JP3741746B2 - 板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面的な板金加工製品を板金素材上に複数個製作し、その製品を保持することは従来から行われている。例えば、パンチプレスで複数個の平面的な板金加工製品を一枚の板金素材から打ち抜き加工で製作する場合、板金加工製品の複数箇所のごく微小な部分を板金素材に接続した状態にしておくことにより、板金加工製品が板金素材から自然に落下しない様に支持するのである。
【0003】
上述の様に、パンチプレスなどで平面的な板金加工製品を一枚の板金素材上に複数個製作した板金素材は、パンチプレス機の搬送テーブルを経て適宜な位置まで搬出される。搬出された加工済みの板金素材上の複数の板金加工製品は人手によりそれぞれの板金加工製品に分離される。この分離作業を人手によらずに加工済みの板金素材に振動を与えることにより行うことも行われている。
【0004】
すなわち、搬送中は板金素材上の板金加工製品は分離落下することはなく、人手によってまたは機械的に微小な力を加工済みの板金素材に与えることで板金加工製品を板金素材から分離させるることができるものである。
【0005】
ところで複数個の立体的板金加工製品を一枚の板金素材上に製作して、その立体的板金加工製品を板金素材上に支持する技術は未だ知られれていない新規な技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如き平面的な板金加工製品を一枚の板金素材に複数箇製作する場合は、板金加工製品の複数箇所のごく微小な部分を板金素材に接続した状態にしておくだけで、板金加工製品が搬送中に自然に落下するような心配はないが、立体的板金加工製品を一枚の板金素材上に製作する場合には、板金加工製品と板金素材との接続部分に曲げモーメントが掛かるので、従来のような極めて微小な接続部分では立体的板金加工製品を支持させることができない。
【0007】
本発明は上述のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する新規な方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法は、板金素材上に製作された立体的板金加工製品において、該立体的板金加工製品は前記板金素材面を含む平面から突出した複数個の立体的な側壁部を有し、該複数個の側壁部の前記板金素材の折曲げを行う部分に、該複数個の側壁部を非常に小さな力で折曲げ可能にするために、前記折曲げ線に沿った複数個の長スリットを形成すると共に、該複数個の長スリットの端部から前記側壁部側へほぼ直角に伸びる2本一組の短スリットを形成し、該2本一組の短スリットにより前記板金加工製品の底部と前記側壁部とを連結する前記折曲げ線の長さに比較して微細な複数個の微細連結部を形成し、前記板金素材に前記複数個の側壁部を分離するために前記折曲げ線を一部に含み前記側壁の外形に等しい形状の分離溝を形成し、前記折曲げ線に沿って前記立体的な側壁部を折曲げして設けると共に、前記立体的板金加工製品を構成する構成要素の中で前記板金素材面と同一平面を有する構成要素の一部分を複数の連結領域で前記板金素材と一体的に連結させて前記立体的板金加工製品を前記板金素材に支持させることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法は、板金素材上に製作された立体的板金加工製品において、該立体的板金加工製品を構成する構成要素の中で前記板金素材面と同一平面を有する構成要素の一部分を前記板金素材と一体的に連結させて前記立体的板金加工製品を前記板金素材に支持させる様にしたので、板金加工製品と板金素材との接続部分に曲げモーメントが掛かっても板金加工製品を十分に支持することができる。
【0010】
【実施例】
以下に本発明の方法の実施例について図面を用いて説明する。図1は板金素材1の上に様々な形状の立体的板金加工製品Wn(n=1〜14)が複数個製作され、それらの立体的板金加工製品Wn(n=1〜14)が本発明の方法により板金素材1に鈴なり状態で支持されているところを示したものである。
【0011】
上記の立体的板金加工製品Wnは、90度曲げ、切起し、穴明け等様々な加工により製作されており、板金加工製品の一部は板金素材1を含む平面から突出している。従って後に詳しく説明する板金加工製品Wn(n=1〜14)と板金素材1との接続部分には曲げモーメントが掛かかることになる。
