JP3739886B2 - 高強度・高靱性鋳鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高強度・高靱性鋳鋼に関し、ポンプ用の羽根車、案内羽根等又は船舶用プロペラを製造する場合や重量が1トン以下の上述の小型品の製造に際して有効であるばかりでなく、特に高強度及び高靱性が要求される水力発電プラント用の水車ランナ、ガイドベーン等のような1トンを超える重量の大型製品の製造に適する高強度・高靱性鋳鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水力発電プラント用の水車ランナ、ガイドベーン等の製造に使用される鋳鋼材としては、13%Cr−4%Niマルテンサイト系ステンレス鋼鋳鋼が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、水力発電プラントでは発電効率の向上の観点から、より高い落差での発電が検討されている。しかしながら、この高落差化により落下速度が増大し、水車ランナに高い応力及び衝撃がかかることから、従来用いられている材料ではこの対策のために応力部の厚肉化が不可欠となり、かえって、発電効率を低下させるという問題が予想される。
【0004】
これに対して、13%Cr−4%Niマルテンサイト系ステンレス鋼鋳鋼(SCS6)よりも優れた高強度鋳鋼としては、17%Cr−4%Ni析出強化系ステンレス鋼鋳鋼(SCS24)があげられるが、製品の大きさ又は重量により強度及び靱性が変化する質量効果の影響が大きく、特に水力発電プラントの水車ランナ等の重量が1トンを超える大型鋳鋼品としては靱性が著しく低いため適用が難しいという問題があった。
【0005】
従って本発明は上述の問題に鑑み、17%Cr−4%Ni析出強化系ステンレス鋼鋳鋼並みの優れた強度と13%Cr−4%Niマルテンサイト系ステンレス鋼鋳鋼並みの靱性を有し、かつ鋳造により水車ランナ等の大型品が一体成形可能なステンレス鋼鋳鋼を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は17%Cr−4%Ni析出強化系ステンレス鋼鋳鋼のFeの一部をCoで置換し、17%Cr−4%Ni析出強化系ステンレス鋼鋳鋼の質量効果の影響を緩和させるのと同時に、低靱性を引き起こすデルタフェライト及び残留オーステナイトを抑制するようにした高強度・高靱性鋳鋼であって、重量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜2%、Mn:0.2〜2%、Ni:3〜7%、Cr:13〜18%、Co:2〜6%、Cu:1〜4%、Nb:0.05〜0.5%、残部がFeと不可避的な成分からなるものである。
【0007】
(作用)
以下、本発明の高強度・高靱性鋳鋼の各成分の含有量の限定理由について説明する。以下、パーセントは重量%を意味する。
【0008】
C:Cは水中における腐食を抑制するため0.1%以下とするが、強度を向上させるためには0.01%以上含有させることが必要である。そこで上限値を0.1%とし、下限値を0.01%とした。
【0009】
Si:Siは溶解時に必要な脱酸成分であるため不可欠な元素であることから、少なくとも0.2%以上であることが好ましい。一方、多量の添加はデルタフェライトの生成量を増加させ、強度及び靱性を低下させるため、上限値を2%とした。
【0010】
Mn:Mnは本発明の鋳鋼の不可避的な成分であるSを固着させ、さらにデルタフェライトの生成を抑制するため、少なくとも0.2%以上であることが好ましい。一方、上限値は残留オーステナイトの生成を促進させ、強度、靱性を低下させることから2%以下とする。
【0011】
Ni:Niは靱性を低下させるデルタフェライトを抑制するため3%以上必要であるが、残留オーステナイトの生成を促進させ、靱性を低下させるため上限値を7%とした。
【0012】
Cr:Crは耐食性を向上させるため不可欠な成分であるが、Siと同様にデルタフェライトの生成促進成分であることから、上限値を18%とし、下限値を13%とした。
【0013】
Co:CoはNiと同様な作用を有し、加えてNiよりは残留オーステナイト生成促進効果が小さいため、本発明において重要な成分である。この効果は2%以上で現われるが、6%を越えて含有した場合、残留オーステナイトを生成し、靱性を低下させる傾向がある。そこで、上限値を6%とし、下限値を2%とした。
【0014】
Cu:Cuは熱処理により、微細な化合物を生成し、強度を向上させるため、不可欠な元素であるが、逆に靱性を低下させるため、上限値を4%とし、下限値を1%とした。
【0015】
Nb:Nbは熱処理により、炭化物を生成し、強度を向上させるため不可欠な元素であるが、逆に靱性を低下させるため、上限値を0.5%とし、下限値を0.05%とした。
【0016】
