JP3738590B2 - 光学機能を有する立体回路基板の製造方法 - Google Patents
光学機能を有する立体回路基板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機能を有する立体回路基板の製造方法に関し、詳しくは、光学機能としてレンズ機能、又は光学フィルター機能、又は高反射機能、又はこれらの複合機能を有し、且つこれらが組み込まれた一体型の立体回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、多機能化、低コスト化に伴い、電子機器に用いられるプリント配線板にも同様の特性が要求されている。このような要求に応えるためにプリント配線板についても種々の製法による配線基板が提案されており、その一例として、回路付き樹脂基板(MID基板:Molded Interconnection Device)が広く普及してきた。
【0003】
このMID基板の代表的な製法として、APE法(部品全体に無電解めっきした後、エッチングで回路を形成する方法)、MnA法(触媒入り樹脂でモールドされた部品にマスクを当てて無電解めっきし、回路を形成する方法)、PSP法(部品に感光性触媒を塗布し、回路部をUV露光させた後、無電解めっきして回路を形成する方法)、2ショット法(触媒入り樹脂で回路部を1ショット、通常樹脂で第2ショットした後、無電解めっきで回路を形成する方法)が挙げられるが、これら各方式では、回路パターンの精度を上げるのが困難であり、製造工程が複雑となり、コストが高くつくという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レンズやフィルターの実装工程を省略でき、製造工程の簡略化を図ることができ、光学デバイスと電子デバイスとの一体化を実現できる光学機能を有する立体回路基板の製造方法を提供するにあり、また別の目的とするところは、基材がダメージを受けることなくレーザによるパターニングを容易に行うことができる光学機能を有する立体回路基板の製造方法を提供するにあり、更に別の目的とするところは、より高輝度で、さらに耐候性、耐熱性に優れた光学機能を有する立体回路基板の製造方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、光学機能としてレンズ機能、又は光学フィルター機能、又は高反射機能、又はこれらの複合機能を有し、且つこれらが組み込まれた一体型の立体回路基板の製造方法であって、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板2を形成し、立体基板2の表面にレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料のいずれかを形成し、その上にCVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、その後レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行った後に、エッチングで不要なめっき下地導電膜及びレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料を除去することを特徴としており、このように構成することで、レンズやフィルターの実装工程を省略でき、光学機能を有する立体回路基板1を容易に製造することができる。しかもレンズ一体型立体基板2の表面にレーザの反射しやすい金属膜8或いは塗料のいずれかを形成し、その上にめっき下地導電膜3を形成したので、レーザを用いてめっき下地導電膜3の回路部4の輪郭を除去するときに、めっき下地導電膜3の下層に高反射膜である金属膜8或いは塗料等が存在するとレーザ光Bがそこで反射し、立体基板2がダメージを受けるのが避けられる。従って、立体基板2がダメージを受けることなく容易にレーザによるパターニングを行うことができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、レンズ一体型の立体基板2の表面に、レーザの反射しやすい金属膜8を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その上からレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜8をエッチングするのが好ましく、この場合、立体基板2にレンズが一体化されていることでレンズの実装工程を省略できる。しかもめっき下地導電膜3の下にはレーザの反射しやすい金属膜8を被覆してあるので、基材がダメージを受けることなくレーザによるパターニングが可能となる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1において、レンズ一体型の立体基板2の表面に、レーザの反射しやすい塗料9をスピンコート、ディッピングによりコートし、その上からレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングし、その後レーザの反射しやすい塗料9を除去するのが好ましく、この場合、立体基板2にレンズが一体化されていることでレンズの実装工程を省略できると共に、めっき下地導電膜3の下にはレーザの反射しやすい塗料9をコートしてあるので、基材がダメージを受けることなくレーザによるパターニングが可能となる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1において、透明樹脂からなる立体基板2の