JP3743998B2 - バルブゲート式金型装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブゲート式金型装置に係わり、例えばLCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、炭素繊維入りポリカーボネイト、ガラス繊維入りポリカーボネイトやプラスチックマグネットなどの熱可塑性樹脂の射出成形などに、利用されるものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
製品キャビティへのゲートまでの材料通路内の成形材料である樹脂を加熱して常時溶融状態に保つホットランナー金型装置において、ゲートをバルブピンにより機械的に開閉するバルブゲート式金型装置が知られている。なお、ホットランナー金型装置は、成形能率を高めることを目的としたものであり、ゲートを閉じるのは、型開時などにゲートから樹脂が漏れるのを防止するためである。
【0003】
図5は、この種のバルブゲート式金型装置におけるバルブ装置101の一例を示している。同図において、102は筒状のバルブケーシングで、このバルブケーシング102は、マニホールドに接続されるとともに、固定型の本体部103に形成された組み込み孔104内に挿入されるものである。そして、バルブケーシング102は、そのマニホールド側の端部の径大部105と、反対側のゲート106側の端部の外周面に固定された固定リング107とが前記組み込み孔104に嵌合していることにより本体部103に支持されており、他の部分では、バルブケーシング102と本体部103との間には断熱層をなす隙間が形成されている。また、バルブケーシング102の内部は、前記ゲート106に連通する材料通路108になっている。そして、この材料通路108を貫通して、図示上下方向に移動してゲート106を開閉するバルブピン112が設けられる。また、前記バルブケーシング102の外周面には、材料通路108内の樹脂を加熱するヒーター109が設けられているとともに、このヒーター109を外周側から覆う筒状のヒーターカバー110が固定されている。
【0004】
前述のように、材料通路108内の樹脂はヒーター109の加熱により常時溶融状態に保たれるが、ゲート106から製品キャビティ111内に充填された樹脂は固化させるために冷却しなければならない。しかも、成形能率を高めるためには、速やかに冷却することが望ましい。したがって、バルブケーシング102とこのバルブケーシング102を内部に組み込んである固定型の本体部103の間の断熱が重要である。この断熱のために、バルブケーシング102やヒーター109を覆うヒーターカバー110の外面と、これらを組み込む組み込み孔104の内面との間には、断熱層をなす隙間を形成しており、バルブケーシング102の外面と組み込み孔104の内面とは小範囲でのみ接触させている。
【0005】
このようにバルブケーシング102と固定型の本体部103を小範囲で接触させ、ヒーター109による加熱効率を高めるようにしているが、上述したようなバルブゲート式金型装置において、反ゲート106側の径大部105より中央部で高い傾向を示す。これは、固定型の本体部103に対して、バルブケーシング102の径大部105が接触しているため、この接触部を通じてバルブケーシング102から固定型の本体部103へ熱が逃げることなどに起因する。
【0006】
ところで、一般的な熱可塑性樹脂のほかに所謂エンジニアリングプラスチックなどによる射出成形では、その溶融温度が例えば300℃以上と高いため、バルブケーシング102内の樹脂を高温に保つために比較的大きな容量のヒーターを必要とする。