JP3745595B2 - ネットワークシステム構築方法およびそのシステム、ネットワークシステム構成図の作図方法およびそのシステム、ネットワークシステム構成ファイルの生成方法およびそのシステム、ならびに記録媒体 - Google Patents

ネットワークシステム構築方法およびそのシステム、ネットワークシステム構成図の作図方法およびそのシステム、ネットワークシステム構成ファイルの生成方法およびそのシステム、ならびに記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、システムの構築方法、構築システム、システム構成図の作図方法、作図システム、システム構成ファイルの生成方法、生成システムおよび媒体に関し、特に、ネットワーク等コンピュータシステムの能率的な構築に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ技術の進展とともにインターネットが極めて急速に普及している。企業間はもとより、企業と個人、個人と個人を結ぶ情報インフラとして今や欠くことができない社会の基盤技術になりつつある。特に、企業におけるインターネット利用は、新たな市場開拓、顧客開拓、常連客の確保、企業間取引等電子商取引を進める上での必須基盤であるとの認識が生まれている。また、中小規模の企業あるいは小規模オフィスで事業を行う個人等においても大企業と対等に渡り合える有効なツールとして認識されている。このような状況において企業あるいは個人がインターネット対応のシステム環境を取得することは事業展開を図る上で緊急の課題であるといえる。また、既にシステムを構築している者にとっても、情報技術(IT:Information Technology)分野の技術進歩は激しく、常に最新の技術に対応することが好ましい。なお、インターネットが基本的な社会基盤の1つであると認識されつつある現代においては、個人の私的なインターネット利用あるいは非営利事業者のインターネット利用等非営利なインターネット利用であってもその重要性は何ら損なわれることはない。このような社会環境の下に、積極的なIT投資が行われ、多種多様なシステムの構築が行われている。システム構築の手法の一例を概説すれば以下の通りである。
【0003】
システム構築に必要な知識を備えたIT技術者(システムエンジニア)が顧客の要求を聞き、この要求に沿ったシステム構築のコンサルテーションを行う。このコンサルテーションを踏まえた論理システム(メール、ウェブ、アプリケーション等の各種サービスの構成と関連)を設計し、これを実現する物理システム(何れのサービスを何れのハードウェアで実現するか等物理的条件に基づくハードウェアの構成と関連)を設計する。さらに、システムを構成する各ハードウエアについて各環境固有値を決定する。環境固有値は稼働環境に固有のパラメータ、たとえばサーバ名、IP(Internet Protocol)アドレス、DNS(Domain Name
Server)の転送先等である。
【0004】
これら論理システム、物理システムの設計はシステム構成図を作成することにより行われる。つまり、論理的な構成要素である各サービスを方形等の図形で表し、各サービス間の関連を図形を結ぶ線または矢印で表す。矢印の方向はたとえば情報の流れである。サービスを実現するハードウェアも同様に方形等の図形で表し各サービスを包含するように配置する。サービス、ハードウェアを表す図形を囲むサブネット枠、ドメイン枠を記入しネットワークを定義する。そして、各ハードウェアにIPアドレス等の環境固有値を記入して動作環境をも含めた動作環境構成図を完成する。
【0005】
その後、システムに必要なハードウェアを用意し、ハードウェアの接続、システムソフトウェア、各種デバイスドライバ、アプリケーション等のインストールを行った後、動作環境構成図に基づき各ハードウェアのシステム構成ファイルの作成および導入(環境固有値の入力)を行う。そしてシステム全体の動作確認を行い、ユーザやグループの追加、セキュリティ設定等運用形態に応じた調整を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記したシステム構築手法では以下のような問題がある。第1に論理システム、物理システム、動作環境等の構成図の作成に大きな作業負担がかかる。前記の通り構成図の作成はシステム設計作業でもあるため人手により図形を描画しながら進められる。図形描画に汎用的なCAD(Computer Aided Design)ソフトを用いたとしても図形あるいは文字の生成および位置合わせ、サービス間の関連を示す線の描画等を行う必要があり、作業負担が大きい。特に大きなネットワークシステムを設計する場合には構成するサービス、ハードウエア、それらの関連等記述すべき要素が膨大になり、作業負担は著しく増大する。
【0007】
第2に、1つのプロジェクト等で作成した構成図や構成ファイルを別のシステム構成に再利用しようとした場合、変更箇所の洗い出し作業に大きな負担が生じる。1度作成した構成図や構成ファイルはノウハウとして保管し、後に類似したシステムの構築作業の際に活用できる。ただ、システムが同一になることは稀であり、通常は新たなシステムに対応した変更箇所を生じる。このような変更に迅速に対応するために完成した構成図や構成ファイルにそのシステムに固有な箇所を予めマークし、また、システムの要素間の関連する他の要素についてメモを貼付する。このようなマーク、貼付メモを目印に変更すべき箇所を素早く把握し、新たなシステム構築に過去の構築事例を活用することができる。しかし、前記した従来の構築手法では、構成図が描かれていてもその要素間の関連性はマーク、メモ等に頼らざるを得ない。マーク、メモは属人性が高く、いかに目印を標準化したとしても結局は再利用の際に変更箇所の洗い出しが必要になる。すなわち、過去の構築事例を再利用するにはその汎用化が十分でなく、類似した新たなシステムの構築の大きな作業能率の改善には至らない。
【0008】
第3に、過去のシステム構築事例を再利用して新たなシステムを構築した場合、構成図や構成ファイルの変更は人手に頼らざるを得ず、人為的なミスを皆無にはできない。前記の通り過去の構築事例が汎用化されていないため、再利用の際には人手による変更箇所の洗い出し、変更記入が行われる。このような人手による作業負担が大きいばかりでなく、人手による作業には必然的にミスが混入する。通常このようなミスは文字、記号等の転記ミス、変更すべき箇所の洗い出しの不完全性等であり、その発見は困難である。特に大きなシステムの場合には変更箇所が多く、また変更箇所も詳細になるので、ミスの混入する確率が高くなる。
【0009】