以上のような組成の鋳鋼は高い強度を有し、同時に高い靱性を有しており、加えて鋳造性に優れることから、高強度・高靱性が要求されるランナ、ガイドベーン等の重量が1トンを超える水力発電プラント部品やポンプ部品等に幅広く使用できる材料である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例をあげ、本発明の効果を一層明らかにする。
【0018】
(実施例1)
大気中において、高周波誘導溶解炉により表1に示す組成について、JISG0307−1989図(a)に規定した形状の試料(ここでは約16kg)を溶製し熱処理を施した。その後引張試験及びシャルピー衝撃試験を行った。その試験結果を表2に示す。表2に示すように試料1〜4の強度及び靱性はSCS6(試料16〜17)及びSCS24(試料12〜15)よりバランスのとれた高い強度及び高い靱性を併せもつことがわかる。
【0019】
(実施例2)
表1に示す試料1の組成について、直径50cm、高さ70cm、重量1050kgの大型鋳塊試料を高周波誘導溶解炉により大気中において溶製し熱処理を施した。その後、引張試験及びシャルピー衝撃試験を行った。その試験結果を表3に示す。表3に示すように試料1の強度及び靱性はSCS6(試料16)の靱性並みでかつ、より高い強度を有しており、またSCS24(試料15)の強度と同程度でかつ、より高い靱性を有していることがわかる。また、表2と表3の試験結果を対比して、試料1の試験片の大きさの違いによる質量効果はSCS24(試料15)のそれよりは小さく、SCS6(試料16)並みであることがわかる。
以上のことから、本発明に係る高強度・高靱性鋳鋼は、優れた強度及び靱性を併せもっているこということができる。
【0020】
(実施例3)
表1に示す試料1の成分系にて鋳造試験を実施した。鋳造したのは水力発電プラント用のデリア形水車のランナベーン部品であり、鋳込重量は3000kgである。図1に鋳込時の概略形状を示す。同図において、1は製品(ランナベーン部品)、2は押湯、3は湯道、4は堰である。また、鋳型は鋳物砂にクロマイト砂、バインダに重量比でアルカリフェノール樹脂1.6%、硬化材0.4%を使用した砂型鋳型である。この砂型鋳型を10時間の温風乾燥した後、鋳込温度1580℃で鋳造を行った。その結果、割れ等の有害な鋳造欠陥はなく、健全な鋳物を製造することができた。従って、本発明は優れた鋳造性を有している。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】
本発明により、優れた強度及び靱性を有し、質量効果が小さく、かつ鋳造性の良好な水力発電プラント用の鋳鋼部品の供給が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強度・高靱性鋳鋼を使用して、水力発電プラント用のデリア形水車のランナベーン部品を鋳造する態様の説明図。
Claims (1)
- 重量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜2%、Mn:0.2〜2%、Ni:3〜7%、Cr:13〜18%、Co:2〜6%、Cu:1〜4%、Nb:0.05〜0.5%、残部がFeと不可避的な成分からなる高強度・高靱性鋳鋼。
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JP05597397A JP3739886B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 高強度・高靱性鋳鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05597397A JP3739886B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 高強度・高靱性鋳鋼 |
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JPH10251728A JPH10251728A (ja) | 1998-09-22 |
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JP05597397A Expired - Fee Related JP3739886B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 高強度・高靱性鋳鋼 |
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JP2004346788A (ja) * | 2003-05-21 | 2004-12-09 | Aisin Seiki Co Ltd | ベーン、弁開閉時期制御装置、摺動材料 |
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1997
- 1997-03-11 JP JP05597397A patent/JP3739886B2/ja not_active Expired - Fee Related
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