JP3744678B2 - 配線基板の実装構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子が収容搭載される半導体素子収納用パッケージや、半導体素子の他にコンデンサや抵抗体等の各種電子部品が搭載される混成集積回路装置等に用いられるセラミック配線基板を、プリント基板等の外部電気回路基板に表面実装した配線基板の実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子収納用パッケージや混成集積回路等に用いられるセラミック配線基板は、一般にアルミナ等のセラミック焼結体から成る絶縁基板の内部及び表面に、W、MoおよびMn等の高融点金属から成る複数のメタライズ配線層やビアホール導体が配設された構造からなる。
【0003】
そして、上記のセラミック配線基板は、例えば半導体素子収納用パッケージとして適用する場合には、その絶縁基板の表面側に半導体素子をガラス等の接着剤を介して接着固定すると共に、半導体素子を周辺の配線層にボンディングワイヤを介して電気的に接続され、その半導体素子は、金属やセラミックスから成る蓋体や樹脂によって気密に封止される。
【0004】
また、このセラミック配線基板をプリント基板等の外部電気回路基板に実装するには、配線基板の裏面に複数の接続端子を形成し、外部電気回路基板表面の実装用配線導体と接続することによって行われ、従来より、接続端子としてコバール等の金属からなるピンを用いた、いわゆるピングリッドアレイ(PGA)が広く用いられてきた。
【0005】
近年、高周波化及び高集積化が進むICやLSI等の半導体素子を搭載する半導体素子収納用パッケージや、各種電子部品が搭載される混成集積回路装置等に適用される配線基板は、高速信号に対応でき高密度で小型軽量化が要求されている。
【0006】
従来から用いられてきたPGA型では、接続端子を高密度に配設するにも限界があるため、最近では、図3に示すように、配線基板A’の絶縁基板21の底面に形成された接続用電極22に半田ボールなどのロウ材からなる接続端子23を設け、該接続端子23を介して外部電気回路基板B’の樹脂基板24の表面に形成された実装用配線導体25に直接接続する、いわゆるボールグリッドアレイ(BGA)型の実装構造が提案されている。
【0007】
このBGAによれば、接続端子23は配線基板A’の下面に多数配置され、接続端子23を、外部電気回路基板B’における樹脂基板24の表面に形成された実装用配線導体25上に載置当接させた後、接続端子23を所定温度で加熱溶融して実装用配線導体25に接続させることにより配線基板A’が外部電気回路基板B’に表面実装される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように、プリント基板のように樹脂基板24が熱膨張率の高い有機樹脂からなる外部電気回路基板B’上に接続端子23を介してセラミック配線基板A’を表面実装した場合、セラミック配線基板A’の絶縁基板21と樹脂製の樹脂基板24の熱膨張率が大きく異なることから、環境温度の変化や稼働時の半導体素子等による自己発熱等により接続端子23には繰り返しの剪断歪みが負荷される。また、一般に、接続端子23は中央部が膨らんだ樽形状を成しているために、配線基板の接続用電極22及び外部電気回路基板の実装用配線導体25との接続端子において接続端子23と接続用電極22や実装用配線導体25との接触角が鋭角となるため、この部分が高応力集中源となって接続端子23に疲労亀裂が発生し易く、接続信頼性に欠けるという問題があった。
【0009】
更に、近年の半導体素子収納用パッケージや混成集積回路装置等に適用される配線基板は、各種電子装置の用途の拡大により、その使用環境は従来よりも多彩でかつより厳しいものとなっており、とりわけ自動車の電子制御化の発展に伴って車載環境で用いられる場合には使用環境が厳しい上に、より高い信頼性が要求されている。
【0010】
かかる電子装置では高い信頼性を確保する上で重要となるのが半田等による接続端子であり、例えば、前記半田等の接続端子による表面実装法では、例えば即時剪断強度や熱疲労寿命等が優れていることが接続信頼性を確保する上で重要となっている。
【0011】