また、前記した問題に加えて、インターネットに適応したシステムの構築要求が高いにもかかわらず必要な知識を備えたIT技術者を確保することが困難である。IT技術者の不足は必要な教育および訓練により対応できるものの、迅速かつ十分な構築サービスを提供する阻害要因になっていることは確かである。
【0010】
さらに、優秀なIT技術者であっても、インターネット技術の進展の速さをフォローアップすることは容易ではない。ドッグイヤーで進展するIT分野では、常に新たなサービスが提供され、このようなサービスをシステムに迅速に取り込む必要に迫られる。
【0011】
本発明の目的は以下の通りである。システム構築作業における作業効率を向上することにある。構成図の作成負担を軽減することにある。構成図の作成から構成ファイルの作成まで一貫して行えるシステムを提供することにある。構成図および構成ファイルの修正および変更を容易に行える手段を提供することにある。構成図および構成ファイルの作成段階におけるミスの混入を抑制できる手法を提供することにある。過去のシステム構築事例である完成した構成図を汎化する手段を提供することにある。過去の構築事例を有効に活用できる手段を提供することにある。必要最低限の知識で高度なシステム構築を可能にする手段を提供することにある。新たなサービス等の技術に即応できる手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願の発明の概略を説明すれば、以下の通りである。本発明のシステム構築方法は、システム構成エディタを用いてシステムの構成図を作成する段階と、システム構成エディタで生成または入力された属性データを含むシステムの構成ファイルを自動的に生成する段階と、構成ファイルをシステムに導入する段階と、を含む。このようなシステム構築方法によれば、システム構築エディタを用いて構成図の作成を能率的に進めることができる。また、構成ファイルを自動生成するので、システムの構成図の作成から構成ファイルの作成まで一貫して行える。
【0013】
システム構成エディタを用いた構成図の作成段階には、コンポーネントを指定し、システム構成エディタの作図画面にコンポーネントを生成する段階と、コンポーネントを他のコンポーネントに関連付ける段階と、コンポーネントのプロパティを入力する段階とを有する。コンポーネントの関連付けの契機となる動作にはコンポーネントの包含、重畳、関連線の発生等がある。コンポーネントは論理的なサービス、ハードウエアであり、予め登録されている要素である。ユーザは、このようなコンポーネントを選択することにより簡便にサービス等の図形を表示することができる。また、コンポーネントは他のコンポーネントと関連付けられるので、コンポーネントの移動、拡大、縮小等によりコンポーネント間の関連線を引き直す必要がない。これにより作業能率を高めることができる。また、コンポーネント毎にプロパティが定義されこのプロパティでコンポーネント間の関連、コンポーネント(サービスあるいはハードウェア)に固有の環境固有値を記述できる。プロパティはコンポーネントに付随するのでコンポーネント間の関連が構造的に変化したような場合にはその構造を反映したプロパティ値の変更が行える。
【0014】
コンポーネントの生成により、コンポーネントの一部の属性データにデフォルトデータが入力されてもよい。これによりユーザの入力の利便性を高めることができる。デフォルトデータにはコンポーネントの影響領域およびコンポーネントの基準点を含むことができる。
【0015】
コンポーネントの生成段階またはコンポーネント間の関連付け段階において、コンポーネントの全部または一部が、他のコンポーネントの影響領域内にある時には、コンポーネントの属性データの一部に他のコンポーネントの属性データを引き継ぐことができる。
【0016】
プロパティの入力段階において、入力可能なプロパティを、コンポーネントに関連付けることが可能なプロパティの一部に制限することができる。これにより、不必要なプロパティを省略して最低限の知識を有する者でも本構成エディタを用いることにより標準的なシステム構成を可能にする。つまり、ユーザはプロパティの入力画面を参照しながら値を入力することにより、要求されるデータフィールドに値を入力するだけで標準的なシステムを自動的に構成できる。逆にいえば、要求される値がプロパティ画面で明示されることになり、たとえばコンサルティング活動を行う際のアシスト機能を果たすことができる。
【0017】
構成ファイルの自動生成段階には、構成ファイルテンプレートに含まれるシャドウプロパティをシステムに固有のプロパティに置き換える段階、あるいは、構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数を再帰的に展開し、マクロ関数で指定されたプロパティをシステムに固有のプロパティに置き換える段階、あるいは、構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ制御文に従って再帰的に展開し、シャドウプロパティまたはマクロ関数で指定されたプロパティを複数のシステム固有のプロパティに置き換える段階、の何れかの段階を含むことができる。これにより構成エディタに入力されたデータを組み込んで構成ファイルを自動的に生成できる。構成ファイルテンプレートは、マクロ言語を用いて標準的な構成ファイルが生成されるようにサービス等のコンポーネントを考慮して予め作成する。構成ファイルテンプレートは、システムで用いるプロダクトバージョンを考慮してプロダクトバージョンごとに用意できる。
【0018】
なお、構成ファイルの自動生成段階の後に、制限されたプロパティに関して構成ファイルを修正することができる。また、顧客に対し、システムの構築事業者がシステム構築に関するコンサルテーションを行い、システム構築事業者が構成図の作成および構成ファイルのシステムへの導入を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ番号を付するものとする。
【0020】
