JP3736713B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電子写真複写機・プリンタ等の電子写真プロセスを利用する画像形成装置に関するものであり、特にトナー像を転写用紙等の記録材に定着させるための定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真プロセスを利用した画像形成装置は周知である。この画像形成装置は、基本的には、ドラム状の感光体等からなる像坦持体の周囲に帯電器、露光装置、現像装置、転写手段、除電装置、クリーニング装置等が順次配置された構成とされている。そして、前記像坦持体を帯電器で帯電した後、原稿光で露光することにより該像坦持体上に静電潜像を形成し、次に、この静電潜像を現像装置で現像してトナー像を得、これを転写手段によって転写用紙等の記録材に転写して未定着トナー像を該記録材上に形成した後に、像坦持体から所定距離離隔した位置に配設された定着装置によって定着を行い定着トナー像を得るようにされている。
【0003】
前記定着装置としては、加熱ローラ及び加圧ローラを備えた定着装置が一般的であるが、そのような定着装置を用いて未定着トナー像を記録材に定着固定する際、該記録材が吸湿等して含水状態にある場合等は、加熱ローラによって記録材が加熱されて記録材中の水分が蒸発して気流が発生し、この気流によって記録材上のトナーの配置が乱れてトナーの飛び散りがみられることがある。
【0004】
そこで、特開平7−199688号公報に示されるように、トナ一補給直後や電源投入直後のようにトナーの保持電荷量が十分でない場合は、転写ローラ等に対するバイアスを高めて記録材のトナーに対する保持力を高める方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、定着装置内でのトナーの飛び散りは、トナ一補給直後や電源投入直後でなくとも発生することが確認されている。また、上記従来技術においては、定着装置内においてトナーの記録材に対する保持力を高める操作は何ら行われていない。
【0006】
ところで、加熱ローラ及び加圧ローラを備えた定着装置においては、未定着トナーの記録材への定着の際に一部のトナーが加熱ローラに付着する、いわゆるオフセット現象が生じることがある。
【0007】
そこで、定着の際のオフセット対策として、特開平5−6113号公報又は特開平5−224546号公報では定着装置内の加圧ローラにトナーの帯電極性とは逆極性のバイアスを印加することが提案されている。そして、加圧ローラにバイアスを印加することは加熱ローラ表面でのオフセットの防止のみならず、上記した記録材上でのトナ一の飛び散りに対しても有効であることが確認されている。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしがなら、定着装置内の加圧ローラにバイアスを印加する場合、次のような問題の有ることが判った。
【0009】
すなわち、加圧ローラに対するバイアス印加電圧が高いほど記録材上のトナ一飛び散りに対する抑制効果は大きいが、吸湿等により高含水状態となり電気的に低抵抗となった記録材の場合、加圧ローラに対する印加電圧を大きくすると、該記録材を介して転写手段に電流が流れ込んでしまう。そのような場合は、転写部での電流が必要以上に大きくなり、転写部でトナーのにじみが発生してしまうおそれがある。したがって、加圧ローラに印加するバイアス電圧を高くすることが出来ず、通常の乾燥した転写用紙等の高抵抗記録材に対してのトナ一飛び散りに対する防止効果を確保することが十分ではなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決することをその目的とするものであり、そのために本発明では、未定着トナー像を坦持する像坦持体と、前記未定着トナー像を記録材に転写する転写手段と、加熱ローラ及び加圧ローラからなる定着装置と、前記加圧ローラに前記未定着トナーと逆極性の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた画像形成装置において、前記加圧ローラに電圧を印加した際に流れる電流値を、予め設定した設定電流値以下に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、上記のような構成を採用することにより、吸湿等によって高含水状態となっている低抵抗記録材を使用した場合であっても、定着装置内でのトナ一飛び散り防止の効果を維持したまま、転写部でのトナーにじみの発生しない、理想的なバイアス電圧及び電流の関係を実現することが可能である。
【0013】
また、そのための制御手段として、電流リミッタを採用してもよい
【0014】
【実施例】
以下、図面を参照しつつ実施例に基づいて本発明の特徴を具体的に説明する。ただし、本発明を実施例に限定するものではない。
【0015】
第1図は、本発明の画像形成装置の実施例としてのレーザ・ビーム・プリンタの概略構成を表した概略側面図である。
【0016】
このレーザ・ビーム・プリンタは、図示しないレーザ露光装置を備えており、このレーザ露光装置から出力されたレーザ・ビームは、セレン又は有機光導電体からなる感光体ドラム1を主走査方向、すなわち感光体ドラム1の幅方向に繰り返し走査する。また、感光体ドラム1の副走査方向、すなわち円周方向の走査は感光体ドラム1が回転することにより行われる。
