JP3743595B2 - 自走式ソイルセメント製造システム及びその施工法 - Google Patents

自走式ソイルセメント製造システム及びその施工法 Download PDF

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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事完了後のソイルセメントの固化強度の均一化を確保しつつ、より骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮等を図った自走式ソイルセメント製造システム及びその施工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソイルセメントとは本来、土にセメント又はセメント及び水等を加えて混合しセメントの水硬作用に基づき土粒子間を結合させた改良土を言う。尚、「水等」の「等」とは例えば苛性ソーダ、苛性カリウム、水酸化ナトリウム等の硬化促進剤や減水剤や空気連行剤等を指し、必要に応じて添加される添加剤である。そしてこれを発展させて各種建設現場において、岩塊や土砂等の現地発生骨材にセメント又はセメント及び水等を加えて混合し、このソイルセメントを投入地に投入することにより骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮等を図った、いわゆるCSG(Cemented Sand and Gravel)工法が盛んである。このCSG工法を経済的上好適に使用できる投入地としては、例えばロックフィルダム等の大規模建設工事や火砕流堆積地での導流堤等の中規模建設工事を掲げることができる。そしてこのような工事で用いられるCSG工法でのソイルセメント製造システムとしてはバッチャープラント式及び生コン車式が普通である。
【0003】
(1)バッチャープラント式は定置式であり、現地発生骨材にセメントや水等を加えて混合しソイルセメントを製造する。ソイルセメントはダンプトラック等の輸送機械によってバッチャープラントから投入地へ運ばれ用いられる。
【0004】
(2)生コン車式は自走式であり、予め破砕機械によって所定粒度以下に破砕した現地発生骨材をセメント及び水等と共に投入され、投入地まで自走しつつこれらを混合しソイルセメントを製造する。ソイルセメントは投入地において生コン車から投下され用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来技術には次のような問題がある。問題を明らかにするために投入地として導流堤を例に述べる。導流堤とは例えば火砕流堆積地における新たな火砕流や多雨によって土石流化した火砕流堆積土砂を意図する方向へ導くための堤防である。従って導流堤は広域な火砕流堆積地において規則的に多数配置されることになる。そしてこの導流堤を短工期で、かつ低コストで完成させるには火砕流堆積土砂を現地発生骨材として用いるCSG工法の採用が望まれる。即ちこのような導流堤築堤における上記従来技術の問題は次の通り。
【0006】
(1)バッチャープラント式は定置式である。従って多量の骨材を採取できる箇所に建設され、長期間に渡って安価なソイルセメントを多量生産するに好適である。ところが火砕流堆積地での火砕流堆積土砂は広域であるが厚みが無く、このため一か所から現地発生骨材とされる火砕流堆積土砂を多量に採取することができない。従って各所から火砕流堆積土砂を採取するためのパワーショベルやホイールローダ等の採取機械と、採取した火砕流堆積土砂をバッチャープラントまで運ぶためのダンプトラック等の輸送機械と、バッチャープラントで製造したソイルセメントを導流堤まで運ぶためのダンプトラック等の輸送機械とがどうしても必要となる。勿論、輸送機械を走行させるための整地済み走行路を予め建設しておく必要もある。また採取機械とそのオペレータの他、多数の輸送機械及びそのオペレータを確保しておく必要が有り、骨材等の輸送費節減や省人化の妨げとなる。勿論、バッチャープラントの移設には多大な費用と工数とを必要とし、小回りが効かない。
【0007】
(2)生コン車式は自走式である。ところがこの方式は予め火砕流堆積土砂を所定粒度以下に破砕しておく破砕機械が必要となる。従って生コン車は破砕機械と導流堤との間を往復走行することとなる。つまり多数の生コン車及びそのオペレータと、生コン車を走行させるための整地済み走行路を予め建設しておく必要もある。つまりこの生コン車式は主に省人化の点で上記バッチャープラント式と同じ問題を有することになる。