以下の実施の形態では、主に方法またはシステムについて説明するが、当業者であれば明らかなとおり、本発明は方法、システムの他、コンピュータで使用可能なプログラムコードが記録された媒体としても実施できる。また、本発明はソフトウェア、つまりコンピュータで解読されコンピュータに対する処理命令あるいはデータのシーケンス(プログラムコード)としても把握できる。したがって、本発明は、ハードウェアとしての実施形態、ソフトウェアとしての実施形態またはソフトウェアとハードウェアとの組合せの実施形態をとることができる。プログラムコードが記録された媒体としては、ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置または磁気記憶装置を含む任意のコンピュータ可読媒体を例示できる。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態であるシステム構築方法の一例を概念的に示したブロック図ある。本実施の形態のシステム構築方法では、顧客1とインフラ構築サービス2と構成ファイル生成サービス3とを有する。顧客1はネットワークシステム等のシステム構築を希望する者であり、たとえばシステムを利用し事業活動を行う企業、個人等である。顧客1は自らシステムを構築するのではなく、システム構築を外部に委託しようとする者である。インフラ構築サービス2の提供者は、顧客1からシステム構築に関して業務を受託する者である。顧客1に対してコンサルテーションを行い、システム構築に関する十分知識を持たない顧客1を支援する。構成ファイル生成サービス3はインフラ構築サービス2が利用できる構成ファイルの自動生成機構である。後に説明するコンポーネント等の最新技術への対応、ファイル生成のエラーレポート等、高度な知識が要求される機能を集約する。よって、インフラ構築サービス2は構成ファイル生成サービス3から最新かつ高度な情報を得ることができ、また技術的なサポートが期待できるので、インフラ構築サービス2の提供者には高度な知識は要求されない。
【0022】
図2は、本システム構築方法の手順の一例を示したフローチャートである。まず顧客1からのシステム構築依頼をインフラ構築サービス2の提供者が受ける(ステップ4)。インフラ構築サービス2の提供者は顧客1に対してコンサルテーションを行う(ステップ5)。このコンサルテーションで顧客1は自己の必要とするサービスを要求し、あるいは前記提供者からのプレゼンテーションを受けて自己のシステム構築に必要な情報を得ることができる。サービス提供者は顧客1のニーズを把握し、システム設計の基礎になる情報を入手する。その後インフラ構築サービス2の提供者はシステム構成エディタ(e−エディタ)によるシステム設計作業を行う(ステップ6)。
【0023】
e−エディタでは、後に説明するようにシステム構成図(論理システム構成図、物理システム構成図、動作環境構成図)が容易に作成できる。このため設計者の作業負担を軽減できる。また、e−エディタでは図示されるサービス等の要素(コンポーネント)間の関連が記述される。このためコンポーネントの生成、移動等の操作によってたとえば関連線による関連の記述が自動的に再描画される。また、e−エディタでは、各コンポーネント毎にプロパティを有し、プロパティによってコンポーネントに固有の値を記述できる。これにより、プロパティリストに含まれる値(プロパティ)を構成ファイル生成サーバに渡して構成ファイルを自動的に生成できる。さらにe−エディタのプロパティリストに表示する項目を制限することにより、構築サービス提供者のコンサルテーションを行いやすくできる。コンサルタントはプロパティリストの空白フィールドを埋めるに必要な情報を収集するようにコンサルテーションを行えばよく、システム構築に関する高度な知識を持たないコンサルタントであっても一定の顧客満足度を得るシステム設計を行える。これにより時間と費用を多大に要する教育訓練を経ることなく多くの人材をコンサルタントとして活用できる。
【0024】
e−エディタのプロパティリストに入力されたデータ(プロパティ値)は構成ファイル生成サーバ(構成ファイル生成サービス3)に送信される(ステップ7)。プロパティを受信したサーバはこれを記録し、サーバ内のマクロエンジンを用いて構成ファイルテンプレートをマクロ展開する。マクロ展開では受信したプロパティ値(入力情報)を組み込んで構成ファイルを生成する(ステップ8)。このようにマクロ展開により構成ファイルを自動生成するのでシステム固有値(プロパティの一部)の入力ミスが発生しない。このため作業段階におけるミスの洗い出し作業が短縮でき、作業能率を高めることができる。また、後に説明するようにマクロ展開の際に必要なデータの欠落、コンポーネント間の論理的な整合性の欠落等を発見できる。この結果はエラーレポートとしてインフラ構築サービス2に返すことができ、e−エディタへの入力段階のミスの発見を支援することができる。
【0025】
生成された構成ファイルは必要に応じてカスタマイズされる(ステップ9)。カスタマイズでは、e−エディタのプロパティリストに表示されないデータがある場合にはそのデータについて行うことができる。前記の通りe-エディタのプロパティリストに表示するプロパティは必要最低限に制限できる。このように制限することによりサービス提供者によるコンサルティングを行いやすくできる。しかし、プロパティリストに表示したもの以外のプロパティについてデフォルト値を割り当てたのでは顧客の細かな要求に応えられない。このため人手によるカスタマイズで対応する。このカスタマイズには高度な知識が要求されるので構成ファイル生成サービス3の側で行うことが好ましい。
【0026】
カスタマイズが終了した構成ファイルはインフラ構築サービス2に送信される(ステップ10)。 インフラ構築サービス2の提供者はシステム構築に必要なハードウェアとシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア等のソフトウェアを用意し(ステップ11)、必要な設置および物理的な結線処理を行った後、構成ファイルを導入する(ステップ12)。この段階で基本的なシステムの構成が完了する。サービス提供者はシステムの動作確認を行い(ステップ13)、ユーザやグループの追加、セキュリティレベルの設定等運用形態に沿ったチューニングを行なって(ステップ14)、顧客1に納品する。顧客1はこのシステムを使用し必要な業務に活用できる(ステップ15)。
【0027】
本実施の形態のシステム構築方法によれば、構成図の作成から構成ファイルの生成まで一貫して行える。この時e−エディタを用いて作業を能率化し、システム設計の簡便性、入力ミス等の能率低下要因を低減できる。しかも、本方法によれば、真に高度な知識が要求される業務は構成ファイル生成サービス3に集約して、構成ファイル生成サービス3のサポート体制の元にインフラ構築サービス2を展開できる。このためインフラ構築サービス2に従事するコンサルタントの業務をアシストして、必ずしも高い知識を有さない者であっても提供可能な高い品質のインフラ構築サービス環境を提供できる。本システム構築方法とそのシステムでは、システム構築サービスに従事する者の能力と労働資源を最適化して高品質なインフラ構築サービスを迅速に顧客に提供できる。
【0028】
なお、ここでは顧客1とインフラ構築サービス2と構成ファイル生成サービス3とが各々別個独立した者によって実現される例を説明したが、図3に示すように、顧客1が構成ファイル生成サービス3に直接アクセスする形態もある。この場合、顧客1にe−エディタを配布し、e−エディタへの入力は顧客1が自ら行う形態を想定する。この場合の顧客1はシステム構築に関するコンサルテーションを必要としないある程度の知識を有した者である必要がある。また、図4に示すように、インフラ構築サービス2と構成ファイル生成サービス3とが同一事業者によって実現されてもよい。