そこで、かかる問題を解消するために、接続端子23の形状を制御して、配線基板と外部電気回路基板との接続端子高さを高くすることにより、接続端子における接触角を鈍化させ、熱膨張差によって生じる応力の集中を低減させることが提案されている(特許第2559408号公報参照)。
【0012】
しかしながら、この提案では、基板及びパッケージを格別な治具等を用いて位置決めし、位置決め維持の為にパッケージにピンを取り付け、そのピンを外部電気回路基板側と連結することにより、はんだ継手の形状を制御しており、種々の新たな部品や位置決め工程が複雑になる結果、製品コストを高めてしまうという問題がある。
【0013】
従って、本発明は、配線基板を外部電気回路基板に表面実装する際、複雑な位置決め工程を必要とせず、しかも配線基板の接続用電極と外部電気回路基板の実装用配線導体との接続端子への応力の集中を回避し、接続端子に疲労亀裂を生じることのない、高い接続信頼性を有する配線基板の実装構造を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決する為の手段】
本発明の配線基板の実装構造は、表面に配線基板実装用の配線導体が被着形成された外部電気回路基板上に、外部電気回路基板との接続用電極を備えた配線基板を載置し、前記配線基板の前記接続用電極と、前記外部電気回路基板の前記実装用配線導体とをロウ材によって電気的に接続し、前記接続用電極が前記セラミック絶縁基板内に設けられたスルーホール導体の終端に形成されるか、前記実装用配線導体が前記樹脂基板内に設けられたスルーホール導体の終端に形成されてなるものであって、前記樹脂基板と前記セラミック絶縁基板の−50〜400℃における平均熱膨張係数の差が8ppm/℃以下であり、前記接続用電極および前記実装用配線導体の少なくとも一方の中に前記スルーホール導体を突出させて形成した前記接続用電極および前記実装用配線導体の突出部の少なくとも一方を前記ロウ材による接続端子内に突出させるとともに、前記突出部の前記接続端子高さhに対する前記接続端子内への突出高さhの比率h/hが0.05〜0.15であることを特徴とする。
【0015】
また、前記接続用電極や前記実装用配線導体は、前記セラミック絶縁基板内、あるいは前記樹脂基板内に設けられたスルーホール導体の終端にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0016】
【作用】
配線基板と外部電気回路基板とのロウ材からなる接続端子による実装構造において、配線基板の接続用電極と外部電気回路基板表面の実装用配線導体とを接続する接続端子の軸心が、配線基板の実装面に対して垂直である場合、接続端子に生じる疲労亀裂は、配線基板と外部電気回路基板の熱膨張差及び熱容量の差異による冷却速度の差から発生する剪断応力を主たる原因とするものである。
【0017】
本発明によれば、配線基板の接続用電極あるいは外部電気回路基板の実装用配線導体の少なくとも一方をロウ材からなる接続端子内に所定の突出量で突出させることにより、この突出部によって接続用電極あるいは実装用配線導体を接続端子に対して強固に係止することができるとともに、前記剪断応力が、ロウ材による接続端子内の突出部によって効果的に緩和されるとともに、応力が接続端子の境界部に集中しないことから、前記疲労亀裂の発生や、過酷な稼働条件における亀裂の成長が抑制、防止されることにより配線基板の外部電気回路基板への接続信頼性を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配線基板の実装構造について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板として、BGA型半導体素子収納用パッケージの実装構造の一実施例を示す概略断面図であり、図2は、接続端子の拡大断面図である。なお、図1、2において、Aは、配線基板(BGA型パッケージ)、Bは外部電気回路基板を示す。
【0019】
図1の配線基板Aによれば、セラミックスからなる絶縁基板1の表面あるいは内部に、メタライズ配線層2やスルーホール導体3が形成されており、表面に形成されたメタライズ配線層2は、絶縁基板1表面に実装された半導体素子4と電気的に接続されている。なお、半導体素子4は、蓋体5によって絶縁基板1表面において気密に封止されている。
