JP3738290B2 - 人工衛星結合機構、それを有した宇宙機及び制御方法 - Google Patents

人工衛星結合機構、それを有した宇宙機及び制御方法 Download PDF

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    • B64G1/22Parts of, or equipment specially adapted for fitting in or to, cosmonautic vehicles
    • B64G1/64Systems for coupling or separating cosmonautic vehicles or parts thereof, e.g. docking arrangements
    • B64G1/646Docking or rendezvous systems

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、例えば、軌道上の人工衛星にランデブ・ドッキングして当該人工衛星のメンテナンスを行なう宇宙機の結合機構(ドッキング機構)に関し、特に、過去に打ち上げられているドッキング専用の被結合部を有しない非協力人工衛星に対しても適用可能な人工衛星結合機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工衛星軌道の過密化が問題になりつつあることから、既に軌道上にある人工衛星(ターゲット衛星)にランデブ・ドッキング(RVD:Rendezvous Docking)し、当該ターゲット衛星をメンテナンス(機器交換,推薬補給,組立保守修理,軌道変換等)してその運用期間の延長を図ったり、又は当該ターゲット衛星を軌道外へ廃棄したりする人工衛星、所謂「サービス衛星(チェイサとも呼ばれる)」の実現が望まれている。
【0003】
そこで、本願出願人らは、1997年に打ち上げられた技術試験衛星VII型(ETS-VII:Engineering Test Satellite - VII)、所謂きく7号に搭載された人口衛星結合機構(ドッキング機構)及び近傍センサ(PXS: Proximity Sensor)の開発を担い、軌道上での無人宇宙機同士による自動ランデブ・ドッキング技術の中核をなすコンポーネントの開発に成功した。
【0004】
図28乃至図30は、ETS-VIIに係る従来のランデブ・ドッキング機構を示し、図28には、専用ハンドルを具備するターゲット衛星を示し、図29には、この専用ハンドルを介してターゲット衛星を捕獲・結合するための人工衛星結合機構を示し、また、図30には、ターゲット衛星の専用ハンドルをサービス衛星の人工衛星結合機構が捕獲した状態をそれぞれ示している(特許文献1参照)。
【0005】
図28に示すターゲット衛星9は、予め特定のサービス衛星とのランデブ・ドッキングを想定して製作された種類のものであり、そのドッキング側の面に3基の専用ハンドル90,90…を備えている。各々の専用ハンドル90は、前記ドッキング側の面に取り付けられた長方形板状の基台92と、該基台92の長手方向両端部からそれぞれ略垂直に延設された延長部93,93と、これら延長部93,93の先端部間に架け渡されたハンドルバー91とを備えている。
【0006】
ターゲット衛星9は、このような専用ハンドル90を3基、前記ドッキング側の面上の所定円に沿って120°ごとに等配してなり、各専用ハンドル90のハンドルバー91は、前記所定円の半径方向に沿って配置されている。
【0007】
一方、図29に示すサービス衛星8は、前記専用ハンドル90の形状に応じて製作された3基の人工衛星結合機構80,80…をそのドッキング側の面上であって、上記3基の専用ハンドル90,90…に対応する位置(即ち、上記所定円に沿って120°ごとに等配)にそれぞれ備えている。
【0008】
各々の人工衛星結合機構80は、鉤爪状に形成された2本のアーム部材81,81を備えている。これらのアーム部材81,81は、鉤爪側を互いに対向し、且つ、その基端を上記所定円の接線方向に沿って適長離隔され、該所定円の略径方向に沿って互いに平行に配置された揺動軸(図示せず)により、揺動自在に設けられている。
【0009】
また、2本のアーム部材81,81の基端部間の位置からは、V字状に延びたガイド部材82が設けられている。該ガイド部材82は、その各先端部を、対応する側のアーム部材81の中間部に向かって延設されている。ここで、ガイド部材82は、アーム部材81の揺動動作に干渉しないように、揺動軸方向に互いに適長オフセットして配置されている2本のアーム部材81,81の揺動軸方向の中間位置に配置されている。
【0010】
従来の人工衛星結合機構80は以上のように構成されており、スクリュウジャッキ等のアクチュエータにより、図30に示すように、アーム部材81,81が互いに交差するように開じられつつ、各アーム部材81を、ターゲット衛星9のハンドルバー91と基台92との間の空間にそれぞれ対向する方向から挿入することによって、ターゲット衛星9の専用ハンドル90を逃がさないように捕獲する。
【0011】
さらに、アーム部材81,81を開じることにより、ターゲット衛星9のハンドルバー91は、2本のアーム部材81,81とV字状のガイド部材82とで囲まれる空間内に拘束され、最終的にV字状のガイド部材82の中央部に固定され、結合が完了する。
【0012】
その他、予め特定のサービス衛星とのランデブ・ドッキングを想定して製作された種類のドッキング専用の構造としては、グラップルフィクスチャ等があり、該グラップルフィクスチャ用の人工衛星結合機構は、本願出願人らの特許文献2及び3に開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平3-118299号公報
【特許文献2】
特開平5-238499号公報
【特許文献3】
特開平6-206600号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の如き従来の人工衛星結合機構にあっては、対象となるターゲット衛星が専用構造を有していることが前提となっているところ、既に衛星軌道上に打ち上げられている過去のターゲット衛星には、このような専用構造が備えられていないことから、これら過去のターゲット衛星(所謂、非協力ターゲット衛星(Non-cooperative Satellite))の多くに結合することは実質的に不可能である。
【0015】
また、ETS-VIIに係る従来の人工衛星結合機構では、2本のアーム部材81,81によりターゲット衛星9のハンドルバー91を非接触にて捕獲する構成であるため、専用構造を有したターゲット衛星9に対しては、捕獲の際に必要なアクチュエータトルクも小さいものでよく、また、ターゲット衛星9に大きな加速度を与えることなく捕獲を達成することが可能であることから、捕獲に失敗する可能性が非常に小さいという利点がある。
【0016】
一方、専用構造を有していないターゲット衛星9に対しては、非接触での捕獲ができないため、必要なアクチュエータトルクが大となり、捕獲時に直ちに剛な把持を試みた場合には、接触したときターゲット衛星9に大きな加速度を与えることになることから、ターゲット衛星9を弾き飛ばしてしまい、捕獲ができない虞がある。また、捕獲時に、ハンドルバー91が、2本のアーム部材81,81とV字状のガイド部材82とで囲まれる空間内で浮遊し、完全に結合するまでターゲット衛星9の姿勢が安定しないという問題もある。
【0017】
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ターゲット衛星たる多くの人工衛星が共通構造として有する例えばPAF I/F(Payload Attach Fitting Interface)のような筒状フレーム構造を挟持してターゲット衛星の捕獲・結合を行なうことによって、過去に打ち上げられた非協力ターゲット衛星に対してもランデブ・ドッキングを有効に行なうことができる人工衛星結合機構、それを有した宇宙機及び制御方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係る人工衛星結合機構は、宇宙機をターゲット衛星の被結合部に結合すべく、前記宇宙機に設けられる人工衛星結合機構において、前記ターゲット衛星が有するPAF I/Fを前記被結合部としてこれを挟持する手段を備えることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、宇宙機は、従来のようにドッキング対象となる人工衛星(即ち、ターゲット衛星)の専用ハンドル等のドッキング専用構造を対象とするのではなく、多くの人工衛星が共通構造として有するPAF I/Fを被結合部として結合するので、過去に打ち上げられたこのような非協力ターゲット衛星とのランデブ・ドッキングが可能となる。
【0020】
また、上記発明において、人工衛星結合機構は、従来のETS-VIIに係る人工衛星結合機構のように被接触でターゲット衛星の被結合部を捕獲するのではなく、被結合部としてのPAF I/Fを挟持する構成としてあるので、挟持した際のターゲット衛星の姿勢も安定するという利点がある。
【0021】
また、上記発明において、PAF I/Fは、ターゲット衛星の打ち上げ母船との連結のための筒状をなしたフレーム構造であり、通常、このような筒状フレーム構造は、人工衛星が共通構造としてその外表面に有している。この筒状フレーム構造は、特に、ランデブ・ドッキングに際しては、ドッキング対象部位となるため、被結合部とするには好適であるという利点もある。
【0022】
PAF I/Fとしては、代表的な種類として、マルマンクランプタイプがあるが、このマルマンクランプタイプのPAF I/Fは、打ち上げ母船との連結条件からその形状が或る程度決まっており、さらに、強度的にも捕獲・結合には十分な構造となっている。
【0023】
また、本願発明に係る人工衛星結合機構は、宇宙機をターゲット衛星の被結合部に結合すべく、前記宇宙機に設けられる人工衛星結合機構であって、少なくとも円周方向内方又は外方に突出部が周設された筒状フレーム構造を有するターゲット衛星との結合面から突出し、互いに略平行な軸回りの揺動自在に設けられ、少なくとも一方が先端部を鉤状に形成された一対のアーム部材と、該一対のアーム部材の揺動軸を支持し、前記一対のアーム部材の先端部を前記結合面側に引き込むように、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させる引き込み機構とを備え、前記一対のアーム部材の一方を前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する一方、鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の突出部に係合させるように、前記一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、これら一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持して前記ターゲット衛星を捕獲し、前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてあることを特徴とする。
【0024】
上記発明によれば、宇宙機は、従来のようにドッキング対象となる人工衛星(即ち、ターゲット衛星)の専用ハンドル等のドッキング専用構造を対象とするのではなく、多くのターゲット衛星たる人工衛星が共通構造として有する筒状フレーム構造を被結合部として結合するので、過去に打ち上げられたこのような非協力ターゲット衛星とのランデブ・ドッキングが可能となる。
【0025】
また、上記発明において、人工衛星結合機構は、従来のETS-VIIに係る人工衛星結合機構のように被接触でターゲット衛星の被結合部を捕獲するのではなく、被結合部としての筒状フレーム構造を挟持する構成としてあるので、挟持した際のターゲット衛星の姿勢も安定するという利点がある。
【0026】
また、上記発明において、筒状フレーム構造としては、例えば、ターゲット衛星の打ち上げ母船との連結のための筒状をなしたフレーム構造(例えば、PAF I/F)であり、通常、このような筒状フレーム構造は、人工衛星が共通構造としてその外表面に有している。この筒状フレーム構造は、特に、ランデブ・ドッキングに際しては、ドッキング対象部位となるため、被結合部とするには好適であるという利点もある。
【0027】
上記のPAF I/Fとしては、代表的な種類として、マルマンクランプタイプがあるが、このマルマンクランプタイプのPAF I/Fは、打ち上げ母船との連結条件からその形状が或る程度決まっており、強度的にも捕獲・結合には十分な構造となっている。
【0028】
特に、マルマンクランプタイプのPAF I/Fは、基本的に円筒形で、その端面内外周に沿って突出部が周設されている。本願発明においては、このような突出部を積極的に利用して捕獲・結合できるように構成してある。しかしながら、本願発明においては、対象をPAF I/Fに限定するものではなく、少なくとも円周方向内方又は外方に突出部が周設された筒状のフレーム構造であればよい。
【0029】
また、上記発明においては、筒状フレーム構造を、少なくとも一方が先端部を鉤状に形成された一対のアーム部材(好ましくは、その先端部)で挟持する構成となっており、これらのアーム部材は、前記筒状フレーム構造を有するターゲット衛星との結合面から突出し、互いに略平行な軸回りの揺動自在に設けられている。
【0030】
これらアーム部材は、引き込み機構により揺動軸を支持されており、該引き込み機構の作動により、アーム部材の先端部を上記結合面側に引き込むように、揺動軸を一対のアーム部材と共に移動させるように構成されている。
【0031】
このような構成により、一対のアーム部材の一方をターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する一方、鉤状に形成された方のアーム部材を筒状フレーム構造の突出部に係合させるように、一対のアーム部材を互いに対向する方向(即ち、一対のアーム部材を閉じる方向)へ揺動させることにより、これら一対のアーム部材で筒状フレーム構造を挟持してターゲット衛星を捕獲する。なお、ここでいう、筒状フレーム構造の内側の挿入するアーム部材と、筒状フレーム構造の突出部に係合させるアーム部材とは、同一のアーム部材であってもよい。
【0032】
そして、一対のアーム部材で筒状フレーム構造を挟持した状態で、引き込み機構を駆動することにより、一対のアーム部材ごと筒状フレーム構造を引き付け、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けてターゲット衛星との結合をする。
【0033】
このように、上記発明は、一対のアーム部材で筒状フレーム構造を厚み方向に挟持する構成、即ち接触式としてあるため、アーム部材の筒状フレーム部材との接触部(好ましくは、アーム部材の先端部)に、アーム部材の揺動軸に略平行な回転軸を有したローラを設けることが望ましい。
【0034】
このような構成とすることにより、アーム部材の筒状フレーム構造との接触位置は、如何なる場所であろうとも、筒状フレーム構造の突出部よりも奥側である限り、アーム部材が引き込み機構により引き込まれたときに、筒状フレーム構造の内周面及び/又は外周面を転動し、突出部に係合することになる。これによって、一旦捕獲した筒状フレーム構造を逃がすことなく、引き込み機構の作動により、筒状フレーム構造を介してサービス衛星を人工衛星結合機構の結合面に引き付けることが可能となるのである。
【0035】
以上のようなアーム部材の引き込み動作を達成するために、上記引き込み機構としては、例えば、スクリュウジャッキ,ボールねじ機構等を採用することが可能である。
【0036】
