JP3740874B2 - 薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重ね合わせ抵抗溶接部の溶接状態を超音波を用いて非破壊検査する薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シーム溶接、スポット溶接等の溶接部の検査方法として、オフライン検査とオンライン検査とが挙げられるが、そのうち、前者オフライン検査では、溶接部およびその溶接部周辺部の一部を切り取ってサンプルを取り出し、当該サンプルに対して次のような検査を実施している。
【0003】
具体的には、サンプルの溶接部分を油圧装置で押し破り、その破れ方から良否を判定するエリクセンテスト、メタルフロー写真や金属組織写真などから良否を判定する顕微鏡テスト、引張強度の試験により良否を判定する引張試験、さらに曲げ強度の試験により良否を判定する曲げ強度試験などが挙げられ、これらは何れもサンプルを固定した状態で試験するため、微細な欠陥の状態を検査できる。しかし、オフラインの検査方法は、事後評価であることから迅速な対応ができないこと、また溶接部箇所毎に溶接品質が変化するが、その状況を適切に把握できない問題がある。
【0004】
そこで、以上のような問題点を改善するためには、オンラインによる検査方法が最適であるといえる。従来、かかるオンライン検査方法は、溶接部の目視検査、ハンマリングテスト、溶接時の溶接電流チャートの確認、超音波探傷試験などにより行われている。
【0005】
しかしながら、以上のようなオンライン検査方法のうち、溶接部の目視検査による場合には次のような問題がある。それは、溶接内部の品質を判定するのが非常に難しいこと、その検査員の経験、熟練度によって判定結果に相当のバラツキが出ることである。
【0006】
一方、ハンマリングテストでは、その振動信号などから溶接部の状況を判定するが、正確性に欠けるばかりでなく、その判定の後に目視による確認を行う必要があり、同様に微細な欠陥を発見できない可能性がある。さらに、溶接電流チャートの場合には、溶接部の明瞭な変化を認識できるものの、微小な欠陥の違いを発見できない問題がある。
【0007】
このような事情から、超音波探傷試験によるオンライン検査方法が提案された。その一例として、特開平6−87081号公報に開示された方法がある。この方法は、図10(a),(b),(c)に示すように、溶接直後に超音波探触子を溶接幅及び溶接長手方向に移動させながら超音波深傷し、溶接部位の反射率を求め、その検出した超音波反射率が予め設定した基準値を超えるか又は、超えないかで、溶接状態の良否を判定するものである。なお、図10(a),(b),(c)において、1は台車、2はローラ、3はガイド、4はシリンダ、5はシーム溶接用電極輪、6は加圧シリンダ、7は溶接トランス、8は二次導体、10は超音波探傷用探触子、Sは金属板、Pはパイプである。
【0008】
ここで、検出すべき欠陥について述べると、薄板重ね合わせシーム溶接部の溶接不良は、重ね合わせ部の完全な剥離から大きさ数μm以下のブローホール・ミクロポロシティと多様な状態となって現れるものである。さらにそれらは薄板の連続処理プロセスなどの過酷な条件下においては、どんな溶接不良も破断に至るおそれがあるため検出すべきものである。しかし、上記超音波検査方法の欠陥判定は、溶接部位の一点における反射率を用いているので、もし使用する超音波が10MHz以下程度の低い周波数であれば完全な剥離は検出できるものの、数十ミクロン以下の欠陥は検出できないことになる。また使用する超音波が30MHz以上の高い周波数であれば、大きさ数十ミクロン以下の欠陥からの反射エコーはあるものの、溶接部表面の形状変化による被検査体への伝達損失の差が原因となり判定基準が設けられない場合があったり、鋼種によっては熱影響部の結晶粒が成長しそれが超音波を散乱させて妨害エコーとなり欠陥エコーを分離できなかったりするため数十ミクロン以下の欠陥まで検出することは難しい。さらに、一般にこの種の溶接は重ね合わせ部の中央のみが溶融し両端は圧接状態になっているため、結晶粒からの妨害エコーも少なく、たとえ高い周波数で探傷できたとしても、欠陥判定基準値も設けられたとしても、ビード幅方向で反射率変化があり、溶融部が形成されていても重ね合わせ部の両端付近で欠陥と判定してしまう可能性があり、誤判定のおそれもある。従って、この方法では低い周波数を用いた探傷で溶接部の完全な剥離を検出することは可能であるが、数十ミクロン以下の欠陥まで検出することは難しい。
