JP3744945B2 - 水溶性染料および重合体、インクジェット印刷用インク、ならびに水溶性染料の製造方法および発色団と重合体とのカップリング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット印刷に使用されるインクジェットインクに関し、詳しくは、水溶性染料およびこのようなインクに使用されるそれらの配合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性インクは、インクジェット印刷に適している。しかしながら、水溶性染料は、インクジェットインクによって印刷されると、耐水堅牢性が劣る。耐水堅牢性の不足によって生ずる問題を解決するために、染料分子に結合されたカルボキシラート可溶化基を有する幾つかの染料が製造された。これらの染料は、自然中和によって、溶解性の低いカルボン酸型に変化する。このような染料は、著しい耐水堅牢性の改善を示すが、まだ完全に耐水堅牢性であるわけではない。その上、このような染料を使用したインクは、紙などの多孔性基材への印刷に限定され、包装材料などの基材には十分な機能を示さない。水溶性染料は、非吸収性表面に印刷されると、濡れたままで、幾分吸湿性であり、簡単な摩擦によって汚損する可能性がある。
【0003】
実質的に完全な耐水堅牢性を示すインクジェット印刷用の水溶性染料を提供する必要性が残されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、印刷基材の表面で変化を受けて、染料を疎水性の水不溶性重合体染料に変化させる極性のある水溶性染料を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、印刷基材に印刷するためのインクジェットインクに使用される水溶性染料を提供する。この染料は、インクが印刷基材(紙、透明フイルム、包装材料など)上で乾燥するときに、脱水によって開始される反応および自然中和を受けて、(1)その溶解性が変化して不溶化し、そして(2)紙に結合するようになっている。
【0006】
この水溶性染料は、5〜8員のラクトン環またはラクタム環を有する重合体鎖と、この鎖に結合した少なくとも一つの発色団を含んでいる。一つの実施態様においては、重合体鎖は、それに結合したカルボキシル基と水酸基あるいはアミン基のいずれかを有し、それらは中和に際して閉じてそれいぞれラクトン環かラクタム環を形成することが可能である。
【0007】
そうでなければ、系は、結合された複数の染料発色団を有する重合体を含むものと考えられる。この重合体は、中和に際して閉じてそれぞれラクトン環かラクタム環を形成することが可能な、複数のカルボキシル基と複数の水酸基かアミン基とを有する。
【0008】
インクジェット印刷用のインクは、ビヒクルと重合体鎖に結合した少なくとも一つの発色団をもつ前述の染料を含んでいる。ビヒクルは、インクジェット印刷に通常使用されるものであり、主として水よりなる。他の成分は、必要に応じて添加される。必要成分として、インクは、少なくとも約80%の水、約1〜15%の本発明の染料、および塩基性pHにおいて重合体/染料を塩の形態に保持するのに十分な緩衝剤を含んでいる。もしあれば、残余は、通常、インクジェット印刷に使用される少なくとも一つの湿潤剤、界面活性剤、微生物毒(殺生物剤(biocides))などを含む。
【0009】
また、本発明によれば、水溶性染料を製造する方法は、
(a)約180〜100,000の範囲の分子量と、結合された複数の水酸基またはアミン基を有する重合体鎖を提供すること、
(b)いずれかの順序で、カルボキシル基と水酸基またはアミン基とを交替させて、水酸基またはアミン基の約半分までをカルボキシル基に変換すること、
(c)少なくとも一つの発色団を重合体鎖に結合すること、および
(d)水を除去して、隣接する水酸基またはアミン基とカルボキシル基とに、それぞれラクトン環またはラクタム環を形成させること
を含んでいる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、水溶性インクジェット染料の使用に向けられており、これはその形態のために、インクが印刷基材上で乾燥するときに、脱水および自然中和によって開始される反応を経て、(1)溶解性が変化して不溶化し、そして(2)印刷基材に結合される水溶性インクジェット染料の使用に関する。
【0011】
ここに示されているすべての濃度は、特に指示しない限り重量%である。すべての成分の純度は、インクジェットインクに、通常、商業的に実用されている純度である。
【0012】
以下の実施例は、本発明の様々の態様を説明するためのものであるが、本発明は、特定の説明のための実施例に限定されるものではない。
【0013】