【0008】
(3)尚、他のCSG工法として、
(31)第1に、例えばスケルトンバケット付きパワーショベルによって所定粒度以下の現地発生骨材を篩って採取し、これにセメントや水等(いわゆるセメントミルクである)を加えパワーショベルによって混合しソイルセメントを製造し、このソイルセメントを投入地に投入したり、
(32)第2に、ソイルセメントを敷き慣らしする投入地では、同じく例えばスケルトンバケット付きパワーショベルによって所定粒度以下の現地発生骨材を篩って採取し、これにセメントを加えてパワーショベルによって混合しソイルセメントを製造し、このソイルセメントを投入地に敷き慣らしつつ散水し(いわゆる散水式である)、振動ローラやマカダムローラ等の締固め機械によって締固めるものも有る。
【0009】
ところがこれらもCSG工法ではあるものの、所定粒度以下の現地発生骨材を篩って採取するため歩留りが悪く、従って極めて局地的かつ小規模工事に対しては好適であるが上記大中規模の建設工事には工期的に全く採用できない。またこれらは共に混合がパワーショベルのオペレータの技量に依存するため、混合が十分に行われる保証がなく、工事完了後のソイルセメントの固化強度に不均一が生ずる。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、工事完了後のソイルセメントの固化強度の均一化を確保しつつ、より骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮等を図った自走式ソイルセメント製造システム及びその施工法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記目的を達成するため、本発明に係る自走式ソイルセメント製造システムの第1は、現地発生骨材4にセメント6を加えて混合しソイルセメント42を製造するソイルセメント製造システムにおいて、(a) 現地に自走自在に配置され、現地発生骨材4を受けてこれを所定粒度以下に破砕し2次骨材41を製造する自走式破砕機械Cと、(b) 現地に自走可能に配置され、2次骨材41を受けてこの2次骨材41にセメント6及び水7を加えて混合しソイルセメント42を製造する自走式混合機械Dとを有することを特徴としている。
【0012】
上記第1構成によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dは夫々自走式である。このため夫々が個別移動でき、また組合わせ配置の自由度が高くなる。具体的には次(11)〜(14)のような効果を奏する。
(11)狭い現場で点在する投入地1に対しても、また全く遠隔の投入地1間に対しても、分解することなく自在に移動でき、しかも最適地(例えば現地発生骨材4を採取又は集荷するに最適な箇所に、かつ他の施工の邪魔にならぬ箇所に)に駐停車でき、施工に供することができる。しかも自走式破砕機械Cはその場で現地発生骨材4を所定粒度以下に破砕できるため骨材費低減に寄与する。
(12)単なる自走式であるならば、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dを一体化してもよいことになる。ところがこのように一体化すると、全体が大形化するだけで次の通り結果的には定置形の、しかも超小型のバッチャープラント式となってしまう。つまり自走式という条件を満足するには、公路を経た施工現場間を分解されることなく輸送可能である必要が有り、かつ自走もできなければ意味がない。ところがこの条件を満足させるには、極めて小規模のバッチャープラント並の車格となってしまい、使い所が制限されてしまう(と言うよりも使い所が無くなる)。ところが第1構成は上記の通り、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dが夫々自走式である。このため例えば自走式破砕機械Cだけを現場に先行配置し現地発生骨材4を所定粒度以下に破砕し2次骨材41を予め製造し多量に貯留しておくことができる。言い換えれば、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dの車格(即ち単位時間当たりの生産量)が互いに違っていても、一方の稼働時間を長くさせたり、また一方を複数台配置することもできる。即ち施工に対する組合わせ自由度が高くなり、工期短縮に寄与する。