【0009】
従って以上のような理由から、現在はオンラインにて溶接内部の品質を含む溶接部の検査には目視による定性的判定によるのが主流になっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、溶接部の溶融状態の有無をオンラインで検査でき、かつ溶接部の良・不良を定性的でなく定量的に評価し、判定にバラツキがない方法で、また溶接部位の外形状や鋼種による結晶粒径の成長度合いに依存せず、重ね合わせ部の完全な剥離から数ミクロン以下のブローホール・ミクロポロシティの欠陥を検出でき、かつ溶融部の大きさが検出できる、超音波探傷を用いて非破壊検査する薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法及びその装置を提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、薄板重ね合わせシーム溶接部の溶接欠陥を超音波探傷する方法及びその装置において、30MHz以上の超音波を溶接幅方向のみに集束させてAスコープ像を得ると同時に、Bスコープ像を合成し、溶接部断層像を得て溶接部の溶け込み比率を算出し、欠陥を検査するようにして、溶接部の溶融状態の有無をオンラインで検査でき、かつ溶接部の良・不良を定性的でなく定量的に評価し、判定にバラツキがない方法で、また溶接部位の外形状や鋼種による結晶粒径の成長度合いに依存せず、重ね合わせ部の完全な剥離から数ミクロン以下のブローホール・ミクロポロシティの欠陥を検出でき、かつ溶融部の大きさが検出できる、超音波探傷を用いて非破壊検査する薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法及びその装置を見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は以下(1)〜(5)に示すとおりである。
【0013】
本発明の方法(1)は、周波数が30MHz以上の超音波を、薄板重ね合わせシーム溶接部の溶接幅方向のみ集束させ、かつ溶接部肉厚中央部に焦点がくるように伝播させて、その被検査体内部の反射エコーのA−スコープ像を得ると同時に、当該超音波をビード幅方向に全幅スキャンして、B−スコープ像を合成することにより、当該溶接部の断層像を得、この断層像に基づいて溶接部の溶融部の割合を判定することを特徴とする、薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法である。
【0014】
すなわち、薄板重ね合わせ溶接部で有害となる大きさ数〜数十ミクロンのブローホール・ミクロポロシティ等の欠陥を検出するために、超音波の周波数は30MHz以上の高い周波数でなければならない。しかし、周波数を高くすると結晶粒からの散乱エコーも検出され、検出すべき欠陥が大きさが結晶粒径程度になると、探傷波形の上、即ちA−スコープ上では欠陥エコーは結晶粒からの散乱エコーとほとんど区別がつかない状態になる。だが、個々の結晶粒は溶接部内で全くランダムに存在しているのに対し、溶接不良によって発生したブローホール等の欠陥は2枚の薄板を重ね合わせた界面にのみ発生するため溶接の長手方向に均一な深さで存在しているため(金太郎飴のような状態)、超音波ビームを溶接ビード幅方向にのみ集束させた(溶接長手方向には平行なビーム)ラインフォーカス型の探触子で探傷することにより、前者のエコーは個々の位相が異なるため干渉し検出される信号が減り、後者のエコーは位相が揃うので強めあった信号が検出できる。よって、欠陥の大きさが結晶粒径程度でも、探傷波形の上、即ちA−スコープ上で欠陥エコーが結晶粒からの散乱エコーより強く検出できるようになる。この発明によれば、この条件でビード幅方向に探触子をスキャンし、それぞれの位置でのA−スコープ像を輝度分布にして画像化(B−スコープ化)することにより、溶接部内部の断層像を得ることができる。この断層像からは、溶接部の表面と裏面からのエコー内に重ね合わせ界面エコーがあれば線となって観測できる。また、溶融していれば線となったエコーが観測できないので溶融部の存在を確認できる。