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜6を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜10を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜10を除去するのが好ましく、この場合、光学フィルターの実装が不要となる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1において、レンズ一体型の立体基板2の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜6を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜10を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜10を除去するのが好ましく、この場合、レンズ及び光学フィルターの実装が不要となる。
【0010】
請求項6の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、その後レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板2の表面にレーザの反射しやすいAlやAgからなる高反射膜11を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、不要な高反射膜11を酸でエッチングを行い、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするので、高反射膜11によって立体回路基板1の高輝度化を図ることができる。
【0011】
請求項7の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、その後レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板2の表面にレーザの反射しやすいAlやAgからなる高反射膜11を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらに絶縁保護膜12を被覆し、その上にレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするので、高反射面を有する立体回路基板1の耐候性が向上する。
【0012】
請求項8の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、その後レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、反射率の高い金属材料からなる立体基板2の表面に絶縁保護膜12を被覆し、さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜3となる金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、不要な絶縁保護膜12を酸でエッチングを行い、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするので、高反射面を有する立体回路基板1の耐熱性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
本実施形態の光学機能を有する立体回路基板1(MID基板)は、光学機能としてレンズ機能、又は光学フィルター機能、又は高反射機能、又はこれらの複合機能を有し、且つこれらが組み込まれた一体構造を有している。
【0015】
図1は、レンズ機能を有する立体回路基板1を示しており、この立体回路基板1を製造するにあたっては、先ず、樹脂を射出成形して立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成する。その後、レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去するものである。図1中の2aはレンズ面、20は受光素子である。
【0016】
このレンズ機能を有する立体回路基板1の製造工程の一例を図2に示す。本例では、立体基板2の透明絶縁性基材としてポリカーボネード、アクリル、ポリサルフォンを用い、射出成形によってレンズ機能を有する形状に形成して、図2(a)に示すレンズ一体型透明樹脂基板(成形品)を得る。このレンズ一体型透明樹脂基板はレンズ機能を持ち、その裏面に受光素子20が実装できる構造を持っている。この成形品をアルカリ脱脂して表面に付着した油分等の洗浄を行った後に、図2(b)に示すように、成形品表面にDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により、レーザの反射しやすい高反射膜として金属膜8を形成する。金属膜8としてAl、Ag、Auを使用できる。ここではAl膜を用いる。このAl膜の膜厚は、数十nm〜数百nmが望ましい。さらにその上に図2(c)に示すように、めっき下地導電膜3をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により形成する。このめっき下地導電膜3としてはCu、Snを使用できる。なお、金属膜8及びめっき下地導電膜3はスパッタリング以外に、真空蒸着によって形成してもよい。
【0017】