【0020】
また、絶縁基板1の裏面には、外部電気回路基板Bと接続するための、複数の接続用電極6が設けられており、この接続用電極6は、絶縁基板1内部に形成されたスルーホール導体3やメタライズ配線層2によって半導体素子4と電気的に接続されている。
【0021】
図2の接続用電極6によれば、スルーホール導体3の終端部に形成された電極パッド7と、その表面にロウ材との濡れ性を改善するために設けられた金属層8の積層構造から形成されている。また、電極パッド7の周囲は、オーバーコート層9によって封止され絶縁基板1に強固に固定されている。
【0022】
一方、外部電気回路基板Bは、例えば有機樹脂を含む絶縁材料からなる樹脂基板10の表面に、銅などの導電性材料からなる実装用配線導体11が被着形成されており、樹脂基板10の内部あるいは裏面にも銅等の導電性材料からなる配線導体12やスルーホール導体13が設けられている。
【0023】
図2における実装用配線導体11は、スルーホール導体13の終端部に形成された導体パッド14と、ロウ材との濡れ性のよい金属層15との積層構造からなり、導体パッド14の周囲は有機樹脂等のオーバーコート層16によって封止され樹脂基板10に強固に固定されている。
【0024】
そして、配線基板Aの接続用電極6と、外部電気回路基板Bの実装用配線導体11とは、半田等のロウ材からなる球状の接続端子17によって電気的に強固に接続されている。
【0025】
本発明によれば、図2に示すように、上記半田ボール等のロウ材からなる接続端子17に対して、前記接続用電極6、実装用配線導体11の少なくとも一方が、接続端子17内に突出しており、この突出部18,または19の突出高さh1 のロウ材による接続端子の高さh2 に対する比率h1 /h2 が0.05〜0.15であることが重要である。図2の実施態様では、接続用電極6、実装用配線導体11の両方において、突出部18、19が設けられている。
【0026】
この突出部18、19の突出高さh1 とは、接続端子17と接続用電極6、あるいは実装用配線導体11との接続境界部20、21を底辺とする高さを意味する。また、接続端子の高さh2 は、接続端子17と接続用電極6或いは実装用配線導体11との接続境界部20、21間の距離を意味する。
【0027】
本発明によれば、このような突出部18および/または突出部19を設けることにより、この突出部がアンカー的に作用することにより、接続用電極あるいは実装用配線導体を接続端子に対して強固に係止することができる。そして、配線基板と外部電気回路基板の熱膨張差及び熱容量の差異による冷却速度の差から発生する剪断応力が、接続端子17内の突出部18、19によって効果的に緩和され、また、この応力が突出部に作用するために、応力の接続端子17の境界部20、21への集中を抑制し、接続端子17の疲労亀裂の発生や、過酷な稼働条件における亀裂の成長を抑制あるいは防止することができる。
【0028】
なお、本発明によれば、上記比率h1 /h2 が0.05よりも小さいと、接続端子17の配線基板及び外部電気回路基板との接続境界部20、21に生じる歪みは、突出部18、19によって十分に緩和されず亀裂を発生し易くなり不適当である。また、上記比率が0.15よりも大きいと、金属層8,15を被着した時に、金属層8、15と電極パッド7や導体パッド14の突出部18、19間に空隙が生じ易く、ふくれの原因となり歩留まりが低下すると共に、耐久性が劣化し易くなる。上記比率h1 /h2 は、0.05〜0.1の範囲内であれば、配線基板と外部電気回路基板の電気的な接続性及び接続歩留まりの点でより望ましい。
【0029】
また、本発明によれば、上記配線基板Aのセラミック絶縁基板1は、Al2 3 、AlN、Si3 4 、ガラスセラミックス等の衆知の絶縁性セラミック材料からなり、外部電気回路基板Bの樹脂基板10は、ガラス−エポキシ樹脂複合材料などから構成されるが、前記セラミック絶縁基板1と外部電気回路基板Bの樹脂基板10との−50〜400℃における平均熱膨張係数の差が8ppm/℃以下、特に5ppm/℃以下であることが重要である。これは、上記熱膨張差が8ppm/℃よりも大きいと、接続端子17の配線基板及び外部電気回路基板との接続境界部20、21に生じる剪断応力を、突出部18、19では緩和又は係止できなくなり、その結果、接続端子17に前記応力が集中して微小な亀裂を生じ易くなり、環境温度の変化や稼働時の自己発熱等により疲労亀裂が成長して電気的特性が劣化してしまう。
