JP3743180B2 - パルス発生装置および放電灯点灯装置 - Google Patents

パルス発生装置および放電灯点灯装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として高圧放電灯の始動・再始動用の高電圧パルスを発生させるパルス発生装置およびこのパルス発生装置を用いた放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプのようなHIDランプを点灯させる放電灯点灯装置では、放電を開始させるための高電圧をHIDランプに印加するイグナイタとしてのパルス発生装置が必要である。
【0003】
この種の放電灯点灯装置として、たとえば、実開昭59−52599号公報に記載された放電灯点灯装置があり、大略図24に示す構成を有している。この放電灯点灯装置1は、交流電源Vs1に接続され放電灯2に電力を供給するとともに点灯を維持させる安定器3と、交流電源Vs2に接続され高圧放電灯2を始動・再始動させるための高電圧を発生させるイグナイタとしてのパルス発生装置4とを備える。また、安定器3の出力端間にはバイパスコンデンサC10が並列に接続され、バイパスコンデンサC10と放電灯2とを含む閉ループ内に、パルス発生装置4の出力部であるパルストランスPTの2次巻線が挿入される。
【0004】
パルス発生装置4は、交流電源Vs2を昇圧・整流するように電力変換して直流高電圧を出力する直流高圧発生回路5を備え、直流高圧発生回路5の出力電圧をギャップ素子Gを介してパルストランスPTの1次巻線に印加する。また、直流高圧発生回路5の出力端間にはコンデンサC0が接続される。
【0005】
この放電灯点灯装置は、次のように動作する。まず、交流電源Vs1を電源投入すると安定器3の2次電圧が高圧放電灯2に印加される。この状態で、交流電源Vs2を電源投入すると、直流高圧発生回路5から出力が得られてコンデンサC0が充電され、コンデンサC0の両端電圧Vc0は徐々に上昇する。コンデンサC0の両端電圧Vc0がギャップ素子Gの放電を開始させる応答電圧(ブレークオーバ電圧)Vbに達すると、ギャップ素子Gが絶縁破壊してコンデンサC0に蓄積された電荷がパルストランスPTの1次巻線およびギャップ素子(放電ギャップ)Gを介して急峻に放出され、このときパルストランスPTの2次巻線には巻比に応じたパルス電圧が発生する。こうしてパルストランスPTの2次巻線に発生した高圧パルスを、バイパスコンデンサC10を介して高圧放電灯2の両端に印加することにより、高圧放電灯2を始動させることができるのである。ここに、ギャップ素子Gが絶縁破壊してコンデンサC0の電荷が放出されると、コンデンサC0の両端電圧Vc0は急激に低下する。
【0006】
高圧放電灯2が始動しないときには、図25(a)のようにコンデンサC0の充電と放電とが繰り返される。こうして高圧放電灯2が点灯すれば、交流電源Vs2の供給を停止させるなどしてパルス発生装置4の動作を停止させ、図25(b)のようにコンデンサC0の充放電が停止されて、高圧パルスの発生も停止する。
【0007】
一般に、高圧放電灯2では、安定点灯後に消灯し、消灯から短時間のうちに再始動させようとすると、通常の始動時よりも高い電圧を印加することが必要になる。高圧放電灯2の発光管が常温である通常の始動をコールドスタートと呼び、高圧放電灯2の発光管が消灯直後などで高温であるときの始動(再始動)をホットスタートと呼ぶ。図24に示したパルス発生装置4を用い、ギャップ素子Gの応答電圧Vbを数千ボルト、パルストランスPTの巻比を1:10程度に設定しておけば、パルストランスPTの2次巻線に数万ボルトの非常に高い電圧を発生させることが可能になるから、消灯直後であって再始動し難い状態でも瞬時に再始動させることが可能になる。
【0008】
なお、図24に示した構成例では、パルス発生装置4として直流高圧発生回路5を備えるものを用いているが、図26に示すように、交流電源Vs2の電圧を昇圧する昇圧トランスTからなる高圧発生回路5’を用いても高圧放電灯2に高圧パルスを印加することができる。この構成では、交流電源Vs2の電圧が図27(a)のような正弦波状であるとして、コンデンサC0’の両端電圧が、図27(b)のように、交流電源Vs2の電圧波形の半サイクルの間にギャップ素子Gの応答電圧Vbを複数回越えるように設計してある。しかも、図27(c)のように、交流電源Vs2の電圧の両極性の高圧パルスを発生させることができるようなっている。
【0009】
図24や図26に示した回路構成でホットスタートを可能とするには、ギャップ素子Gを用いなければならないが、ギャップ素子Gは応答電圧Vbのばらつきが大きいという問題がある。ギャップ素子Gには、空気中で放電するものとガスを封入したものとがあり、応答電圧Vbは以下のような要因によって変動する。つまり、応答電圧Vbの変動要因には、ギャップに存在する気体の温度、イオンの状態、残留電子の有無、電極の温度、電極形状、経年使用による電極の損耗、製造時のばらつき、封入ガスの化学的変化などがある。この結果、ギャップ素子Gの応答電圧Vbは、一般に設計値に対して±数十%ものばらつきが生じる。たとえば、ジーメンス(SIEMENS)社のガス封入ギャップ素子であるSSG1X−1では、経年使用等を考慮した応答電圧Vbが、800〜1400V(1100V±27%)になる。
【0010】
したがって、パルス発生装置4にギャップ素子Gを用いる際には、応答電圧Vbのばらつきを十分に考慮しなければならない。図24、図26に示した放電灯点灯装置1では、パルス発生回路4の出力電圧(パルストランスPTの2次巻線の誘起電圧)であるパルス電圧Vpはギャップ素子Gの応答電圧Vbに比例し、パルス電圧Vpの変動範囲における最小値Vp−minでも高圧放電灯2を始動可能としなければならないから、ギャップ素子Gの応答電圧Vbの変動範囲での最小値Vb−minにおいてパルス電圧Vpの最小値Vp−min以上の電圧が得られるように設計する必要がある。
【0011】
一方、ギャップ素子Gの応答電圧Vbが変動範囲の最大値Vb−maxとなるときにはパルス電圧も最大値Vp−maxになるのであるから、応答電圧Vbの変動範囲が広いと、パルス電圧の最大値Vp−maxも非常に高い電圧になり、高圧放電灯2などに過大な電圧が印加されることになる。たとえば、始動に必要な電圧が8000Vである高圧放電灯2を用いるものとし、パルストランスPTの巻比を1:10とすれば、ギャップ素子Gの応答電圧Vbの最小値Vb−minは800Vでよいことになる。つまり、上述したジーメンス社のギャップ素子GであるSSG1X−1を用いることができる。一方、このギャップ素子Gは、応答電圧Vbの最大値Vb−maxが1400Vであるから、応答電圧Vbが最大値Vb−maxになったときにはパルス発生回路4から出力されるパルス電圧Vpは14000Vに達することになる。
【0012】
上述のように、ギャップ素子Gの応答電圧Vbのばらつきによって、本来必要なパルス電圧Vpよりも相当に高い電圧が発生する可能性があるから、パルス発生装置4を含む放電灯点灯装置1の全体(高圧放電灯2、放電灯用のソケット、器具本体、配線等)の耐圧を、パルス電圧Vpの最大値Vp−maxを考慮して設計する必要が生じる。つまり、構成部品に高耐圧のものを用い、絶縁距離を広げるなどの対策が必要になるから、結果的に照明器具の大型化や部材費の上昇につながることになる。また、始動時に高圧放電灯2に印加される電圧が高くなると、電極の寿命が短くなる可能性もある。
【0013】
ところで、図24や図26に示した回路構成のパルス発生装置4では、高電圧のスイッチングが可能で大電流を流すことができるスイッチ素子としてギャップ素子Gを用いている。スイッチ素子としてはトライアックやサイリスタのような3端子制御型の半導体スイッチ素子が知られているが、上述の回路構成においてこの種の半導体スイッチ素子をギャップ素子Gに代えて用いようとすると、大型かつ高価な半導体スイッチ素子が必要になる。とくに、ホットスタートを行うことは困難である。ただし、コールドスタートのみであれば半導体スイッチ素子を用いることも可能ではある。また、半導体スイッチ素子として、トライアックやサイリスタのような3端子制御型の素子を用いるとパルス発生のタイミングやパルスの電圧値を制御するのが比較的容易であるが、価格を考慮するとSSS(Silicon Symmetrical Switch)やトリガ素子(ダイアックなど)のような2端子電圧応答型の半導体スイッチ素子を用いるほうが有利になる。そこで、2端子電圧応答型の半導体スイッチ素子も使用可能な回路構成が望まれている。ただし、上述したパルス発生装置4から出力される高圧パルスのパルス電圧Vpのばらつきは、ギャップ素子Gだけではなく2端子電圧応答型の半導体スイッチ素子を用いる場合でも同様に生じる可能性がある。要するに、図24、図26に示す回路構成では、スイッチ素子が導通する電圧のばらつきによって上述のような問題が引き起こされるのである。
【0014】
ここに、半導体スイッチを用いることを可能にしたパルス発生装置4としては、図28に示す構成が提案されている。このパルス発生装置は、高耐圧の半導体スイッチ素子を用いることなくパルストランスPTの1次電圧を高くすることを可能としたものである。図28に示す放電灯点灯装置1は、交流電源VsにインダクタLよりなる安定器3とパルストランスPTの2次巻線とを介して放電灯2を接続してある。パルストランスPTは、パルス発生装置4の出力部として設けてあり、パルストランスPTの2次巻線と高圧放電灯2とを含むループ回路内にはバイパス用のコンデンサC10を接続してある。
【0015】
パルス発生装置4は、3個のコンデンサC21〜C23の両端に各コンデンサC21〜C23への充電電流を流すように2個ずつのダイオードDx1,Dy1〜Dx3,Dy3をそれぞれ直列接続し、さらに各コンデンサC21〜C23をスイッチ素子S21〜S23を介して直列接続し、コンデンサC21〜C23とスイッチ素子S21〜S23との直列回路をパルストランスPTの1次巻線の両端間に接続してある。また、コンデンサC21〜C23とダイオードDx1,Dy1〜Dx3,Dy3との各直列回路は互いに並列接続され、この並列回路は抵抗RおよびインダクタLを介して交流電源Vsに接続される。
【0016】
高圧放電灯2の始動前には、各スイッチ素子S21〜S23は図示しない制御手段によってすべてオフに制御され、この間に抵抗RおよびダイオードDx1,Dy1〜Dx3,Dy3を通して各コンデンサC21〜C23が充電される。コンデンサC21〜C23の充電が終了した後に、スイッチ素子S21〜S23を同時にオンにすると、パルストランスPTの1次巻線には3個のコンデンサC21〜C23の両端電圧の加算電圧が印加される。つまり、各コンデンサC21〜C23の容量を等しいと考えると、各コンデンサC21〜C23の両端電圧の3倍の電圧がパルストランスPTの1次巻線に印加されることになる。
