JP3745083B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に関するものであり、特に、高い感度を有し、保存条件の変動による感度変化が小さい熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮明さを有する黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一方、近年急激に進歩している半導体レーザーの技術は医療用画像出力装置の小型化を可能にしてきた。当然、半導体レーザーを光源として利用できる感赤外線性光熱ハロゲン化銀写真材料の技術も開示され、分光増感技術については特公平3-10391号、特公平6-52387号、特開平5-341432号、特開平6-194781号、特開平6-301141号等に開示されており、さらにハレーション防止技術については特開平7-13295号、米国特許5,380,635号に開示されている。赤外線露光を前提とした感光材料では増感色素、ハレーション防止染料の可視吸収を大幅に少なくすることができ、実質的に色のない感光材料を容易に作ることができる。
【0004】
このような熱現像技術と赤外露光の技術を組み合わせることで全く液体処理の存在しない感光材料が作られるようになった。
【0005】
しかし、赤外線を吸収し、分光増感する色素は一般的にHOMOが高いため強い還元能を有し、感光材料中の銀イオンを還元し、感光材料のカブリを悪化させる傾向にある。特に、高温、高湿といった条件での保存や、長期の保存では著しい性能変化が伴う場合がある。また、保存性の劣化を防ぐためにHOMOの低い色素を用いると、相対的にLUMOも低くなり分光増感効率が低下し、感度が低くなる。このような感度、保存性、性能変動に対する問題は、湿式写真感光材料だけでなく、熱現像感光材料においては更に顕著となる。
【0006】
このような赤外増感の問題を改良するための方法として強色増感(超増感)の技術が開示されてきた。熱現像系での赤外用強色増感剤としては特開平2-4241号記載のアミノポリカルボン酸誘導体、特開平4-182639号、同5-341432号記載の複素芳香族メルカプト化合物または複素芳香族ジスルフィド化合物が開示されているが、アミノポリカルボン酸誘導体では強色増感効果が弱く低感度であり、また複素芳香族メルカプト化合物や複素芳香族ジスルフィド化合物では、高温、高湿条件下で保存すると感度が変動しやすいといった問題があることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、赤色〜赤外域、とりわけ実用的に好ましい赤外域に高い感度を有し、保存による感度変化が小さい熱現像感光材料を提供することである。さらには超硬調な熱現像感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題は下記手段によって達成された。
(1) 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤および下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を有することを特徴とする熱現像感光材料。
【0009】
【化2】
Figure 0003745083
【0010】
〔一般式(I)中、L1およびL2は各々脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基を表す。W1およびW2は各々酸素原子、硫黄原子および窒素原子のうちの一つ以上の原子を含む2価の連結基を表す。Z1は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。Z2は芳香族基またはヘテロ環基を表す。 m1は0、1、2または3を表す。m2は0、1、2または3を表す。〕
(2)更に少なくとも一種の超硬調化剤を有する上記(1)の熱現像感光材料。
(3)750〜1400nmの波長域に分光増感されたハロゲン化銀を有する上記(1)または(2)の熱現像感光材料。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、有機銀塩および還元剤を有する熱現像感光材料に対して、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を使用することによって、赤色〜赤外域、とりわけ実用的に好ましい赤外域での強色増感効果が十分に得られ、且つ保存による感度の変化が抑制されるものである。また、少なくとも一種の超硬調化剤を含有させた感材では超硬調な画像が得られる。
【0012】
まず、本発明の一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
【0013】
1およびL2で表される脂肪族炭化水素からなる2価の連結基は、直鎖、分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、 更に好ましくは2〜12)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を有していてもよい。
【0014】
またL1とL2は互いに結合して環を形成しても良く、例えば4〜7員の環等が挙げられる。具体的には以下に示す環が挙げられる。
【0015】
【化3】
Figure 0003745083
【0016】
なお、上記のうち、(1)、(3)、(6)、(8)は一般式(I)中のZ1(W1m1−(但しZ1=H、m1=0)も含めて表した。
【0017】
1およびL2で表される脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基として好ましくはアルキレン基であり、より好ましくは、鎖状アルキレン基である。
【0018】
1およびL2は置換基を有していても良く、置換基としては、例えばアルキル基(シクロアルキル基、アラルキル基を含む。好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、 n−ブチル、tert−ブチル、 n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、 n−ウンデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばエチルイミノ、プロピルイミノ、フェニルイミノなどが挙げられる。)アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノなどが挙げられる。)などが挙げられる。上記の基のうちヒドロキシ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基などのような塩形成可能な基は塩であってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
【0019】
置換基として好ましくは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アセチル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモイル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アセチル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモイル基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基でありであり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アセチル基、アシルアミノ基、イミノ基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基である。
【0020】
1およびW2で表される、酸素原子、硫黄原子および窒素原子のうちの一つ以上の原子を有する2価の連結基としては、例えば以下のものが挙げられる。また、これらの組合せであってもよく、このような2価の連結基の一部はヘテロ環を形成していてもよいし、さらにこれらはZ1またはZ2と結合してヘテロ環を形成してもよい。
【0021】
【化4】
Figure 0003745083
【0022】
ここで、Raは水素原子または一価の置換基を表し、一価の置換基としてはL1、L2のところの置換基が挙げられるが、水素原子、アルキル基、アリール基等がRaとして好ましい。
【0023】
1は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、Z2は芳香族基、ヘテロ環基を表す。
【0024】
1で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0025】
1で表される脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を有していてもよい。
【0026】
1で表される脂肪族炭化水素基として好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、鎖状アルキル基である。
【0027】