そして、温度の低い部分となる径大部105における材料通路108でも樹脂の流動性を確保できるだけの温度が得られるようにしなければならないが、従来のヒーター109の加熱だけでは、径大部105の材料通路108を上述したエンジニアリングプラスチックの溶融温度まで加熱できなかったり、あるいは大きな容量のヒーターを用いても、中間部の温度だけが過度に高くなり、均一な加熱を行うことができず、樹脂の特性が悪くなる虞がある、という問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、バルブケーシングの材料通路内の成形材料を均一に加熱し、高温領域で溶融する成形材料の射出成形を良好に行うことができるバルブゲート式金型装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1発明のバルブゲート式金型装置は、互いに開閉し型閉時に製品キャビティを相互間に形成する複数の型体と、これら型体のうち製品キャビティへ開口するゲートを有する型体に設けられたバルブ装置とを備え、このバルブ装置は、前記型体に形成された組み込み孔内に組み込まれると共に材料通路を内部に形成したバルブケーシングと、前記バルブケーシングの内部に設けられ前記ゲートを開閉するバルブピンと、前記バルブケーシングの本体部に設けられた加熱手段とを有し、前記バルブケーシングの反ゲート側には本体部より大きな径大部が設けられ、この径大部が嵌合する径大嵌合受部を前記組み込み孔に設け、前記径大部に径大部加熱手段を設け、前記バルブケーシングと前記組み込み孔との嵌合により、前記バルブケーシングの先端部側及び前記バルブケーシングの本体部側に断熱のための隙間を有し、前記バルブケーシングの先端部には前記隙間の先端側を塞ぐための封止リングが型開閉方向へ摺動自在に組み付けられており、前記封止リングは前記材料通路から射出される成形材料の圧力によって前記ゲートの周縁に当接して前記隙間を封止するように構成したものである。
【0009】
このような構成を採用することにより、成形時には、複数の型体を型閉してこれら型体間に製品キャビティを形成するとともにゲートを開き、材料通路からゲートを介して製品キャビティ内に成形材料を充填する。ついで、バルブ装置によりゲートを閉じ、さらに、製品キャビティ内の成形材料が固化した後、型開して製品キャビティ内の成形材料すなわち成形された製品を取り出す。その後、再び型閉して以上の成形サイクルを繰り返すが、全成形サイクルを通じて、バルブケーシングの材料通路内の成形材料は加熱手段の加熱により常時溶融状態に保たれる。そして、組み込み孔に組み込むバルブケーシングは、径大部が径大嵌合受部に嵌合することより、位置決めされる。この位置決め構造を備えたバルブケーシングにおいて、径大部に径大部加熱手段を設けることにより、径大部側の材料通路内の成形材料を溶融状態に必要な温度に加熱でき、本体部に設けた加熱手段と合わせて材料通路全体を温度差の少ない均一な温度に加熱でき、溶融に高温を必要とする成形材料の射出成形に対応可能となる。また、バルブケーシングとゲートを設けた固定側型板との間の隙間が封止リングにより封止されていることにより、隙間に成形材料の樹脂が浸入しないとともに、封止リングによって加熱すべきバルブケーシングと冷却すべきゲートとの間に、隙間による空気断熱層が形成され、優れた断熱性を確保することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明のバルブゲート式金型装置において、前記径大部の反ゲート側において前記材料通路は前記バルブピンから離れた位置に設けられているものである。
【0011】
径大部の反ゲート側において、材料通路はバルブピンと外れた位置にあり、マニホールドなどのランナーに接続され、その径大部は径大嵌合受部に嵌合して接するため、熱が逃げ易く、中央側の本体部に設けた加熱手段では加熱効率が劣るが、径大部加熱手段によりバルブケーシングの径大部を加熱するため、ランナーと接続される径大部の材料通路を、成形樹脂の溶融温度に加熱することができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明のバルブゲート式金型装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず一実施形態を図1から図4に基づいて説明する。まず、射出成形用金型装置の構成を説明する。1は第1の型体としての固定型、2は第2の型体としての可動型で、これら固定型1および可動型2は、図示上下方向(型開閉方向)へ移動して互いに開閉し、型閉時に相互間に製品形状の製品キャビティ3を形成するものである。
【0013】
