JP3745028B2 - 加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具 - Google Patents

加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプールにおける水中にあって、使用済加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルを、遠隔操作によって引き上げ、所定箇所まで搬送するために供されている吊具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
既知の加圧水型原子炉用燃料集合体Aは、図7に示す通り上部ノズルaと下部ノズルbとの間にあって、所要数の制御棒案内管(シンブル管)cと、多数の燃料棒dとを、所定間隔だけ離間した状態にて縦装し、この状態が保持されるように、長手方向へ所定長だけ離間して、所要複数個のスぺーサeを配装するようにしたものである。
【0003】
上記のような加圧水型原子炉用燃料集合体Aについては、その使用済のものをプールにおける水中にあって、これを所要箇所まで引き上げ搬送する必要があり、このために供されている吊具としては、既に図6に示す如きものが用いられている。
これによるときは、吊持索Bが連結される直立軸心吊持部1と、この直立軸心吊持部1の下端部1aに、直交状にて横向固設された十字状係当部2とによって吊具本体3が形成されており、同上図にあって1bは、直立軸心吊持部1の上端に設けた吊持索Bの連結環、1cは同上直立軸心吊持部1の基根部と、十字状係当部2との間に固設した補強リブを示している。
【0004】
さらに、上記十字状係当部2には、略90°間隔にて横向突出された四箇所の係当端2a,2a、2b,2bが具備されており、一直線上の係当端2a,2aと、これと直交状である他直線上の係当端2b,2bとを、夫々前記した加圧水型原子炉用燃料集合体Aの上部ノズルaにあって、正方形状である中央開口部a1 へ、その対角線e1 、e2 上における配置にて挿入することができるよう構成されており、当該挿入位置から、当該係当端2a,2a、2b,2bを略45°だけ変移するよう吊具本体3を矢印Rのように回動させれば、図6(A)の状態から同図(B)の状態となる。
【0005】
すなわち、上記の回動により、上部ノズルaにおける外周部a2 の下位に形成された段付き空洞部a3 の下向係止段部a4 に、係当端2a,2a、2b,2bを係当させることができ、この状態にあって吊持索Bを牽引すれば、上部ノズルaを介して加圧水型原子炉用燃料集合体Aをプールから引き上げて所要箇所へ搬送することができ、この種の吊具は構成が簡潔で小型であり、かつ取扱いも容易で安価に製作できることから、可成り使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例によるときは、それなりの長所を有しているのであるが、上部ノズルaの吊り上げによる吊持状態にあっては、十字状係当部2の係当端2a,2a、2b,2bによる上部ノズルaに対しての拘束状態が、下向係止段部a4 に対する係当端2a,2a、2b,2bの摩擦力のみに依存していることになる。このため、予期せぬ外力が上部ノズルaに加えられたりすることで、係当端2a,2a、2b,2bと下向係止段部a4 との係止状態が離脱して、加圧水型原子炉用燃料集合体Aが不本意に脱落してしまったり、所定箇所への荷卸し作業に際し、加圧水型原子炉用燃料集合体Aが部分的に接地した瞬間にあって、吊持索Bとしてのワイヤなどの捩れなどが原因で、これまた不意に係当端2a,2a、2b,2bが上部ノズルaから外れてしまい、この結果傾きが大となって倒れるといった危険性を有している。
【0007】
本発明は上記の如き従来技術につき、これを簡易な構成部材の付加により解消しようとするもので、請求項1における加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具にあっては、前記した吊具本体に枢着されている回動防止腕を適時倒すことにより、その先端部の回り止め係嵌部を、上部ノズルのコーナクランプ部に設けられている被係嵌部に係止してやることで、上部タイプレート等に外力が付加されても、当該上部タイプレートに対して吊具本体が回動できない状態を確保し、これにより、加圧水型原子炉用燃料集合体の搬送中における不本意な落動や傾倒事故を完全に防止できるようにするのが、その目的である。
【0008】
次に請求項2では、上記請求項1において、回動防止腕を不使用時、起立状態に保持しておき、使用時にはこれを約90°回動降下すればよい構成とすることで、吊持作業の作業性に支障を来すことなく、請求項1の前記目的を達成しようとしている。そして請求項3では、上記の回動防止腕が起立状態から、不本意に倒れてしまわないように、当該起立状態の仮止め機構を設けることで、上記請求項1における吊具につき、さらに作業上の安全性を改善しようとしている。