【0012】
なお複数の立体的板金加工製品Wnを板金素材1上に製作することは、本願出願人の発明である特開平5−261442号公報に開示されるような折曲げ加工方法と、やはり本願出願人の発明である特開平7−16767号公報に開示されるレーザー加工機とロボットからなる板材加工用の複合加工機を使用することにより容易に行うことができるものである。
【0013】
また上記の様な立体的板金加工製品Wnの加工方法については、「日経メカニカルの1995年4月17日号頁49〜51」にも開示されている。
【0014】
さて、図2は上記特開平5−261442号公報に開示されている内容の概要を説明するもので板材を微小な力でL字状に折曲げる方法を説明するものである。図2(a)に示すように、先ず板材の折曲げを行う部分に、折曲げ線の長さ(板金素材1’の折曲げ部の幅寸法)に比較して、微細な微細連結部3を適数残して、折曲げ線に沿った長スリット5を形成すると共に、この長スリット5に対してほぼ直角方向に短い長さの短スリット7を長スリット5に連結させて形成する。前記短スリット7の長さは、板金素材1の板厚とほぼ等しくするのが望ましい。
【0015】
上述の如く、長スリット5を形成することにより、板金素材1’は、一片側1Aと他片側1Bとに区画される。従って、例えば図2(b)に示す様に、板金素材1’の一片側1Aを固定して、他片側1Bを矢印Aの様に折曲げることにより、板金素材1’を図2(b)のようにL字状に折曲げることができる。上述の折曲げ加工においては、前記微細連結部3の部分を折曲げるための力でよいので板金素材1’の折曲げは非常に小さな力で行うことができる。
【0016】
前述の如く板金素材1’の折曲げを行うと、前記微細連結部3の部分は扇状に変形し、また折曲げ線の部分には長スリット5を形成したことによって、この長スリット5が開口させられて、折曲げ部分に断面がL字形の溝(またはV字状の溝)9が形成されることになる。
【0017】
そこで、図2(c)に示すように、つぎの工程で板金素材1’の一片側1Aの端面1Pに他片側1Bの端部の一部分が重なり合うように、他片側1Bを矢印Bの方向に(一片側1Aの方向に)適宜手段により押圧して移動させることにより、前記微細連結部3が扇状に変形した部分が圧縮変形されて図2(c)に示すような状態となる。
【0018】
すなわち、前記L字形の溝(またはV字状の溝)9が消滅して、板金素材1’の一片側1Aの端面1Pと他片側1Bの一部分が重なって良好な外観となるのである。
【0019】
さて、本発明の方法を実施して前記板金素材1の上に製作支持される様々な形状の立体的板金加工製品の中の立体的板金加工製品W5の折曲げ前の展開図の一つの実施例を図3に示してある。この製品W5は底部13と4個の側壁部11A〜11Dからなり、側壁部11A〜11Dを折曲げ加工することにより一面が開放した箱に加工されるものである。
【0020】
上記側壁部11A〜11Dのそれぞれの折曲げを行う部分には、折曲げ線に沿った長スリット5と、この長スリット5に対してほぼ直角方向の短スリット7を前記長スリット5に連結させて形成し前述の微細連結部3を適数形成してある。なお、実施例では3個の微細連結部3を形成してあるが3個に限られるものではない。
【0021】
また前記側壁部11Aの一部を折曲げ加工で板金素材1から分離するために、側壁部11Aの外形に等しい長方形の分離溝ABCDが設けてある。この分離溝の両端部のA点とD点は前記折曲げ部の折曲げ線に沿った長スリット5に接続してある。従って、側壁部11Aの折曲げ線部分の微細連結部3以外は板金素材1と分離しているので、側壁部11Aは折曲げ線に沿って適宜な手段で容易に折曲げることができる。また側壁部11Aと対称形の側壁部11Cにも側壁部11Aと同様な分離溝A’B’C’D’が設けてある。よって側壁部11Cもその折曲げ線に沿って適宜な手段で容易に折曲げることができる。
【0022】
次に側壁部11Bには、側壁部11Bの折曲げ線部分の両端部を一部切欠いた逆凸字形状の分離溝EFGHIJKLが設けてある。この分離溝の両端部のE点とL点は、側壁部11Bの折曲げ部の両端部の微細連結部3を形成する短スリット7に接続してある。また、側壁部11Bと対称形の側壁部11Dにも側壁部11Bと同様な分離溝E’F’G’H’I’J’K’L’が設けてある。
【0023】