【0030】
このように、熱膨張係数差を上記の範囲に設定するには、プリント基板の熱膨張係数は有機樹脂を含むために、およそ13ppm/℃以上、特に15ppm/℃以上と大きいために、配線基板の絶縁基板の比較的熱膨張係数が大きく、5ppm/℃以上、さらには8ppm/℃以上であることが望ましい。このような高熱膨張の絶縁基板は、特開平8−279574号や、特開平8−330690号等に記載される公知の材料を使用できる。
【0031】
また、本発明によれば、接続端子17と接続用電極6や実装用配線導体11との接続面は、円形形状からなるが、接続用電極6における接続面の直径をφ1 、実装用配線導体11における接続面の直径をφ2 とした時、φ2 /φ1 で表される比率が0.5〜2.0であることが望ましい。これは、上記比率が0.5よりも小さいと、接続端子17の配線基板との接続境界部20に生じる歪みが大きくなり、亀裂を発生しやすくなり、2.0よりも大きいと接続端子17の外部電気回路基板との接続境界部21に生じる歪みが大きくなり、亀裂を発生しやすくなるためである。
【0032】
さらに、本発明によれば、実装用配線導体11における接続面の直径をφ2 と、接続端子高さh2 との比率h2 /φ2 で表される比率が0.5〜1.2であることが望ましい。これは、上記比率が0.5よりも小さいと、接続端子17の配線基板及び外部電気回路基板との接続境界部20、21に生じる歪みは、突出部18、19によって十分に緩和されず亀裂を発生しやすくなり、1.2よりも大きいと接合歩留りが悪く、亀裂を発生しやすくなるためである。
【0033】
また、さらに、スルーホール導体の直径dと、そのスルーホール導体の終端部に形成される突出部の高さh1 との比率h1 /dが0.2〜0.9であることが望ましい。これは、上記比率が0.2よりも小さいと、接続端子17の配線基板及び外部電気回路基板との接続境界部20、21に生じる歪みは、突出部18、19によって十分に緩和されず亀裂を発生しやすくなり、0.9よりも大きいと金属層8,15を被着する時に、金属層8,15と導体と突出部管に空隙が生じやすく、ふくれの原因となる歩留りが低下するためである。
【0034】
本発明における前記接続端子17を形成するロウ材の材質は、特に限定されるものではないが、錫(Sn)63重量%−鉛(Pb)37重量%に代表される半田や、銀(Ag)等から成る各種導電材料が適用でき、とりわけ前記金属層8、15との濡れ性や接続性等からは上記半田が好適である。
【0035】
更に、本発明の配線基板の実装構造においては、図2に示すように接続端子17の外形形状は中央部が膨らんだ樽形状の他、中央部がすぼまった鼓形状等、いかなる形状でも適用可能である。
【0036】
一方、配線基板Aのメタライズ配線層2、スルーホール導体3、電極パッド7は、用いるセラミック絶縁基板の材質に応じて、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等の高融点金属やその合金、あるいは銅(Cu)、銀(Ag)等の材料から選択され、いずれも絶縁基板と同時焼成されて形成されていることが望ましい。また、外部電気回路基板Bのスルーホール導体や実装用導体パッド14は、銅(Cu)からなることが最も望ましい。
【0037】
更に、前記金属層8、15は、ロウ材からなる接続端子17と強固に接着させ得るものであればいかなるものでも良く、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)、錫(Sn)を単層または複層で、衆知のメッキ法等により形成される。これらの中でも、強固な接着性の点から、ニッケル(Ni)−金(Au)2層構造、または銅(Cu)が特に望ましい。なお、この金属層8、15の厚みは1μm以上あれば良いが、特に、接続端子との濡れ性及び熱疲労寿命等の耐久性を考慮すると、3〜10μmの範囲内にあることがより好適である。
【0038】
