JP3739778B1 - 体形補正用上衣、体形補正用上衣の製造方法 - Google Patents

体形補正用上衣、体形補正用上衣の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 晒やベスト型のシャツ、腰用サポーター等により、胸部を締め付けた場合に生じる不都合を解消すること等。
【解決手段】 本発明に係る体形補正用上衣は、前身頃部と後ろ身頃部とにより、少なくとも肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体形補正用上衣であって、伸縮素材による生地からなる。また、当該体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における前記後ろ身頃との境界から腹部までの面積を少なくとも等しくする生地を、当該面積が重なるようにして2枚以上の一定枚数重ね縫製されたものであること、を特徴とする体形補正用上衣である。
【選択図】 図7

Description

本発明は、体形補正用上衣に関し、特に、性同一性障害を有する女性が着用する体形補正用上衣に関するものである。
「性同一性障害」とは、生物学的には正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性別に属しているかをはっきり認識していながら、その反面で、人格的には自分は別の性に属していると確信している状態などをいう。具体的には、生物学的には男性であるが、人格的には女性である場合(Male to Female(MTF))と、生物学的には女性であるが、人格的には男性である場合(Female to Male(FTM))とがある。
このうち、FTMの方にとっては、人格的には男性だと本人が確信しているにも関わらず、外形的には乳房が隆起しており、自分の体の形状に違和感を感じる事になる。よって、FTMの方は、女性の体を本人が認識している人格である男性に近づけるために、何らかの手段により胸部を圧迫して乳房を押さえつけ、胸を男性のように平らにすることを望むのである。
胸部を平らに補正する従来技術として、例えば、晒(さらし)を胸部にきつく巻きつけることで乳房の膨らみを潰す方法がある。また同様に、腰用サポーターを胸部にきつく巻きつけて締めることで、乳房の膨らみを潰す方法がある。
さらに、胸部の下部(アンダーバスト)までをカバーするベスト型のシャツが存在する。このベスト型のシャツは、比較的伸縮性の無い生地(木綿など)により縫製されている。そして、着用者は、着用者にフィットする本来のサイズよりも小さいサイズのベスト型のシャツを選択して着るのである。この際には、無理やり乳房をベスト型のシャツに押し込み、シャツの前面のファスナーを締めるのである。このようにして、乳房の膨らみを潰す方法もある。
以上の先行技術に関する文献を、出願人は特に把握していない。
しかしながら、上記従来技術にあっては、以下の不都合がある。
まず、晒(さらし)を胸部にきつく巻きつける方法は、巻いた晒がずれ落ちてしまった場合、人目があるため外出先で再度きつく巻きなおすことが難しい。また、晒の上に服を着た場合、不自然な盛り上がりが表に現れることがあり、不恰好である。さらに、晒の着用部分では水分の蒸発を妨げられるため、蒸れて暑く、あせもやニキビのもとになってしまう。また、晒は胸部をきつく締め付けるので、呼吸をする際に苦しい。
次に、腰用サポーターにより胸部を締め付ける方法は、着用部分で水分の蒸発を妨げられるため、蒸れて暑く、あせもやニキビのもとになってしまう。また、サポーター自体が腰用で硬いため、胸部の皮膚がサポーターの生地と擦れて傷になることもある。そして、腰用サポーター着用の上に服を着た場合、やはり不自然な盛り上がりが表に現れる。さらに、胸部をきつく締め付けるので、呼吸をする際に胸部が広がりにくく苦しい。
また、ベスト型のシャツにより胸部を締め付ける方法は、着用した上に服を着た場合、ファスナー部分が不自然な盛り上がりとして表に表れる。さらに、乳房が大きい着用者がベスト型のシャツにより胸部を締め付けると、乳房の下の部分(アンダーバスト部分)が押さえられず、浮いた状態になり不自然である。すなわち、着用者にとって理想的である男性の胸部のような平らに近い状態に乳房を潰すことが困難なのである。また、着用部分では水分の蒸発を妨げられるため、蒸れて暑く、あせもやニキビのもとになってしまう。さらに、ベスト型のシャツは、通信販売などによりオーダーメイドで生産されることが多いのであるが、着用者が実際に着用してみるとサイズがうまく合わないこともよくある。そのうえ、胸部をきつく締め付けるので、呼吸をする際に胸部が広がりにくく苦しい。特に、ベスト型のシャツの裾部分は、胃の辺り(胸部の下部)を締め付けるため、食事の際には非常に苦しくなる。
1、上記課題を解決するため、本発明に係る体形補正用上衣は、前身頃部と後ろ身頃部とにより肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体形補正用上衣である。
また、当該体形補正用上衣は、着用者のバストを圧迫し、胸部を平らにする伸縮素材による生地からなる。そして、当該体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における前記後ろ身頃部との境界から腹部までの形を等しくする生地を、当該形が重なるようにして2枚以上重ね縫製されたものであると共に、上記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とが、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製されたこと、を特徴とする。