次いで、図2(d)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭を除去する。ここでは、Cu膜からなるめっき下地導電膜3の表面にレーザの電磁波を照射して電磁波を照射した部分のめっき下地導電膜3を除去する。このレーザとしては第2或いは第3高調波YAGレーザ、YAGレーザのような、めっき下地導電膜3の吸収の良いものが好ましい。またレーザをガルバノミラーで走査することにより、めっき下地導電膜3を成膜した立体基板2の表面のうち回路を形成する箇所である回路部4以外の部分、すなわち回路部4間の絶縁スペースとなる非回路部5において照射されるものであり、非回路部5の少なくとも回路部4との境界領域に非回路部5のパターンに沿って照射することにより、非回路部5の回路部4との境界領域のめっき下地導電膜3を除去するものである。このときめっき下地導電膜3の下層に高反射膜である金属膜8が存在するとレーザ光Bがそこで反射し、基材がダメージを受けるのが避けられる。次いで、図2(e)に示すように、不要なレーザの反射しやすい金属膜8を酸エッチングにより除去する。なおレーザの反射しやすい膜が導体膜でない場合はこの工程は省略可能である。次いで図2(f)に示すように、回路部4となる領域に給電を行い、電気鋼めっき、電気ニッケルめっき、電気金めっきを行って、Cu、Ni、Auからなる所定厚の金属膜により回路部4を形成する。次いで図2(g)に示すように、非回路部5および高反射面を覆っている残存した不要なめっき下地導電膜3を過硫酸アンモニアによるソフトエッチングで除去し、最後に図2(h)に示すように、メッキ下地導電膜3の下層にあった不要なレーザの反射しやすい金属膜8を酸エッチングで除去する。
【0018】
しかして、この立体回路基板1はレンズ機能を持ち、その裏面に受光素子20が実装できる構造を持っており、レンズの実装工程を省いて製造工程の簡略化を図ることができると共に、光学デバイスと電子デバイスを一体化したレンズ一体型の立体回路基板1(MID基板)を容易に製造できるものである。しかも、レンズ一体型樹脂基板の表面にレーザの反射しやすい金属膜8を形成し、その上にめっき下地導電膜3となる金属膜を形成し、めっき下地導電膜3の吸収の良いレーザを用いて回路部4の輪郭を除去するようにしたので、基材がダメージを受けることなく容易にレーザによるパターニングを行うことができるという利点もある。
【0019】
図3はレンズ機能を有する立体回路基板1の製造工程の他の例を示している。本例では、立体基板2の透明絶縁性基材としてポリカーボネード、アクリル、ポリサルフォンを用い、射出成形によってレンズ機能を有する形状に形成して、図3(a)に示すレンズ一体型透明樹脂基板(成形品)を得る。このレンズ一体型透明樹脂基板はレンズ機能を持ち、その裏面に受光素子20が実装できる構造を持っている。この成形品をアルカリ脱脂して表面に付着した油分等の洗浄を行った後に、図3(b)に示すように、成形品表面にスピンコート、ディッピング、吹き付け方により、レーザの反射しやすい塗料9を塗布する。ここではレーザの反射しやすい塗料9として白色塗料を用いる。この白色塗料の塗布厚は、数μm〜数十μmが望ましい。さらにその上から図3(c)に示すように、Cu膜からなる導電性のめっき下地導電膜3をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により表面に形成する。その後、前記図2(d)〜(g)の各工程と同様、図3(d)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭除去、図3(e)に示す回路部4の形成、図3(f)に示すソフトエッチング、図3(g)に示すレーザ反射層の除去を行う。
【0020】
以上の方法によれば、前記図2の場合と同様、レンズの実装工程を省いて製造工程を簡略化できるという効果に加えて、レンズ一体型樹脂基板の表面にレーザの反射しやすい塗料9をスピンコート、ディッピングによりコートし、その上からめっき下地導電膜3を形成し、めっき下地導電膜3の吸収の良いレーザによるパターニングを行うことで、基材がダメージを受けることなく容易にレンズ機能を有する立体回路基板1(MID基板)を製造できるという効果が得られる。
【0021】
さらに、本実施形態では、図3に示すように、レーザーの反射しやすい膜として白色塗料9のような絶縁膜を形成しているため、レーザーパターニング後において、前記図2(e)で示したようなレーザーの反射しやすい金属膜8を除去する工程を踏まなくてもよいものである。つまり、図2(d)ではレーザパターニングした後には金属膜8がむき出しとなり、そのままめっきをして回路を形成すると、基板全体がめっきされることとなり、金属膜8と回路部4との間で短絡を起こしてしまう。それを回避するために図2(e)では金属膜8と回路部4との間を除去しているが、図3の実施形態では、レーザの反射しやすい膜は絶縁膜(白色塗料9)であるために、レーザパターニング後に上記図2(e)の工程を踏まなくても、レーザパターニングにより電気的な絶縁が確保されるので、そのままめっきをして回路を形成することができ、製造工程を簡略化できるという利点がある。
【0022】
図4は、光透過性材料を用いてレンズ構造を有し、且つ光学フィルター膜6が形成された立体回路基板1を示している。この立体回路基板1を製造するにあたっては、樹脂を射出成形して立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、次いでレーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行い、エッチングで不要な膜を除去するものである。その一例を図5に示す。本例では、立体基板2の透明絶縁性基材としてポリカーボネード、アクリル、ポリサルフォンを用い、射出成形によって図5(a)に示す透明樹脂基板(成形品)を得る。この透明樹脂基板はその裏面に受光素子20が実装できる構造を持っている。この成形品をアルカリ脱脂して表面に付着した油分等の洗浄を行った後に、図5(b)に示すように、成形品表面の片側にMgF2とZnSといった屈折率の違う高誘電体膜を交互に真空蒸着或いはスパッタリング法を用いて、多層膜(光学フィルター膜6)を形成する。このときの光学膜厚は(屈折率×膜厚)が反射させたい光の波長の1/4で制御されている。
