2以上を前記継手の前記貫通孔が同軸になるように前記継手を介して直線状や曲線状又は直交状に配列され、同軸に設置された前記貫通孔に挿設された挿設部材と、を備えている構成を有している。
【0037】
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)囲繞枠材のパネル本体は正方形であるので、各囲繞枠材のどの継手同士を連結させても、すなわち継手の組み合わせ方に関わらず、構築物は同様の形状に構築することができ、施工性に優れるととも施工ミスを減少させることができる。
(2)1種類の囲繞枠材と挿設部材のみで構築物を構築することが可能であり、部材点数が少ないので施工性に優れる。
(3)複数の囲繞枠材を所定の組み合わせで連結し、方形若しくは平行四辺形の四辺形状、略円形状、階段状の構築物を形成することができる。形成された構築物の枠内に石材を充填することにより法面や護岸、護床工、魚礁等の構築物を構築することができ、又、樹脂成形した囲繞枠材を箱状等に連結して家庭用のガーデニング資材等の構築物を構築することができる。また、構築物の前後左右に新たに囲繞枠材を連結するだけで構築物を延設することができ施工現場の奥行きや長さに合わせて自在に長短の構築物を施工することができる。更に、連結させる囲繞枠材の辺と辺を互いに上下左右にずらして連結させ階段状に施工することにより、施工現場の傾斜に構築物の形状を自由に合わせることができる。
(4)囲繞枠材で護岸を形成する場合は、複数の構築物の一部分を直線状に又はクランク状に石材を充填しない部分とすることにより魚道とすることもできる。ここで、構築物としては、護岸の他、道路や河川の法面や、護床工、漁礁、魚道、砂防ダム、海岸線における土石や砂の流出防止堤防、湖沼や河川の小魚保護用漁礁等があげられる。
挿設部材としては、ステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等が用いられる。
また、挿設部材の形状としては、円柱状又は多角形(正三角形や正四角形、正六角形等)柱状に形成されるが、円柱状とすることがより好ましい。施工作業時に、一旦、各々の継手を挿設部材を挿設させ各囲繞枠材同士を連結させた後、施工現場の形状に合わせて各囲繞枠材の連結角度を自在に調整することが可能であるからである。
また、挿設部材の長さとしては、パネル本体の一辺と略同一の長さ、パネル本体の一辺の2倍に継手の幅を足した長さ、継手の約2倍の長さ等が用いられ、構築物の形状や囲繞枠材の配設位置、連結する継手の位置関係等によって適宜選択される。
【0038】
本発明の請求項10に記載の構築物の施工方法は、請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材の2以上を継手の貫通孔が同軸になるように配置する囲繞枠材配置工程と、前記囲繞枠材配置工程で配置された前記囲繞枠材の前記継手の前記貫通孔に挿設部材を挿設する挿設工程と、を備えている構成を有している。
【0039】
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)各囲繞枠材の継手の貫通孔を同軸で配置し、挿設部材を継手の貫通孔に挿設させることにより各囲繞枠材を連結する。従って、施工時に構築物を組み立てる場合、各囲繞枠材を連結して枠の形とするためには連結する各辺の継手に挿設部材を各々確実に挿設しなければならないため、施工時に作業者が囲繞枠材を連結し忘れることがない。従って、完成した構築物の各囲繞枠材は確実に連結されており、構築物で護岸や法面を形成するときに、施工ミスが発生することを防止することができる。
(2)構築物を分解した囲繞枠材の状態で施工現場に運搬し、施工現場において枠組立体を組み立てるため、運搬が容易である。特に、水害や斜面崩壊等の災害時において、現場に運搬するのが容易であり、現場で素早く構築物を組み立て、土石や土嚢を充填して災害の拡大防止や災害復旧を図ることが可能であり、災害時の緊急対応処置時の使用に適する。
(3)配置工程と挿設工程の繰り返しにより、構築物を施工していくので、施工作業に熟練性を要さず、1〜2人で施工していくことができ省力性に優れる。
(4)囲繞枠材配置工程で、囲繞枠材を目的の構築物の形状に配置し、挿設工程で挿設部材を継手の貫通孔に挿設し、更に、囲繞枠材内部に土石等を充填してならすことで容易に法面や護床、漁礁等を建造できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における囲繞枠材について、以下図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は本発明の実施の形態1における囲繞枠材の斜視図であり、図2はその正面図である。
図1及び図2において、1は各辺に継手を有する正方形のパネルからなり鋳鉄の鋳造物で一体に成型された本発明の実施の形態1における囲繞枠材、2は囲繞枠材1の正方形のパネル本体、3はパネル本体2に形設された格子、4は格子3の開口部、5,6,7,8はパネル本体2の第1乃至第4の辺、5a,5bは第1の辺5に沿って形設された第1の継手、6a,6bは第2の辺6に沿って形設された第2の継手、7a,7bは第3の辺7に沿って形設された第3の継手、8a,8bは第4の辺8に沿って形設された第4の継手である。第1の継手5a,5b,第2の継手6a,6b,第3の継手7a,7b,第4の継手8a,8b(以下、この継手の群を第1乃至第4の継手5a〜8bという)はパネル本体2の辺の長さの約1/8若しくはそれよりも若干短めの長さで囲繞枠材1の外辺部に延設して形設されている。9は第1乃至第4の継手5a〜8bの中心部の長手方向に平行に形成された円筒状の貫通孔、10は所定の開口部4の縁部(内壁)に形設され植生マットや金網等の網状体を係止するT型状の係止部、11はパネル本体2の表裏面(上下面)の各辺の周縁部に沿って刻印又は印字された角度(度)や法(割、分)表示からなる目盛りである。
【0042】
囲繞枠材1はステンレス等の耐腐食性鋼材やアルミニウム、コンクリート、FRP、FRTP、合成樹脂やフィラーとの複合樹脂等で作製される場合もある。また、第1乃至第4の継手5a〜8bは一体形成、又は別個形成する場合もあり、又長手方向に直交に分割された筒状体を用いる場合もある。また、第1乃至第4の継手5a〜8bの厚み(最大外径)はパネル本体2と略同一の厚みに形成されている。これにより搬送時や保管時に凹凸部がないので段積みしても収納効率に優れるとともに、安定して段積みができるので荷崩れが起きにくく搬送時の安全性や搬送性に優れる。開口部4は円弧状や直線状等のスリットや円形状や線状模様の開口部を設ける場合もある。これらの形状の開口部を組み合わせ所定の模様を形成することによって、意匠性を向上させることができる。また、開口部4の開口径は、囲繞枠材1に囲繞させる土石や浄化材の大きさ、魚の種類等によって適宜選択される。また、土砂等を囲繞させる場合は、土砂等が漏れるのを防止するため、開口部4を設けず、パネル本体2を平板状に形成する場合もある。
係止部10はL型状やレ型状、鈎型状等に形成される場合もある。
目盛り11は、各々の目盛り11の対向する辺の一角部を基点とし、その辺に対する角度や法を表している。
【0043】
次に、第1乃至第4の継手の各辺における形設位置について説明する。
図3(a)は図2のA−A線矢視平面図であり、図3(b)は図2のB−B線矢視側面図であり、図3(c)は図2のC−C線矢視底面図であり、図3(d)は図2のD−D線矢視側面図である。
図3において、1は本実施の形態1における囲繞枠材、5,6,7,8は第1乃至第4の辺、5a〜8bは第1乃至第4の継手であり、これらは図1及び図2と同様のものであるので同一の符号を付してその説明を省略する。
R1〜R8は各々の第1乃至第4の辺が左端又は上端から順に8分割された分割域である。