ここで、「上衣の前身頃部」とは、衣服の身頃(衣服の肩線から裾までの胴を包む部分)のうち、衣服の側面の垂直方向ラインを基準として胴体の前の部分をいう。また、「上衣の後ろ身頃部」とは、衣服の身頃(衣服の肩線から裾までの胴を包む部分)のうち、衣服の側面の垂直方向ラインを基準として胴体の後ろの部分をいう。「上衣」とは、単に上半身に着る衣服を意味し、アンダーウェアであるかアウターウェアであるかの別を問わない。「伸縮素材」とは、伸び縮みする素材であり、「伸縮素材による生地」の例として、水着の裏地などに使用されるパワーネットによる生地が該当する。
「体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における後ろ身頃部との境界から腹部までの形を等しくする生地を、当該形が重なるようにして2枚以上重ね縫製されたものであると共に、上記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とが、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製された」とは、(1)肩部分における後ろ身頃部との境界から腹部までの形を等しくする生地を、(2)当該後ろ身頃部との境界から腹部までの形が重なるようにして2枚以上重ね、縫製されたものである共に、(3)上記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とが、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製されることによって前身頃部が構成されること、を限定したものである。
以上の定義は以下の発明にも適用される。
本発明に係る体形補正用上衣をFTMの方が着用するのであるが、この際には着用者の体形にフィットする本来のサイズよりも1〜2サイズ小さい体形補正用上衣を選択することになる。すなわち、着用者の体形に本来フィットするサイズが「M」であれば、「S」サイズを採用する等である。特に、トップバストを通過する胸部の周囲長の寸法が、着用者本来の寸法よりもかなり小さめになっている体形補正用上衣を着用者は選択する。他の、肩まわりやウエスト等のサイズは、着用者の体形にフィットする本来のサイズ通りでもよい。
伸縮素材でない通常の生地からなる上衣の場合、着用者の体形にフィットする本来のサイズよりも小さいサイズの上衣を着ることは物理的に困難である。しかし、本発明の体形補正用上衣は、パワーネット等の伸縮素材による生地からなるため、着用者本来のサイズよりも小さいサイズでも着用できる。そして、着用後は、伸縮素材による生地からなる本発明の体形補正用上衣が、着用者のバストを圧迫し、着用者の胸部を男性のように平らに(いわゆる鳩胸のように)補正する。これにより、本発明の体形補正用上衣を着用したFTMの方は、男性のような外見を手に入れることができる。さらに、本発明の体形補正用上衣は、パワーネット等の伸縮素材による生地からなるため、着用者が呼吸や飲食を行う際に胸部が適度に膨らむことを妨げない。すなわち、晒や腰用サポーター、ベスト型シャツを着用した場合に、呼吸や飲食の際に着用者が感じる苦しさが生じないのである。
また、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における後ろ身頃との境界から腹部までの面積を少なくとも等しくする生地を、当該面積が重なるようにして2枚以上の一定枚数重ね縫製されたものである。よって、肩部分における前記後ろ身頃との境界から腹部までの前身頃部分の厚さが同じである。そのため、晒や腰用サポーター、ベスト型のシャツなどを着用し、その上に服を着た場合に現れる不自然な盛り上がりが出ず、摩擦による痒みも防止できる。さらに、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、2枚以上の生地を重ねているため、着用した場合に乳首が体形補正用上衣の表面に浮きでてくるという不都合を回避できる。
また、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における後ろ身頃との境界から腹部まであり、全面的に伸縮素材を採用している。よって、バストが大きい着用者であっても、平らに補正された胸がはみ出ることがない。例えば、従来の晒や腰用サポーター、ベスト型のシャツなどでは、胸が平らに補正されることによって、アンダーバスト部分が不自然に盛り上がる場合があった。しかし、本発明の体形補正用上衣はこれを防止することができるのである。
さらに、従来のベスト型のシャツなどでは、着用者のバストの大きさによって胸囲の寸法を定める必要があったため、オーダーメイドの受注後生産が主流であった。しかし、本発明の体形補正用上衣は伸縮素材による生地からなるため、一定のサイズの形の既製品による見込み生産でも対応することができる。
2、また、他の発明に係る体形補正用上衣は、上記1、の体形補正用上衣の構成に加え、上衣の前身頃部が上衣の前中心線を中心として左右対称であり、上衣のフロントネックラインが丸首形またはVネック形である、体形補正用上衣である。
さらに、当該体形補正用上衣は、上衣の前身頃における前中心線を直線A1とし、前記直線A1と垂直に交わる直線であり、上衣のフロントネックラインと肩線とが接する一方の接点a1から、上衣のフロントネックラインと肩線とが接する他方の接点b1までの直線を直線B1とし、前記直線A1と前記直線B1とが交差する交点を交点c1とし、前記直線A1と上衣のフロントネックラインが交わる交点を交点d1として、(1)前記直線A1のうち、前記交点c1から前記交点d1までの長さが7.4cm以上、かつ14.3cm以下であり、(2)前記直線B1の長さが14.4cm以上、かつ22.4cm以下であること、を特徴とする。