1およびZ2で表される芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特に好ましくはフェニルである。
【0028】
1およびZ2で表されるヘテロ環基は、N、OおよびSのうちの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0029】
このようなヘテロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環、およびそのベンゾ縮合環であり、より好ましくは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環、およびそのベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環、およびそのベンゾ縮合環である。
【0030】
ヘテロ環基の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール等から誘導される一価の基が挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、アクリジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾールから誘導される一価の基であり、より好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾールからなる一価の基であり、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、キノリン、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、カルバゾールから誘導される一価の基である。
【0031】
1で表される脂肪族炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基、およびZ2で表される芳香族基、ヘテロ環基は置換基を有していても良く、置換基としては、例えばL1およびL2の置換基と同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。これらの置換基は更に置換されていてもよく、また置換基が2つ以上ある場合には各々同じでも異なっても良い。
【0032】
1は好ましくは芳香族基またはヘテロ環基であり、より好ましくはヘテロ環基である。Z2は好ましくはヘテロ環基である。
【0033】
m1は0〜3の整数であり、m2は0〜3の整数である。
【0034】
m1が2以上の時、W1は同じでも異なってもよい。 m2が2以上の時、W2は同じでも異なってもよい。
【0035】
一般式(I)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(I−a)で表される化合物である。
【0036】
【化5】
Figure 0003745083
【0037】
一般式(I−a)中、L2、Z2、m2は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0038】
一般式(I−a)で表される化合物のうち、より好ましくは一般式(I−b)で表される化合物である。
【0039】
【化6】
Figure 0003745083
【0040】
一般式(I−b)中、Qは窒素原子と共に5ないし7員のヘテロ環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。また、このヘテロ環は縮合ヘテロ環でもよい。 kは1、2、3または4を表す。
【0041】
一般式(I−b)中のQと窒素原子から形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く、置換基としては、 例えば、一般式(I)のL1およびL2の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0042】
一般式(I−b)で表される化合物のうち、さらに好ましくは一般式(I−c)で表される化合物である。
【0043】
【化7】
Figure 0003745083
【0044】
一般式(I−c)中、Z3は一般式(I)におけるZ1と同義である。Z4はL1、L2のところの置換基と同義のものである。qは0〜4の整数を表す。rは1〜4の整数を表す。
【0045】
一般式(I−c)中のZ3およびZ4の好ましい例は、Z1が脂肪族炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基それぞれの場合に挙げた好ましい例あるいはその置換基の例と同様である。 Z3としては、脂肪族炭化水素基、芳香族基が好ましい。qは0が好ましく、qが1以上のときZ4としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基等が挙げられる。
【0046】
一般式(I−c)中のZ3は置換基を有しても良く、置換基としては、 例えば、一般式(I)のL1およびL2の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0047】
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
【化8】
Figure 0003745083
【0049】
【化9】
Figure 0003745083
【0050】
【化10】
Figure 0003745083
【0051】
【化11】
Figure 0003745083
【0052】
【化12】
Figure 0003745083
【0053】
【化13】
Figure 0003745083
【0054】
【化14】
Figure 0003745083
【0055】
【化15】
Figure 0003745083
【0056】
【化16】
Figure 0003745083
【0057】
【化17】
Figure 0003745083
【0058】
【化18】
Figure 0003745083
【0059】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、市販のものを用いても良いし、あるいは既知の方法で合成しても良い。例えば、日本化学会編、新実験化学講座14巻(III)1735〜1741頁(1978)等に記載の方法で合成することができる。
【0060】
本発明の一般式(I)の化合物は、水或いは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
【0061】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0062】
本発明の一般式(I)の化合物は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の層であるハロゲン化銀乳剤層あるいは他のどの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。本発明の一般式(I)の化合物の添加量は、銀1モル当たり0.2ミリモル〜500ミリモルの範囲であり、好ましくは、0.3ミリモル〜100ミリモル/モルAgであり、更に好ましくは、0.5ミリモル〜30ミリモル/モルAgである。これらの化合物は1種のみを用いても2種異常を併用してもよい。
【0063】
本発明は、超硬調画像形成のため超硬調化剤を用いることができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同5,496,695号、同6,512,411号、同5,536,622号、日本特許特願平7-228627号、同8-215822号、同8-130842号、同8-148113号、同8-156378号、同8-148111号、同8-148116号に記載のヒドラジン誘導体、あるいは、日本特許特願平8-83566号に記載の四級窒素原子を有する化合物や米国特許第5,545,515号に記載のアクリロニトリル化合物を用いることができる。化合物の具体例としては、前記米国特許第5,464,738号の化合物1〜10、同5,496,695号のH-1〜H-28、特願平8-215822号のI-1〜I-86、同8-130842号のH-1〜H-62、同8-148113号の1-1〜1-21、同8-148111号の1〜50、同8-148116号の1〜40、同8-83566号のP-1〜P-26、およびT-1〜T-18、米国特許第5,545,515号のCN-1〜CN-13などが挙げられる。
【0064】
また、本発明は超硬調画像形成のために、前記の超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号に記載のアミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,507号に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-1〜HA-11、同5,545,507号に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN-1〜CN-13、同5,558,983号に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、日本特許特願平8-132836号に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A-42、B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いることができる。