【0017】
いま、交流電源Vsの電圧が図29(a)のように正弦波状であるとして、スイッチ素子S21〜S23を図29(d)のようなタイミングでオンオフするものとする。つまり、交流電源Vsの電圧の1サイクルごとに電圧のピーク値付近でスイッチ素子S21〜S23をオンにする。このように制御すれば、スイッチ素子S21〜S23のオフ期間に各ダイオードDx1,Dy1〜Dx3,Dy3を通してコンデンサC21〜C23が充電され、各コンデンサC21〜C23の両端電圧が図29(b)のように変化する。したがって、高圧放電灯2への印加電圧は、図29(c)のようになり、高圧パルスを高圧放電灯2に印加することが可能になるのである。
【0018】
この構成では各スイッチ素子S21〜S23への印加電圧は各コンデンサC21〜C23の両端電圧程度になるから、スイッチ素子S21〜S23の耐圧を比較的低くすることが可能であり、たとえばMOSFET、サイリスタ、トライアックなどを用いることが可能になると考えられる。しかしながら、各スイッチ素子S21〜S23には3端子制御型の半導体スイッチ素子を用いているから、同時にオンオフさせるための制御回路が必要になる。また、スイッチ素子S21〜S23がオンになったときにコンデンサC21〜C23の放電電流がパルストランスPTの1次巻線に流れるから、スイッチ素子S21〜S23には比較的大きな放電電流が流れることになり、スイッチ素子S21〜S23として大容量のものを用いなければならない点は図24、図26に示した回路構成と同様の問題を残している。
【0019】
上述のような各種の問題を解決すべく、本発明者らは図30に示す構成のパルス発生装置4を先に提案した(特願平9−312832号)。図30においてスイッチ素子Sはギャップ素子などの2端子電圧応答型のスイッチ素子であり、負荷回路8はパルストランスPTを意味する。スイッチ素子Sはトリガ電源6の出力電圧によってトリガされてオンになり、スイッチ素子Sがオンになるとエネルギ供給源6から供給されるエネルギによって負荷回路8から高圧パルスが出力される。つまり、スイッチ素子Sはトリガ電源6の出力電圧に応答してオンになるが、スイッチ素子Sがオンになるとエネルギ供給源6から負荷回路8にエネルギが供給されるから、負荷回路8の出力電圧はエネルギ供給源6からの供給エネルギにより決定されることになる。つまり、エネルギ供給源6からの供給エネルギが一定であれば、スイッチ素子Sのオン電圧が変動しても負荷回路8からほぼ一定電圧の高圧パルスを発生させることが可能になる。
【0020】
上述のように、スイッチ素子Sには、ギャップ素子(空気ギャップ、ガスギャップ)、双方向性2端子サイリスタ(SSSなど)、トリガ素子(ダイアックなど)、ショックレーダイオードのような2端子電圧応答型のスイッチ素子を用いる。ギャップ素子は、一対の電極を空気中で離間して設けたもの、あるいは放電補助用のガスが封入された気密容器内に一対の電極を離間して設けたものがある。これらの、2端子応答型のスイッチ素子は両端電圧が所定の応答電圧に達するとインピーダンスが急激に低下(オン)し、両端電圧が低下して電流の通電が継続的に可能となるものである。また、通過電流が所定の導通保持電流以下になると非導通(オフ)になる。
【0021】
図30に示した構成を実現する接続形態には、図31(a)のように、エネルギ供給源6とトリガ電源7とを並列的に接続する並列構成と、エネルギ供給源6とトリガ電源7とを直列的に接続する直列構成とがある。まず、並列構成について説明する。
【0022】
図31(a)に示すように、並列構成では、エネルギ供給源6とインピーダンス要素Zxとの直列回路と、トリガ電源7とインピーダンス要素Zyとの直列回路とを互いに並列接続し、この並列回路をスイッチ素子Sの両端間に接続してある。たとえば、スイッチ素子Sとしてギャップ素子Gを用い、負荷回路8としてパルストランスPTを用いるとすると、図32に示す構成になる。
【0023】
このパルス発生装置4では、スイッチ素子(ギャップ素子G)Sがオンになる応答電圧をVbとし、エネルギ供給源6の出力電圧をVe1、トリガ電源7の出力電圧をVe2とするとき、Ve1<Vb<Ve2の関係を満たすように電圧が設定される。要するに、図33に示すように、スイッチ素子Sの応答電圧Vbには幅があるが、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1は応答電圧Vbの下限値よりも低く設定され、トリガ電源7の出力電圧Ve2は応答電圧Vbの上限値よりも高く設定される。したがって、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1ではスイッチ素子Sはオンにならないが、トリガ電源7の出力電圧Ve2ではスイッチ素子Sがオンになる。スイッチ素子Sがオンになれば、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1がスイッチ素子Sを通してパルストランスPTの1次巻線に印加され、負荷回路8から高圧パルスが出力される。
【0024】
この回路において、トリガ電源7の出力電圧Ve2によりスイッチ素子Sがオンになると、トリガ電源7からスイッチ素子Sと負荷回路8とに電流が流れる。しかしながら、トリガ電源7からの電流が負荷回路8で発生する高圧パルスのパルス電圧に支配的になると、ほぼ一定のパルス電圧を得るという目的を達成することができないから、インピーダンス要素Zyのインピーダンスを負荷回路8よりも大きく設定してある。これにより、負荷回路8で発生する高圧パルスのパルス電圧に占めるトリガ電源7の出力電流の割合が低減される。
【0025】
インピーダンス要素Zxは、負荷回路8で発生する高圧パルスのパルス電圧に影響を与えない範囲で設定される。このインピーダンス要素Zxは、トリガ電源7で発生した電圧がエネルギ供給源6で吸収されないようにし、トリガ電源7で発生した電圧をスイッチ要素Sに印加して確実にオンにさせる機能を持つ。
【0026】
インピーダンス要素Zx,Zyには、抵抗性、容量性、誘導性、非線形性のいずれの素子を用いてもよい。また、インピーダンス要素Zxは、エネルギ供給源6の出力電圧の極性に対して順方向に接続されたダイオードを含んでいてもよい。ダイオードを用いると、トリガ電源7の出力電圧Ve2は逆阻止されるからエネルギ供給源6にトリガ電源7からの電流が流れる込むことがなく、トリガ電源7の出力電圧Ve2がスイッチ素子Sに確実に印加される。その後、エネルギ供給源6から出力電圧Ve1が出力されてもスイッチ素子Sが導通していなければ、Ve1<Ve2の関係によってダイオードは非導通に保たれ、トリガ電源7の出力電圧Ve2がエネルギ供給源6に吸収されるのを防止することができる。トリガ電源7の出力電圧Ve2によりスイッチ素子Sがオンになると、負荷回路8とスイッチ素子Sとの直列回路のインピーダンスが低下して、ダイオードが導通し、エネルギ供給源6のエネルギが負荷回路8に供給される。ここに、インピーダンス要素Zxは少なくとも一部がエネルギ供給源6に含まれていてもよく、インピーダンス要素Zyは少なくとも一部がトリガ電源7に含まれていてもよい。
【0027】
なお、並列構成には、図34に示すように、トリガ電源7とインピーダンス要素Zyとの直列回路をパルストランスPTの1次巻線を介さずにスイッチ素子Sに接続する構成を採用する場合もある。
【0028】
エネルギ供給源6の具体例を図35(a)〜(c)に示し、トリガ電源7の具体例を図36(a)〜(d)に示す。図35(a)はエネルギ供給源6を直流電源とし、インピーダンス要素Zxを抵抗とダイオードとの直列回路としたものである。また、図35(b)はエネルギ供給源6を交流電源とし、インピーダンス要素Zxをインダクタとしたものであり、図35(c)はエネルギ供給源6をパルス電源とし、インピーダンス要素Zxにコンデンサを用いたものである。図に示すエネルギ供給源6は一例であって、高圧パルスを発生させるのに必要な電圧Ve1とエネルギとを得ることができればよい。たとえば、図35(b)(c)に示す構成では、瞬時値が電圧Ve1の条件を満たしていれば用いることができる。すなわち、高圧パルスを発生させるのに必要な電圧Ve1に達したときに、トリガ電源7から出力電圧Ve2を発生させればよい。さらに、図35におけるエネルギ供給源6とインピーダンス要素Zxとの組み合わせは必然的なものではなく、適宜に組み合わせることができる。
【0029】
一方、図36(a)はトリガ電源7を直流電源とスイッチとの直列回路とし、インピーダンス要素Zyを抵抗としたものであって、図36(b)はトリガ電源7を交流電源とし、インピーダンス要素Zyをコンデンサとしたもの、図36(c)はトリガ電源7をパルス電源としてインピーダンス要素Zyをインダクタとしたもの、図36(d)はトリガ電源7を三角波、鋸歯状波、ランプ波のような波形を発生する電源とし、インピーダンス要素Zyを抵抗としたものをそれぞれ示す。トリガ電源7も図示した構成だけではなく、スイッチ要素Sを短時間だけ導通させることが可能な出力電圧Ve2を発生させることができればよい。なお、トリガ電源7がスイッチ要素Sに一定電圧を常に印加する直流電源であると、負荷回路8で高圧パルスを発生させることができないから、トリガ電源7としては出力電圧Ve2に時間変化を伴うものを用いる。図36におけるトリガ電源7とインピーダンス要素Zyとの組み合わせは必然的なものではなく、適宜に組み合わせることができる。また、図35に示したようなエネルギ供給源6と図36に示したようなトリガ電源7とは適宜に組み合わせて用いることが可能である。
【0030】
一方、直列構成は、図31(b)に示すように、エネルギ供給源6とインピーダンス要素Zxとの直列回路の両端間にスイッチ要素Sが接続され、トリガ電源7とインピーダンス要素Zyとの直列回路をインピーダンス要素Zxに並列接続された構成してある。たとえば、スイッチ素子Sとしてギャップ素子Gを用い、インピーダンス要素Zxとしてダイオードを用い、負荷回路8としてパルストランスPTを用いるとすると、図37に示す構成になる。エネルギ供給源6とトリガ電源7とは出力電圧が加算されるようにインピーダンス要素Zyを介して直列に接続される。
【0031】