本発明の実施においては、少なくとも一つの発色団が、水溶性を有する短い重合体鎖に結合している。この系において使用される重合体鎖は、約180〜100,000の範囲の分子量、好ましくは約180〜10,000の範囲の分子量を有するものである。重合体鎖に結合される発色団の数は、インクの製造における所望の親水性/親油性バランス(HLB)によって決定される。ほとんど湿潤剤を添加していない純粋な水性インクについては、水性インクの良好な溶解性のための十分な親水性と、紙に沈着させたときの完全な耐水堅牢性のための十分な親油性を得ることが必要である。
【0014】
発色団を結合させる方法は、本発明に特有のものではなく、このような方法は、染料製造工業において通常知られている。他の方法は、(a)重合体鎖(または以下に記載される本発明の第2の実施態様における可溶化基)への塩化スルホニル型のスルホン化染料のカップリング、(b)その反応性基(例えば、S−トリアジン環上の塩化物置換基またはビニルスルホン基)による反応性染料のカップリング、(c)米国特許第4,375,357号に開示された方法の一つによるカップリング、または(d)(ポリビニルアルコールにおけるように)水酸基へのカップリングを含んでいる。方法(a)は、アミン基を有する重合体に有用である。方法(b)および(c)は、アミン基または水酸基を有する重合体について利用することができる。最初の三つの方法は、この技術分野で公知である。ここで新規であると考えられる方法(d)は、水酸基を有する重合体に有用であり、以下に、さらに詳細に説明する。
【0015】
少なくとも一つの水酸基を有する重合体への発色団のカップリング〔前述の方法(d)〕の検討において、一つの実施例は、例えば、Acid Red 52などの染料を、塩化チオニル、塩化スルフリル、クロロ硫酸または他の酸ハロゲン化剤によって、そのスルホン酸型から塩化スルホニル誘導体に変換させることを含む。発色団は、重合体にカップリングされるので、発色団のただ一つのスルホン酸塩基が変換されなければならない。
【0016】
それから、塩化スルホニル誘導体は、アミノ基を有する二官能性分子を使用して、アミドを生成するように変換される。このような分子の実施例は、アミノエタノールまたはアミノプロパノールなどのアミノアルコールである。
【0017】
アミドは、塩化チオニル、塩化オキザリル、p-トルエン塩化スルホニルまたはメタン塩化スルホニルの作用によって、ハロゲン化物またはスルホン酸エステルなどの脱離基(leaving group)を有する種に変換される。化1の化学式に示される反応順序において、Xは-Cl(塩化チオニルまたは塩化オキザリルの場合)またはR-SO2-(塩化スルホニルの場合)を示し、Rは芳香核またはメチル基である。そして、ハロゲン化物またはスルホン酸エステルは、ポリビニルアルコールの求核的性質によって容易に置換され、エーテル結合によって発色団を重合体に結合させる。化1の式において、Arは芳香族染料分子の残基、Rは水素またはポリビニルアルコール残基である。
【0018】
【化1】
【0019】
ここに記載されたようにして製造された反応性染料の使用は、第1の実施態様において、ラクトン環を生成させる紙の上での染料の中和に依存している。ラクトン環の生成は、これらの染料のアンモニウム塩を造ることによって促進される。アンモニアを蒸発させると、さらに中和工程、したがってラクトン環化が促進される。
【0020】
本発明の第1の実施態様は、ポリビニルアルコールまたはソルビトールなどの任意の水酸基を有する重合体を使用する。ポリビニルアルコールは、図1,図2に示されるような7員環を生成させる。詳しくは、水酸基〔図1(A)〕の半分以下を1モル又は2モルのクロロ酢酸〔図1(B)〕と反応させた後、染料とカップリングさせ〔図2(C)〕、そして閉環によって7員環を生成させる〔図2(D)〕。
【0021】
これに対してソルビトールは、6員環を生成させる。1モルのソルビトール(6個の炭素を有する直鎖のポリヒドロキシ化合物)を、1または2モルのクロロ酢酸で処理した後、染料とカップリングさせると、閉環して6員環を生成する。ただし、6員環および7員環を生成する他のアルコールも、本発明の実施に使用されることは明らかである。さらにいずれの場合にも、染料カップリングは、クロロ酢酸との反応(カルボキシメチル化)の前あるいは後に行われる。
【0022】
ポリビニルアルコールを使用するときには、市販されているPVAは、PVAの分子量に応じて、約2〜12%のアセテート(酢酸塩)基を有することは、当業者によって認識されるであろう。PVAが堅く捩じられた重合体になり不溶性になるのを防止するために存在するアセテート基は、クロロ酢酸による前記処理の後か、染料カップリングの後に、除去しなければならない。このような除去は、加水分解によって容易に行われる。
【0023】
平均分子量が1,000のポリビニルアルコールの場合(あるいはソルビトール系の場合)には、約1〜5個、好ましくは2〜3個の染料発色団が重合体鎖に結合される。より高分子量の重合体鎖は、比例的に処理される。染料発色団は