【0065】
これらの超硬調化剤、および硬調化促進剤の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載されているように行うことができる。
【0066】
本発明に用いられる超硬調化剤としては、本発明の目的を達成するための性能を有していれば上記のいずれの超硬調化剤を用いてもよいが、ヒドラジン誘導体が好ましく用いられる。
【0067】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、本発明の目的を達成するための性能を有していればいかなるものであってもよいが、下記一般式(H)で示すものが好ましく用いられる。
【0068】
【化19】
Figure 0003745083
【0069】
式中、R2は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R1は水素原子またはブロック基を表し、G1は-CO-,-COCO-,-C(=S)-,-SO2-,-SO-,-PO(R3)-(R3はR1に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R1と異なっていてもよい。)またはイミノメチレン基を表す。A1、A2はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。n1は0または1であり、n1が0の時、R1は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。
【0070】
一般式(H)において、R2で表わされる脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
【0071】
一般式(H)において、R2で表わされる芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環から誘導されるアリール基、ナフチル基が挙げられる。R2で表わされるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、これらの基中のヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環、モルホリノ環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
【0072】
2として好ましいものはアリール基またはアルキル基である。
【0073】
2は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、Nー置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
【0074】
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0075】
2が有していてもよい置換基として好ましいものは、R2が芳香族基またはヘテロ環基を表す場合、アルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0076】
またR2が脂肪族基を表す場合は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が好ましい。
【0077】
一般式(H)において、R1は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、脂肪族基(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール基)、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0078】
1で表わされるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、4ーエチルフェノキシメチル基、フェニルチオメチル基、t-ブチル基、ジシアノメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1〜10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1〜10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、パーフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、 2−カルバモイルフェニル基、4,5−ジシアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、2,6ージクロロー4ーシアノフェニル基、2−クロロー5ーオクチルスルファモイルフェニル基などが挙げられる。
【0079】
ヘテロ環基として好ましくは、窒素、酸素、および硫黄原子の中の少なくとも1つの原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。
【0080】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2ーヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては置換もしくは無置換のフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N-ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0081】
1で表される基は置換されていても良く、その置換基の例としては、R2の置換基として例示したものがあてはまる。
【0082】
一般式(H)においてR1はG1−R1の部分を残余分子から分裂させ、−G1−R1部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号などに記載のものが挙げられる。
【0083】
一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、特開昭61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。そのようなプレカーサーとしては、特開平2−285344号に記載された基が挙げられる。
【0084】
一般式(H)のR1またはR2はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0085】
一般式(H)のR1またはR2は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(H)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64-86134号、特開平4-16938号、特開平5-197091号、WO95−32452号、WO95−32453号、特願平7-351132号、特願平7-351269号、特願平7-351168号、特願平7-351287号、特願平7-351279号等に記載された化合物が挙げられる。
【0086】
一般式(H)のR1またはR2は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号、特開平5−333466号、特開平6−19032号、特開平6−19031号、特開平5−45761号、米国特許4994365号、米国特許4988604号、特開平3−259240号、特開平7−5610号、特開平7−244348号、独特許4006032号等に記載の化合物が挙げられる。
【0087】
一般式(H)においてA1、A2は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。
【0088】
1、A2としては水素原子が最も好ましい。
【0089】
次に本発明において、特に好ましいヒドラジン誘導体について述べる。
【0090】
2はフェニル基または炭素数1〜3の置換アルキル基が好ましい。
【0091】
2がフェニル基を表す時、その好ましい置換基としては、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基、チオウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(またはその塩)、アルコキシカルボニル基、またはクロル原子が挙げられる。
【0092】
2が置換フェニル基を表す時、その置換基に、直接または連結基を介して、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、ニトロ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G1−R1で表される基)の少なくとも1つが置換されていることがより好ましい。
【0093】
