JP3739018B2 - 高炉の原料装入制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉ベルレス装入装置を使用する高炉の原料装入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉への原料装入方法として近年では装入物分布等の制御のし易い旋回シュートを用いた方式(ベルレス装入方式)が良く用いられている。この様な装置を用いて、原料を炉頂部より円周状に装入し、同時に旋回シュートのノッチ角度の変化パターンを調整することにより装入パターンを自由に変更することが出来、装入分布の制御が可能である。しかし、旋回シュートを用いる場合にも問題点がある。つまり、装入する原料の重量,シュート旋回速度および流量調節ゲート弁開度を管理していても、装入物の粒度,嵩密度の変化、或いはシュートガイド部の機械的摩耗等によって、装入物の流下速度が変動し所要量の原料を装入する時間が変動してしまうため、炉内円周方向における原料の装入始端位置と終端位置が不規則になる。
【0003】
この為炉内円周方向での鉱石,コークスまたはペレット等の原料を均一に分布装入することや、炉中心部での鉱石還元を促進させるための最適な装入分布を得ることが困難となってしまう。従って、ベルレス高炉の利点を活かして積極的に装入分布を制御するには、操業条件の変化や装入装置の経年変化の影響を吸収し装入時間を正確に制御する工夫が必要であり様々な方法が現在まで試みられている。
【0004】
例えば特開昭56−047506号公報に開示されている制御方法は、シュート旋回速度を一定に保ちながら、蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回の流量調節ゲート弁開度から、次回の流量調節ゲート弁開度を設定するか、または、流量調節ゲート弁開度を一定に保ちながら、蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回の旋回速度から、次回の旋回速度を設定する、という方法である。
【0005】
また、特開平2−254111号公報に開示されている制御方法は、装入速度の実績値と流量調節ゲート弁の実績開度との関係を基準開度関数として求めておき、次回装入する原料重量と旋回シュート旋回数から求めた目標装入速度を基準開度関数に当てはめて弁の基準開度を求め、又前回装入時の目標装入速度と実績装入速度とのズレに基づく補正値(フィ−ドバック補正値)や、原料の排出重量の実績値とその排出時間から、次回排出重量に対する補正値(フィ−ドフォワ−ド補正値)を求めて、これらの補正値を弁基準開度に加えることにより流量調節弁の開度を設定する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開昭56−047506号公報に開示されている制御方法では、一定流量の定常状態の時は良いが、操業上のニーズにより原料装入量が大きく変更されたときや、目標旋回数が変更された場合は、この操業条件の変化が外乱となり、実際の旋回数が目標から外れてしまう。この様な場合はそれまでに得られた制御パラメータは役にたたず(学習継続不可能)、別に用意する基礎式によって設定値を決定する場合もあるが、基礎式による方法ではそれまでの操業条件変化は反映されないため、結局は実際の旋回数は目標旋回数から外れることになる。
【0007】
また、前記特開平2−254111号公報に開示されている制御方法では、旋回数の変化や装入量の変化に追従するための仕組みはあるが、原料の重量に基づいているため、原料の銘柄変更等で嵩密度等の性状の異なる原料が使用される場合は対応できない、という問題がある。
【0008】