【0029】
次に、e−エディタを実現するシステム、e−エディタによる作図方法について詳細に説明する。なお、本実施の形態で用いるコンピュータシステムは一般的なものでよい。たとえば中央演算処理装置(CPU)、主記憶装置(メインメモリ:RAM)、不揮発性記憶装置(ROM)等を有し、これらがバスで相互に接続される。バスには、その他コプロセッサ、画像アクセラレータ、キャッシュメモリ、入出力制御装置(I/O)、外部記憶装置、データ入力デバイス、表示デバイス、通信制御装置等が接続される。その他、一般的にコンピュータシステムに備えられるハードウェア資源を備えることが可能なことは言うまでもない。データ入力デバイスには、キーボード等の入力装置、マウス、ポインティングデバイス等の補助入力装置を備えることができる。表示装置としては、CRT、液晶表示装置、プラズマ表示装置が例示できる。コンピュータシステムには、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、メインフレームコンピュータ等各種のコンピュータが含まれる。後に説明する処理は、複数のシステムで分散的に処理されてもよい。一部のプログラムをユーザのコンピュータで、一部のプログラムをリモートコンピュータで分散的に処理できる。プログラムで利用されるデータは、それがどのコンピュータに記録されているかは問われない。データの所在に関する情報(アドレス)が明らかでありそのデータが利用可能である限り、データあるいはプログラムの格納場所はコンピュータネットワーク上の任意の場所とすることができる。各ネットワークコンピュータ間の通信には公知の通信技術を適用でき、たとえばTCP/IP、HTTP等のプロトコルを用いることができる。また、各記憶装置に記録された各ファイル(データあるいはプログラム)の存在箇所(アドレス)は、DNS、URL等を用いて特定できる。なお、本明細書においてインターネットという用語には、イントラネットおよびエクストラネットも含むものとする。インターネットへのアクセスという場合、イントラネットやエクストラネットへのアクセスをも意味する。コンピュータネットワークという用語には、公的にアクセス可能なコンピュータネットワークと私的なアクセスしか許可されないコンピュータネットワークとの両方が含まれるものとする。
【0030】
図5は、本実施の形態のe−エディタを実現するシステムの一例の概要を示したブロック図である。CPU等の制御装置21には入力装置22、補助入力装置23、表示装置24、通信制御装置25が接続され、システムファイル26、コンポーネントデータベース27、デフォルトデータベース28を有する。
【0031】
制御装置21はe-エディタを実行するコンピュータシステムを制御する。たとえば、入力装置22あるいは補助入力装置23からの入力信号を受けてe-エディタの編集あるいは入力機能を制御する。あるいはe-エディタの表示データ、図形を表示装置24に表示する制御、通信制御装置25を介したデータ通信の制御等を行う。
【0032】
システムファイル26にはコンピュータシステムのシステムソフトウェア、システム制御に必要なデータ等のほかにe-エディタを実現するソフトウェアが記録される。e-エディタソフトウェアは制御装置21で読み出され実行される。
【0033】
コンポーネントデータベース27には、コンポーネントの定義ファイルが記録される。定義ファイルは、たとえば、コンポーネント番号、コンポーネント名、プロパティ数、の後にその数だけのプロパティ名を定義する。以下に「ドメイン枠、サブネット枠、サーバー枠」の3つのツール(コンポーネント)を定義した例を示す。
【0034】
"[",0,"Domain",2,"]"
"...<","ドメイン:",">..."
"...<","ネットワーク:",">..."
"[",1,"SubNet",2,"]"
"...<","サブネット:",">..."
"...<","マスク:",">..."
"[",2,"H/W",2,"]"
"...<","ホスト名:",">..."
"...<","IPアドレス:",">..."
ドメイン枠のプロパティとして、「ドメイン名とネットワーク・アドレス」が定義され、サブネット枠のプロパティとして「サブネット・アドレスとIPアドレス」が定義され、サーバ枠のプロパティーとして、「ホスト名とIPアドレス」が定義されている。
【0035】
このような定義ファイルにすることにより、コンポーネントへのプロパティの追加、新たなコンポーネントの追加等が容易にできるようになる。コンポーネントの定義ファイルはe-エディタソフトウェアの制御下で読み出され、後に説明するコンポーネントボックスにアイコン表示される。
【0036】
デフォルトデータベース28には、各コンポーネントのデフォルト値が記録される。デフォルト値は各コンポーネントの生成の際にプロパティとして適用される。
【0037】
図6は、e-エディタによる作図方法の一例を示したフローチャートである。まず、e-エディタを起動する(ステップ30)。e-エディタの起動によりツールマネージャ、カンバスマネージャ、プロパティマネージャが起動する。図7はe-エディタの起動後の表示画面の一例を示した図である。表示装置24の表示画面には、ツールマネージャにより生成表示されるツールボックス40、カンバスマネージャにより生成表示されるカンバス41、プロパティマネージャにより生成表示されるプロパティリスト42の各画面フレームが表示される。
【0038】
ツールボックス40には、ネットワークシステムを構成するコンポーネントがアイコン表示される。コンポーネントとして、ドメイン枠(Domain)、サブネット枠(SubNet)、ハードウェア(H/W)等が例示できる。定義ファイルを書き換えることによりコンポーネントが追加・削除できることは前記の通りであり、定義ファイルの内容はコンポーネントマネージャにより読み出されてツールボックス40に反映される。
【0039】
カンバス41は図形の描画・表示画面である。生成されたコンポーネントに対応する図形がカンバス41に描画され、任意の図形はカンバス41上で移動、拡大、縮小等の編集が可能である。
【0040】
プロパティリスト42には現在選択されているコンポーネントのプロパティが表示される。プロパティには自動的に生成され変更が不可能なプロパティ(たとえばコンポーネント番号等)がある。また、自動的に生成されるが変更が可能なプロパティ(たとえばコンポーネント名等)がある。さらに自動的には生成されず、入力が必要なプロパティがある。