前記固定型1は、製品キャビティ3を形成する固定側型板6と、前記固定側型板6の裏側(可動型2と反対側)に固定された固定側受け板7と、この固定側受け板7の裏側にスペーサーブロック8を介して固定された固定側取り付け板9とを備えている。前記固定側取り付け板9は、射出成形機の固定側プラテン(図示していない)に取り付けられる。そして、固定側取り付け板9には、ローケートリング11と、射出成形機の成形材料供給装置である加熱シリンダー装置のノズル12が接続されるスプルーブッシュ13とが固定されている。このスプルーブッシュ13の内部は、材料通路であるスプルー14になっている。また、スプルーブッシュ13には、スプルー14を加熱してその内部の成形材料である熱可塑性樹脂を常時溶融状態に保つ加熱手段であるヒーター15が設けられている。また、固定側受け板7と固定側取り付け板8との間には、マニホールド16が設けられている。そして、このマニホールド16の内部には、前記スプルー14を各製品キャビティ3へ分岐させる材料通路であるランナー17が形成されている。また、マニホールド16には、ランナー17を加熱してその内部の熱可塑性樹脂を常時溶融状態に保つ加熱手段であるヒーター18が設けられている。
【0014】
また、固定型1には、ダイレクトゲート20を開閉するゲート開閉手段であるバルブ装置21が組み込まれている。つぎに、このバルブ装置21の構成を説明する。固定型1の本体部を構成する前記固定側受け板7には、前記型開閉方向に貫通する組み込み孔22が形成されており、さらに、本体部たる前記固定側型板6の内部には、前記組み込み孔22に通じる組み込み孔23が形成され、この組み込み孔23の先端に、製品キャビティ3に連通して前記ゲート20が設けられている。そして、それら組み込み孔22,23内にほぼ筒状のバルブケーシング25が組み込まれている。このバルブケーシング25は、径小部たる本体部26の反ゲート20側に、径大部たるフランジ部27を一体に有し、前記マニホールド16および固定側受け板7に固定されている。そして、それら本体部26及びフランジ部27の外周面は円柱面状をなす。
【0015】
また、バルブケーシング25の内部は、マニホールド16内のランナー17を前記ゲート20に連通させる材料通路28になっている。この材料通路28は、前記型開閉方向を軸方向とするほぼ円柱形状の直線部28Aと、この直線部28Aにおけるゲート20と反対側の端部から斜設された屈曲部28Bとを有しており、この屈曲部28Bは後述するバルブピンから離れた位置に開口部28Cを有し、この開口部28Cが前記前記ランナー17に接続されている。
【0016】
また、前記バルブケーシング25の材料通路28におけるゲート20側の先端部33内周面には、ゲート20と間隔をおいて前記型開閉方向に延びるバルブピン支持部としての3枚の支持羽根29が一体に形成されている。これら支持羽根29は、材料通路28の中心軸に対して120°ずつ離れて放射状に位置している。なお、支持羽根29の内側縁は、ゲート14と反対側の部分(図2における上側の部分)が凹弧状の湾曲部30になっているが、他の部分は前記型開閉方向と直交して材料通路28の内周面に至る下端縁部30Aとなっている。なお、支持羽根29の湾曲部30は、成形材料である樹脂の流れに対する抵抗を減らすためのものである。そして、支持羽根29間の凹溝状の部分が分割材料通路部31になっている。これら分割材料通路部31は、支持羽根29が3枚あるので、3つに分かれた通路を形成している。支持羽根29は比較的薄いもので、この支持羽根29の幅よりも分割材料通路部31の幅の方が大幅に大きくなっている。この支持羽根29はバルブケーシング25の先端寄りに形成されると共に、バルブケーシング25の内周面は円柱形状部32となっており、この円柱形状部32からバルブケーシング25の中心方向に向かって前記支持羽根29が一体形成されている。このような支持羽根29を一体に有するバルブケーシング25は、例えば放電加工により製造できる。
【0017】
そして、バルブケーシング25には、固定側取り付け板9に設けられた油圧シリンダーなどの駆動装置の駆動により前記型開閉方向に移動してゲート20を開閉するバルブ体としてのバルブピン36が内蔵されている。このバルブピン36は、ゲート20側の先端部に形成されたゲート閉塞部37がゲート20に挿脱自在に嵌合してこのゲート20を閉じるものである。また、バルブピン36は、前記型開閉方向を軸方向としており、前記バルブケーシング25の支持羽根29の内側縁に外周面が常時摺動自在に接触している。これにより、バルブピン36のゲート20側の先端部が支持されている。さらに、バルブピン36は、バルブケーシング25におけるマニホールド16側の端部では、バルブケーシング25内に固定されたバルブピン支持部としてのガイドブッシュ38により支持されている。すなわち、このガイドブッシュ38内をバルブピン36が摺動自在に貫通している。そして、バルブピン36の基端側は、油圧シリンダー装置39の上下動するピストン40に連結されている。