本発明は、これらの問題点を改善することを目的とする。具体的には、操業の変更に伴う原料装入量の変更や原料銘柄の変更,目標シュート旋回数の変更を的確に流量調節ゲート弁開度やシュート旋回速度に反映させ、最適なゲート開度設定や最適なシュート旋回速度設定を行うことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では、シュート旋回速度を一定に保ちながら蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回の流量調節ゲート弁開度と、前回装入原料体積及び次回装入原料体積、そして前回旋回数と次回旋回数から、下記(1)〜(4)式のように、次回の流量調節ゲート開度設定値を算出して設定し同時に次回の流量調節ゲート弁開度設定値を算出する計算式の学習修正を行う。または、流量調節ゲート弁開度を一定に保ちながら蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回のシュート旋回速度と、前回の装入原料体積及び次回装入原料体積、そして前回目標旋回数と次回目標旋回数から、下記(5)〜(7)式のように、次回のシュート旋回速度の設定値を算出して設定し同時に次回のシュート旋回速度の設定値を算出する計算式の学習修正を行う。
【0010】
これらにより、ダンプ毎のホッパー内原料を目標旋回数通りに装入出来る。
【0011】
また、各要因のゲインパラメーターを適用修正する事により、操業条件の変化に迅速に対応する事が出来る。
【0012】
本発明法によれば、装入物の物理性状の変化、或いは流量調節ゲート弁,シュートガイド部の摩耗等の変動に影響を受けないだけでなく、原料装入量の変更や原料銘柄の変更といった大きな操業条件の変化に対してもパラメーター学習を継続し、基礎式に頼ることなく最適な流量調節ゲート弁開度やシュート旋回速度を設定することが可能となり、正確に原料の装入分布を制御することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明方法を具体的に説明する。本発明法の適用制御は下記の繰り返し式、及びその繰り返し式の結合パラメーターを適用修正していく適用制御式によって行われる。
【0014】
まず旋回速度を一定に保ちながら流量調節ゲート弁開度で制御する、第1態様の場合、次の(1)式の設定流量調節ゲート弁開度を算出してこの開度を設定する。
【0015】
【数4】
Figure 0003739018
【0016】
ΔW(n)=W(n)−W(n-1),
ΔR(n-1)=RM(n-1)−RA(n-1),
ΔRM(n) =RM(n)−RM(n-1) ・・・(3)
【0017】
【数5】
Figure 0003739018
【0018】
次に、流量調節ゲート弁開度を一定に保ちながら旋回速度で制御する、第2態様の場合、次の(5)式の設定旋回速度を算出してこの旋回速度を設定する。
【0019】
【数6】
Figure 0003739018
【0020】
図1に、本発明を実施する旋回シュート方式原料装入装置と本発明の制御系統を示す。図1中の1,2は一旦原料を収納する炉頂ホッパー、3,4はホッパー1,2から排出される装入物の流量を調整する流量調節ゲート弁、5は旋回シュートで例えば矢印の方向へ旋回する。6は垂直集合ゲートである。旋回シュート5はノッチ角度(回転中心線に対する傾斜角)が変更可能である。旋回シュート5の炉径方向位置及び円周方向位置はそれぞれ位置検出器7および8により検出される。9,10は流量調節ゲート弁3,4の駆動装置、11,12はそれぞれ旋回シュート5の、炉径方向、及び円周方向の駆動装置である。
【0021】
本発明を実施するために、原料の移動を検出する検出器13,14,15を設けており、これらの検出器13,14,15は例えば音響検知器,振動検知器等であり、原料が移動することにより発生する音響,振動等がある間計時を行ない、原料の装入時間を精度良く測定する。この検出器13,14,15によって検出した装入時間内の、旋回シュート5が旋回した回数を、円周方向位置検出器7,8が発生するパルスのカウントにより計測する。
【0022】
第1態様では、この計測した旋回数と目標旋回数から(2)式により流量調節ゲート弁開度設定/実績誤差ΔDOを求める。これと(3)式で求められる装入原料体積誤差ΔW,実績旋回数誤差ΔR,目標旋回数誤差差ΔRMより、(4)式に従い適用修正パラメーターの修正を行う。尚、この適用修正は同一炉頂ホッパーからの装入で、かつ同一ダンプ装入の時の実績データ同士について行い、この前提条件毎に適用修正パラメーターの組を持つ。ゲート弁開度の設定を行う場合は、次回の設定と同一のホッパーからの装入でかつ同一ダンプ装入時のデータで適用修正したパラメーターの組を用いて(1)式により流量調節ゲート弁開度設定値を決定する。これらの演算,修正および設定値の出力はコンピュ−タが行なう。
【0023】