上記発明においては、ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の筒状フレーム構造に対する接触位置と、他方のアーム部材の筒状フレーム構造に対する接触位置との人工衛星結合機構の結合面からのそれぞれの距離を異ならせることにより、換言すれば、ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の筒状フレーム構造との接触位置とを、筒状フレーム構造の軸方向に異ならせることにより、一対のアーム部材で筒状フレーム構造を両面から所定の力で挟持したときに、筒状フレーム構造を介してターゲット衛星に回転モーメントを付与することができ、人工衛星結合機構の結合面に対してターゲット衛星の筒状フレーム構造が正対していない場合であっても、強制的に正対させることが可能である。
【0037】
また、上記発明においては、ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の筒状フレーム構造との接触位置を2箇所、他方のアーム部材の筒状フレーム構造との接触位置を1箇所とし、前者の2箇所の接触位置をアーム部材の揺動軸方向に離隔させ、後者の接触位置を前者の2箇所の接触位置の間の位置とすることにより、筒状フレーム構造に外側から接触するアーム部材の接触部は、実質的に筒状フレーム構造の円周方向の異なる2箇所の位置を押すことになり、他方、筒状フレーム構造に内側から接触するアーム部材の接触部は、これら外側から押している位置の間の位置(好ましくは、中間位置)を逆側から押すことになり、筒状フレーム構造の中心位置を所定位置に位置決めすることができる。
【0038】
ここで、所定位置とは、例えば、筒状フレーム構造を外側から押している2箇所の位置の中間位置を内側から押している構成とした場合には、外側の2箇所の接触位置を結ぶ線分を接線と平行な線とし、且つ、前記線分の垂直2等分線上に、端面が円形をなした筒状フレーム構造の中心軸を持ってくることができる。筒状フレーム構造のサイズ等は、サービス衛星たる宇宙機の打ち上げ前に予め知ることができるため、ターゲット衛星との結合面の中心位置をどこに持ってくるかを決めることにより、この人工衛星結合機構の宇宙機への設置位置も容易に定まる。
【0039】
上記発明においては、人工衛星結合機構の結合面は、一対のアーム部材に挟まれた領域内の何れかに位置に設定することができるが、この結合面に相当する位置に緩衝プレートを設け、該緩衝プレートを引き込み機構の引き込み方向とは逆方向へ付勢することにより、筒状フレーム構造の端面が結合面に当接する際の衝撃を緩和させることができる。この場合、引き込み機構の引き込み方向とは逆方向の緩衝プレートの面が上記結合面を規定することになる。
【0040】
また、上記発明においては、アーム部材の中途に、該アーム部材の揺動軸に沿って延びた緩衝プレート引き付け部を設け、該緩衝プレート引き付け部により、アーム部材が引き込まれた位置にあるときに、緩衝プレート付勢手段に抗して緩衝プレートを引き込み機構の引き込み方向へ押圧することによって引き込むように構成することにより、宇宙機の打ち上げの際等に、一対のアーム部材を閉じた状態としておくことで緩衝プレートを固定した状態とすることができ、緩衝プレートの振動等を抑えることができる。
【0041】
上記一対のアーム部材を閉じる機構、即ち一対のアーム部材を互いに対向する方向に揺動させる機構の1つとしては、例えば、次のようなものである。
【0042】
第1の実施の形態に示すような第1の機構は、一対のアーム部材を開く方向、即ち一対のアーム部材を互いに離反する方向へアーム部材付勢手段により付勢し、このアーム部材付勢手段による一対のアーム部材の開動作を規制するように揺動規制手段を固定する構成としてある。
【0043】
そして、上記引き込み機構を作動することにより、揺動規制手段のアーム部材への当接位置が該アーム部材の先端方向へ移動し、結果としてアーム部材を閉じる方向へ動作させる。勿論、引き込み機構を逆方向に作動することにより、アーム部材を開く方向へ動作させることも可能である。
【0044】
上記第1の機構を有する場合には、例えば、一対のアーム部材の少なくとも一方に、ターゲット衛星の筒状フレーム構造との略接触方向に移動自在とされ、該筒状フレーム構造と接触する接触部を設け、該接触部を、接触部付勢手段により筒状フレーム構造との略接触方向に付勢する構成とすることにより、一対のアーム部材は、筒状フレーム構造を柔に挟持することができ、このように柔に挟持することにより、ターゲット衛星に大きな加速度を与えることなく捕獲することが可能となり、且つ、捕獲の際に必要なアクチュエータトルクも小さいもので済む。さらに、ターゲット衛星の筒状フレーム構造とのミスアラインメントがある場合であっても、このような構成により、筒状フレーム構造の突出部に接触部先端が追従動作して(コンプライアンス機能)筒状フレーム構造を取り逃がすことなく確実に捕獲することが可能である。
【0045】
このような直動式の接触部は、両方のアーム部材に設けることが望ましいが、この場合には、例えば、両方の接触部の付勢力を一致させることにより、両側のアーム部材間の中央位置に筒状アーム部材の挟持位置を位置決めすることができる。
【0046】
上記第1の機構を使用したアーム部材の開動作において、特に、一度筒状フレーム構造と結合した後のアーム部材の開動作にあっては、開くアーム部材に筒状フレーム構造が接触しないように、上記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向に真直ぐに筒状フレーム構造を結合面から分離させることが望ましい。
【0047】
そこで、一対のアーム部材の少なくとも一方に、アーム部材の開動作に連動して筒状フレーム構造を結合面から分離させるラッチ部材を設けることが可能である。このようなラッチ部材は、例えば、設置されたのと反対側のアーム部材に対向する側のアーム部材の面に設けられ、前記引き込み機構の引き込み方向とは略逆方向に向いた押し出し面を設けられる。該押し出し面は、アーム部材が引き込まれた位置にあるときに、筒状フレーム構造の端面よりも引き込み方向の位置にあるようにされる。
【0048】
このようなラッチ部材の構成により、前記引き込み機構の押し出し動作に応じて、アーム部材に取り付けられたラッチ部材の押し出し面の結合面からの距離が変わり、アーム部材の開動作に応じて筒状フレーム構造を押し、結合面から分離させることが可能である。
【0049】
また、上記ラッチ部材を、これが取り付けられたアーム部材の略先端部方向に延びるように、該アーム部材の中途に揺動自在に設け、他方のアーム部材の側に付勢する構成とすることにより、上述した如き分離動作をさせるために、筒状フレーム構造の端面に押し出し面を当接させることが容易となる。
【0050】
なお、実際の運用にあっては、例えば、ボールねじ機構等を具備する引き込み機構のアクチュエータ(例えば、電動モータ)が故障したり、該アクチュエータへの電力の供給ができなくなったりすることが考えられることから、非常時に、アーム部材を強制的に開き、筒状フレーム構造との係合を解除することが必要になる。
【0051】
そこで、第1の機構においては、一対のアーム部材が開く方向に付勢されているため、揺動規制手段によるアーム部材の揺動規制を解除することにより比較的容易に非常時の分離が達成できる。
【0052】
具体的な構成としては、例えば、揺動規制手段に、アーム部材の揺動軸と略平行に延びた棒状部材を具備させ、該棒状部材を、揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する側の面に当接させることによって、前記揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への移動を規制する。この棒状部材の移動の規制は、該棒状部材を支持する支持手段によりなされる。
【0053】
このような構成の揺動規制手段において、支持手段による棒状部材の支持を解放することにより、該棒状部材が揺動を規制しているアーム部材を開放するように構成する。
【0054】
また、上記支持手段は、例えば、棒状部材の一端を引き込み機構の引き込み方向に沿った軸回りの揺動自在に支持する棒状部材支持手段と、両方の棒状部材の他端を結合するワイヤと、該ワイヤを切断するワイヤ切断手段とを具備することも可能である。このような構成により、ワイヤを切断するだけで、アーム部材の開放が可能となる。
【0055】
さらに、上記ワイヤ切断手段は、前記ワイヤの延設方向に交叉する方向への移動自在に設けられ、その刃部を前記ワイヤに臨んで設けられたカッタと、該カッタを爆発力により前記ワイヤに向かって推進する火工品とを具備することも可能である。このような構成により、火工品を起爆させるだけの機能を備えていれば、非常時であっても、アーム部材の開放が可能となる。
【0056】
第2の実施の形態に示すような第2の機構は、一対のアーム部材を閉じる方向、即ち一対のアーム部材を互いに対向する方向へアーム部材付勢手段により付勢する。そして、これら一対のアーム部材の互いに離反する側の面に臨むように揺動強制手段を固定する構成としてある。この場合、一対のアーム部材は閉じる方向へ付勢されているため、上記揺動強制手段は、一対のアーム部材の互いに離反する側の面に当接してあってもよい。
【0057】
さらに、上記一対のアーム部材は、互いに離反する側の面から突出し、揺動強制手段よりも結合面側に設けられた突出部を備えているので、引き込み機構の押し出し動作に応じて、揺動強制手段が、アーム部材の突出部を引き込み機構の引き込み方向へ押すことになり、一対のアーム部材を開く方向、即ち一対のアーム部材を互いに離反する方向へ強制的に揺動させることができる。
【0058】
上記第2の機構を有する場合には、アーム部材自体が閉じる方向へ付勢されており、自体が揺動式のコンプライアンス機能を有しているため、第1の機構にあるような直動式のコンプライアンス機能は不要である。ただし、第2の機構のアーム部材付勢手段は、筒状フレーム構造に対する押圧力が両方のアーム部材で略同一となるようにすることは、第1の機構と思想は同様である。この揺動式のコンプライアンス機能もまた、筒状フレーム構造を柔に挟持するので、ターゲット衛星に大きな加速度を与えることなく捕獲することを可能とし、且つ、捕獲の際に必要なアクチュエータトルクも小さいもので済む。さらに、ターゲット衛星の筒状フレーム構造とのミスアラインメントがある場合であっても、この機能により、筒状フレーム構造の突出部に接触部先端が追従動作して筒状フレーム構造を取り逃がすことなく確実に捕獲することが可能である。
【0059】
また、この第2の機構においても、上記第1の機構と同様、一度筒状フレーム構造と結合した後で、開くアーム部材に筒状フレーム構造が接触しないように、上記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向に真直ぐに筒状フレーム構造を結合面から分離させるためのラッチ部材を設けることが可能である。
【0060】
第2の機構におけるラッチ部材は、一対のアーム部材の少なくとも一方に設けられ、該ラッチ部材には、例えば、他方のアーム部材に対向する側のアーム部材の面に設けられ、前記引き込み機構の引き込み方向とは略逆方向に向いた押し出し面が設けられる。該押し出し面は、アーム部材が引き込まれた位置にあるときに、筒状フレーム構造の端面よりも引き込み方向の位置にあるようにされる。
【0061】
このようなラッチ部材の構成により、前記引き込み機構の押し出し動作に応じて、アーム部材に取り付けられたラッチ部材の押し出し面の結合面からの距離が変わり、アーム部材の開動作に応じて筒状フレーム構造を押し、結合面から分離させることが可能である。
【0062】
また、上記ラッチ部材を、これが取り付けられたアーム部材の略先端部方向に延びるように、該アーム部材の中途に揺動自在に設け、他方のアーム部材の側に付勢する構成とすることにより、上述した如き分離動作をさせるために、筒状フレーム構造の端面に押し出し面を当接させることが可能となる。
【0063】
第2の機構における非常時のアーム部材の強制開放機構については次のように構成することが可能である。
【0064】
上記第1の機構においては、一対のアーム部材が開く方向に付勢されているため、揺動規制手段によるアーム部材の揺動規制を解除することにより比較的容易に非常時の分離が達成できるが、この第2の機構においては、一対のアーム部材が閉じる方向に付勢されているため、別の構成を採用している。
【0065】
具体的な構成としては、まず、例えば、少なくとも一方のアーム部材が具備する緩衝プレート引き付け部による上記緩衝プレートの押圧部を、一対のアーム部材が離反する方向且つ引き込み機構の引き込み方向にテーパ状に形成する。さらに、アーム部材が引き込まれた位置にあるときに、緩衝プレート付勢手段の付勢力によって、テーパ状に形成された押圧部から緩衝プレート引き付け部を介して受けるアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への揺動力に抗して、このアーム部材の揺動を規制するように上記揺動強制手段を構成しておく。
【0066】
このような構成により、揺動強制手段は、アーム部材が引き込まれた位置にあるときに、緩衝プレート付勢手段の付勢力によって開く方向へ付勢された状態にあるアーム部材の開く方向への揺動を規制する作用を有することになるため、後は、第1の機構における揺動規制手段の場合と同様、この揺動強制手段によるアーム部材の揺動の規制を解除させることにより、アーム部材の強制開放が実現できる。
【0067】
また、上記揺動強制手段に、アーム部材の揺動軸と略平行に延びた棒状部材を具備させ、該棒状部材を、揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する側の面に当接させることによって、前記揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への移動を規制する。この棒状部材の移動の規制は、該棒状部材を支持する支持手段によりなされる。
【0068】
このような構成の揺動強制手段において、支持手段による棒状部材の支持を解放することにより、該棒状部材が揺動を規制しているアーム部材を開放するように構成する。
【0069】
また、上記支持手段は、例えば、棒状部材の一端を引き込み機構の引き込み方向に沿った軸回りの揺動自在に支持する棒状部材支持手段と、両方の棒状部材の他端を結合するワイヤと、該ワイヤを切断するワイヤ切断手段とを具備することも可能である。このような構成により、ワイヤを切断するだけで、アーム部材の開放が可能となる。
【0070】
さらに、上記ワイヤ切断手段は、記ワイヤの延設方向に交叉する方向への移動自在に設けられ、その刃部を前記ワイヤに臨んで設けられたカッタと、該カッタを爆発力により前記ワイヤに向かって推進する火工品とを具備することも可能である。このような構成により、火工品を起爆させるだけの機能を備えていれば、非常時であっても、アーム部材の開放が可能となる。
【0071】
本願発明に係る人工衛星結合機構は、以上の如き構成であり、前述したようなサービス衛星等の人工衛星に限らず、宇宙空間に打ち上げられる各種の宇宙機の用途に用られ得る。
【0072】
本願発明に係る人工衛星結合機構を宇宙機に搭載する場合には、この宇宙機のドッキング側の面に、複数の人工衛星結合機構を設けることが望ましく、より好ましくは、3基の人工衛星結合機構を設ける。この場合には、3基の人工衛星結合機構を、上記ドッキング側の面における所定円周上に沿って120°おきに等配することにより、最も少ない人工衛星結合機構の個数で最もバランス良く、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(例えば、PAF I/F)を捕獲し、該筒状フレーム構造に結合できる構成とすることができる。
【0073】