図3に示すように、第1乃至第4の継手5a〜8bの形設されている分割域は各々の辺毎に異なり、第1の継手5a,5bは第1の辺5の分割域R1,R5に形設され、第2の継手6a,6bは第2の辺6の分割域R2,R6に形設され、第3の継手7a,7bは第3の辺7の分割域R3,R7に形設され、第4の継手8a,8bは第4の辺8の分割域R4,R8に形設され各々異なった分割域に形成されている。
【0044】
以上のように構成された本実施の形態1における囲繞枠材の施工方法について、以下図面を用いて説明する。
【0045】
図4は本発明の実施の形態1における囲繞枠材同士を連結させた状態を示す斜視図である。
図4において、P1,P2は図1乃至図3の囲繞枠材1と同様のものであり、囲繞枠材P2は囲繞枠材P1を90°回転させて配設されている。12aは外径が第1乃至第4の継手5a〜8bの円筒状の内壁の径と略同一もしくはそれより若干小さめで長さがパネル本体2の辺の長さと略同一のステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等で形成された挿設部材、αは囲繞枠材P1と囲繞枠材P2との開角度である。
まず、囲繞枠材P1の第2の継手6a,6bと囲繞枠材P2の第1の継手5a,5bを各々の貫通孔9を同軸にして配置する(配置工程)。次いで、挿設部材12aを同軸にして配置された囲繞枠材P1の第2の継手6a,6b,囲繞枠材P2の第1の継手5a,5bの貫通孔9に挿設する(挿設工程)。これにより、囲繞枠材P1と囲繞枠材P2とが、開角度αが調節自在の状態で連結される。次いで、開角度αを所望の角度にし、挿設部材12aが挿設された所定の継手と挿設部材12aとの間隙に釘や楔(図示せず)等を打ち込んで挿設部材12aを固定する。これにより、開角度αも所望の角度で固定される。
尚、本実施の形態1においては、囲繞枠材P1の第2の継手6a,6bと囲繞枠材P2の第1の継手5a,5bを連結させたが、互いの継手同士が重なり合わず貫通孔9を同軸に配置することができればよく、第1乃至第4の継手5a〜8bから適宜選択して連結してもよい。例えば、囲繞枠材P1の第2の継手6a,6bと連結可能な囲繞枠材P2の継手としては、第1の継手5a,5b、第3の継手7a,7b、第4の継手8a,8b、上下又は左右を逆にした第1の継手5a,5b、第2の継手6a,6b、第4の継手8a,8b等がある。尚、階段状の構築物を構築する場合は連結させる囲繞枠材を互いに前後にずらして継手同士を重なり合わないようにさせて連結させる場合もある。
また、本実施の形態1においては、第1乃至第4の継手5a〜8bの貫通孔9は円筒状に形成されていることとしたが、多角筒状(三角筒状、六角筒状等)に形成する場合もある。この多角筒状の形状に合わせて挿設部材12aを多角筒状に形成することにより、開角度αを所定角度毎に保持することができる。
以上のようにして、囲繞枠材1を上下左右に逐次連設させていくことにより、平面状や階段状等の所望の形状の構築物を形成していく。
【0046】
以上のように、本実施の形態1の囲繞枠材は構成されているので、以下の作用を有する。
(1)囲繞枠材1の第1乃至第4の継手5a〜8bは分割域R1〜R8の各々異なった分割域に形設されているので、連結させる各囲繞枠材1の継手同士を重なり合わずに貫通孔9を同軸にして配置することが容易であり、挿設部材12aを用いることにより上下左右方向に無限に囲繞枠材1を連結させていくことができる。
(2)連結される継手は、囲繞枠材一体毎に、第1の継手5a,5bと第2の継手6a,6bと第3の継手7a,7bと第4の継手8a,8bと第1乃至第4の継手5a〜8bの左右又は上下を逆にしたものとの8パターンから適宜選択されるので施工性に優れるとともに汎用性に優れる。
(3)第1乃至第4の継手5a〜8bは各々の辺の1/8以下に形成されており、かつ、各々の辺において異なる分割域に形設されているので、1つの挿設部材12aで4体の囲繞枠材1を十字状に連結させることもできる。
(4)各囲繞枠材1の継手同士の貫通孔9を同軸にして配置する配置工程と、挿設部材を貫通孔9を同軸にして配置された継手に挿設する挿設工程だけで囲繞枠材を連結させていくことができるので、施工性に優れるとともに挿設部材を挿入しないと各囲繞部材が連結して自立しないので施工ミスを極めて少なくすることができる。
(5)各囲繞枠材1同士を連結させるには挿設部材を挿設しなければならず、仮止め等の中途半端な状態がないので、施工ミスのチェックが容易である。
(6)囲繞枠材1のパネル本体2は正方形であるので、どの継手同士を連結させても、継手の配置(組み合わせ)が変化することを除いては構築物を同様の形状に構築することができ、施工性に優れる。
(7)囲繞枠材1の各継手を連結させていくだけで、大小の立方体状や直方体状、壁面形状、階段状等の様々な形状に構築することができ、これらの構築物を護岸や漁礁、浄化材が充填される浄化材ブロック等の様々な用途に用いることができ汎用性に優れる。
(8)1種類の囲繞枠材1と1種類の挿設部材のみを使用して所望の構築物を形成していくことができるので、部材点数が少なく生産性に優れるとともに在庫管理が容易である。
(9)係止部10に金網等の網状体や植生マット等を囲繞枠材の開口部4に係止又は番線等で係止して配設することにより、内容物の脱落を防止したり、稚魚の育成や草木の育成、構築物の意匠性を向上させたりすることができる。
(10)囲繞枠材1で護岸を構築した場合は、開口部4が形成されているので、この開口部4に水生生物の生息が可能であると共に、護岸の水はけを向上させる。更に、大きな岩石を構築物内に充填するだけで、岩石間に土砂がたまり、草木類が生え自然の河川に近い護岸とすることもできる。
(11)囲繞枠材1で内部に水質浄化材が充填された水質浄化ブロックを構築した場合は、開口部4から汚水が流入し浄化が行われる。
(12)囲繞枠材1を上下方向に少しずらして連結させ階段状の構築物を建造する際に、ずらすことによる角度が目盛り11により一目でわかるので、同じ目盛りで施工するだけで設計通りの階段状構築物が建造でき施工性に優れる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、実施の形態1の囲繞枠材を用いた本実施の形態2における構築物の施工方法について、以下図面を用いて説明する。
図5〜図7は実施の形態2における構築物の構築方法を表す斜視図である。
図5〜図7において、P3〜P22は実施の形態1のP1,P2と同様の囲繞枠材、S1(図7)は内部に水質浄化材を充填させる水質浄化ブロックや漁礁として使用される囲繞枠材P3〜P22が連結された構築物、12b〜12i,13a〜13d,14a〜14cは外径が第1乃至第4の継手5a〜8bの貫通孔9の内径と略同一もしくはそれより若干小さめのステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等の挿設部材であり、挿設部材12b〜12iの長さはパネル本体2の一辺の長さと略同一に形成され、挿設部材13a〜13dの長さは2体の囲繞枠材1を並設したときの両側部の辺間の距離(囲繞部材の一辺の長さの2倍と継手の高さとの和の長さと略同一が少し短め)と略同一に形成され、挿設部材14a〜14cの長さは2体の囲繞枠材1を並設したときの両側部の継手の端部間の距離(パネル本体2の壱辺の長さ)と略同一に形成されている。
【0048】
まず、図5に示すように、実施の形態1と同様にして互いに隣接する辺に形設された継手(ここでは、囲繞枠材P3の第2の継手6a,6bと囲繞枠材P4の第4の継手8a,8bと囲繞枠材P5の第1の継手5a,5b)の貫通孔9を同軸にして配置し、囲繞枠材P3,P4,P5をT字状に立設させる。次いで、これらの同軸にして配置された各継手の貫通孔9に挿設部材12bを挿設させる。これにより、囲繞枠材P3,P4,P5はT字状に端部同士が連結された状態となる。ここで、直線状に配置する囲繞枠材P3,P4,P5の継手の組み合わせは、連結させる囲繞枠材P3,P4,P5の継手同士が重なり合わず貫通孔9を同軸で配置することが可能であれば、どの継手でも使用することができる。例えば、この場合の継手の組み合わせとして、囲繞枠材P3の第1の継手5a,5bと囲繞枠材P4の第2の継手6a,6bと囲繞枠材P5の第3の継手7a,7bの組み合わせや、囲繞枠材P3を上下逆にした(第1の辺5を下にした)第2の継手6a,6bと囲繞枠材P4の第2の継手6a,6bと囲繞枠材P5の第4の継手8a,8bの組み合わせ等が用いられる。