2が炭素数1〜3の置換アルキル基を表す時、R2はより好ましくは置換メチル基であり、さらには、二置換メチル基もしくは三置換メチル基が好ましく、その置換基としては具体的に、メチル基、フェニル基、シアノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、クロル原子、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、アシルアミノ基、またはスルホンアミド基が好ましく、特に置換もしくは無置換のフェニル基が好ましい。
【0094】
2が置換メチル基を表す時、より好ましい具体例としては、t-ブチル基、ジシアノメチル基、ジシアノフェニルメチル基、トリフェニルメチル基(トリチル基)、ジフェニルメチル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基、シクロプロピルジフェニルメチル基などが挙げられるが、中でもトリチル基が最も好ましい。
【0095】
一般式(H)においてR2は、最も好ましくは置換フェニル基である。
【0096】
一般式(H)においてn1は1または0を表すが、n1が0の時、R1は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。n1が0の時、R1は特に好ましくはフェニル基または炭素数1〜3の置換アルキル基であり、これは先に説明したR2の好ましい範囲と同じである。
【0097】
n1は好ましくは1である。
【0098】
1で表わされる基のうち好ましいものは、R2がフェニル基を表し、かつG1 が−CO−の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。ここでR1がアルキル基を表す時、その置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシ基が特に好ましい。
【0099】
2が置換メチル基を表し、かつG1が−CO−の場合には、R1は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基)であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基である。 G1が−COCO−の場合には、R2に関わらず、R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
【0100】
またG1が−SO2−の場合には、R2に関わらず、R1はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0101】
一般式(H)においてG1は好ましくは−CO−または−COCO−であり、特に好ましくは−CO−である。
【0102】
次に一般式(H)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0103】
【表1】
Figure 0003745083
【0104】
【表2】
Figure 0003745083
【0105】
【表3】
Figure 0003745083
【0106】
【表4】
Figure 0003745083
【0107】
【表5】
Figure 0003745083
【0108】
【表6】
Figure 0003745083
【0109】
【表7】
Figure 0003745083
【0110】
【表8】
Figure 0003745083
【0111】
【表9】
Figure 0003745083
【0112】
【表10】
Figure 0003745083
【0113】
【表11】
Figure 0003745083
【0114】
【表12】
Figure 0003745083
【0115】
【表13】
Figure 0003745083
【0116】
【表14】
Figure 0003745083
【0117】
【表15】
Figure 0003745083
【0118】
【表16】
Figure 0003745083
【0119】
【表17】
Figure 0003745083
【0120】
【表18】
Figure 0003745083
【0121】
【表19】
Figure 0003745083
【0122】
【表20】
Figure 0003745083
【0123】
一般式(H)で表わされる化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。
【0124】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。(場合によっては組み合わせて用いることもできる。)本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
【0125】
特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特願平7ー191007号に記載の,ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物N−1〜N−30。特願平7ー191007号に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物D−1〜D−55。
【0126】
さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特開昭62ー86354号(6頁〜7頁)の化合物D−2およびD−39。
【0127】
本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
【0128】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、マントンゴーリング、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0129】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の層であるハロゲン化銀乳剤層あるいは他のどの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0130】
本発明の造核剤添加量は、ハロゲン化銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5〜5×10-3モルが最も好ましい。
【0131】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0132】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0133】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルトまたは鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8モルから1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有されてもよいし、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0134】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0135】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7-128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0136】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0137】
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜30重量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0138】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3-メルカプト-4-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、2-メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2-メルカプト-5-アミノチアジアゾールの銀塩、2-(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5-カルボキシル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2-メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チアゾールの銀塩などの1,2,4-メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3-(3-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物を使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5-クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載のような1,2,4-トリアゾールまたは1-H-テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4,761,361号および同第4,775,613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物を使用することもできる。