(13)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dを夫々自走式としてあるため、これらの遠隔現場間の輸送費を低減できる。
(14)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dは共に単調駆動機械であるから、一旦稼働させてしまえば夫々にオペレータが1名ずつ常時張り付いている必要もない。つまり自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dの使用台数と、オペレータの数とが無関係である。従って省人化を達成しつつ生産性の向上(即ち工期の短縮)を図ることができる。
(2)また上記第1構成によれば、自走式混合機械Dが受ける総ての現地発生骨材4が自走式破砕機械Cによって所定粒度以下に破砕されるため歩留りが良い。また自走式混合機械Dによって2次骨材41とセメント6とを混合するため、混合が十分に均一となる。さらにまた自走式破砕機械Cが生産する2次骨材41の粒径分布は、スケルトンバケット付きパワーショベル等によって現地発生骨材4を篩って採取した自然の粒度分布と比較し、共に所定粒径以下であるにしても揃ったものとなる。従って自走式混合機械Dによる2次骨材41とセメント6との混合の均一性がさらに改善される。即ちソイルセメント42の敷き慣らし施工時において、散水後のソイルセメント42の固化強度を均一化できる。尚、散水しなくとも大気の水分や雨等を吸って固化させてもよい。
(3)即ち上記第1構成によれば、工事完了後のソイルセメント42の固化強度の均一化を確保しつつ、より骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮等を図ることができる。
(4)自走式混合機械Dは2次骨材41にセメント6及び水7を加えて混合しソイルセメント42を製造する。従って施工完了後のソイルセメント42の固化強度は2次骨材41にセメント6のみを加えて混合する場合よりもさらに均一化する。
【0015】
第2に、上記第1の自走式ソイルセメント製造システムにおいて、
(a) 自走式破砕機械Cと自走式混合機械Dとをソイルセメント42の投入地1の近傍に配置すると共に、
(b) 自走式破砕機械Cと自走式混合機械Dとの間及び自走式混合機械Dと投入地1との間のいずれか一方又は両方に可搬式又は自走式のベルトコンベア等でなるフィーダを架設したことを特徴としている。
【0016】
工事現場によっては自走式破砕機械Cと自走式混合機械Dと投入地1とを連設できない場合が多々ある。そこで上記第2構成ではフィーダを用いてこれらを連接自在としてある。またフィーダは可搬式は当然としても、自走式とすることにより設置所要時間を短縮でき、省人化や工期短縮に大きく寄与できる。
【0017】
一方、自走式ソイルセメント製造システムの施工法は、
(a) 現地発生骨材4でなる盛り山2を投入地1の隣接地に築立し、
(b) 盛り山2上に上記第1、第2又は第3の自走式ソイルセメント製造システムと掘削積込機械Bとの内、少なくとも自走式混合機械Dを配置し、
(c) 掘削積込機械Bによって盛り山2を掘削しつつ掘削した現地発生骨材4を自走式破砕機械Cに投入し、
(d) 自走式混合機械Dからのソイルセメント42を投入地1に投下することを特徴としている。
【0018】
上記施工法は上記第1又は第2の自走式ソイルセメント製造システムを最適に使用できる施工法の具現化例である。即ち次のような作用効果を奏する。
(1)現地発生骨材4は自走式破砕機械Cによって破砕されるから、盛り山2の築立時における現地発生骨材4の個々の大きさに制限が殆ど無い。従って盛り山2を迅速に築立できる。つまり工期短縮に寄与する。
(2)投入地1に必要な量の現地発生骨材4を使って盛り山2を築立することになる。この結果、投入地1で用いる現地発生骨材4を完全に確保できる。
(3)盛り山2が投入地1の隣接地に築立され、しかも盛り山2上に少なくとも自走式混合機械Dが配置される。このため自走式混合機械Dからソイルセメント42を投入地1に直接投入できる。つまりソイルセメント42が必要の都度、その必要量を高精度で管理できる。即ちソイルセメント42を無駄なく製造でき、利用でき、低コスト化に寄与できる。
(4)投入地1が堤防や導流堤のように、施工経過に応じて漸高するときは自走式混合機械Dに加え、掘削積込機械Bや自走式破砕機械Cも盛り山2上に配置できる。またフィーダを用いてこれらを連設できる。つまり掘削積込機械B、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dの配置自由度が高くなり、またこれらの設置箇所が盛り山2上又はその近傍になるために施工速度が高速化する。