【0049】
同様にして、図6に示すように、囲繞枠材P5の第2の継手7a,7bと
囲繞枠材P6,P7,P8の互いに重なり合わない継手の貫通孔9を同軸にして配置し、これらに挿設部材12cを挿設する。次いで、囲繞枠材P8の第4の継手7a,7bと囲繞枠材P9、P10の互いに重なり合わない継手の筒状部9を同軸にして配置しこれらに挿設部材12dを挿設する。
【0050】
次いで、図7に示すように、構築物S1の底部となる囲繞枠材P11,P12,P13(図示せず),P14、側壁となる囲繞枠材P15,P16,P17,P18、上壁となるP19,P20,P21,P22を互いに継手が重なり合わない向きに配置し、各々の貫通孔9に各々の挿設部材12e〜12l,12m,12n(底辺なので図示せず),13a〜13c,13d(底辺なので図示せず),14a〜14c,14d(底辺なので図示せず)を挿設して構築物S1を構築する。
尚、本実施の形態2においては、3種類の長さの挿設部材を用いたが、挿設部材12b〜12iと同一長さの種類のみを用いても同様に実施可能である。挿設部材13a〜13dは2乃至複数の囲繞枠材を連結したとき(図7では2個の囲繞枠材)のパネル本体(継手を含まない)の一端部から他端部までの長さ、挿設部材14a〜14dは2乃至複数の囲繞枠材を連結したとき(図7では2個の囲繞枠材)の一端部の継手から他端部の継手までの長さに形成している。挿設部材13や14のように長いものを用いることにより施工時に容易に直線を出すことができるとともに短い挿設部材12(パネル本体の長さ)を減らし搬送作業の作業性を高めることができる。
【0051】
以上のように構成された本発明の実施の形態2の構築物によれば、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)各囲繞枠材1の継手同士の貫通孔9を同軸にして配置する配置工程と、挿設部材を貫通孔9を同軸にして配置された継手に挿設する挿設工程を繰り返すだけで、構築物S1を構築することができるので、施工性に優れるとともに施工ミスを極めて少なくすることができる。
(2)三種類の長さの挿設部材12b〜12i,13a〜13d,14a〜14cを使用しているので、連結させる囲繞枠材の数や位置によって、挿設部材を適宜選択して使用することができ、施工性に優れる。
(3)木炭等の水質浄化材を充填させて海や河川等に沈水させることにより、構築物S1を該河川などを浄化させる水質浄化ブロックとして使用することができる。
(4)構築物S1をそのまま海や河川等に沈水させることにより、構築物S1を漁礁として使用することができる。尚、構築物S1の内部に充填させる水質浄化材が開口部4の開口径より小さく、構築物S1内から抜脱するおそれがある場合は、係止部10に番線等で金網等の網状体を係止させて開口部4を覆って用いる。
【0052】
(実施の形態3)
次に、実施の形態1の囲繞枠材を用いた本実施の形態3における構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図8は実施の形態3における高さ方向に直線状に伸べる擁壁や護岸等の構築物の正面模式図であり、図9は図8のA−A線における矢視断面模式図であり、図10は図8のB−B線における矢視断面模式図である。
図8〜図10において、S2は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて施工された護岸である構築物、P31〜P35は実施の形態1のP1,P2と同様の囲繞枠材、36は各囲繞枠材P31〜P35を連結するために各々の継手に挿設された挿設部材である。
尚、連結させる囲繞枠材の継手を挿設部材により連結させる方法は実施の形態2と同様なので、挿設部材の挿設方法の説明は省略する。
まず、囲繞枠材P31,P31’,P31”を連結させ構築物S2の1段目を構築する。このとき、図10に示すように、施工現場の傾斜面の横方向の湾曲に合わせて囲繞枠材P31’同士の開角度β及び囲繞枠材P31”同士の開角度θを調節する。次いで、1段目の囲繞枠材P31の上部に2段目の囲繞枠材P32を連結させ構築物S2の2段目を構築する。次いで、石材や土砂等を1段目まで充填させる。この際、石材や土砂を2段目まで充填させると、2段目に連結された囲繞枠材P32が外側へ圧迫・固定され3段目の囲繞枠材P33の連結が困難になってしまう。そこで、石材や土砂は構築された段数より1段低い段数まで充填させる(例えば、2段目まで構築したら1段目まで充填させる)ようにすることで、最上段の囲繞枠材P31をある程度柔軟に動かすことができ、次の段の連結を容易にすることができる。同様にして、3段目の囲繞枠材P33まで連結させ構築物S2の3段目を構築し、次いで、2段目まで充填し、4段目の囲繞枠材P34まで連結させ構築物S2を構築したら3段目まで充填する。
以上のような動作を所望の高さ(段数)まで繰り返し、最上段の囲繞枠材まで土砂や石材を充填させ、構築物S2(護岸)が傾斜面に施工される。
尚、構築物S2が施工される前に、傾斜面に合わせて構築物S2全体を所望の角度に傾斜するように構築物S2の最下部の後部側が当接する地表面を掘削する。
【0053】
以上のように構成された本発明の実施の形態3の構築物によれば、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)開角度β,θを調整するだけで、施工現場の傾斜面の横方向の湾曲に合わせて構築物S2(護岸)を形成することができるので、施工性に優れるとともに汎用性に優れる。
【0054】
(実施の形態4)
次に、実施の形態1の囲繞枠材を用いた本実施の形態4における法面等の階段状に構築された構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図11は実施の形態4における構築物の正面模式図であり、図12はその側面模式図であり、図13は図12のC部の要部拡大側面図である。
図11〜図13において、S3は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて階段状に形成された法面である構築物、P41〜P44は実施の形態1のP1,P2と同様の囲繞枠材、45は各囲繞枠材P41〜P44を連結するために各々の継手に挿設された挿設部材である。尚、図11及び図12において、挿設部材45は、構築物S3の2段目までしか図示していないが、囲繞枠材同士の連結部(継手)には挿設部材が適宜挿設される。また、各囲繞枠材の継手を挿設部材により連結させる方法は実施の形態2と同様なので、挿設部材の挿設方法の説明は省略する。
まず、構築物S3の1段目の底壁及び前壁となる囲繞枠材P41,側壁となる囲繞枠材P41’,上壁となる囲繞枠材P41”を連結させ構築物S3の1段目を施工する。次いで、囲繞枠材P41’の上部の継手及び囲繞枠材P41”の側部の継手に構築物S3の2段目以降の側壁となる囲繞枠材P42の下部の継手を連結させる。このとき、囲繞枠材P41’の目盛り11(図1参照)の所定の目盛りに所望の傾斜角度に応じて囲繞枠材P42の前端部を合わせて後方にずらして連結させる。次いで、構築物S3の2段目以降の前壁となる囲繞枠材P43の下端部を囲繞枠材P41”の上面に当接させて囲繞枠材P43の側部の継手を囲繞枠材P42の前部の継手に連結させる。次いで、構築物S3の2段目以降の上壁となる囲繞枠材P44の前端部を囲繞枠材P43の後面に当接させて囲繞枠材P44の側部の継手を囲繞枠材P42の上部の継手に連結させる。これで、構築物S3の2段目が構築される。
以上のような動作を所望の高さ(段数)まで繰り返し、最上段の囲繞枠材まで土砂や石材を充填させ、階段状の構築物S3(護岸)が傾斜面に施工される。
【0055】
