JP3740810B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に係り、詳しくは、フォーカス段数の設定部分の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は一般にBモード表示が可能で、超音波エコーに基づいて断層像が作成され表示される。
【0003】
このような超音波診断装置では、普通、画像サイズを数ステップにわたって切り換えることができ、オペレータは診断すべき部位の深さに応じて、画像サイズを切り換えるようにしている。これで、診断部位に超音波ビームが収束されることになり、診断部位を鮮明に映し出す断層像が得られる。
【0004】
このBモード表示が可能な超音波診断装置では、また、深浅方向にフォーカス段数を適宜増やせるようになっているものがあり、フォーカスを多段にすることにより、被検体の深浅各部に超音波ビームが収束されることになり、診断深さの全域にわたり方位分解能のよい画像を得ることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の超音波診断装置では、診断深さやフォーカス段数を切り換えることができるのであるが、そのような操作により、いつも鮮明で見やすい画像が表示されるわけではない。
【0006】
例えば、画像サイズを小さくして診断深さを深くした場合、深部からの超音波エコーの受波に時間がかかるから、超音波の送受波の繰り返し周波数を低くしなければならず、それだけ画像作成のタイミングが遅くなり、1フレーム分の画像作成の速さを示すフレームレートが低くなる。
【0007】
これに対して、表示には各方式固有のタイミングがあり、NTSC方式のビデオ表示では、偶数フィールドと奇数フィールドとにより1/30秒ごとに1枚のフレームが表示される。また、PAL方式では1/25秒ごとに1枚のフレームが表示される。
【0008】
そのため、超音波の送受波や画像作成は、この表示のタイミングに合わせて繰り返す必要があり、NTSC方式では1/30秒より速いタイミングで、言い換えれば、フレームレート30より高いレートで、1フレーム分の画像を作成しなければならない。
【0009】
もしも、前記したように診断深さを深くすることで、フレームレートが30より低くなった場合は、超音波の送受波や画像作成が表示のタイミングに追いつかなくなるから、そのときの画像は、時間的にずれて表示されたり、飛び飛びに表示されたりして適正に表示されなくなる。これでは、画像表示が診断部位の実際の動きに追従しなくなり、動きの速い部位の診断には適合しなくなる。
【0010】
また、フォーカス段数を増やすと、画面全域で方位方向の分解能が向上し、全体的に鮮明な画像が得られるが、一方向の超音波の送受波の回数が増えるため、フレームレートが低下し、上記の場合と同様に、診断部位の実際の動きをリアルタイムで捉えられなくなる。
【0011】
そこで、従来は、適当に画像サイズやフォーカス段数を設定した上で、その設定のもとで実際に表示される画像を観察し、その画像の状態により、画像サイズやフォーカス段数を調整するようにしている。そのため、全体的に鮮明で追従性のよい画像を表示させるまでには操作に時間がかかるほか、オペレータの熟練度によっては、充分に見やすい画像が得られない場合がある。
【0012】
本発明は、上記のような従来の問題に対処したもので、画像サイズを設定した後は、表示のタイミングの範囲内で、自動的にフォーカス段数が調整変更されるようにして、面倒な操作をしなくても、全体的に鮮明で追従性のよい画像が表示されるようにすることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、Bモード表示を行い、かつ、超音波送受波におけるフォーカス段数の可変調整が可能な超音波診断装置であって、設定された診断深さにおける各フォーカス段数でのフレームレートを演算するフレームレート演算部と、演算された各フォーカス段数でのフレームレートと所与のしきい値とを比較するフレームレート比較部と、前記フレームレート比較部での比較結果に応じて、その診断深さにおけるフォーカス段数を調整するフォーカス制御部とを有する構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面により本発明の実施の形態を説明すると、図1および図2は本発明の一実施の形態を示すもので、図1はその実施の形態に係る超音波診断装置の構成図、図2は、前記装置の動作を説明するためのフレームレート曲線の線図である。
【0015】