(5)盛り山2の築立材料である現地発生骨材4を盛り山2の近傍(従って投入地1の近傍)から採取すると、採取地を深穴化できる。そしてこの深穴に雨水や地下水が溜まると池になる。この池水を自走式混合機械Dや投入地1での散水において、現地発生骨材4とセメント6とに混ぜ込むことができる。勿論、池の水を他に転用することもできる。
(6)尚、盛り山2は投入地1の建設に先立ち一括築立してもよいが、施工に応じてその形状や高さを適宜変化させつつ築立してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下図1〜図3を参照し実施例を説明する。図1は第1実施例を備えた導流堤築堤現場の一部断面側面図、図2は自走式破砕機械の一部断面側面図、図3は自走式混合機械であり、(a)は一部断面側面図、(b)は平面図である。第1実施例は次の通り。
【0020】
図1には築堤中の投入地1なる導流堤1と、導流堤1の隣接地に築立した盛り山2と、盛り山2に近接して穿った深穴3とが示されている。導流堤1上には振動ローラAが稼働し、盛り山2上にはパワーショベルB、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dが稼働する。詳しくは次の通り。
【0021】
盛り山2は導流堤1の近傍域の表土(火砕流堆積土砂である)、導流堤1の基部(導流堤1の地中部である)に当初存在していた火砕流堆積土砂及び導流堤1の近傍域内に設けた深穴3に存在していた火砕流堆積土砂をブルドーザ、ホイールローダ、パワーショベル等の土砂移送機械によって予め運土し築立したものである。従って盛り山2は火砕流堆積土砂であり、その殆どが現地発生骨材4として導流堤1に使用できる。尚、盛り山2の築立には次(A1)〜(A3)を参考にするとよい。
【0022】
(A1)火砕流堆積土砂の中には巨大な岩塊も存在するが(例えば1m3 以上のもの)、これは予めブレーカ等によって祖割して盛り山2の築立に供するか、又は導流堤1の完成後に深穴3の埋め戻しに供するのがよい。
【0023】
(A2)盛り山2に使用される火砕流堆積土砂の総量は基本的には導流堤1に必要とされる現地発生骨材4の総量程度とするのが望ましい。
【0024】
(A3)盛り山2は導流堤1の築堤に先立ち一括築立してもよいが、次のように漸時築立してもよい。盛り山2の縦横形状は導流堤1の築堤に先立ち導流堤1に沿った形状に一括築立するのが望ましく、一方、盛り山2の高さは導流堤1が漸高するに従って漸高させるのが望ましい。いずれにしても盛り山2の上面に少なくとも自走式混合機械Dを配置できる略平地を有するようにする(尚、本第1実施例では図1に示す通り盛り山2の上面にパワーショベルB、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dを配置できる略平坦地を有するが、これも導流堤1の築堤の進歩状況に応じて適宜変更するのがよい(詳細は後述する))。
【0025】
深穴3は上記の通り、盛り山2の構成材料としての火砕流堆積土砂4を得るために盛り山2の隣接位置にブルドーザ、ホイールローダ、パワーショベル等の土砂移送機械によって穿った穴である。そして深穴3には図示するように、雨水や地下水が溜まって池5となっている。
【0026】
振動ローラAは、導流堤1上に例えば40cmの厚さに敷き慣らされたソイルセメント42を転圧するための締固め機械である。尚、締固め機械としては振動ローラAの他、マカダムローラやタンデムローラ等のロードローラ、タイヤローラ、タンピングローラ又は手動操作ではあるが振動タンパ等が各種有り、これらの中から適宜選択使用すればよい。また図示しないが、導流堤1上には詳細を後述するソイルセメント42を敷き慣らすための小形ブルドーザや導流堤1を法面仕上するためのパワーショベル等が同時配置されている。この場合、これら各種機械(振動ローラA、ブルドーザ、パワーショベル等)は同時操作を回避すれば、1名のオペレータで施工可能である。
【0027】
パワーショベルBはクローラ式下部走行体B1上に上部旋回体B2を旋回自在に有し、上部旋回体B2上に運転席と、起伏自在とされた関節アーム式作業機B3とを有する。関節アーム式作業機B3は先端に上下方向に回転自在とされたバケットB31を有する。そして盛り山2上を走行し、旋回し、起伏し、回転することにより盛り山2自体を掘削し、掘削した火砕流堆積土砂4を自走式破砕機械Cに供給する。