以上のように構成された本発明の実施の形態4の構築物によれば、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)下方に位置する囲繞枠材の上方に他の囲繞枠材を所定の目盛り11に合わせて所定の距離ずつずらしながら連結させることにより、階段状の構築物S3を容易に施工することができ、施工性に優れる。
【0056】
(実施の形態5)
次に、実施の形態1の囲繞枠材を用いた本実施の形態5における構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図14は実施の形態5における護岸等の構築物の斜視模式図である。
図14において、S4は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて階段状に形成された護岸である構築物である。本実施の形態5の構築物S4が、実施の形態4の構築物S3と異なる点は、上壁及び底壁となる囲繞枠材を備えておらず全体として湾曲させている点である。P51〜P53は実施の形態1のP1,P2と同様の囲繞枠材である。
尚、各囲繞枠材の継手を挿設部材により連結させる方法は実施の形態2と同様なので、挿設部材及びその挿設方法の説明は省略する。
まず、構築物S4の1段目を囲繞枠材P51で傾斜面の湾曲に合わせて構築し、内部に土砂や石材(図示せず)を充填する。この際、互いに4体の連結された囲繞枠材P51からなる枠体は上壁及び底壁を有していないので、平面視でひし形状に歪ませることができ、傾斜面の湾曲に対応させることができる。
次いで、1段目の上方に、傾斜面に合わせてずらしながら2段目(囲繞枠材P52)、3段目(囲繞枠材P53)と段積みする。
以上のような動作を所望の高さ(段数)まで繰り返し、階段状で湾曲した構築物S4(護岸)が湾曲した傾斜面に施工される。
尚、構築物S4を1段構築する毎に上面に金網等の網状体を設け内部の土砂や石材が流出することを防止したり、植生マットを設け自然と一体化させる場合もある。
【0057】
以上のように構成された本発明の実施の形態5の構築物によれば、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)自在に湾曲させて構築することができるので、様々な湾曲面を有する傾斜面に対応させることができるので汎用性に優れ、各囲繞枠材を連結させ、段積みしていくだけなので熟練性を要さず施工性に優れる。
【0058】
(実施の形態6)
次に、実施の形態1の囲繞枠材を用いた本実施の形態6における構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図15は実施の形態6における高さ方向に直線状に伸べる擁壁や護岸等の構築物の断面模式図である。
図15において、S2’は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて施工された護岸である構築物、P31,P31’,P31”は実施の形態3で説明したものと同様の囲繞枠材、P32’,P32”はP31’やP31”とともに正三角形を形成して連結された囲繞枠材である。尚、本実施の形態6は、実施の形態3の変形例であり、実施の形態3の構築物において、開角度β及びθを60°として、湾曲部分の囲繞枠材を正三角形状に連結したもの、すなわち連結角度θが変更可能に連結されていたP31’同士、及び連結角度βが変更可能に連結されていたP31”同士を囲繞枠材P32’、P32”で固定したものであり、その構築方法については実施の形態3と同様であるので説明を省略する。
【0059】
以上のように構成された本発明の実施の形態6の構築物によれば、実施の形態3の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)湾曲部分の囲繞枠材を正三角形状に連結しているので、構築物の湾曲部分の固定をより強固にすることができる。
【0060】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における囲繞枠材について、以下図面を参照しながら説明する。
【0061】
図16は本発明の実施の形態7における囲繞枠材の斜視図であり、図17はその正面図である。
図16及び図17において、101は各辺に継手を有する正方形のパネルからなり鋳鉄の鋳造物で一体に成型された本発明の実施の形態7における囲繞枠材、102は囲繞枠材101の正方形のパネル本体、103はパネル本体102に形設された格子、104は格子103の開口部、105,106,107,108はパネル本体102の第1乃至第4の辺、105a,105bは第1の辺105に沿って形設された第1の継手、106a,106bは第2の辺106に沿って形設された第2の継手、107a,107bは第3の辺107に沿って形設された第3の継手、108a,108bは第4の辺108に沿って形設された第4の継手である。第1の継手105a,105b,第2の継手106a,106b,第3の継手107a,107b,第4の継手108a,108b(以下、この継手の群を第1乃至第4の継手105a〜108bという)はパネル本体102の辺の長さの1/8程度の長さに形設されている。尚、長さは1/8程度に限定されるものではなく、機械的強度が許せば1/50程度でもよい。また、1/24程度のものを1乃至3つ設けてもよい。また、第1乃至4の継手105a〜108bは、パネル本体102と同様の厚みを有し、パネル本体102の外周部に形設されている。これにより、囲繞枠材101を積み重ねて倉庫等に保管する際に、上面及び下面側に凹凸がなく安定するため安全性に優れ、また、凹凸がないので段積みしても収納効率や搬送効率に優れる。109は第1乃至第4の継手105a〜108bの中心部の長手方向に平行に形成された円筒状や三角、四角等の多角形筒状の貫通孔、110は所定の開口部104の内壁に形設され植生マットや金網等の網状体を係止するT型状の係止部である。
【0062】
次に、第1乃至第4の継手の各辺における形設位置について説明する。
図18(a)は図17のA−A線矢視平面図であり、図18(b)は図17のB−B線矢視側面図であり、図18(c)は図17のC−C線矢視底面図であり、図18(d)は図17のD−D線矢視側面図である。
図18において、101は本実施の形態7における囲繞枠材、105,106,107,108は第1乃至第4の辺、105a〜108bは第1乃至第4の継手であり、これらは図1及び図2と同様のものであるので同一の符号を付してその説明を省略する。
R’Aは各々の第1乃至第4の辺の中央に配設されたあそび分割域、R’1〜R’6は各々の第1乃至第4の辺のあそび分割域R’Aの両側が各々等分に3分割ずつ計6分割された分割域である。
図18に示すように、第1の継手105a,105bは第1の辺105の分割域R’1,R’6に形設され、第2の継手106a,106bは第2の辺106の分割域R’2,R’5に形設され、第3の継手107a,107bは第3の辺107の分割域R’2,R’5に形設され、第4の継手108a,108bは第4の辺108の分割域R’3,R’4に形設されている。第1乃至4の継手105a〜108bは、各々、各辺に辺の中央部に対して対称に形設されている。これにより、第1乃至4の辺105〜108について、囲繞枠材を裏返した場合であっても、各々の辺について継手の位置は変らないため、作業者が認識しやすく作業性を向上させることができる。
また、第2の継手106a,106bと第3の継手107a,107bとは同様の形設された分割域は同様であるが、これは1つの辺に対応する辺を囲繞枠材の4辺の内少なくとも2辺とすることで、選択できる辺を多くして作業性を向上させるためである。すなわち、第1の辺105は、連結する他の囲繞枠材の第2の辺106又は第3の辺107と当接されて連結すれば継手同士が同軸になり、その上、継手同士が隣接し、各々の貫通孔が連通するため、貫通孔の長さの2倍程度の長さを有する挿設部材を連挿して連結することができる。同様に、第2の辺106は、第1の辺105、第4の辺108と当接させ連結することができ、第3の辺107は、第1の辺105、第4の辺108と当接させ連結することができ、第4の辺108は、第2の辺106、第3の辺107と当接させ連結することができるので、各々の辺について少なくとも2つ対応する辺が存在し、選択できる辺が多く施工の際の作業性を向上させることができる。