他方、オーバーコート層9、16としては、配線基板Aの電極パッド7、及び外部電気回路基板表面の導体パッド14がその製造工程や稼働中の熱履歴によりセラミック絶縁基板1や樹脂基板10から剥離するのを防止できれば特に限定されるものではなく、例えば、配線基板A側のオーバーコート層9は、セラミック絶縁基板1と同一材質の絶縁層、外部電気回路基板B側のオーバーコート層16は、有機樹脂層からなることが望ましい。なお、このオーバーコート層9、16は、いずれも10μm以上あれば良いが、特に、接続端子との濡れ性及び熱疲労寿命等の耐久性を考慮すると20〜50μmの範囲内にあることがより好適である。
【0039】
本発明において、配線基板Aは、セラミック絶縁基板1を形成する混合粉末を含有するスラリーを用いてドクターブレード法等によりグリーンシートを作製する。次に、グリーンシートに対して、メタライズ配線層2や電極パッド3を形成するための導体ペーストを印刷塗布したり、グリーンシートに対してスルーホール導体3形成のために穴を明けた後に導体ペーストを充填する。また、電極パッド7の周囲を封止するように上記スラリーを所定箇所に塗布する。そしてそれらのグリーンシートを積層圧着した後、所定の温度で同時焼成する。その後、電極パッド3の表面にメッキ等によって金属層15を形成することができる。
【0040】
本発明によれば、電極パッド7および金属層8からなる接続用電極6に対して突出部18を設けるには、上記の製造過程で、電極パッド7が直接接続されるスルーホール導体3を形成する導体ペーストとしてセラミック絶縁基板1の厚さ方向への焼成収縮率よりも収縮率が小さい導体ペーストを用いると、同時焼成後に収縮率の小さいスルーホール導体3が電極パッド7を押し上げるようにして突出するようになる。従って、スルーホール導体3とセラミック絶縁基板1の焼成時の厚み方向の焼成収縮率の差を制御することにより、突出部18の高さh1 を調整することができる。なお、スルーホール導体3の焼成収縮率は、導体ペースト中の金属粉末の粒径を大きくするほど、あるいはペースト中の有機ビヒクル量を少なくすることによって小さくすることができる。
【0041】
また、本発明において、外部電気回路基板Bは、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂とガラス等のフィラーとの混合粉末を含有するスラリーを用いてドクターブレード法等によりシート状に成形する。次に、このシートに対して、穴を明け、銅等の金属粉末と熱硬化性樹脂との混合物からなるペーストを充填した後、シート表面に銅箔などの金属箔を接着し、エッチング処理して導体パッド14等のパターンを形成する。また、導体パッド14の周囲に上記スラリーを塗布しする。その後、適宜所定のシートを積層圧着した後、熱硬化性樹脂が完全硬化するに十分な温度に加熱する。その後、導体パッド14の表面にメッキ等によって金属層15を形成することができる。
【0042】
本発明によれば、導体パッド14および金属層15からなる実装用配線導体11に対して突出部19を設けるには、上記の製造過程で、導体パッド14が直接接続されるスルーホール導体13を形成する導体ペーストとして樹脂基板10の厚さ方向への硬化収縮率よりも収縮率が小さい導体ペーストを用いると、完全硬化時に収縮率の小さいスルーホール導体13が導体パッド14を押し上げるようにして突出するようになる。従って、スルーホール導体13と樹脂基板10の硬化時の厚み方向の硬化収縮率の差を制御することにより、突出部19の高さh2 を調整することができる。
【0043】
なお、スルーホール導体13の硬化収縮率は、スルーホール形成用の導体粉末の粒径が大きいほど、小さく制御でき、さらには、導体ペースト中の熱硬化性樹脂として樹脂基板10を形成する熱硬化性樹脂よりも熱硬化時の収縮の小さい樹脂を配合することによっても容易に制御できる。
【0044】
また、配線基板Aを外部電気回路基板Bに実装するには、配線基板Aの接続用電極6の表面に半田ボール等をリフロー炉等を用いて接続用電極に取り付けるか、接続用電極6に半田を塗布する等として、接続端子17を形成する。また、外部電気回路基板Bにおける実装用配線導11の表面にも半田を塗布してもよい。
【0045】
そして、配線基板Aを外部電気回路基板B表面に位置合わせして載置して、それらをリフロー炉等を用いて200〜270℃の温度に保持して、接続端子17を加熱溶融することにより、配線基板Aを外部電気回路基板Bに実装することができる。