このパルス発生装置4では、スイッチ素子(ギャップ素子G)Sがオンになる応答電圧をVbとし、エネルギ供給源6の出力電圧をVe1、トリガ電源7の出力電圧をVe2とするとき、Ve1<Vb<Ve1+Ve2の関係を満たすように電圧が設定される。つまり、図38に示すように、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1は応答電圧Vbの下限値よりも低く設定され、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1とトリガ電源7の出力電圧Ve2との加算電圧は応答電圧Vbの上限値よりも高く設定される。したがって、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1ではスイッチ素子Sはオンにならないが、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1とトリガ電源7の出力電圧Ve2との加算電圧ではスイッチ素子Sがオンになる。スイッチ素子Sがオンになれば、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1がスイッチ素子Sを通してパルストランスPTの1次巻線に印加され、負荷回路8から高圧パルスが出力されるのである。この構成では、トリガ電源7の出力電圧Ve2を並列構成よりも低く設定することができる。
【0032】
この回路では、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1とトリガ電源7の出力電圧Ve2との加算電圧によってスイッチ素子Sが導通した後に、負荷回路8に流れる電流をエネルギ供給源6が支配するように、インピーダンスZx,Zyを設けてある。つまり、スイッチ素子Sの導通後にはトリガ電源7およびインピーダンス要素Zyの影響が抑制される。
【0033】
なお、エネルギ供給源6、トリガ電源7、インピーダンス要素Zx,Zyには並列構成と同様のものが用いられる。また、インピーダンス要素Zxの少なくとも一部はエネルギ供給源6に含まれている場合があり、インピーダンス要素Zyの少なくとも一部はトリガ電源7に含まれている場合がある。
【0034】
図30のような構成のパルス発生装置4を用いた放電灯点灯装置1の具体例を図39に示す。図示例は並列構成であって、交流電源Vsには安定器3を介してパルストランスPTの2次巻線と高圧放電灯2との直列回路が接続されている。パルストランスPTはイグナイタとしてのパルス発生装置4の出力部を構成する。また、安定器3の出力端間にはバイパス用のコンデンサC10が接続される。
【0035】
パルス発生装置4は、バイパス用のコンデンサC10の両端に入力端を接続したダイオードブリッジなどの整流器DBを備え、整流器DBの出力を平滑コンデンサC1により平滑して直流電源を得ている。
【0036】
エネルギ供給源6は、平滑コンデンサC1の両端間に、フライバックトランスFTの1次巻線とIGBTよりなるスイッチング素子Q1との直列回路を接続し、フライバックトランスFTの2次巻線にダイオードD1を介してコンデンサC2を接続した構成を有する。つまり、エネルギ供給源6はフライバック形のDC−DCコンバータを構成しており、スイッチング素子Q1をドライバDR1により高周波でオンオフさせると、コンデンサC2の両端電圧がスイッチング素子Q1のオンオフのデューティ比に応じて昇圧された高電圧になるのである。このコンデンサC2の両端電圧がエネルギ供給源6の出力電圧となるのであり、コンデンサC2の両端間にはパルストランスPTの1次巻線とギャップ素子Gとの直列回路が接続される。ここに、ドライバDR1は高圧放電灯2のランプ電流に基づいて高圧放電灯2の点灯/不点灯を検出する点灯検出手段ODTに基づいて制御され、高圧放電灯2の点灯が検出されるとスイッチング素子Q1をオフにしてコンデンサC2の充電を停止させる。また、ドライバDR1はエネルギ供給源6の出力電圧を検出する電圧検出手段VDTによっても制御されている。
【0037】
一方、トリガ電源7は、平滑コンデンサC1の両端間に、抵抗R1と昇圧トランスT0の1次巻線とIGBTよりなるスイッチング素子Q2との直列回路を接続し、昇圧トランスT0の2次巻線にコンデンサC3を介してギャップ素子Gを接続した構成を有する。したがって、ドライバDR2によりスイッチング素子Q2をオンにすると、昇圧トランスT0の1次側に電流が流れ、2次巻線には昇圧された電圧が発生する。この電圧がコンデンサC3の両端電圧に加算されてギャップ素子Gに印加される。コンデンサC3はインピーダンス要素Z2として機能し、トリガ電源7のドライバDR2は電圧検出手段VDTによって制御される。
【0038】
しかして、交流電源Vsを投入すると、安定器3を通して高圧放電灯2の両端に交流電源Vsの電圧が印加される。また、平滑コンデンサC1の両端には直流電圧が得られるから、エネルギ供給源6では、平滑コンデンサC1の両端電圧を昇圧し、コンデンサC2の両端にエネルギ供給源6に必要な出力電圧Ve1を発生させる。ここに、エネルギ供給源6においてコンデンサC2を充電すると、パルストランスPTの1次巻線および昇圧トランスTの2次巻線を通してコンデンサC3にも充電電流が流れるが、コンデンサC2の容量をコンデンサC3よりも十分に大きくすることによって、コンデンサC3の蓄積エネルギをコンデンサC2よりも十分に小さくしてある。
【0039】
こうしてコンデンサC2の両端電圧が所望電圧に達すると電圧検出手段VDTはドライバDR1の動作を停止させ、コンデンサC2の両端電圧が所望電圧以上に上昇するのを防止する。電圧検出手段VDTによりドライバDR1の動作が停止するとドライバDR2の動作が開始される。つまり、スイッチング素子Q2がオンになり、平滑コンデンサC1から抵抗R1を介して昇圧トランスTの1次巻線に電流が流れる。したがって、昇圧トランスT0の2次巻線には平滑コンデンサC1の両端電圧を昇圧した電圧が誘起される。こうしてコンデンサC3の両端電圧Ve1と昇圧トランスT0の2次巻線に誘起された電圧との加算電圧がトリガ電源7の出力電圧Ve2としてギャップ素子Gに印加される。電圧Ve2はギャップ素子Gの応答電圧Vbより高く設定されるから、ギャップ素子Gは導通し、コンデンサC2の電荷がパルストランスPTの1次巻線を通して放出され、パルストランスPTの2次巻線に高圧パルスが発生する。こうして高圧放電灯2が始動し、高圧放電灯2が点灯するのである。
【0040】
なお、点灯検出手段ODTは高圧放電灯2のランプ電流を検出するものであり、高圧放電灯2が点灯中であるとドライバDR1を停止させるのであって、高圧放電灯2の点灯中に高圧パルスが発生するのを防止する。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、エネルギ供給源6とトリガ電源7とを各別に設け、トリガ電源7でスイッチ素子Sをオンにし、スイッチ素子Sがオンになるとエネルギ供給源6からスイッチ素子Sに電流を流す構成を採用すれば、エネルギ供給源6の出力エネルギを安定化させておけばスイッチ素子Sの応答電圧Vbにばらつきがあっても負荷回路8から発生するパルス電圧をほぼ一定に保つことができる。
【0042】
ただし、エネルギ供給源6は電圧源であって出力インピーダンスが低いものであるから、トリガ電源7がスイッチ素子Sをオンにするための電圧を発生させても、その電圧がエネルギ供給源6に吸収されるてスイッチ素子Sをオンにすることができない場合がある。
【0043】
たとえば、図39に示した構成では、トリガ電源7に設けた昇圧トランスT0の2次巻線の誘起電圧とコンデンサC3の両端電圧との加算電圧がギャップ素子Gに印加される。ここで、トリガ電源7によってギャップ素子Gに印加される電圧の周波数成分が主として高周波成分であるとすると、ギャップ素子Gに印加される電圧に対してエネルギ供給源6に設けたコンデンサC2のインピーダンスが低くなり、トリガ電源7から出力されたエネルギがコンデンサC2に吸収されることになる。つまり、ギャップ素子Gに印加される電圧が応答電圧Vbに達せずギャップ素子Gが導通しないという問題が生じることがある。このような問題を防止するために、上述したように、コンデンサC2の一端(つまり、エネルギ供給源6の出力端)とパルストランスPTの1次巻線との間にインピーダンス要素Zxを挿入するのである(図40参照)。
【0044】
インピーダンス要素Z1を設ける目的から言えば、トリガ電源7からギャップ素子Gを導通させるために発生させる電圧(以下、トリガ電圧という)の周波数成分に対して高インピーダンスであればよいのであるから、インピーダンス要素には、たとえばダイオードを用いることができる。図40に示す位置にインピーダンス要素Zxとしてダイオードを挿入するとすれば、ダイオードのアノードがエネルギ供給源6側になりカソードがパルストランスPT側になる。このように接続すれば、トリガ電源7により発生するトリガ電圧に対して、インピーダンス要素Zxであるダイオードが逆極性になるので、トリガ電圧がコンデンサC2に吸収されるのを防止することができる。
【0045】
つまり、トリガ電圧のエネルギのほぼすべてをギャップ素子Gに与えることができ、ギャップ素子Gを導通させることができる。ギャップ素子Gが導通すれば、上述したように、エネルギ供給源6のコンデンサC2に蓄積された電荷がインピーダンス要素Zxを介してパルストランスPTに放出され、パルストランスPTの2次巻線に高圧パルスを発生させることができるのである。
【0046】
ただし、インピーダンス要素Zxとしてダイオードを用いると、トリガ電源7からトリガ電圧が発生した後、ギャップ素子Gが導通する間での期間に、ダイオードには、トリガ電源7の出力電圧Ve2とエネルギ供給源6の出力電圧Ve1との差(Ve2−Ve1)の逆電圧が印加されることになる。
【0047】
上述したように、Ve1<Vb<Ve2の関係があり、しかもギャップ素子Gの応答電圧Vbにはばらつきがあるから、エネルギ供給源6の出力電圧Ve1は応答電圧の最小値以下、トリガ電源7の出力電圧Ve2は応答電圧Vbの最大値以上に設定する必要があり、結果的にインピーダンス要素Zxとして用いるダイオードの両端間に印加される逆電圧(Ve2−Ve1)は、応答電圧Vbのばらつき以上の高電圧になる。つまり、ダイオードには高耐圧のものが要求されることになる。
【0048】
しかも、ギャップ素子Gの導通後にはエネルギ供給源6からパルストランスPTに向かって大きな電流が流れるから、インピーダンス要素Zxに用いるダイオードには大容量のものが必要になる。結局、インピーダンス要素Zxとしてダイオードを用いるとすれば、高耐圧・大容量のものが必要になってコスト高につながるという問題が生じる。
【0049】
一方、インピーダンス要素Zxとして抵抗を用いるとすると、エネルギ供給源6からパルストランスPTに供給する経路で抵抗によるエネルギの損失が生じるから、パルストランスPTの2次巻線に生じる高圧パルスに十分なエネルギを与えようとすれば、エネルギ供給源6に高出力のものが必要になったり、パルストランスPTの巻比が大きくなったりし、結果的に大型化やコスト高をまねくことになる。
【0050】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、2端子電圧応答形のスイッチ素子を用いながらもほぼ一定のパルス電圧を有したパルスを発生させることができ、しかも構成部品の耐圧を比較的低くすることができ低損失であるパルス発生装置を提供するとともに、このパルス発生装置を用いた放電灯点灯装置を提供することにある。