【0063】
以上のように構成された本実施の形態7における囲繞枠材の施工方法について、以下図面を用いて説明する。
【0064】
図19は本発明の実施の形態7における囲繞枠材同士を連結させた状態を示す斜視図である。
図19において、P101,P102は図16乃至図18の囲繞枠材101と同様のものである。112a,112bは外径が第1乃至第4の継手105a〜108bの円筒状の内壁の径と略同一もしくはそれより若干小さめで長さが継手の長さの2倍と略同一のステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等の挿設部材、αは囲繞枠材P101と囲繞枠材P102との開角度である。挿設部材112a,112bは一端部に貫通孔の内径より大きな外径を有する抜け止め部113を有している。これにより、挿設部材を継手の貫通孔に挿設する際に、挿設部材が抜け落ちることがない。また、抜け止め部113を貫通孔に打ち込んで固定すれば抜け落ちることがなく、更に強固に固定することができる。なお、このとき、抜け止め部を貫通孔から少し突出する程度に形成するか、又は挿設部材を挿入する継手の貫通孔の開口部に切欠きや段差を設ける等して抜け止め部が貫通孔から突出しないようにして、抜け止め部が他の貫通孔を塞ぐ等して囲繞枠材の連結を妨げることがないようにすることが好ましい。また、挿設部材の他端部に端部に向かって外径を小さくした挿設部114を形成してもよい。これにより、挿設部材の外径が貫通孔の内径と略同一であっても容易に挿設することができる。また、挿設部材が挿設された継手と挿設部材との間隙に釘や楔等を打ち込んで挿設部材を固定してもよい。
まず、囲繞枠材P101の第2の継手106a,106bと囲繞枠材P102の第1の継手105a,105bを各々の貫通孔109を同軸にして配置する(配置工程)。次いで、挿設部材112a,112bを各々、同軸にして配置された囲繞枠材P101の第2の継手106aと囲繞枠材P102の第1の継手105aの貫通孔109と、囲繞枠材P101の第2の継手106bと囲繞枠材P102の第1の継手105bの貫通孔109に挿設する(挿設工程)。これにより、囲繞枠材P101と囲繞枠材P102とが、開角度αが調節自在の状態で連結される。次いで、開角度αを所望の角度にし、挿設部材112aの抜け止め部113を打ち込んで挿設部材112aを固定する。これにより、開角度αも所望の値で固定される。
尚、本実施の形態1においては、囲繞枠材P101の第2の継手106a,106bと囲繞枠材P102の第1の継手105a,105bを連結させた(貫通孔109を同軸にして配置させた)が、互いの継手同士が重なり合わず貫通孔を同軸に配置することができればよく、第1乃至第4の継手105a〜108bから適宜選択して連結される。例えば、囲繞枠材P101の第2の継手106a,106bと連結可能な囲繞枠材P102の継手としては、第1の継手105a,105b、第4の継手108a,108b、上下又は左右を逆にした第1の継手105b,105a、第4の継手108b,108a等がある。尚、階段状の構築物を構築する場合は連結させる囲繞枠材を互いに前後にずらして継手同士を重なり合わないようにさせて連結させる場合もある。
また、本実施の形態7においては、第1乃至第4の継手105a〜108bの貫通孔109は円筒状に形成されていることとしたが、多角筒状(三角筒状、六角筒状等)に形成する場合もある。この多角筒状の形状に合わせて挿設部材112aを多角筒状に形成することにより、開角度αを所定角度毎に保持することができる。
以上のようにして、囲繞枠材101を逐次連設させていくことにより、立方体状や直方体状、階段状等の所望の形状の構築物を形成していく。
【0065】
図20は本実施の形態7における囲繞枠材を連結させた構築物の斜視図である。
図20において、P103〜P122は図19のP101,P102と同様の囲繞枠材、S5は内部に水質浄化材を充填させる水質浄化ブロックや漁礁として使用される囲繞枠材P103〜P122が連結された構築物、112は外径が第1乃至第4の継手105a〜108bの貫通孔109の内径と略同一もしくはそれより若干小さめで、長さが継手の貫通孔の2倍と略同一のステンレス鋼や丸鋼、異形鉄筋等の挿設部材である。
図20に示すように、構築物S5の底部となる囲繞枠材P111,P112,P113(図示せず),P114、側壁となる囲繞枠材P103,P104,P105,P106,P115,P116,P117,P118、上壁となるP119,P120,P121,P122を互いに継手が重なり合わない向きに配置し、各々の貫通孔109に各々の挿設部材112を挿設して構築物S5を構築する。尚、構築物S5は、実施の形態2の構築物S1と異なり、内部に囲繞枠体が配設されておらず内部が区切られていない。このため、構築物の強度は低下するが、施工後に構築物に土圧がかからないような場所に施工する場合は施工に必要なコストを減少させることができ有効である。このように、施工後に自動車やトラック等が通行し、高い土圧が構築物にかかる場合は、構築物の内部に区切りを設け強度を高くして構築し、土圧がかからない場合は内部の区切りの数を減少させる等してコストの減少を図ることが好ましい。
尚、本実施の形態7においては、1種類の長さ(継手の貫通孔の2倍の長さ)の挿設部材112を用いたので、施工作業の際に挿設部材として種々の長さを有するものを適宜選択する必要がなく、作業が容易である。
以上のように、図19に示す方法により、囲繞枠材101を逐次連設させていくことにより、一例として図20に示すような直方体状の構築物を形成することができる。
【0066】
以上のように、本実施の形態7の囲繞枠材は構成されているので、実施の形態1の作用に加え以下の作用を有する。
(1)1種類の囲繞枠材101と1種類の挿設部材112を使用して所望の構築物を形成していくことができ、施工作業の際に長いものや短いもの等、挿設部材112を適宜選択する必要がなく、作業が容易であり、また部材種類が少なく生産性に優れるとともに在庫管理が容易である。
(2)囲繞枠材101の各々の辺について、辺の中央に対して対称に継手が形設又は配設されているので、施工作業の際作業者が容易に認識でき、容易に構築することができ、作業性に優れる。
【0067】
(実施の形態8)
次に、実施の形態7の囲繞枠材を用いた本実施の形態8における法面等の階段状に構築された構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態8の構築物は、実施の形態7で説明した囲繞枠材を用いて、実施の形態4で説明したような階段状に構築された構築物と同様に施工したものである。
図21は本実施の形態8における構築物の要部斜視図である。
図21において、S6は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて階段状に形成された法面である構築物、P141〜P143,P141’〜P143’,P141”〜P143”は実施の形態7のP101,P102と同様の囲繞枠材、145は各囲繞枠材P142’,P143’の下部に形設された継手、146は囲繞枠材P141”,P142”の開口部である。
【0068】
以上のように構成された本実施の形態8の構築物について、その施工方法について説明する。
