JP3739721B2 - 広角円偏波アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、広角度にわたって軸比の良好な特性を示す円偏波アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の衛星通信の普及に伴い、軸比特性が良好で放射パターンが半球状である広角円偏波アンテナの要求度が増している。
【0003】
従来、代表的な円偏波アンテナの1つとしてクロスダイポールアンテナが用いられてきた。ダイポールアンテナは、その構造上直線偏波しか発生しないので、2個のダイポールアンテナを十字型に直交させて、互いに位相を90°ずらせて励振することによって2つのダイポールの成す平面に垂直な方向に円偏波を発生するものである。
【0004】
このクロスダイポールによる円偏波アンテナは、図14に示すように、2つの直線偏波アンテナ11a,11bを交差させたクロスダイポールアンテナ11を用い、その後方1/4波長の位置に反射板2′を置き、単向性として用いる場合が多い。
【0005】
また、他の代表的な円偏波アンテナとして、コニカル・ログスパイラルアンテナや4線分数巻ヘリカルアンテナが用いられている。前者は円錐渦巻アンテナとも呼ばれ、円錐面に沿って対数周期で渦巻状に導線を配置したアンテナである。後者は4本の導線を所定のピッチ角でヘリカル状に巻いたアンテナである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記クロスダイポールアンテナでは、図14に示すように、その正面方向(2つのダイポールの成す平面に垂直な方向)では円偏波となるが、側方向(正面が天頂方向を向いている時の低仰角方向)になるに従い、次第に楕円偏波となる。したがって広角度にわたって良好な軸比を保つことは困難である。
【0007】
また、前記コニカル・ログスパイラルアンテナや4線分数巻ヘリカルアンテナでは、構造上多くのパラメータを持ち、それらのパラメータの選択によって種々の指向特性と軸比特性を実現できるが、エレメント部分の全長は半波長以上であり、4線分数巻ヘリカルアンテナに到っては、その反射板を含めた全長が1波長に近くなり、双方とも全体が大型になる。このいずれのアンテナにおいても、巻き数を少なくするほど全体に小型化できるが、それと引換えに所定の軸比を保つことのできる角度範囲が狭くなるという問題が生じる。
【0008】
さらに、前記コニカル・ログスパイラルアンテナや4線分数巻ヘリカルアンテナにおいては、クロスダイポールアンテナとは異なり、導体線の巻き方向に応じて円偏波の右旋−左旋の方向が定まるため、これを電気的に切り換えることが不可能であった。たとえば、同一周波数にて、または互いに近接する周波数にて、旋回方向の異なる円偏波を送受信する場合、右旋・左旋専用のアンテナをそれぞれ設ける必要があった。
【0009】
この発明の目的は、小型でありながら広角度にわたって軸比が良好な特性を示す広角円偏波アンテナを提供することにある。
また、必要に応じて旋回方向を電気的に切り換え可能とした広角円偏波アンテナを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の広角円偏波アンテナは、周長が使用周波数で略1波長の導体線と、該導体線に第1の方向に1波長の定在波を乗せる第1の給電手段と、前記導体線に第1の方向とは略90°向きの異なる第2の方向に第1の給電手段による給電位相より位相が略90°異なる1波長の定在波を乗せる第2の給電手段と、放射方向の面が凹んだ反射板とを備え、該反射板の焦点より内側で且つ該反射板の底面より使用周波数で1/4波長以上1/2波長以下の位置に、導体線を配置して構成する。
【0011】
また、この発明の広角円偏波アンテナは、前記反射板に映る前記導体線の虚像の大きさが、前記導体線の略2倍の大きさとなるように、その反射板に対する導体線の位置を定める。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態に係る広角円偏波アンテナの構成と作用について、比較例を含めて各図を参照して順に説明する。
図1はこの発明の実施形態に係る広角円偏波アンテナの斜視図である。図1において1は、周長が使用周波数で略1波長の導体線である。この導体線1には、2つの励振源3a,3bを接続している。すなわち、この2つの励振源3a,3bによって導体線1に対し給電している。この導体線1と2つの励振源3a,3bによってループアンテナ10を構成している。
【0013】
なお、この実施形態では、説明の容易性を考慮して、外部からアンテナに対して給電し、所定の円偏波の電磁波を放射する送信アンテナとしての動作を想定して説明する。しかし、アンテナの可逆定理により送受の関係は可逆的であり、受信アンテナとしても同様の特性を示す。