【0051】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、両端電圧が所定の応答電圧に達すると導通する2端子電圧応答形のスイッチ素子と出力電圧が前記応答電圧より低くなるように充電されるコンデンサとの直列回路が複数回路直列接続され、複数個のスイッチ素子と複数個のコンデンサとの直列回路の両端間に負荷が接続され、少なくとも1つのスイッチ素子にトリガ電源と第1のインピーダンス要素との直列回路が並列接続され、トリガ電源は、コンデンサに対して出力電圧が減算される極性であって出力電圧が可変であるとともに、第1のインピーダンスとともに並列接続したスイッチ素子の両端に当該スイッチ素子を導通させる電圧を印加することができ、前記コンデンサの両端電圧はトリガ電源により一部のスイッチ素子が導通したときに加算されて他のスイッチ素子に印加される電圧が応答電圧を越えるように設定され、各コンデンサに充電エネルギを与える直流電源と、各コンデンサと各スイッチ素子と負荷との閉ループに含まれず前記直流電源から各コンデンサへの充電経路にそれぞれ挿入された複数個の第2のインピーダンス要素とを有するものである。
【0052】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各第2のインピーダンス要素が、各コンデンサの両端にそれぞれ接続され、各第2のインピーダンス要素と各コンデンサとの直列回路を並列接続した並列回路が前記直流電源の両端間に接続されているものである。
【0053】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、一部のコンデンサは前記直流電源の正極側に第2のインピーダンス要素が接続され、残りのコンデンサは前記直流電源の負極側に第2のインピーダンス要素が接続され、各コンデンサと各第2のインピーダンス要素との直列回路を並列接続した並列回路が前記直流電源の両端間に接続されているものである。
【0054】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、各コンデンサと各第2のインピーダンス要素との直列回路を並列接続した並列回路と前記直流電源との間に別のインピーダンス要素が挿入されているものである。
【0055】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記負荷をパルストランスとしたものである。
【0056】
請求項6の発明は、請求項5記載のパルス発生装置を放電灯点灯装置のイグナイタに用いたものである。
【0057】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本実施形態のパルス発生装置4は、図1に示すように、直流電圧を発生する電圧源E1,E2を備えるとともに、各電圧源E1,E2にそれぞれ2端子電圧応答形のスイッチ素子としてのギャップ素子G1,G2を直列接続し、電圧源E1,E2とスイッチ素子G1,G2との直列回路の両端間にパルストランスPTの1次巻線を接続してある。また、1つのスイッチ素子G1にはトリガ電源Etとインピーダンス要素Ztとの直列回路を並列接続してある。各電圧源E1,E2とトリガ電源Etとの極性は図1に示す関係であり、電圧源E1,E2は両者の出力電圧が加算される極性に接続され、トリガ電源Etは両電圧源E1,E2に対して出力電圧が減算される極性に接続される。また、トリガ電源Etは出力電圧が可変になっている。
【0058】
ギャップ素子G1,G2が導通していなければ、ギャップ素子G1にはインピーダンス要素Ztを介してトリガ電源Etの出力電圧が印加され、ギャップ素子G2には電圧源E1,E2の出力電圧の加算値からトリガ電源Etの出力電圧を減算した電圧が印加される。また、ギャップ素子G1が導通すれば、トリガ電源Etの出力端間がインピーダンス要素Z1を介して短絡されるから、ギャップ素子G2には2つの電圧源E1,E2の出力電圧の加算値が印加される。以下では、説明を簡単にするために2つのギャップ素子G1,G2の仕様が同じであるものとする。
【0059】
いま、ギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbのばらつき範囲の最大値をVb−max、最小値をVb−minとし、各電圧源E1,E2とトリガ電源Etの出力電圧をそれぞれV1,V2,Vtとする。ギャップ素子G1,G2が非導通であるときには、以下の条件が設定される。
Vt<Vb−min
V1+V2−Vt<Vb−min
一方、ギャップ素子G1,G2を導通させるには、まずトリガ電源Etの出力電圧を上昇させてギャップ素子G1を導通させる。ギャップ素子G1が導通すればギャップ素子G2には、電圧源E1,E2の出力電圧の加算値が印加されるから、この電圧をギャップ素子G2の応答電圧Vbの上限値以上に設定しておけば、ギャップ素子G2も導通させることができる。つまり、ギャップ素子G1,G2を導通させるには、以下の条件が設定される。
Vt>Vb−max
V1+V2>Vb−max
上述した条件が成立するように各電圧源E1,E2とトリガ電源Etとを設定しておけば、トリガ電源Etの出力電圧Vtを変化させることで、ギャップ素子G1,G2を導通させることができるのである。
【0060】
すなわち、図2(a)に示すように、トリガ電源Etの電圧を時刻t1において上昇させると図2(b)のようにギャップ素子G1が導通し、ギャップ素子G1が導通すれば図2(c)のようにギャップ素子G2が導通する。したがって、パルストランスPTの1次巻線に電圧源E1,E2からエネルギが供給され、パルストランスPTの2次巻線に図2(d)のように高圧パルスが発生するのである。この動作から明らかなように、電圧源E1,E2の出力電圧をほぼ一定電圧に設定しておけば、ギャップ素子G1,G2の応答電圧VbにばらつきがあってもパルストランスPTの2次巻線に発生する高圧パルスのパルス電圧がほぼ一定値に保たれることになる。
【0061】
なお、インピーダンス要素Ztは、パルストランスPTの1次側のインピーダンスよりも十分に小さく設定してあり、トリガ電源Etの出力電圧がパルストランスの2次側出力に影響しないようにしてある。
【0062】
なお、電圧源E1,E2とギャップ素子G1,G2とを2個ずつ設けた例を示しているが、電圧源とギャップ素子との組を3組以上設けてもよい。また、トリガ電源Etとインピーダンス要素Ztとの直列回路は1個のギャップ素子G1に並列接続するだけではなく、2個以上のギャップ素子に並列接続してもよい。また、ギャップ素子G1,G2に代えて、SSSのような他の2端子電圧応答形のスイッチ素子を用いてもよい。
【0063】
図1に示した回路構成の具体例を図3に示す。この構成例では電圧源E1,E2にコンデンサC1,C2を用いている。また、コンデンサC1,C2を両端電圧が所望電圧に達するように充電するために、直流電源Esおよびインピーダンス要素Z11,Z21,Z12,Z22を設けている。各コンデンサC1,C2の両端には、それぞれインピーダンス要素Z11,Z21,Z12,Z22が直列接続され、コンデンサC1とインピーダンス要素Z11,Z21との直列回路、およびコンデンサC2とインピーダンス要素Z12,Z22との直列回路がそれぞれ直流電源Esに接続される。なお、コンデンサC1,C2に接続されているインピーダンス要素Z11,Z21,Z12,Z22は、トリガ電源Etの出力電圧が直流電源Esに吸収されないように設定してある。
【0064】
上述した構成では、図4のように時刻t0において電源が投入されると、コンデンサC1,C2の両端電圧が図4(b)のように上昇し、同時にギャップ素子G1,G2への印加電圧も図4(c)(d)のように立ち上がる。ギャップ素子G1,G2を導通させる前には、図4(a)に示すように、ギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbよりもトリガ電源Etの出力電圧Vtを低く設定しているが、コンデンサC1,C2が充電された後、時刻t1においてトリガ電源Etの電圧を上昇させると図4(c)のようにギャップ素子G1が導通する。こうしてギャップ素子G1が導通すれば図4(d)のようにギャップ素子G2が導通する。したがって、パルストランスPTの1次巻線にコンデンサC1,C2からエネルギが供給され、パルストランスPTの2次巻線に図4(e)のように高圧パルスが発生するのである。
【0065】
(第2の実施の形態)
本実施形態は、図3に示した第1の実施の形態の具体構成を変形したものであり、図5に示すように、コンデンサC1,C2を充電するためのインピーダンス要素の個数を削減したものである。すなわち、インピーダンス要素Z12,Z21を省略し、直流電源Esにインピーダンス要素Zsを直列接続した構成を有する。さらに具体的に説明すると、コンデンサC1は直流電源Esの一方の極(図示例では正極)との間にインピーダンス要素Zsとインピーダンス要素Z11との直列回路が挿入され、コンデンサC2は各一端にインピーダンス要素Zsとインピーダンス要素Z22とがそれぞれ直列接続され、この直列回路が直流電源Esの両端間に接続されている。本実施形態はコンデンサC1,C2の充電経路の構成が第1の実施の形態とは異なるが、他の構成および動作は同様である。
【0066】
(第3の実施の形態)
本実施形態は、図6に示すように、パルス発生装置4を高圧放電灯2の始動・再始動させるイグナイタに用いた放電灯点灯装置1を示しており、このパルス発生装置4は、図5に示した第2の実施の形態の構成を変形した構成を有する。
【0067】
高圧放電灯2は交流電源Vsに安定器3およびパルストランスPTの2次巻線を介して接続されている。安定器3は交流電源VsとパルスPTの2次巻線との間に挿入されるインダクタLと交流電源Vsの両端間に接続される力率改善用のコンデンサCfからなる。また、安定器3の出力端間にはバイパス用のコンデンサC10が接続される。
【0068】
バイパスコンデンサC10の両端にはダイオードブリッジのような整流器DB1の交流入力端が接続され、整流器DB1の出力は平滑コンデンサC11により平滑され、平滑コンデンサC11の両端電圧はフライバック形のDC−DCコンバータにより電力変換される。このDC−DCコンバータは、平滑コンデンサC11の両端間に、フライバックトランスFT1の1次巻線とIGBTよりなるスイッチング素子Q11との直列回路を接続し、フライバックトランスFT1の2次巻線にダイオードD10を介してコンデンサC20を接続した構成を有する。スイッチング素子Q11はドライバDR11により高周波でオンオフ駆動され、コンデンサC20の両端電圧がスイッチング素子Q11のオンオフのデューティ比に応じて昇圧された高電圧になる。ドライバDR11は高圧放電灯2のランプ電流に基づいて高圧放電灯2の点灯/不点灯を検出する点灯検出手段ODT1により制御され、高圧放電灯2の点灯が検出されている期間にはスイッチング素子Q11をオフにしてコンデンサC20の充電を停止させる。また、ドライバDR11はコンデンサC20の両端電圧を検出する電圧検出手段VDT1によっても制御され、コンデンサC20の両端電圧が所定電圧以上に上昇しないように制御される。
