JP3743834B2 - 告別システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、告別方法および告別システムに関する。さらに詳しくは、近親者以外の者、とりわけ故人がお世話になった方々のお手をできるかぎりわずらわしたくないという、故人の生前の意思が反映できる告別方法および告別システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、告別の慣行として、告別式場において家族、近親者、隣人、友人、会社関係者など、故人の関係者が、一同に介してお別れをすることが行われてきた。かかる告別方法においては、多くの人たちは、突然、故人の訃報を受け、急遽会場に駆けつけてお別れをするというのが一般的である。
【0003】
しかるに、近年、日本人の平均寿命が世界一位を常に争い、年々これを更新している現状において、被葬者の高齢化が進み、特に職場関係者や知古友人との間が、疎遠となっているケースが増大している。また、親類縁者についても小家族化の益々の進展によって、それぞれが独立した社会生活を営んでいるのが通常であり、日常生活においても加齢とともに没交渉となっていくのが一般的である。
【0004】
このような社会環境の変化から、自らの葬儀については、ごく身近な人達を中心に行ってもらい、それ以外の関係者については、そのような人達の生活リズムに与える影響を、最小限に留めるような態様でお別れを行って欲しいと考えている高齢者は数多い。とりわけ、お世話になった方々のお手をできるかぎりわずらわすことなく、人生の最後を飾りたいと願っている高齢者の数は多い。
【0005】
このような要求から、また近年のいわゆるIT(information technology;コンピュータを核とした情報関連技術)革命を背景として、コンピュータを利用した通信ネットワークを用いた様々な告別方法が提案され知られるところとなっている(例えば、特開2001−306721号公報、特開2002−7596号公報および特開2002−49711号公報参照)。
【0006】
ところが、これらの方法は概して利便性の追求に偏り、平素忘れがちな厳粛なる感慨を抱きつつ故人に対するお別れを行うといった、告別本来の趣旨を没却している傾向があるため、告別式や葬儀に関し厳かな雰囲気を望む大多数の人達には、容易に受け入れられない非現実性を有しているといった問題がある上に、故人がお世話になった方々への感謝の念を表現することも充分になし得ないといった問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、近親者以外の方々、とりわけ故人がお世話になった方々のお手をできるかぎりわずらわすことなく、しかも故人の生前の意思を反映した告別がなし得る告別方法および告別システムを提供することを主たる目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の告別システムは、告別式運営者側に設置された管理装置と、該告別式運営者と告別式について提携している提携施設に設置された端末とを備えた告別システムであって、
前記管理装置と前記端末とはコンピュータを利用した通信ネットワークにより接続可能とされ、
前記管理装置は、告別予定者情報管理部と、契約者データ管理部と、告別実行者管理部と、入力装置と、出力装置と、告別カード発行装置と、記憶装置とを有し、
前記告別予定者情報管理部は、前記入力装置からの入力に応答して当該告別システムにより告別を行うことが予定される者に関する情報を前記記憶装置に格納し、
前記契約者データ管理部は、前記入力装置からの入力に応答して告別者が故人となった当該契約者を偲んだり、故人となった当該契約者が告別者に感謝の念を表したりするための画像、映像、音声などのデータを前記記憶装置に格納し、
前記告別実行者管理部は、前記告別予定者情報管理部に管理されている告別予定者の中で告別を実行した告別予定者の情報を前記端末からの入力に応答して前記記憶装置に格納し、
前記出力装置は、前記告別実行者管理部からの入力に応答して告別実行者リストを出力し、
前記告別カード発行装置は、前記告別予定者情報管理部からの入力に応答して告別者特定情報を記録した告別カードを発行し、
前記端末は、画像表示装置と、映像出力装置と、音声出力装置と、前記告別カード読取装置とを有し、
前記管理装置は、前記端末からの要求に応じて前記契約者データ管理部に管理されているデータを送信し、
前記端末は、前記告別カード読取装置により読み取られた告別カードに記録されている告別者特定情報を、前記管理装置の前記告別実行者管理部に送信する
ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の告別システムにおいては、告別カードに当該告別カードが発行された者と契約者との関係に関する情報が付与されてなるのが好ましい。
【0022】
【作用】
本発明の告別システムは、前記の如く構成されているので、近親者以外の関係者、とりわけ故人が生前にお世話になった方々のお手をできるかぎりわずらわさせたくないという、故人の生前の意思および感謝の念を反映させて告別式を行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態に係る告別方法が適用される告別システムの概略構成を示す。この告別システムは、人生で一応の成功を納め者がその最後を飾るにあたって、お世話になった方々のお手をできるかぎりわずらわしたくないという故人の思いが反映できるシステムとされる。
【0025】
この告別システム(以下、単にシステムという)Aは、具体的には、システムAを運営する告別式運営者(以下、運営者という)Bが、運営者Bと告別式の運営に関し委託契約を結んだ告別式委託者(以下、契約者という)Xの生前の意思に基づいて、契約者Xが死去したときに契約者Xの感謝の念を実現できる態様で告別を行うシステムとされる。
【0026】
システムAは、より具体的には、各種管理処理を行う運営者B側に設置された管理装置1と、運営者Bと提携関係にある全国各地の告別施設、例えば寺院、大規模霊場、(以下、提携施設という)Cに設置され、管理装置1とインターネットなどのコンピュータを利用した通信ネットワーク2を介して接続される端末3、3、…(以下、単に端末3という)とから構成される。
【0027】
ここで、提携施設として採用される施設は、端末3が設置されるスペースを有するとともに、後掲する告別受付期間に亘って故人を祀る祭壇(共同のものでも良い)、位牌などを設営するスペースを有する施設とされる。また、告別の場に立ち会うことができる僧侶、神官などの聖職者が常駐しているものとされ、交通の便のよい場所、例えば主要駅の近くや幹線道路沿いに設けられているのが好ましい。
【0028】
管理装置1は、通信ネットワーク2に接続される1または複数のコンピュータからなり、告別を行うことが予定される者(以下、告別予定者という)に関する情報を管理する告別予定者情報管理部11と、告別者が故人を偲んだり故人が告別者に感謝の念を表したりするための画像、映像、音声(メッセージ)などのデータを管理する契約者データ管理部12と、告別を実行した告別予定者についての情報(以下、告別実行者情報という)を管理する告別実行者情報管理部13とから構成されるとともに、各種データを入力する入力装置14と、後掲する告別実行者リストなどの作成をなす出力装置15と、後掲する告別カードを発行する告別カード発行装置16とを備えてなるものとされる。
【0029】
このような管理装置1は、ハードウェアとしてCPU(central processing unit;中央処理装置)、主記憶装置(例:RAM(random access memory;随時書き込み読み出しメモリ)および入出力制御装置を含むとともに、告別予定者情報管理部11、契約者データ管理部12、告別実行者情報管理部13を構成する各プログラムソフトウェア、各管理部11、12、13により管理される告別予定者情報、契約者データおよび告別実行者情報を格納し保存する、例えばハードディスク記憶装置からなる補助記憶装置を含むものとされる。なお、入力装置14、出力装置15および告別カード発行装置16は、公知の入力装置、出力装置およびカード発行装置を好適に用いることができる。
【0030】
以下、各管理部11、12、13を詳述する。
【0031】
告別予定者情報管理部11は、契約者Xの生前の意思に基づいて、後掲する新しい態様で告別を行う告別予定者(以下、新式告別予定者という)を設定し、設定された新式告別予定者についての情報、例えば住所、連絡先に関する情報を管理する。
【0032】
ここで、新式告別予定者とは、お通夜、密葬など慣例的な儀式に参列して告別を行う者、例えば、契約者の近親者、すなわち故人の身近にいてお世話になっている人、故人の遺体を前にしてのお別れを望まれるであろう人、故人が葬儀、お通夜に立ち会ってもらいたいと思っている人(本明細書では、これらの人を総称して近親者と呼ぶ)以外の告別予定者をいう。
【0033】
契約者データ管理部12は、告別者が故人を偲ぶことができたり、あるいは故人が特定の告別者に対して感謝の念を表すことができたりするよう契約者Xの挨拶や略歴、業績などを記録した画像データ、映像データ、音声データなどを契約者データとして保存し、端末3からの要求に応じて当該契約者データを端末3に送信する。かかる機能を実現するため、端末3は画像表示装置、映像出力装置、音声出力装置などを備えてなるものとされる。
【0034】