図1において、符号1はプローブで、このプローブ1は、送受信制御回路2の制御により超音波の送受波を行い、超音波エコーに対応するエコー信号を出力する。そのエコー信号は、送受信制御回路2を通じて信号処理回路3に与えられ、信号処理回路3で波形整形された上、A/D変換器4でデジタル化され、エコーデータとしてDSC(デジタルスキャンコンバータ)5に入力する。DSC5は、エコーデータから断層像の画像データを生成し、その画像データをビデオ信号生成部6に与える。ビデオ信号生成部6は、DSC5の画像データから表示画像のビデオ信号を生成し、モニタ7はこのビデオ信号を入力して断層像の画像を表示する。
【0016】
また、符号8は、画像サイズの切り換え等の操作を行う操作部、9は入力インターフェース、10はサイズ切り換え処理部である。
【0017】
サイズ切り換え処理部10は、操作部8から出力される操作信号のうち、画像サイズの切り換えを示す切り換え信号を入力インターフェース9を通じて取り込み、実際の画像サイズの切り換えを指示する切り換え実行信号を、フォーカス制御部11とフレームレート演算部12とに出力する。
【0018】
フォーカス制御部11は、前記した送受信制御回路2を制御してフォーカス段数と、その段数でのフォーカス位置とを設定するものであるが、フォーカス段数を増減変更する動作は、後述するフレームレート比較部13からの信号に応答して行われる。フォーカス制御部11は、また、サイズ切り換え処理部10からの切り換え実行信号に応答して、その時点で設定されているフォーカス段数(使用の初期状態では、通常、1段フォーカス)を示す信号をフレームレート演算部12に出力する。
【0019】
フレームレート演算部12は、サイズ切り換え処理部10から診断深さを示す切り換え実行信号を、また、フォーカス制御部11からはフォーカス段数を示す信号をそれぞれ取り込んで、その時点で1フレーム分の画像がどれだけの速さで作成されるか、フレームレートを演算する。その演算結果はフレームレート比較部13に与えられる。
【0020】
フレームレート比較部13は、前段のフレームレート演算部12で演算されたフレームレートと、予め与えられているしきい値とを比較するものである。ここでのしきい値は、モニタ7での表示のタイミングを示す値であって、モニタ7の表示がNTSC方式のビデオ表示である場合、フレームレート30に相当する値である。
【0021】
フレームレート比較部13での比較結果はフォーカス制御部11に与えられる。フォーカス制御部11は、フレームレート比較部13での比較結果に応じて、フォーカス段数を増減変更する信号を送受信制御回路2に出力し、これで、フォーカス段数が増減する。
【0022】
次に、上記構成の動作を、図2を参照しながら説明する。図2は、フレームレートと診断深さとの関係を示すもので、横軸に診断深さをとり、縦軸にフレームレートをとっている。図中の各曲線F1,F2,F3,…で示すように、フレームレートは診断深さが深くなるにつれて漸減的に低下するものであり、また、フォーカス段数が増えるにしたがって、段階的に低下するものでもある。
【0023】
今、操作部8の所定のキーを操作して、画像サイズの切り換えを指示すると、その操作信号は、入力インターフェース9を通じてサイズ切り換え処理部10に取り込まれ、サイズ切り換え処理部10からは切り換え実行信号が出力され、その切り換え実行信号はフォーカス制御部11に入力する。これで、フォーカス制御部11は画像サイズを切り換えるが、画像サイズはすなわち診断深さでもあるから、診断深さも切り換わることになる。
【0024】
一方、サイズ切り換え処理部10からの切り換え実行信号はフレームレート演算部12にも入力する。フレームレート演算部12は、この切り換え実行信号と、フォーカス制御部11からの信号とを取り込む。フォーカス制御部11からの信号は、その時点でのフォーカス段数を示すものである。フレームレート演算部12は、これら両信号に基づいて、新たに設定された診断深さ、既に設定されているフォーカス段数のもとで、1フレーム分の画像がどれだけの速さで作成されるか、フレームレートを演算する。初期状態では、フォーカスを1段として、そのフォーカス位置は図2に示すように、診断領域のうちの深深部Sfにあるとして、フレームレートが演算される。
【0025】
このフレームレートは、フレームレート比較部13でしきい値と比較され、そのフレームレートが表示のタイミングの範囲内に収まるか否かが判断される。
【0026】