【0069】
ところで、第2の実施の形態では、コンデンサC1,C2とギャップ素子G1,G2とパルストランスPTの1次巻線とが閉ループを形成しており、本実施形態においても同様に、ギャップ素子G1,G2とコンデンサC1,C2とパルストランスPTの1次巻線とからなる閉ループが形成されている。ただし、第2の実施の形態ではパルストランスPTの1次巻線がコンデンサC1とギャップ素子G2との間に挿入されているのに対して、本実施形態ではパルストランスPTの1次巻線がギャップ素子G2とコンデンサC2との間に挿入されている。また、パルス発生装置Esに電源を供給する直流電源Esは上述したコンデンサC20の両端電圧によって得られている。直流電源Esの出力であるコンデンサC20の両端電圧は、インピーダンス要素Zsとしての抵抗Rsを介してギャップ素子G1,G2を含む上述の閉ループに接続される。
【0070】
ギャップ素子G1を導通させるためのトリガ電源Etは、平滑コンデンサC11の両端電圧を電源とし、平滑コンデンサC11の両端間に接続された抵抗R10と昇圧トランスT1の1次巻線とIGBTよりなるスイッチング素子Q12との直列回路を備える。スイッチング素子Q12は、コンデンサC20の両端電圧が所定値に達したことを電圧検出手段VDT1が検出し、スイッチング素子Q11のオンオフが停止された後に、ドライバDR12により駆動されてオンになる。昇圧トランスT1の2次巻線にはコンデンサCtが直列接続され、昇圧トランスT1の2次巻線とコンデンサCtとの直列回路がギャップ素子G2に並列接続される。ここに、コンデンサCtはトリガ電源Etの一部を構成するとともにインピーダンス要素Ztとしても兼用される。
【0071】
コンデンサC1は一端が直流電源Esの負極に接続され、他端がインピーダンス要素Z1としてのダイオードD11および抵抗R11の直列回路とインピーダンス要素Zsとしての抵抗Rsとを介して直流電源Esの正極に接続される。また、コンデンサC2は一端がインピーダンス要素Zsである抵抗Rsを介して直流電源Esの正極に接続され、他端がインピーダンス要素Z22である抵抗R22およびダイオードD22の直列回路を介して直流電源Esの負極に接続されている。つまり、これらのインピーダンス要素はコンデンサC1,C2の充電経路を形成する。
【0072】
次に動作を説明する。交流電源Vsを投入すると、安定器3とパルストランスPTの2次巻線および点灯検出手段ODT1とを通して高圧放電灯2の両端に交流電源Vsの電圧が印加される。また、安定器3を介して整流器DB1に交流電源Vsが供給され、DC−DCコンバータの動作によって図7(a)のようにコンデンサC20の両端に所望電圧V0が得られ、このとき、抵抗Rsなどを通してコンデンサC1,C2,Ctも充電される。ただし、本実施形態ではコンデンサC20の容量をコンデンサCtよりも十分に大きく設定してあり、コンデンサCtの蓄積電荷量はコンデンサC20よりも十分に小さくなる。さらに、直流電源Esの出力電圧(つまりコンデンサC20の両端電圧)V0は、ギャップ素子G1,G2の応答電圧の最小値よりも小さく、かつ直流電源Esの出力電圧の2倍がギャップ素子G1,G2の応答電圧の最大値よりも大きい所定電圧に設定されている。
【0073】
コンデンサC20の両端電圧が上昇して時刻t1において上述の所定電圧V0に達すると電圧検出手段VDT1は、ドライバDR11を通してスイッチング素子Q11の動作を停止させ、さらにスイッチング素子Q11の動作停止と同時ないし動作停止に遅れてドライバDR12を通してスイッチング素子Q12をオンにする。スイッチング素子Q12がオンになると、抵抗R10を通して昇圧トランスT1の1次巻線に電流が流れ、昇圧トランスT1の2次巻線に図7(b)のようなパルス状の電圧が発生する。この電圧はコンデンサCtの両端電圧に加算されてギャップ素子G1に印加され、図7(c)のようにギャップ素子G1が導通する。
【0074】
ギャップ素子G1が導通すれば、パルストランスPTの1次巻線→コンデンサC2→ギャップ素子G1→コンデンサC1の直列回路から、ギャップ素子G2の両端間にコンデンサC1,C2の両端電圧を加算した電圧が印加されることになる。つまり、ギャップ素子G2にはコンデンサC1,C2の両端電圧(コンデンサC20の両端電圧V0にほぼ等しい)のほぼ2倍の電圧が印加され、図7(d)のようにギャップ素子G2がオンになる。ギャップ素子G2がオンになれば、コンデンサC1,C2の電荷はパルストランスPTの1次巻線を通して放出され、図7(e)のようにパルストランスPTの2次巻線には高圧放電灯2の始動・再始動に必要な程度のパルス電圧を有した高圧パルスが発生する。
【0075】
以上の動作によって高圧放電灯2が始動し、交流電源Vsから安定器3を通して高圧放電灯2に電流が流れ、高圧放電灯2が点灯する。
【0076】
また、点灯検出手段ODT1は高圧放電灯2のランプ電流を検出しており、高圧放電灯2が点灯中であると駆動回路DR11を通してスイッチング素子Q11をオフに保つ。つまり、高圧放電灯2の点灯中にパルス発生装置3から不要なパルスが発生するのを防止することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態では、ギャップ素子G1,G2を用いながらもほぼ一定のパルス電圧を発生させることが可能になり、しかもパルストランスPTにエネルギを供給する経路内に基本的にはインピーダンス要素を含んでいないから、高圧パルスを発生する際の損失がほぼんと生じないのである。また、パルストランスPTにエネルギを供給する経路内にインピーダンス要素を含まないことによって、インピーダンス要素の耐圧が問題になることもない。しかも、パルストランスPTの1次巻線には直流電源Esの出力電圧のほぼ2倍の電圧が印加されるから、パルストランスPTの昇圧比を比較的小さく設定することができ、結果的にパルストランスPTの大型化を避けることができる。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。なお、直流電源Esは、上述の構成に限定されるものではなく、ギャップ素子G1,G2の応答電圧に対して上述の条件を満たすことが可能な出力電圧を得ることができれば、どのような構成を用いてもよい。トリガ電源Etも同様に直流電源Esの出力電圧が所定電圧に達した後に、ギャップ素子G1を導通させるのに必要な電圧を発生させることができる構成であればどのような構成を採用してもよい。
【0078】
参考例1
本例は、図1に示した第1の実施の形態の回路構成と同様の回路を用いて動作を変更したものである。すなわち、第1の実施の形態ではインピーダンス要素Ztとの直列回路をギャップ素子G1に並列接続したトリガ電源Etの出力電圧を上昇させてギャップ素子G1を導通させることにより、ギャップ素子G2を導通させてパルストランスPTの1次巻線にエネルギを供給するように構成していたが、本例では、図8(a)に示すように、時刻t1においてトリガ電源Etの出力電圧Vtを引き下げることによってパルストランスPTの1次巻線にエネルギを供給するようにしている。
【0079】
つまり、ギャップ素子G2の両端には、電圧源E1,E2の出力電圧V1,V2の加算値から、トリガ電源Etの出力電圧Vtを減算した電圧が印加されているから、トリガ電源Etの出力電圧Vtを引き下げると、ギャップ素子G2に印加される電圧が上昇する。そこで、トリガ電源Etの出力電圧Vtを引き下げたときに、V1+V2−Vtがギャップ素子G2の応答電圧Vbの最大値よりも高くなるように設定しておけば、トリガ電源Etの出力電圧Vtの引き下げによって図8(c)のようにギャップ素子G2を導通させることができる。ギャップ素子G2が導通すると、ギャップ素子G1の両端間には電圧源E1,E2の出力電圧V1,V2の加算値が印加されるから、図8(b)のようにギャップ素子G1も導通し、パルストランスPTの1次巻線に電圧源E1,E2からエネルギが供給される。その結果、パルストランプPTの2次巻線に図8(d)のような高圧パルスが発生するのである。
【0080】
ここに、ギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbのばらつき範囲の最大値をVb−max、最小値をVb−minとすると、ギャップ素子G1,G2が非導通であるときには、以下の条件が設定される。
Vt<Vb−min
V1+V2−Vt<Vb−min
この条件は第1の実施の形態と同様である。一方、ギャップ素子G1,G2を導通させるには、まずトリガ電源Etの出力電圧を引き下げてギャップ素子G2を導通させ、その後にギャップ素子G1を導通させるのであるから、ギャップ素子GG2を導通させる条件は以下のようになる。
V1+V2−Vt>Vb−max
また、ギャップ素子G1を導通させる条件は以下のようになる。
V1+V2>Vb−max
上述した条件が成立するように各電圧源E1,E2とトリガ電源Etとを設定すれば、トリガ電源Etの出力電圧Vtを変化させることで、ギャップ素子G1,G2を導通させることができるのである。他の構成、設定条件、動作は第1の実施の形態と同様である。
【0081】
すなわち、図3に第1の実施の形態の具体構成として示した構成は本例でも採用することができる。本例に図3の回路を適用する場合には、コンデンサC1,C2の端子電圧がギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbを越えず、両コンデンサC1,C2の端子電圧の加算値がギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbを越えるように設定する。
【0082】
しかして、図9に示すように、時刻t0において電源が投入されると、コンデンサC1,C2の両端電圧が図9(b)のように上昇し、同時にギャップ素子G1,G2への印加電圧も図9(c)(d)のように立ち上がる。図9(a)に示すように、ギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbよりもトリガ電源Etの出力電圧Vtを低く設定してあり、コンデンサC1,C2が充電された後、時刻t1においてトリガ電源Etの電圧をほぼ0に引き下げると図9(d)のようにギャップ素子G2が導通する。こうしてギャップ素子G2が導通すれば図9(c)のようにギャップ素子G1が導通する。したがって、パルストランスPTの1次巻線にコンデンサC1,C2からエネルギが供給され、パルストランスPTの2次巻線に図9(e)のように高圧パルスが発生するのである。
【0083】