このような人工衛星結合機構の配置により、宇宙機が、その結合面がターゲット衛星の筒状フレーム構造(例えば、PAF I/F)の端面に正対していない姿勢から該ターゲット衛星を捕獲するような場合には、筒状フレーム構造の端面に最も近い位置にある1基の人工衛星結合機構で筒状フレーム構造をまず捕獲し、捕獲した人工衛星結合機構により筒状フレーム構造に回転モーメントを加えて、筒状フレーム構造の端面に宇宙機の結合面を正対させ、その後で、残りの2基の人工衛星結合機構で筒状フレーム構造を捕獲するように、各人工衛星結合機構の閉じる動作をターゲット衛星との距離に応じて制御することが望ましい。
【0074】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係る人工衛星結合機構について、当該人工衛星結合機構を3基搭載した宇宙機としてのサービス衛星を例として添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0075】
(第1の実施の形態)
まず、後で詳述するサービス衛星1(図2及び図3参照)がドッキング対象とするターゲット衛星7について説明する。本実施の形態のターゲット衛星7は、例えば、図1に斜視図示すように、MLI(Multi Layer Insulator)で覆われた箱形の衛星本体7aと、サービス衛星1とのドッキング側の面(以後、「前面」と称す)に、ターゲット衛星7の打ち上げ母船との連結のために設けられた短寸筒状のPAF I/F 70と、該衛星本体7aの側方からそれぞれ突出する2つの太陽電池パドル71,71と、衛星本体7aの各部に露出して設けられた種々の補器類72とを備えている。また、PAF I/F 70の中央の位置には、アポジモータ等の略円錐形をなす噴射口73がその大径側を前方に向けて、衛星本体7aの前面から突出して設けられている。
【0076】
一方、本願発明の実施の形態に係るサービス衛星1は、その全体構成を図2(a)乃至(c)並びに図3(a)乃至(c)に概略図で示すように、全体として箱形をなす衛星本体1aを備え、該衛星本体1aは、そのドッキング側の面(以後、「前面」と称す)1bに3基の人工衛星結合機構10,10…を備えている。
【0077】
図2(a)乃至(c)並びに図3(a)乃至(c)に示すように、ターゲット衛星7として、該ターゲット衛星7が(1)3軸制御されている場合と、(2)スロースピンしている場合とに分けて、それぞれの運動形態に応じた捕獲・結合シーケンスを説明する。
【0078】
(1)まず、3軸姿勢制御されているターゲット衛星7の場合には、その運動は、姿勢変動で例えば約0.1deg、姿勢レ一トで約0.01deg/sのオーダーと推定される。このようなターゲット衛星7に対する捕獲・結合シーケンスは、図2(a)に示すように、ターゲット衛星7の前面に回り込んで正対した後で停止し、ターゲット衛星7のPAF I/F 70に対する位置/姿勢を推定する。
【0079】
その後、図2(b)に示すように、PAF I/F 70の前面から接近するように相対6自由度の制御を行ないながら、図において白抜矢符で示すように約数cm/s(相対距離レンジの約1%毎秒程度の距離変動)の速度を保ってターゲット衛星7に接近し、図2(c)に示すように、人工衛星結合機構10,10…を作動させてPAF I/F 70を介してターゲット衛星7を捕獲し、該ターゲット衛星7に結合する。
【0080】
(2)次に、スロースピンしているターゲット衛星7の場合には、その回転運動(図において矢符で示す)は、姿勢レートで約数deg/sのオーダーと推定される。この場合のターゲット衛星7の運動にはスピンだけではなく、タンブリングも含まれる。このようなターゲット衛星7に対する捕獲・結合シーケンスは、図3(a)に示すように、ターゲット最終接近点(VP点)で停止して、スピン軸やタンブリング運動を推定する必要がある。
【0081】
推定したスピン軸とタンブリング運動とに合わせて、捕獲実行時のPAF I/F 70の運動接線方向とタイミングとを決定して、図3(b)に示すように、接線方向から接線速度で接近し、図3(c)に示すように、理想的には相対速度が零になったときに、人工衛星結合機構10,10…を作動させてPAF I/F 70を介してターゲット衛星7を捕獲し、該ターゲット衛星に結合する。
【0082】
図4に示すように、本実施の形態に係るサービス衛星1は、その前面1bに3基の人工衛星結合機構10,10…を備え、該人工衛星結合機構10,10…は、ターゲット衛星7のPAF I/F 70の端面と同一の径の円上に120°おきに等配されている。
【0083】
図5に一部破断斜視図を示すように、各人工衛星結合機構10は、概略箱状の機構本体101を備え、該機構本体101の内部には、移動テーブル102が、2本のガイドバー102a,102aに案内されて、サービス衛星1の前後方向への移動自在に設けられている。移動テーブル102は、機構本体101内部に配設されたボールねじ機構103により移動され、該ボールねじ機構103は、機構本体101の後部に内蔵された減速機130を介して、機構本体101外部に配設されたアクチュエータ(例えば、電動モータ)104により駆動されるようになっている。
【0084】
移動テーブル102の対向する端部からは、それぞれ、アーム部材105,105が延びている。各アーム部材105は、移動テーブル102の移動方向に直交する軸回りの揺動自在に設けられ、その揺動軸105aに配設された捩じりバネ106により、他方のアーム部材105から離反する方向(図5において、一対のアーム部材105,105が相対的に開く方向)に付勢されている。
【0085】
これら一対のアーム部材105,105の揺動軸105a,105a間の方向は、3基の人工衛星結合機構10,10…が配設された円の半径方向に向けられており、これによって、互いに離隔した揺動軸105a,105a回りに揺動する一対のアーム部材105,105の開閉動作により、アーム部材105,105の先端部間にてPAF I/F 70を挟持するようになっている。
【0086】
機構本体101の前面近傍の側面の位置には、移動テーブル102が最も前進した位置にあるときに、最大に開いた状態のアーム部材105,105のそれぞれの基端部の外側の面(図5に示すように、アーム部材105,105が最大に開いた状態では、後方側の面)に当接する位置に棒状部材101a,101aが固定されている。なお、棒状部材101aは、アーム部材105と接する部分に図示しないローラを有していてもよい。
【0087】
3基の人工衛星結合機構10,10…が配設された円の半径方向内方のアーム部材(即ち、PAF I/F 70の内側に位置されるアーム部材であり、以後、「内側アーム部材」と称す)105の先端部には、該内側アーム部材105が閉じる方向に延びた1つのコンプライアンス機構107が設けられ、この内側アーム部材105と共に全体として鉤状に形成されている。
【0088】
一方、3基の人工衛星結合機構10,10…が配設された円の半径方向外方のアーム部材(即ち、PAF I/F 70の外側に位置されるアーム部材であり、以後、「外側アーム部材」と称す)105の先端部には、該外側アーム部材105が閉じる方向に延びた2つのコンプライアンス機構107が設けられ、この外側アーム部材105と共に全体として鉤状に形成されている。
【0089】
各コンプライアンス機構107は、アーム部材105の先端部に固定されたシリンダハウジング107aの内部に、ピストン部材108が入れ子式に挿入されている。該ピストン部材108は、シリンダハウジング107a内部に配設されたコイルバネ109により、シリンダハウジング107aから進出方向(より具体的には、一対のアーム部材105,105が互いに対向する方向)へ付勢されている。ピストン部材108の先端部には、アーム部材105の揺動軸105aと平行な回転軸110aを有するローラ110が設けられている。
【0090】
前述したように、本実施の形態においては、内側アーム部材105のコンプライアンス機構107は1つであるが、外側アーム部材105のコンプライアンス機構107は2つである。基本的に、各々のコンプライアンス機構107の構造は同一であるが、外側アーム部材105の2つのコンプライアンス機構107,107は、揺動軸105a方向に所定長離隔して配設されている。従って、内側アーム部材105のコンプライアンス機構107は、外側アーム部材105の2つのコンプライアンス機構107,107の中間に位置するようになっている。また、後でコンプライアンス機構107の作用は詳述するが、内側のコンプライアンス機構107のコイルバネ109のバネ定数は、外側のコンプライアンス機構107,107のコイルバネ109,109のバネ定数の約2倍に設定することが可能であり、これにより一対のアーム部材105,105のコンプライアンス機構107が相互にバランスするようになっている。
【0091】
機構本体101の前面には、該前面に沿って概略H字状をなしたダンパプレート111が設けられ、該ダンパプレート111は、機構本体101の前面との間に設けられた4つのコイルバネ112,112…により前方へ付勢されている。ダンパプレート111は、その中央部に開口111aを形成され、該開口111aに相当する機構本体101の前面の位置には、弾性体からなるプリロード受け113が設けられている。
【0092】
図5に一部断面図を示すように、PAF I/F 70は、一般に、その縦断面で、端面部分が内周及び外周にそれぞれ突出したリブ70a,70bを周設された形状をなしている。図5に示すPAF I/F 70は、内側リブ70aの方が外側リブ70bに対して長い、国内で最も代表的なタイプの1つであり、他のこのようなリブを周設されたPAF I/F又は他のこのようなリブを周設された筒状フレーム構造に対しても本実施の形態に係る人工衛星結合機構10を適用することが可能である。
【0093】
以上のような構成を備えた本実施の形態に係る人工衛星結合機構10の捕獲・結合動作について、図5乃至図7の一部破断斜視図、並びに図8(a)及び(b)の縦断面図、並びに図9(a)及び(b)の縦断面図を参照しながら次に説明する。
【0094】
図5及び図8(a)に示すように、人工衛星結合機構10は、アーム部材105,105が最も開いた状態で、最終的にPAF I/F 70の対応する位置に近付けられ、アクチュエータ104が作動される。アクチュエータ104の作動により、減速機130を介してボールねじ機構103が駆動され、ボールねじ機構103のボールねじ部に螺合する移動テーブル102がガイドバー102a,102aに案内されつつ後方へ引き込み移動される。
【0095】
移動テーブル102が後方へ引き込み移動されると、図8(b)に示すように、移動テーブル102にその揺動軸105a,105aを固定されたアーム部材105,105が、互いに離反する側の面に当接している棒状部材101a,101aにより、捩じりバネ106,106の付勢力に抗して棒状部材101a,101aにより閉じる方向へ揺動される。アーム部材105,105は、その先端部に設けられたコンプライアンス機構107,107…のローラ110,110…がそれぞれPAF I/F 70の内周面及び外周面に当接されるように閉じられ、PAF I/F 70を挟持し、捕獲する。このとき、各ローラ110は、PAF I/F 70のリブ70a,70bよりも奥側(PAF I/F 70の基端部寄り)まで達するようにされる。
【0096】
また、前述のように、外側アーム部材105は、2つのコンプライアンス機構107,107を備えてPAF I/F 70の外周面の周方向の2箇所に当接する一方、内側のアーム部材105は、その周方向の中間位置で1つのコンプライアンス機構107によりPAF I/F 70の内周面から当接するため、これらコンプライアンス機構107,107…の当接力(押圧力)により、PAF I/F 70の外側からの2箇所の当接位置を結ぶ線分を接線と平行な線とし、且つ、この線分の垂直2等分線上に、端面が円形をなすPAF I/F 70の中心軸を持ってくるように、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の姿勢を矯正することができる。
【0097】
更なるターゲット衛星7に対する姿勢強制機能として、一対のアーム部材105,105の長さ、より厳密には、一対のアーム部材105,105のPAF I/F 70に対する当接位置をPAF I/F 70の筒長(軸長)方向に異ならせることで、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の姿勢を矯正することができるようにしてある。
【0098】
本実施の形態においては、外側アーム部材105のローラ110,110をターゲット衛星7側のPAF I/F 70の位置に当接させ、内側アーム部材105のローラ110をサービス衛星1側のPAF I/F 70の位置に当接させているため、これら当接箇所の中間位置を中心とした回転モーメント(例えば、図8(b)において時計回りのモーメント)がターゲット衛星7に対して加えられる。
【0099】
さて、図8(b)の状態から、移動テーブル102が更に後方へ引き込み移動されると、図6に示すように、アーム部材105,105が更に閉じる方向へ揺動され、その先端部に設けられたコンプライアンス機構107,107…のローラ110,110…がそれぞれPAF I/F 70の内周面及び外周面により強く当接される。
【0100】
このとき、各コンプライアンス機構107は、当接方向への移動自在とされているため、当接力に応じてそのピストン部材108がローラ110と共にコイルバネ109に抗して後退し、これによって、コンプライアンス機構107は、アーム部材105が棒状部材101aにより剛にその揺動を拘束されているにも拘わらず、PAF I/F 70を柔に挟持することができる。
【0101】
更に移動テーブル102が後方へ引き込み移動されると、図9(a)に示すように、アーム部材105,105は、殆ど直立状態となり、コンプライアンス機構107,107…もピストン部材108,108…が最も後退した位置となる。
【0102】
このとき、一対のアーム部材105,105によるPAF I/F 70を挟持する力は最大であるが、PAF I/F 70の内周面及び外周面を転動可能なローラ110,110…を介して挟持しているため、内側アーム部材105のローラ110が、これよりも長い外側アーム部材105のローラ110,110よりも先にPAF I/F 70の内側リブ70aに内側から当接した位置で落ち着く。なお、ローラ110,110…の転動による当接位置の変化は、図8(b)と図9(a)とを比較することによってより明確となる。
【0103】
更に移動テーブル102が後方へ引き込み移動され、最も引き込まれた位置とされた場合には、図7及び図9(b)に示すように、アーム部材105,105は、直立状態を維持しながらそのまま引き込み方向へ移動され、PAF I/F 70の内側リブ70aに内側(ターゲット衛星7の衛星本体7aの前面に対向する側)から当接している内側アーム部材105により、PAF I/F 70ごと引き込む。
【0104】
そして、この引き込み移動により、PAF I/F 70の端面は、ダンパプレート111に突き当たった後で、コイルバネ112,112…の付勢力に抗してダンパプレート111を押し、弾性体からなるプリロード受け113に当接されて停止し、この状態で結合が完了する。
【0105】
このとき、結合の衝撃エネルギは、ダンパプレート111のコイルバネ112,112…によって緩衝され、最終的にプリロード受け113で吸収される。
【0106】
上述した例では、PAF I/F 70の厚み方向の中央位置がアーム部材105,105の中間位置(以後、「ノミナル位置」と称す)を通過する、所謂アラインメントされた状態での捕獲・結合について説明したが、本実施の形態に係る人工衛星結合機構10は、実際の運用において生じ得る図10(a)及び(c)に示すようなPAF I/F 70がミスアラインメントされた状態での捕獲・結合も可能となっている。
【0107】
例えば、図10(a)に示すように、外側アーム部材105寄りにPAF I/F 70が位置するような場合には、外側アーム部材105のコンプライアンス機構107,107のピストン部材108,108(図において左側、1つのみ図示)が後退した位置にある一方、内側アーム部材105のコンプライアンス機構107のピストン部材108(図において右側)が前進した位置にある。
