JP3742073B2 - 自動列車制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、列車の速度を自動的に制限速度以下に制御する自動列車制御装置、特にデータ転送作業の効率化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−286333号公報
列車の速度を自動的に制限速度以下に制御する自動列車制御装置(以下、ATC装置という)は、特許文献1に示すように、先行列車との間隔と曲線や分岐等の進路の条件等により列車の速度制限を指示して自動的にブレーキ制御を行うものである。このATC装置の動作を大きく分類すると2方法がある。第1の方法は、地上装置があらかじめ設定された諸条件に対応する許容速度情報を、レールを一定区間毎に分割した軌道回路単位に伝送し、列車に搭載した車上装置は、軌道回路を介して受信した許容速度情報に基づき列車の走行速度が許容速度以下になるまで自動的に減速させることにより、多段階的に列車を減速する方法である。近年実用化が進んでいる第2の方法は、地上装置から諸条件で定まる停止目標位置と現在の在線位置を示す符号化した情報を伝送し、車上装置は受信した情報から算出される停止目標位置までの照査速度パターンに基づき連続的に列車を減速する方法であり、性能の異なる列車が混在しても効率的に列車を運行できるという利点を有する。
【0003】
このATC装置で列車の速度を制御しているとき、気象条件や線路の改修等の設備工事等により運行する列車の速度を臨時に下げる必要が生じた場合には、特定区間で通常定めた制限速度より減速した臨時速度制限を設定して制限速度を変更する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このATC装置を使用して特定区間で臨時に列車の速度を減速させる臨時速度制限を設定するとき、第1の方法を使用したATC装置では、許容速度情報に対応する速度に設定するだけで済むが、第2の方法を使用したATC装置では、地上装置から車上装置に対して臨時速度制限が設定されている区間と制限速度を示す必要がある。また、複数の区間に臨時速度制限が設定されている場合は、地上装置から臨時速度制限がされている複数の区間の情報と各区間の制限速度の情報を全て伝送する必要があり、伝送する情報量が膨大部なり、許容伝送容量を超えてしまう。このため、車上装置が照査速度パターンを算出するために必要な情報を地上装置又は臨時速度の設定者が編集する必要があり、その編集は容易でなく、性能の異なる列車が混在しても効率的に列車を運行できるというATC装置の利点を十分に発揮できないという問題がある。
【0005】
この発明はこのような問題を解消し、臨時速度を設定する設定者が臨時速度設定を容易に行うことができるとともに、設定された臨時速度制限の地上から車上に伝送する情報量を低減して、性能の異なる列車が混在しても効率的に列車を運行することができる自動列車制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の自動列車制御装置は、ATC地上装置から符号化した情報を伝送し、ATC車上装置は受信した情報から算出される停止目標位置までの照査速度パターンに基づき連続的に列車を制御する自動列車制御装置において、ATC地上装置は、臨時速度制限情報入力部と速度段判定部と速度情報選択部と制御情報作成部及び送信部を有し、臨時速度制限情報入力部は、気象条件や線路の改修等の設備工事等により運行する列車の速度を臨時に減速する必要が生じたとき、臨時速度設定装置に設定された臨時速度制限区間と通常定めた制限速度より減速した臨時速度を示す臨時速度制限情報を入力し、速度段判定部は、臨時速度設定装置から送られる臨時速度制限情報で設定された臨時速度に、自軌道回路を基準にして列車の進行方向の前方の各軌道回路毎に、低速に移行する速度段と高速に移行している速度段があるかどうかを判定し、速度情報選択部は、速度段判定部で判定した結果、ATC地上装置が接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車の進行方向の前方の軌道回路に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段がある場合、臨時速度制限情報に設定された臨時速度から高速に移行する速度段の情報を選択せず、速度段が低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と移行する各速度段だけを全て速度制御情報として選択し、制御情報作成部は前記速度情報選択部で選択した速度制御情報の全ての速度段を符号化してデータフレーム上で表現し、各速度段を対応するフレームの位置により識別可能とした臨時速度の伝送情報を作成し、送信部は制御情報作成部で作成した臨時速度の伝送情報を軌道回路に送信し、ATC車上装置は、新たな臨時速度の伝送情報を受信するまで同一の速度制限を保持することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の自動列車制御装置(以下、ATC装置という)の構成を示すブロック図である。