【0009】
請求項4の場合には、請求項1における回動防止腕の先端部から下突した回り止め係嵌部を、上部ノズルのコーナクランプ部における炉内位置決めピン用孔に嵌入係止し得る構成として、吊具本体の前記した回動阻止を、容易な作業で迅速に実施できるようにし、請求項1につき前記したと同様の目的を達成しようとしている。
【0010】
請求項5に係る発明では、同じく請求項1における回動防止腕の先端部に形成される回り止め係嵌部を、一対の挟持腕により形成し、これにより上部ノズルのコーナクランプ部における一対の内側壁部を挟持することで、上記の請求項4につき記載の目的を達し得るようにしている。そして請求項6にあっては、同上目的を果し得るように、回動防止腕の回り止め係嵌部としての載置端部と回動停止部を、夫々同上コーナクランプ部における夫々上面に載置すると共に、内側コーナ曲成壁面に対向近接自在とし、上記の目的を達成しようとしている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1記載のものは、吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出した四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部が設けられている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部にある被係嵌部に対し回り止め係嵌部が係止して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、請求項1記載のものにおいて吊具本体の軸心箇所に、上下方向へ回動自在なるよう枢着された回動防止腕が、直立軸心吊持部に近接または背凭れの傾斜状態にて、起立状態に保持されていることを特徴とする。本発明の請求項3に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、請求項1記載のものにおいて吊具本体の軸心箇所に、上下方向へ回動自在なるよう軸ピンにて枢着された回動防止腕が、その基端部における端末の係嵌凹所に、上記軸心箇所の枢着用軸部に内装されたスプリングにて、上向きに押圧されるボールが、係脱自在なるよう係止されることにより、起立状態の保持がなされるようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項4記載のものは、吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出した四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部として下向きに突出する突起が設けられている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部にある被係嵌部としての炉内位置決めピン用孔に対し回り止め係嵌部たる突起が嵌入係止して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項5記載のものは、吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出された四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部として一対の挟持腕が横設されている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部に形成された被係嵌部としての一対の内側壁部を回り止め係嵌部たる一対の挟持腕が挟持して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具は、所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項6記載のものは、吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出された四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって、下位切欠部とその上位の載置端部とその基端部側に縦設された回動停止部とを有する回り止め係嵌部が先端部に形成されている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部上面に対し回り止め係嵌部の載置端部が載置され、かつ、その回り止め係嵌部の回動停止部が当該コーナクランプ部の内側コーナ曲成壁面に対向近接して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明につき図1ないし図5により以下詳記すると、図1に明示の如く、その基本的構成は図6によって既述した従来例と同じであり、これを同一符号によって明示すれば、吊持索Bが連結される直立軸心吊持部1と、その下端部1aに直交状に横向固設された十字状係当部2とで、吊具本体3が構成されている。