【0018】
前記バルブケーシング25の本体部26の外周面には、材料通路28を加熱する本体部側加熱手段たるバンドヒーター41およびこのヒーター41を外側から覆うほぼ円筒状のヒーターカバー42が嵌合されている。また、前記フランジ部27の外周面には、材料通路28を加熱する径大部加熱手段たるバンドヒーター43およびこのヒーター43を外側から覆うほぼ円筒状のヒーターカバー44が嵌合されている。また、それらバンドヒーター41,43とともに、本体部26及びフランジ部27の外周面には熱電対などからなる温度センサー41A,43Aが設けられている。
【0019】
前記バルブケーシング25のフランジ部27の先端側に組み込み孔嵌合部46を設け、この組み込み孔嵌合部46の外周面が前記組み込み孔22内に形成された略円柱面状の径大嵌合受部47に嵌合している。これにより、バルブケーシング25のフランジ部27のゲート20側が固定側受け板7に位置決め状態で支持固定されている。尚、この径大嵌合受部47の一部にゲート20側凹んだ溝部48を形成し、この溝部48に前記ヒーター41及び温度センサー41Aを外部の制御装置と電気的に接続するケーブル49を挿通している。
【0020】
また、前記バルブケーシング25の先端側に組み込み孔嵌合部51を設け、この組み込み孔嵌合部51の外周面が前記組み込み孔23内に形成された同径の円柱面状の嵌合面52の基端側嵌合位置52Aに嵌合している。これにより、バルブケーシング25の本体部26のゲート20側が固定側型板6に位置決め状態で支持固定されている。前記嵌合部51の先端には平面部53が設けられ、この平面部53の中央から前記バルブケーシング25の先端部33が突設されている。なお、断熱のために、組み込み孔22,23の内面とバルブケーシング25及びヒーターカバー42の外面との間には隙間54,55が形成されている。また、組み込み孔嵌合部51と嵌合面52との嵌合により、先端部33側の隙間54とヒーター41側の隙間55とを遮断している。そして、バルブケーシング25の先端部33には前記隙間54の先端側を塞ぐための封止部材としての筒状部品56からなる封止リング57が設けられている。この封止リング57の外面58は、全体として前記バルブケーシング25の円柱形状部32に嵌合するように円柱形状をなしているが、ゲート20側先端外周にはテーパー状の面取部59が形成されている。なお、バルブケーシング25の円柱形状部32に組み込まれる封止リング57の高さHは、図3及び図4に示すように、前記バルブケーシング25内に一体形成した支持羽根29の下端縁部30Aからゲート20までの間隔Sより僅かに短く設定されている。これにより、封止リング57は、支持羽根29とゲート20との間においてバルブケーシング25の円柱形状部32に沿って前記型開閉方向へ摺動自在に組み付けられる。また、封止リング57にはバルブピン36の貫通孔60が形成されている。この貫通孔60には、材料通路28側に開口すると共に、ゲート20側へ向かって細くなるテーパー面61が形成され、このテーパー面61の径小側の先端開口62がゲート20に連通している。この封止リング57の先端開口61はゲート20と同径に形成されている。また、封止リング57は、金属材料あるいは本金型装置で成形される樹脂などの成形材料の熱により溶けない耐熱性および耐摩耗性に優れた金属などによって成形されている。そして、封止リング57は成形時において材料通路28側から射出される成形材料が封止リング57の貫通孔60を通過する際、その圧力によって成形材料の射出方向、すなわち、ゲート20側に移動し、封止リング57の先端面が前記ゲート20の周縁に当接する。
【0021】