、クロロ酢酸による処理の前か後に、結合される。クロロ酢酸および/または染料発色団とのポリビニルアルコールのカップリング後に、過剰のアセテート基が前述のように加水分解によって除去される。
【0024】
重合体鎖が水溶性であるために、この鎖に不溶性(または制限された溶解性)の発色団を結合させると、発色団分子全体として水溶性が付与されるか増加されるのに役立つ。比較的長い重合体鎖については、複数の発色団を結合させることができる。例えば、分子量が約1,000のときには約2個の発色団が、分子量が約10,000のときには約10〜20個の発色団が、そして分子量が約100,000のときには約50〜100個の発色団が結合される。(発色団が重合体に結合されるときには、結合する数は平均的なものであり、重合体分子の中には、平均よりも多い発色団を有するものと、平均よりも少ない発色団を有するものとがある。)これは、水溶化鎖単位の区分された長さ当たりの発色団の数の一定の比率または様々な比率で、分子が小さいものから大きいものまでの重合体分子で構成することを可能にする。
【0025】
可溶化単位すなわち重合体は、水を除去する縮合反応を受ける基ではあるが、(インクの配合における)水の存在下でこの反応を受けないようにする基を含んでおり、それは水が反応の平衡の生成物だからである。縮合あるいは環化は、また僅かに塩基性側のpHによって抑制される。このような系の反応性部分は、存在するそれぞれの水酸基当たり約0.5モル当量程度のクロロ酢酸を添加することによって、ポリビニルアルコールから構成される。この反応性重合体は、これを前述のようにして〔方法(a)または(c)〕、発色団分子にカップリングさせることによって、染料に変換される。ポリビニルアルコールを、染料分子の反応性可溶化側鎖に変換させるための概略を、図1(A)〜図2(D)に化学式で示す。図2(D)は、脱水によって生成したラクトン環を示している。
【0026】
発色団と可溶化重合体側鎖より構成されている染料分子は、その水溶性が側鎖によって決定される。側鎖は、又は分子全体の、したがって発色団の溶解性および物理的特性を調節する。結合されている発色団が高度の水溶性であるか、あるいは水に不溶性であるときには、分子全体の諸特性は、所望の親水性/親油性バランスを得るように調整される。言い換えれば、使用される染料:重合体:クロロ酢酸の量の比率を調節して、生成物の親水性:親油性がバランスされる。
【0027】
カルボキシル基は主として側鎖の水可溶化効果の要因になり、このような分子は、塩基性発色団自体の中の極性基あるいは可溶化基の数および強さに応じて、発色団当たりで、理想的には約2〜6個のカルボキシル基を有していなければならない(正確な数は、インク中の染料で印刷した後、印刷物の形態で染料が不溶性になるように、系の溶解性をバランスさせるべく選択する。)
カルボキシル基と水酸基を有する分子は、ラクトン(環状エステル)を生成する能力を有する。5員環および6員環ラクトンは、最も容易に生成し、そして極めて容易にしかも自発的に生成するので、酸性または中性の水溶液中で閉環が起こる。そして、環が閉じるときに、分子は溶解性を失う。その結果として、これらの染料をインクに使用するときに、インクは、塩基性pHで配合されなければならない。したがって、本発明の方法は、熱力学的安定性が比較的低いラクトン、例えば7員環および8員環、特にポリビニルアルール重合体を有する7員環を生成する。図1(A)〜図2(C)に示された方法は、図2(D)において脱水に際して閉じて7員ラクトン環になる系の構成を示す。6員、7員または8員環系について、インクメーカーは、化2の反応式に示す平衡を利用して、溶液中で環を開いた状態に保持するためには、pHを調整しなければならない。
【0028】
【化2】
【0029】
化2において、1段目の反応は、塩基性溶液中で、ラクトン環を開いた状態に保持することを示している。脱水は、右側に向う2段目の反応を促進し、そして緩衝されたインクにおいて、紙面の自然の酸性度としてCO2および/または空気からの他の酸成分が、やはりOH-が消費されるにつれて、あるいは-COO-が自然中和(CO2と紙の酸性度)によって-COOHに変換されるにつれて、3段目の反応を右側に促進させることは容易に理解することができる。4段目の反応は、カルボキシル基をプロトン化する他の一つの方法としての脱アンモニアを示している。
【0030】
例えば、6員、7員または8員のラクトンのどれを選択するか、およびpHと緩衝剤の濃度を選択するかは、紙面での反応速度と貯蔵中のオリフィスにおける染料の安定性とのバランスである。熱板ヒーターも、この反応を促進する。pHは、通常は最低でも約7〜8であり、pHを約8またはそれ以上に維持するために、アンモニウム塩が好適に使用される。
【0031】