ATC装置は、列車1の速度を自動的に制限速度に制御するものであり、ATC地上装置2と列車1に搭載されたATC車上装置3を有する。ATC地上装置2は、各軌道回路1T〜14Tの境界に接続され、列車1の位置を検知するとともに列車1に対してATC信号を伝送する。このATC地上装置2には、気象条件や線路の改修等の設備工事等により、運行する列車1の速度を臨時に下げる必要が生じた場合に、臨時速度設定装置4に設定された臨時速度制限区間と通常定めた制限速度より減速した臨時速度を示す臨時速度制限情報が送られる。
【0008】
各ATC地上装置2は、図2のブロック図に示すように、臨時速度制限情報入力部5と列車検知装置6とデータ記憶部7と速度段判定部8と速度情報選択部9と制御情報作成部10とATC信号生成部11及び送信器12を有する。臨時速度制限情報入力部5は臨時速度設定装置4から送られる臨時速度制限情報を入力する。列車検知装置6は各軌道回路1T〜14Tにおける列車1の有無を検知する。データ記憶部7には各軌道回路1T〜14T毎にATC信号の全てのデータがあらかじめ格納されている。速度段判定部8は臨時速度設定装置4から送られる臨時速度制限情報に設定された臨時速度が、自軌道回路を基準にして列車1の進行方向の前方の各軌道回路毎に、低速に移行している速度段と高速に移行している速度段があるかどうかを判定する。速度情報選択部9は速度段判定部8で判定した結果、各ATC地上装置2がそれぞれ接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車1の進行方向の軌道回路に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段がある場合は、臨時速度設定装置4から送られる臨時速度制限情報に設定された臨時速度から、高速に移行する速度段の情報を選択せずに、速度段が低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と速度段だけを全て速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は速度情報選択部9で選択した速度制御情報により臨時速度の伝送情報を作成する。ATC信号生成部11は制御情報作成部10で作成した臨時速度の伝送情報を符号化する。送信器12は符号化した臨時速度制御の伝送情報を変調して各軌道回路1T〜14Tに送信する。
【0009】
ATC車上装置3は受信器13と速度検出部14と位置検出部15とデータ記憶部16とパターン作成部17と速度照査部18及び速度制御部19を有する。受信部13は軌道回路1T〜14Tに送信されている情報を受信する。速度検出部14は列車1の車軸に設けられた速度発電機20からの速度情報を入力して列車1の速度を検出する。位置検出部15は速度発電機20からの速度情報を入力して列車1が走行している位置を検出する。データ記憶部16には列車1の制限速度等の各種制御データがあらかじめ記憶してある。パターン作成部17はデータ記憶部16に記憶した制御データと受信部13で受信した制御情報及び位置検出部15で検出した列車1の位置情報を入力して、列車1の速度パターンを作成する。速度照査部18はパターン作成部17で作成した速度パターンと速度検出部14で検出している列車1の速度とをつき合わせて照査する。速度制御部19は速度照査部18の照査結果によりブレーキ装置等を制御して列車1の速度が制限速度になるように制御する。
【0010】
前記のように構成したATC地上装置2で、臨時速度設定装置4で臨時速度制限区間として例えば軌道回路1T〜14Tと臨時速度が設定されたときに軌道回路1T〜14Tに送信する速度制御情報を作成して送信するときの動作を図3のタイムチャートを参照して説明する。
【0011】
臨時速度設定装置4により、例えば図3(a)に示すように、臨時速度制限区間として軌道回路1T〜13Tが設定され、臨時速度として、軌道回路4Tに通常の制限速度より低速の速度段aが設定され、軌道回路6Tに速度段aより低速の速度段bが設定され、軌道回路8Tに速度段bより低速の速度段cが設定される。また、軌道回路11Tに速度段cより高速の速度段dが設定され、軌道回路13Tに速度段dより高速の速度段eが設定される。この臨時速度制限情報が臨時速度制限区間の軌道回路1T〜13Tに接続された各ATC地上装置2に送られる。軌道回路1T〜13Tにそれぞれ接続されたATC地上装置2の臨時速度制限情報入力部5は送られた臨時速度制限情報を入力し速度段判定部8と速度情報選択部9に送る。速度段判定部8は入力した臨時速度制限情報から各ATC地上装置2がそれぞれ接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車1の進行方向の前方の軌道回路に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段が設定されているかどうかを判定し、判定結果を速度情報選択部9に送る。