【0041】
e-エディタの起動後、ユーザ(システム構築作業者)は、ツールボックス40からコンポーネントを選択し、たとえばマウスによるコンポーネントアイコンのドラッグアンドドロップによってコンポーネント図形をカンバス41に生成・描画する(ステップ31)。カンバス画面にドロップされたアイコンはデフォルト値で規定された大きさの長方形を生じ、これをカンバス41に描画する。また、カンバス画面のある点をマウスでクリックし、キーコマンド等の他のコマンド操作によりコンポーネント図形を発生させても良い。
【0042】
発生されたコンポーネントのプロパティにはその発生を契機としてデフォルト値が入力される。たとえばコンポーネントのシリアル番号、コンポーネント名等である。その他、コンポーネントが発生したカンバス41上の位置によって図形の座標が入力され、基準点、色、フォント等が入力される。デフォルト値は予めコンポーネントごとに定めておき、デフォルトデータベース28に記録できる。
【0043】
プロパティとして生成される図形の座標は、図形の位置、大きさを規定するだけでなく、コンポーネントの影響範囲をも規定する。また、基準点は図形外周の何れかの位置に生成され、その図形で表されるコンポーネントを代表する点として機能する。基準点は外周の任意の位置に移動できる。つまり、あるコンポーネントの基準点が他のコンポーネントの影響範囲内にある時には、そのコンポーネントは他のコンポーネントに影響される。たとえばあるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の基準点がプロパティ値として「192.168.10」を持つサブネット枠の影響範囲内にある時には、そのDHCPはサブネット「192.168.10」内で稼動することを表す。この場合、DHCPのプロパティ値「192.168.10」はサブネット枠内に生成あるいは移動される時に自動的に生成あるいは変更される。
【0044】
コンポーネントがハードウェアである場合にはコンポーネントの基準点はインターフェイスをも表す。よって、プロパティである基準点のサブプロパティとしてホスト名プロパティ、IPアドレス・ホスト部プロパティを有することになる。なお、異なるサブネット間を接続するゲートウェイのように複数のコンポーネントに包含されるコンポーネントの場合には基準点を追加する。前記の場合ゲートウェイ枠の外周には複数の基準点を設け、各基準点は各サブネット枠の各々の影響範囲内に置かれる。また、複数の基準点を持つハードウェア枠内で稼動するサービス(たとえばDNS)が複数の基準点を使用してサービス提供する場合、サービスの各基準点はハードウェアの各基準点に対応させ、サブネット枠には1つの基準点を含むようにする必要がある。複数のハードウェア基準点(インターフェイス)が同一サブネット枠に存在する場合には同一のネットワーク部プロパティを持つ複数サブネット枠に分割する必要がある。
【0045】
カンバス41に描画されている図形を選択することにより、その図形で表されるコンポーネントのプロパティがプロパティリスト42内の入力フィールドに表示される。ブランクフィールドまたは変更可能なフィールドにデータを入力し、プロパティ値を入力する(ステップ32)。
【0046】
このようにして1つのコンポーネントに対する図形の生成、プロパティの入力ができ、その他のコンポーネントも同様に追加できる(ステップ33)。さらに、複数のコンポーネント間を関連付け、あるいはコンポーネントを他のコンポーネントの影響範囲内に移動してコンポーネント間の関連付けを行う(ステップ34)。
【0047】
コンポーネント間の関連を示す関連線を生成することにより関連付けを行える。たとえばコンポーネントがDNSである場合、転送元DNSと転送先DNSの関連付けは転送元DNSの転送先プロパティに転送先DNSを入力することにより行う。転送元DNSのプロパティ入力をアクティブにした状態で転送先DNSをマウスで選択操作することにより入力しても良い。この関連は転送元DNSから転送先DNSへの矢印線で表され、プロパティ入力により自動的に生成される。
【0048】
また、コンポーネントの基準点が他のコンポーネントの影響範囲内に入るようにコンポーネントを移動すれば、影響範囲内のコンポーネントがその影響範囲を持つコンポーネントに関連付けられる。たとえばDNSをハードウェア枠内に移動した場合、そのDNSはハードウェア枠で示されるサーバ等で稼動することを表し、DNSに適用できるハードウェアのプロパティがDNSのプロパティに引き継がれる。たとえば、前記した「ドメイン枠、サブネット枠、サーバー枠」を定義した定義ファイルにおいて、ドメイン枠を描いてドメイン・プロパティに「ibm.local.com」、ネットワーク・プロパティーに「192.168.0.0」を設定し、その中にサブネット枠を描いてサブネット・プロパティに「192.168.10.0」、マスク・プロパティーに「255.255.255.0」を設定し、またその中にサーバー枠を描いてホスト名・プロパティに「srv01」、IPアドレス・プロパティーに「192.168.10.10」を設定した場合、このサーバー枠の中に配置されるDNS等のツール(コンポーネント)には、自動的にサーバー枠やドメイン枠などの上位レベルのプロパティが付加される。
【0049】
必要なシステムが構成できるまで以上のようなステップを繰り返し、システム設計を行う。設計が完了した段階で動作環境構成図が作成されたことになる。なお、プロパティリスト42に表示される項目を基本的なシステム構成を達成するに必要十分な量に制限することができる。これにより前記設計作業においては、全てのプロパティリストを埋めるように設計を進めることができる。逆にいえばプロパティリストを埋めればそれ以上の情報を収集する必要はない。これにより高度な知識を持たないオペレータ(コンサルタント)にも設計作業に必要な情報が明確に把握でき、コンサルテーションを進めやすくできる。
【0050】
図8はある程度の作図(設計)作業を進めた後の表示画面の一例を示す画面図である。カンバス41にはいくつかのコンポーネントが表示されている。たとえば名称「内部DNS」のDNSコンポーネントがハードウェア「NetFinity-1」上で稼動するように配置され、ハードウェア「NetFinity-1」はサブネット「区画1」内に配置されている。サブネット「区画1」はドメイン「箱崎LAN」のサブネットである。 サブネット「区画1」とサブネット「区画2」はゲートウェイ「Gateway」で接続され、ゲートウェイ「Gateway」内には経路制御と転送DNSの各サービスが配置される。転送DNSは内部DNSの転送先であり、その関係は関連線43で示されている。プロパティリスト42の表示は内部DNSに関するプロパティを表示しており、転送先プロパティにはラベル「DNS002」(転送DNS)が入力されている。