さらに、十字状係当部2には、略90°間隔で横向突出の係当端2a,2a、2b,2bが、加圧水型原子炉用燃料集合体Aの上部ノズルaにおける正方形状である中央開口部a1 へ、図1(A)の如くその対角線e1 、e2 上における配置にて挿入でき、当該挿入位置から、この係当端2a,2a、2b,2bを略45°の回転により、図1(B)の如く上部ノズルaにおける外周部a2 の下位に形成された段付き空洞部a3 の下向係止段部a4 と係当して、当該ノズルaが吊持自在となるよう構成されている。
【0017】
本発明は上記のような吊具本体3だけでなく、これの軸心箇所、すなわち図示例では直立軸心吊持部1の基根部に添って、直立軸心吊持部1と十字状係当部2の一方または双方から立設した枢着用軸部2cに、横向の軸ピン2dにより、回動防止腕4が、隣装の係当端2a、2bにおける中間位置にて枢着されている。そして、上記の回動防止腕4は、図1の(A)に示されている起立状態から、図1(B)(C)の倒伏状態まで、上下方向へ約90°程度回動自在となっている。
【0018】
さらに、本発明では回動防止腕4の先端部に回り止め係嵌部4aが設けられていて、起立状態から当該回動防止腕4を下方へ回動して倒伏状態とした際、上記の回り止め係嵌部4aが、上部ノズルaの外周部a2 における角隅にあって、突設されているコーナクランプ部a5 の被係嵌部a6 に係止されるよう構成され、当該係止により、前記上部ノズルaの吊持状態にあって、吊具本体3が上部ノズルaに対して、その回転が阻止されている。
すなわち、回動防止腕4は、上下方向への回動が許容されるだけで、その基端部だけでなく、先端部である回り止め係止部4aも、横方向への変動が許容されていないから、上部ノズルa等に対して外力が付加されても、吊具本体3が上部ノズルaに対して回動し、係当端2a,2a、2b,2bが、上部ノズルaの下向係止段部a4 から外れ、これにより搬送中の加圧水型原子炉用燃料集合体Aが落下するといったことを、防止することができる。
【0019】
ここで、図2は前記の通り、回動防止腕4を起立状態に保持しておき、これを必要に応じ倒伏状態まで回動可能とするための一態様を示している。すなわち、請求項2にあって明示の如く、枢着用軸部2cに軸ピン2dにより枢着の当該回動防止腕4が、直立軸心吊持部1に対して背凭れの傾斜状態としたり、枢着用軸部2cの図示されていない所定箇所に受承されて傾斜状態が保持されるようにし、この結果、直立軸心吊持部1に近接状態となるようにするといった手段が、最も簡潔な構成となり、かつ、これを倒伏させる際の作業も容易となる。
【0020】
しかし、上記の倒伏が、不本意に発生してしまうことを阻止する必要があるときは、図3に開示し請求項3に明示した通り、枢着用軸部2cに内装縦設したスプリング2e上に、ボール2fを抜止めの状態にて配設しておき、一方回動防止腕4の基端部における端末4bに係嵌凹所4cを欠設しておき、回動防止腕4が起立状態となった際、上記のスプリング2eにより上向きに押圧されるボール2fを、係嵌凹所4cに係止することで、当該起立状態を仮止め状態に保持させるのがよい。
【0021】
このようにすれば、不本意に回動防止腕4が倒伏してしまうことなく、安全性を保ち得ると共に、倒伏すべきときには、或程度の力を加えることで、上記ボール2fに対する係嵌凹所4cの離脱が可能となり、倒伏のための操作も労せずに行うことができる。
【0022】
次に請求項4に係る吊具につき説示すると、これまたその吊具本体3の構成は、前記従来例と同様であるが、図3に明示の如く請求項1における回り止め係嵌部4aは、回動防止腕4の先端部から下突され突起4dとして形成され、かつ、この突起4dが、回動防止腕4の倒伏時にあって、上部ノズルaのコーナクランプ部にあって、上向きに開口の炉内位置決めピン用孔a6 ′を被係嵌部a6 とし、これに嵌入係止されるよう構成され、これにより、請求項1と同じ目的を達成できるようにしてある。
【0023】
請求項5の場合には、図4に例示の通り、これまた請求項1における回り止め係嵌部4aが、回動防止腕4の先端部から一対の挟持腕4e1 、4e2 として突設されており、回動防止腕4が倒伏状態となることにより、上記挟持腕4e1 、4e2 が、夫々上部ノズルaのコーナクランプ部a5 に形成された被係嵌部a6 である一対の内側壁部a7 、a8 を挟持し、これにより、回動防止腕4が横向きの回動を阻止されるように構成されている。
【0024】
さらに詳しくは、回動防止腕4の先端部に切欠仮面4fを欠設し、当該切欠仮面4fに、平面がV字状に形成された挟持金具4gを固設することで、略90°に開成された前記挟持腕4e1 、4e2 を、コーナクランプ部a5 へ向けて突設するのである。このことで、当該挟持腕4e1 、4e2 により内側壁部a7 、a8 を挟持し、かつ当該倒伏状態にあって回動防止腕4の前記切欠下面4fが、コーナクランプ部a5 の上面に載置されるようにしてある。