まず、構築物S6の1段目の前壁となる囲繞枠材P141’,側壁となる囲繞枠材P141、上壁となる囲繞枠材P141”を連結させ構築物S6の1段目を施工する。次いで、囲繞枠材P141の上部の継手及び囲繞枠材P141”の側部の継手に構築物S6の2段目の側壁となる囲繞枠材P142の下部の継手を連結させる。このとき用いられる挿設部材は、継手の貫通孔の長さの3倍程度かそれ以上の長さを有するものを用いることが好ましい。これにより、隣接した各々の貫通孔が連通した3つの継手を1つの挿設部材を連挿して連結することができる。次いで、構築物S6の2段目の前壁となる囲繞枠材P142’の下端部の継手145を囲繞枠材P141”の開口部146に挿入させて囲繞枠材142’の側端部の継手を囲繞枠材P142の前端部の継手に連結させる。次いで、構築物S6の2段目の上壁となる囲繞枠材P142”の前端部の継手を囲繞枠材P142’の上端部の継手に連結し、囲繞枠材P142”の側端部の継手を囲繞枠材P142の上端部の継手に連結させる。これで、構築物S6の2段目が構築される。同様にして2段目の上に3段目を構築し、構築物S6を構築する。
なお、本実施の形態8においては、構築物S6は3段目までしか図示していないが、以上のような動作を所望の高さ(数段)まで繰り返し、最上段の囲繞枠材まで土砂や石材を充填させ、階段状の構築物(護岸)を傾斜面に施工してもよい。
【0069】
以上のように本発明の実施の形態8の構築物は、実施の形態4の構築物と異なり、実施の形態7の囲繞枠材を用い、又、垂直に配設された囲繞枠材P142’,P143’の下部の継手145は、水平に配設された他の囲繞枠材P141”,P142”の開口部146に挿し込まれているため、実施の形態4及び7の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)下方に位置する囲繞枠材の上方に他の囲繞枠材を囲繞枠材の辺の略半分ずつずらしながら連結させることにより、階段状の構築物S6を容易に施工することができ、施工性に優れる。
(2)階段状に形成された構築物の階段上面において、垂直に配設された囲繞枠材P141’〜P143’の上部の継手が突出することがなく、施工作業中の安全性に優れるとともに、施工後に構築物上を通行する際の安全性に優れる。
(3)垂直に配設された囲繞枠材P141’〜P143’は、その下部に水平に配設された囲繞枠材P141”〜P143”の開口部146に挿し込まれ、開口部146は垂直に配設された囲繞枠材P141’〜P143’の継手145の厚みより大きな幅を有しているので、垂直に配設された囲繞枠材P141’〜P143’は水平に配設された囲繞枠材P141”〜P143”に対してその位置をある程度自由に変更することができ、階段状に形成された構築物の傾斜角度の自由度に優れる。
【0070】
(実施の形態9)
次に、実施の形態7の囲繞枠材を用いた本実施の形態9における構築物の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図22は実施の形態9における護岸等の構築物の斜視模式図であり、図23は実施の形態9における護岸等の構築物の要部上面図であり、図24は図23のE−E線の矢視断面図である。なお、図23は、図22に示す階段状に形成された構築物の最上段の要部上面図である。
図22〜図24において、S7は施工現場の傾斜面(図示せず)に合わせて階段状に形成された構築物の護岸である。本実施の形態9の構築物S7が、実施の形態8の構築物S6と異なる点は、上壁及び底壁となる囲繞枠材を備えておらず全体として湾曲させている点、及び、上壁及び底壁の替わりにネットを用いて構築物内部に土砂や石材を封入している点である。P151〜P153は実施の形態7のP101,P102と同様の囲繞枠材、154は階段状に構築された構築物S7の上面及び底面に敷設されたネットである。また、102はパネル本体、110は係止部であり、これらは実施の形態7において説明したものと同様であるので同一の符号を付けて説明を省略する。
ネット154の素材としては、金属製やカーボン繊維等の強度を有するものが用いられる。また、ネット154は、開口幅が10〜200mm、好ましくは50〜150mm程度に形成される。これにより、構築物の内部に土砂や石材等を封入することができる。
尚、各囲繞枠材の継手を挿設部材により連結させる方法は実施の形態7と同様であり、また、構築物の構築方法は実施の形態5と同様であるので、説明を省略する。また、ネット154は、構築物S7の上面及び底面側に敷設され、囲繞枠体のパネル本体102に配設された係止部110に係止することで固定される。尚、構築物S7を1段構築する毎に上面及び底面にネット154を敷設しすることもできる。これにより、構築物S7の内部の土砂や石材が流出することを確実に防止することができる。特に、河川の流域に構築物S7を構築した際に、河川の増水等で構築物S7の底面側の地盤が沈下又は流動等した場合であっても、底面に敷設されたネット154により、構築物S7内部の土砂や石材が流出することを防止することができる。
【0071】
以上のように構成された本発明の実施の形態9の構築物は、実施の形態5と異なり、上面及び底面にネットを配設しているので、実施の形態5及び7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)構築物を施工場所の形状等により湾曲させて構築した場合に構築物の上面及び底面に囲繞枠体を配設できない場合であっても、構築物の上面及び底面に囲繞枠体の替わりにネットを敷設することで構築物内部の土砂や石材が流出することを防止することができる。
【0072】
また、以上のように、実施の形態1乃至9おいては、鋳鉄等により形成された土石等の囲繞枠材及びそれを用いた構築物並びにその施工方法について説明したが、本発明の囲繞枠材をPE、PP、FPR等の合成樹脂等により小型に形成し、家庭用のガーデニング資材等に使用することもでき、組み立て用の椅子や作業台として使用することもできる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明の囲繞枠材及びそれを用いた構築物、並びにその施工方法によれば、以下ような有利な効果が得られる。
【0074】
請求項1に記載の発明によれば、以下の効果を有する。
(1)囲繞枠材の各々の継手は各々の辺の外周部の異なる分割域に形設又は配設されているので、囲繞枠材を連結させる場合に継手同士が重なり合わずに貫通孔を同軸に配置することが容易であり、これらの貫通孔に棒状又は管状の挿設部材を挿設することにより、上下左右に無限に囲繞枠材を連結させていくことができる。
(2)パネル本体は正方形であり、囲繞枠材の形状は、上下左右を逆にしても、継手が形設又は配設されている分割域が変わるだけなので、施工する際に、配設方向を気にする必要がなく、施工性に優れるとともに施工ミスを防止することができる。
(3)囲繞枠材の各々の継手は各々の辺において、異なる分割域に形設又は配設されているので、囲繞枠材の配置の仕方は、4辺の何れか一辺を所定の位置に配置する場合と裏表を逆にして4辺の何れか一辺を所定の位置に配置する場合の8通りがあり、他の囲繞枠材に連結させる継手を適宜選択することができるので、施工性に優れる。
(4)1種類の囲繞枠材の各々の外周部の継手を連結させていくことによって構築物を構築していくことができるので、囲繞枠材は1種類のみを生産すればよく生産性に優れるとともに在庫管理が容易である。
(5)永久的な土木構築物を一種類の囲繞枠材と継手の貫通孔に挿入して上下左右を連結させる挿設部材だけで施工でき、部品点数が従来のものと比べ著しく少ないので生産性に優れる。
(6)一種類の囲繞枠材を辺の位置を変えるだけで、継手を介して無限に連設できるので、土木の設計の自在性に優れるだけでなく、施工が極めて容易で施工性、作業性に優れる。
(7)囲繞枠材の4辺の互いに位置の異なる分割域に継手を各々有しているので、1つの囲繞枠材の上下左右前後に他の囲繞枠材を挿設部材で連結し、各種構築物を建造できる。
(8)継手は、1辺につき2分割域ずつにある程度離れて形設又は配設されているので、囲繞枠材同士を連結させる際に、重なり合わない継手が配設された辺をすぐに見つけることができ、施工性に優れ、また、2分割域の継手で連結させるので、囲繞枠材同士を強固に連結させることができる。