【0051】
以上のように構成図が完成すると、プロパティ値を構成ファイル生成サーバに送信する(ステップ35)。必要に応じて構成図を印刷できる(ステップ36)。
【0052】
次に、構成ファイルの生成方法、構成ファイル生成システムについて詳細に説明する。図9は本実施の形態の構成ファイル生成システムの一例について概要を示したブロック図である。前記e-エディタのシステムと同様の制御装置51、入力装置52、補助入力装置53、表示装置54、通信制御装置55を有し、システムファイル56、コンポーネントデータベース57、テンプレートデータベース58および構成ファイルデータベース59を有する。
【0053】
制御装置51、入力装置52、補助入力装置53、表示装置54、通信制御装置55、システムファイル56、コンポーネントデータベース57については前記とほぼ同様であり説明を省略する。但し、ここではe-エディタではなく構成ファイル生成に用いられる。また、コンポーネントデータベース57には、新規に提供されるコンポーネントに関して登録される。このコンポーネントファイルは必要に応じてe-エディタに提供される。
【0054】
テンプレートデータベース58には後に説明するテンプレートが記録される。構成ファイルデータベース59にはシステム構築事例として完成した構成ファイルが記録される。
【0055】
図10は本実施の形態の構成ファイル生成システムの機能の一例を示したブロック図である。構成ファイル生成エンジン61にはe-エディタからの入力情報(プロパティデータ)が入力され、以下に説明するマクロ展開を実行する。
【0056】
プロダクトバージョン管理マネージャ62は、構築するシステムで使用するプロダクトおよびそのバージョンを入力情報から読み取り、マクロ展開に用いるテンプレートを選択する。生成される構成ファイルの文法や表記法は、それが導入されるプロダクト(たとえばUNIX、Window NT、Linax等のOSプロダクト)に依存するため、各プロダクトとそのバージョンに適合した構成ファイルの生成のためにはプロダクトバージョンごとにマクロ展開の対象となるテンプレートファイルを用意する必要がある。プロダクトバージョン管理マネージャ62は、最適のテンプレートを選択する機能を持つ。
【0057】
構成ファイルテンプレート63は、マクロ展開で置き換えるべき要素をシャドウプロパティの状態で記述した構成ファイルの原型ファイルである。プロダクトバージョン毎に各種のテンプレートを用意する必要がある。シャドウプロパティに対応するプロパティはe-エディタで入力できるプロパティである。入力可能なプロパティの数を多くするとマクロ展開で置き換えるべき要素が多くなって開発が困難になる。しかし、本発明者の知見によれば、変更要請が頻繁に生じるプロパティは限られており、多数のプロパティは稀に変更を要するに過ぎない。よって全てのプロパティに対応できる膨大なテンプレートを作成するよりも、むしろ、稀にしか変更の要請を生じないプロパティについてはマクロ化の対象とせず、変更要請が頻繁に生じるプロパティのみをマクロ化の対象としてテンプレートをコンパクトに作成する方が作業能率を高くすることができる。マクロ展開で変換処理できないプロパティについては人手によるマニュアル処理になるが、前記の通りその変更要請の頻度は低いのでマニュアルであっても作業能率を低下することはない。
【0058】
コンポーネント64はe-エディタにおけるコンポーネントと同様である。但し、構成ファイル生成サーバのコンポーネント64は、常に新しい技術を反映したコンポーネントを用意する。e-エディタへの配布対象となるマスタファイルとして機能する。コンポーネント64はマクロ展開の際に参照される。
【0059】
マクロ展開マネージャ65は入力情報およびプロダクトバージョン情報を用いてテンプレートをマクロ展開する。ファイル転送マネージャ66は完成した構成ファイルをe-エディタに転送し、また最新のコンポーネントを配布する機能を持つ。生成構成ファイルデータベース67は、完成した構成ファイルをシステム構築事例として蓄積する。
【0060】
図11は、構成ファイル生成方法の一例を示したフローチャートである。まず、構成ファイル生成サーバがe-エディタからプロパティデータを受信する(ステップ70)。その後、受信したプロパティデータ(e-エディタへの入力情報)を用いてプロダクトバージョン毎のテンプレート63をマクロ展開する(ステップ71)。
【0061】
前記の通りテンプレートは、入力されたプロパティで置換すべき部分をシャドウプロパティで記述している。シャドウプロパティは、たとえば「_#プロパティ名#_」のようにトークン「_# #_」を伴って記述される。マクロエンジンではこのトークンを判別し、プロパティ名で検索して、トークンで囲まれた部分を対応するプロパティ値に置き換える。たとえば、プロパティ名「HOSTNAME」がテンプレートで、
HOSTNAME = _# HOSTNAME #_
と記述されているとき、プロパティ名「HOSTNAME」に対応するプロパティ値が「srv01」であった場合、マクロ展開後の構成ファイルでは、
HOSTNAME = srv01
と置換される。
【0062】
なお、トークンがバッティングすることを防止するため、SNAのトランスペアレンシに代表される手法を用いることができる。たとえば、
HOSTNAME = _# HOSTNAME #_ /* _#_# MATSUO #_#_ */
のようにテンプレートを記述しておき、変換後には
HOSTNAME = srv01 /* _# MATSUO #_ */
のようにできる。
【0063】
DNSの逆引きゾーンにおけるIPアドレス・ネットワーク部のようにプロパティを加工する必要がある時にはマクロ関数を用意できる。マクロ関数は、「_#関数名(関数または変数名) #_」で記述できる。たとえば、
zone "_# REVERSE(IP_NETWORK) #_.in-addr.arpa"
のようにテンプレートが記述されており、DSNがカバーするネットワーク部分のアドレスが「192.168.10」であった場合、マクロ展開後の構成ファイルでは、
zone "10.168.192.in-addr.arpa"
のように展開される。
【0064】
複数のプロパティ値に展開するために繰り返しや条件による分岐を制御するためにはマクロ制御文を用意できる。マクロ制御文は、「_# 制御文(関数名(関数または変数名または条件) #_」で記述できる。たとえば、
Figure 0003745595
のようにテンプレートが記述されており、DNS転送先プロパティとして2つのプロパティsvr01(IPアドレスプロパティは192.168.10.1)とsvr02(IPアドレスプロパティは192.168.10.2)を有していた場合、マクロ展開後の構成ファイルでは、