つぎに、前記の構成についてその作用を説明する。成形にあたって、まず、射出成形機の型締装置は、一定の型締力で固定型1と可動型2とを型閉する。型閉めにより、固定型1と可動型2との間に製品キャビティ3が形成される。図3に示すように、バルブピン36を可動型2から離れる方向へ移動させてゲート20を開放する。なお、ゲート20が開放された状態でも、バルブピン36は、バルブケーシング25の支持羽根29に嵌合したままである。そして、射出成形機から固定型1内に熱可塑性の成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を射出する。この樹脂(図示せず)は、マニホールド16のランナー17などを通り、さらにバルブケーシング25内の材料通路28、バルブピン36が嵌合している支持羽根29間の分割材料通路部31及び円柱形状部32に嵌合した封止リング57内の貫通孔60を通ってゲート20から製品キャビティ3内に流入する。この際、バルブケーシング25の円柱形状部32に摺動自在に嵌合した封止リング57は、成形材料である溶融した熱可塑性樹脂の圧力によってゲート20側に押し出され、封止リング57の先端がゲート20の周縁に当接する。これにより、バルブケーシング25の先端部33と固定側型板6の組み込み孔23の内面との間の隙間54が、封止リング57によって封止される。このようにして製品キャビティ3内に樹脂が充填された後、図4に示すように、バルブピン36が可動型2の方へ移動し、ゲート20に嵌合してこのゲート20を閉じる。
【0022】
このような成形に際して、バルブケーシング25とゲート20を設けた固定側型板6との間の隙間54が封止リング57により封止されていることにより、隙間54に成形材料の樹脂が浸入しない。これとともに、封止リング57によって加熱すべきバルブケーシング25と冷却すべきゲート20との間に、隙間54による空気断熱層が形成され、優れた断熱性を確保することができる。
【0023】
前記バルブケーシング25は、材料通路28内の樹脂を溶融状態に保つため、ヒーター41により高温状態に保ち、ゲート20箇所とバルブケーシング25の先端部33との間に空気断熱層となる隙間54を設け、断熱性を確保している。また、隙間54におけるバルブケーシング25の先端部33の外面33Aと組み込み孔23の内面23Aとの間隔が、ヒーター41に近いほど大きくなるように設定していから、バルブケーシング25側からゲート20側への熱の移動を防止するための効果的な断熱構造が得られる。
【0024】
そして、製品キャビティ3内の樹脂すなわち製品が冷却して固化した後、固定型1と可動型2とを型開して、成形された製品を取り出す。その後、再び型閉が行われて以上の工程が繰り返され、成形が繰り返される。その間、バルブケーシング25の材料通路28内の樹脂はヒーター41,43の加熱により常時溶融状態に保たれる。
【0025】
特に、本実施形態では、上記のバルブケーシング25は組み込み孔22,23に組み込まれて位置決めされ、フランジ部27が径大嵌合受部47に嵌合することより、位置決めされており、このようなバルブケーシング25において、フランジ部27にもバンドヒーター43を設けることにより、本体部26から離れたフランジ部27の屈曲部28B内の成形材料を溶融状態に必要な温度に加熱でき、本体部26に設けたバンドヒーター41と合わせて材料通路28全体を温度差の少ない均一な温度に加熱でき、例えば溶融に300℃以上といった高温を必要とする成形材料の射出成形に対応可能となる。
【0026】
また、バルブケーシング25は、ヒーター41,43の加熱により熱膨張を生じて伸びるが、封止リング57は、バルブケーシング25の内周面に一体形成する支持羽根29の下端縁部30Aからゲート20までの間に摺動自在に組み付けられているので、バルブケーシング25の熱膨張に伴ってバルブケーシング25から強い圧力を受けることもない。すなわち、封止リング57の高さHは、バルブケーシング25の内周面に一体形成する支持羽根29の下端縁部30Aからゲート20までの間隔Sより僅かに短く設定されているので、支持羽根29とゲート20との間において自由に移動可能である。このため、バルブケーシング25に熱膨張が生じて伸びたとしても、封止リング57は、バルブケーシング25の先端に形成される円柱形状部32に沿って摺動し、封止リング57がバルブケーシング25の熱膨張に追従してゲート20に強く押し付けられて変形するおそれもない。