【0028】
自走式破砕機械Cは上記の通り、パワーショベルBから火砕流堆積土砂4を受けてこれを所定粒度以下(本第1実施例では40mm以下)に破砕し2次骨材41を製造する。詳しくは次の通り。自走式破砕機械Cは図2に詳記する通り、クローラ式下部走行体C1上にパワーショベルBから火砕流堆積土砂4を投下されるホッパC2と、ホッパC2の底部に設けたフィーダC3と、フィーダC3の端部下方に設けたクラッシャC4と、クラッシャC4の下方に設けたベルトコンベアC5とを有している。クラッシャC4の上部は開口してフィーダC3の端部に臨み、クラッシャC4の下部も開口してベルトコンベアC5の上面に臨む。即ちフィーダC3の駆動によってクラッシャC4の上部開口からクラッシャC4内(破砕室)に火砕流堆積土砂4が投入され、投入された火砕流堆積土砂4がクラッシャC4の駆動によって破砕されて2次骨材41となりクラッシャC4の下部開口からベルトコンベアC5上に排出され、ベルトコンベアC5の駆動によって自走式混合機械Dに供給される。2次骨材41の粒径はクラッシャC4の下部開口のサイズに依存する。本自走式破砕機械Cは下部開口サイズを調整自在とされており、本第1実施例では上記の通り40mmに調整してある。従って2次骨材41は40mm以下の粒径に統一される。
【0029】
尚、この自走式破砕機械Cはそれ自体が操作機構を有するが、振動ローラAやパワーショベルBに対し無線通信し、これらのオペレータからの操作指令を受けて駆動自在とされている。
【0030】
また図2に示すクラッシャC4は固定板とスイングジョウとを対面配置し、体面間(上記破砕室)に被破砕物(火砕流堆積土砂4である)を投入されこれを破砕するいわゆるジョウ式クラッシャであるが、例えばインパクト式や剪断式等のクラッシャでもよい。例えばインパクト式は破砕室の下部に回転板及び破砕物排出口を有すると共に上部に反発板及び被破砕物投入口を有し、投入口からの被破砕物が回転板によって弾かれて反発板に衝突し破壊され排出口から排出されるものである。一方、例えば剪断式は所定間隔離間して互いに逆回転する破砕ローラ間に上部から被破砕物を投入し破砕し下部から排出するものである。これらによっても所定粒径以下の2次骨材41を製造できる。
【0031】
自走式混合機械Dは上記の通り、自走式破砕機械Cから2次骨材41を受けてこの2次骨材41にセメント6及び水7を加えて混合しソイルセメント42を製造する。そしてこのソイルセメント42を導流堤1上に投下する。そして敷き慣らされた後、振動ローラAで締固められる。詳しくは次の通り。自走式混合機械Dは図3に詳記する通り、クローラ式下部走行体D1上に自走式破砕機械Cから2次骨材41を投下される第1ホッパD2と、第1ホッパD2の底に設けた第1ベルトコンベアD3と、第1ベルトコンベアD3の先端上方で開口する第2ホッパD4と、散水ノズルD5と、第1ベルトコンベアD3からの2次骨材41、第2ホッパD4からのセメント6及び散水ノズルD5からの水7を受けてこれらを混合しソイルセメント42を製造する混合機D6と、混合機D6を出たソイルセメント42を外部へ搬出する第2ベルトコンベアD7とを有する。
【0032】
尚、散水ノズルD5から散水される水7は、前記図1に示した池5から吸引される。この水7には苛性ソーダ、苛性カリウム、水酸化ナトリウム等の硬化促進剤を添加自在である。また他の施工においては、水7には減水剤や空気連行剤等を添加自在である。これらは必要に応じて添加されることになる。ここで2次骨材41の量に対するセメント6の量、水7の量及び添加剤の量等は当然に予め定めた割合とされ、自走式混合機械Dに対する初期設定によって自動的に割合が維持されるようなっている。
【0033】
またこの自走式混合機械Dは図3(b)にも詳記するように、クローラ式下部走行体D1上にクレーンD8を格納自在にかつ張出自在に有し、張り出されてセメント6を袋ごと吊り下げ、第2ホッパD4内の上部に設けた上向き刃(図示せず)によって袋を裂かれ、袋内のセメント6が第2ホッパD4内に投下されるようになっている。
【0034】
第2ホッパD4の上部には開閉自在な蓋D41が設けられ、セメント6を第2ホッパD4に投入するとき以外はセメント6が風によって舞い上がらないように、かつ第2ホッパD4内に雨や雪等が侵入しないようにしてある。尚、蓋D41の装着状況は第1実施例での自走式混合機械Dでは図3(b)の図示の通りであるが、図3(a)でのセメント投入と蓋D41の開閉との関係を分かり易くするために図3(a)では蓋D41の装着状況を図3(b)の装着状況と異ならせて図示してある。