【0023】
次いで、上記多層膜(光学フィルター膜6)が形成された透明樹脂基板の表面全面に図5(c)に示すように、DCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により、レーザの反射しやすい高反射膜として金属膜10を形成する。金属膜10としてAl、Ag、Auを使用できる。ここではAl膜を用いた場合を説明する。このAl膜の膜厚は、数十nm〜数百nmが望ましい。さらにその上から図5(d)に示すように、めっき下地導電膜3をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により形成する。このめっき下地導電膜3としてはCu、Snを使用できる。なお、金属膜10及びめっき下地導電膜3はスパッタリング以外に、真空蒸着によって形成してもよい。
【0024】
次いで、図5(e)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭を除去する。ここでは、めっき下地導電膜3の表面にレーザの電磁波を照射して電磁波を照射した部分のめっき下地導電膜3を除去する。このレーザとしては第2或いは第3高調波YAGレーザ、YAGレーザのような、めっき下地導電膜3の吸収の良いものが好ましい。またレーザをガルバノミラーで走査することにより、めっき下地導電膜3を成膜した立体基板2の表面のうち回路を形成する箇所である回路部4以外の部分、すなわち回路部4間の絶縁スペースとなる非回路部5において照射されるものであり、非回路部5の少なくとも回路部4との境界領域に非回路部5のパターンに沿って照射することにより、非回路部5の回路部4との境界領域のめっき下地導電膜3を除去するものである。このときめっき下地導電膜3の下層に高反射膜である金属膜10が存在するとレーザ光Bがそこで反射し、基材がダメージを受けるのが避けられる。次いで、図5(f)に示すように、不要なレーザの反射しやすい金属膜10を酸エッチングにより除去する。なおレーザの反射しやすい膜が導体膜でない場合はこの工程は省略可能である。次いで、図5(g)に示すように、回路部4となる領域に給電を行い、電気鋼めっき、電気ニッケルめっき、電気金めっきを行って、Cu、Ni、Auからなる所定厚の金属膜により回路部4を形成する。次いで図5(h)に示すように、非回路部5および高反射面を覆っている残存した不要なめっき下地導電膜3を過硫酸アンモニアによるソフトエッチングで除去し、最後に図5(i)に示すように、メッキ下地導電膜3の下層にあった不要なレーザの反射しやすい金属膜10をエッチングにより除去する。
【0025】
以上の方法によれば、レーザの反射しやすい高反射膜として金属膜10を形成することで、基材がダメージを受けることなく容易にレーザによるパターニングを行うことができるという効果に加えて、光学フィルターの実装が不要となるので、製造工程の簡略化を図ることができると共に、立体回路基板1の表面に光学フィルター膜6、裏面に受光素子20が実装できる構造を持っているので、光学フィルター機能を有する立体回路基板1(MID基板)を容易に製造できるようになる。
【0026】
ここで、上記光学フィルター6が多層膜で形成されている場合の一例を図14に示す。図14の例では、アクリル(n=1.45)からなる立体基板2上に、Al2O3(n=1.62)からなる誘電体膜6bと、MgF2(n=1.39)からなる誘電体膜6aとがこの順に積層形成されている。nは屈折率である。このような多層膜で光学フィルター膜6を形成することで、色々な波長の光の束が入射したときに、干渉を利用して色々な光の成分を打ち消すような構造にすることができる。つまり、光学フィルターとは色々な波長の成分を持っている光をある特定の波長のみ透過させるものをいい、図14は多層膜にしたときの光の反射と透過とを表している。受光素子20として例えば赤外領域の光を受ける焦電素子を用いた場合は、赤外線だけを透過させるためには屈折率の違う透明誘電体膜を多層で形成させていく。一般に光は低い屈折率から高い屈折率の層に切り替わるときに反射を起こす。空気の層から図14の誘電体膜6aに切り替わるとき1回目の反射を起こす。このときの膜厚は反射させたい光の波長の1/4の膜厚になるように設計する。それ以外の光は透過してしまうので、次の誘電体膜膜6bの膜厚も反射させたい光の波長の1/4に設計する。このような反射を何回(本例では2回)も繰り返していくうちに、透過する光の波長は限られていくことになり、最終的に透過させたい波長だけの光だけを受光素子20に到達させることができる。なお、光学フィルター膜6は多層である必要はなく、光学フィルター機能としての機能が得られれば1層であってもよいものである。また誘電体膜の材料も特に限定されるものではない。
【0027】