【0017】
この露光位置よりも、わずかに手前には、感光体ドラム1に対抗して帯電ローラ2が配置されており、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させるようになっている。本実施例では、帯電ローラ2には交流電圧にマイナスの直流バイアス電圧を重畳したものを印加しており、レーザ・ビームは感光体ドラム上の画像部分(記録材上でトナーが乗る部分)を露光して、静電潜像を形成する。
【0018】
この静電潜像は、露光側よりも下流側の感光体ドラム1表面上で現像装置3によって現像され、トナー像となる。現像装置3内には、現像ロールや、カートリッジ内の一成分又は二成分系のトナーを現像ロールに供給するためのトナ一供給装置等の部品が配置されている。本実施例では、現像装置3には、交流電圧にマイナス直流バイアス電圧を重畳したものが印加されており、現像装置3内のトナーは負に帯電しているので、反転現像が行われてトナー像が形成される。現像装置3によって現像されたトナ一像は、転写手段である転写ローラ4に対向する位置まで移動し、ここで記録材としての転写用紙5に静電的に転写されることとなる。
【0019】
転写用紙5は、図示しないカセット等の給紙手段から給紙ロール6を介して一枚ずつ繰り出され、レジロール7により感光体ドラム1と同期をとって送り出され、所望のタイミングで感光体ドラム1と転写ローラ4の間を通過する。そして、この通過の時点だけ、転写ローラ4には図示しない電源からプラス直流バイアス電圧が印加されて、前記トナ一像の転写用紙5への転写が行なわれる。転写手段としては、転写ローラ4のみに限られず、コロナ放電器によるコロトロン転写を採用してもよい。
【0020】
一方、転写用紙5へ転写されずに感光体ドラム1の表面上に残ったトナーは感光体ドラム1に対向して配置されたクリーニング装置8によって清掃され、該表面から除去される。また、感光体ドラム1は再び帯電ローラ2で、規定の帯電を受け次の画像形成サイクルに移る。
【0021】
転写の行なわれた転写用紙5は、転写ローラ4の下流側に配置された除電装置9によってその背面から除電され、感光体ドラム表面1から剥離される。剥離された転写用紙5は加熱ローラ10と加圧ローラ11の対からなる定着装置12に運ばれる。加熱ロール10の内部には、加熱手段としてのランプ13の対が配設されており、図示しない電源から供給される電力により加熱ローラ10の表面を加熱する。なお、加熱ローラ10の表面には図示しない温度センサが近接配置されており、該温度センサの出力は制御装置(図示せず)にフィードバックされ、加熱ローラ10の表面を一定温度に制御している。
【0022】
定着装置12では転写用紙5が所定幅でニップしている加熱ローラ10と加圧ローラ11の間を通過する。このとき転写用紙5の前記トナ一像が転写された側が加熱ローラ10に面するように移送される。加圧ローラ11は所定の圧力で加熱ローラ10に押圧されているので、転写用紙5上のトナ一像は加熱ローラ10から加熱されると共に、加圧ローラ11からの加圧力を受けて転写用紙5面に熱定着される。
【0023】
なお、上記したレーザ・ビーム・プリンタの実施例においては反転現像を行っているが、帯電ローラ2に対して交流電圧にプラスの直流バイアス電圧を重畳したものを印加すると共に感光体ドラム1上の静電潜像が形成されるべき以外の部分を露光して負に帯電したトナーで現像することによって、未露光部分にトナーを乗せて現像するいわゆる正規現像を行ってもよい。この場合は、帯電ローラ2への電源を転写ローラ4と共通化することが可能となる。
【0024】
次に、本発明の主要部分である定着装置12について、図2〜を参照しつつ、更に詳細な説明を行う。図2は、本発明の定着装置において加圧ロールに流れる電流制御機構の態様の概略を示す断面図である。は、それぞれ、加圧ローラ11への印加電圧に対する、記録材上のトナー飛び散り、トナーにじみ及び記録材への流出電流の関係を示す図である。
【0025】
定着装置12が駆動されている間、加圧ローラ11にはトナーの帯電特性とは逆特性のバイアス電圧が印加されている。本実施例においては、加熱ローラ10の表面を絶縁性皮膜14で被い芯金15を接地すると共に、加圧ローラ11の表面を導電性皮膜16で被い、給電ブラシ17を介してプラス電流バイアス電圧を印加することとしている。このとき、記録材上の未定着トナーは負に帯電している。
【0026】
このように、加圧ローラ11にトナーの帯電特性とは逆のバイアス電圧を印加することにより、加熱ローラ10と加圧ローラ11のニップ部において、加圧ローラ11の導電性皮膜16側に正極性電荷が蓄えられる一方、加熱ローラ10の芯金15側には負極性電荷が誘起される。したがって、記録材上のトナー像を構成する負極性トナーを加熱ローラ10から反発する電界が形成され、加熱ローラ10でのトナーのオフセット現象を防止することができる。
【0027】
そして、加熱ローラ10に対するトナーオフセットをより効果的に防止するために、本発明の加熱ローラ10としてはフッ素系樹脂をコーティングした熱ローラあるいはシリコーン系樹脂をコーティングした熱ローラを用いることが好ましい。前記コーティングに熱伝導性の高いフィラーを含有させてもかまわない。なお、加熱ローラ10の芯金15としてはFe、Al、Cu等を用いることができる。
【0028】