【0035】
またこの自走式混合機械Dは、自走式破砕機械Cと同様、それ自体に操作機構を有するが、振動ローラAやパワーショベルBに対し無線通信し、これらのオペレータからの操作指令を受けて駆動自在とされている。
【0036】
上記第1実施例によれば、次のような作用効果を奏する。
【0037】
(1)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dは夫々自走式である。このため夫々が個別移動でき、また組合わせ配置の自由度が高くなる。具体的には次(11)〜(14)のような効果を奏する。
(11)上記導流堤1の築堤現場だけでなく、狭い現場でも、全く遠隔の施工現場間でも夫々分解することなく自在に移動でき、しかも最適地(例えば現地発生骨材4を採取又は集荷するに好適な箇所に、かつ施工の邪魔にならぬ箇所に)に駐停車して施工に供することができる。しかも自走式破砕機械Cはその場で現地発生骨材4を所定粒度以下に破砕するため骨材費低減に寄与する。
(12)例えば自走式破砕機械Cだけを導流堤1の現場に先行配置し現地発生骨材4を所定粒度以下に破砕し2次骨材41を予め製造し貯留しておくことができる。言い換えれば、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dの車格(即ち単位時間当たりの生産量)が互いに違っていても、一方の稼働時間を長くさせたり、また一方を複数台配置することができる。即ち施工に対する組合わせ自由度が高くなり、工期短縮に寄与する。
(13)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dを夫々自走式としてあるから、これらの設置変更に対する移動費を低減できる。
(14)自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dは共に単調駆動機械であるから、一旦稼働すればオペレータが夫々に1名ずつ常時張り付く必要がない。つまり自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dの使用台数とオペレータの数とが無関係である。従って省人化を達成しつつ生産性の向上(即ち工期短縮)を図ることができる。
【0038】
(2)自走式混合機械Dが2次骨材41にセメント6及び水7等を加えて混合しソイルセメント42を製造する。従って工事完了後のソイルセメント42の固化強度が均一化する。
【0039】
(3)水7を深穴3から吸引し確保できる。工事完了後は導流堤1の周囲に存在する火砕流堆積土砂4によって埋め戻させるから、その分、導流堤1回りに土石流や新たな火砕流が堆積する速度を和らげることができる。
【0040】
(4)パワーショベルB、自走式破砕機械C及び自走式混合機械Dは共にクローラ式下部走行体B1、C1、D1を有する。従って導流堤1の周囲が不整地であっても支承なく導流堤1を築堤できる。また盛り山2も不整地走行が自在なブルドーザやホイールローダやパワーショベル等の土砂移送機械によって築立されている。つまり上記第1実施例によれば、従来技術におけるダンプトラック等の輸送機械や生コン車等を走行させるための整地された走行路を予め建設しておく必要が全くない。即ち骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮に大きく寄与する。尚、これらはクローラ式である必要はなくトタクションタイヤ等の不整地走行用の装輪式でも構わない。
【0041】
(5)即ち上記第1実施例によれば、基本的には振動ローラAとパワーショベルBとのオペレータ2人がおれば、導流堤1を完成できることになる。しかも工事完了後のソイルセメント42の固化強度の均一化を確保でき、骨材等の輸送費や材料費の節減、省人化、工期短縮等を図ることができる。
【0042】
他の実施例を以下項目列記する。
【0043】
(1)第2実施例は次の通り。上記第1実施例での自走式混合機械Dは2次骨材41にセメント6及び水7等を加えて混合しソイルセメント42を製造したが、2次骨材41にセメント6を(又はセメント6及び添加剤を)を加えて混合しソイルセメント42を製造してもよい。
【0044】