Figure 0003745595
のように展開される。このようにトークンを用いてテンプレートを記述し、マクロエンジンを用いてマクロ展開できる。これにより、シャドウプロパティを対応するプロパティの値で置き換え構成ファイルを自動的に生成できる(ステップ72)。
【0065】
なお、マクロ展開の途中でプロパティデータの欠落や論理的な矛盾が発見される場合がある。この場合エラー処理(ステップ73)を行い、e-エディタにエラー情報を通知できる。エラーがない場合にはステップ74に進む。
【0066】
ステップ74では、構成ファイルのマニュアルによる修正を行う。ここではコンサルティング段階で取得したカスタマイズメモを参照する。前記の通り本構成ファイル生成システムでは全てのプロパティに対応しているわけではないので、自動生成できなかったプロパティについては人手による変更、入力を行う。
【0067】
次に、完成した構成ファイルをe-エディタのコンピュータシステムに送信し(ステップ75)、構成ファイルを構成ファイルデータベース59に記録して(ステップ76)構成ファイル生成サーバの処理を終了する。
【0068】
このように本実施の形態の構成ファイル生成サーバによれば、構成ファイルの大部分を自動的に生成できる。
【0069】
なお、図12に示すように、構成ファイル生成サーバに蓄積された作成済みの構成ファイル80は、e-エディタの作図エンジン81からの要求により配布できる。配布された構成ファイルはシステム構築事例としてオペレータ(システム設計者)の参考にできる。また、図12に示すように、構成ファイル生成サーバでは、最新の技術に対応したコンポーネント82をアップデートし、これを適宜e-エディタに配布できる。e-エディタでは配布されたコンポーネントを自己のシステムのコンポーネント83と置き換えあるいは差分を追加できる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0071】
たとえば、前記実施の形態では、構成ファイルの構築システムへの導入をインフラ構築サービスの提供者が行う例を説明したが、構成ファイル生成サーバから顧客に直接電子メール等で実行形式の構成ファイル導入プログラムを送付し、自動的に構成ファイルの導入を行ってもよい。
【0072】
また、e-エディタでは前記した図形の移動、拡大縮小だけでなく、グループ化等その他の図形編集機能を備えても良いことは勿論である。
【0073】
【発明の効果】
本願で開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果は、以下の通りである。すなわち、システム構築作業における作業効率を向上できる。構成図の作成負担を軽減できる。構成図の作成から構成ファイルの作成まで一貫して行えるシステムを提供できる。構成図および構成ファイルの修正および変更を容易に行える手段を提供できる。構成図および構成ファイルの作成段階におけるミスの混入を抑制できる。過去のシステム構築事例である完成した構成図を汎化する手段を提供できる。過去の構築事例を有効に活用できる。必要最低限の知識で高度なシステム構築を可能にできる。新たなサービス等の技術に即応できる手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるシステム構築方法の一例を概念的に示したブロック図ある。
【図2】本実施の形態のシステム構築方法の手順の一例を示したフローチャートである。
【図3】システム構築方法の他の例を概念的に示したブロック図ある。
【図4】システム構築方法のさらに他の例を概念的に示したブロック図ある。
【図5】本発明の一実施の形態であるe−エディタを実現するシステムの一例の概要を示したブロック図である。
【図6】 e-エディタによる作図方法の一例を示したフローチャートである。
【図7】 e-エディタの起動後の表示画面の一例を示した図である。
【図8】 e-エディタの表示画面の一例を示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態である構成ファイル生成システムの一例について概要を示したブロック図である。
【図10】本発明の一実施の形態である構成ファイル生成システムの機能の一例を示したブロック図である。
【図11】本発明の一実施の形態である構成ファイル生成方法の一例を示したフローチャートである。
【図12】本発明のシステム構築方法の他の例を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…顧客、2…インフラ構築サービス、3…構成ファイル生成サービス、21…制御装置、22…入力装置、23…補助入力装置、24…表示装置、25…通信制御装置、26…システムファイル、27…コンポーネントデータベース、28…デフォルトデータベース、40…ツールボックス、41…カンバス、42…プロパティリスト、43…関連線、51…制御装置、52…入力装置、53…補助入力装置、54…表示装置、55…通信制御装置、56…システムファイル、57…コンポーネントデータベース、58…テンプレートデータベース、59…構成ファイルデータベース、61…構成ファイル生成エンジン、62…プロダクトバージョン管理マネージャ、63…テンプレート(構成ファイルテンプレート)、64…コンポーネント、65…マクロ展開マネージャ、66…ファイル転送マネージャ、67…生成構成ファイルデータベース、80…構成ファイル、81…作図エンジン、82…コンポーネント、83…コンポーネント。

Claims (12)

  1. ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムの構築方法であって、
    ユーザのアイコン選択またはコマンド操作に応答して、システム構成エディタが、アイコンまたはコマンドに対応する第1コンポーネントの第1図形を、表示装置の作図画面に表示する段階と、
    前記第1図形を他の第2コンポーネントの第2図形に包含させもしくは重畳させ、または、前記第1図形と第2図形との関連を示す関連線を発生させるユーザの操作に応答して、前記システム構成エディタが、前記第2コンポーネントの第2プロパティまたは前記第2プロパティの上位プロパティを、前記第1コンポーネントの第1プロパティの対応部に代入する段階と、
    前記システム構成エディタが、各コンポーネントのプロパティ属性データとして記録装置に記録する段階と、
    構成ファイル生成システムが、前記属性データを受け取り、テンプレートデータベースから構成ファイルテンプレートを読み出す段階と、