【0046】
【実施例】
本発明の配線基板の実装構造を評価するに際し、先ず、Al2 3 をを主成分とし、SiO2 、MgO、CaO等の焼結助剤を合量で5重量%混合して調製したスラリーを、ドクターブレード法により厚さ300μmのセラミックグリーンシートに成形し、さらにセラミックグリーンシートの所定位置に打ち抜き加工を施して所定径のスルーホールを形成した。
【0047】
一方、タングステン(W)を主成分とする粉末に、有機バインダー、可塑剤、溶剤等の有機ビヒクルを添加して混練機で混練して配線用の導電ペーストを作成した。
【0048】
次に、得られたセラミックグリーンシート上に前記配線用導体ペーストを用いてメタライズ配線層2および電極パッド7をスクリーン印刷法で印刷塗布した。
【0049】
また、スルーホールにも、平均粒径が0.5〜20μmの範囲の種々のタングステン粉末に、前記有機ビヒクルを30体積%添加し、スルーホール導体の焼成収縮率を調整した導体ペーストをスクリーン印刷によって充填した。また、電極パッド7の周囲にオーバーコート層として前記グリーンシート用スラリーを焼成上がりで25μmとなる厚みで塗布した。
【0050】
そして、上記のようにして作製したグリーンシートを5層、積層圧着した後、それらを水素(H2 )と窒素(N2 )の混合ガスから成る還元性雰囲気中、約1600℃の温度で焼成して、厚さが約1.25mmの5層から成り、−50〜400℃の平均熱膨張係数が7ppm/℃の評価用の配線基板を作製した。
【0051】
また、その他、特開平8−279574号に従い、Al2 3 を主成分とする−50〜400℃の平均熱膨張係数が6ppm/℃、9ppm/℃、10ppm/℃、12ppm/℃、15ppm/℃の絶縁基板を用いて上記と同様にして配線基板を作製した。
【0052】
一方、外部電気回路基板は、−50〜400℃の平均熱膨張係数が15ppm/℃のガラス−エポキシ樹脂の複合材料からなるプリント基板の表面に銅箔からなる接続用配線導体が設けられた基板を用いた。
【0053】
次いで、配線基板の接続用電極の表面に、Sn63%−Pb37%の半田ボールを取付けて接続端子を形成し、また、外部電気回路基板の実装用配線導体上に、スクリーン印刷法によってSn63%−Pb37%の半田を塗布した。
【0054】
かくして得られた配線基板の接続用電極と、外部電気回路基板の実装用配線導体とが接触するように載置した後、リフロー炉にて230℃の温度で加熱して、前記接続端子を互いに溶融させて配線基板と外部電気回路基板を接続し、接続端子を介して外部電気回路基板上に配線基板を表面実装し、評価用の実装構造体を得た。
【0055】
なお、熱膨張係数は、配線基板の絶縁基板、外部電気回路基板の樹脂基板から試験片を切り出し、熱膨張測定装置により計測した。
【0056】
更に、前記試料について接続端子を含む断面を研磨加工して鏡面仕上げした後、走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、配線基板のスルーホール導体径d、配線基板における突出高さh1 、接続端子による接続端子高さh2 、配線基板における接続用電極の径φ1 、外部電気回路基板における実装用配線導体の径φ2 をそれぞれ10点計測し、その平均値を求め、h1 /h2 、φ2 /φ1 、h2 /φ2 、及びh1 /dを算出した。
【0057】
かくして得られた評価用の配線基板の実装構造体を用いて、配線基板及び外部電気回路基板の樹脂基板の熱膨張率の差から発生する剪断応力の影響を調べるために、液槽中でのサイクル試験と、気槽中でのサイクル試験を行った。
【0058】
液槽中でのサイクル試験は、試料を−40℃と125℃のガルデン液中にそれぞれ5分間づつ交互に浸漬する温度サイクル試験を行い、250サイクル毎に接続端子に発生する亀裂の進展を接続用電極と実装用配線導体間の抵抗変化によって検出し、抵抗が初期抵抗から変化した時点でのサイクル数で熱疲労寿命を評価した。
【0059】
気槽中のサイクル試験は、試料を−40℃と125℃の大気中にそれぞれ30分間づつ交互に浸漬する温度サイクル試験を行い、250サイクル毎に接続端子に発生する亀裂の進展を接続用電極と実装用配線導体間の抵抗変化によって検出し抵抗が初期抵抗から変化した時点でのサイクル数で熱疲労寿命を評価した。