速度情報選択部9は送られた判定結果から、ATC地上装置2が接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車1の進行方向の軌道回路に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段がある場合、臨時速度制限情報入力部5から送られた臨時速度制限情報に設定された臨時速度制限区間と臨時速度から、高速に移行する速度段の情報を選択せずに、速度段が低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と速度段だけを全て速度制御情報として選択する。また、自軌道回路及び自軌道回路より列車1の進行方向の前方の軌道回路に、低速に移行する速度段がない場合は、最初の速度段の始端の軌道回路までの軌道回路数を示す情報と速度段だけを速度制御情報として選択する。この速度情報選択部9で選択した速度制御情報を制御情報作成部10に送る。制御情報作成部10は送られた速度制御情報により臨時速度の伝送情報を作成してATC信号生成部11に送る。
【0012】
例えば軌道回路1T〜3Tにそれぞれ接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は自軌道回路1T〜3Tには速度段が設定されていなく、自軌道回路1T〜3Tより列車1の進行方向の前方の軌道回路4T,6T,8Tに設定されている速度段は低速に移行する速度段aと速度段b及び速度段cであり、軌道回路11T,13Tに設定されている速度段が高速に移行する速度段dと速度段eであるから、高速に移行する速度段dと速度段eの情報を選択せずに、低速に移行する速度段a,b,cの始端の軌道回路4T,6T,8Tまでの軌道回路数と軌道回路4T,6T,8Tの各速度段a,b,cだけを速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報A(a,b,c)を作成してATC信号生成部11に送る。
【0013】
また、軌道回路4Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は自軌道回路4Tと自軌道回路4Tより列車1の進行方向の前方の軌道回路6T,8Tに設定されている速度段が、低速に移行する速度段aと速度段b及び速度段cであり、軌道回路11T,13Tに設定されている速度段が高速に移行する速度段dと速度段eであるから、低速に移行する速度段a,b,cの始端の軌道回路4T,6T,8Tまでの軌道回路数と軌道回路4T,6T,8Tの各速度段a,b,cだけを速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報A(a,b,c)を作成してATC信号生成部11に送る。
【0014】
同様に、軌道回路5Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は、自軌道回路5Tより列車1の進行方向の前方の軌道回路6Tと軌道回路8Tには低速に移行する速度段bと速度段cが設定され、起動回路11Tと軌道回路13Tには高速に移行する速度段dと速度段eが設定されているから、低速に移行する速度段b,cの始端の軌道回路6T,8Tまでの軌道回路数と軌道回路6T,8Tの各速度段b,cだけを速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報B(b,c)を作成してATC信号生成部11に送る。また、軌道回路6Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は、自軌道回路6Tと自軌道回路6Tより列車1の進行方向の前方の軌道回路8Tに低速に移行する速度段bと速度段cが設定され、起動回路11Tと軌道回路13Tには高速に移行する速度段dと速度段eが設定されていないから、低速に移行する速度段b,cの始端の軌道回路6T,8Tまでの軌道回路数と軌道回路6T,8Tの各速度段b,cだけ速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報B(b,c)を作成してATC信号生成部11に送る。
【0015】
軌道回路7Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は自軌道回路より列車1の進行方向の前方の軌道回路に低速に移行する速度段が設定されていないから、最初の速度段cの始端の軌道回路8Tまでの軌道回路数を示す情報と速度段cだけを速度制御情報として選択する。軌道回路8Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は自軌道回路に設定されている速度段cだけを速度制御情報として選択する。制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報C(c)を作成してATC信号生成部11に送る。