告別実行者情報管理部13は、予め定められた期間(以下、告別受付期間という)内に提携施設Cを訪れ、告別を実行した告別予定者についての情報を端末3を介して取得し、保存するものとされる。
【0035】
以下、システムAによる告別サービスを具体的に説明する。
【0036】
図2に、告別サービスのタイムチャートを示す。同図に示すように、契約者Xの生前において、運営者Bと契約者Xとが委託関係に入ると、契約者Xの意思に基づいて、以下に示す告別サービスについての細目(以下、サービス実施細目という)が策定される。
【0037】
(1)新式告別予定者として告別予定者情報管理部11に登録する者の人選を契約者Xの意思に基づいて行い、その者についての情報を告別予定者情報管理部11に入力し保存する。この告別予定者情報には、告別予定者と契約者との関係に関する情報も含まれるものとされる。例えば、友人であるとか、会社関係者であるとか、業界関係者であるとかという情報も含まれるものとされる。
【0038】
(2)契約者データ(デジタルカメラによる撮影、ビデオテープの録画、メッセージの録音など)を作成し、契約者データ管理部12に格納する。この場合、契約者データは、知人や友人、あるいは業界関係者など契約者Xとの関係に応じたものを数種類作成するようにされてもよい。
【0039】
(3)契約者Xの死去時に、委託関係を引き継いでシステムAによるサービスを実際に受ける者(以下、サービス受領者という)Yを選定する。選定されるサービス受領者Yは例えば2名とされる。
【0040】
(4)近親者が参列する密葬やお通夜における運営者Bが補助する項目および段取りを確認する。例えば、近親者が内輪で告別式を行う場合に、霊柩車の手配を行うなどかについて確認する。
【0041】
また、このようにして策定されるサービス実施細目は、契約者Xが死去するまでの間、契約者Xの意思に基づいて随時変更が加えられるとともに、所定の期間(例えば1年)毎に見直され、内容が適切なものとなるように調整される。
【0042】
以下、契約者Xが死去した時点以後の処理を説明する。
【0043】
契約者Xが死去すると委託契約はサービス受領者Yに引き継がれ、サービス実施細目に従って、以下に示すようにして告別サービスが提供される。
【0044】
(11)運営者Bは契約者Xが死去したとの通知を受け取ると、システムAを介して前記手順(4)で確認された段取りに従い、近親者が混乱なく慣例的方法により告別を行うことができるよう補助する。
【0045】
(12)告別予定者情報管理部11に登録された新式告別予定者に宛てて、契約者X死去の事実、システムAにおける告別要領情報、例えば告別方法の概要、全国各地の提携施設C,C,C,…の住所や案内図および告別受付期間などを通知する書面とともに、作成した告別カードを発送する。
【0046】
ここで、告別カードとは、新式告別予定者が提携施設Cにおいて告別を行ったことを、端末3により通信ネットワーク2を介して管理装置1、つまり運営者Bに通知できるように、新式告別予定者を特定する情報(以下、告別者特定情報という)が記録されたカードをいう。例えば、告別カードは告別者特定情報が磁気的方法により記録される磁気カードとされ、端末3に付設される公知構造の磁気カード読み取り装置3aにより記録内容が読み取られるものとされる。
【0047】
ここで、告別受付期間は例えば1ヶ月〜6ヶ月とされる。なお、告別受付期間の設定は、告別者にできるだけ負担をかけずに新式告別予定者が都合の良いときに告別を行うことができるという、本システムの趣旨に合致する相当な期間であればよい。また、契約者Xとの契約により前掲した趣旨に合致する範囲内の期間を任意に設定するものとしてもよい。
【0048】
(13)契約者X死去の事実が提携施設C,C,C,…に通知され、提携施設C,C,C,…において契約者Xを祀る祭壇、位牌等の告別用設備の準備を行うとともに、告別カードを受け付けるよう磁気カード読み取り装置3aを含む端末3をスタンバイさせる。
【0049】
(14)告別が開始されたときに端末3を介して契約者データを出力できるように、契約者データを管理装置1から各端末3に向けて送信する。
【0050】
(15)告別受付期間内に全国各地の提携施設C,C,C,…のいずれかを訪れて告別を行う。この告別においては、告別カードに格納されているその告別カード保持者と契約者との関係に応じた映像やメッセージなどが端末3の画像表示装置や音声出力装置から出力される。
【0051】
(16)端末3により告別カードから読み取られた新式告別予定者の情報を通信ネットワーク2を介して収集し、告別実行者リストとして纏める。
【0052】
(17)告別受付期間終了後、告別実行者リストをサービス受領者Yに提出し、告別サービス、つまり委託関係を終了する。
【0053】