これにより、封止リング57によって確実にバルブケーシング25の先端部33と組み付け孔23との間の隙間54を封止することができ、隙間54による断熱効果が損なわれることもない。これとともに、封止リング57はバルブケーシング25と別構成で製作してバルブケーシング25の円柱形状部32に摺動自在に組み込まれるものであるから、封止リング57に多少の寸法誤差や組付誤差が生じても、封止リング57を摺動させることで封止リング57の寸法誤差や組付誤差を吸収することができ、封止リング57の製作に厳しい寸法管理が要求されないから、封止リング57の製作加工も容易である。このように封止リング57は、バルブケーシング25に摺動自在に組み込むことでバルブケーシング25の熱膨張に伴ってバルブケーシング25から強い圧力を受けることもなく、また、多少の寸法誤差や組付誤差が生じてもその誤差を吸収することができるものである。さらに、バルブケーシング25に摺動自在に組み込まれた封止リング57の貫通孔60には、溶融した熱可塑性樹脂の流れに対する抵抗を増大させるテーパー面61が形成されているため、溶融した熱可塑性樹脂が貫通孔60を通過する際、封止リング57は熱可塑性樹脂の圧力によって確実にゲート20の周縁に当接してバルブケーシング25と組み込み孔23の間の隙間54を封止することができる。したがって、樹脂を射出する際、ゲート20から封止リング57が離れて隙間54に熱可塑性樹脂が漏れ出すことなく、封止リング57による封止効果を保つことができる。
【0027】
このように本実形態では、請求項1に対応して、互いに開閉し型閉時に製品キャビティを相互間に形成する複数の型体たる固定型1と可動型2と、これら型体のうち製品キャビティ3へ開口するゲート20を有する型体たる固定型1に設けられたバルブ装置21とを備え、このバルブ装置21は、固定型1に形成された組み込み孔22,23内に組み込まれると共に材料通路28を内部に形成したバルブケーシング25と、バルブケーシング25の内部に設けられゲート20を開閉するバルブピン36と、バルブケーシング25の本体部26に設けられた加熱手段たるバンドヒーター41とを有し、バルブケーシング25の反ゲート20側には本体部26より大きな径大部たるフランジ部27が設けられ、このフランジ部27が嵌合する径大嵌合受部47を組み込み孔22に設け、フランジ部27に径大部加熱手段たるバンドヒーター43を設け、バルブケーシング25と組み込み孔22との嵌合により、バルブケーシング25の先端部33側及びバルブケーシング22の本体部26側に断熱のための隙間54,55を有し、バルブケーシング25の先端部33には隙間54の先端側を塞ぐための封止リング57が型開閉方向へ摺動自在に組み付けられており、封止リング 57 は材料通路 31 から射出される成形材料の圧力によってゲート 20 の周縁に当接して隙間 54 を封止するように構成したから、成形時には、固定型1と可動型2とを型閉してこれら固定型1と可動型2との間に製品キャビティ3を形成するとともにゲート20を開き、材料通路28からゲート20を介して製品キャビティ3内に成形材料を充填する。ついで、バルブ装置21によりゲート20を閉じ、さらに、製品キャビティ3内の成形材料が固化した後、型開して製品キャビティ3内の成形材料すなわち成形された製品を取り出す。その後、再び型閉して以上の成形サイクルを繰り返すが、全成形サイクルを通じて、バルブケーシング25の材料通路28内の成形材料は加熱手段41,43の加熱により常時溶融状態に保たれる。そして、組み込み孔22,23に組み込むバルブケーシング25は、フランジ部27が径大嵌合受部47に嵌合することより、位置決めされる。この位置決め構造を備えたバルブケーシング25において、フランジ部27にバンドヒーター41を設けることにより、フランジ部27側の材料通路28内の成形材料を溶融状態に必要な温度に加熱でき、本体部26に設けたバンドヒーター41と合わせて材料通路28全体を温度差の少ない均一な温度に加熱でき、溶融に高温を必要とする成形材料の射出成形に対応可能となる。
【0028】