前述のように機能する天然ラクトンおよび合成ラクトンは、無数に例がある。これらの例は、通常の化学文献およびテキストに記述されている。しかしながら、このようなラクトン生成反応は、これまで染料、特にインクジェットインクに使用される染料を造るのに利用されたことはなかった。前述のラクトン機能(閉環および開環)は、予測可能で信頼性がある。
【0032】
本発明の他の実施態様においては、ラクタム環を生成することができ、例えば、ポリエチレンイミン重合体から出発して、この重合体をクロロ酢酸で処理してアミン基の約半分までをカルボキシル基に変換した後、これを染料発色団にカップリングさせる。これは、アミン系であり、乾燥および酸中和の際に閉環されて、環状アミドまたはラクタムが生成される。図3(A)〜図4(D)は、反応順序を示している。アミノ酸が閉環してラクタムを生成するときには、この反応は、加熱、時間および強塩基を必要とするという僅かの困難を伴って可逆的であり、インクメーカーは、系を中性あるいはそれ以下のpHに到達させないように注意しなければならない。そうでなければ、閉環が起こって、反応性染料系が沈澱する結果になる。やはりカルボキシメチル化または発色団カップリングは、どのような順序でも行うことができる。
【0033】
この第2の実施態様の変形においては、前述のポリビニルアルコール系と類似のポリビニルアミン系が使用されてラクタム環が生成される。このようなポリビニルアミン系は、ポリビニルアルコール系と同様に処理されて、印刷基材上に染料を含むインクを印刷する際に、対応するラクタムを生成するための閉環が実現される。反応順序を、図5(A)〜図6(D)に示す。
【0034】
ポリビニルアミンは、ポリエチレンイミンに非常によく似ていて、ポリビニルアミンが7員ラクタム環を生成するのに対して、ポリエチレンイミンは6員ラクタム環を生成する以外、反応順序は同じである。
【0035】
以上の説明は、6員ラクトン環または7員ラクトン環の生成に集中したが、5員ラクトン環および8員ラクトン環の生成に関する情報も提供してきた。このような新たな環系も、本発明の範囲内のものであると考えられる。同様に、5員〜8員ラクタム環も本発明によって生成され、6員ラクタム環または7員ラクタム環が好ましい。
【0036】
本発明のインクの配合に際しては、約1〜15%の染料が、少なくとも約80%の水、そして好ましくは少なくとも約90%の水とともに使用される。本発明の重合体/染料系も湿潤剤として作用すると思われるが、少なくとも一つの通常使用される湿潤剤(グリコール、グリコールエーテルなど)および/または有機溶媒(アルコール、ケトンなど)が、インクのいくつかの特性を最適にするために、添加される。ビヒクルの成分およびそれらの濃度は、前述の最低の水濃度の範囲以外は、本発明の一部を構成するものではない。
【0037】
インクは、またこの技術分野で通常実施されているように、少なくとも一つの微生物毒、殺菌剤および/またはスライミサイド(殺粘菌剤(slimicide))を含んでいる。微生物薬剤は、NUOSEPT(ヌーデックス社、ハルスアメリカ社の一部門)、UCARCIDE(ユニオンカーバイド社)、VANCIDE(RTバンデルビルト社)およびPROXEL(ICIアメリカ社)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明によるインクは、印刷基材上で完全に耐水堅牢性である上、印刷品質および印刷の色の望ましい特性を保持している。
【0039】
本発明によって製造された反応性染料を使用したインクは、インクジェットプリンタに用途を見出すと期待される。
【0040】
以上のように、紙と反応する際に不溶化して紙に結合するインクジェット印刷に適した水溶性の反応性染料を開示した。自明な性質の様々な変形や変更態様は、当業者にとって明らかであり、このような変形や変更態様は、本発明の範囲内に入るものである。
【0041】
【発明の効果】
本発明のインクによれば、水溶性であるとともに、紙などの多孔性基材への印刷に限らず、透明フィルムや包装材料などへの印刷にも適し、これらの印刷基材に印刷された際に、該基材の表面で変化を受けて染料を疎水性の水不溶性重合体染料に変化させることができ、印刷後の耐水堅牢性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリビニルアルコールが7員ラクトン環を生成する反応の前半の反応を説明するための図で、(A)がポリビニルアルコールとクロロ酢酸とが反応する際の状況を示し、(B)がその反応生成物が染料とカップリングする際の状況を示している。
【図2】ポリビニルアルコールが7員ラクトン環を生成する反応の後半の反応を説明するための図で、(C)が図1(B)に続く反応で、染料とカップリングした生成物が脱水する際の状況を示し、(D)がその結果物である7員ラクトン環を示す図である。
【図3】ポリエチレンイミン重合体が6員ラクトン環を生成する反応の前半の反応を説明するための図で、(A)がポリエチレンイミン重合体が染料とカップリングする際の状況を示し、(B)がその結果物をクロロ酢酸で処理する際の状況を示している。