上記第2実施例によれば、次のような作用効果を奏する。自走式破砕機械Cが受ける総ての火砕流堆積土砂4は自走式破砕機械Cによって所定粒度以下に破砕されるため歩留りが良い。また自走式混合機械Dによって2次骨材41とセメント6とを混合するために混合が十分均一となる。さらにまた自走式破砕機械Cが生産する2次骨材41の粒径分布が揃ったものとなるために自走式混合機械Dによる2次骨材41とセメント6との混合の均一性がさらに改善される。即ち導流堤1上における散水後のソイルセメント42の固化強度の均一化に寄与する。
【0045】
(2)第3実施例は次の通り。上記第1実施例において図示しないが、自走式破砕機械Cと自走式混合機械Dとの間及び自走式混合機械Dと投入地1との間のいずれか一方又は両方にベルトコンベア等でなるフィーダを架設してもよい。
【0046】
上記第3実施例によれば、導流堤1に対する自走式混合機械Dの配置自由度や自走式混合機械Dに対する自走式破砕機械Cの配置自由度が高まる。詳しくは次の通り。盛り山2上には上記の通り自走式混合機械Dだけでもともかく配置することが望ましい。このようにすると、自走式混合機械Dはソイルセメント42を導流堤1上に直接投入できるようになるからである。言い換えれば、導流堤1に必要なソイルセメント42を正確に製造し投下できる。ところが導流堤1の築堤が進むと、パワーショベルBが盛り山2をどんどん掘削してしまっているためにパワーショベルB及び/又は自走式破砕機械Cを盛り山2の近傍に配置しなけばならない事態が生ずる。このときベルトコンベア等のフィーダによって自走式破砕機械Cと自走式混合機械Dと投入地1との間を接続すれば、無理なく、かつ高速に導流堤1を築堤できるようになる。
【0047】
尚、本明細書に記載される「盛り山2上」は「盛り山2の中腹上」を含んでいるものとする。
【0048】
(3)第4実施例は次の通り。上記第3実施例において、ベルトコンベア等でなるフィーダは可搬式であるのは当然としてさらに自走式とするのが望ましい。
【0049】
上記第4実施例によれば、フィーダが自走自在であるためフィーダの設置時間が短縮し、省人化し、従って工期短縮や低コスト化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を備えた導流堤築堤現場の一部断面側面図である。
【図2】自走式破砕機械の一部断面側面図である。
【図3】自走式混合機械であり、(a)は一部断面側面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 投入地(導流堤)
2 盛り山
4 現地発生骨材(火砕流堆積土砂)
41 2次骨材
42 ソイルセメント
6 セメント
7 水
B 掘削積込機械
C 自走式破砕機械
D 自走式混合機械

Claims (3)

  1. 現地発生骨材( )にセメント( )を加えて混合しソイルセメント( 42 )を製造するソイルセメント製造システムにおいて、
    (a) 現地に自走自在に配置され、現地発生骨材( )を受けてこれを所定粒度以下に破砕し2次骨材( 41 )を製造する自走式破砕機械( )と、
    (b) 現地に自走可能に配置され、2次骨材( 41 )を受けてこの2次骨材( 41 )にセメント( )及び水( ) 加えて混合しソイルセメント( 42 )を製造する自走式混合機械( )とを有することを特徴とする自走式ソイルセメント製造システム。
  2. 請求項記載の自走式ソイルセメント製造システムにおいて、
    (a) 自走式破砕機械( )と自走式混合機械( )とをソイルセメント( 42 )の投入地( )の近傍に配置すると共に、
    (b) 自走式破砕機械( )と自走式混合機械( )との間及び自走式混合機械( )と投入地( )との間のいずれか一方又は両方に可搬式又は自走式のベルトコンベア等でなるフィーダを架設したことを特徴とする自走式ソイルセメント製造システム。
  3. (a) 現地発生骨材( )でなる盛り山( )を投入地( )の隣接地に築立し、
    (b) 盛り山( )上に、請求項又は2に記載の自走式ソイルセメント製造システムと掘削積込機械( )との内、少なくとも自走式混合機械( )を配置し、
    (c) 掘削積込機械( )によって盛り山( )を掘削しつつ掘削した現地発生骨材( )を自走式破砕機械( )に投入し、
    (d) 自走式混合機械( )からのソイルセメント( 42 )を投入地( )に投下することを特徴とする自走式ソイルセメント製造システムの施工法。
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