参考例2
本例は、図10に示すように、図3に示した第1の実施の形態における直流電源Esとインピーダンス要素Z11,Z12との間にスイッチSsを設け、トリガ電源Etを省略した回路構成を有する。つまり、ギャップ素子G1にはインピーダンス要素Ztのみが並列接続される。他の回路構成については図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0084】
この構成では、図11(a)のようにスイッチSsがオンであると、コンデンサC1,C2が充電されるが、インピーダンス要素Ztに並列接続されたギャップ素子G1には直流電源Esの出力電圧以下の電圧しか印加されない。また、コンデンサC1,C2の両端電圧は、インピーダンス要素Ztの両端電圧以上に上昇することはない。そこで、図11(b)のようにコンデンサC1,C2の両端電圧がギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbよりも小さくなり、かつ両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値が応答電圧Vbよりも大きくなるように設定する。
【0085】
この設定により、スイッチSsがオンである期間には図11(c)(d)のようにギャップ素子G1,G2に印加される電圧は応答電圧を越えることはなく、ギャップ素子G1,G2が導通することはない。
【0086】
時刻t1においてスイッチSsをオフにすると、両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値からインピーダンス要素Ztの電圧降下分を差し引いた電圧がギャップ素子G2に印加されるようになる。ただし、コンデンサC1,C2の充電時とは回路条件が変化するから、インピーダンス要素Ztの両端電圧が各コンデンサC1,C2の両端電圧よりも下がることになる。その結果、参考例1と同様に動作し、ギャップ素子G2への印加電圧が上昇する。この状態でギャップ素子G2への印加電圧がギャップ素子G2の応答電圧Vbを越えるように回路条件を設定しておけば、図11(d)のようにギャップ素子G2が導通する。ギャップ素子G2が導通すれば、インピーダンス要素Ztの両端つまりギャップ素子G1の両端に両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値が印加されるようになるから、図11(c)のようにギャップ素子G1もオンになり、パルストランスPTの1次巻線にコンデンサC1,C2からエネルギが供給され、図11(e)のようにパルストランスPTの2次巻線に高圧パルスが発生する。他の構成および動作は参考例1と同様である。
【0087】
なお、本例の構成から図12のようにインピーダンス要素Z12,Z21を省略しても同様に動作する。たとえば、インピーダンス要素Z11,Z22,Ztを抵抗R11,R22,Rtとすれば図12の回路は図13のように表すことができる。ここで、コンデンサC1,C2は容量が等しく、抵抗R11,R22も抵抗値が等しく設定されているものとすると、スイッチSsをオンにしてコンデンサC1,C2を充電したときコンデンサC1,C2の両端電圧はほぼ等しくなる。ここで、図示していない電圧検出手段を用いてコンデンサC1,C2の両端電圧を検出し、所定電圧に達したときにスイッチSsをオフにすれば、コンデンサC1→パルストランスPTの1次巻線→ギャップ素子G2→コンデンサC2→抵抗Rtのループが形成されてギャップ素子G2に両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値が印加される。なお、抵抗Rtは十分に大きく設定しておく。こうして、ギャップ素子G2に高電圧が印加されることによってギャップ素子G2が導通し、この電圧が抵抗Rtとギャップ素子G1との並列回路に印加され、ギャップ素子G1も導通するのである。このようにして両ギャップ素子G1,G2が導通し、コンデンサC1,C2の電荷がパルストランスPTの1次巻線に急速に放出され、パルストランスPTの2次巻線に高圧パルスが発生するのである。結局、図12、図13に示す構成も図10に示した構成とほぼ同様に動作するのであって、インピーダンス要素の個数が少なくなった分だけコストの低減が可能になる。
【0088】
参考例3
本例は、図14に示すように、図12に示した参考例2の回路構成において、スイッチSsをダイオードDsに置き換えたものである。この構成の場合には、直流電源Esの出力電圧が調節可能であって、比較的高い電圧でコンデンサC1,C2を充電した後、直流電源Esの出力電圧を引き下げてダイオードDsに逆バイアスがかかるようにする。このように直流電源Esの出力電圧を変化させるとダイオードDsがオフになり、参考例2と同様に動作することになる。他の構成および動作は参考例2と同様である。
【0089】
参考例4
本例は、図15に示すように、図12に示した参考例2からインピーダンス要素Ztを省略し、さらにスイッチSsに代えてインピーダンス要素Ztを設けたものである。この構成では、直流電源Esがトリガ電源Etとして機能するとともに、コンデンサC1,C2の充電にも兼用されることになる。したがって、直流電源EsによりコンデンサC1,C2を充電した後に、直流電源Esの出力電圧を引き下げると、参考例1においてトリガ電源Etの出力電圧を引き下げた動作と同様に、ギャップ素子G2が導通し、その後、ギャップ素子G1が導通する。他の構成および動作は参考例1と同様である。
【0090】
参考例5
本例は、図16に示すように、パルス発生装置4を高圧放電灯2を始動・再始動させるイグナイタに用いた放電灯点灯装置1を示しており、このパルス発生装置4は、図14に示した参考例3の構成を変形した構成を有する。また、直流電源Esおよび高圧放電灯2の点灯時に電力を供給する構成については、図6に示した第3の実施の形態の構成と同様の構成を採用している。
【0091】
すなわち、高圧放電灯2は交流電源Vsに安定器3およびパルストランスPTの2次巻線を介して接続されている。安定器3は交流電源VsとパルスPTの2次巻線との間に挿入されるインダクタLと交流電源Vsの両端間に接続される力率改善用のコンデンサCfからなる。また、安定器3の出力端間にはバイパス用のコンデンサC10が接続される。
【0092】
バイパスコンデンサC10の両端にはダイオードブリッジのような整流器DB1の交流入力端が接続され、整流器DB1の出力は平滑コンデンサC11により平滑され、平滑コンデンサC11の両端電圧はフライバック形のDC−DCコンバータにより電力変換される。このDC−DCコンバータは、平滑コンデンサC11の両端間に、フライバックトランスFT1の1次巻線とIGBTよりなるスイッチング素子Q11との直列回路を接続し、フライバックトランスFT1の2次巻線にダイオードD10を介してコンデンサC20を接続した構成を有する。スイッチング素子Q11はドライバDR11により高周波でオンオフ駆動され、コンデンサC20の両端電圧がスイッチング素子Q11のオンオフのデューティ比に応じて昇圧された高電圧になる。ドライバDR11は高圧放電灯2のランプ電流に基づいて高圧放電灯2の点灯/不点灯を検出する点灯検出手段ODT1により制御され、高圧放電灯2の点灯が検出されている期間にはスイッチング素子Q11をオフにしてコンデンサC20の充電を停止させる。また、ドライバDR11はコンデンサC20の両端電圧を検出する電圧検出手段VDT1によっても制御され、コンデンサC20の両端電圧が所定電圧(ギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbより低く、この電圧の2倍がギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbより高くなる電圧)以上に上昇しないように制御される。
【0093】
参考例3では、コンデンサC1,C2とギャップ素子G1,G2とパルストランスPTの1次巻線とが閉ループを形成しており、本例においても同様に、ギャップ素子G1,G2とコンデンサC1,C2とパルストランスPTの1次巻線とからなる閉ループが形成されている。ただし、参考例3ではパルストランスPTの1次巻線がコンデンサC1とギャップ素子G2との間に挿入されているのに対して、本例ではパルストランスPTの1次巻線がギャップ素子G2とコンデンサC2との間に挿入されている。また、ギャップ素子G1にはインピーダンス要素Ztとして抵抗Rtが並列接続され、直流電源Esの出力端であるコンデンサC20の両端は、ダイオードDsを介してギャップ素子G1と抵抗Rtとの並列回路に接続されている。
【0094】
コンデンサC1は一端が直流電源Esの負極に接続され、他端がインピーダンス要素Z1としてのダイオードD11および抵抗R11の直列回路とインピーダンス要素Zsとしての抵抗Rsとを介して直流電源Esの正極に接続される。また、コンデンサC2は一端がインピーダンス要素Zsである抵抗Rsを介して直流電源Esの正極に接続され、他端がインピーダンス要素Z22である抵抗R22およびダイオードD22の直列回路を介して直流電源Esの負極に接続されている。つまり、これらのインピーダンス要素はコンデンサC1,C2の充電経路を形成する。ここに、コンデンサC1,C2の容量および抵抗R11,R22の抵抗値はそれぞれ等しいものとする。
【0095】
次に動作を説明する。交流電源Vsを投入すると、安定器3とパルストランスPTの2次巻線および点灯検出手段ODT1とを通して高圧放電灯2の両端に交流電源Vsの電圧が印加される。また、安定器3を介して整流器DB1に交流電源Vsが供給され、DC−DCコンバータの動作によってコンデンサC20の両端に所望電圧が得られ、このとき、ダイオードDsなどを通してコンデンサC1,C2も充電される。抵抗R11,R22の抵抗値およびコンデンサC1,C2の容量はそれぞれ等しいから、両コンデンサC1,C2の両端電圧はほぼ等しくなる。電圧検出手段VDT1はコンデンサC20の両端電圧を検出することによりコンデンサC1,C2の両端電圧を検出しているから、電圧検出手段VDT1での検出電圧が所定電圧(ギャップ素子G1,G2の応答電圧の最小値よりも小さく、かつ直流電源Esの出力電圧の2倍がギャップ素子G1,G2の応答電圧の最大値よりも大きい電圧)に達すると、電圧検出手段VDT1は、ドライバDR11を通してスイッチング素子Q11の動作を停止させる。
【0096】
