JP3737223B2 - 針状ころ軸受用保持器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、削り出し型等の針状ころ軸受用保持器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、削り出し型の針状ころ軸受用保持器として、図4に示すように、保持器50のポケット51の両側面における外径縁および内径縁に、ころ止め爪52,53を設けたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記各ころ止め爪52,53は、ローレット加工等で形成されるが、ころ54は、図5のように外径側からポケット51内に組み込まれるため、外径側のころ止め爪52は、この組み込み過程でころ54に強く押され、これによって、ころ止め爪52の先端に、内側へ屈曲した捲くれ部が52aが生じることがある。このように捲くれ部52aが生じると、転動時にころ54の円滑な回転の妨げとなることがある。
そのため、外径側のころ止め爪52は、先端を厚く形成することが望ましいが、ローレット加工等の塑性加工ではそのような先端が厚い形状に形成することでできない。また、旋削等の機械加工によっても、生産性を考えると、前記の先端の厚い爪形状を加工することは難しい。
【0004】
この発明は、上記課題を解消するものであり、ころ止め爪がころの組込み時に変形することがなく、生産も容易に行える針状ころ軸受用保持器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の針状ころ軸受用保持器は、円筒状をなし、円周方向複数箇所にころ収容用のポケットが形成された金属製の針状ころ軸受用保持器において、前記ポケット内の両側面における外径縁および内径縁に突出するころ止め爪を設け、硬化処理された外径縁のころ止め爪の先端面を破断面としたことを特徴とする。
この構成によると、ころ止め爪の先端を破断面に形成したため、ころ止め爪の先端が、ころの組み込みによって変形しない程度に、ある程度の厚みを有するものとなる。そのため、組み込み時のころ止め爪の変形よって、転動時のころの回転不良が生じるということがない。また、生産過程では、ころ止め爪は先端部が先鋭に形成されていても良く、そのような先鋭な薄肉部分は、硬化処理時に脆くなって容易に破断することができる。そのため、先端部がある程度厚肉となったころ止め爪を容易に形成することができる。
【0006】
この発明は、削り出し型の保持器の場合に効果的である。また、前記硬化処理部は軟窒化処理部とすることが好ましい。このように、硬化処理を窒化処理で行うと、ころ止め爪の先端薄肉部分を、容易に破断できる程度に脆くする処理が簡単に実現される。また、軟窒化処理部からなる硬化処理部は、爪の耐摩耗性も向上させる。
【0007】
この発明の針状ころ軸受用保持器の製造方法は、円筒状をなし、円周方向複数箇所にころ収容用のポケットが形成され、前記ポケット内の両側面における外径縁および内径縁に突出するころ止め爪を形成した保持器半加工品を準備する過程と、この保持器半加工品を硬化処理する過程と、その硬化処理された外径縁のころ止め爪の先端を破断する過程とを含む方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。この針状ころ軸受用保持器1は、鋼材等の削り出し保持器であり、円筒状をなし、円周方向複数箇所にころ収容用のポケット2が形成されている。保持器1の外径面は、ポケット2の両端よりも端部側の部分が外径側に突出する断面形状とされ、かつポケット2の長さ範囲の両端近傍に、一対の突条3が円周方向に延びて形成されている。保持器1の内径面は平坦面とされ、かつ外径面の前記各突条3と対応する軸方向位置に、溝4が円周方向に延びて形成されている。
ポケット2は、長さ方向の中間部分が幅広に形成され、ポケット内面の両側面における外径縁および内径縁に、前記突条3および溝4の底部から延びてころ止め爪5,6が形成されている。これらころ止め爪5,6は、後に図3と共に説明するローレット加工等の塑性加工で形成したものである。保持器1は、軟窒化処理等で硬化してあり、硬化によって脆くなった外径側のころ止め爪5の先端部分5bを破断して先端面を破断面Sとしてある。保持器1の硬化処理は、保持器1の全体につき行うが、ころ止め爪5だけを硬化処理しても良い。
【0009】
図2はこの保持器1の製造方法の各過程を示す。まず、所定長さに切断したパイプ材W(図2(A))の外径面を旋削し(同図(B))、プレス加工等でポケット2の形成、すなわちポケット抜きを行う(同図(C))。この後、各ころ止め爪5,6の爪出しを行う(同図(D))。この爪出しに際しては、前記の工程まで加工された保持器半加工品1Aを、図3に示すように、外,内の回転工具21,22により、突条3の外径面および溝4の底面が加圧されるように挟み、これによりローレット加工等の塑性加工を行うことで、ポケット2の内側へ各爪5,6を押し出すように成形する。
