JP3739561B2 - 連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造では、図4の(A)に示すように溶鋼を取鍋1からタンディッシュ2へ注入するときに溶鋼が空気に触れて酸化したり、飛散するのを防止するためロングノズル3を取鍋1の溶鋼排出口に設けたコレクターノズル4に気密に接続し、ロングノズル3を通して溶鋼をタンディシュ2に注入している。そして、取鍋1の溶鋼の注入が終了する頃合にタンディシュ2の溶鋼5中に浸漬しているロングノズル3の下端部を引き上げ、取鍋1の溶鋼中のスラグ6がロングノズル3から流出することを目視で確認して取鍋1の残鋼の有無を判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにスラグ6の確認のためロングノズル3の下端部をタンディシュ2の溶鋼から引き上げると、タンディシュ2中の溶鋼5が空気に触れて酸化するおそれがある。これを防止するため、近時、ロングノズル3をタンディシュの溶鋼から引き上げることなく、タンディシュ2の湯面にスラグ6が浮くのを目視で確認して取鍋1の残鋼の有無を判定するか、あるいは取鍋1の重量管理等で残鋼の有無を判定することが行われるようになった。
ところで、取鍋1の溶鋼は気密に接続したコレクターノズル4とロングノズル3を通ってタンディシュ2に注入されるので、その間ロングノズル3の内圧は大気圧Pより低い減圧状態になる。一方、タンディッシュ2中の溶鋼5は大気圧P下にあるので、ロングノズル3をタンディシュ2の溶鋼5中から引き上げることなく、タンディシュ2の湯面にスラグ6が浮くのを目視して取鍋1からタンディシュ2へ溶鋼5を注入する工程の終了を判定し、ついで図4の(B)に示すようにコレクターノズル4をロングノズル3から離脱させると、大気圧Pとロングノズル3の内圧との圧力差によりロングノズル3中の溶鋼5が押し上げられる。それに伴い、ロングノズル3中の、溶鋼5より比重の小さいスラグ6がロングノズル3から吹き上がり、ロングノズル3の外へ飛散することがある。
本発明はこのような連続鋳造用ロングノズル3におけるスラグ6吹上げを防止する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法であって、連続鋳造用ロングノズルの内孔に開口する直径が0.5mm以下の複数の小径孔を形成し、連続鋳造において取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入する工程が終了する時点の前後に前記小径孔から前記ロングノズルの内孔中に不活性ガスを供給してロングノズルの内圧を上昇させ、もってタンディッシュ中の溶鋼に作用する大気圧とロングノズル内の内圧との圧力差を、該圧力差に起因して生じるロングノズルからのスラグ吹き上げを防止できるまでに小さくし、しかる後に前記ロングノズルを前記取鍋の溶鋼排出口から離脱させることを特徴とする。
【0005】
【発明の作用・効果】
本発明によれば、取鍋の溶鋼の注入終了時点の前後にロングノズル中に不活性ガスを供給してロングノズルの内圧を上昇させるので、タンディシュ中の溶鋼に作用する大気圧とロングノズル内圧との圧力差が小さくなる。このため、取鍋の溶鋼排出口からロングノズルを離脱したとき大気圧とロングノズル内圧との圧力差に起因して生じるロングノズルからのスラグ吹上げを防止できる。
とりわけ、本発明によれば、直径が0.5mm以下の小径孔を通して不活性ガスをロングノズルの内孔に供給するので、溶鋼が取鍋からロングノズルを通ってタンディシュに流入するとき不活性ガスの供給通路側へ侵入するのを防止できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1には本発明の一実施形態に係る連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法が模式的に示されている。当該防止方法は図示するロングノズル10を用いて取鍋1からタンディシュ2に溶鋼を注入する。このロングノズル10の首部11の内部にはロングノズルの内孔12に開口する複数の小径孔13と、ロングノズル10の首部11の外表面に開口し不活性ガス供給パイプ14を嵌着した大径孔15と、各小径孔13と大径孔15を連通するスリット16が形成されている。各小径孔13は直径が0.5mm以下に設定されており、ロングノズル10の内孔12の内周面に等間隔で配列されている。スリット16は大径孔14と内周面に等間隔で配列された複数の小径孔を連通するように首部11の内部にリング状に形成されている。
取鍋1の底部内側には上ノズル17が嵌着され、底面にはスライディングノズルのボトムプレート18とスライドプレート19及びコレクターノズル4が取付けられている。
【0007】
本実施形態に係るスラグ吹上げ防止方法では、かかる構造のロングノズル10を使用することにより、図1の(A)に示すように取鍋1からタンディシュ2へ溶鋼5を注入する工程が終了する2〜3分前に不活性ガス供給パイプ14から不活性ガスを約3バールの圧力で供給開始し、スリット16を介して小径孔13からロングノズル内孔12中に吐出して、ロングノズル10の内圧を上昇させる。