(9)継手は、各々の辺において互いに同数の2つの分割域に略均等に形設又は配設されているので、各々の辺を連結させた場合に連結強度の偏りがなく、構築物を構成した場合に各々の継手に荷重が略均等にかかり、耐久性に優れるとともに、大きな石等の衝突等の衝撃耐えることができ耐衝撃性や安全性に優れる。
(10)2つの分割域の継手で連結させるので、囲繞枠材同士を強固に連結させることができ、継手間の連結強度が大きく耐震性に優れる。
【0076】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)あそび分割域を有し、囲繞枠材の各々の辺について、継手が辺の両端部側に各々1つ形設又は配設されるので、囲繞枠材同士の連結が辺の両端部側において行われ、少ない継手であっても連結を強固にすることができ、辺の中央部にのみ継手が形設又は配設されその部分において連結強度が低下することを防ぐことができる。
(2)囲繞枠材の各々の辺について、辺の中央に対して対称に継手が形設又は配設され、あそび分割域の両側が各々3つの分割域に分割され、囲繞枠材の4辺の内、あそび分割域の両側の3つの分割域の内の中央の分割域に継手を有しているものが2つあり、これらが対向する辺に配設されていないので、囲繞枠材を連結させる際に連結する辺の継手同士を必ず近接させるようにして連結することができ、隣接させた継手の貫通孔を連通させることができるので継手の貫通孔に挿通させる挿設部材として挿通孔の約2倍程度の長さを有するものだけで連結できる。
(3)継手の貫通孔に挿通させる挿設部材として挿通孔の約2倍程度の長さを有するものだけで連結でき、囲繞枠材の1辺の長さを有するものを使用する必要がないので、長さを短くでき搬送性に優れ、コストの低減となるとともに施工作業を容易に行うことができ、また、施工作業の際、1種類の挿設部材のみを用意すればよいので、施工作業やその準備を容易に行うことができる。
(4)囲繞枠材の各々の辺について、辺の中央に対して対称に継手が形設又は配設されているので、施工作業の際作業者が容易に継手の位置を認識でき、容易に構築することができる。
【0078】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)あそび分割域の長さが貫通孔に挿設される挿設部材の長さと同じ又はそれ以上であるので、2つの囲繞枠材を連結する際にあそび分割域両側の隣接した分割域に継手が形設又は配設されている場合、挿設部材を継手の貫通孔に内側から、すなわちあそび分割域側から挿入することができ、囲繞枠材を上下左右等に複数連結した場合に、辺の端部側の貫通孔が他の囲繞枠材や挿設部材によって塞がれ、そこから挿設部材を挿入できない場合であっても、あそび分割域側から挿入することができるので、施工性及び作業性に優れる。
【0079】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか一項の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)継手の厚み(最大外径)はパネル本体と略同一の厚みに形成されているので、搬送時や保管時にパネル本体の平面部の上面や下面に凹凸部がないので段積みしても収納効率や搬送効率に優れる。鋳鉄製の場合は、横滑りがないので段積み作業性や搬送時の安全性や搬送性に優れる。
【0081】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内何れか一項の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)雨などによって構築物内部に進入する水を外部に排出し、構築物内に水が溜まることを防止することができる。
(2)囲繞枠材で護岸を構築した場合は、開口部が形成されているので、この開口部に水生生物の生息が可能であると共に、護岸の水はけもよくなる。更に、大きな岩石を構築物内に充填するだけで、岩石間に土砂がたまり、草木類が生え自然の河川に近い護岸とすることもできる。
(3)囲繞枠材で内部に水質浄化材が充填された水質浄化ブロックを構築した場合は、開口部を介して水質の浄化が行われる。
(4)囲繞枠材を階段状に構築する際に、水平に配設された1つの囲繞枠材の開口部に他の囲繞枠材の継手を差し込んで垂直に配設することができるので、囲繞枠材を用いた階段状の構築物を45°以上の傾斜面に構築することができ、種々の傾斜角度の傾斜面に対応できる。
【0082】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内何れか一項の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)係止部を備えているので、ネットや金網等の網状体や植生マット等を直接又は番線等で容易に配設することができる。
(2)囲繞枠材でブロック体を構築し内部に浄化材を充填させた場合は開口部に金網等の網状体を配設することによって、浄化材が抜脱するのを防止することができる。
(3)囲繞枠材で、漁礁ブロックを構築し内部に小魚のみが出入りできるようにする場合は、開口部に開口径が所望の小魚より若干大きい金網等の網状体を配設することにより、小魚のみが出入りすることができ、天敵から身を守らせることができる。
【0083】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内何れか一項の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)下方の囲繞枠材の上方に他の囲繞枠材を所定の距離ずらして連結させ階段状の構築物を構築する際に、どの程度ずらせば構築される階段状構築物の所望の傾斜角度が得られるかが一目でわかるので、施工性に優れる。
【0084】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内何れか一項の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)各囲繞枠材の継手はパネル本体と一体であるため、連結強度が強い。
(2)鋳鉄等の鋳物の鋳造物で一体に成型するため、囲繞枠材の耐久性が著しく向上し、半永久的に使用することができる。
(3)鋳鉄等の鋳物の鋳造物で一体に成型するため、規格化されやすく、機械的強度に優れ、従来のものに対し大幅に軽量化できるので、現場での搬送性や作業性を向上させることができる。
(4)鋳鉄製なので、河川や湖沼、海岸等に設置しても水質を汚染することがなく安全性に優れる。
【0085】
請求項に記載の発明によれば、以下の効果を有する。
(1)囲繞枠材のパネル本体は正方形であるので、各囲繞枠材のどの継手同士を連結させても、すなわち継手の組み合わせ方に関わらず、構築物は同様の形状に構築することができ、施工性に優れるととも施工ミスを減少させることができる。
(2)1種類の囲繞枠材と挿設部材のみで構築物を構築することが可能であり、部材点数が少ないので施工性に優れる。
(3)複数の囲繞枠材を所定の組み合わせで連結し、方形若しくは平行四辺形の四辺形状、略円形状、階段状の構築物を形成することができる。形成された構築物の枠内に石材を充填することにより法面や護岸、護床工、魚礁等の構築物を構築することができ、又、樹脂成形した囲繞枠材を箱状等に連結して家庭用のガーデニング資材等の構築物を構築することができる。また、構築物の前後左右に新たに囲繞枠材を連結するだけで構築物を延設することができ施工現場の奥行きや長さに合わせて自在に長短の構築物を施工することができる。更に、連結させる囲繞枠材の辺と辺を互いに上下左右にずらして連結させ階段状に施工することにより、施工現場の傾斜に構築物の形状を自由に合わせることができる。
(4)囲繞枠材で護岸を形成する場合は、複数の構築物の一部分を直線状に又はクランク状に石材を充填しない部分とすることにより魚道とすることもできる。
【0086】
請求項10に記載の発明によれば、以下の効果を有する。