【0015】
本発明の方法(2)は、前記溶接部の断層像から薄板を重ね合わせた界面のエコーの像を抽出し、重ね合わせ部の全長(W)に対応する界面エコー像の両端間の距離と溶け込み部分の長さ(X)に対応する界面エコー像の消失部分の長さの比から重ね合わせ部位中の溶融部の割合である溶接部の溶け込み比率(X/W)を算出し、その比率から当該溶接部の良・否を判定することを特徴とする、請求項1に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法である。
【0016】
すなわち、上記方法(1)に示した検査方法によって得られる溶接部の超音波断層像は、重ね合わせ溶接部における溶融部分とそうでない部分を断面顕微鏡写真のように画像化したものであり、これから溶接の良否を決定するには人による判断が必要である。これを自動化するために、溶接部の強度と密接な関係の溶融部の大きさで評価することが相応しい。実際には、2枚の薄鋼板の重ね合わせ幅は板厚に依存するものなので、溶融部の大きさ、即ち溶融部のビード幅方向の長さをビード幅で割った割合を溶け込み比率として評価量とするのが最適である。また、溶融部のビード幅方向の長さは、溶接部の断層像から観測される重ね合わせ部の界面エコー像が無い部分をその長さとする。
【0017】
本発明の方法(3)は、溶接部の検査方法が、被検査体の表面と裏面との両方から行い、得られた2つの断層像を向きをあわせて合成することを特徴とする、上記方法(1)に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法である。
【0018】
すなわち、上記方法(1)の検査方法において、探傷に使用する超音波は30MHz以上の高い周波数であるが、そのパルス幅は約30nsであり、鋼板を0.2mm伝搬する時間に相当する。実際、被検査体の表面からのエコーが帰ってくる時間においては、検査体内からの反射エコーは検出することができず、表面近傍に不感帯ができてしまう。そのため、板厚が0.5mm以下ぐらいの薄板を重ね合わせた溶接部を探傷すると、肉厚の約半分が不感帯となってしまう。それによる断層像の近距離分解能の悪さを改善するには、反対側(被検査体の裏面)から同様の探傷を行い、2つの断層像の合成を行えばよい。従って、この方法(3)に示す方法で表面から裏面まで不感帯のない断層像が得られる。
【0019】
本発明の方法(4)は、B−スコープ像の合成が、被検査体の表面エコーを基準に行うことを特徴とする、上記方法(1)に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法である。
【0020】
すなわち、上記方法(1)で検査を行う場合、使用する超音波の周波数が高いので探触子と被検査体の接触媒質には減衰の少ない水を使うのが最も都合がよい。しかし、鋼材中の音速は、水中のそれの約4倍であるため、被検査体の表面に凹凸があった場合に、断層像に現れる凹凸による変化は約4倍になる。このため、像が乱れてしまい、溶接の良否の判断が容易ではなくなる。それを防ぐため、表面エコーを基準に画像を構成すると若干実際の外形状と異なるが見やすい断層画像が得られる。
【0021】