【0108】
前述したように、コンプライアンス機構107のバネ力は全体として外側及び内側で同一となるように設定されているため、この場合には、後退している外側のピストン部材108,108がPAF I/F 70をノミナル位置に押し(白抜矢符方向)、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の位置を矯正する。
【0109】
一方、図10(c)に示すように、内側アーム部材105寄りにPAF I/F 70が位置するような場合には、内側アーム部材105のコンプライアンス機構107のピストン部材108(図面右側)が後退した位置にある一方、外側アーム部材105のコンプライアンス機構107,107のピストン部材108,108(図面左側、1つのみ図示)が前進した位置にある。
【0110】
上述したのと同様、コンプライアンス機構107のバネ力は全体として外側及び内側で同一となるように設定されているため、この場合には、後退している内側のピストン部材108がPAF I/F 70をノミナル位置に押し(白抜矢符方向)、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の位置を矯正する。
【0111】
結果として、上記の何れの方向にPAF I/F 70のミスアラインメントが生じた場合であっても、図10(b)に示すように、外側及び内側のコンプライアンス機構107,107…のバネ力がバランスするノミナル位置にPAF I/F 70は落ち着くことになる。
【0112】
このようなコンプライアンス機能は、図11に示すように、PAF I/F 70の縦断面においてその厚み方向の中心線と端面との交点(捕獲領域規定点)Pを基準とし、この捕獲領域規定点Pが、アーム部材105,105を閉じ始める時点で、直立状態となったときのアーム部材105,105の内側で、且つ、短い方の内側アーム部材105のローラ110の到達できる距離から規定される略矩形の領域(捕獲領域)A内にあれば、PAF I/F 70の一応の捕獲は可能であるが、例えば、捕獲の際に内側アーム部材105のローラ110がPAF I/F 70に干渉する虞がある。
【0113】
従って、捕獲領域規定点Pが、上記捕獲領域Aよりも狭い領域、例えば、長い方の内側リブ70aが直立状態の内側アーム部材105に接触せず、且つ、内側リブ70aが内側アーム部材105のローラ110よりもダンパプレート111寄りの捕獲領域B内にあれば、捕獲の際にアーム部材105のローラ110がPAF I/F 70に干渉することなく、PAF I/F 70の捕獲が可能となる。
【0114】
次に、本実施の形態に係る人工衛星結合機構10の分離動作について、図12(a)及び(b)、並びに図13(a)及び(b)の縦断面図を参照しながら説明する。
【0115】
本実施の形態に係る人工衛星結合機構10は、図12(a)にPAF I/F 70との結合状態を示すように、内側アーム部材105に分離用のラッチ部材120を備えている。
【0116】
該ラッチ部材120は、内側アーム部材105の中途において該アーム部材105の揺動軸105aと平行な揺動軸回りの揺動自在に支持され、内側アーム部材105の先端部方向に延設されている。ラッチ部材120は、延設方向先端部に押し出し面120aを備え、該押し出し面120aは、PAF I/F 70との結合時に、外側アーム部材105の側(図12(a)において左側)に内側アーム部材105から突出するようになっており、これによって、PAF I/F 70の端面に当接されている。
【0117】
また、ラッチ部材120は、その基端部から略直角方向(図12(a)においては略右方向)に延びたレバー部120bを有し、該レバー部120bの先端部を内側アーム部材105に一端を固定された引っ張りバネ121により、これが設置されている内側アーム部材105から離反する方向(図において反時計回り)に付勢されている。
【0118】
さらに、ラッチ部材120が設置された内側アーム部材105であって、該ラッチ部材120の基端部のレバー部120bの作動領域には、レバー部120bの可動範囲を規制するストッパ121a,121bが設けられている。これらのストッパ121a,121bにより、ラッチ部材120は、作動範囲が規制されている。なお、図12(a)の状態においては、ラッチ部材120は、引っ張りバネ121の付勢力による反時計回りへの作動をその押し出し面120aに当接しているPAF I/F 70の端面により拘束されていると共に、このPAF I/F 70により引っ張りバネ121の付勢力に抗して時計回りに押されるような力を付与されているが、この方向への作動範囲を規制するストッパ121a(図12(a)において下側)により係止されている。 以上のような構成により、アクチュエータ104が前述したような捕獲・結合時とは逆方向に作動されると、該アクチュエータ104の作動により、減速機130を介してボールねじ機構103が逆転駆動され、ボールねじ機構103のボールねじ部に螺合する移動テーブル102がガイドバー102a,102aに案内されつつ前方へ押し出し移動される。
【0119】
移動テーブル102が前方へ押し出し移動されると、図12(b)に示すように、移動テーブル102にその揺動軸105a,105aを固定された一対のアーム部材105,105は、直立した状態を維持したまま、即ち、PAF I/F 70を挟持したまま押し出され、これに伴って内側アーム部材105に設けられたラッチ部材120も押し出される。従って、PAF I/F 70は、ラッチ部材120の押し出し面120aにより同様に押し出される。なお、このとき、ラッチ部材120は、図12(a)のときと同様の状態で維持されている。
【0120】
さらに移動テーブル102が前方へ押し出し移動されると、図13(a)に示すように、棒状部材101a,101aにより揺動を規制されていたアーム部材105,105が開き始め、PAF I/F 70は、ラッチ部材120から左側へと離れて行こうとするが、ラッチ部材120は、引っ張りばね121によりPAF I/F 70に追従して当接した状態を維持しようとする。しかしながら、やがて、ラッチ部材120は、その作動をこの方向への作動範囲を規制するストッパ121b(図13(b)において上側)により拘束されて停止する。
【0121】
一方、ラッチ部材120の押し出し面120aにより押し出されたPAF I/F 70は、図13(a)及び(b)に示すように、アーム部材105,105のローラ110,110…によって挟持されてはいるが、ローラ110,110…の転動により押し出された速度を減殺されないでいる。
【0122】
そして、さらに移動テーブル102が前方へ押し出し移動されると、図8(a)に示したように、アーム部材105,105の棒状部材101a,101aによる揺動の規制が再び解除され、アーム部材105,105が一気に完全に開いた状態となり、分離が完了する。
【0123】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においてランデブ・ドッキングの対象とするターゲット衛星は、上記第1の実施の形態のターゲット衛星7と同じものである。そのため、ここでは、ターゲット衛星7に関する説明は省略する。
【0124】
本実施の形態に係るサービス衛星1の全体構成は、上記第1の実施形態と同様、図2(a)乃至(c)並びに図3(a)乃至(c)に概略図で示したように、全体として箱形をなす衛星本体1aを備え、該衛星本体1aは、そのドッキング側の面(以後、「前面」と称す)1bに3基の人工衛星結合機構20,20…を備えている。 つまり、本実施の形態においては、上記第1の実施の形態と人工衛星結合機構20,20…のみが異なるが、図2(a)乃至(c)並びに図3(a)乃至(c)を用いて説明したターゲット衛星7との運動形態に応じた捕獲・結合シーケンスは、上記第1の実施の形態と同様である。
【0125】
図14及び図15に示すように、本実施の形態に係るサービス衛星1は、その前面1bに3基の人工衛星結合機構20,20…を備え、該人工衛星結合機構20,20…は、ターゲット衛星7のPAF I/F 70の端面と同一の径の円上に120°おきに等配されている。
【0126】
図16に斜視図、及び図17にその破断斜視図を示すように、各人工衛星結合機構20は、概略箱状の機構本体201を備え、該機構本体201の内部には、移動テーブル202が、2本のガイドバー202a,202aに案内されて、サービス衛星1の前後方向への移動自在に設けられている。移動テーブル202は、機構本体201内部に配設されたボールねじ機構203により移動され、該ボールねじ機構203は、機構本体201の後部に内蔵された減速機230を介して、機構本体201外部に配設されたアクチュエータ(例えば、電動モータ)204により駆動されるようになっている。
【0127】
移動テーブル202の対向する端部からは、それぞれ、アーム部材205,205が延びている。各アーム部材205は、移動テーブル202の移動方向に直交する揺動軸205a回りの揺動自在に設けられ、該揺動軸205aに配設された捩じりバネ206により、上記第1の実施の形態とは逆に、他方のアーム部材205へ対向する方向(図16及び図17において、一対のアーム部材205,205が相対的に閉じる方向)に付勢されている。
【0128】
これら一対のアーム部材205,205の揺動軸205a,205a間の方向は、3基の人工衛星結合機構20,20…が配設された円の半径方向に向けられており(図14及び図15参照)、これによって、互いに離隔した揺動軸205a,205a回りに揺動する一対のアーム部材205,205の開閉動作により、アーム部材205,205の先端部間にてPAF I/F 70を挟持するようになっている。
【0129】
機構本体201の前面近傍の側面の位置には、図16及び図17に示すように、移動テーブル202が最も引き込まれた後退した位置にあるときに、最も閉じた状態のアーム部材205,205のそれぞれの中途部に臨んで配された棒状部材201a,201aが固定されており、各棒状部材201aは、その中途に、アーム部材205の他方のアーム部材から離反する側(即ち、外側)の面に当接するローラ234を回動自在に支持している。
【0130】
3基の人工衛星結合機構20,20…が配設された円の半径方向内方のアーム部材205(即ち、PAF I/F 70の内側に位置するアーム部材であり、以後、「内側アーム部材」と称す)の先端部は、その中途部から他方のアーム部材(即ち、PAF I/F 70の外側に位置するアーム部材であり、以後、「外側アーム部材」と称す)205の方へ2段階に屈曲されており、全体として鉤状に形成されている。また、内側アーム部材205の先端部には、該アーム部材205の揺動軸205aと平行な回転軸210aを有する1つのローラ210が設けられている。
【0131】
一方、3基の人工衛星結合機構20,20…が配設された円の半径方向外方の外側アーム部材205の先端部も、同様に、その中途部から他方のアーム部材(即ち、内側アーム部材)205の方へ2段階に屈曲されており、全体として鉤状に形成されている。ただし、内側アーム部材205とは異なり、この外側アーム部材205の先端部には、該外側アーム部材205の揺動軸205aと平行な回転軸210a,210aをそれぞれ有する2つのローラ210,210が揺動軸205a方向に所定長離隔して配設されている。
【0132】
各アーム部材205の基端部は、他方のアーム部材205から離反する側(即ち、外側)の面から、揺動軸205aを中心とする円弧状の開放溝205bが形成されており、該開放溝205bの幅寸法は、棒状部材201aに設けられたローラ234の外径に合わせた大きさとされている。さらに、開放溝205bよりも基端側のアーム部材205の位置には、開放溝205bに連続して開放強制レバー部205cがアーム部材205の延設方向と直交する方向(図においてはアーム部材205の外側)に突出して設けられている。
【0133】
機構本体201の前面には、該前面に沿って概略H字状をなしたダンパプレート211が設けられ、該ダンパプレート211は、機構本体201の前面との間に設けられた4つのコイルバネ212,212…により前方へ付勢されている。ダンパプレート211は、H字状の片側(本実施の形態では内側アーム部材205側)の切れ込みを機構本体101の前面中央部まで達するように大きく形成され、この切れ込みの部分に相当する機構本体201の前面の中央部近傍には、弾性体からなるプリロード受け213が設けられている。
【0134】
以上のような構成を備えた本実施の形態に係る人工衛星結合機構20の捕獲・結合動作について、上記の図16及び図17の斜視図、並びに図18及び図19の縦断面図を参照しながら次に説明する。
【0135】
まず、アーム部材205,205の開放動作について簡単に説明しておき、詳細については後述する。なお、開放動作は、図22(a)乃至(c)並びに図23(a)及び(b)に示す開放動作と略逆の動作である。
【0136】
人工衛星結合機構20は、最終的にPAF I/F 70の対応する位置に近付けられる前に図18に示すように最も開いた状態とされる。図16及び図17に示した全閉状態から全開状態とするまでの過程においては、まず、アクチュエータ204が作動され、このアクチュエータ204の作動により、減速機230を介してボールねじ機構203が駆動され、ボールねじ機構203のボールねじ部203aに螺合する移動テーブル202がガイドバー202a,202aに案内されつつ前方へ押し出し移動される。このとき、アーム部材205の他方のアーム部材205から離反する側の面(即ち、外側の面)に当接しているローラ234は、このアーム部材205の外側の面を転動しながら、相対的にアーム部材205の基端部へと移動する。
【0137】
そして、ローラ234が、アーム部材205の開放溝205bを越えて開放強制レバー部205cに当接されると、開放強制レバー部205cがアーム部材205を押して開く方向に揺動させる。このとき、アーム部材205の開放に応じて、ローラ234は、開放溝205bに嵌まり込み、該開放溝205bの終端に到達したところでアーム部材205の開放が停止されるようになっている。
【0138】
なお、この状態で、捩じりバネ206により閉じる方向へ付勢されているアーム部材205は、アクチュエータ204,減速機230,ボールねじ機構203等に設けられたブレーキ手段(図示せず)によって閉じる方向へは動作しないように制御される。
【0139】
この状態が図18に示した全開状態であり、人工衛星結合機構20は、このアーム部材205,205が最も開いた状態で、最終的にPAF I/F 70の対応する位置に近付けられ、アクチュエータ204が上述とは逆に作動される。アクチュエータ204の作動により、減速機230を介してボールねじ機構203が駆動され、ボールねじ機構203のボールねじ部203aに螺合する移動テーブル202がガイドバー202a,202aに案内されつつ後方へ引き込み移動される。
【0140】
移動テーブル202が後方へ引き込み移動されると、開放溝205bの終端に当接していた棒状部材201aのローラ234の位置が変わり、捩じりバネ206の付勢力によりアーム部材205を閉じる方向に回転する。アーム部材205が閉じ始めると、ローラ234は、開放溝205bの当該アーム部材205の先端部側の湾曲した溝面を転動しながら、前述した開放溝205bと開放強制レバー部205cとが連続的に接続される部分に形成された段差を越える。
【0141】
これにより、アーム部材205は、捩じりバネ206により一気に閉じる方向へ揺動され、全閉状態に達する。これに応じて、ローラ234は、開放溝205bから脱してアーム部材205の外側の面に到達する。
【0142】
このとき、アーム部材205,205は、その先端部に設けられたローラ210,210…がそれぞれPAF I/F 70の内周面及び外周面に当接されるように閉じられ、PAF I/F 70を挟持し、捕獲する。また、各ローラ210は、PAF I/F 70のリブ70a,70bよりも奥側(ターゲット衛星7の衛星本体7aの前面寄り)まで達するようにされる。