図6は、光透過性材料を用いてレンズ構造を有し且つ光学フィルター膜6が形成された立体基板2の例を示している。図中の2aはレンズ面、20は受光素子である。この立体回路基板1を製造するにあたっては、樹脂を射出成形して立体基板2を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜3を形成し、レーザ加工により回路部4の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部4の厚づけを行い、その後、エッチングで不要な膜を除去するものである。その一例を図7に示す。本例では、立体基板2の透明絶縁性基材としてポリカーボネード、アクリル、ポリサルフォンを用い、射出成形によってレンズ機能を有する形状に形成して、図7(a)に示すレンズ一体型透明樹脂基板(成形品)を得る。このレンズ一体型透明樹脂基板はレンズ機能を持ち、その裏面に受光素子20が実装できる構造を持っている。この成形品をアルカリ脱脂して表面に付着した油分等の洗浄を行った後に、図7(b)に示すように、成形品表面の片側にMgF2とZnSといった屈折率の違う高誘電体膜を交互に真空蒸着或いはスパッタリング法を用いて多層膜(光学フィルター膜6)を形成する。このときの光学膜厚は(屈折率×膜厚)が反射させたい光の波長の1/4で制御されている。この多層膜が形成されたレンズ一体型透明樹脂基板の表面全面に図7(c)に示すように、DCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により、レーザの反射しやすい高反射膜として金属膜10を形成する。ここではAl膜を用いた場合を説明する。このAl膜の膜厚は、数十nm〜数百nmが望ましい。さらにその上に図7(d)に示すように、レーザの吸収の良いめっき下地導電膜3をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により形成する。このめっき下地導電膜3としてはCu、Snを使用できる。なお、金属膜10及びめっき下地導電膜3はスパッタリング以外に、真空蒸着によって形成してもよい。その後、前記図5(e)〜(i)の各工程と同様、図7(e)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭除去、図7(f)に示す不要なレーザの反射しやすい金属膜10の除去、図7(g)に示す回路部4の形成、図7(h)に示す不要なめっき下地導電膜3の除去、図7(i)に示す不要なレーザの反射しやすい金属膜10の除去を行う。
【0028】
以上の方法によれば、レーザの反射しやすい高反射膜として金属膜10を形成することで、基材がダメージを受けることなく容易にレーザによるパターニングを行うことができるという効果に加えて、レンズ、光学フィルターの実装が不要となると共に、レンズ機能、光学フィルター機能と立体基板2との一体化により、製造工程を一層簡略化することができる。
【0029】
図8は、立体基板2の一部に反射率の高い面7が形成されている立体回路基板1を示している。この高反射面を有する立体回路基板1を製造するにあたっては、樹脂基板の表面にAlやAgの高反射膜11を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらにめっき下地導電膜3となるCuを真空蒸着、スパッタリング法により形成し、めっき下地導電膜3の吸収の良いレーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、不要な高反射膜11を酸でエッチングを行い、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするものである。その一例を図9に示す。本例では、立体基板2の絶縁性基材としてポリイミド、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマーの電気絶縁性材料を用い、射出成形によって三次元形状を形成する。このとき図9(a)に示すように、基板は発光素子21を実装する反射面を持った構造であり、その面はより反射率を高めるために鏡面加工してあることが望ましい。反射面が形成された成形品をアルカリ脱脂して表面に付着した油分等の洗浄を行った後に、成形品表面にDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により、図9(b)に示すように、少なくとも樹脂基板の反射面を含む表面に高反射膜11としてAl膜を形成する。このAl膜の膜厚は、数十nm〜数百nmが望ましい。さらにその上に図9(c)に示すように、めっき下地導電膜3としてCu膜をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により形成する。なお、高反射膜11及びめっき下地導電膜3はスパッタリング以外に、真空蒸着によって形成してもよい。
【0030】
次いで、図9(d)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭を除去する。ここでは、めっき下地導電膜3の表面にレーザの電磁波を照射して電磁波を照射した部分のめっき下地導電膜3を除去する。このレーザとしては第2或いは第3高調波YAGレーザ、YAGレーザのような、Cu膜の吸収の良いものが好ましい。またレーザをガルバノミラーで走査することにより、Cu膜からなるめっき下地導電膜3を成膜した立体基板2の表面のうち回路を形成する箇所である回路部4以外の部分、すなわち回路部4間の絶縁スペースとなる非回路部5において照射されるものであり、非回路部5の少なくとも回路部4との境界領域に非回路部5のパターンに沿って照射することにより、非回路部5の回路部4との境界領域のめっき下地導電膜3を除去するものである。このときめっき下地導電膜3の下層にAl膜の高反射膜11が存在するとレーザ光Bがそこで反射し、基材がダメージを受けるのが避けられる。次いで、図9(e)に示すように、不要なレーザの反射しやすい高反射膜11を酸エッチングにより除去する。次いで図9(f)に示すように、回路部4となる領域に給電を行い、電気鋼めっき、電気ニッケルめっき、電気金めっきを行って、Cu、Ni、Auからなる所定厚の金属膜により回路部4を形成する。次いで図9(g)に示すように、非回路部5および高反射面を覆っている残存した不要なめっき下地導電膜3を過硫酸アンモニアによるソフトエッチングで除去する。