ところで、加熱ローラ等を使用した定着装置においてトナーを加熱すると、何らかの原因でトナーの電荷量が十分でない場合又は転写用紙の含水状態が高い場合等は、転写用紙等の記録材中の水分の蒸発により発生する風によって該記録材上のトナーの配置が乱れて、トナーが飛び散る現象が発生することがあるが、上記のように、加圧ローラ11にトナーの帯電特性とは逆特性のバイアス電圧を印加することにより、トナーを記録材側に引きつけてトナーの飛び散りを抑えることができる。すなわち、図に示すように、加圧ローラ11に対する印加電圧を高くすることにより、記録材の種類及びその含水状態によって、現れる効果の程度に違いがあるものの、トナーの飛び散りを抑えることが確認できる。トナーの飛び散り防止の効果は印加電圧が高いほど顕著である。
【0029】
しかしながら、吸湿等して含水率の高い記録材を使用した場合は、以下のような問題が発生する。すなわち、トナーの飛び散りを抑えるために加圧ローラ11に対する印加電圧を高くしたときに、記録材の種類等によって程度の違いこそあるものの、今度は記録材上の画像部分でトナーのにじみが発生する。図に示されるように、このトナーにじみ現象は加圧ローラ11に対する印加電圧が高くなるほど急速に悪化する。
【0030】
この原因は以下のように考えられる。高湿度の環境下で含水した記録材は電気抵抗が低下しているので、加圧ローラ11に高バイアス電圧を印加した場合には該記録材を介して多量の電流が感光体ドラム1と転写ローラ4の間の転写部に流入する。そして、該転写部での電流が必要以上に大きくなるためにトナーのにじみが発生するのである。このことは、加圧ロール11に対する印加電圧に対する記録材を流れる電流値の関係を示す図によって確認することができる。
【0031】
そこで、本実施例においては、加圧ロール11に流れる電流を制限している。図2に示す態様では、加圧ロール11の導電性皮膜16に対向する給電ブラシ17に、定電圧電源20を電流リミッタ21を介して接続している。なお、定電圧電源20は接地されており、正のバイアス電圧を給電ブラシ17を介して加圧ローラ11に供給することとされている。
【0032】
以下、図2に示す態様について説明する。
【0035】
2に示す態様では、定電圧電源20より定電圧を印加する経路上に電流リミッタ21を配設している。電流リミッタ21としては、トランジスタ、ダイオード又は抵抗等の一般的な電気素子を用いた電気回路を適宜用いることが可能である。この態様では、加圧ロール11へ供給される電流が予め設定された設定電流値を超えると、電流リミッタ20が作動して、加圧ロール11へ流れる電流を所定値以下に制限する。
【0036】
なお、上記の態様においては給電ブラシ17を介して加圧ローラ11にバイアス電圧を印加しているが、加圧ローラ11の芯金に直接バイアス電圧を印加してもよい。ただし、その場合は、加圧ローラ11の導電性皮膜16上での電圧値が所望の電圧値よりも低くなり、記録材を介して転写部へ流入する電流量を該転写部においてトナーにじみの発生しない程度に抑制することができたとしても、その一方で、定着装置12内でのトナ一飛び散りに対する抑制効果が低くなってしまうおそれがある。したがって、加圧ローラ11の表面の導電性皮膜16に直接バイアス電圧を印加する方がより効果的である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、吸湿等によって高含水状態となっている低抵抗記録材を使用した場合であっても、定着装置内でのトナ一飛び散り防止の効果を維持したまま、転写部でのトナーにじみの発生しない、理想的なバイアス電圧及び電流の関係を実現することが可能である。
【0038】
なお、転写手段として従来のコロナ放電器を使用した場合であっても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例としてのレーザ・ビーム・プリンタの概略構成を示した断面図。
【図2】 本発明の定着装置において加圧ローラに流れる電流制御機構の態様の概略を示す断面図
【図3】 加圧ローラへの印加電圧と定着時のトナ一飛び散りの関係
【図4】 加圧ローラへの印加電圧と転写時のトナーにじみの関係
【図5】 加圧ローラへの印加電圧と転写用紙を流れる電流の関係
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 転写ローラ
5 転写用紙
6 給紙ロール
7 レジロール
8 クリーニング装置
9 除電装置
10 加熱ローラ
11 加圧ローラ
12 定着装置
13 ランプ
14 絶縁性皮膜14
15 芯金
16 導電性皮膜
17 給電ブラシ
20 定電圧電源
21 電流リミッタ

Claims (2)

  1. 未定着トナー像を坦持する像坦持体と、前記未定着トナー像を記録材に転写する転写手段と、加熱ローラ及び加圧ローラからなる定着装置と、前記加圧ローラに前記未定着トナーと逆極性の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた画像形成装置において、
    前記加圧ローラに電圧を印加した際に流れる電流値を、予め設定した設定電流値以下に制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段が電流リミッタであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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