【図4】ポリエチレンイミン重合体が6員ラクトン環を生成する反応の後半の反応を説明するための図で、(C)が図3(B)に続く反応で、クロロ酢酸で処理されてアミン基の約半分までがカルボキシル基に変換されたものを酸中和している状況を示し、(D)がその結果閉環して生成した6員ラクトン環を示す図である。
【図5】ポリビニルアルコールと類似のポリビニルアミンが7員ラクトン環を生成する反応の前半の反応を説明するための図で、(A)がポリビニルアミンとクロロ酢酸とが反応する際の状況を示し、(B)がその反応生成物が染料とカップリングする際の状況を示している。
【図6】ポリビニルアミンが7員ラクトン環を生成する反応の後半の反応を説明するための図で、(C)が図5(B)に続く反応で、染料とカップリングした生成物が脱水する際の状況を示し、(D)がその結果物である7員ラクトン環を示す図である。
Claims (13)
- ビヒクルと水溶性染料とを含むインクジェット印刷用インクであって、該染料は重合体鎖及び該鎖に結合された少なくとも1つの発色団を含み、該重合体鎖はそれに対し結合されたカルボキシル基及び、水酸基又はアミン基を有し、これらは印刷に際し少なくとも一つの6〜7員のラクトン環またはラクタム環へと閉じることができるインクジェット印刷用インク。
- 複数のカルボキシル基及び、複数の水酸基又はアミン基が、前記重合体鎖に結合されている、請求項1に記載のインク。
- 前記重合体鎖が、それに対し結合された複数の染料発色団を有する、請求項1又は2に記載のインク。
- 前記重合体鎖が、結合された染料発色団当たり2〜6個のカルボキシル基を有するポリビニルアルコール系重合体又はポリビニルアミン系重合体又はソルビトール重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク。
- 前記重合体鎖が、中和の際、少なくとも1つのラクトン環へと閉じることが可能な少なくとも1つのカルボキシル基及び少なくとも1つの水酸基を有するポリビニルアルコールベースの重合体である、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載のインク。
- 前記重合体鎖が、それに結合された染料発色団当たり2〜6個のカルボキシル基を有する、請求項5に記載のインク。
- 少なくとも80%の水と、1〜15%の染料と、該染料上のカルボキシル基が塩基性pHで塩の形態を維持するのに十分な緩衝剤とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクの製造方法であって、該インクの調製において使用するための水溶性染料が、
(a) 180から100,000までの範囲の分子量及びそれに対し結合された複数の水酸基又はアミン基を有する重合体鎖を提供すること;
(b) 印刷に際し隣接するカルボキシル基と水酸基又はアミン基とに、ラクトン環又はラクタム環をそれぞれ形成させる様にするため、いずれかの順序で、半分までの該水酸基又は該アミン基をカルボキシル基へと変換すること;
(c) 前記重合体鎖に少なくとも1つの発色団を結合させること;
を含む方法によって製造される水溶性染料である、インクジェット印刷用インクの製造方法。 - 前記重合体鎖がポリビニルアルコール、ポリビニルアミン及びソルビトールからなる群より選ばれる化合物を含む、請求項8に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの発色団が前記重合体鎖の前記水酸基の1つに対し結合される、請求項8又は9のいずれか1項に記載の方法であって、
(a)塩化スルホニル基を有する染料を提供すること;
(b)さらなる反応に利用できる他の官能基を有するアミドを形成するために、該塩化スルホニル基をアミノ基を含む二官能性分子と反応させること;
(c)前記官能基をハロゲン化物又はエステル脱離基に変換すること;及び
(d)前記ハロゲン化物又は前記エステル脱離基を前記重合体鎖上の前記水酸基と置換すること;
からなる方法。 - 少なくとも1つのスルホナート基を含む染料が、該スルホナート基のうちの1つと酸ハロゲン化剤との反応により塩化スルホニル基を含む染料に変換される、請求項10に記載の方法。
- 前記塩化スルホニル基がアミノアルコールと反応して前記官能基を有する前記アミドを生成する、請求項10又は11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記官能基を前記ハロゲン化物又はエステル脱離基を含む化合物と反応させることにより、前記官能基が前記ハロゲン化物又はエステル脱離基に変換される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
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