ここで、「上衣の前身頃における前中心線」とは、上衣の前身頃部の中心部を通る、前身頃部の縦方向に垂直な直線である。また、「上衣のフロントネックライン」とは、上衣の前衿ぐりのラインのことをいう。「上衣の肩線」とは、アパレル業者にとってはごく一般的な名称であるが、敢えて定義をすると、着用者が上衣を着用した場合における、上衣の身頃の肩のラインのことである。
以上の定義は以下の発明にも適用される。
本発明に係る体形補正用上衣についての理解を容易にするため、図1に本発明に係る体形補正用上衣の前身頃部分を図示し、図2に本発明に係る体形補正用上衣の後ろ身頃部分を図示した。そして、本発明に係る体形補正用上衣における、上記各接点、交点及び直線が夫々どの部分であるかを、図1に図示した。
FTMの方が、本来のサイズよりも1〜2サイズ小さい通常の体形補正用上衣を着用した場合、着用者のバストが圧迫され、着用者の胸部は男性のように平らに補正される。しかし、フロントネックラインが大きく開いている体形補正用上衣を、比較的胸が大きいFTMの方が着用した場合は、押さえつけた胸の谷間が見えてしまうという不都合がある。すなわち、着用により圧迫されたバストは、空間を求めて上下左右に移動するが、これにより胸の谷間ができてしまうのである。そして、着用者が屈んだときなど、フロントネックラインが大きく開いていると、容易に胸の谷間が見えてしまうのである。これは、外見を男のように見せたいFTMの方にとっては、好まざることである。
本発明に係る体形補正用上衣は、フロントネックラインについて上記のように数値限定を行ったものである。この数値限定は、図3に示す調査データから求めたものであり、以下、この図3の調査データについて説明する。
まず図3(a)は、本発明に係る体形補正用上衣の代表的なサイズと、当該サイズごとの着用者の想定身体データを、表形式にまとめたものである。同図に示すように、「XXS」、「XS」、「S(標準サイズ)」、「MS」、「M」、「ML」、「L」の各サイズが存在し、夫々に想定している着用者の身体データが異なるのである。このサイズの区分分けは、日本人女性のほとんどの体形をカバーできるように行っている。
次に図3(b)は、図3(a)で区分したサイズごとの、本発明に係る体形補正用上衣の各部基準寸法を表形式で表している。ここで、L1〜L10の体形補正用上衣の対象部位は、図1及び2に図示したL1〜L10と同じ部位を意味している。
そして、図3(c)は、図3(b)に図示したサイズごとの各部基準寸法を中心値とした、望ましい寸法値の範囲を表している。この寸法値の範囲も、図3(b)と同様に、体形補正用上衣の対象部位ごとL1〜L10に範囲の値を定めている。
この図3(b)及び図3(c)により、サイズごと対象部位ごとの、基準寸法の値と、当該値を中心値とした望ましい範囲の値を導きだすことができる。例えば、体形補正用上衣の対象部位L1について、サイズ「XXS」の基準寸法が「10.4cm」であり、基準寸法からの望ましい範囲が「±3cm」であることがわかる。すなわち、体形補正用上衣のサイズ「XXS」については、対象部位L1の長さを「7.4〜13.4cm」にするのが望ましいことが分かる。
この図3(b)及び図3(c)における、各部位の「基準寸法」及び「望ましい範囲」が何を表しているかについて説明する。図1及び2に図示するように、L1及びL2は「前身頃のフロントネックライン(前衿ぐり)」に関する部位の長さであり、L3〜L5は「前身頃のアームホールライン(前袖ぐり)」に関する部位の長さであり、L6〜L10はそれ以外の部位の長さに関するものである。そして、図3(b)及び図3(c)におけるL1及びL2の基準寸法及び範囲は、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消するのに適切な基準寸法及び範囲を表す。すなわち、「前身頃のフロントネックライン」をサイズ毎に所定のこのような範囲の値とすることによって、体形補正用上衣により補正され、平らになった胸の谷間を適切に隠すことができるのである。
また、図3(b)及び図3(c)におけるL3〜L5の基準寸法及び範囲は、体形補正用上衣を着用したときに、「前身頃のアームホールライン」から脇の肉が漏れて見えてしまうという不都合を解消するのに適切な基準寸法及び範囲を表す。すなわち、本発明の体形補正用上衣の着用により圧迫されたバストは、空間を求めて上下左右に移動するが、これにより前身頃のアームホールラインから脇の肉が漏れて見えてしまう場合がある。当該不都合を解消するには、図3(b)及び図3(c)におけるL3〜L5の基準寸法及び範囲が適切である。そして、図3(b)及び図3(c)におけるL6〜L10の基準寸法及び範囲は、上記L1〜L5の基準寸法及び範囲に対応させて、タンクトップとして見栄えが良い形にするために適切な基準寸法及び範囲を表す。
そして、図9には、図3(b)及び図3(c)におけるL1〜L10の基準寸法及び範囲を越えた場合の不都合を、L1〜L10の対象部位ごとに表にまとめた。すなわち、(1)基準寸法及び範囲を+(プラス)範囲で越えた場合の不都合と、(2)基準寸法及び範囲を−(マイナス)範囲で越えた場合の不都合と、に分けて表にまとめた。この図9も、図3と同様に、調査によって確認し、割り出したものである。
上記「(1)前記直線A1のうち、前記交点c1から前記交点d1までの長さ」が図1におけるL1に該当し、上記「(2)前記直線B1の長さ」が図1におけるL2に該当する。そして、フロントネックラインに関するL1及びL2の長さを特定する事により、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
ここで、L1の長さを14.3cm以下というように限定したのは、図3(b)及び図3(c)における、サイズ「L」のL1の基準寸法が「11.3cm」であり、基準寸法を中心値としたL1の範囲が「±3cm」であるため、L1の最大値が「14.3cm」となるからである。すなわち、比較的大柄なFTMの方用の体形補正用上衣であっても、L1が「14.3cm」以下であれば、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