【0010】
このように爪出しを行った保持器半加工品1Aを、軟窒化処理等の処理方法で硬化処理し(図2(E))、外径側のころ止め爪5につき、その先端部分5bを破断する(図2(F))。この場合に、前記のように塑性加工で形成した外径側の爪5は、図1(C)に鎖線で示すように、先端部が先鋭となって薄肉となっており、そのため硬化処理で脆くなる。この脆くなった先端部分5bを破断し、ころ止め爪5の先端部形状を、先端面が破断面Sとなってある程度の肉厚を有する形状とする。このようにして完成した保持器1の各ポケット2に、外径側からころ7を組込み、軸受、すなわち保持器付き針状ころが完成する(図2(G))。
【0011】
この構成の保持器1によると、外径側のころ止め爪5の先端を破断面に形成したため、ころ止め爪5の先端が、ころ7の組み込みによって変形しない程度に、ある程度の厚みを有するものとなる。そのため、転動時のころ7の回転不良が防止さる。また、生産過程では、ころ止め爪5を硬化処理してその先端を脆くし、脆くなった部分を破断するようにしたため、先端がある程度厚肉となったころ止め爪5を容易に形成することができる。そのため生産性が良い。
【0012】
【発明の効果】
この発明の針状ころ軸受用保持器は、硬化処理された外径縁のころ止め爪の先端面を破断面としたため、ころ止め爪の先端がある程度の厚みを有するものとなり、ころの組込み時に変形することがなくて、転動時の回転不良が防止される。しかも、このような先端にある程度の厚みを有する爪形状に容易に加工できる。この発明の針状ころ軸受用保持器の製造方法は、保持器半加工品を硬化処理する過程と、その硬化処理されたころ止め爪の先端を破断する過程とを含む方法であるため、前記ころ止め爪の先端部を、ころ組み込み時に変形することがない程度の厚みに加工することが簡単に行える。そのため、ころ止め爪の変形による回転障害が生じることのない保持器を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる針状ころ軸受用保持器の一部省略断面図、(B)は同図(A)のB−B線拡大断面図、(C)は同図(B)のC部をさらに拡大して示す部分断面図である。
【図2】同針状ころ軸受用保持器の製造方法の工程説明図である。
【図3】同製造方法における爪出し工程の説明図である。
【図4】(A)は従来例の部分断面図、(B)はそのD−D線拡大断面図である。
【図5】従来例の問題点の説明図である。
【符号の説明】
1…保持器
1A…保持器半加工品
2…ポケット
3…突条
4…溝
5…外径側のころ止め爪
5b…先端部分
6…内径側のころ止め爪
7…ころ
S…破断面
Claims (3)
- 円筒状をなし、円周方向複数箇所にころ収容用のポケットが形成された金属製の針状ころ軸受用保持器において、前記ポケット内の両側面における外径縁および内径縁に突出するころ止め爪を設け、硬化処理された外径縁のころ止め爪の先端面を破断面としたことを特徴とする針状ころ軸受用保持器。
- 針状ころ軸受用の削り出し型の保持器であって、前記硬化処理部を軟窒化処理部とした請求項1記載の針状ころ軸受用保持器。
- 円筒状をなし、円周方向複数箇所にころ収容用のポケットが形成され、前記ポケット内の両側面における外径縁および内径縁に突出するころ止め爪を形成した保持器半加工品を準備する過程と、この保持器半加工品を硬化処理する過程と、その硬化処理された外径縁のころ止め爪の先端を破断する過程とを含む針状ころ軸受用保持器の製造方法。
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JP28751196A JP3737223B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 針状ころ軸受用保持器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP28751196A JP3737223B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 針状ころ軸受用保持器およびその製造方法 |
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Family
ID=17718296
Family Applications (1)
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JP28751196A Expired - Lifetime JP3737223B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 針状ころ軸受用保持器およびその製造方法 |
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