【0060】
【表1】
Figure 0003744678
【0061】
表1から明らかなように、接続端子において突出部が形成されていない試料No.22、23は、液槽中のサイクル試験では1750サイクル以下で、気槽の熱衝撃試験では、2500サイクル以下で発生した。
【0062】
また、突出部を設けた場合において、そのh1 /h2 比率が0.05〜0.15の範囲を逸脱する試料No.7,11,12,16,17、21、熱膨張差が8ppm/℃よりも大きい試料No.6は、液槽中のサイクル試験は2000サイクル未満、また気槽中のサイクル試験も3000未満で導通不良を生じていた。
【0063】
これに対して、本発明ではいずれも液槽中のサイクル試験では、2000サイクル以上、気槽中のサイクル試験では、3000サイクル以上の耐久性を示した。これは、ビアホール導体の突出部によって、接続端子の配線基板と外部電気回路基板の熱容量の差異による冷却速度の差から発生する剪断応力と配線基板と外部電気回路基板の樹脂基板の熱膨張率の差から発生する剪断応力が緩和されたためと考えられる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の配線基板の実装構造によれば、配線基板の樹脂基板と外部電気回路基板の樹脂基板の熱膨張率の差を8×10-6/℃以下とするとともに、ロウ材による接続端子内に所定の高さの突出部を設けることにより、温度変化が繰り返し加わるような過酷な条件下でも、接続端子に短時間で疲労亀裂が発生することがなく、電気接続性を長期間維持できる高い接続信頼性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】BGA型半導体素子収納用パッケージの実装構造の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】図1の実装構造における接続端子の拡大断面図である。
【図3】従来のBGA型半導体素子収納用パッケージの実装構造の一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック絶縁基板、2:メタライズ配線層,3:スルーホール導体,6:接続用電極、7:電極パッド、8:金属層、10:樹脂基板、11:実装用配線導体、13:スルーホール導体、14:導体パッド、15:金属層、16:オーバーコート層、17:接続端子、18、19:突出部

Claims (3)

  1. 樹脂基板表面に配線基板実装用の配線導体が被着形成された外部電気回路基板上に、セラミック絶縁基板の底面に前記外部電気回路基板との接続用電極を備えた配線基板を載置し、前記配線基板の前記接続用電極と、前記外部電気回路基板の前記実装用配線導体とをロウ材からなる接続端子によって電気的に接続してなる配線基板の実装構造において、前記接続用電極が前記セラミック絶縁基板内に設けられたスルーホール導体の終端に形成されるか、前記実装用配線導体が前記樹脂基板内に設けられたスルーホール導体の終端に形成されており、前記樹脂基板と前記セラミック絶縁基板の−50〜400℃における平均熱膨張係数の差が8ppm/℃以下であり、前記接続用電極および前記実装用配線導体の少なくとも一方の中に前記スルーホール導体を突出させて形成した前記接続用電極および前記実装用配線導体の突出部の少なくとも一方を前記接続端子内に突出させるとともに、前記突出部の前記接続端子高さhに対する前記接続端子内への突出高さh1の比率h/hを0.05〜0.15としたことを特徴とする配線基板の実装構造。
  2. 前記スルーホール導体の直径dと、前記突出高さh との比率h /dが0.2〜0.9であることを特徴とする請求項1記載の配線基板の実装構造。
  3. 前記実装用配線と前記接続端子との接続面の直径φ と、前記高さh との比率h /φ で表される比率が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項1または2記載の配線基板の実装構造。
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