同様に、L2の長さを22.4cm以下というように限定したのは、図3(b)及び図3(c)における、サイズ「L」のL2の基準寸法が「18.4cm」であり、基準寸法を中心値としたL2の範囲が「+4〜−2cm」であるため、L2の最大値が「22.4cm」となるからである。すなわち、比較的大柄なFTMの方用の体形補正用上衣であっても、L2が「22.4cm」以下であれば、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
本発明に係る体形補正用上衣は、上記L1及びL2における最大の長さを限定しているため、体形補正用上衣を着用して胸を平らに補正した際に、胸の谷間が見えてしまうという不都合を解消することができるのである。すなわち、上記L1及びL2における長さを、上記のように限定する事により、第三者に胸の谷間が見られることを防止可能な体形補正用上衣を実現する事ができる。
3、また、他の発明に係る体形補正用上衣は、上記1、の体形補正用上衣の構成に加え、上衣の前身頃部が、上衣の前中心線を中心として左右対称であり、当該上衣には袖がない、体形補正用上衣である。
さらに、当該体形補正用上衣は、上衣の一方のアームホールラインと肩線とが接する接点a2を通過し、上衣の前身頃における前中心線に垂直に交わる直線を直線A2とし、前記上衣の一方のアームホールラインと脇線とが接する接点b2を通過し、前記上衣の前中心線に平行な直線を直線B2とし、前記接点a2から前記接点b2までの直線を直線C2とし、前記直線A2と前記直線B2とが交差する交点を交点c2として、(1)前記直線A2のうち、前記接点a2から前記交点c2までの長さが2cm以上、かつ7.4cm以下であり、(2)前記直線B2のうち、前記接点b2から前記交点c2までの長さが14.2cm以上、かつ20.3cm以下であり、(3)前記直線C2の任意の点から、前記上衣の一方のアームホールラインの任意の点までを結ぶ直線であって、かつ前記直線C2に垂直に交わる直線のうち、長さが最も長い直線を直線D2とし、当該直線D2の長さが0.8cm以上、かつ6cm以下であること、を特徴とする。
ここで、「上衣のアームホールライン」とは、上衣の袖ぐりラインのことである。また、「上衣の脇線」とは、アパレル業者にとってはごく一般的な名称であるが、敢えて定義をすると、着用者が上衣を着用した場合における、上衣の身頃の脇下のラインのことをいう。
以上の定義は以下の発明にも適用される。
そして、本発明に係る体形補正用上衣における、上記各接点、交点及び直線が夫々どの部分であるかを、図1に図示した。
FTMの方が、本来のサイズよりも1〜2サイズ小さい通常の体形補正用上衣を着用した場合、着用者のバストが圧迫され、着用者の胸部は男性のように平らに補正される。しかし、前身頃のアームホールラインが大きく開いている体形補正用上衣を、比較的胸が大きいFTMの方が着用した場合は、押さえつけた胸の肉が前身頃のアームホールラインから漏れて見えてしまうという不都合がある。すなわち、着用により圧迫されたバストは、空間を求めて左右に移動するが、これにより前身頃のアームホールラインから肉が漏れ出てしまうのである。これは、外見を男のように見せたいFTMの方にとっては、やはり好まざることである。
本発明に係る体形補正用上衣は、前身頃のアームホールラインについて上記のように数値限定を行ったものである。この数値限定は、図3に示す調査データから求めたものである。そして、このような数値限定により、前身頃のアームホールラインから脇の肉が漏れ出て、見えてしまうという不都合を解消することができるのである。
上記「(1)前記直線A2のうち、前記接点a2から前記交点c2までの長さ」が図1におけるL3に該当し、上記「(2)前記直線B2のうち、前記接点b2から前記交点c2までの長さ」が図1におけるL4に該当し、上記「(3)前記直線D2の長さ」が図1におけるL5に該当する。
また、図3(b)及び図3(c)におけるL3〜L5の基準寸法及び範囲は、体形補正用上衣を着用したときに、アームホールラインから脇の肉が漏れて見えてしまうという不都合を解消するのに適切な基準寸法及び範囲を表す。そして、アームホールラインに関するL3〜L5の長さを特定する事により、体形補正用上衣を着用したときに、アームホールラインから脇の肉が漏れて見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
ここで、L3の長さを7.4cm以下というように限定したのは、図3(b)及び図3(c)における、サイズ「L」のL3の基準寸法が「6.4cm」であり、基準寸法を中心値としたL3の範囲が「+1〜−2cm」であるため、L3の最大値が「7.4cm」となるからである。すなわち、比較的大柄なFTMの方用の体形補正用上衣であっても、L3が「7.4cm」以下であれば、体形補正用上衣を着用したときに、アームホールラインから脇の肉が漏れて見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
また、L4の長さを20.3cm以下というように限定したのは、図3(b)及び図3(c)における、サイズ「L」のL4の基準寸法が「18.3cm」であり、基準寸法を中心値としたL4の範囲が「±2cm」であるため、L4の最大値が「20.3cm」となるからである。すなわち、比較的大柄なFTMの方用の体形補正用上衣であっても、L4が「20.3cm」以下であれば、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