【0025】
請求項6の吊具にあっては、図5に示されているように請求項1における回り止め係嵌部4aが、回動防止腕4の先端部に下位切欠部4hを形成することにより、その上位に設けられた載置端部4iと、その基端部側に縦設された回動停止部4jとにより形成されている。
そして、上記の回動防止腕4が倒伏状態まで回動下降させることで、回り止め係嵌部4aの上記載置端部4iが、上部ノズルaのコーナクランプ部a5 における上面に載置されると共に、前記回動停止部4jが、当該コーナクランプ部a5 の内側コーナ曲成壁面a9 である被係嵌部a6 に対向近接され、かくして、吊持状態にあって、吊具本体3の上部ノズルaに対する回動が阻止されるよう構成されている。
【0026】
ここで、上記の回動停止部4jが、内側コーナ曲成壁面a9 と対向近接しているというのは、もちろん当該両者4j、a9 の接触状態をも含むことで、この場合、同上両者4j、a9 間のギャップが小さいほど、回動防止腕4の先端部は、その横向きへの回動を充分に阻止されて望ましく、この際、図5の(A)に開示の如く、内側コーナ曲成壁面a9 を備えていない図1に例示の上部ノズルaの場合には、当該内側コーナ曲成壁面a9 に対応する箇所が、同上図1に明示の通り、内側コーナ斜交直線壁面a10により形成されていることから、上記の如き被係嵌部a6 によるときは、回動防止腕4の先端部が横向きの回動を許容されることとなり、従って、このようなタイプの上部ノズルaには採択することができない。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上のようにして構成されているから、請求項1によるときは、従来の吊具本体に、上下方向へのみ回動する回動防止腕を枢着し、これを倒伏して、その回り止め係嵌部を、上部ノズルにおける被係嵌部に係止すれば、当該上部ノズルに外力が印加されても、吊具本体が上部ノズルから外れてしまうことがない。かくして、加圧水型原子炉用燃料集合体の搬送中における落下事故や、所定箇所に載置しようとした瞬間に吊持索であるワイヤの復元力により転倒するといったことを、簡易な作業の付加により防止することができ、当該吊具としても安価な付設機構により、その目的を達成することができる。
【0028】
さらに、請求項2では回動防止腕を、その起立状態にあって傾斜状態として保持できるようにしたので、作業がし易くなり、請求項3によるときは、当該起立状態にあって、スプリング、ボールそして回動防止腕における係嵌凹所を用いることにより、可成りの衝撃などを受けても、回動防止腕の不本意な倒伏が回避できることになり、作業上の安全性を確保することができる。
【0029】
請求項4にあっては、前記の回り止め係嵌部として突起を用い、これを上部ノズルに設けられている炉内位置決めピン用孔に係止するようにしたから、簡潔な構成により、請求項1につき記載の効果を高い信頼性をもって保証することができる。
【0030】
請求項5の場合には、回動防止腕の先端部に一対の挟持腕を適切に付設し、これにより、上部ノズルのコーナクランプ部における一対の内側壁部を挟持するよう構成したので、これまた回動防止腕の横向動を、簡易な構成で確実に阻止することができ、請求項1につき明示の目的を達成させることができる。
【0031】
請求項6にあっては、さらに回動防止腕の先端部につき、これに下位切欠部を欠成するだけで、回り止め係嵌部を形成することができ、しかも上部ノズルの内側コーナ曲成壁面を適切に活用するよう構成したので、極めて安価な吊具を提供でき、これまた請求項1につき記載の効果を確実に発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧水型原子炉用燃料集合体に係る請求項1の吊具を示し、(A)は上部ノズルへの挿入状態を示す平面図、(B)は上部ノズルへの係当状態を示した平面図、(C)は同じく係当状態における上部ノズルを切欠して示した正面図である。
【図2】請求項2に係る吊具の回動防止具起立状態を示した要部正面図である。
【図3】請求項3に係る吊具を示し、(A)は上部ノズルへの係当状態における要部の一部を切欠した正面図、(B)は(A)の縦断正面図である。
【図4】請求項5に係る吊具を示し、(A)は上部ノズルへの係当状態における要部平面図、(B)は当該要部の部分正面図である。
【図5】(A)は請求項6に係る吊具により吊持することのできる上部ノズルの一例を示した平面略示図、(B)は当該吊具の上部ノズルに対する係当状態を示した要部平面図、(C)は当該要部の部分正面図である。
【図6】従来の加圧水型原子炉用燃料集合体用吊具を示し、(A)は上部ノズルへの挿入状態を示す平面図、(B)は上部ノズルへの係当状態を示した平面図、(C)は同じく係当状態における上部ノズルを切欠して示した正面図である。