【0016】
さらに、軌道回路9T,10Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は、自軌道回路9T,10Tより列車1の進行方向の前方の軌道回路11Tに低速に移行する速度段が設定されていないから、最初の速度段dの始端の軌道回路11Tまでの軌道回路数と軌道回路11Tの速度段dを示す速度制御情報を選択し、制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報D(d)を作成してATC信号生成部11に送る。軌道回路11Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は、自軌道回路11Tに設定された速度段dだけを速度制御情報として選択し、制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報D(d)を作成してATC信号生成部11に送る。同様に、軌道回路12T,13Tに接続されたATC地上装置2の速度情報選択部9は軌道回路11Tに設定されている速度段eの始端の軌道回路13Tまでの軌道回路数と軌道回路13Tの速度段eを速度制御情報として選択し、制御情報作成部10は選択された速度制御情報により臨時速度の伝送情報E(e)を作成してATC信号生成部11に送る。
【0017】
各軌道回路1T〜13TのATC信号生成部11は送られた臨時速度の伝送情報を符号化して送信器12から臨時速度制限区間の各軌道回路1T〜13Tに送信する。この臨時速度の伝送情報を符合化するとき例えば臨時速度制限の全ての速度段は、データフレーム上で表現し、各速度段a〜速度段eは対応するフレームの位置により識別可能として、フレームの位置を指定することにより制限速度コードは不要とする。また自軌道回路から各速度段a〜速度段eの始端までの軌道回路数を例えば5ビットの符号系列にする。例えば軌道回路1Tから速度段aの始端までの軌道回路数は「00011」と符号化し、軌道回路4Tのように自軌道回路に速度段aが設定されている場合は、速度段aの始端までの軌道回路数を「00000」と符号化して、各軌道回路1T〜13Tに送信するメッセージ長を小さくする。
【0018】
列車1のATC車上装置3は各軌道回路1T〜8Tに送信された速度制御情報に基づき、図3(b),(c)に示すように列車1の速度を臨時速度になるように制御する。この列車1の速度を制御するとき、臨時速度の速度段が設定されている軌道回路より列車1の進行方向の前方の軌道回路には同一の速度制限があるものとして処理し、新たに速度段が確定するまで、その速度制限を保持する。例えば図3(c)に示すように、列車1が軌道回路8Tから軌道回路9Tに進行したとき、列車1の列車長全体が軌道回路8Tを抜けて次の速度段dによる速度制御情報D(d)が確定するまで軌道回路8Tの速度段cにより列車1の速度を制限し、列車1の列車長全体が軌道回路8Tを抜けて次の速度段dによる速度制御情報D(d)が確定したのち速度制御情報D(d)により列車1の速度を可変する。
【0019】
このように臨時速度設定装置4に、臨時速度制限区間の軌道回路1T〜13Tと臨時速度が設定されたとき、各ATC地上装置2がそれぞれ接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車1の進行方向の軌道回路に設定されている速度段に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段がある場合は、臨時速度設定装置4から送られる臨時速度制限情報から高速に移行する速度段の情報を選択せずに、速度段が低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と速度段だけを全て伝送情報として選択することにより、各ATC地上装置2から臨時速度制限区間の各軌道回路1T〜13Tに送信する情報量を少なくすることができ、臨時速度の情報を効率よく伝送することができる。また、列車1の速度を制御するとき、臨時速度の速度段が設定されている軌道回路より列車1の進行方向の前方の軌道回路には同一の速度制限があるものとして処理し、新たに速度段が確定するまで、その速度制限を保持することにより、臨時速度の速度段が設定されていない軌道回路で速度制限なしと判断して加速することを防止することができる。
【0020】