また、L5の長さを6cm以下というように限定したのは、図3(b)及び図3(c)における、サイズ「L」のL5の基準寸法が「3.0cm」であり、基準寸法を中心値としたL5の範囲が「+3〜−2cm」であるため、L5の最大値が「6.0cm」となるからである。すなわち、比較的大柄なFTMの方用の体形補正用上衣であっても、L5が「6.0cm」以下であれば、体形補正用上衣を着用したときに、胸の谷間が見えてしまうという不都合の解消ができるのである。
4、また、他の発明に係る体形補正用上衣は、上記1、の体形補正用上衣の構成に加え、前記体型補正用上衣の後ろ身頃部の全部又は一部について、2枚以上の生地を重ねて縫製されていないこと、を特徴とする体形補正用上衣である。
本発明に係る体型補正用上衣の後ろ身頃部の全部は、伸縮素材による1枚の生地からなるため、着用の際に着やすいという利点がある。すなわち、伸縮素材による生地を何枚も重ねて前身頃部及び後ろ身頃部を縫製すると、着用する際に伸びる程度が少なく、非常に着にくくなってしまう。上記のように、本発明に係る体型補正用上衣の前身頃部は、2枚以上の一定枚数の伸縮素材による生地を重ねて縫製しているため、後ろ身頃部を2枚以上の伸縮素材による生地を重ねて縫製した場合は、着用が難しくなってしまうのである。
よって、本発明の体型補正用上衣の後ろ身頃部の全部は、伸縮素材による1枚の生地からなるため、着用者にとって本来よりも小さいサイズの体型補正用上衣であっても、着用が容易になるのである。
5、また、他の発明に係る体形補正用上衣の製造方法は、前身頃部及び後ろ身頃部とにより肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体形補正用上衣を製造する方法である。
さらに、当該体形補正用上衣は、着用者のバストを圧迫し、胸部を平らにする伸縮素材による生地からなり、当該体形補正用上衣の前身頃部は、(1)肩部分における前記後ろ身頃部との境界から腹部までの形を少なくとも等しくする生地を、当該形が重なるようにして2枚以上重ねる工程と、(2)当該生地を2枚以上重ねた状態で、前記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とを、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製する工程と、により縫製すること、を特徴とする体形補正用上衣の製造方法である。
本発明に係る製造方法により製造した体形補正用上衣は、パワーネット等の伸縮素材による生地からなるため、着用者本来のサイズよりも小さいサイズでも着用できる。そして、着用後は、伸縮素材による生地からなる本発明の体形補正用上衣が、着用者のバストを圧迫し、着用者の胸部を男性のように平らに(いわゆる鳩胸のように)補正する。これにより、本発明に係る製造方法により製造した体形補正用上衣を着用したFTMの方は、男性のような外見を手に入れることができるのである。さらに、本発明に係る製造方法により製造した体形補正用上衣は、パワーネット等の伸縮素材による生地からなるため、着用者が呼吸や飲食を行う際に、胸部が適度に膨らむことを妨げない。すなわち、晒や腰用サポーター、ベスト型シャツを着用した場合に、呼吸や飲食の際に着用者が感じる苦しさが生じないのである。
6、また、図3(b)に数値として図示した、L1〜L10についてのサイズごとの基準寸法は、図8に図示するように、胸部の周囲長に比例した数値として表すこともできる。すなわち、体型補正用上衣の「胸部の周囲長=L6+L10」の長さに応じて、L1〜5及びL7〜9の夫々の基準寸法(cm)を求めることができるのである。
図8(a)は、本発明に係る体形補正用上衣の代表的なサイズと、当該サイズごとの体形補正用上衣の胸部の周囲長(L6+L10)と周囲長の標準Sサイズとの差分を、表形式にまとめたものである。同図に示すように、「XXS」、「XS」、「S(標準サイズ)」、「MS」、「M」、「ML」、「L」の各サイズが存在し、夫々に胸部の周囲長(L6+L10)が異なる。この図8(a)におけるサイズの区分は、図3(a)におけるサイズの区分と同じものを表している。
次に図8(b)は、図8(a)で区分したサイズごとの、本発明に係る体形補正用上衣の各部基準寸法を表形式で表している。ここで、L1〜L10の体形補正用上衣の対象部位は、図3(b)と同じく、図1及び2に図示したL1〜L10と同じ部位を意味している。
また、この図8(b)は、Sサイズの胸部の周囲長およびSサイズのL1〜L10の基準寸法をもとにして、胸部の周囲長が変化した場合にL1〜L10の基準寸法がどのように変化するかも表している。例えば、MサイズのL2の基準寸法を求める場合は、図8(a)よりMサイズの胸部の周囲長は「標準Sサイズとの差分」で「+5.0」であり、図8(b)より「17.0+(+0.7×1)=17.7cm」と求めることができる。同様に、LサイズのL3の基準寸法を求める場合は、図8(a)よりLサイズの胸部の周囲長は「標準Sサイズとの差分」で「+10.0」であり、図8(b)より「4.8+(+0.75×2)=6.3cm」と求めることができる。
すなわち、「サイズaにおけるLbの基準寸法(aおよびbは変数)」は、図8(a)及び(b)より、(1)「サイズaの胸部の周囲長−標準Sサイズの胸部の周囲長」をcmで計算し、(2)「LbにおけるサイズSの基準寸法+(1)の結果×Lbの比例係数」により求められるのである。例えば、「サイズXXSにおけるL1の基準寸法」は、図8(a)及び(b)より、(1)「サイズXXSの胸部の周囲長(59.0)−標準Sサイズの胸部の周囲長(64.0)」をcmで計算し(−5cm)、(2)「L1におけるサイズSの基準寸法(10.7)+(−5cm)×L1の比例係数(3/50)=10.4」により求められる。
そして、図8(c)は、図8(b)に図示したサイズごとの各部基準寸法を中心値とした、望ましい寸法値の範囲を表している。この寸法値の範囲は、図3(c)と同じものを表す。
これら図8(a)、(b)、(c)により、サイズごと対象部位ごとの、基準寸法の値と、当該値を中心値とした望ましい範囲の値を導きだすことができる。