このように、実施形態の告別システムAは、契約者Xの意思に基づき契約者Xの関係者を親疎に応じて近親者とそれ以外の新式告別予定者とに区別し、近親者については従来通りにお通夜および葬儀を行うことができるよう補助するとともに、新式告別予定者については告別期間内の都合の良いときに全国各地の提携施設C,C,C,…の中から都合のよい施設を選択して告別するものとされ、そしてこのようにして告別を実行した告別実行者についての情報を管理装置1が端末3により通信ネットワーク2を介して収集してサービス受領者Yに報告する。したがって、近親者以外の関係者にできるかぎり負担をかけたくないという故人の意思を尊重しながら、粛々と故人とのお別れを行うことが可能となる。
【0054】
また、携帯電話やパソコンのみを介した子供騙しの告別ではなく、例えば聖職者の立ち会いの下に、故人の祭壇、位牌の前で厳粛に告別を行うことができるので、葬儀に関し多少とも厳かさを求める大多数の人が抵抗なく告別を行うことが可能となる。
【0055】
さらに、故人の画像や映像を見ながら、あるいは故人のメッセージを聴きながら告別できるので、故人を偲んだり故人が感謝の念を表現したりすることも可能となる。
【0056】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施形態では提携施設C,C,C,…は国内施設とされているが、提携施設Cは国内施設のみに限定されるものではなく国外施設とされてもよい。そして、そうすることにより、国際化が進展している現在、より多くの関係者が故人に対して告別することが可能となる。また、実施形態では告別カードは磁気カードとされているが、告別カードは告別者を特定できる機能を有する各種カードとでき、例えばICカードとすることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の告別システムによれば、近親者以外の関係者、とりわけ故人が生前中にお世話になった方々にできるかぎりお手をわずらわせたくないという故人に意思を反映しながら、しかも厳かな雰囲気により告別がなし得るという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る告別システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】同システムによる弔事運営補助の具体的内容を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
A 告別システム
B 告別式運営者
C 提携施設
X 契約者
Y サービス受領者
1 管理装置
2 通信ネットワーク
3 端末
11 告別予定者情報管理部
12 契約者データ管理部
13 告別実行者情報管理部
Claims (2)
- 告別式運営者側に設置された管理装置と、該告別式運営者と告別式について提携している提携施設に設置された端末とを備えた告別システムであって、
前記管理装置と前記端末とはコンピュータを利用した通信ネットワークにより接続可能とされ、
前記管理装置は、告別予定者情報管理部と、契約者データ管理部と、告別実行者管理部と、入力装置と、出力装置と、告別カード発行装置と、記憶装置とを有し、
前記告別予定者情報管理部は、前記入力装置からの入力に応答して当該告別システムにより告別を行うことが予定される者に関する情報を前記記憶装置に格納し、
前記契約者データ管理部は、前記入力装置からの入力に応答して告別者が故人となった当該契約者を偲んだり、故人となった当該契約者が告別者に感謝の念を表したりするための画像、映像、音声などのデータを前記記憶装置に格納し、
前記告別実行者管理部は、前記告別予定者情報管理部に管理されている告別予定者の中で告別を実行した告別予定者の情報を前記端末からの入力に応答して前記記憶装置に格納し、
前記出力装置は、前記告別実行者管理部からの入力に応答して告別実行者リストを出力し、
前記告別カード発行装置は、前記告別予定者情報管理部からの入力に応答して告別者特定情報を記録した告別カードを発行し、
前記端末は、画像表示装置と、映像出力装置と、音声出力装置と、前記告別カード読取装置とを有し、
前記管理装置は、前記端末からの要求に応じて前記契約者データ管理部に管理されているデータを送信し、
前記端末は、前記告別カード読取装置により読み取られた告別カードに記録されている告別者特定情報を、前記管理装置の前記告別実行者管理部に送信する
ことを特徴とする告別システム。 - 告別カードに当該告別カードが発行された者と契約者との関係に関する情報が付与されてなることを特徴とする請求項1記載の告別システム。
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