(5)本発明の装置は、発振周波数帯域が30MHz以上の広帯域超音波探触子を有する超音波探傷装置と、この超音波探傷装置からの探傷信号を探触子のスキャンと同時にB−スコープ像を画像化するB−スコープ装置と、B−スコープ像から薄板を重ね合わせた界面のエコーの像を抽出する装置と、重ね合わせ部の全長(W)に対応する界面エコー像の両端間の距離と溶け込み部分の長さ(X)に対応する界面エコー像の消失部分の長さの比から溶接部の溶け込み比率(X/W)を算出する装置と、その比率から当該溶接部の良・否を判定する良否判定装置とを具備することを特徴とする薄板重ね合わせシーム溶接部の検査装置である。
【0022】
すなわち、上記方法(1)の検査方法で薄板重ね合わせ溶接部のB−スコープ像を得て、それを見やすいように上記方法(4)で表面エコー基準の断層像にし、上記方法(2)で溶接部の良否を判定する装置によって、オンラインで定量的な自動判定のできる装置が実現する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、薄板重ね合わせシーム溶接部を本発明によって検査する方法を例にとって実施の形態を説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の請求項1(第1実施形態)の検査方法を示す概略図である。図中11はラインフォーカス型探触子を示し、この探触子11は、30MHz以上の超音波を発生させることができる広帯域のものであり、超音波探傷器16も30MHz以上の広帯域なパルス電圧を送受信および増幅できるものである。ラインフォーカス型探触子11は、1軸スキャナー18に取り付けてあり、1軸スキャナー18は薄板重ね合わせシーム溶接部20の幅方向にラインフォーカス型探触子11をスキャンできるようになっている。ラインフォーカス型探触子11と被検査体13の間は、局部的に水につかるようになっている。ラインフォーカス型探触子11から送信される超音波ビーム15は、図1のような溶接部断面が見れる方向から見ると、被検査部位の肉厚中央でフォーカスが結ぶようになっている。また、溶接ビード方向にはフォーカスはされず、図2に示すような超音波ビーム15になっている。なぜなら、検出すべき欠陥が溶接部結晶粒とほぼ同等の超音波反射率であり、ポイントフォーカス型探触子で探傷すると両者のエコーの区別はつかないが、図2のようなラインフォーカスの超音波ビーム15にすると、結晶粒の配置は全てランダムで反射波の位相が干渉してしまい結晶粒からのエコーが低くなるからである。ちなみに、2枚の薄板の重ね合わせ部は溶接ビード方向に均一な深さであることから、図2のようなラインフォーカスビームで探傷すると反射エコーの位相がそろうため、ポイントフォーカスより強いエコーが探触子に帰ってくる。なお、図2において、12は振動子であり、13は被検査体であり、20は重ね合わせシーム溶接部である。
【0025】
図3(A−1)の位置で、探傷を行ったときのA−スコープ像は、重ね合わせ部からのエコーが検出できて図3(A−2)のようになる。図3(A−2)において、Sエコーが被検査体表面からのエコーであり、Bエコーが被検査体底面からのエコーであり、Fエコーが被検査体内の重ね合わせ部からの反射エコーである。
【0026】
被検査体にナゲット(溶融部)がある場合、図3(B−1)の位置で、探傷を行ったときのA−スコープ像は、図3(B−2)のようになる。溶融部は、一度鉄が溶けてから固まっていることから重ね合わせ部の界面はなくなっており反射エコーはない。なお、図3(A−1)、(B−1)において、11はラインフォーカス型探触子であり、15は超音波ビームであり、20は、重ね合わせシーム溶接部である。
【0027】
超音波探傷器11で得られるA−スコープ波形をB−スコープ装置17に転送し、また、1軸スキャナー18は、ラインフォーカス型探触子11を溶接部の一端からもう一端にスキャンしながら、それに連動して各位置での座標をB−スコープ装置17に送信すると、B−スコープ装置17は、それぞれの位置でA−スコープを輝度像に変換し、B−スコープ像(断層像)を描いていく。
【0028】
図4は、請求項1の検査方法である被検査体を検査した際のB−スコープ像である。ただし、見やすくするため、肉厚方向に2倍に拡大してある。
【0029】
(第2実施形態)