なお、図3(a)、(b)により求められる、サイズごと対象部位ごとの基準寸法と、図8(a)、(b)により求められる、サイズごと対象部位ごとの基準寸法とは、mm単位で異なる場合が生じる。これは、四捨五入等により生じる誤差であり、特に問題となるものではない。
以上の発明により、前述した課題を解決しようとするものである。
本発明の体形補正用上衣は、着用者のバストを圧迫し、着用者の胸部を男性のように平らに(いわゆる鳩胸のように)補正する。これにより、本発明の体形補正用上衣を着用したFTMの方は、男性のような外見を手に入れることができるのである。
また、着用時において、本発明の体形補正用上衣のネックラインやアームホールラインから、補正されたバストの肉がはみ出たり、漏れ見えてしまうという不都合を解消することができるのである。
さらに、体型補正用上衣の後ろ身頃部の全部が、伸縮素材による1枚の生地からなる場合は、着用者にとって本来よりも小さいサイズの体型補正用上衣であっても、着用が容易になるのである。
以下、本発明の実施の形態について、図4から図7を用いて説明する。
1、本発明に係る体型補正用上衣に使用する生地について
図4は、本発明に係る体型補正用上衣に使用する生地(縫製の材料としての布地)についての説明図である。図4(a)の前身頃用の生地と、図4(b)の後ろ身頃用の生地とにより、本発明に係る体型補正用上衣を縫製する。この図4(a)の前身頃用の生地と、図4(b)の後ろ身頃用の生地とは、肩部分と脇下部分と裾部分とに、縫製のために縫い代をとっておく。当該縫い代は、おおよそ1cm程度あれば十分である。また、図4(a)の前身頃用の生地と、図4(b)の後ろ身頃用の生地とによって製造する体型補正用上衣が、少なくとも肩線から腹部までの胴体を包めるように裁断する。すなわち、前身頃と後ろ身頃とを肩線で縫製でき、かつ、裾丈は少なくとも腹部にまで及ぶようにする。
さらに、図4(a)の前身頃用の生地と、図4(b)の後ろ身頃用の生地とは、伸縮素材による生地からなり、メッシュ(網目織り)である。これは、本発明に係る体型補正用上衣をアンダーウェアとして着用することが多いため、通気性を良くした方が好ましいためである。また、生地に使用する伸縮素材の例として、水着の裏地等に使用されているパワーネットが伸縮性の観点から適している。このように、メッシュやパワーネットを採用することにより、着用した際の蒸れや暑さを防止できるのである。また、パワーネット等の伸縮素材による生地により体型補正用上衣を縫製することによって、着用者が呼吸や飲食を楽に行うことができる。すなわち、晒や腰用サポーター、ベスト型シャツを着用した場合、呼吸や飲食を行った際に着用者が感じる苦しさが生じないのである。さらに、伸縮素材は一般的に生地として比較的柔らかく、メッシュは通気性を良くするため、肌に優しい体型補正用上衣を製造することができるのである。
そして、図4(c)に示すように、図4(a)の前身頃用の生地を3枚(F1、F2、F3)、図4(b)の後ろ身頃用の生地を1枚(B)、裁断して用意しておく。この3枚の前身頃用の生地は、肩部分における後ろ身頃との境界(縫い代部分)から腹部までの面積を少なくとも等しくしている。本実施形態では、図4(c)に示すように、前身頃用の生地として、全く同一の面積である生地を3枚使用することとする。また、これら生地の裁断の際には、体型補正用上衣が完成した後で横(水平)方向に服が伸びやすいように、生地の伸びの強い方向を調節して裁断する。これは、着用者の本来の胸囲サイズよりも小さい体型補正用上衣を着用することになるため、着用の際に横(水平)方向に服が伸びたほうが着用し易いからである。
また、図4(d)に示すように、3.0〜3.5cm幅の縁取りテープ(バインダー)Tを、数mに渡って裁断し、用意しておく。この縁取りテープは、衿ぐり部分と、袖ぐり部分に、共通して使用するものである。
2、本発明に係る体型補正用上衣の縫製手順について
続いて、図5及び6を参照して、図4の生地を使用した、本発明に係る体型補正用上衣の縫製手順について説明する。
(1)まず、前身頃用の生地3枚(F1、F2、F3)を重ねたものと、後ろ身頃用の生地(B)とを、中表にして、裏側から脇縫いを行う(手順1)。この脇縫いは、左右の脇下について行い、後ろ身頃側を上にして、前身頃用の生地と後ろ身頃用の生地との縫い代をミシンで縫う。この「後ろ身頃側を上にして」とは、外表にした際の表面が、後ろ身頃の縫い代となるように、という意味である。また、脇縫いの際には、中表にしてミシンをかけるため、図示しているように、体型補正用上衣の完成時の表地(F1の表、Bの表)が裏面になっている。
(2)次に、脇縫いを終えた前身頃用の生地3枚(F1、F2、F3)を重ねたものと、後ろ身頃用の生地(B)とを、外表にして、表側から脇ステッチを行う(手順2)。この脇ステッチも左右の脇下について行い、手順1で行った脇縫いの反対側をミシンで縫うことになる。また、脇ステッチの際には、外表にしてミシンをかけるため、図示しているように、体型補正用上衣の完成時の表地(F1の表、Bの表)が表面になっている。
(3)続いて、生地を外表にしたままで、前身頃用の生地3枚(F1、F2、F3)を重ねたものと、後ろ身頃用の生地(B)とを、出来上がり線を基準に生地の縫い代を内側(裏面)に1cm程度折って、表側から裾ステッチを行う(手順3)。この裾ステッチの際には、ステッチを5cm程度重ね、当該ステッチを重ねた部分の縫い始めと縫い終わりの夫々のきわで糸を切る。
(4)次に、生地を再度中表にして、前身頃用の生地3枚(F1、F2、F3)を重ねたものと、後ろ身頃用の生地(B)とを、肩部分の縫い代の後ろ身頃側を上にして、肩縫いを行う(手順4)。この「後ろ身頃側を上にして」とは、外表にした際の表面が、後ろ身頃の縫い代となるように、という意味である。この肩縫いも左右の肩部分について行う。