【0031】
以上の方法により、反射率の高い面7を有する立体回路基板1(MID基板)を製造することができ、この高反射面に発光素子21(例えばLED素子)を実装することより、高輝度化を実現できる。
【0032】
図10は、高反射面を有する立体回路基板1の他例を示している。この高反射面を有する立体回路基板1を製造するにあたっては、樹脂基板の表面にAlやAgの高反射膜11を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらに絶縁保護膜12を被覆し、その上にめっき下地導電膜3となるCuを真空蒸着、スパッタリング法により形成し、めっき下地導電膜3の吸収の良いレーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするものである。その一例を図11に示す。ここでは、前記図9(a),(b)と同様、図11(a)に示す射出成形により三次元形状の樹脂基板の形成、図11(b)に示すAl膜からなる高反射膜11を形成する。本例では、高反射膜11の上に図11(c)に示すように、絶縁保護膜12としてSiO2をCVD法により形成し、高反射膜11を被覆する。その上から図11(d)に示すように、めっき下地導電膜3としてCu膜をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により形成する。次いで、前記図9(d)と同様、図11(e)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭を除去する。次いで、前記図9(e)(f)と同様、図11(f)に示す回路部4の形成、図11(g)に示す不要なめっき下地導電膜3の除去を行う。
【0033】
以上の方法により、高反射面を有する立体回路基板1(MID基板)を製造することができ、この高反射面に発光素子21(例えばLED素子)を実装することより、高輝度化を実現できる。しかも、高反射面はSiO 2 の絶縁保護膜12で被覆されているので、耐候性に優れたものとなる。
【0034】
図12は、高反射面を有する立体回路基板1の更に他例を示している。この高反射面を有する立体回路基板1を製造するにあたっては、反射率の高い金属材料として例えばAlやAgを用い、これを加工するなどして三次元形状の基板を形成し、さらに絶縁保護膜12を被覆し、その上からめっき下地導電膜3となるCuを真空蒸着、スパッタリング法により形成し、めっき下地導電膜3の吸収の良いレーザを用いて回路部4の輪郭を除去し、不要な絶縁保護膜12を酸でエッチングを行い、回路部4を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜3をエッチングするものである。その一例を図11に示す。本例では、前記図11(a)と同様にして、図13(a)に示す三次元形状の基板を形成する。次いで図13(b)に示すように、基板表面に絶縁性保護膜12としてSiO2をCVD法により形成する。さらに図13(c)に示すように、導電性のめっき下地導電膜3としてCu膜をDCスパッタリングあるいはRFスパッタリング法により表面に形成する。次いで、図13(d)に示すレーザBによるパターニングにより回路部4の輪郭を除去する。ここでは、めっき下地導電膜3の表面にレーザの電磁波を照射して電磁波を照射した部分のめっき下地導電膜3を除去する。このレーザ加工は前記図11(e)と同様な方法で行う。次いで、図13(e)に示すように、不要な絶縁保護膜12を酸エッチングにより除去し、次いで図13(f)に示すように、回路部4となる領域に給電を行い、電気鋼めっき、電気ニッケルめっき、電気金めっきを行って、Cu、Ni、Auからなる所定厚の金属膜により回路部4を形成する。次いで図13(g)に示すように、非回路部5および高反射面を覆っている残存した不要なめっき下地導電膜3をソフトエッチングで除去する。
【0035】
以上の方法により、高反射面を有する立体回路基板1(MID基板)を製造することができ、この高反射面に発光素子21(例えばLED素子)を実装することより、高輝度化を実現できる。しかも、高反射面はSiO 2 の絶縁保護膜12で被覆されているので、耐候性に優れたものとなり、さらに基板が金属製なので耐熱性に優れたものとなる。
【0036】
【発明の効果】
上記のように本発明のうち請求項1の発明は、光学機能としてレンズ機能、又は光学フィルター機能、又は高反射機能、又はこれらの複合機能を有し、且つこれらが組み込まれた一体型の立体回路基板の製造方法であって、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、立体基板の表面にレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料のいずれかを形成し、その上にCVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要なめっき下地導電膜及びレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料を除去するものであるから、レンズやフィルターの実装工程を省いて製造工程の簡略化を図ることができると共に、光学デバイスと電子デバイスの一体化を容易に実現できるものである。しかも、レンズ一体型立体基板の表面にレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料のいずれかを形成し、その上にめっき下地導電膜を形成したので、レーザを用いてめっき下地導電膜の回路部の輪郭を除去するときに、めっき下地導電膜の下層に高反射膜である金属膜或いは塗料等が存在するとレーザ光がそこで反射し、立体基板がダメージを受けるのが避けられる。従って、立体基板がダメージを受けることなく容易にレーザによるパターニングを行うことができる。