【図7】加圧水型原子炉用燃料集合体の正面図である。
【符号の説明】
1 直立軸心吊持部
1a 下端部
2 十字状係当部
2a 係当端
2b 係当端
2c 枢着用軸部
2d 軸ピン
2e スプリング
2f ボール
3 吊具本体
4 回動防止腕
4a 回り止め係嵌部
4b 端末
4c 係嵌凹所
4d 突起
4e1 挟持腕
4e2 挟持腕
4h 下位切欠部
4i 載置端部
4j 回動停止部
A 加圧水型原子炉用燃料集合体
B 吊持索
a 上部ノズル
1 中央開口部
2 外周部
3 段付き空洞部
4 下向係止段部
5 コーナクランプ部
6 被係嵌部
6' 炉内位置決めピン用孔
7 内側壁部
8 内側壁部
9 内側コーナ曲成壁面
1 対角線
2 対角線

Claims (6)

  1. 吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出した四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部が設けられている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部にある被係嵌部に対し回り止め係嵌部が係止して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
  2. 吊具本体の軸心箇所に、上下方向へ回動自在なるよう枢着された回動防止腕が、直立軸心吊持部に近接または背凭れの傾斜状態にて、起立状態に保持されている請求項1記載の加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
  3. 吊具本体の軸心箇所に、上下方向へ回動自在なるよう軸ピンにて枢着された回動防止腕が、その基端部における端末の係嵌凹所に、上記軸心箇所の枢着用軸部に内装されたスプリングにて、上向きに押圧されるボールが、係脱自在なるよう係止されることにより、起立状態の保持がなされるようにした請求項1記載の加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
  4. 吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出した四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部として下向きに突出する突起が設けられている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部にある被係嵌部としての炉内位置決めピン用孔に対し回り止め係嵌部たる突起が嵌入係止して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
  5. 吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出された四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって先端部には回り止め係嵌部として一対の挟持腕が横設されている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部に形成された被係嵌部としての一対の内側壁部を回り止め係嵌部たる一対の挟持腕が挟持して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
  6. 吊持索が連結される直立軸心吊持部と、この直立軸心吊持部の下端部に直交状にて横向固設された十字状係当部とにより吊具本体が形成され、当該十字状係当部には略90°間隔で横向突出された四箇所の係当端が備わっており、該係当端は加圧水型原子炉用燃料集合体の上部ノズルにある正方形状の中央開口部へ、その対角線上における配置にて挿入でき、当該挿入位置からこの係当端の略45°回転により、上部ノズルの外周部下位に形成された段付き空洞部の下向係止段部と該係当端とを係当させて当該上部ノズルを吊持するための吊具において、互いに隣接する両係当端の間に介在するよう配置されたものであって、下位切欠部とその上位の載置端部とその基端部側に縦設された回動停止部とを有する回り止め係嵌部が先端部に形成されている回動防止腕の基端部が、前記吊具本体の軸心箇所に枢着されており、しかも当該回動防止腕は、吊具が吊持状態のときに上部ノズルのコーナクランプ部上面に対し回り止め係嵌部の載置端部が載置され、かつ、その回り止め係嵌部の回動停止部が当該コーナクランプ部の内側コーナ曲成壁面に対向近接して上部ノズルの回動を阻止できるものであるとともに、吊具本体の上部ノズルに対する回動を阻止しない起立状態から吊具本体の上部ノズルに対する回動が阻止される倒伏状態まで、上下方向へ回動自在なものであることを特徴とする加圧水型原子炉用燃料集合体の吊具。
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