スイッチング素子Q11がオフになればコンデンサC20の両端電圧が低下しダイオードDsがオフになるから、参考例2においてスイッチSsをオフにしたときと同様に動作し、コンデンサC1→ギャップ素子G2→コンデンサC2→抵抗Rtの閉ループで、両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値がギャップ素子G2に印加される。こうしてギャップ素子G2が導通し、両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算値はギャップ素子G1と抵抗Rtとの並列回路に印加される。抵抗Rtを十分に大きく設定しておけば、ギャップ素子G1が導通し、両コンデンサC1,C2の蓄積電荷がギャップ素子G1,G2を通してパルストランスPTに放出される。こうしてパルストランスPTの2次巻線には高圧放電灯2の始動・再始動に必要な程度のパルス電圧を有した高圧パルスが発生する。
【0097】
以上の動作によって高圧放電灯2が始動し、交流電源Vsから安定器3を通して高圧放電灯2に電流が流れ、高圧放電灯2が点灯する。
【0098】
また、点灯検出手段ODT1は高圧放電灯2のランプ電流を検出しており、高圧放電灯2が点灯中であると駆動回路DR11を通してスイッチング素子Q11をオフに保つ。つまり、高圧放電灯2の点灯中にパルス発生装置3から不要なパルスが発生するのを防止することができる。
【0099】
以上説明したように、本例では、ギャップ素子G1,G2を用いながらもほぼ一定のパルス電圧を発生させることが可能になり、しかもパルストランスPTにエネルギを供給する経路内に基本的にはインピーダンス要素を含んでいないから、高圧パルスを発生する際の損失がほぼんと生じない。また、パルストランスPTにエネルギを供給する経路内にインピーダンス要素を含まないことによって、インピーダンス要素の耐圧が問題になることもない。しかも、パルストランスPTの1次巻線には直流電源Esの出力電圧のほぼ2倍の電圧が印加されるから、パルストランスPTの昇圧比を比較的小さく設定することができ、結果的にパルストランスPTの大型化を避けることができる。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。なお、直流電源Esは、上述の構成に限定されるものではなく、ギャップ素子G1,G2の応答電圧に対して上述の条件を満たすことが可能な出力電圧を得ることができれば、どのような構成を用いてもよい。さらに、本例は第3の実施の形態に比較するとトリガ電源Etが不要であるから構成がより簡単になる。
【0100】
参考例6
本例は、図17に示すように、直流電圧を発生する電圧源E1,E2を備えるとともに、各電圧源E1,E2にそれぞれ2端子電圧応答形のスイッチ素子としてのギャップ素子G1,G2を直列接続し、電圧源E1,E2とスイッチ素子G1,G2との直列回路の両端間にパルストランスPTの1次巻線を接続してある。また、1つのスイッチ素子G1にはスイッチStとインピーダンス要素Ztとの直列回路を並列接続してある。各電圧源E1,E2の極性は図1に示す関係であり、電圧源E1,E2は両者の出力電圧が加算される極性に接続されている。
【0101】
各電圧源E1,E2の出力電圧はギャップ素子G1,G2(ギャップ素子G1,G2は仕様が同じであるものとする)の応答電圧Vbを越えないように設定される。また、インピーダンス要素Ztはギャップ素子G1の非導通時のインピーダンスよりも十分に小さく設定される。
【0102】
いま、スイッチStがオフであれば、各電圧源E1,E2の出力電圧は適当に分圧されてギャップ素子G1,G2に印加され、この状態では各ギャップ素子G1,G2への印加電圧は応答電圧Vbより低くなっている。次に、スイッチStがオンになると、ギャップ素子G1の両端間のインピーダンスが低下するから、電圧源E1,E2の出力電圧の加算値に相当する電圧がギャップ素子G2に印加される。この電圧がギャップ素子G2の応答電圧Vbを越えるように設定しておけばギャップ素子G2は導通し、ギャップ素子G2の導通によって電圧源E1,E2の出力電圧の加算値に相当する電圧はギャップ素子G1とインピーダンス要素Ztとの並列回路に印加されるようになる。こうしてギャップ素子G1も導通するから、両電圧源E1,E2から両ギャップ素子G1,G2を通してパルストランスPTに電流が流れ、パルストランスPTの2次巻線に高圧パルスが発生するのである。
【0103】
すなわち、図18(a)に示すように、スイッチStをオフにした状態では、図18(b)(c)のように各ギャップ素子G1,G2への印加電圧が応答電圧Vbを越えないように設定しておき、時刻t1においてスイッチStをオンにすると、図18(c)のようにギャップ素子G2が導通し、ギャップ素子G2が導通すれば図18(b)のようにギャップ素子G1が導通する。したがって、パルストランスPTの1次巻線に電圧源E1,E2からエネルギが供給され、パルストランスPTの2次巻線に図18(d)のように高圧パルスが発生するのである。この動作から明らかなように、電圧源E1,E2の出力電圧をほぼ一定電圧に設定しておけば、ギャップ素子G1,G2の応答電圧VbにばらつきがあってもパルストランスPTの2次巻線に発生する高圧パルスのパルス電圧がほぼ一定値に保たれることになる。
【0104】
なお、インピーダンス要素Ztは、パルストランスPTの1次側のインピーダンスよりも十分に大きく設定してあり、各ギャップ素子G1,G2が確実に導通するようにしてある。また、インピーダンス要素Ztを大きな値に設定することによって、スイッチStの電流ストレスが軽減されることになる。
【0105】
なお、電圧源E1,E2とギャップ素子G1,G2とを2個ずつ設けた例を示しているが、電圧源とギャップ素子との組を3組以上設けてもよい。また、ギャップ素子G1,G2に代えて、SSSのような他の2端子電圧応答形のスイッチ素子を用いてもよい。
【0106】
図17に示した回路構成の具体例を図19に示す。この構成例では電圧源E1,E2にコンデンサC1,C2を用いている。また、コンデンサC1,C2を両端電圧が所望電圧に達するように充電するために、直流電源Esおよびインピーダンス要素Z11,Z21,Z12,Z22を設けている。各コンデンサC1,C2の両端には、それぞれインピーダンス要素Z11,Z21,Z12,Z22が直列接続され、コンデンサC1とインピーダンス要素Z11,Z21との直列回路、およびコンデンサC2とインピーダンス要素Z12,Z22との直列回路がそれぞれ直流電源Esに接続される。
【0107】
図19に示す構成では、図20のように時刻t0において電源が投入されると、コンデンサC1,C2の両端電圧が図20(b)のように上昇し、同時にギャップ素子G1,G2への印加電圧も図20(c)(d)のように立ち上がる。図20(b)に示すように、コンデンサC1,C2の両端電圧はギャップ素子G1,G2の応答電圧Vbよりも低く設定されている。コンデンサC1,C2が充電された後、時刻t1においてスイッチStを投入すると、ギャップ素子G2には両コンデンサC1,C2の両端電圧の加算電圧が印加され、この電圧はギャップ素子G2の応答電圧Vbよりも高くなるように設定されているから、図20(d)のようにギャップ素子G2が導通し、その後、図20(c)のようにギャップ素子G1が導通する。したがって、パルストランスPTの1次巻線にコンデンサC1,C2からエネルギが供給され、パルストランスPTの2次巻線に図20(e)のように高圧パルスが発生する。
【0108】
参考例7
本例は、図19に示した参考例6の具体構成を変形したものであり、図21に示すように、コンデンサC1,C2を充電するためのインピーダンス要素の個数を削減したものである。すなわち、インピーダンス要素Z12,Z21を省略し、直流電源Esにインピーダンス要素Zsを直列接続した構成を有する。さらに具体的に説明すると、コンデンサC1は直流電源Esの一方の極(図示例では正極)との間にインピーダンス要素Zsとインピーダンス要素Z11との直列回路が挿入され、コンデンサC2は各一端にインピーダンス要素Zsとインピーダンス要素Z22とがそれぞれ直列接続され、この直列回路が直流電源Esの両端間に接続されている。本例はコンデンサC1,C2の充電経路の構成が参考例6とは異なるが、他の構成および動作は同様である。
【0109】
ところで、図21に示す構成においてインピーダンス要素Z11、Z22を抵抗R11、R22に置き換えると、図22に示す回路になる。図22に示す回路ではインピーダンス要素ZtをコンデンサCtとしてある。この構成では、コンデンサC1,C2を所定電圧まで充電した後に、スイッチStをオンにすると、コンデンサCtが充電されるが、コンデンサCtの初期電圧が0Vであればギャップ素子G1の両端電圧はスイッチStのオン直後にほぼ0Vになるから、ギャップ素子G2にコンデンサC1,C2の両端電圧の加算値が印加されることになる。こうしてギャップ素子G2が導通した後に、コンデンサCtの両端電圧がギャップ素子G1の応答電圧Vbを越えるとギャップ素子G1も導通する。こうして両ギャップ素子G1,G2が導通すると、コンデンサCtに蓄積されていた電荷は放出され、コンデンサCtの両端電圧は0Vになる。なお、コンデンサCtの容量はコンデンサC1,C2よりも十分に小さく設定され、コンデンサC1,C2の両端電圧への影響を少なくしてある。また、コンデンサCtには抵抗を直列接続してコンデンサCtへの充電電流を制限するようにしてもよい。他の構成および動作は参考例6と同様である。
【0110】
参考例8
本例は、図23に示すように、パルス発生装置4を高圧放電灯2を始動・再始動させるイグナイタに用いた放電灯点灯装置1を示しており、このパルス発生装置4は、図22に示した参考例7の構成を変形した構成を有する。
【0111】
すなわち、高圧放電灯2は交流電源Vsに安定器3およびパルストランスPTの2次巻線を介して接続されている。安定器3は交流電源VsとパルスPTの2次巻線との間に挿入されるインダクタLからなる。また、安定器3の出力端間にはバイパス用のコンデンサC10が接続される。
【0112】
バイパスコンデンサC10の両端にはダイオードブリッジよりなる整流器DB1の交流入力端が接続され、整流器DB1の出力は平滑コンデンサC11により平滑され、平滑コンデンサC11の両端電圧はフライバック形のDC−DCコンバータにより電力変換される。このDC−DCコンバータは、平滑コンデンサC11の両端間に、フライバックトランスFT1の1次巻線とバイポーラトランジスタよりなるスイッチング素子Q11との直列回路を接続し、フライバックトランスFT1の2次巻線にダイオードD10を介してコンデンサC20を接続した構成を有する。スイッチング素子Q11は高周波でオンオフ駆動され、コンデンサC20の両端電圧がスイッチング素子Q11のオンオフのデューティ比に応じて昇圧された高電圧になる。スイッチング素子Q11のオンオフは、コンデンサC11の両端電圧を検出して制御信号を出力する充電制御部CCNと、コンデンサC1の両端電圧を検出して制御信号を出力するパルス制御部PCNとの出力の論理積を求めるアンド回路ANDの出力によって制御される。つまり、スイッチング素子Q11は、平滑コンデンサC11の両端電圧に応じて充電制御部CCNの出力によりデューティ比が制御され、コンデンサC1の両端電圧が所定電圧に達したことがパルス制御部PCNで検出されるとオンオフが停止されてオフに保たれる。また、パルス制御部PCNはコンデンサC1の両端電圧が所定電圧に達するとスイッチStとして設けたバイポーラトランジスタよりなるスイッチング素子Qtを一定時間だけオンにする機能も備える。