(5)続いて、生地をまた外表にして、肩縫い代を後ろに片返し、表側から肩ステッチを行う(手順5)。この、肩ステッチも左右の肩部分について行う。
(6)次に、生地を外表にしたままで、縁取りテープ(バインダーT)を衿ぐり部分に被せ、表側から衿ぐりバインダー仮止めを行う(手順6)。この際には、縁取りテープ(バインダーT)の端を約2cm重ね、ステッチは5cm程度重ねる。
(7)続いて、生地を外表にしたままで、縁取りテープ(バインダーT)を裏面から衿ぐりバインダーステッチを行う(手順7)。この衿ぐりバインダーステッチの際には、ステッチを5cm程度重ね、当該ステッチを重ねた部分の縫い始めと縫い終わりの夫々のきわで糸を切る。
(8)次に、生地を外表にしたままで、縁取りテープ(バインダーT)を袖ぐり部分に被せ、表側から袖ぐりバインダー仮止めを行う(手順8)。この際には、縁取りテープ(バインダーT)の端を約2cm重ね、ステッチは5cm程度重ねる。この、袖ぐりバインダー仮止めも左右の袖ぐりについて行う。
(9)続いて、生地を外表にしたままで、縁取りテープ(バインダーT)を裏面から袖ぐりバインダーステッチを行う(手順9)。この袖ぐりバインダーステッチの際には、ステッチを5cm程度重ね、当該ステッチを重ねた部分の縫い始めと縫い終わりの夫々のきわで糸を切る。この、袖ぐりバインダーステッチも左右の袖ぐりについて行う。
以上のように、本発明に係る体型補正用上衣の前身頃部は、前身頃の生地を2枚以上重ねた状態で、肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とを縫製するのである。このようにして、本発明に係る体型補正用上衣の縫製が終了し、完成するが、上記説明した縫製は全て3本針(もしくは2本針)のフラットロックミシンを用いている。これは、本発明に係る体型補正用上衣は着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないようにするためである。
3、本発明に係る体型補正用上衣の使用方法について
続いて、図7を参照して、本発明に係る体型補正用上衣の使用方法について説明する。
本発明に係る体形補正用上衣をFTMの方が着用するのであるが、この際には着用者の体形にフィットする本来のサイズよりも1〜2サイズ小さい体形補正用上衣を選択することになる。すなわち、着用者の体形に本来フィットするサイズが「M」であれば、「S」サイズを採用する等である。特に、トップバストを通過する胸部の周囲長の寸法が、着用者本来の寸法よりもかなり小さめになっている体形補正用上衣を着用者は選択する。他の、肩まわりやウエスト等のサイズは、着用者の体形にフィットする本来のサイズ通りでもよい。
伸縮素材でない通常の生地からなる上衣の場合、着用者の体形にフィットする本来のサイズよりも小さいサイズの上衣を着ることは物理的に困難である。しかし、本発明の体形補正用上衣は、パワーネット等の伸縮素材による生地からなるため、着用者本来のサイズよりも小さいサイズでも着用できる。そして、着用後は、伸縮素材による生地からなる本発明の体形補正用上衣が、着用者のバストを圧迫し、着用者の胸部を男性のように平らに(いわゆる鳩胸のように)補正する。これにより、本発明の体形補正用上衣を着用したFTMの方は、男性のような外見を手に入れることができる。また、パワーネット等の伸縮素材による生地により、体型補正用上衣が縫製されているので、着用者が呼吸や飲食を楽に行うことができる。すなわち、晒や腰用サポーター、ベスト型シャツを着用した場合に、呼吸や飲食の際に着用者が感じる苦しさが生じないのである。
ここで、本発明の体形補正用上衣を着用した場合の、側面図が図7(a)であり、前面図が図7(b)である。そして、本発明の体形補正用上衣の補正後の胸について説明したのが図7(c)である。
また、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における後ろ身頃との境界から腹部までの面積を少なくとも等しくする生地を、当該面積が重なるようにして2枚以上の一定枚数重ね縫製されたものである。よって、肩部分における前記後ろ身頃との境界から腹部までの前身頃部分の厚さが同じである。そのため、晒や腰用サポーター、ベスト型のシャツなどを着用し、その上に服を着た場合に現れる不自然な盛り上がりが出ず、摩擦による痒みも防止できる。さらに、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、2枚以上の生地を重ねているため、着用した場合に乳首が体形補正用上衣の表面に浮きでてくるという不都合を回避できる。
また、本発明の体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における後ろ身頃との境界から腹部まであり、全面的に伸縮素材を採用している。よって、バストが大きい着用者であっても、平らに補正された胸がはみ出ることがない。例えば、従来の晒や腰用サポーター、ベスト型のシャツなどでは、胸が平らに補正されることによって、アンダーバスト部分が不自然に盛り上がる場合があった。しかし、本発明の体形補正用上衣はこれを防止することができるのである。
さらに、従来のベスト型のシャツなどでは、着用者のバストの大きさによって胸囲の寸法を定める必要があったため、オーダーメイドの受注後生産が主流であった。しかし、本発明の体形補正用上衣は伸縮素材による生地からなるため、一定のサイズの形の既製品による見込み生産でも対応できる。
以上、本実施形態では、前身頃用の生地を3枚、後ろ身頃用の生地を1枚として説明したが、前身頃用の生地は少なくとも2枚以上であれば良い。
4、その他