    前記構成ファイル生成システムが、前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換することにより構成ファイルを生成する段階と、
    を含むネットワークシステム構築方法。
  2. 前記システム構成エディタが、前記ユーザのアイコン選択またはコマンド操作に応答して、デフォルトデータベースから、コンポーネントの影響領域および基準点を含むデフォルトデータを読み出す段階と、
    前記システム構成エディタが、前記第1プロパティに前記デフォルトデータを代入する段階と、
    をさらに含む、請求項1記載のネットワークシステム構築方法。
  3. 前記構成ファイル生成システムが前記構成ファイルテンプレートを読み出す段階において、
    各コンポーネントのプロダクトバージョンに適合した構成ファイルテンプレートが読み出される請求項1記載のシステム構築方法。
  4. ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムを構築するシステムであって、
    ユーザのアイコン選択またはコマンド操作に応答して、アイコンまたはコマンドに対応する第1コンポーネントの第1図形をその表示装置の作図画面に表示する手段、
    前記第1図形を他の第2コンポーネントの第2図形に包含させもしくは重畳させ、または、前記第1図形と第2図形との関連を示す関連線を発生させるユーザの操作に応答して、前記第2コンポーネントの第2プロパティまたは前記第2プロパティの上位プロパティを前記第1コンポーネントの第1プロパティの対応部に代入する手段、および、
    各コンポーネントのプロパティを属性データとして記録装置に記録する手段、を有するシステム構成エディタと、
    前記属性データを受け取り、テンプレートデータベースから構成ファイルテンプレートを読み出す手段、および、
    前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換する手段、を有する構成ファイル生成システムと、
    を含むネットワーク構築システム。
  5. 前記システム構成エディタには、前記ユーザのアイコン選択またはコマンド操作に応答して、デフォルトデータベースから、コンポーネントの影響領域および基準点を含むデフォルトデータを読み出す手段と、
    前記第1プロパティに前記デフォルトデータを代入する手段と、
    をさらに有する請求項記載のネットワークシステム構築システム。
  6. 前記構成ファイル生成システムにおける前記構成ファイルテンプレートの読み出しでは、各コンポーネントのプロダクトバージョンに適合した構成ファイルテンプレートが読み出される請求項記載のネットワークシステム構築システム。
  7. ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムにおける、前記ネットワークシステムを構成することとなる各コンポーネントおよびその属性データを規定する構成ファイルを生成する方法であって、
    前記ネットワークシステムを構成するコンポーネントの属性データを受け取る段階と、
    テンプレートデータベースから、構成ファイルテンプレートを読み出す段階と、
    前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換することにより構成ファイルを生成する段階と、
    を含む構成ファイルの生成方法。
  8. 前記構成ファイルテンプレートを読み出す段階において、
    各コンポーネントのプロダクトバージョンに適合した構成ファイルテンプレートが読み出される請求項記載の構成ファイルの生成方法。
  9. ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムにおける、前記ネットワークシステムを構成することとなる各コンポーネントおよびその属性データを規定する構成ファイルを生成するシステムであって、
    前記ネットワークシステムを構成するコンポーネントの属性データを受け取る手段と、
    テンプレートデータベースから、構成ファイルテンプレートを読み出す手段と、
    前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換することにより構成ファイルを生成する手段と、
    を含む構成ファイルの生成システム。
  10. 前記構成ファイルテンプレートを読み出す手段における前記構成ファイルテンプレートの読み出しでは、各コンポーネントのプロダクトバージョンに適合した構成ファイルテンプレートが読み出される請求項記載の構成ファイルの生成システム。
  11. コンピュータに、ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムの構成ファイルを生成させるためのプログラムが記録されたコンピュータ可読な記録媒体であって、
    前記ネットワークシステムを構成するコンポーネントの属性データを受け取る機能、
    テンプレートデータベースから、構成ファイルテンプレートを読み出す機能、
    前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換する機能、
    をコンピュータに実現させるプログラムが記録され記録媒体。
  12. ネットワークシステムに含まれるハードウェアおよびサービスを表現したコンポーネントを要素とするネットワークシステムの構築に用いるプログラムが記録されたコンピュータ可読な記録媒体であって、
    ユーザのアイコン選択またはコマンド操作に応答して、アイコンまたはコマンドに対応する第1コンポーネントの第1図形をその表示装置の作図画面に表示する機能、
    前記第1図形を他の第2コンポーネントの第2図形に包含させもしくは重畳させ、または、前記第1図形と第2図形との関連を示す関連線を発生させるユーザの操作に応答して、前記第2コンポーネントの第2プロパティまたは前記第2プロパティの上位プロパティを前記第1コンポーネントの第1プロパティの対応部に代入する機能、
    各コンポーネントのプロパティを属性データとして記録装置に記録する機能、
    前記属性データを受け取り、テンプレートデータベースから構成ファイルテンプレートを読み出す機能、および、
    前記構成ファイルテンプレートに含まれるマクロ関数またはマクロ制御文に従って、前記マクロ関数またはマクロ制御文のトークン部分を前記属性データ含まれるプロパティの対応部分に置換する機能、
    をコンピュータに実現させるプログラムが記録され記録媒体。
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