上記構成からなる製品W5の折曲げ前の展開図において、製品W5の構成要素である底部13と板金素材1とは前記側壁部11Aの分離溝の端部のA点と、側壁部11Bの分離溝の端部のL点との間の連結領域15で一体的に連結されている。同様に側壁部11Aの分離溝の端部のD点と側壁部11Dの分離溝の端部のL’点との間の連結領域15、側壁部11Cの分離溝の端部のA’点と側壁部11Bの分離溝の端部のE点との間の連結領域15、側壁部11Cの分離溝の端部のD’点と側壁部11Dの分離溝の端部のE’点との間の連結領域15の計4カ所で一体的に連結されている。
【0024】
上述の構成の製品W5の展開図の側壁部11A〜11Dを前記特開平5−261442号公報に開示されているような曲げ方法を使用して、適宜な折曲げ手段で折曲げて箱状の立体的板金加工製品を板金素材1上に形成した場合、前記連結領域15は製品W5と素材とを連結する部分であると同時に製品W5の構成要素となっている。そして、この箱状の立体的板金加工製品W5は、上述の複数の連結領域15により板金素材1上にしっかりと支持されて簡単に落下するようなことはない。なおこの連結領域15の数と位置とは適宜に選択することができる。また、実施例は箱状の立体的板金加工製品W5について説明したがその外の立体的板金加工製品Wn(n=1〜14)にも当然ながら適用することができる。
【0025】
なお前記連結領域15における切欠き部の寸法(例えばA点とJ点との距離、またはD点とJ’点の距離)は少なくとも板金素材1の板厚t以上であることが望ましい。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法は、板金素材上に製作された立体的板金加工製品において、該立体的板金加工製品を構成する構成要素の中で前記板金素材面と同一平面を有する構成要素の一部分を前記板金素材と一体的に連結させて前記立体的板金加工製品を前記板金素材に支持させる方法であるから、板金加工製品と板金素材との接続領域に多少の曲げモーメントが掛かっても接続領域が破断するようなことがなく立体的板金加工製品を板金素材に十分に支持することができる。
【0027】
従って立体的板金加工製品の加工中に板金素材の回転移動のによる加速度または振動などのために加工済みの製品が板金素材から自然に落下して予期しないトラブルが発生するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により立体的板金加工製品が板金素材に鈴なり状態で支持されている一つの実施例。
【図2】板材を微小な力でL字状に折曲げる公知の方法を説明する図。
【図3】本発明の方法を実施するための立体的板金加工製品の折曲げ展開図の一つの実施例。
【符号の説明】
1 板金素材
3 微細連結部
5 長スリット5
7 短スリット7
9 L字形の溝
11A〜11D 側壁部
13 底部
15 連結領域
Wn(n=1〜14) 立体的板金加工製品
Claims (1)
- 板金素材上に製作された立体的板金加工製品において、該立体的板金加工製品は前記板金素材面を含む平面から突出した複数個の立体的な側壁部を有し、該複数個の側壁部の前記板金素材の折曲げを行う部分に、該複数個の側壁部を非常に小さな力で折曲げ可能にするために、前記折曲げ線に沿った複数個の長スリットを形成すると共に、該複数個の長スリットの端部から前記側壁部側へほぼ直角に伸びる2本一組の短スリットを形成し、該2本一組の短スリットにより前記板金加工製品の底部と前記側壁部とを連結する前記折曲げ線の長さに比較して微細な複数個の微細連結部を形成し、前記板金素材に前記複数個の側壁部を分離するために前記折曲げ線を一部に含み前記側壁の外形に等しい形状の分離溝を形成し、前記折曲げ線に沿って前記立体的な側壁部を折曲げして設けると共に、前記立体的板金加工製品を構成する構成要素の中で前記板金素材面と同一平面を有する構成要素の一部分を複数の連結領域で前記板金素材と一体的に連結させて前記立体的板金加工製品を前記板金素材に支持させることを特徴とする板金素材上に製作された立体的板金加工製品をその板金素材に支持する方法。
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JPH08332541A JPH08332541A (ja) | 1996-12-17 |
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