【0014】
励振源3aは導体線1に対して第1の方向に1波長の定在波を乗せる第1の給電手段に相当する。また励振源3bは導体線1に第1の方向とは略90°向きの異なる第2の方向に、第1の給電手段による給電位相より位相が略90°異なる1波長の定在波を乗せる第2の給電手段に相当する。この定在波の方向については後述する。
【0015】
図1において、2は放射方向の面が凹んだ反射板である。
図2はループアンテナ10と反射板2との位置関係について示している。ここで反射板2はパラポラ(放物面)反射板であり、Fはその焦点を示している。ループアンテナ10は、反射板2の焦点Fより内側で且つ反射板2の底面より使用周波数で1/4波長以上1/2波長以下の位置に配置している。
【0016】
このように反射板2の焦点Fより内側にループアンテナ10を配置したことにより、ループアンテナ10の導体線より大きなループアンテナの虚像10′が生じる。このループアンテナの虚像11′は、金属等の導電体である反射板2で反射した結果生じるものであるので、ループアンテナ10とは逆位相で給電されたループアンテナがこの虚像10′の位置に存在することと反射板2を設けることとは等価である。
【0017】
図3はループアンテナの2つの例について示している。ここで(A)は図1・図2に示したループアンテナ10の平面図である。この例では、導体線1を円形にし、その一部に励振源3aを挿入していて、そこから導体線1に沿って1/4周だけ離れた位置にもう1つの励振源3bを挿入している。この2つの励振源3a,3bの位相は略90°異なる。
【0018】
図3の(B)に示す例は、全周長が使用周波数で略1波長の導体線1を円形にし、それを略4等分する点のうち、対向する2点に対して給電する励振源3aと、上記4等分する点のうち他の対向する2点へ給電する励振源3bとを設けている。この2つの励振源3a,3bの給電位相は略90°異なる。
【0019】
図4は図3に示した2つのタイプについて、導体線1に生じる定在波の時間的変化を、電流分布の時間的変化によって示している。図中の細線は、導体線1から離れる程電流密度が高いことを表す形式で、導体線1上の電流分布を示している。また、矢印は導体線1上を流れる電流の方向を示している。
図4の(A)〜(D)は、図3の(A)に示したタイプの給電方法によるループアンテナについて示している。励振源3a,3bから見たループアンテナは、使用周波数において共振しており、入力インピーダンスの虚数成分は0であるとする。励振源3a両端の電位差が最大であり、励振源3b両端の電位差が0である時、(A)に示すように導体線1に電流が分布する。導体線1の周長が略1波長であるので、図中矢印で示すように、導体線の一方の半周部分と他方の半周部分とで同一方向に電流が流れる。その後、励振源3a両端の電位差が0、3b両端の電位差が最大となった時、(B)のように電流が分布する。さらにその後、励振源3a両端の電位差が逆極性で最大となり、3b両端の電位差が0となった時、(C)に示すように電流が分布する。その後、同様にして励振源3a両端の電位差が0、3b両端の電位差が逆極性で最大となった時、(D)に示すように電流が分布する。この繰り返しによって導体線1に流れる電流の方向が送信信号の周波数にしたがって時間的に回転する。これにより円偏波の電磁波を放射する。励振源3a,3bの給電位相差が+90°であるときに右旋円偏波が放射される場合、上記給電位相差をー90°にすることにより左旋円偏波を放射することができる。
【0020】
上記励振源3aによる定在波の電流方向が、本発明に係る定在波の「第1の方向」に相当する。また、励振源3bによる定在波の電流方向が、本発明に係る定在波の「第2の方向」に相当する。
【0021】
図4の(E)〜(H)は、図3の(B)に示したタイプのループアンテナにおける導体線1上の電流分布の時間的変化を示している。まず、励振源3aの導体線1に対する接続点間の電位差が最大であり、励振源3bが接続されている導体線1上の2点間の電位差が0である時、(E)に示すように電流が分布する。このタイプのループアンテナの場合も、導体線1の周長が略1波長であるので、図中矢印で示すように、導体線の一方の半周部分と他方の半周部分とで同一方向に電流が流れる。その後、励振源3aの導体線1に対する接続点間の電位差が0、励振源3bが接続されている導体線1上の2点間の電位差が最大となった時、(F)に示すように電流が分布する。さらにその後、励振源3aの導体線1に対する接続点間の電位差が逆極性で最大、励振源3bが接続されている導体線1上の2点間の電位差が0となった時、(G)に示すように電流が分布する。その後、励振源3aの導体線1に対する接続点間の電位差が0、励振源3bが接続されている導体線1上の2点間の電位差が逆極性で最大となった時、(H)に示すように電流が分布する。