取鍋1からタンディシュ2へ溶鋼5の注入が終了する時点ではロングノズル10の内圧上昇により内圧とタンディシュ2中の溶鋼5に作用する大気圧Pとの圧力差が小さくなっているので、取鍋1の排出口に設けたコレクターノズル4を図1の(B)に示すようにロングノズル10から離脱してもロングノズル10からスラグ6が吹上がって外に飛散することはない。
とりわけ、本実施態様に係るスラグ吹上げ防止方法では直径が0.5mm以下の小径孔13を通して不活性ガスをロングノズル10の内孔12に供給するので、溶鋼5が取鍋1からロングノズル10を通ってタンディシュ2に流入するとき、スリット16や不活性ガス供給パイプ14側へ侵入して不活性ガスの供給が遮断されるのを防止できる。
なお、本実施形態のスラグ吹上げ防止方法に用いたロングノズル10では、その首部11に小径孔13を設けたが、タンディシュ2中の溶鋼5に浸漬しない部位であれば首部11以外の部位に設けても良い。
【0008】
次に、図2に本発明の他の実施形態に係るスラグ吹上げ防止方法に用いるロングノズル20の構造を示す。当該ロングノズル20ではその首部21の上半部が通気性を有する多孔質耐火材料22で構成され、該多孔質耐火材料22によってロングノズル内孔23の上部内壁面の一部を区画形成している。多孔質耐火材料22で構成した首部21の外周部には凹部24が形成され、該凹部24に不活性ガス供給パイプ25が接続されている。
本実施形態に係るスラグ吹上げ防止方法はかかる構造のロングノズル20を使用し、パイプ25から不活性ガスを多孔質耐火材料22の凹部24に吹き込む。不活性ガスは多孔質耐火材料22を通りロングノズル内壁面から内孔23中に吐出してロングノズル20の内圧が上昇するので、ロングノズル20をコレクターノズル4から離脱させたとき、ロングノズル20からスラグ6が吹上がって外に飛散することはない。
しかして本実施形態に係るスラグ吹上げ防止方法では、多孔質耐火材料22を通して不活性ガスをロングノズル内孔23に供給するので、溶鋼5が不活性ガス供給パイプ25側へ侵入するのを防止できる。
【0009】
なお、本実施形態に係るスラグ吹上げ防止方法に用いるロングノズル20では首部21の上半部を多孔質耐火材料22で構成したが、図3に示すロングノズル30のように、コレクターノズル4に当接しない部位に多孔質耐火材料31を使用してロングノズル内孔32の内壁面の一部を区画形成し、首部33に不活性ガス供給パイプ34を嵌着する大径孔35と、この大径孔35と多孔質耐火材料31を連通する小径孔36を形成し、多孔質耐火材料31から成る内壁面からロングノズル内孔32に不活性ガスを吐出するように構成すれば、コレクターノズル4が多孔質耐火材料31に当たらないので、多孔質耐火材料の摩耗、損傷を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法を示す説明図である。
【図2】 本発明の他の実施形態に係る連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法を示す説明図である。
【図3】 本発明のさらに他の実施形態に係る連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹上げ防止方法を示す説明図である。
【図4】 連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグの吹上げを示す説明図である。
【符号の説明】
1…取鍋、2…タンディシュ、5…溶鋼、6…スラグ、10…連続鋳造用ロングノズル、11…首部、12…ロングノズル内孔、13…小径孔、14…不活性ガス供給パイプ、15…大径孔、16…スリット、20…連続鋳造用ロングノズル、21…首部、22…多孔質耐火材料、23…ロングノズル内孔、24…不活性ガス供給パイプ、30…連続鋳造用ロングノズル、31…多孔質耐火材料、32…ロングノズル内孔、33…首部、34…不活性ガス供給パイプ、35…大径孔、36…小径孔。
Claims (1)
- 連続鋳造用ロングノズルの内孔に開口する直径が0.5mm以下の複数の小径孔を形成し、連続鋳造において取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入する工程が終了する時点の前後に前記小径孔から前記ロングノズルの内孔中に不活性ガスを供給してロングノズルの内圧を上昇させ、もってタンディッシュ中の溶鋼に作用する大気圧とロングノズル内の内圧との圧力差を、該圧力差に起因して生じるロングノズルからのスラグ吹き上げを防止できるまでに小さくし、しかる後に前記ロングノズルを前記取鍋の溶鋼排出口から離脱させることを特徴とする連続鋳造用ロングノズルにおけるスラグ吹き上げ防止方法。
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