【0139】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感材でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像感光材料においても成立するため、即ち熱現像感光材料の画像形成部である有機銀塩粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機銀塩のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0140】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0141】
赤色光への分光増感の例としては、He-Neレーザー光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-35の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物、 LED光源に対しては特公昭55-39818号に記載の色素1から20、特開昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物などが有利に選択される。
【0142】
本発明では、750〜1400nmの範囲のいずれかの波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感することが好ましい。具体的には、感光性ハロゲン化銀を、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3,761,279号、同第3,719,495号、同第3,877,943号、英国特許第1,466,201号、同第1,469,117号、同第1,422,057号、特公平3-10391号、特公平6-52387号、特開平5-341432号、特開平6-194781号、特開平6-301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。特に好ましい色素の構造としてはチオエーテル結合を有するシアニン色素であり、その例としては特開昭62-58239、特開平3-138638号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号に記載されたシアニン色素が挙げられる。
【0143】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はResearch Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500、同43-4933、特開昭59-19032、同59-192242等に記載されている。
【0144】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0145】
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、同44-27555号、同57-22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0146】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58-184142号、同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0147】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の1〜10重量%として存在すべきである。多層構成において、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい傾向がある。
【0148】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど; 2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール) 、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジオンなどがある。
【0149】
本発明において特に好ましい還元剤としては、下記一般式(R−I)、一般式(R−II)、一般式(R−III)および一般式(R−IV)で表わされる化合物が挙げられる。
【0150】
【化20】
Figure 0003745083
【0151】
なお、一般式(R−III)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0152】
【化21】
Figure 0003745083
【0153】
また、一般式(RIV)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0154】
【化22】
Figure 0003745083
【0155】
式中、L1,L2は、CH−R6,CH−R6’で表わされる基または硫黄原子である。nは自然数を表わす。
【0156】
i(R1〜R10、R1’〜R5’、R6’、R11〜R13、R11’〜R13’、R21〜R26、R21’〜R24’をまとめていう)は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基または−O−Aで表わされる置換基である。但し、R1〜R5の少なくとも1つおよびR1’〜R5’の少なくとも1つおよびR7〜R10の少なくとも1つは、−O−Aで表わされる基である。また、Ri同士で環を形成しても良い。A,A’は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アシル基(炭素数1〜30)、アリール基、燐酸基、スルホニル基を表わす。Ri、A,A’は置換されていてもよく、代表的な置換基としては、例えば、アルキル基(活性メチレン基を含む)、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環を含む基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環(例えばピリジニオ基)を含む基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルイキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシ基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基を含む基、4級のアンモニウム基を含む基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルまたはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、燐酸アミド基、燐酸エステル構造を含む基、アシルウレア構造を持つ基、セレン原子またはテルル原子を含む基、3級スルホニウム構造または4級スルホニウム構造を持つ基などが挙げられる。Ri,A、A’の置換基は更に置換基されていても良く、好ましい例としてはRiの置換基として例示したものが挙げられる。更にその置換基、その置換基の置換基、その置換基の置換基の置換基...というように多重に置換されていても良く、好ましい例はやはりRi、A、A’の置換基として例示したものがあてはまる。
【0157】
以下に、一般式(R−I)、一般式(R−II)、一般式(R−III)および一般式(R−IV)で表わされる化合物の具体例を示す。但し、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0158】
【表21】
Figure 0003745083
【0159】
【表22】
Figure 0003745083
【0160】
【化23】
Figure 0003745083
【0161】
【表23】
Figure 0003745083
【0162】
【表24】
Figure 0003745083
【0163】
【表25】
Figure 0003745083
【0164】
【表26】
Figure 0003745083
【0165】
【表27】
Figure 0003745083
【0166】
本発明で使用される還元剤の使用量は、好ましくは、銀1モル当たり、1×10-3〜10モルであり、より好ましくは、1×10-2〜1.5モルである。
【0167】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0168】