【0113】
本例は、参考例7と同様に、ギャップ素子G1,G2とコンデンサC1,C2とパルストランスPTの1次巻線とからなる閉ループを備える。また、スイッチング素子Qtにはインピーダンス要素Ztとして抵抗Rtが直列接続され、直流電源Esの出力端であるコンデンサC20の両端は、インピーダンス要素Zsである抵抗Rsを介してギャップ素子G1に接続されている。
【0114】
コンデンサC1は一端が直流電源Esの負極に接続され、他端がインピーダンス要素Z1としてのダイオードD11および抵抗R11の直列回路とインピーダンス要素Zsとしての抵抗Rsとを介して直流電源Esの正極に接続される。また、コンデンサC2は一端がインピーダンス要素Zsである抵抗Rsを介して直流電源Esの正極に接続され、他端がインピーダンス要素Z22である抵抗R22およびダイオードD22の直列回路を介して直流電源Esの負極に接続されている。つまり、これらのインピーダンス要素はコンデンサC1,C2の充電経路を形成する。ここに、コンデンサC1,C2の容量および抵抗R11,R22の抵抗値はそれぞれ等しいものとする。
【0115】
次に動作を説明する。交流電源Vsを投入すると、安定器3とパルストランスPTの2次巻線とを通して高圧放電灯2の両端に交流電源Vsの電圧が印加される。また、安定器3を介して整流器DB1に交流電源Vsが供給され、DC−DCコンバータの動作によってコンデンサC20の両端に所望電圧が得られ、このとき、ダイオードD10などを通してコンデンサC1,C2も充電される。抵抗R11,R22の抵抗値およびコンデンサC1,C2の容量はそれぞれ等しいから、両コンデンサC1,C2の両端電圧はほぼ等しくなる。パルス制御部PCNはコンデンサC1の両端電圧を検出しているから、パルス制御部PCNでの検出電圧が所定電圧(ギャップ素子G1,G2の応答電圧の最小値よりも小さく、かつコンデンサC1の両端電圧の2倍がギャップ素子G1,G2の応答電圧の最大値よりも大きい電圧)に達すると、パルス制御部PCNは、スイッチング素子Q11の動作を停止させ、同時ないしやや遅れてスイッチング素子Qtを一定時間だけオンにする。
【0116】
スイッチング素子Qtのオン後の動作は参考例7と同様であり、両ギャップ素子G1,G2がオンになるから、両コンデンサC1,C2に蓄積された電荷がパルストランスPTに放出され、パルストランスPTの2次巻線に高圧放電灯2の始動・再始動に必要な程度のパルス電圧を有した高圧パルスが発生させることができる。
【0117】
以上の動作によって高圧放電灯2が始動し、交流電源Vsから安定器3を通して高圧放電灯2に電流が流れ、高圧放電灯2が点灯する。また、高圧放電灯2の点灯後には高圧放電灯2の両端電圧が低下するから、充電制御部CCNは平滑コンデンサC11の両端電圧の変化によって高圧放電灯2の点灯状態を検出し、高圧放電灯2が点灯中であるとスイッチング素子Q11をオフに保つ。つまり、高圧放電灯2の点灯中にパルス発生装置3から不要なパルスが発生するのを防止することができる。
【0118】
以上説明したように、本例では、ギャップ素子G1,G2を用いながらもほぼ一定のパルス電圧を発生させることが可能になる。しかも、パルストランスPTの1次巻線には直流電源Esの出力電圧のほぼ2倍の電圧が印加されるから、パルストランスPTの昇圧比を比較的小さく設定することができ、結果的にパルストランスPTの大型化を避けることができる。他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。なお、直流電源Esは、上述の構成に限定されるものではなく、ギャップ素子G1,G2の応答電圧に対して上述の条件を満たすことが可能な出力電圧を得ることができれば、どのような構成を用いてもよい。
【0119】
【発明の効果】
本発明は、両端電圧が所定の応答電圧に達すると導通する2端子電圧応答形のスイッチ素子と出力電圧が応答電圧より低くなるように充電されるコンデンサとの直列回路が複数回路直列接続され、複数個のスイッチ素子と複数個のコンデンサとの直列回路の両端間に負荷が接続され、少なくとも1つのスイッチ素子にトリガ電源と第1のインピーダンス要素との直列回路が並列接続され、トリガ電源は、コンデンサに対して出力電圧が減算される極性であって出力電圧が可変であるとともに、第1のインピーダンスとともに並列接続したスイッチ素子の両端に当該スイッチ素子を導通させる電圧を印加することができ、コンデンサの両端電圧はトリガ電源により一部のスイッチ素子が導通したときに加算されて他のスイッチ素子に印加される電圧が応答電圧を越えるように設定され、各コンデンサに充電エネルギを与える直流電源と、各コンデンサと各スイッチ素子と負荷との閉ループに含まれず直流電源から各コンデンサへの充電経路にそれぞれ挿入された複数個の第2のインピーダンス要素とを有するものであり、2端子電圧応答形のスイッチ素子を用いながらもスイッチ素子の応答電圧のばらつきによらず、ほぼ一定のパルス電圧を有するパルスを発生させることができるという利点を有する。しかも、パルスを発生させる際に回路に流れる電流はコンデンサとスイッチ素子と負荷とにしか流れないから、他の構成要素に不要な電流ストレスが生じないのであって、構成部品に耐圧が比較的低いものを用いることができるとともに比較的低損失になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1および参考例1を示す概略回路図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の動作説明図である。
【図3】 本発明の第1および参考例1を示す回路図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態における図3の回路の動作説明図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態を示す回路図である。
【図7】 同上の動作説明図である。
【図8】 本発明の参考例1の動作説明図である。
【図9】 本発明の参考例1における図3の回路の動作説明図である。
【図10】 本発明の参考例2を示す回路図である。
【図11】 同上の動作説明図である。
【図12】 同上の他の構成例を示す回路図である。
【図13】 図12に示す構成の具体例を示す回路図である。
【図14】 本発明の参考例3を示す回路図である。
【図15】 本発明の参考例4を示す回路図である。
【図16】 本発明の参考例5を示す具体回路図である。
【図17】 本発明の参考例6を示す概略回路図である。
【図18】 同上の動作説明図である。
【図19】 同上の回路図である。
【図20】 図19に示した回路の動作説明図である。
【図21】 本発明の参考例7を示す回路図である。
【図22】 同上の具体例を示す回路図である。
【図23】 本発明の参考例8を示す具体回路図である。
【図24】 従来例を示す回路図である。
【図25】 同上の動作説明図である。
【図26】 他の従来例を示す回路図である。
【図27】 同上の動作説明図である。
【図28】 さらに他の従来例を示す回路図である。
【図29】 同上の動作説明図である。
【図30】 別の従来例を示すブロック図である。
【図31】 同上の構成例を示し、(a)は並列構成を示すブロック図であり、(b)は直列構成を示すブロック図である。
【図32】 同上の構成例を示す回路図である。
【図33】 同上の動作説明図である。
【図34】 同上の他の構成例を示す回路図である。
【図35】 同上に用いるエネルギ供給源の各種構成例を示す回路図である。
【図36】 同上に用いるトリガ電源の各種構成例を示す回路図である。
【図37】 同上のさらに他の構成例を示す回路図である。
【図38】 同上の動作説明図である。
【図39】 同上の具体回路図である。
【図40】 同上の具体回路図である。
【符号の説明】
1 放電灯点灯装置
4 パルス発生装置
C1,C2 コンデンサ
G ギャップ素子(スイッチ素子)
E1,E2 電圧源
Es 直流電源
Et トリガ電源
PT パルストランス
Vb 応答電圧
Z11,Z12,Z21,Z22 インピーダンス要素
Zs インピーダンス要素
Zt インピーダンス要素

Claims (6)

  1. 両端電圧が所定の応答電圧に達すると導通する2端子電圧応答形のスイッチ素子と出力電圧が前記応答電圧より低くなるように充電されるコンデンサとの直列回路が複数回路直列接続され、複数個のスイッチ素子と複数個のコンデンサとの直列回路の両端間に負荷が接続され、少なくとも1つのスイッチ素子にトリガ電源と第1のインピーダンス要素との直列回路が並列接続され、トリガ電源は、コンデンサに対して出力電圧が減算される極性であって出力電圧が可変であるとともに、第1のインピーダンスとともに並列接続したスイッチ素子の両端に当該スイッチ素子を導通させる電圧を印加することができ、前記コンデンサの両端電圧はトリガ電源により一部のスイッチ素子が導通したときに加算されて他のスイッチ素子に印加される電圧が応答電圧を越えるように設定され、各コンデンサに充電エネルギを与える直流電源と、各コンデンサと各スイッチ素子と負荷との閉ループに含まれず前記直流電源から各コンデンサへの充電経路にそれぞれ挿入された複数個の第2のインピーダンス要素とを有することを特徴とするパルス発生装置。
  2. 前記第2のインピーダンス要素は、各前記コンデンサの両端にそれぞれ接続され、各第2のインピーダンス要素と各コンデンサとの直列回路を並列接続した並列回路が前記直流電源の両端間に接続されていることを特徴とする請求項1記載のパルス発生装置。
  3. 一部のコンデンサは前記直流電源の正極側に第2のインピーダンス要素が接続され、残りのコンデンサは前記直流電源の負極側に第2のインピーダンス要素が接続され、各コンデンサと各第2のインピーダンス要素との直列回路を並列接続した並列回路が前記直流電源の両端間に接続されていることを特徴とする請求項1記載のパルス発生装置。
  4. 各コンデンサと各第2のインピーダンス要素との直列回路を並列接続した並列回路と前記直流電源との間に別のインピーダンス要素が挿入されていることを特徴とする請求項3記載のパルス発生装置。
  5. 前記負荷はパルストランスであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のパルス発生装置。
  6. 請求項5記載のパルス発生装置をイグナイタに用いたことを特徴とする放電灯点灯装置。
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