【0022】
図5は他の形状の導体線を備えたループアンテナについて示している。導体線1は円形である必要はなく、周長が使用周波数で略1波長となれば、図5に示すように矩形であってもよい。また、その他の多角形や直線または曲線を含む形状であってもよい。図5の(A)に示す例では、正方形の4つの辺のうち隣合う2つの辺のそれぞれの中央部を励振する励振源3a,3bを設けている。また(B)に示す例では、正方形をなす導体線1の対向する辺の中点間をそれぞれ励振する励振源3a,3bを設けている。
【0023】
いずれの場合でも、ある瞬間での電流分布は(C)に示すように、導体線1を1周する間に2つの腹が生じ、導体線の一方の半周部分と他方の半周部分とで同一方向に電流が流れるので、その電流の向きが時間的に送信信号の周波数にしたがって回転する。したがって導体線1が円形である場合と同様に、円偏波の電磁波が放射される。
【0024】
図6は、図3の(A)に示したタイプのループアンテナについての給電方法を示している。(A)において、4a,4bは導体線1に接続した整合回路である。この2つの整合回路4a,4bは、導体線1に沿って1/4波長だけ離れた位置に設けていて、一方の整合回路から見て他方の整合回路は等価的に存在しないように(連続する導体線1が存在するように)作用することが理想である。
【0025】
図6の(B),(C)は、導体線1に対する整合回路の接続部の構造を示している。(B)はT整合回路と称される(またはπ整合と称される)整合回路であり、導体線1に対する2つの接続点間の長さによって、ループアンテナのインピーダンスと給電線の特性インピーダンスとの整合をとっている。また、(C)に示す例では、給電線と導体線1の接続点との間にコンデンサを挿入して、その静電容量によっても整合を図っている。但し、図6の(B)、(C)いずれの構造でも、一方の整合回路から見たときの他方の整合回路が等価的に完全に存在しないように作用させることはできない。
【0026】
図7は、図3の(B)で示したタイプのループアンテナについての整合方法を示している。(A)に示す例では、ループ状を成す導体線1に対して励振源3a,3bによる信号を導体線5a,5bを介して導体線1の4つの点に給電している。導体線5a,5bの長さは、励振源3a,3bと導体線1との整合をとるため、略1/2波長となる。
【0027】
図7の(B)に示す例では、(A)に示した導体線5a,5bの代わりに集中定数インダクタンス素子Lを介して給電するようにしている。この構造によれば、略同一平面内にこれらの素子と導体線1とを配置することができる。
【0028】
図7の(C)はこれらを一般化して表した図である。ここで4a,4bは導体線1の4つの点にそれぞれ接続した整合回路である。励振源3a,3bはこれらの整合回路4a,4bを介して導体線1に給電する。
【0029】
さて、ここで説明を一旦従来のクロスダイポールアンテナに戻して、広角度にわたって軸比特性の良好な円偏波アンテナを得るための条件について説明する。
【0030】
今、図14に示したように、2つの直線偏波アンテナ11a,11bを反射板上に互いに直交させて組み合わせた円偏波アンテナを考える。直線偏波アンテナ11a,11bの電気的特性は等しい。
【0031】
この反射板付きクロスダイポールアンテナを用い、図13に示すように、各方位各仰角における電波の強度を測定する場合、Z軸を中心としてXY座標平面方向に広がる無指向性が要求されるアンテナの場合、空間に存在する任意の受信点pにおいて、軸比が0であると仮定すると、直線偏波アンテナ11aおよび11bが輻射する電波の強度は受信点pにおいて互いに等しい。X−Z断面において、またはY−Z断面において受信点pの仰角が所定角度範囲で変わると、直線偏波アンテナ11a,11bが輻射する電波の強度に差が生じる。もし、その差が生じなければ、上記角度範囲で軸比0の特性が得られる。
【0032】
したがって、直交した2つの直線偏波アンテナ11a,11bで広角度に亘って(低仰角まで)軸比の良好な円偏波を得るための条件は、2つの直線偏波アンテナ11a,11bの指向特性を表す形状が、それぞれZ軸を軸とした回転体をなすことである、と言い換えることができる。
【0033】
直線偏波アンテナの全輻射方向に対して、その指向特性を考察するのは困難であるので、図13に示したX−Z断面およびY−Z断面の指向特性を似せることに着目する。
【0034】