【0143】
その後、さらに移動テーブル202が後方へ引き込み移動されると、アーム部材205,205は、全閉状態を維持してPAF I/F 70を挟持したまま、直立状態で移動テーブル202と共に引き込まれる。
【0144】
このとき、一対のアーム部材205,205は、PAF I/F 70の内周面及び外周面を転動可能なローラ210,210…を介して挟持しているため、内側アーム部材205のローラ210が、これよりも長い外側アーム部材205のローラ210,210よりも先にPAF I/F 70の内側リブ70aに内側から当接した位置で落ち着く(図22(b))。
【0145】
さらに移動テーブル202が後方へ引き込み移動され、最も引き込まれた位置とされた場合には、図19及び図22(a)(図16及び図17も参照)に示すように、アーム部材205,205は、直立状態を維持しながらそのまま引き込み方向へ移動され、PAF I/F 70の内側リブ70aに内側(PAF I/F 70の基端側)から当接している内側アーム部材205により、PAF I/F 70ごと引き込む。そして、この引き込み移動により、PAF I/F 70の端面は、ダンパプレート211に突き当たった後で、コイルバネ212,212…の付勢力に抗してダンパプレート211を押し、弾性体からなるプリロード受け213に当接されて停止し、この状態で結合が完了する。
【0146】
このとき、結合の衝撃エネルギは、ダンパプレート211のコイルバネ212,212…によって緩衝され、最終的にプリロード受け213で吸収される。
【0147】
また、各アーム部材205の先端部近傍には、ロンチロックピン235,235が揺動軸205aと平行にアーム部材205の両側から突出して設けられている。これらロンチロックピン235,235は、最も引き込まれた位置にあるときに、ダンパプレート211をコイルバネ212,212…の付勢力に抗してダンパプレート211を押し付けるようになされている。
【0148】
一方、ダンパプレート211のロンチロックピン235,235がそれぞれ当接する押圧部211a,211aは、H字状をなすダンパプレート211の切り込み部の両側(ロンチロックピン235,235の延設方向の両側)に形成されており、従って、アーム部材205の両側に突出した同軸のロンチロックピン235,235が押圧部211a,211a間に架け渡される態様となっている。また、押圧部211a,211aは、この部分よりもアーム部材205が開く方向への動作に対しては当該アーム部材205とは係合しないように形成されている。さらに、押圧部211a,211aは、アーム部材205が開く方向、且つ、アーム部材205の引き込み方向にテーパ状に形成されている。
【0149】
サービス衛星1の打ち上げ時には、アーム部材205,205は、最もコンパクトな形態であるため、このような最も引き込まれた位置とされ、同時に、ロンチロックピン235,235…によりダンパプレート211がコイルバネ212,212…を縮短した状態とされるため、振動等の影響を受け難くなっている。なお、このようなロンチロックピン235,235…の構成及び作用は、上記の第1の実施の形態に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0150】
また、図17に示すように、前述したボールねじ機構203のボールねじ部203aの前方端部は、機構本体201の前面にねじ軸回りの回動自在に支持されていると共に、軸長方向に所定長移動自在に支持されている。一方、このボールねじ機構203の後方端部は、ベアリング231によってねじ軸回りの回動自在に支持されていると共に、このベアリング231と共に、軸長方向に所定長移動自在に機構本体201に支持されている。
【0151】
このように、軸長方向のクリアランスを有するボールねじ部203aは、ベアリング231を介してボールねじ部203aを後方へ付勢するコイルバネ232によりプリロードが付与されてガタつきを抑えられ、しかも、PAF I/F 70を捕獲したとき等の前方へのアーム部材205,205の引っ張り力を緩和する作用も有している。
【0152】
なお、このようなボールねじ機構203の構成及び作用も、上記の第1の実施の形態に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0153】
本実施の形態に係る人工衛星結合機構20は、一対のアーム部材205,205の揺動付勢方向が上記の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構10とは逆であるため、特別なコンプライアンス機構は不要であるが、代わりに、互いに対向する方向へ付勢されている一対のアーム部材205,205全体が同様のコンプライアンス機能を有している。
【0154】
図20(a)乃至(c)に示すように、ローラ234,234が開放溝205b,205bから脱し、アーム部材205,205が捩じりバネ206により一気に閉じてPAF I/F 70を挟持したときには、アーム部材205,205は、開放溝205b,205bによりローラ234,234との干渉なしに開方向及び閉方向の何れの方向へも自由に揺動できる状態となっている(勿論、捩じりバネ206,206の付勢力は付与されている状態である)。つまり、この捩じりバネ206,206によりアーム部材205,205全体がコンプライアンス機能を有することとなっており、一対のアーム部材205,205がPAF I/F 70を柔に挟持することができる。
【0155】
なお、本実施の形態におけるローラ210,210…の当接力(押圧力)は、アーム部材205,205を揺動付勢する捩じりバネ206,206のバネ定数に応じて定められ、バネ定数は、アーム部材205,205の長さ、ローラ210,210…の当接位置等の条件に応じて、一対のアーム部材105,105の当接力(押圧力)が相互にバランスするように設定される。
【0156】
従って、例えば、図20(a)に示すように、外側アーム部材205寄り(図における左側)にPAF I/F 70が位置するような場合には、外側アーム部材205がその分だけ開いた状態にPAF I/F 70に押される一方、内側アーム部材205が相対的に閉じた状態に追従する。前述したように、捩じりバネ206,206のバネ力は、全体として外側及び内側で同一となるように設定されているため、この場合には、開いている外側のアーム部材205がPAF I/F 70をノミナル位置に押し(白抜矢符方向)、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の位置を矯正する。
【0157】
一方、図20(c)に示すように、内側アーム部材205寄り(図における右側)にPAF I/F 70が位置するような場合には、内側アーム部材205がその分だけ開いた状態にPAF I/F 70に押される一方、外側アーム部材205が相対的に閉じた状態に追従する。上述したのと同様、捩じりバネ206,206のバネ力は、全体として外側及び内側で同一となるように設定されているため、この場合には、開いている内側のアーム部材205がPAF I/F 70をノミナル位置に押し(白抜矢符方向)、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の位置を矯正する。
【0158】
結果として、何れのようにPAF I/F 70のミスアラインメントが生じた場合であっても、図20(b)に示すように、外側及び内側のアーム部材205,205の捩じりバネ206,206のバネ力がバランスするノミナル位置にPAF I/F 70は落ち着くことになる。
【0159】
また、外側アーム部材205は、先端部に2つのローラ210,210を備えてPAF I/F 70の外周面の周方向の2箇所に当接する一方、内側のアーム部材205は、その周方向の中間位置に1つのローラ210によりPAF I/F 70の内周面から当接するようになっているため、これらローラ210,210…の当接力(押圧力)により、PAF I/F 70の外側からの2箇所の当接位置を結ぶ線分を接線と平行な線とし、且つ、この線分の垂直2等分線上に、PAF I/F 70の中心軸を持ってくるように、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の姿勢を矯正することができる。
【0160】
さらなるターゲット衛星7に対する姿勢強制機能として、図20(b)にてより明確に分かるように、一対のアーム部材205,205の長さ、より厳密には、一対のアーム部材205,205のPAF I/F 70に対する当接位置をPAF I/F 70の筒長(軸長)方向に異ならせることで、PAF I/F 70を介してターゲット衛星7の姿勢を矯正することができるようにしてある。
【0161】
本実施の形態においては、図21(a)乃至(c)に示すように、外側アーム部材205のローラ210,210をPAF I/F 70の基端側の位置に当接させ、内側アーム部材205のローラ210をPAF I/F 70の先端側の位置に当接させているため、これら当接箇所の中間位置を中心とした回転モーメント(図において矢符で示す時計回りのモーメント)がターゲット衛星7に対して加えられる。
【0162】
従って、図21(a)に示すように、ターゲット衛星7に近付いたときに、3基すべての人工衛星結合機構20,20…を全開とし、このとき、ターゲット衛星7の姿勢に矯正の必要があれば、最も先にPAF I/F 70に近付いた1基の人工衛星結合機構20の閉動作を開始し、PAF I/F 70を捕獲する。
【0163】
なお、このような位置へのサービス衛星1の誘導、及びPAF I/F 70と各人工衛星結合機構20との相対距離の計測等は、例えば、本願出願人らの開発した接近用近距離域航法センサにより行うことが可能である。
【0164】
そして、図21(b)に示すように、PAF I/F 70を捕獲している1基の人工衛星結合機構20によりPAF I/F 70を介してターゲット衛星7に矢符で示すような回転モーメントを加えて姿勢を矯正しつつ、前述したようにターゲット衛星7のミスアラインメント等の位置も矯正し、さらに、回転モーメントを加えられてPAF I/F 70が残りの2基の人工衛星結合機構20,20に近付いたときに、これら2基の人工衛星結合機構20,20の閉動作を開始し、その後3基すべての人工衛星結合機構20,20…の引き込み動作を行なってPAF I/F 70を介したターゲット衛星7との結合を完了する。
【0165】
また、分離時には、3基すべての人工衛星結合機構20,20…を同時に作動させ、PAF I/F 70との正対姿勢を維持した状態で一気にアーム部材205,205を開き、PAF I/F 70を開放する。
【0166】
なお、以上のような人工衛星結合機構20,20…の捕獲・結合及び分離動作制御は、上記の第1の実施の形態に対しても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0167】
次に、本実施の形態に係る人工衛星結合機構20の分離動作について、図22(a)乃至(c)、並びに図23(a)及び(b)の縦断面図を参照しながら説明する。
【0168】
本実施の形態に係る人工衛星結合機構20は、図22(a)にPAF I/F 70との結合状態を示すように、内側アーム部材205に分離用のラッチ部材220を備えている。
【0169】
該ラッチ部材220は、内側アーム部材205の中途において該アーム部材205の揺動軸205aと平行な揺動軸回りの揺動自在に支持され、内側アーム部材205の先端部方向に延設されている。ラッチ部材220は、延設方向先端部に押し出し面220aを備え、該押し出し面220aは、PAF I/F 70との結合時に、外側アーム部材205の側(図において左側)に内側アーム部材205から突出するようになっており、これによって、PAF I/F 70の端面に当接されている。
【0170】
また、図20(a)乃至(c)にラッチ構造を詳しく示すように、ラッチ部材220は、その基端部から略直角方向(図においては略右方向)に延びたレバー部220bを有し、該レバー部220bの先端部を内側アーム部材205に一端を固定された引っ張りバネ221により、内側アーム部材205の側(図において反時計回り)に付勢されている。
【0171】
以上のような構成により、図22(a)に示すような結合状態から、アクチュエータ204が前述したような捕獲・結合時とは逆方向に作動されると、該アクチュエータ204の作動により、減速機230を介してボールねじ機構203が逆転駆動され、ボールねじ機構203のボールねじ部203aに螺合する移動テーブル202がガイドバー202a,202aに案内されつつ前方へ押し出し移動される。
【0172】
移動テーブル202が前方へ押し出し移動されると、図22(b)に示すように、移動テーブル202にその揺動軸205a,205aを固定されたアーム部材205,205は、直立した状態を略維持したまま、即ち、PAF I/F 70を挟持したまま押し出され、これに伴って内側アーム部材205に設けられたラッチ部材220も押し出される。従って、PAF I/F 70は、ラッチ部材220の押し出し面220aにより同様に押し出される。
【0173】
さらに移動テーブル202が前方へ押し出し移動されると、図22(c)に示すように、アーム部材205,205の互いに離反する面上を相対的に基端部の方へ転動していたローラ234,234が、アーム部材205,205の開放溝205b,205bを越えて開放強制レバー部205c,205cを押し、アーム部材205,205を一気に開く方向に揺動させる。
【0174】
このとき、アーム部材205,205は、一気に開く方向に揺動されるので、ラッチ部材220の押し出し面220aにより押し出されたPAF I/F 70は、ローラ110,110…との接触状態を解除され、押し出された速度を減殺されない。
【0175】
そして、図23(a)に示すように、アーム部材205,205の開放に応じて、ローラ234,234が開放溝205b,205bに嵌まり込み、該開放溝205b,205bの終端に到達したところでアーム部材205,205の開放が停止され、開放動作が完了する。
【0176】
図20(a)乃至(c)に示したように、本実施の形態に係るラッチ部材220は、引っ張りバネ221により上記の第1の実施の形態とは同方向に付勢されており、通常は、内側アーム部材205から外側アーム部材205の方へと突出しているが、この引っ張りバネ221のバネ定数は非常に小さいものであり、PAF I/F 70との干渉時には、内側アーム部材205側へと揺動し(図20(c)参照)、PAF I/F 70の姿勢及び位置には影響を与えないようになっている。
【0177】
なお、実際の運用にあっては、例えば、ボールねじ機構203のアクチュエータ204が故障したり、アクチュエータ204への電力の供給ができなくなったりすることが考えられることから、非常時に、アーム部材205,205を強制的に開き、PAF I/F 70との係合を解除する緊急分離機構が必要になる。
【0178】
そこで、本実施の形態に係る人工衛星結合機構20は、移動テーブル202が最も引き込まれた位置にあっても、アクチュエータ204の作動を必要とする移動テーブル202を動作させることなく、アーム部材205,205をPAF I/F 70と分離可能な程度に強制的に開く機構を備えている。
【0179】
具体的な構造を図16及び図17、並びに図24乃至図27を用いて次に説明する。
【0180】
図24は、本実施形態に係る人工衛星結合機構の緊急分離動作を示す縦断面図であり、図25乃至図27は、本実施形態に係る緊急分離機構の構造を示す斜視図であり、図25にはその斜視図、図26には平面図、及び図27には正面図をそれぞれ示してある。なお、図25乃至図27において、緊急分離に係る可動部分を二点差線で示し、非可動部分と緊急分離動作後の可動部分の状態とを実線でそれぞれ示してある。
【0181】