図1及び図2に示す体形補正用上衣の各部位については、図3又は図8に図示する基準寸法及び範囲の通りに製造するのが好ましい。図3及び8におけるL1〜L2の基準寸法及び範囲は、本発明に係る体形補正用上衣を着用した際に、フロントネックラインから胸の谷間が見えないようにするために効果的な、基準寸法及び範囲を表す。また、図3及び8におけるL3〜L5の基準寸法及び範囲は、本発明に係る体形補正用上衣を着用した際に、前身頃のアームホールラインから脇の肉が漏れないようにするために効果的な、基準寸法及び範囲を表す。そして、図3及び8におけるL6〜L10の基準寸法及び範囲は、L1〜L5の基準寸法及び範囲に対応させて、タンクトップとして見栄えが良い形にするために適切な基準寸法及び範囲を表す。
そして、本発明に係る体形補正用上衣は、実施形態で説明した以外にも、様々な変更が可能である。例えば、前身頃部を3枚重ねであるのが適切だとして説明したが、4枚や5枚等でも良い。また、前身頃部を構成する複数枚の生地は、肩部分における後ろ身頃との境界から腹部までの面積を少なくとも等しくしていればよいため、必ずしも同一の形状の生地である必要はない。
体型補正用上衣の前身頃における、各部位の説明図である。 体型補正用上衣の後ろ身頃における、各部位の説明図である。 体型補正用上衣の、サイズ別の基準寸法等の説明図1である。 体型補正用上衣に使用する生地である。 体型補正用上衣の縫製手順の説明図1である。 体型補正用上衣の縫製手順の説明図2である。 体型補正用上衣の使用説明図である。 体型補正用上衣の、サイズ別の基準寸法等の説明図2である。 望ましい寸法値の範囲を越えた場合の不都合を説明する図である。
符号の説明
F1 前身頃の1枚目の生地
F2 前身頃の2枚目の生地
F3 前身頃の3枚目の生地
B 後ろ身頃の1枚目の生地
T 縁取りテープ(バインダー)

Claims (5)

  1. 前身頃部と後ろ身頃部とにより、肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体形補正用上衣であって、
    当該体形補正用上衣は、着用者のバストを圧迫し、胸部を平らにする伸縮素材による生地からなり
    当該体形補正用上衣の前身頃部は、肩部分における前記後ろ身頃部との境界から腹部までの形を等しくする生地を、当該形が重なるようにして2枚以上重ね縫製されたものであると共に、前記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とが、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製されたこと、
    を特徴とする体形補正用上衣。
  2. 上衣の前身頃部は、上衣の前中心線を中心として左右対称であり、
    上衣のフロントネックラインが丸首形またはVネック形であって、
    かつ、
    上衣の前身頃における前中心線を直線A1とし、
    前記直線A1と垂直に交わる直線であり、上衣のフロントネックラインと肩線とが接する一方の接点a1から、上衣のフロントネックラインと肩線とが接する他方の接点b1までの直線を直線B1とし、
    前記直線A1と前記直線B1とが交差する交点を交点c1とし、
    前記直線A1と上衣のフロントネックラインが交わる交点を交点d1として、
    (1)前記直線A1のうち、前記交点c1から前記交点d1までの長さが7.4cm以上、かつ14.3cm以下であり、
    (2)前記直線B1の長さが14.4cm以上、かつ22.4cm以下であること、
    を特徴とする請求項1記載の体形補正用上衣。
  3. 上衣の前身頃部は、上衣の前中心線を中心として左右対称であり、
    当該上衣には袖がなく、
    かつ、
    上衣の一方のアームホールラインと肩線とが接する接点a2を通過し、上衣の前身頃における前中心線に垂直に交わる直線を直線A2とし、
    前記上衣の一方のアームホールラインと脇線とが接する接点b2を通過し、前記上衣の前中心線に平行な直線を直線B2とし、
    前記接点a2から前記接点b2までの直線を直線C2とし、
    前記直線A2と前記直線B2とが交差する交点を交点c2として、
    (1)前記直線A2のうち、前記接点a2から前記交点c2までの長さが2cm以上、かつ7.4cm以下であり、
    (2)前記直線B2のうち、前記接点b2から前記交点c2までの長さが14.2cm以上、かつ20.3cm以下であり、
    (3)前記直線C2の任意の点から、前記上衣の一方のアームホールラインの任意の点までを結ぶ直線であって、かつ前記直線C2に垂直に交わる直線のうち、長さが最も長い直線を直線D2とし、当該直線D2の長さが0.8cm以上、かつ6cm以下であること、
    を特徴とする請求項1記載の体形補正用上衣。
  4. 前記体型補正用上衣の後ろ身頃部の全部又は一部について、2枚以上の生地を重ねて縫製されていないこと、
    を特徴とする請求項1記載の体形補正用上衣。
  5. 前身頃部及び後ろ身頃部とにより、肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体形補正用上衣を製造する方法であって、
    当該体形補正用上衣は、着用者のバストを圧迫し、胸部を平らにする伸縮素材による生地からなり
    前記前身頃部は、
    (1)肩部分における前記後ろ身頃部との境界から腹部までの形を等しくする生地を、当該形が重なるようにして2枚以上重ねる工程と、
    (2)当該生地を2枚以上重ねた状態で、前記肩部分における後ろ身頃部との境界部分と、衿ぐり部分と、袖ぐり部分と、脇下部分における後ろ身頃部との境界部分と、裾部分とを、着用者が生地を伸ばして着用することになるため、縫製部分がほどけないように、2本針若しくは3本針のミシンを用いて縫製する工程と、
    により縫製すること、
    を特徴とする体形補正用上衣の製造方法。
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