【0037】
また請求項2の発明は、請求項1の効果に加えて、レンズ一体型の立体基板の表面に、レーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その上からレーザの吸収の良い下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜をエッチングするものであるから、立体基板にレンズが一体化されていることでレンズの実装工程を省略でき、製造工程を簡略化でき、しかもめっき下地導電膜の下にはレーザの反射しやすい金属膜を被覆してあるので、基材がダメージを受けることなく容易にレンズ機能を有する立体回路基板を製造することができる。
【0038】
また請求項3の発明は、請求項1の効果に加えて、レンズ一体型の立体基板の表面に、レーザの反射しやすい塗料をスピンコート、ディッピングによりコートし、その上からレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい塗料を除去するものであるから、立体基板にレンズが一体化されていることでレンズの実装工程を省略でき、製造工程を簡略化でき、しかもめっき下地導電膜の下にはレーザの反射しやすい塗料をコートしてあるので、基材がダメージを受けることなく容易にレンズ機能を有する立体回路基板を製造することができる。
【0039】
また請求項4の発明は、請求項1の効果に加えて、透明樹脂からなる立体基板の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜を除去するものであるから、光学フィルターの実装が不要となり、光学フィルター機能を有する立体回路基板の製造工程を簡略化できる。
【0040】
また請求項5の発明は、請求項1の効果に加えて、レンズ一体型の立体基板の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜を除去するものであるから、レンズ及び光学フィルターの実装が不要となり、光学フィルター機能とレンズ機能を有する立体回路基板の製造工程を簡略化できる。
【0041】
また請求項6の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板の表面にレーザの反射しやすいAlやAgの高反射膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、不要な高反射膜を酸でエッチングを行い、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングするものであるから、高反射膜によって立体回路基板の高輝度化を図ることができる。
【0042】
また請求項7の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板の表面にレーザの反射しやすいAlやAgの高反射膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらに絶縁保護膜を被覆し、その上にレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングするものであるから、樹脂製の立体基板の表面に形成された高反射膜を絶縁保護膜で被覆することで、高反射面を有する立体回路基板の耐候性を向上させることができる。
【0043】
また請求項8の発明は、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レー ザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、反射率の高い金属材料からなる立体基板の表面に絶縁保護膜を被覆し、さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、不要な絶縁保護膜を酸でエッチングを行い、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングするものであるから、金属材料からなる立体基板を反射率の高い材料を加工して形成し、その表面を絶縁保護膜で被覆することで、高反射面を有する立体回路基板の耐熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示し、レンズ機能を有する立体回路基板の一例の断面図である。
【図2】 (a)〜(h)は同上の製造工程図である。
【図3】 (a)〜(g)は他例の製造工程図である。
【図4】 光学フィルター機能を有する立体回路基板の一例の断面図である。
【図5】 (a)〜(i)は同上の製造工程図である。
【図6】 レンズ機能と光学フィルター機能とを有する立体回路基板の一例の断面図である。
【図7】 (a)〜(i)は同上の製造工程図である。
【図8】 高反射面を有する立体回路基板の一例の断面図である。
【図9】 (a)〜(g)は同上の製造工程図である。
【図10】 高反射面を有する立体回路基板の他例の断面図である。