次に請求項2に示す検査方法の実施の形態(第2実施形態)を示す。
【0030】
図5は、薄板重ね合わせシーム溶接部の断面を示したものである。図5において重ね合わせ界面19は、図4のB−スコープ像で溶接内部の線として検出される部位であり、ナゲット14は、線が途中で消える部位である。今、図5に示すように重ね合わせの面の全長をWとし、ナゲット14の重ね合わせ面方向の長さをXとすると、溶け込み比率は、X÷Wで定義できる。溶け込み比率は溶接部の引張強度と関係があり、図6は、低炭素鋼の溶け込み比率と溶接部の引張強度の関係である。引張強度が、どれくらいで溶接欠陥とするかは、鋼種やその生産ラインで異なるが、一般に母材部の引張強度に近い強度があれば、ライン内破断は起きない。この実施の形態では、低炭素鋼の母材部破断の起きる500N/cm2 を溶接の良・不良の境とし、溶け込み比率50%以上を溶接合格、それ未満を溶接不合格とした。
【0031】
(第3実施形態)図7は請求項3の検査方法の実施の形態(第3実施形態)を示す概略図である。図4からもわかるように、表面直下の0.2〜0.3mmは、Sエコーに重なってしまい、不感帯となっている、そのため図7のように被検査体の上面と下面にラインフォーカス型探触子11を配置し、両者を順次、請求項1の方法で検査し、得られる2つのB−スコープ像を両者とも肉厚中央から切断し、両者の底面側を付け合わせることで、不感帯のないB−スコープ像を得ることができる。なお、図7において、15は超音波ビームであり、20は重ね合わせシーム溶接部である。
【0032】
(第4実施形態)
図8は請求項4の検査方法(第4実施形態)で得られるB−スコープ像である。図4のB−スコープ像の溶接部右側を見ると、重ね合わせ部の先端と母材部(重ね合わせて無い部分)の段差が、実際の約4倍になっている。これは、鋼板の音速が接触媒質である水の音速の約4倍あるからであり、B−スコープ像が非常にわかりずらいものになっている。これをSエコーを基準にB−スコープ像を合成すると、図8のようになり断層像が見やすくなる。
【0033】
(第5実施形態)
図9は請求項5の検査装置の実施の形態(第5実施形態)を示す概略図である。
【0034】
図9において13は被検査体であり、20は重ね合わせシーム溶接部であり、19は重ね合わせ界面、14はナゲット、11はラインフォーカス型探触子、18は1軸スキャナーであり、16は超音波探傷器である。B−スコープ装置17がB−スコープ像を得るところまでは、先述の請求項1の実施の形態(第1実施形態)と同じである。
【0035】
B−スコープ装置17は、B−スコープ画像を界面エコー抽出装置21に転送し、界面エコー抽出装置21は、ノイズを消すための孤立点除去処理を行い、さらに表面エコーと底面エコーを消すことによって界面エコーのみを残した画像をつくる。その画像は、溶け込み比率算出装置22に送られ、溶け込み比率算出装置22は、界面エコー像の両端の距離、即ち重ね合わせ面の全長と、界面エコー像の消えている部分、すなわち溶け込み部分の長さを測定し、溶け込み比率を算出する。溶け込み比率は、溶接部良否判定装置23に転送されて、溶接部良否判定装置23は、予めプリセットされた判定基準値をもとに溶接部の良否を判定する。
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、超音波で溶接部の断層像を取ることからオンラインで検査でき、またその周波数は30MHz以上と高いことから重ね合わせ部の完全な剥離から数ミクロン以下のブローホール・ミクロポロシティに至る全有害欠陥を検出することができる。さらに、断層像からの判定を溶融部の比率から行うことにより、鋼種や結晶粒径の成長の差に影響されずに溶接部の良・不良を定性的でなく定量的に評価し、判定にバラツキがない方法で判定できる。
【0036】
その他、画像を合成する際に表面エコー基準にすることにより溶接部の微小な外形状の変化で像を乱すことなく合成できる。加えて、検査部位を両面から探傷し断層像を得ることから表裏面の探傷感度の差や不感帯も少なくすることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の検査方法を実施するための実施の形態を示す概略図。