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM 、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、複素芳香環基であり、これらの基中の複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2-メルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0169】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり1×10-6〜1モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり1×10-3〜0.3モルの量である。
【0170】
画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になることがある。例えば、色調剤材料は全銀保持成分の0.1〜10重量%の量で存在してよい。色調剤は、米国特許第3,080,254号、同第3,847,612号および同4,123,282号に示されるように、写真技術において周知の材料である。
【0171】
色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがある。
【0172】
本発明における乳剤層のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン-スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0173】
また、本発明の画像形成層(すなわち乳剤層)のうち少なくとも1層は以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50wt%以上用いた画像形成層であっても良い(以降この画像形成層を「本発明の画像形成層」、バインダーに用いるポリマーラテックスを「本発明のポリマーラテックス」と表す)。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なお本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0174】
本発明のポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0175】
本発明のポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
本発明のポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
【0176】
本発明に用いられるポリマーラテックスのポリマーは25℃60%RHでの平衡含水率が2wt%以下、より好ましくは1wt%以下のものであることが好ましい。平衡含水率の下限には特に制限はないが0.01wt% が好ましく、さらには好ましくは0.03wt% である。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。
【0177】
本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。また、このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。
【0178】
このような場合の画像形成層には全バインダーの50wt%以上として上記ポリマーラテックスを用いればよいが、70wt%以上として上記ポリマーラテックスであることが好ましい。
【0179】
本発明の画像形成層には必要に応じて全バインダーの50wt%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30wt%以下が好ましい。
【0180】
本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することができる。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の30wt%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字はwt%を表す。)
【0181】
また、米国特許第5,496,695号に記載の方法を使用することもできる。
【0182】
本発明の画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0183】
本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0184】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,274,782号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号に記載のように染料を媒染することができる。
【0185】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2,992,101号および同第2,701,245号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が1000秒以上10000秒以下が好ましく、特に2000秒以上10000秒以下が好ましい。
【0186】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号および同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号に記載のリン化合物などがある。
【0187】
本発明における感光性層(乳剤層)には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,960,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0188】
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0189】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62-170950号、米国特許5,382,504号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号、特開昭63-188135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,885,965号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0190】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、バライタ紙、あるいは部分的にアセチル化された、α-オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα-オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0191】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0192】
本発明における熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号および同第4,042,394号に例示されている。
【0193】
本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0194】
本発明における熱現像感光材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが好ましい。
【0195】
本発明における塩化ビニリデン共重合体としては、50〜99.9重量%、好ましくは70〜99重量%の塩化ビニリデンを含有する共重合体で、例えば、特開昭51-135526号記載の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル/側鎖にアルコールを有するビニリデン単量体よりなる共重合体、米国特許2,852,378号記載の塩化ビニリデン/アルキルアクリレート/アクリル酸よりなる共重合体、米国特許2,698,235号記載の塩化ビニリデン/アクリロニトリル/イタコン酸よりなる共重合体、米国特許3,788,856号記載の塩化ビニリデン/アルキルアクリレート/イタコン酸よりなる共重合体等が挙げられる。以下に具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお、カッコ内数字は全て重量比を表す。
【0196】
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート(83:12:5)の共重合体
塩化ビニリデン:ヒドロキシエチルメタクリレート:ヒドロキシプロピルアクリレート(82:10:8)の共重合体
塩化ビニリデン:ヒドロキシジエチルメタクリレート(92:8)の共重合体
塩化ビニリデン:ブチルアクリレート:アクリル酸(92:4:2)の共重合体
塩化ビニリデン:ブチルアクリレート:イタコン酸(75:20:5)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:イタコン酸(90:8:2)の共重合体
塩化ビニリデン:イタコン酸モノエチルエステル(96:4)の共重合体
