JP3740738B2 - 放射性廃棄物最終処分用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラントなどの原子炉において使用された核燃料などの放射性廃棄物を、安定した状態で地層処分することができるようにした放射性廃棄物最終処分用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントなどの原子炉において使用される核燃料は、3〜4年程度供用されると、核燃料中に核分裂生成物が蓄積するため燃焼に限界を生じるので、新しい核燃料に交換される。
【0003】
そして、使用済核燃料は、原子力発電プラントなどに設けられた使用済核燃料貯蔵プールにおいて純水に浸漬した状態で保管される。
【0004】
この使用済核燃料には、未燃焼のウランや核燃料の燃焼に際して生成されるプルトニウムなどが核分裂生成物に混在した状態で含まれているため、使用済核燃料から未燃焼のウランなどを回収する再処理作業を行い、得られたウランなどを原子炉の核燃料として再利用することが検討されている。
【0005】
しかし、使用済核燃料の再処理作業は、現時点においては本格的な実施がなされておらず、使用済核燃料貯蔵プールに保管されている。
【0006】
そのため、使用済核燃料の崩壊熱が除去されるのを待って、使用済核燃料を地表から約1000m程度の地中岩盤へ埋設する、いわゆる地層処分を行うことが提案され、長期間に亘り安定して使用済核燃料を地中岩盤内に保管させるための基礎研究が進められている。
【0007】
現段階では、使用済核燃料を、オーバーパックと呼ばれる金属製の円筒状をした容器へ収容し、該オーバーパックを地中岩盤内に形成された円筒状の容器収容孔へ、容器収容孔と容器との間に隙間ができないように嵌入させることにより、オーバーパックの腐食などを抑えつつ使用済核燃料を長期保管するという青写真ができあがってはいるが、オーバーパックや容器収容孔の詳細についてはまだ決められていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記青写真では、オーバーパックを円筒状とし、容器収容孔を円筒状のオーバーパックとの間にほとんど隙間ができないような円筒状に構成するようになっているが、実際にこのような構造にすると、図8に示すように、容器収容孔1へオーバーパック2を嵌入する際に、オーバーパック2を把持したクレーンのクランプ部3が容器収容孔1と干渉してしまうこととなるので、オーバーパック2を容器収容孔1へ嵌入する作業が困難になるという問題がある。
【0009】
尚、図中、4は容器収容孔1の内部にオーバーパック2との隙間を調整し且つオーバーパック2を地中岩盤から隔離するために設けられたベントナイトを主成分とする緩衝材である。
【0010】
本発明は、上述の実情に鑑み、使用済核燃料を収容するオーバーパックを容易に取扱い得る構造とした放射性廃棄物最終処分用容器を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、使用済核燃料を封入された金属製のオーバーパックをベントナイトを主成分とする緩衝材製の緩衝材容器で封入し、該緩衝材容器を、上面に吊ピースを取付けられた金属製のケージで覆ったことを特徴とする放射性廃棄物最終処分用容器にかかるものである。
【0012】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0013】
使用済核燃料を封入された金属製のオーバーパックをベントナイトを主成分とする緩衝材製の緩衝材容器で封入し、該緩衝材容器を、上面に吊ピースを取付けられた金属製のケージで覆うようにしたので、地上にてオーバーパックを容易に取り扱って放射性廃棄物最終処分用容器を作り、支障なく地層内処分場の各容器収容孔へ放射性廃棄物最終処分用容器ごとオーバーパックを収容させることができるようになる。
【0014】
又、地層内処分場の容器収容孔に、予め緩衝材を設置するなどの作業をなくすことができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。
【0016】
図1〜図7は、本発明の実施の形態の一例である。
【0017】
先ず、図1を用いて地層内処分場について説明する。
【0018】
地上5から地下約1000m程度の位置にある地中岩盤6へ向けて縦穴7を掘削し、地中岩盤6に、縦穴7の下端からほぼ水平方向へ拡がる容器収容空間8を形成し、容器収容空間8の床面9に円筒状の容器収容孔10を複数形成して地層内処分場11を構成する。
【0019】
そして、地上5に前記縦穴7を取囲むように建屋12を設置すると共に、建屋12内にウインチなどの巻取装置13を設け、巻取装置13に巻取られたワイヤロープ14の先端を縦穴7に昇降可能に配置された昇降機15へ接続して昇降機構16を構成する。
【0020】
又、前記容器収容空間8の天井部17に、特に詳細には図示しないが、前後方向や左右方向などへ移動することにより各容器収容孔10に対して最終処分容器18を搬送及び挿入可能な、天井クレーンなどの挿入装置19を設け、昇降機構16と挿入装置19との間に、最終処分容器18を受け渡し可能な搬送台車20などの受渡装置を設ける。
【0021】
そして、上記最終処分容器18を、図2・図3に示すような構成とする。即ち、使用済核燃料を封入された金属製の円筒容器である重さ約12トンのオーバーパック21をベントナイトを主成分とする緩衝材製の緩衝材容器22で封入し、該緩衝材容器22を、上面に吊ピース23を取付けられた金属製のケージ24で覆うようにする。
【0022】
前記緩衝材容器22は、オーバーパック21の上部における地上のクレーンのクランプ部25で把持した部分よりも下の部分を収容可能な、高さの低い容器本体26と、オーバーパック21における地上のクレーンのクランプ部25で把持した上の部分を収容可能な容器蓋体27とで構成されており、容器本体26と容器蓋体27との合せ面には、位置合せ用及び密封性を向上するための段付部28,29が形成されている。
【0023】
又、前記ケージ24は、底板30と、天板31と、両者を接続する帯鋼或いは型鋼製の側部格子部32とで構成されている。
【0024】