また、流量調節ゲート弁開度を一定に保ちながら旋回速度で制御する第2態様の場合も同様にして、(3),(5),(6),(7)式より旋回速度を決定する。この場合も、演算,修正および設定値の出力はコンピュ−タが行なう。
【0024】
すなわちコンピユ−タが、これらの結果に基づき、流量調節ゲート弁3,4,6の駆動装置9,10,11,12を制御する。
【0025】
【実施例】
内容積4000m の大型高炉において本発明を実施した。装入原料は鉱石(焼結鉱,ペレット,塊鉱石,副原料)及びコークスの各ダンプからなり、シュート旋回速度を一定にして流量調節ゲート弁を制御する方式(第1態様)で、1ダンプの原料装入量を変更させた場合と、目標旋回数を変更させた場合について、本発明法による制御結果と比較して従来の方法(蓄積した過去のシュート旋回数情報と前回の流量調節ゲート弁開度から次回流量調節ゲート弁開度を学習計算させる法)による制御結果を図2に示す。図2で明らかなように、原料装入量を変更した場合、従来の方法(a)では目標旋回数±0.2旋回に収束させるためには8回以上の学習が必要であったが、本発明法(b)では即座に目標旋回数に収束している。又、目標旋回数の変更においても、従来の方法(c)に比べて本発明法(d)でははるかに早く目標旋回数に収束している。また適用修正によるゲインパラメーター自動チューニングにより本発明による制御では定常状態における旋回数誤差もはるかに小さくなっている。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、装入物の物理性状の変化、装入物による機械的な摩耗の影響、更には操業の変更に伴う原料装入量の変化や原料の銘柄変更、そして目標旋回数の変更といった様々な状況変化に対しても精度良く指定の旋回数で均一に原料を装入する事が出来るので高炉の操業上及び設備的に最適な装入分布が得られ、その結果安定した操業が出来、生産性の向上等に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する旋回シュート方式原料装入装置の縦断面図である。
【図2】 従来法と本発明法の実施結果を示すグラフであり、(a)および(b)は装入量を変更してから、シュ−ト旋回回数が目標値に収束するまでの旋回回数の推移を示し、(c)および(d)は目標旋回数を変更してから実際の旋回回数が目標旋回回数に収束するまでの実際の旋回回数の推移を示す。
【符号の説明】
1,2:炉頂ホッパー 3,4:流量調節ゲート弁
5:旋回シュート 6:垂直集合ゲート
7,8:位置検出器 9,10:弁駆動装置
11:シュ−ト駆動装置(炉径方向) 12:シュ−ト駆動装置(円周方向)
13,14,15:検出器

Claims (2)

  1. 炉頂の原料ホッパーから流量調節ゲート弁,旋回シュートを介して高炉炉内に原料を装入する方法に於いて、
    シュート旋回速度を一定に保ちながら、蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回の流量調節ゲート弁開度と、前回装入原料体積及び次回装入原料体積、そして前回目標旋回数と次回目標旋回数から、次のように、次回の流量調節ゲート弁開度設定値を算出して設定し同時に次回の流量調節ゲート弁開度設定値を算出する計算式の学習修正を行う:
    Figure 0003739018
    ΔW(n)=W(n)−W(n-1),
    ΔR(n-1)=RM(n-1)−RA(n-1),
    ΔRM(n) =RM(n)−RM(n-1) ・・・(3)
    Figure 0003739018
    ことを特徴とする高炉の装入制御方法。
  2. 炉頂の原料ホッパーから流量調節ゲート弁,旋回シュートを介して高炉炉内に原料を装入する方法に於いて、
    流量調節ゲート弁開度を一定に保ちながら、蓄積した過去のシュート旋回数情報と、前回のシュート旋回速度と、前回装入体積及び次回装入体積、そして前回目標旋回数と次回目標旋回数から、次のように、次回のシュート旋回速度の設定値を算出して設定し同時に次回のシュート旋回速度の設定値を算出する計算式の学習修正を行う:
    Figure 0003739018
    ことを特徴とする高炉の装入制御方法。
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