まず、図24(a)、並びに図25乃至図27にて主として二点差線で示すように、移動テーブル202の両端部に揺動自在に支持されているアーム部材205,205は、移動テーブル202が最も引き込まれた状態で全閉状態となっている。このとき、アーム部材205,205は、それぞれ外側から棒状部材201a,201aに支持されたローラ234,234により開く方向への動作を規制されている。
【0182】
各棒状部材201aは、その一端を、該棒状部材201aの延設方向に直交する前後方向の軸236回りの揺動自在に機構本体201(図16及び図17参照)に支持されている。また、棒状部材201aは、軸236に設けられた捩じりバネ237により、当接しているアーム部材205から離反する方向へ揺動するように付勢されている。
【0183】
棒状部材201aの他端には、ストッパブロック238が固定され、捩じりバネ237による棒状部材201aの揺動は、一対の棒状部材201a,201aのストッパブロック238,238を相互にワイヤ239で接続することにより規制されている。
【0184】
このワイヤ239の中途(本実施の形態においては中間位置)には、ワイヤ切断装置240が設けられている。ワイヤ切断装置240は、図26に具体的に示すように、ワイヤ239の延設方向に直交する方向にその刃部を臨ませるように配置されたカッタ241を内蔵している。カッタ241は、ワイヤ239の延設方向に直交する方向に移動自在とされている。また、ワイヤ切断装置240は、カッタ241の刃部とは反対側の端部に臨んで2つのカッタ推進部242,242を備えている。各カッタ推進部242は、比較的小さい電力の供給により起爆する火工品を備えており、その爆発による高圧燃焼ガスによりカッタ241を推進し、ワイヤ239の切断を行なわせるものである。ここで、2つのカッタ推進部242,242を備えているのは、一方が故障又は不発したとき等のために冗長性を持たせるためである。
【0185】
以上のような構成により、ワイヤ切断装置240の作動によりワイヤ239が切断されると、このワイヤ239による棒状部材201a,201aの拘束が解除され、ローラ234,234を介した棒状部材201a,201aによるアーム部材205,205の揺動規制が解除されることになる。
【0186】
このとき、アーム部材205,205は、共に、その揺動軸205a,205aに設けられた捩じりバネ206,206により閉じる方向に付勢されているが、アーム部材205,205の棒状のロンチロックピン235,235が縮短状態にあるコイルバネ212,212…上のダンパプレート211に押し付けられているため、これらコイルバネ212,212…の付勢力によりダンパプレート211と共にロンチロックピン235,235は前方へ押される。
【0187】
ダンパプレート211と共に前方へ押されたロンチロックピン235,235は、ダンパプレート211のテーパ状をなした押圧部211a,211a…によりテーパ面に直交する方向、即ちアーム部材205,205を開く方向に押される。従って、このときにアーム部材205,205に作用する回転トルクを、揺動軸205a,205aに配された捩じりバネ206,206による回転トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、結果としてアーム部材205,205の開放が達成される。
【0188】
なお、本実施の形態で示した緊急分離機構は、上記の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構10に対しても適用することが可能である。ただし、第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構10では、アーム部材105,105は、捩じりバネ106,106により開く方向に付勢されているため、アーム部材105,105に上記したようなロンチロックピン235,235を設ける必要もないし、また、ダンパプレート211にテーパ状の押圧部211a,211a…を設ける必要もなく、単に、図25乃至図27に示したような機構だけを備えていればよい。
【0189】
なお、緊急分離機構においては、棒状部材201a,201aを付勢している捩じりバネ237,237は、アーム部材205,205を強制的に開かせる力が十分にある場合には、不要とすることも可能である。
【0190】
【発明の効果】
以上のように、本願発明に係る人工衛星結合機構、それを有した宇宙機及び制御方法によれば、ターゲット衛星たる多くの人工衛星が共通構造として有する例えばPAF I/Fのような筒状フレーム構造を挟持してターゲット衛星の捕獲・結合を行なうことによって、過去に打ち上げられた非協力ターゲット衛星に対してもランデブ・ドッキングを有効に行なうことができ、しかも捕獲時に筒状フレーム構造を挟持するため、ターゲット衛星の姿勢が安定する等、本願発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施の形態に係る宇宙機たるサービス衛星がランデブ・ドッキング対象とする筒状フレーム構造(PAF I/F)を具備したターゲット衛星の構成を示す斜視図である。
【図2】 (a)乃至(c)は、ターゲット衛星の運動形態に応じた本願発明の実施の形態に係るサービス衛星の捕獲・結合シーケンスを説明する図であり、特に、ターゲット衛星が3軸制御されている場合を示している。
【図3】 (a)乃至(c)は、ターゲット衛星の運動形態に応じた本願発明の実施の形態に係るサービス衛星の捕獲・結合シーケンスを説明する図であり、特に、ターゲット衛星がスロースピンしている場合を示している。
【図4】 本願発明の第1の実施の形態に係るサービス衛星がその前面に具備する3基の人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する配置を示す斜視図である。
【図5】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の構成を示す一部破断斜視図であり、特に、人工衛星結合機構のアーム部材が全開とされている状態を示している。
【図6】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の構成を示す一部破断斜視図であり、特に、人工衛星結合機構のアーム部材が閉じられ、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)を捕獲した状態を示している。
【図7】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の構成を示す一部破断斜視図であり、特に、人工衛星結合機構のアーム部材が引き込まれ、筒状フレーム構造(PAF I/F)を介してターゲット衛星と結合した状態を示している。
【図8】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)の捕獲・結合動作を示す縦断面図であり、(a)は、捕獲前のアーム部材が全開の状態を示し、(b)は、アーム部材が閉じられ、筒状フレーム構造(PAF I/F)を捕獲した状態を示している。
【図9】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)の捕獲・結合動作を示す縦断面図であり、(a)は、捕獲後のアーム部材の引き込み直前の状態を示し、(b)は、アーム部材が引き込まれ、筒状フレーム構造(PAF I/F)を介してターゲット衛星と結合した状態を示している。
【図10】 アーム部材の開閉方向にミスアラインメントされた筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構のコンプライアンス機能を説明するための縦断面図であり、(a)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)が外側アーム部材側にミスアラインメントされた状態を示し、(b)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)が内側アーム部材側にミスアラインメントされた状態を示し、(c)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)がノミナル位置にアラインメントされた状態を示している。
【図11】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構のコンプライアンス機能による筒状フレーム構造(PAF I/F)の捕獲領域を説明するための縦断面図である。
【図12】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)との分離動作を示す縦断面図であり、(a)は、分離動作前のアーム部材が全閉の状態を示し、(b)は、アーム部材が押し出され、同時にラッチ部材が筒状フレーム構造(PAF I/F)を介してターゲット衛星を押し出している状態を示している。
【図13】 本願発明の第1の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)との分離動作を示す縦断面図であり、(a)は、アーム部材がさらに押し出され、ラッチ部材の筒状フレーム構造(PAF I/F)との係合が解除される過渡状態を示し、(b)は、ラッチ部材の筒状フレーム構造(PAF I/F)との係合が完全に解除された状態を示している。
【図14】 本願発明の第2の実施の形態に係るサービス衛星がその前面に具備する3基の人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する配置を示す斜視図であり、特に、捕獲前のアーム部材が全開の状態を示している。
【図15】 本願発明の第2の実施の形態に係るサービス衛星がその前面に具備する3基の人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する配置を示す斜視図であり、特に、結合のアーム部材が全閉の状態を示している。
【図16】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の構成を示す斜視図であり、特に、人工衛星結合機構のアーム部材が全閉の状態を示している。
【図17】 図16に示した本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の破断斜視図である。
【図18】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)の捕獲・結合動作を示す縦断面図であり、特に、捕獲前のアーム部材が全開の状態を示している。
【図19】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)の捕獲・結合動作を示す縦断面図であり、特に、結合後のアーム部材が全閉の状態を示している。
【図20】 アーム部材の開閉方向にミスアラインメントされた筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構のコンプライアンス機能を説明するための縦断面図であり、(a)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)が外側アーム部材側にミスアラインメントされた状態を示し、(b)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)がノミナル位置にアラインメントされた状態を示し(c)は、筒状フレーム構造(PAF I/F)が内側アーム部材側にミスアラインメントされた状態を示している。
【図21】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の外側アーム部材と内側アーム部材との筒状フレーム構造(PAF I/F)に対する当接位置の違いによるターゲット衛星の姿勢矯正機能、及び3基の人工衛星結合機構の動作制御を説明するための図であり、(a)は、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)が人工衛星結合機構に近付いた状態を示し、(b)は、最も近い1基の人工衛星結合機構により筒状フレーム構造(PAF I/F)を捕獲し、回転モーメントを加えながらターゲット衛星の姿勢を矯正している状態を示し、(c)は、残りの人工衛星結合機構により筒状フレーム構造(PAF I/F)を捕獲し、3基すべての人工衛星結合機構により筒状フレーム構造(PAF I/F)を介してターゲット衛星と結合した状態を示している。
【図22】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)との分離動作を示す縦断面図であり、(a)は、分離動作前のアーム部材が全閉の状態を示し、(b)は、アーム部材が押し出され、同時にラッチ部材が筒状フレーム構造(PAF I/F)を介してターゲット衛星を押し出している状態を示し、(c)は、アーム部材がさらに押し出され、ラッチ部材の筒状フレーム構造(PAF I/F)との係合が解除された状態を示している。
【図23】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)との分離動作を示す縦断面図であり、(a)は、アーム部材がさらに押し出された状態を示し、(b)は、分離を完了し、ラッチ部材が全開となった状態を示している。
【図24】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の非常時の緊急分離動作を示す縦断面図であり、(a)は、緊急分離動作前のアーム部材が全閉で、ターゲット衛星の筒状フレーム構造(PAF I/F)と結合した状態を示し、(b)は、緊急分離動作後のアーム部材が筒状フレーム構造(PAF I/F)と分離可能な量だけ開いた状態を示している。
【図25】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の非常時の緊急分離機構の一部を示す斜視図である。
【図26】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の非常時の緊急分離機構の一部を示す平面図である。
【図27】 本願発明の第2の実施の形態に係る人工衛星結合機構の非常時の緊急分離機構の一部を示す正面図である。
【図28】 ETS-VIIに係る従来のランデブ・ドッキング機構を示す斜視図であり、特に、ターゲット衛星側に設けられた専用ハンドルを示している
【図29】 ETS-VIIに係る従来のランデブ・ドッキング機構を示す斜視図であり、特に、専用ハンドルを介してターゲット衛星に対して捕獲・結合をするためのサービス衛星側に設けられた人工衛星結合機構を示している。
【図30】 図28に示した専用ハンドルを、図29に示した人工衛星結合機構が捕獲した状態を示す一部断面図である。
【符号の説明】
1 サービス衛星
1a 衛星本体
1b 前面
10,20 人工衛星結合機構
101,201 機構本体
101a,201a 棒状部材
102,202 移動テーブル
102a,202a ガイドバー
103,203 ボールねじ機構
203a ボールねじ部
104,204 アクチュエータ
105,205 アーム部材
105a,205a 揺動軸
205b 開放溝
205c 開放強制レバー部
106,206 捩じりバネ
107 コンプライアンス機構
107a シリンダハウジング
108 ピストン部材
109 コイルバネ
110,210 ローラ
110a,210a 回転軸
111,211 ダンパプレート
111a 開口
211a 押圧部
112,212 コイルバネ
113,213 プリロード受け
120,220 ラッチ部材
120a,220a 押し出し面
120b,220b レバー部
121,221 引っ張りバネ
121a,121b ストッパ
130,230 減速機
231 ベアリング
232 コイルバネ
234 ローラ
235 ロンチロックピン
236 軸
237 捩じりバネ
238 ストッパブロック
239 ワイヤ
240 ワイヤ切断装置