尚、容器収容孔10へ最終処分容器18全体を収容した時に、ケージ24の天板31が容器収容空間8の床面9に対して面一となるようにする。
【0025】
又、33は側部格子部32の縦材、34は側部格子部32の横材、35は天井クレーンなどの挿入装置19に取付けられたケージ24の吊ピース23を吊るための吊具である。
【0026】
次に、作動について説明する。
【0027】
使用済核燃料を封入された金属製の円筒状をした重さ約12トンのオーバーパック21を、地上にて最終処分容器18に収容する。
【0028】
該最終処分容器18は、図4〜図7の手順で作成される。
【0029】
即ち、図4に示すように、地上にてクレーンを用い、ケージ24の底板30の上に緩衝材容器22の容器本体26を乗せる。
【0030】
次に、図5に示すように、容器本体26の内部にオーバーパック21を挿入する。この際、容器本体26は、オーバーパック21の上部における地上のクレーンのクランプ部25で把持した部分よりも下の部分を収容可能な高さとしているので、クレーンのクランプ部25と容器本体26との干渉がなく、容易にオーバーパック21を容器本体26へ挿入することができる。しかも、上記作業を地上で行っているので、監視も容易となり、作業性も良い。
【0031】
そして、図6に示すように、容器本体26の上に容器蓋体27を被せ、オーバーパック21を密閉する。この際、容器本体26と容器蓋体27との合せ面に形成した段付部28,29により、容器本体26と容器蓋体27との位置合せが容易となり、緩衝材容器22による密封性が向上される。
【0032】
最後に、緩衝材容器22の上部にケージ24の天板31を乗せ、天板31と底板30との間に側部格子部32を溶接してケージ24を完成する。この際、天板31には予め吊ピース23を固定しておいても、この場で溶接するようにしても良く、又、側部格子部32は、縦材33と横材34を一本ずつ溶接するようにしても、図2・図7に示すように、予め半分の大きさに形成しておいて互いに組合せてから溶接するようにしても良い。
【0033】
尚、緩衝材容器22は地中の水分を吸収して多少膨張するので、オーバーパック21と緩衝材容器22、及び、緩衝材容器22とケージ24との隙間は、膨張分だけ余裕を持たせて形成するようにする。
【0034】
こうして最終処分容器18ができたら、図1に示すように、最終処分容器18を昇降機構16の昇降機15に乗せ、ウインチなどの巻取装置13を巻戻すことにより、地上5の建屋12から縦穴7を介して地下約1000m程度の位置にある地中岩盤6に形成された水平方向へ拡がる地層内処分場11の容器収容空間8へ送る。
【0035】
そして、容器収容空間8へ送られた最終処分容器18を搬送台車20などの受渡装置で受け取り、搬送台車20から天井クレーンなどの挿入装置19へ受け渡す。
【0036】
この際、天井クレーンなどの挿入装置19は、吊具35でケージ24の吊ピース23を吊るようにする。
【0037】
そして、最終処分容器18を吊具35で吊った天井クレーンなどの挿入装置19を前後方向や左右方向などへ移動することにより目的とする容器収容孔10の位置まで搬送し、吊具35を降ろして容器収容孔10へ最終処分容器18を嵌入させる。
【0038】
ここで、容器収容孔10は、最終処分容器18を収容できるぎりぎりの大きさに形成しておけば良く、図8に示すように、緩衝材4を設置する必要をなくすことができる。
【0039】
以上により、ケージ24の天板31が容器収容空間8の床面9に対して面一の状態で、最終処分容器18が容器収容孔10へ収容される。
【0040】
以上、述べたように、本発明によれば、使用済核燃料を封入された金属製の円筒容器である重さ約12トンのオーバーパック21をベントナイトを主成分とする緩衝材製の緩衝材容器22で封入し、該緩衝材容器22を、上面に吊ピース23を取付けられた金属製のケージ24で覆うようにしたので、地上にてオーバーパック21を容易に取り扱って最終処分容器18を作り、支障なく地層内処分場11の各容器収容孔10へ最終処分容器18ごとオーバーパック21を収容させることができるようになる。
【0041】
又、地層内処分場11の容器収容孔10に、予め緩衝材4を設置するなどの作業をなくすことができるようになる。
【0042】
尚、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用済核燃料を収容するオーバーパックを地上にて容易に取扱うことができるようになるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例にかかる地層内処分場の概略側方断面図である。
【図2】放射性廃棄物最終処分用容器の概略斜視図である。
【図3】放射性廃棄物最終処分用容器の概略分解斜視図である。
【図4】放射性廃棄物最終処分用容器の製造過程を示す側方断面図である。
【図5】放射性廃棄物最終処分用容器の製造過程を示す図4に続く側方断面図である。
【図6】放射性廃棄物最終処分用容器の製造過程を示す図5に続く側方断面図である。
【図7】放射性廃棄物最終処分用容器の製造過程を示す図6に続く側方断面図である。
【図8】オーバーパックを容器収容孔へ直接収容する場合の状態を示す概略側方断面図である。
【符号の説明】
21 オーバーパック
22 緩衝材容器
23 吊ピース
24 ケージ
Claims (1)
- 使用済核燃料を封入された金属製のオーバーパックをベントナイトを主成分とする緩衝材製の緩衝材容器で封入し、該緩衝材容器を、上面に吊ピースを取付けられた金属製のケージで覆ったことを特徴とする放射性廃棄物最終処分用容器。
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JP11329096A JP3740738B2 (ja) | 1996-04-10 | 1996-04-10 | 放射性廃棄物最終処分用容器 |
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JP11329096A JP3740738B2 (ja) | 1996-04-10 | 1996-04-10 | 放射性廃棄物最終処分用容器 |
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