また、このように本実施形態では、請求項2に対応して、径大部たるフランジ部27の反ゲート20側において材料通路28の入口部28Cはバルブピン36から離れた位置に設けられおり、バルブピン36から離れた位置の入口部28Cがマニホールド16などのランナー17に接続され、そのフランジ部27は径大嵌合受部47に嵌合して接するため、熱が逃げ易く、中央側の本体部26に設けたバンドヒーター41では加熱効率が劣るが、フランジ部27に設けたバンドヒーター43によりバルブケーシング25のフランジ部27を加熱するため、ランナー17と接続されるフランジ部の屈曲部28Bを、成形樹脂の溶融温度に加熱することができ、溶融に高温を必要とするとともに、最適溶融温度の幅の狭い樹脂の射出成形に対応可能となる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【0030】
【発明の効果】
請求項1発明のバルブゲート式金型装置は、バルブケーシングの反ゲート側には本体部より大きな径大部が設けられ、この径大部が嵌合する径大嵌合受部を前記組み込み孔に設け、前記径大部に径大部加熱手段を設けたので、フランジ部側の材料通路内の成形材料を溶融状態に必要な温度に加熱でき、本体部に設けた加熱手段と合わせて材料通路全体を温度差の少ない均一な温度に加熱でき、溶融に高温を必要とする成形材料の射出成形に対応可能となる。また、バルブケーシングとゲートを設けた固定側型板との間の隙間が封止リングにより封止されていることにより、隙間に成形材料の樹脂が浸入しないとともに、封止リングによって加熱すべきバルブケーシングと冷却すべきゲートとの間に、隙間による空気断熱層が形成され、優れた断熱性を確保することができる。
【0031】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、前記径大部の反ゲート側において前記材料通路は前記バルブピンから離れた位置に設けられているので、ランナーと接続される径大部の材料通路を、成形樹脂の溶融温度に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバルブゲート式金型装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】 同上バルブ装置の断面図である。
【図3】 同上ゲートを開いた状態のバルブ装置先端側の断面図である。
【図4】 同上ゲートを閉めた状態のバルブ装置先端側の断面図である。
【図5】 従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 固定型(型体)
2 可動型(型体)
3 製品キャビティ
6 固定側型板(本体部)
7 固定側受け板(本体部)
20 ゲート
21 バルブ装置
22 組み込み孔
23 組み込み孔
25 バルブケーシング
28 材料通路
28A 屈曲部
28C 入口部
41 ヒーター(加熱手段)
43 ヒーター(径大部加熱手段)
47 径大嵌合受部
54,55 隙間
57 封止リング
Claims (2)
- 互いに開閉し型閉時に製品キャビティを相互間に形成する複数の型体と、これら型体のうち製品キャビティへ開口するゲートを有する型体に設けられたバルブ装置とを備え、このバルブ装置は、前記型体に形成された組み込み孔内に組み込まれると共に材料通路を内部に形成したバルブケーシングと、前記バルブケーシングの内部に設けられ前記ゲートを開閉するバルブピンと、前記バルブケーシングの本体部に設けられた加熱手段とを有し、前記バルブケーシングの反ゲート側には本体部より大きな径大部が設けられ、この径大部が嵌合する径大嵌合受部を前記組み込み孔に設け、前記径大部に径大部加熱手段を設け、前記バルブケーシングと前記組み込み孔との嵌合により、前記バルブケーシングの先端部側及び前記バルブケーシングの本体部側に断熱のための隙間を有し、前記バルブケーシングの先端部には前記隙間の先端側を塞ぐため封止リングが型開閉方向へ摺動自在に組み付けられており、前記封止リングは前記材料通路から射出される成形材料の圧力によって前記ゲートの周縁に当接して前記隙間を封止するように構成したことを特徴とするバルブゲート式金型装置。
- 前記径大部の反ゲート側において前記材料通路は前記バルブピンから離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のバルブゲート式金型装置。
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