241 カッタ
242 カッタ推進部
7 非協力ターゲット衛星
7a 衛星本体
70 PAF I/F
70a 内側リブ
70b 外側リブ

Claims (57)

  1. 宇宙機をターゲット衛星の被結合部に結合すべく、前記宇宙機に設けられる人工衛星結合機構であって、
    少なくとも円周方向内方又は外方に突出部が周設された筒状フレーム構造を有するターゲット衛星との結合面から突出し、互いに略平行な軸回りの揺動自在に設けられ、少なくとも一方が先端部を鉤状に形成された一対のアーム部材と、
    該一対のアーム部材を互いに離反する方向へ付勢するアーム部材付勢手段と、
    前記一対のアーム部材が互いに離反する方向へ揺動することを規制する固定された揺動規制手段と、
    前記一対のアーム部材の揺動軸を支持し、前記一対のアーム部材の先端部を前記結合面側に引き込むように、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させる引き込み機構と
    を備え、
    前記一対のアーム部材の一方を前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する一方、鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の突出部に係合させるように、前記一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、これら一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持して前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてあり、
    前記引き込み機構の引き込み動作に応じて、前記揺動規制手段により、前記アーム部材付勢手段による付勢力に抗して、前記一対のアーム部材が互いに対向する方向に揺動されるべくなしてある
    ことを特徴とする人工衛星結合機構。
  2. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、PAF I/Fであることを特徴とする請求項記載の人工衛星結合機構。
  3. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、少なくとも円周方向内方に突出部が周設され、
    鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の内側に挿入し、これら一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、鉤状に形成された先端部を前記筒状フレームの突出部に係合させて前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてある
    ことを特徴とする請求項又は記載の人工衛星結合機構。
  4. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方の先端部に、該アーム部材の揺動軸に略平行な回転軸を有したローラを設けてあることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  5. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置との前記結合面からのそれぞれの距離を異ならせてあることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  6. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置とを、前記筒状フレーム構造の軸方向に異ならせてあることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  7. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を2箇所、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を1箇所とし、前者の2箇所の接触位置を前記アーム部材の揺動軸方向に離隔させ、後者の接触位置を前者の2箇所の接触位置の間の位置としてあることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  8. 前記引き込み機構は、ボールねじ機構を具備し、該ボールねじ機構により、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させるべくなしてあることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  9. 緩衝プレートと、該緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向へ付勢する緩衝プレート付勢手段とを更に備え、
    前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向の前記緩衝プレートの面が前記結合面を規定する
    ことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  10. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、その中途に、該アーム部材の揺動軸に沿って延びた緩衝プレート引き付け部を具備し、
    該緩衝プレート引き付け部は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段に抗して前記緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向へ押圧することによって引き込むべくなしてある
    ことを特徴とする請求項記載の人工衛星結合機構。
  11. 前記緩衝プレートは、前記一対のアーム部材の少なくとも一方の前記緩衝プレート引き付け部による押圧部を、前記一対のアーム部材が互いに離反する方向且つ前記引き込み機構の引き込み方向にテーパ状に形成され
    記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段の付勢力によって前記テーパ状に形成された押圧部から前記緩衝プレート引き付け部を介して受ける前記アーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への揺動力に抗して、このアーム部材の揺動を規制する揺動強制手段を設けたことを特徴とする請求項10記載の人工衛星結合機構
  12. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、
    前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造との略接触方向に移動自在とされ、該筒状フレーム構造と接触する接触部と、
    該接触部を前記筒状フレーム構造との略接触方向に付勢する接触部付勢手段と
    を具備することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  13. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、他方のアーム部材に対向する側の面に設けられ、前記引き込み機構の引き込み方向とは略逆方向に向いた押し出し面を有したラッチ部材を具備し、
    該ラッチ部材の押し出し面は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の端面よりも引き込み方向の位置にある
    ことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  14. 前記ラッチ部材は、対応するアーム部材の中途に揺動自在に設けられ、該対応するアーム部材の略先端部方向に延び、他方のアーム部材に対向する方向に付勢されていることを特徴とする請求項13記載の人工衛星結合機構。
  15. 前記揺動規制手段は、
    前記アーム部材の揺動軸と略平行に延び、揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する側の面に当接された棒状部材と、
    前記揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への前記棒状部材の移動を規制すべく該棒状部材を支持する支持手段と
    を具備し、
    前記支持手段による前記棒状部材の支持を解放することにより、前記揺動を規制するアーム部材の揺動の規制を解除すべくなしてある
    ことを特徴とする請求項乃至14の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  16. 前記支持手段は、
    前記棒状部材の一端を前記引き込み機構の引き込み方向に沿った軸回りの揺動自在に支持する棒状部材支持手段と、
    両方の棒状部材の他端を結合するワイヤと、
    該ワイヤを切断するワイヤ切断手段と
    を具備することを特徴とする請求項15記載の人工衛星結合機構。
  17. 前記ワイヤ切断手段は、
    前記ワイヤの延設方向に交叉する方向への移動自在に設けられ、その刃部を前記ワイヤに臨んで設けられたカッタと、
    該カッタを爆発力により前記ワイヤに向かって推進する火工品と
    を具備することを特徴とする請求項16記載の人工衛星結合機構
  18. 上記請求項1乃至17の何れかに記載の人工衛星結合機構を3基備えることを特徴とする宇宙機。
  19. 3基の人工衛星結合機構を前記ターゲット衛星のPAF I/F又は筒状フレーム構造の周方向に沿って120°おきに等配してあることを特徴とする請求項18記載の宇宙機。
  20. 上記請求項19記載の宇宙機が、その結合面が前記ターゲット衛星のPAF I/F又は筒状フレーム構造の端面に正対していない姿勢から該ターゲット衛星を捕獲する人工衛星結合機構の制御方法であって、
    前記PAF I/F又は筒状フレーム構造の端面に最も近い位置にある1基の人工衛星結合機構で前記PAF I/F又は筒状フレーム構造を捕獲し、
    捕獲した人工衛星結合機構により前記PAF I/F又は筒状フレーム構造に回転モーメントを加えて、前記PAF I/F又は筒状フレーム構造の端面に前記宇宙機の結合面を正対させ、
    残りの2基の人工衛星結合機構で前記PAF I/F又は筒状フレーム構造を捕獲する
    ことを特徴とする制御方法。
  21. 宇宙機をターゲット衛星の被結合部に結合すべく、前記宇宙機に設けられる人工衛星結合機構であって、
    少なくとも円周方向内方又は外方に突出部が周設された筒状フレーム構造を有するターゲット衛星との結合面から突出し、互いに略平行な軸回りの揺動自在に設けられ、少なくとも一方が先端部を鉤状に形成された一対のアーム部材と、
    該一対のアーム部材を互いに対向する方向へ付勢するアーム部材付勢手段と、
    前記一対のアーム部材の互いに離反する側の面に臨んで設けられた固定された揺動強制手段と、
    前記一対のアーム部材の揺動軸を支持し、前記一対のアーム部材の先端部を前記結合面側に引き込むように、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させる引き込み機構と
    を備え、
    前記一対のアーム部材の一方を前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する一方、鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の突出部に係合させるように、前記一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、これら一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持して前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてあり、
    前記一対のアーム部材は、互いに離反する側の面から突出し、前記揺動強制手段よりも前記結合面側に設けられた突出部を具備し、
    前記引き込み機構の押し出し動作に応じて、前記揺動強制手段が、前記アーム部材の突出部を前記引き込み機構の引き込み方向へ押すことによって、前記一対のアーム部材を互いに離反する方向へ揺動させるべくなしてある
    ことを特徴とする人工衛星結合機構。
  22. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、 PAF I/F であることを特徴とする請求項21記載の人工衛星結合機構。
  23. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、少なくとも円周方向内方に突出部が周設され、
    鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の内側に挿入し、これら一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、鉤状に形成された先端部を前記筒状フレームの突出部に係合させて前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてある
    ことを特徴とする請求項21又は22記載の人工衛星結合機構。
  24. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方の先端部に、該アーム部材の揺動軸に略平行な回転軸を有したローラを設けてあることを特徴とする請求項21乃至23の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  25. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置との前記結合面からのそれぞれの距離を異ならせてあることを特徴とする請求項21乃至24の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  26. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置とを、前記筒状フレーム構造の軸方向に異ならせてあることを特徴とする請求項21乃至25の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  27. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を2箇所、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を1箇所とし、前者の2箇所の接触位置を前記アーム部材の揺動軸方向に離隔させ、後者の接触位置を前者の2箇所の接触位置の間の位置としてあることを特徴とする請求項21乃至26の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  28. 前記引き込み機構は、ボールねじ機構を具備し、該ボールねじ機構により、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させるべくなしてあることを特徴とする請求項21乃至27の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  29. 緩衝プレートと、該緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向へ付勢する緩衝プレート付勢手段とを更に備え、