また、臨時速度設定装置4は、臨時速度制限区間の軌道回路1T〜13Tと臨時速度の速度段だけを設定すれば良いから、臨時速度を設定するとき、設定者が各軌道回路1T〜13T毎に編集する必要がなく、臨時速度の設定を容易に行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、臨時速度設定装置により臨時速度が設定されたとき、設定された臨時速度が各制限区間毎に低速に移行しているか高速に移行しているかを判定し、ATC地上装置が接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車の進行方向の前方の軌道回路に設定されている速度段が低速に移行する場合、設定された臨時速度から低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と速度段により臨時速度の伝送情報を作成するようにし、速度段が高速に移行する速度段を示す臨時速度情報を臨時速度の伝送情報に含めないようするから、臨時速度設定装置で臨時速度を設定するとき、設定者は各軌道回路毎に編集する必要がなく、臨時速度の設定を容易に行うことができる。
【0022】
また、ATC地上装置が接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車の進行方向の前方の軌道回路に設定されている速度段が低速に移行する場合、速度段が高速に移行する速度段を示す臨時速度情報を臨時速度の伝送情報に含めないようにしたから、ATC地上装置から軌道回路に送信する情報量を少なくして臨時速度の情報を効率よく伝送することができるとともに性能の異なる列車が混在しても効率的に列車を運行することができる。
【0023】
また、列車の速度を制御するとき、臨時速度の速度段が設定されている軌道回路より列車の進行方向の前方の軌道回路には同一の速度制限があるものとして処理し、新たに速度段が確定するまで、その速度制限を保持することにより、臨時速度の速度段が設定されていない軌道回路で速度制限なしと判断して加速することを防止することができる。
さらに、速度制御情報の全ての速度段を符号化してデータフレーム上で表現し、各速度段を対応するフレームの位置により識別可能とした臨時速度の伝送情報を作成して軌道回路に送信することにより、フレームの位置により速度段を識別することができるから、制限速度コードを不要にでき、ATC地上装置から軌道回路に送信する情報量を少なくして臨時速度の情報を効率よく伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のATC装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ATC地上装置とATC車上装置の構成を示すブロック図である。
【図3】臨時速度が設定されたときの処理と動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1;列車、2;ATC地上装置、3;ATC車上装置、
4;臨時速度設定装置、5;臨時速度制限情報入力部、
6;列車検知装置、7;データ記憶部、8;速度段判定部、
9;速度情報選択部、10;制御情報作成部、11;ATC信号生成部、
12;送信器、13;受信器、14;速度検出部、15;位置検出部、
16;データ記憶部、17;パターン作成部、18;速度照査部、
19;速度制御部、20;速度発電機。

Claims (1)

  1. ATC地上装置から符号化した情報を伝送し、ATC車上装置は受信した情報から算出される停止目標位置までの照査速度パターンに基づき連続的に列車の速度を制御する自動列車制御装置において、
    前記ATC地上装置は、臨時速度制限情報入力部と速度段判定部と速度情報選択部と制御情報作成部及び送信部を有し、
    前記臨時速度制限情報入力部は、気象条件や線路の改修等の設備工事等により運行する列車の速度を臨時に減速する必要が生じたとき、臨時速度設定装置に設定された臨時速度制限区間と通常定めた制限速度より減速した臨時速度を示す臨時速度制限情報を入力し、
    前記速度段判定部は、前記臨時速度設定装置から送られる臨時速度制限情報で設定された臨時速度に、自軌道回路を基準にして列車の進行方向の前方の各軌道回路毎に、低速に移行する速度段と高速に移行している速度段があるかどうかを判定し、
    前記速度情報選択部は、前記速度段判定部で判定した結果、前記ATC地上装置が接続されている自軌道回路及び自軌道回路より列車の進行方向の前方の軌道回路に低速に移行する速度段と高速に移行する速度段がある場合、前記臨時速度制限情報に設定された臨時速度から高速に移行する速度段の情報を選択せず、速度段が低速に移行する各速度段の始端の軌道回路を示す情報と移行する各速度段だけを全て速度制御情報として選択し、
    前記制御情報作成部は前記速度情報選択部で選択した速度制御情報の全ての速度段を符号化してデータフレーム上で表現し、各速度段を対応するフレームの位置により識別可能とした臨時速度の伝送情報を作成し、
    前記送信部は前記制御情報作成部で作成した臨時速度の伝送情報を軌道回路に送信し、
    前記ATC車上装置は、新たな臨時速度の伝送情報を受信するまで同一の速度制限を保持することを特徴とする自動列車制御装置。
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