フレームレートがしきい値より高い場合は、表示のタイミングに比べ、画像作成に時間的余裕があることになるから、フレームレート比較部13はフォーカス制御部11に比較結果を示す信号を送って、フォーカス制御部11にフォーカス段数を1段だけ増加させる。初期フォーカス段数が1段の場合は、設定フォーカス段数を2段にする。
【0027】
反対に、フレームレートがしきい値より低い場合は、表示のタイミングに比べ、画像作成時間が長くなっていることになるから、フレームレート比較部13はフォーカス制御部11に比較結果を示す信号を送って、フォーカス制御部11にフォーカス段数を1段だけ減少させる。
【0028】
このように、フォーカス制御部11においてフォーカス段数が+1段ないしは−1段に増減変更されると、そのことを示す信号がフレームレート演算部12に入力する。フレームレート演算部12は、フォーカス段数を+1段ないしは−1段に増減調整したうえで、あらためてフレームレートを演算する。
【0029】
例えば、初期段数が1段で、フォーカス制御部11のフォーカス増減変更により2段にフォーカス段数が変更された場合、フレームレート演算部12は、図2に示す2段フォーカスのフレームレート曲線F2を使ってフレームレートを演算する。そして、このように算出したフレームレートも、前回同様、しきい値より高ければ、さらにフォーカス段数をさらには1段だけ増やし、3段のフォーカスのフレームレート曲線F3を使って、あらためてフレームレートを演算する。
【0030】
このようにして、フレームレートの演算、しきい値との比較、フォーカス段数の増減更新を繰り返す。そして、フレームレートがしきい値より高かった場合には、しきい値より高かったフレームレートがしきい値より低くなったところで、フォーカス段数を前回の段数に固定し、それ以降のフォーカス段数の変更を中止する。一方、フレームレートがしきい値より低かった場合には、しきい値より低かったフレームレートがしきい値より高くなったところで、フォーカス段数をこのときの段数に固定し、それ以降のフォーカス段数の変更を中止する。
【0031】
これで、フォーカス段数は、表示のタイミングの範囲内で限界まで増やされたことになり、全体的に鮮明で追従性のよい画像が得られる。
【0032】
上記の実施の形態において、サイズ切り換え処理部10やフレームレート演算部12、フレームレート比較部13、フォーカス制御部11等は、それぞれブロックとして示したが、これら各部は独立した回路としてもよく、また、中央制御部に所要のソフトを与えて、中央制御部が機能的に前記各部の動作を行うようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、画像サイズを切り換えて診断深さを設定すると、自動的にフォーカス段数が調整されるもので、フレームレートは表示のタイミングの範囲内に収められるから、画像が乱れて表示されるようなことがなく、見やすくて全体的に鮮明で追従性のよい画像が得られ、動きの速い部位も的確に診断することができる。また、そのために面倒な操作をする必要がなく、熟練度の低いオペレータでも容易に使用しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成図である。
【図2】上記装置の動作を説明するためのフレームレート曲線の線図である。
【符号の説明】
10 サイズ切り換え処理部、 11 フォーカス制御部、
12 フレームレート演算部、 13 フレームレート比較部、

Claims (2)

  1. Bモード表示を行い、かつ、超音波送受波におけるフォーカス段数の可変調整が可能な超音波診断装置であって、
    設定された診断深さにおける各フォーカス段数でのフレームレートを演算するフレームレート演算部と、
    演算された各フォーカス段数でのフレームレートと所与のしきい値とを比較するフレームレート比較部と、
    前記フレームレート比較部での比較結果に応じて、その診断深さにおけるフォーカス段数を調整するフォーカス制御部と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1記載の超音波診断装置であって、
    前記フレームレート演算部は、診断深さの設定に応じて初期もしくは前回のフォーカス段数でのフレームレートを演算するものであり、
    前記フレームレート演算部は、演算されたフレームレートと所与のしきい値とを比較するものであり、
    前記フォーカス制御部は、前記フレームレート比較部での比較結果に応じてフォーカス段数を増減させるものであることを特徴とする超音波診断装置。
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