    前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向の前記緩衝プレートの面が前記結合面を規定する
    ことを特徴とする請求項21乃至28の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  30. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、その中途に、該アーム部材の揺動軸に沿って延びた緩衝プレート引き付け部を具備し、
    該緩衝プレート引き付け部は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段に抗して前記緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向へ押圧することによって引き込むべくなしてある
    ことを特徴とする請求項29記載の人工衛星結合機構。
  31. 前記緩衝プレートは、前記一対のアーム部材の少なくとも一方の前記緩衝プレート引き付け部による押圧部を、前記一対のアーム部材が互いに離反する方向且つ前記引き込み機構の引き込み方向にテーパ状に形成され、
    前記揺動強制手段は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段の付勢力によって前記テーパ状に形成された押圧部から前記緩衝プレート引き付け部を介して受ける前記アーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への揺動力に抗して、このアーム部材の揺動を規制すべくなしてあることを特徴とする請求項30記載の人工衛星結合機構。
  32. 前記アーム部材付勢手段は、前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造に対する押圧力が前記一対のアーム部材で略同一となるべくその付勢力を設定されることを特徴とする請求項21乃至31の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  33. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、他方のアーム部材に対向する側の面に設けられ、前記引き込み機構の引き込み方向とは略逆方向に向いた押し出し面 を有したラッチ部材を具備し、
    該ラッチ部材の押し出し面は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の端面よりも引き込み方向の位置にある
    ことを特徴とする請求項21乃至32の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  34. 前記ラッチ部材は、対応するアーム部材の中途に揺動自在に設けられ、該対応するアーム部材の略先端部方向に延び、他方のアーム部材に対向する方向に付勢されていることを特徴とする請求項33記載の人工衛星結合機構。
  35. 前記揺動強制手段は、
    前記アーム部材の揺動軸と略平行に延び、揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する側の面に当接された棒状部材と、
    前記揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への前記棒状部材の移動を規制すべく該棒状部材を支持する支持手段と
    を具備し、
    前記支持手段による前記棒状部材の支持を解放することにより、前記揺動を規制するアーム部材の揺動の規制を解除すべくなしてある
    ことを特徴とする請求項21乃至34の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  36. 前記支持手段は、
    前記棒状部材の一端を前記引き込み機構の引き込み方向に沿った軸回りの揺動自在に支持する棒状部材支持手段と、
    両方の棒状部材の他端を結合するワイヤと、
    該ワイヤを切断するワイヤ切断手段と
    を具備することを特徴とする請求項35記載の人工衛星結合機構。
  37. 前記ワイヤ切断手段は、
    前記ワイヤの延設方向に交叉する方向への移動自在に設けられ、その刃部を前記ワイヤに臨んで設けられたカッタと、
    該カッタを爆発力により前記ワイヤに向かって推進する火工品と
    を具備することを特徴とする請求項36記載の人工衛星結合機構。
  38. 上記請求項21乃至37の何れかに記載の人工衛星結合機構を3基備えることを特徴とする宇宙機。
  39. 3基の人工衛星結合機構を前記ターゲット衛星の PAF I/F 又は筒状フレーム構造の周方向に沿って120°おきに等配してあることを特徴とする請求項38記載の宇宙機。
  40. 上記請求項39記載の宇宙機が、その結合面が前記ターゲット衛星の PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に正対していない姿勢から該ターゲット衛星を捕獲する人工衛星結合機構の制御方法であって、
    前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に最も近い位置にある1基の人工衛星結合機構で前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造を捕獲し、
    捕獲した人工衛星結合機構により前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造に回転モーメントを加えて、前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に前記宇宙機の結合面を正対させ、
    残りの2基の人工衛星結合機構で前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造を捕獲する
    ことを特徴とする制御方法。
  41. 宇宙機をターゲット衛星の被結合部に結合すべく、前記宇宙機に設けられる人工衛星結合機構であって、
    少なくとも円周方向内方又は外方に突出部が周設された筒状フレーム構造を有するターゲット衛星との結合面から突出し、互いに略平行な軸回りの揺動自在に設けられ、少なくとも一方が先端部を鉤状に形成された一対のアーム部材と、
    該一対のアーム部材の揺動軸を支持し、前記一対のアーム部材の先端部を前記結合面側に引き込むように、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させる引き込み機構と、
    緩衝プレートと、
    該緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向へ付勢する緩衝プレート付勢手段と
    を備え、
    前記一対のアーム部材の一方を前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する一方、鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の突出部に係合させるように、前記一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、これら一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持して前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてあり、
    前記引き込み機構の引き込み方向とは逆方向の前記緩衝プレートの面が前記結合面を規定し、
    前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、その中途に、該アーム部材の揺動軸に沿って延びた緩衝プレート引き付け部を具備し、
    該緩衝プレート引き付け部は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段に抗して前記緩衝プレートを前記引き込み機構の引き込み方向へ押圧することによって引き込むべくなしてある
    ことを特徴とする人工衛星結合機構。
  42. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、 PAF I/F であることを特徴とする請求項41記載の人工衛星結合機構。
  43. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造は、少なくとも円周方向内方に突出部が周設され、
    鉤状に形成された方のアーム部材を前記筒状フレーム構造の内側に挿入し、これら一対のアーム部材を互いに対向する方向へ揺動させることにより、鉤状に形成された先端部を前記筒状フレームの突出部に係合させて前記ターゲット衛星を捕獲し、
    前記一対のアーム部材で前記筒状フレーム構造を挟持した状態で、前記引き込み機構を駆動することにより、前記筒状フレーム構造の端面を前記結合面に押し付けて前記ターゲット衛星との結合をすべくなしてある
    ことを特徴とする請求項41又は42記載の人工衛星結合機構。
  44. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方の先端部に、該アーム部材の揺動軸に略平行な回転軸を有したローラを設けてあることを特徴とする請求項41乃至43の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  45. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置との前記結合面からのそれぞれの距離を異ならせてあることを特徴とする請求項41乃至44の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  46. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置と、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置とを、前記筒状フレーム構造の軸方向に異ならせてあることを特徴とする請求項41乃至45の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  47. 前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の内側に挿入する方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を2箇所、他方のアーム部材の前記筒状フレーム構造との接触位置を1箇所とし、前者の2箇所の接触位置を前記アーム部材の揺動軸方向に離隔させ、後者の接触位置を前者の2箇所の接触位置の間の位置としてあることを特徴とする請求項41乃至46の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  48. 前記引き込み機構は、ボールねじ機構を具備し、該ボールねじ機構により、前記揺動軸を前記一対のアーム部材と共に移動させるべくなしてあることを特徴とする請求項41乃至47の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  49. 前記緩衝プレートは、前記一対のアーム部材の少なくとも一方の前記緩衝プレート引き付け部による押圧部を、前記一対のアーム部材が互いに離反する方向且つ 前記引き込み機構の引き込み方向にテーパ状に形成され、
    前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記緩衝プレート付勢手段の付勢力によって前記テーパ状に形成された押圧部から前記緩衝プレート引き付け部を介して受ける前記アーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への揺動力に抗して、このアーム部材の揺動を規制する揺動強制手段を設けたことを特徴とする請求項41乃至48の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  50. 前記一対のアーム部材の少なくとも一方は、他方のアーム部材に対向する側の面に設けられ、前記引き込み機構の引き込み方向とは略逆方向に向いた押し出し面を有したラッチ部材を具備し、
    該ラッチ部材の押し出し面は、前記一対のアーム部材が引き込まれた位置にあるときに、前記ターゲット衛星の筒状フレーム構造の端面よりも引き込み方向の位置にある
    ことを特徴とする請求項41乃至49の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  51. 前記ラッチ部材は、対応するアーム部材の中途に揺動自在に設けられ、該対応するアーム部材の略先端部方向に延び、他方のアーム部材に対向する方向に付勢されていることを特徴とする請求項50記載の人工衛星結合機構。
  52. 前記揺動強制手段は、
    前記アーム部材の揺動軸と略平行に延び、揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する側の面に当接された棒状部材と、
    前記揺動を規制するアーム部材の他方のアーム部材から離反する方向への前記棒状部材の移動を規制すべく該棒状部材を支持する支持手段と
    を具備し、
    前記支持手段による前記棒状部材の支持を解放することにより、前記揺動を規制するアーム部材の揺動の規制を解除すべくなしてある
    ことを特徴とする請求項41乃至51の何れかに記載の人工衛星結合機構。
  53. 前記支持手段は、
    前記棒状部材の一端を前記引き込み機構の引き込み方向に沿った軸回りの揺動自在に支持する棒状部材支持手段と、
    両方の棒状部材の他端を結合するワイヤと、
    該ワイヤを切断するワイヤ切断手段と
    を具備することを特徴とする請求項52記載の人工衛星結合機構。
  54. 前記ワイヤ切断手段は、
    前記ワイヤの延設方向に交叉する方向への移動自在に設けられ、その刃部を前記ワイヤに臨んで設けられたカッタと、
    該カッタを爆発力により前記ワイヤに向かって推進する火工品と
    を具備することを特徴とする請求項53記載の人工衛星結合機構。
  55. 上記請求項41乃至54の何れかに記載の人工衛星結合機構を3基備えることを特徴とする宇宙機。
  56. 3基の人工衛星結合機構を前記ターゲット衛星の PAF I/F 又は筒状フレーム構造の周方向に沿って120°おきに等配してあることを特徴とする請求項55記載の宇宙機。
  57. 上記請求項56記載の宇宙機が、その結合面が前記ターゲット衛星の PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に正対していない姿勢から該ターゲット衛星を捕獲する人工衛星結合機構の制御方法であって、
    前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に最も近い位置にある1基の人工衛星結合機構で前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造を捕獲し、
    捕獲した人工衛星結合機構により前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造に回転モーメントを加えて、前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造の端面に前記宇宙機の結合面を正対させ、
    残りの2基の人工衛星結合機構で前記 PAF I/F 又は筒状フレーム構造を捕獲する
    ことを特徴とする制御方法。
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