塩化ビニリデン:アクリロニトリル:アクリル酸(96:3.5:1.5)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(92:5:3)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート(84:9:7)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:N-エタノールアクリルアミド(85:10:5)の共重合体
【0197】
本発明における塩化ビニリデン共重合体を塗設する方法としては、これらポリマーを適当な有機溶剤に溶かした液、または水に分散した液を一般に良く知られた、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストル−ジョンコート法などにより塗布することができる。また、溶融したポリマーを移動しつつある被塗布物に流下させ、冷却と同時に圧力により張り合わせるいわゆる押し出しコーティング法やあらかじめフィルム状にしたポリマーを糊剤および熱で張り合わせるラミネート法などを用いてもよい。
【0198】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層(乳剤層)を有し、他方の側にバッキング層(バック層)を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0199】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0200】
本発明においてバッキング層のマット度としてはベック平滑度が250秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180秒以下50秒以上である。
【0201】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0202】
本発明においてバッキング層の好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0203】
本発明においてバッキング層は、所望の波長範囲での最大吸収が0.3以上2以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5以上2以下の光学濃度を有するハレーション防止層であることが好ましい。
【0204】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、このような染料は所望の波長範囲で目的の吸収を有し、所望の波長範囲外での吸収が充分少なく、上記バッキング層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でも良い。例えば、特開平7-13295号、米国特許5,380,635号記載の化合物、特開平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0205】
米国特許第4,460,681号および同第4,374,921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0206】
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0207】
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で潜像形成されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
【0208】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の具体的な態様をさらに詳細に説明する。
【0209】
実施例1
(有機酸銀乳剤A の調製)
ベヘン酸840g、ステアリン酸95g を12リットルの水に添加し90℃に保ちながら、水酸化ナトリウム48g 、炭酸ナトリウム63g を1.5 リットルの水に溶解したものを添加した。30分攪拌した後50℃とし、N-ブロモスクシンイミド1%水溶液1.1 リットルを添加し、次いで硝酸銀17% 水溶液2.3 リットルを攪拌しながら徐々に添加した。さらに液温を35℃とし、攪拌しながら臭化カリウム2%水溶液1.5 リットルを2 分間かけて添加した後30分間攪拌し、N-ブロモスクシンイミド1%水溶液2.4 リットルを添加した。この水系混合物に攪拌しながら1.2 重量% ポリ酢酸ビニルの酢酸ブチル溶液3300g を加えた後10分間静置し2 層に分離させ水層を取り除き、さらに残されたゲルを水で2 回洗浄した。こうして得られたゲル状のベヘン酸/ステアリン酸銀および臭化銀の混合物をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000-K )の2.6%2-ブタノン溶液1800g で分散し、さらにポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2 )600g、イソプロピルアルコール300gと共に分散し有機酸銀塩乳剤(平均短径0.05μm 、平均長径1.2 μm 、変動係数25% の針状粒子)を得た。
【0210】
(乳剤層塗布液A の調製)
上記で得た有機酸銀乳剤に銀1 モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、増感色素A を40mg、増感色素B を8mg 、表28、29記載の本発明のジスルフィド化合物または比較の化合物を表28、29に記載の量、4-クロロベンゾフェノン-2- カルボン酸(C-1 )21.5g と2-ブタノン580g、ジメチルホルムアミド220gを攪拌しながら添加し3 時間放置した。ついで、4,6-ジトリクロロメチル-2- フェニルトリアジン(C-2 )4.5g、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5- トリメチルヘキサン(C-3 )160g、フタラジン(C-4 )15g 、テトラクロロフタル酸(C-5 )5g、表28、29に記載のヒドラジン誘導体を表28、29に記載の量、メガファックスF-176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g、2-ブタノン590g、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。
【0211】
(乳剤面保護層塗布液A の調製)
CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g 、4-メチルフタル酸(C-6 )5.7g、テトラクロロフタル酸無水物(C-7 )1.5g、2-トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール(C-8 )10g 、フタラゾン(C-9 )2g、メガファックスF-176P 0.3g 、シルデックスH31 (洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3 μm )2g、sumidur N3500 (住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)5gを2-ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0212】
(バック面を有した支持体の作成)
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2 )6g、シルデックスH121(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ12μm )0.2g、シルデックスH51 (洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ5 μm )0.2g 、0.1gのメガファックスF-176P、2-プロパノール64g に攪拌しながら添加し溶解および混合させた。さらに、420mg の染料A をメタノール10g とアセトン20g に溶かした混合溶液および3-イソシアナトメチル-3,5,5- トリメチルヘキシルイソシアネート0.8gを酢酸エチル6gに溶かした溶液を添加し塗布液を調製した。
【0213】
両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム上にバック面塗布液を780nm の光学濃度0.7 となるように塗布した。
【0214】
上記のように調製した支持体上に乳剤層塗布液を銀が2g/m2 となるように塗布した後、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ5 μm となるように塗布し、感光材料の塗布試料を得た。
【0215】
なお、上記における化合物の構造は以下に示すものである。表中の比較化合物も記す。
【0216】
【化24】
Figure 0003745083
【0217】
【化25】
Figure 0003745083
【0218】
【化26】
Figure 0003745083
【0219】
(写真性能の評価)
780nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10-4secのキセノンフラッシュ光で露光し、115℃で25秒間処理(現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dmax、感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光量の比の逆数)で評価した。また、特性曲線で濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾きを階調γとして示した。結果を表28、29に示す。
【0220】
(保存性の評価)
長期間の保存による写真性の変動を見積もるため、サンプルを50℃75%RHの条件下で3日間経時した時の感度変動を測定した。
【0221】
感度変化=(50℃75%3日径時サンプル)−感度(新品サンプル)
値がゼロに近いほど良好な性能である。結果を表28、29に示す。
【0222】
【表28】
Figure 0003745083
【0223】
【表29】
Figure 0003745083
【0224】
(結果)
本発明の化合物を用いることにより高感度で硬調な保存性に優れた熱現像感光材料が得られた。特にヒドラジンを用いた時に、本発明の化合物を用いると脚切れが極めて良くなる(階調が大きくなる)のがわかる。比較化合物では添加量を変えても、感度と階調が両立するところはない。
【0225】
実施例−2
(ハロゲン化銀粒子Cの調製)
水700mlにフタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを溶解して温度40℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。K3〔IrCl63-を8×10-6モル/リットルと臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分かけて添加した。その後pH5.9、pAg8.0に調整した。
【0226】
得られた粒子は、平均粒子サイズ0.07μm、投影面積直径の変動係数8%、(100)面積率86%の立方体粒子であった。
【0227】
上記のハロゲン化銀粒子Cを温度60℃に昇温して、銀1モル当たり8.5×10-5モルのチオ硫酸ナトリウム、1.1×10-5モルの2,3,4,5,6−ペンタフロロフェニルジフェニルスルフィンセレニド、2×10-6モルの下記テルル化合物1、3.3×10-6モルの塩化金酸、2.3×10-4モルのチオシアン酸を添加して、120分間熟成した。その後、温度を50℃にして8×10-4モルの下記増感色素Aを攪拌しながら添加し、更に、3.5×10-2モルの沃化カリウムを添加して30分間攪拌し、30℃に急冷してハロゲン化銀粒子の調製を完了した。
【0228】
【化27】
Figure 0003745083
【0229】
(有機酸銀微結晶分散物の調製)
ベヘン酸40g、ステアリン酸7.3g、蒸留水500mlを90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1N-NaOH水溶液187mlを15分かけて添加し、1N-硝酸水溶液61mlを添加して50℃に降温した。次に、1N-硝酸銀水溶液124mlを添加してそのまま30分間攪拌した。その後、吸引濾過で固形分を濾過し、濾水の伝導度が30μS/cmになるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウェットケーキとして取り扱い、乾燥固形分34.8g相当のウェットケーキに対して、ポリビニルアルコール12gおよび水150mlを添加し、良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ840gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4G-サンドグラインダーミル:アイメックス(株)社製)にて5時間分散し、体積加重平均1.5μmの有機酸銀微結晶分散物を得た。粒子サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSaizerXにて行った。
【0230】
(素材固体微粒子分散物の調製)
下記のテトラクロロフタル酸(C-5 )、4−メチルフタル酸(C-6 )、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(C-3 )、フタラジン(C-4 )、トリブロモメチルフェノルスルフォンベンゼン(C-10)について固体微粒子分散物を調製した。
【0231】
テトラクロロフタル酸に対して、ヒドロキシプロピルセルロース0.81gと水94.2mlとを添加して良く攪拌してスラリーとして10時間放置した。その後、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを100mlとスラリーとを一緒にベッセルに入れて有機酸銀微結晶分散物の調製に用いたものと同じ型の分散機で5時間分散してテトラクロロフタル酸の固体微結晶分散物を得た。固体微粒子の粒子サイズは70wt%が1.0μm以下であった。
【0232】
その他の素材については所望の平均粒径を得るために適宜分散剤の使用量および分散時間を変更して、固体微粒子分散物を得た。
なお、(C−5)等の構造式とともに後述の界面活性剤A、Bの構造式を以下に併記する。
【0233】
【化28】
Figure 0003745083
【0234】
(乳剤層塗布液の調製)
先に調製した有機酸銀微結晶分散物に対して下記の各組成物を添加して乳剤塗布液を調製した。
【0235】
有機酸銀微結晶分散物 1モル
ハロゲン化銀乳剤C 0.05モル
バインダー:
SBRラテックス(LACSTAR 3307B大日本インキ化学工業(株)製)430g
現像用素材:
テトラクロロフタル酸 5g
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5
−トリメチルヘキサン 98g
フタラジン 9.2g
トリブロモメチルフェニルスルホン 12g
4−メチルフタル酸 7g
ヒドラジン誘導体(表30に示す種類、添加量;モル/モルAg)
【0236】
なお、スチレン−ブタジエン系コポリマーのラテックスであるLACSTAR 3307Bの分散粒子の平均粒径は0.1〜0.15μm 程度であり、25℃60%RH条件下の平衡含水率は0.6wt% であった。
【0237】
(乳剤保護層塗布液の調製)
イナートゼラチンに対して、下記の各組成物を添加して乳剤保護層塗布液を調製した。
【0238】
イナートゼラチン 10g
界面活性剤A(上記) 0.26g
界面活性剤B(上記) 0.09g
シリカ微粒子(平均粒径2.5 μm) 0.9g
1,2-(ビスビニルスルホンアセトアミド)エタン 0.3g
水 64g
【0239】
(塗布試料の調製)
上記のように調製した乳剤層塗布液をポリエチレンテレフタレート支持体上に銀が1.6g/m2になるように塗布した。その上に乳剤層保護層塗布液をゼラチンの塗布量が1.8g/m2になるように塗布した。乾燥後、乳剤層と反対の面上にバック面塗布液を780nmの光学濃度が0.7になるように塗布し、試料を作成した。
【0240】
バック面は実施例1と同様に調製した。
【0241】
写真性能評価、保存性評価も実施例1と同様に行った。結果を表30に示す。表中の比較化合物は実施例1のものと同様である。
【0242】
【表30】
Figure 0003745083
【0243】
(結果)
本発明の化合物を用いることにより高感度で硬調な保存性に優れた熱現像感光材料が得られた。特にヒドラジンを用いた時に、本発明の化合物を用いると脚切れが極めて良くなる(階調が大きくなる)のがわかる。比較化合物では添加量を変えても、感度と階調が両立するところはない。
【0244】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度で、保存性に優れた熱現像感光材料が得られる。

Claims (3)

  1. 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤および下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を有することを特徴とする熱現像感光材料。
    Figure 0003745083
    〔一般式(I)中、L1およびL2は各々脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基を表す。W1およびW2は各々酸素原子、硫黄原子および窒素原子のうちの一つ以上の原子を含む2価の連結基を表す。Z1は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。Z2は芳香族基またはヘテロ環基を表す。 m1は0、1、2または3を表す。m2は0、1、2または3を表す。〕
  2. 更に少なくとも一種の超硬調化剤を有する請求項1の熱現像感光材料。
  3. 750〜1400nmの波長域に分光増感されたハロゲン化銀を有する請求項1または2の熱現像感光材料。
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