(1)各囲繞枠材の継手の貫通孔を同軸で配置し、挿設部材を継手の貫通孔に挿設させることにより各囲繞枠材を連結する。従って、施工時に構築物を組み立てる場合、各囲繞枠材を連結して枠の形とするためには連結する各辺の継手に挿設部材を各々確実に挿設しなければならないため、施工時に作業者が囲繞枠材を連結し忘れることがない。従って、完成した構築物の各囲繞枠材は確実に連結されており、構築物で護岸や法面を形成するときに、施工ミスが発生することを防止することができる。
(2)構築物を分解した囲繞枠材の状態で施工現場に運搬し、施工現場において枠組立体を組み立てるため、運搬が容易である。特に、水害や斜面崩壊等の災害時において、現場に運搬するのが容易であり、現場で素早く構築物を組み立て、土石や土嚢を充填して災害の拡大防止や災害復旧を図ることが可能であり、災害時の緊急対応処置時の使用に適する。
(3)配置工程と挿設工程の繰り返しにより、構築物を施工していくので、施工作業に熟練性を要さず、1〜2人で施工していくことができ省力性に優れる。
(4)囲繞枠材配置工程で、囲繞枠材を目的の構築物の形状に配置し、挿設工程で挿設部材を継手の貫通孔に挿設し、更に、囲繞枠材内部に土石等を充填してならすことで容易に法面や護床、漁礁等を建造できる。
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における囲繞枠材の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における囲繞枠材の正面図
【図3】(a)図2のA−A線矢視平面図
(b)図2のB−B線矢視側面図
(c)図2のC−C線矢視底面図
(d)図2のD−D線矢視側面図
【図4】本発明の実施の形態1における囲繞枠材同士を連結させた状態を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態2における構築物の構築方法を表す斜視図
【図6】本発明の実施の形態2における構築物の構築方法を表す斜視図
【図7】本発明の実施の形態2における構築物の構築方法を表す斜視図
【図8】本発明の実施の形態3における構築物の正面模式図
【図9】図8のA−A線における矢視断面模式図
【図10】図8のB−B線における矢視断面模式図
【図11】本発明の実施の形態4における構築物の正面模式図
【図12】本発明の実施の形態4における構築物の側面模式図
【図13】図12のC部の要部拡大側面図
【図14】本発明の実施の形態5における構築物の斜視側面図
【図15】実施の形態6における高さ方向に直線状に伸べる擁壁や護岸等の構築物の断面模式図
【図16】実施の形態1における囲繞枠材の斜視図
【図17】実施の形態1における囲繞枠材の正面図
【図18】(a)図17のA−A線矢視平面図(b)図17のB−B線矢視側面図(c)図17のC−C線矢視底面図(d)図17のD−D線矢視側面図
【図19】実施の形態7における囲繞枠材同士を連結させた状態を示す斜視図
【図20】実施の形態7における囲繞枠材を連結させた構築物の斜視図
【図21】実施の形態8における構築物の要部斜視図
【図22】実施の形態9における護岸等の構築物の斜視模式図
【図23】実施の形態9における護岸等の構築物の要部上面図
【図24】図23のE−E線の矢視断面図
【符号の説明】
1 囲繞枠材
2 パネル本体
3 格子
4 開口部
5 第1の辺
5a,5b 第1の継手
6 第2の辺
6a,6b 第2の継手
7 第3の辺
7a,7b 第3の継手
8 第4の辺
8a,8b 第4の継手
9 貫通孔
10 係止部
11 目盛り
12a〜12i,13a〜13d,14a〜14c,36,45 挿設部材
P1〜P22,P31〜P35,P41〜P44,P51〜P53 囲繞枠材
S1 本発明の実施の形態2における構築物
S2 本発明の実施の形態3における構築物
S3 本発明の実施の形態4における構築物
S4 本発明の実施の形態5における構築物
S2’ 本発明の実施の形態6における構築物
P32’,P32” 囲繞枠材
101 囲繞枠材
102 パネル本体
103 格子
104 開口部
105 第1の辺
105a,105b 第1の継手
106 第2の辺
106a,106b 第2の継手
107 第3の辺
107a,107b 第3の継手
108 第4の辺
108a,108b 第4の継手
109 貫通孔
110 係止部
112a,112b 挿設部材
113 抜け止め部
114 挿設部
P101,P102 囲繞枠材
S5 本発明の実施の形態7における構築物
P103〜P122 囲繞枠材
S6 本発明の実施の形態8における構築物
P141〜P143 囲繞枠材
145 継手
146 開口部
S7 本発明の実施の形態9における構築物
P151〜P153 囲繞枠材
154 ネット

Claims (10)

  1. 正方形のパネル本体と、
    前記パネル本体の各々の辺が、一端側から順に分割域R1〜R8の8分割された分割域を有し、前記各辺の2個の前記分割域に形設又は配設された継手と、を備え、
    各辺の前記継手が、4辺の内第1の辺ではR1,R5の分割域に、第2の辺ではR2,R6の分割域に、第3の辺ではR3,R7の分割域に、第4の辺ではR4,R8の分割域に形設又は配設され、かつ、前記継手が前記辺の長さ方向と平行に中央部に貫通孔を有し、前記貫通孔が同軸に形成されていることを特徴とする囲繞枠材。
  2. 正方形のパネル本体と、
    前記パネル本体の各々の辺が、一端側から順に分割域R’1〜R’3,あそび分割域,分割域R’4〜R’6に分割された分割域を有し、前記各辺の2個の前記分割域に形設又は配設された継手と、を備え、
    各辺の前記継手が、4辺の内第1の辺ではR’1,R’6の分割域に、第2の辺ではR’2,R’5の分割域に、第3の辺ではR’2,R’5の分割域に、第4の辺ではR’3,R’4の分割域に形設又は配設され、かつ、前記継手が前記辺の長さ方向と平行に中央部に貫通孔を有し、前記貫通孔が同軸に形成されていることを特徴とする囲繞枠材。
  3. 前記あそび分割域が、前記貫通孔に挿設される挿設部材の長さ以上の長さを有することを特徴とする請求項に記載の囲繞枠材。
  4. 前記継手が、前記パネル本体の平面部と面一に延設され、又は配設固定された管体で形成され前記パネル本体の平面部と面一に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内何れか一項に記載の囲繞枠材。
  5. 前記パネル本体の所定部に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材。
  6. 前記パネル本体の所定部に係止部が配設されていることを特徴とする請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材。
  7. 前記パネル本体の辺の一角部を基点として周縁部に沿って刻印又は印字された目盛りを備えていることを特徴とする請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材。
  8. 前記囲繞枠材は鋳鉄の鋳造物により一体成型されていることを特徴とする請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材。
  9. 請求項1乃至の内何れか一項に記載された囲繞枠材と、前記囲繞枠材の2以上を前記継手の前記貫通孔が同軸になるように前記継手を介して直線状や曲線状又は直交状に配列され、同軸に設置された前記貫通孔に挿設された挿設部材と、を備えていることを特徴とする構築物。
  10. 請求項1乃至の内何れか一項に記載の囲繞枠材の2以上を継手の貫通孔が同軸になるように配置する囲繞枠材配置工程と、前記囲繞枠材配置工程で配置された前記囲繞枠材の前記継手の前記貫通孔に挿設部材を挿設する挿設工程と、を備えていることを特徴とする構築物の施工方法。
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