【図11】 (a)〜(g)は同上の製造工程図である。
【図12】 高反射面を有する立体回路基板の更に他例の断面図である。
【図13】 (a)〜(g)は同上の製造工程図である。
【図14】 本発明の他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 立体回路基板
2 立体基板
3 めっき下地導電膜
4 回路部
6 光学フィルター膜
7 反射率の高い面
8 金属膜
9 塗料
10 金属膜
11 高反射膜
12 絶縁保護膜
Claims (8)
- 光学機能としてレンズ機能、又は光学フィルター機能、又は高反射機能、又はこれらの複合機能を有し、且つこれらが組み込まれた一体型の立体回路基板の製造方法であって、樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、立体基板の表面にレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料のいずれかを形成し、その上にCVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要なめっき下地導電膜及びレーザの反射しやすい金属膜或いは塗料を除去することを特徴とする光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- レンズ一体型の立体基板の表面に、レーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その上からレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜をエッチングすることを特徴とする請求項1記載の光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- レンズ一体型の立体基板の表面に、レーザの反射しやすい塗料をスピンコート、ディッピングによりコートし、その上からレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい塗料を除去することを特徴とする請求項1記載の光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- 透明樹脂からなる立体基板の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜を除去することを特徴とする請求項1記載の光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- レンズ一体型の立体基板の表面片面に、赤外線フィルター膜の光学フィルター膜を真空蒸着、スパッタリング、CVD法で形成し、その上からレーザの反射しやすい金属膜を真空蒸着、スパッタリング法で形成し、 さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、除去されなかったレーザの反射しやすい金属膜をエッチングし、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングし、その後レーザの反射しやすい金属膜を除去することを特徴とする請求項1記載の光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- 樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板の表面にAlやAgからなる高反射膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらにレーザの吸収の良 いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、不要な高反射膜を酸でエッチングを行い、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングすることを特徴とする光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- 樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、樹脂からなる立体基板の表面にAlやAgからなる高反射膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、さらに絶縁保護膜を被覆し、その上にレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングすることを特徴とする光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
- 樹脂を射出成形して光学機能のための光学形状を含む立体基板を形成し、CVD、PVDの薄膜形成技術によりめっき下地導電膜を形成し、その後レーザ加工により回路部の輪郭除去によりパターニングを行い、電気めっきで必要な回路部の厚づけを行った後に、エッチングで不要な膜を除去する方法において、反射率の高い金属材料からなる立体基板の表面に絶縁保護膜を被覆し、さらにレーザの吸収の良いめっき下地導電膜を構成する金属膜を真空蒸着、スパッタリング法により形成し、その後レーザを用いて回路部の輪郭を除去し、不要な絶縁保護膜を酸でエッチングを行い、回路部を電気めっきした後、不要なめっき下地導電膜をエッチングすることを特徴とする光学機能を有する立体回路基板の製造方法。
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