まず、計算を容易にするために、図8の(A)に示したように正方形の導体線を用いたループアンテナについて考える。このループアンテナは、図8の(B)に示すように、2つの直線偏波ループアンテナを直交させて重ねたものと等価である。すなわち、励振源3aは正方形状のループを成す導体線1aに給電し、励振源3bは正方形状のループを成す導体線1bに給電する。
【0035】
図8の(C)は、そのうちの一方の直線偏波ループアンテナを取り出した図である。この直線偏波ループアンテナの指向特性は、(D)に示すように、1/4波長離れた平行な2本の半波長ダイポールアンテナの指向特性で近似できる。
【0036】
そこで、反射板上に存在する2本の半波長ダイポールアンテナの指向特性を求めることにし、反射板に対して面対称な位置に生じる虚像のアンテナを、逆位相給電される2本の半波長ダイポールアンテナに置き換える。すなわち、自由空間に存在する4本のダイポールアンテナからなる直線偏波アンテナについてシミュレーションを行う。
【0037】
図11は反射板を平面とした時の4つの半波長ダイポールアンテナの配置を示している。反射板が平面であるので、ダイポールアンテナの虚像に相当する下部のダイポールアンテナは上部のダイポールアンテナと同じ大きさである。図11においてhは、反射板からダイポールアンテナまでの間隔である。この下部のダイポールアンテナには、金属等の導電体である反射板で反射した結果生じるものであるので、上部のダイポールアンテナとは逆位相で給電する。
【0038】
図12は図11に示したアンテナのX−Z面およびY−Z面での指向特性を示している。但し、アンテナの指向特性を表す慣習に従い、その断面における最大利得が0dBとなるように表している。図12の(A)と(B)とでは、それぞれの基準となる0dBの信号強度が異なるので、天頂方向の利得が異なって見えるが、天頂方向の絶対利得はX−Z面とY−Z面のいずれにおいても当然に等しい。
【0039】
このように平面の反射板を用いた場合には、X−Z面の天頂方向で−3.5dBだけ低下し、仰角約50°付近で利得が最大となっている。また、Y−Z面の天頂方向で利得が−6dBだけ低下し、仰角約40°で最大となっている。
【0040】
このように反射板が平面である場合には、利得が最大となる仰角と、その利得は、X−Z面とY−Z面とで大きく異なることが分かる。
【0041】
次に、反射板を放物面として、半波長ダイポールアンテナの虚像が大きくなった場合について示す。
図9は、虚像の2本の半波長ダイポールの間隔を9/10波長まで広げた例を示している。図10は、その時のX−Z面での指向特性とY−Z面での指向特性を示している。X−Z面で天頂方向の利得と、上半面での最大利得との差は約4dBである。また、仰角約50°で利得が最大となっている。Y−Z面では、天頂方向の利得と、上半面での最大利得との差は4.5dBとなる。また、仰角は約45°で利得が最大となっている。
【0042】
このように、半波長ダイポールアンテナの導体線の延びる方向およびそれに直交する方向のいずれの断面についても指向特性が相似形となることから、この図9に示した直線偏波ダイポールアンテナの指向特性は全方位方向に回転対称型であることが分かる。したがって、このような特性を持つ直線偏波のアンテナを互いに直交させるとともに、90°の位相差をもって給電を行うことにより、広角度にわたって軸比特性の良好な円偏波アンテナが得られる。
【0043】
発明者によるシミュレーションの結果、反射板から半波長ダイポールアンテナまでの高さが1/4〜1/2波長の範囲である時に、またさらに、反射板2に映る半波長ダイポールアンテナの虚像が、反射板の上部に存在する実在のダイポールアンテナに比較して約2倍の寸法となる場合に、広角度に良好な軸比特性を持つ円偏波アンテナが得られることが分かった。
既に示した図1〜図7に示した構造のアンテナは、上述の条件を満たすように、ループアンテナ10と反射板2との位相関係および反射板2の形状を定める。
【0044】
図15は、反射板に対する直線偏波ダイポールアンテナの高さと指向性との関係を示している。(A)は、ダイポールアンテナと反射板との間隔を1/4波長にしたとき、(B)はその間隔を1/2波長にしたときについて示している。
【0045】
(A)に示すように、ダイポールアンテナと反射板との間隔が1/4波長程度に近づくと、放射方向に凹んだ反射板を用いても、輻射が天頂方向に集中しているため、その効果は薄い。ダイポールアンテナと反射板との間隔が1/4波長より近づく程、その傾向は顕著となる。このような状態は、低仰角にまで軸比の良好な特性のアンテナを得るという目的に反する。
【0046】
また、(B)に示すように、直線偏波アンテナと反射板との間隔が1/2波長程度に離れると、天頂方向の利得が極端に低下するため、広角度にわたって良好な軸比を得るという目的にやはり反する。