【図2】請求項1の検査で用いるラインフォーカス超音波の様子を示した図。
【図3】(A−1)は界面エコーの検出できる部位での探傷を示した図、(A−2)は(A−1)に示す位置でのA−スコープ像の様子を示した図、(B−1)はナゲット部(融合部)での探傷を示した図、(B−2)は(B−1)に示す位置でのA−スコープ像の様子を示した図。
【図4】請求項1の検査方法で得られる薄板重ね合わせシーム溶接部のB−スコープ像を示す図。
【図5】請求項2の検査方法で使用する溶け込み比率を示す概念図。
【図6】溶け込み比率と引張強度の関係を示す図。
【図7】請求項3の発明の検査方法を示す概念図。
【図8】請求項4の検査方法でとられたB−スコープ像を示す図。
【図9】請求項5の実施の形態に係る薄板重ね合わせシーム溶接部の検査装置を示す図。
【図10】(a)は従来技術の装置の概略図、(b)は従来技術の装置において、シーム溶接用電極輪と超音波検知手段と溶接部との配置関係を示す図、(c)は従来技術において探触子オシレータの動作と軌跡を示す図。
【符号の説明】
1…台車、2…ローラ、3…ガイド、4…シリンダ、5…シーム溶接用電極輪、6…加圧シリンダ、7…溶接トランス、8…二次導体、10…探触子、11…ラインフォーカス型探触子、12…振動子、13…被検査体、14…ナゲット、15…超音波ビーム、16…超音波探傷器、17…B−スコープ装置、18…1軸スキャナー、19…重ね合わせ界面、20…重ね合わせシーム溶接部、21…界面エコー抽出装置、22…溶け込み比率算出装置、23…溶接部良否判定装置、S…金属板、P…パイプ。
Claims (5)
- 周波数が30MHz以上の超音波を、薄板重ね合わせシーム溶接部の溶接幅方向のみ集束させ、かつ溶接部肉厚中央部に焦点がくるように伝播させて、その被検査体内部の反射エコーのA−スコープ像を得ると同時に、当該超音波をビード幅方向に全幅スキャンして、B−スコープ像を合成することにより、当該溶接部の断層像を得、この断層像に基づいて溶接部の溶融部の割合を判定することを特徴とする、薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法。
- 前記溶接部の断層像から薄板を重ね合わせた界面のエコーの像を抽出し、重ね合わせ部の全長(W)に対応する界面エコー像の両端間の距離と溶け込み部分の長さ(X)に対応する界面エコー像の消失部分の長さの比から重ね合わせ部位中の溶融部の割合である溶接部の溶け込み比率(X/W)を算出し、その比率から当該溶接部の良・否を判定することを特徴とする、請求項1に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法。
- 溶接部の検査方法は、被検査体の表面と裏面との両方から行い、得られた2つの断層像を向きをあわせて合成することを特徴とする、請求項1に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法。
- B−スコープ像の合成は、被検査体の表面エコーを基準に行うことを特徴とする、請求項1に記載の薄板重ね合わせシーム溶接部の検査方法。
- 発振周波数帯域が30MHz以上の広帯域超音波探触子を有する超音波探傷装置と、この超音波探傷装置からの探傷信号を探触子のスキャンと同時にB−スコープ像を画像化するB−スコープ装置と、B−スコープ像から薄板を重ね合わせた界面のエコーの像を抽出する装置と、重ね合わせ部の全長(W)に対応する界面エコー像の両端間の距離と溶け込み部分の長さ(X)に対応する界面エコー像の消失部分の長さの比から溶接部の溶け込み比率(X/W)を算出する装置と、その比率から当該溶接部の良・否を判定する良否判定装置とを具備することを特徴とする薄板重ね合わせシーム溶接部の検査装置。
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