上述の関係から、上記1/4〜1/2波長の範囲という条件が必要になる。
【0047】
なお、円偏波アンテナを分解して、2つの直線偏波アンテナとして見た時の指向特性の回転対称性を良好に保つために、反射板も回転対称体であることが望ましい。同様に、ループアンテナ10の導体線1の形状も円形であることが望ましい。但し、図9に示した波長と半波長ダイポールとの位置関係は近似計算で求めたものであり、厳密値ではない。実際の設計時においては、理想的な指向特性を得るための軸比を犠牲にすることもあり、その逆もあり得る。すなわち、反射板2の形状(焦点距離)と導体線1との位置関係、さらには波長の変更により様々な特性を得ることができる。
【0048】
また、以上に示した実施形態では、反射板として放物面型の反射板を用いたが、反射板は、ループアンテナの虚像として、実在するループアンテナより大きな虚像を映し出すものであればよいため、放射方向の面が凹んだ反射板であればよい。従って逆円錐形であってもよい。特にループアンテナの導体線が円形であれば、逆円錐形の反射板であっても、放物面型の反射板の場合と同等の特性が期待できる。
【0049】
また、軸比特性の劣化を容認するのであれば、ループアンテナの導体線は円形でなくてもよい。反射板についても、逆円錐形と平板との組合せや、逆多角錐形と平板との組合せであってもよい。
【0050】
【発明の効果】
この発明によれば、周長が使用周波数で略1波長の導体線と、該導体線に第1の方向に1波長の定在波を乗せる第1の給電手段と、前記導体線に第1の方向とは略90°向きの異なる第2の方向に第1の給電手段による給電位相より位相が略90°異なる1波長の定在波を乗せる第2の給電手段とを備えたことにより、円偏波を放射するループアンテナとして作用し、そのループアンテナを、放射方向の面が凹んだ反射板の焦点より内側で且つ該反射板の底面より使用周波数で1/4波長以上1/2波長以下の位置に配置したことにより、小型でありながら広角度にわたって軸比が良好な特性を示す広角円偏波アンテナが得られる。
【0051】
また、必要に応じて給電位相を変えるだけで、旋回方向を電気的に切り換え可能とした広角円偏波アンテナが得られる。
【0052】
また、この発明によれば、反射板に映る導体線の虚像の大きさが、導体線の略2倍の大きさとなるように、その反射板に対する導体線の位置を定めることによって、全体に大型化せずに、より広角度にわたって軸比が良好な広角円偏波アンテナが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る広角円偏波アンテナの構成を示す斜視図
【図2】ループアンテナ、反射板およびループアンテナの虚像との関係を示す図
【図3】ループアンテナの2つのタイプの構成を示す図
【図4】2つのタイプのループアンテナについて導体線に流れる電流方向の時間的変化を示す図
【図5】正方形型導体線によるループアンテナの構造および電流分布の例を示す図
【図6】ループアンテナへの給電方式を示す図
【図7】ループアンテナへの給電方式を示す図
【図8】円編波ループアンテナからの等価変換の例を示す図
【図9】凹面の反射板を用いた場合の等価変換した4つの半波長ダイポールアンテナの配置を示す図
【図10】同アンテナの指向特性を示す図
【図11】平面の反射板を用いた場合の等価変換した4つの半波長ダイポールアンテナの配置を示す図
【図12】同アンテナの指向特性を示す図
【図13】クロスダイポールアンテナの指向特性の形状を示す部分破断図
【図14】反射板付クロスダイポールアンテナの構成と軸比特性を示す図
【図15】反射板に対する直線偏波ダイポールアンテナの高さと指向特性との関係を示す図
【符号の説明】
1−導体線
2,2′−反射板
3a,3b−励振源
4a,4b−整合回路
5a,5b−導体線
10−ループアンテナ
10′−ループアンテナの虚像
11−クロスダイポールアンテナ
11a,11b−直線偏波アンテナ

Claims (2)

  1. 周長が使用周波数で略1波長の導体線と、該導体線に第1の方向に1波長の定在波を乗せる第1の給電手段と、前記導体線に第1の方向とは略90°向きの異なる第2の方向に第1の給電手段による給電位相より位相が略90°異なる1波長の定在波を乗せる第2の給電手段と、放射方向の面が凹んだ反射板とを備え、該反射板の焦点より内側で且つ該反射板の底面より使用周波数で1/4波長以上1/2波長以下の位置に、前記導体線を配置してなる広角円偏波アンテナ。
  2. 前記反射板に映る前記導体線の虚像の大きさが、前記導体線の略2倍の大きさとなるように、前記反射板に対する前記導体線の位置を定めた請求項1に記載の広角円偏波アンテナ。
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