JP3736335B2 - ビデオプロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、前面にレンズを有するビデオプロジェクタの換気構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭やオフィスにおいてビデオ映像をスクリーンに投影して鑑賞するためのビデオプロジェクタが実用化されている。ビデオプロジェクタは、大きいスクリーンに映像を投影するため光量の大きい光源を内蔵している。光源はたとえば白熱電球であり150ワット前後の電力を消費するものである。また、映像信号を処理するための電子回路の消費電力も50ワットを超え、装置全体として200ワットを超える電力を消費し、内部の発熱量は相当なものである。
【0003】
このため、自然換気では放熱が不十分であるため、電動ファンを用いて強制的に外気を導入または内部の熱気を排気し、内部の電子機器およびランプを冷却するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ビデオプロジェクタは、利用者すなわち鑑賞者のすぐそばで使用されるため、換気のノイズが大きいと鑑賞の妨げになり、また、排出される熱気が利用者に当たると不快であるとともに鑑賞の妨げになるという問題点があった。
【0005】
この発明は、換気のノイズを小さくして利用者の利用を妨げないビデオプロジェクタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、装置前面に投影用のレンズを有するビデオプロジェクタにおいて、装置前面の左右いずれか一方の側に設けられた装置内の空気を排気するファンと、他方の側に設けられた排気音を消音するサイレンサと、ファンおよびサイレンサの間を前記レンズの下または上を迂回して接続するダクトと、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ダクトは、レンズを迂回するか所で高さが低くなっているがその分幅が広くなっており、全体にわたって断面積がほぼ同じであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ダクトは、前面側の蓋と背面側の本体とで構成され、本体の背面はほぼ平面であり、蓋は高さの変化にあわせて前後幅が変化し前面が曲面になっていることを特徴とする。
請求項4の発明は、上記発明において、前記サイレンサは、側面に吸気口、前面に排気口を有し、内壁は吸音材で形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、上記発明において、ランプや回路が収納される内部ケースおよびその外側の外装ケースを有し、前記ファンは内部ケースに接続され、ファン、ダクトおよびサイレンサは内部ケースの外側の外装ケース内に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ファンとサイレンサをレンズを隔てて左右に設け、これらファンおよびサイレンサをダクトで接続したことにより、ダクトの長さすなわち排気部の長さを長くすることができ、排気音を小さくすることができる。また、ダクトをレンズの下側または上側を迂回させて設けたことにより、すなわちファン、サイレンサおよびダクトをレンズが設けられている空間を利用して配置したことにより、装置の前後の長さを長くすることなくこれらの装置を設けることができる。また、排気が前面側にされるため、鑑賞者がプロジェクタの後ろで鑑賞する場合に、排気が鑑賞者に当たることを防止している。
また、この発明では、レンズを迂回する部分でダクトの高さを低くして装置の高さが高くならないようにしているが、その分ダクトの前後幅を長くしてダクト全体にわたって断面積がほぼ同じになるようにしている。これによって、ダクトの断面形状が変化しても空気抵抗が増加せず、排気効率が低下しない。また、この場合でも、前後幅の変化を前面側でつけているため、背面側をほぼフラットにすることができ取り付けが容易である。
【0008】
また、この発明では、サイレンサは側面から吸気し、正面から排気するため、空気を90度まげて吸音材に衝突させてから排気することになる。これにより、排気音をより小さくすることができる。
この発明では、ランプや電子回路を内部ケースに収納したことにより、排気部は内部ケースの空気を外部に排出すればよい。これにより、ファン、ダクトおよびサイレンサを内部ケースの外側に設けて、外装ケース内に収めることができ、外観を良くすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照してこの発明の実施形態であるビデオプロジェクタについて説明する。図1は同ビデオプロジェクタの内部構造を示す平面図、図2は同ビデオプロジェクタの外装ケースを外した状態を示す正面図である。このビデオプロジェクタの筐体は樹脂製の外装ケース1で構成されており、この外装ケース1の内部にはアルミ製のシールドケース2が設けられている。このアルミ製のシールドケース2の内部には、電子回路基板4、投影光源用のランプ5、映像再生光学系6が配置されている。同図は、ビデオプロジェクタの前面が上になるように記載しており、シールドケース2内の中央前面側に、映像再生光学系6が設けられ、その前面のシールドケース2の外側に投影用のレンズ7が取り付けられている。映像再生光学系6の正面から見て左側(以下、左右は正面から見た状態で記す。)にはランプ5が設けられている。ランプ5は150ワット程度の白熱灯であり、発熱量の大きいものである。映像再生光学系6はミラー、カラーフィルタ、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス(商標):光スイッチングミラー素子)などを有している。ミラーはカラーフィルタによって色が選択されたランプ光をDMDに導く。カラーフィルタはモータで回転されDMDに三原色を時分割で供給する。DMDは、1024×768画素の微小なミラー素子の集合体であり、映像信号によって各ミラー素子の反射方向が変わることによって映像が再生される。DMD上に再生された映像が投影用のレンズ7によってスクリーン上に投影される。
【0010】
電子回路基板群4は映像処理用の回路基板群4aおよび入力信号処理用の回路基板群4bに別れており、映像処理用の回路基板群4aは映像再生光学系6およびランプ5の後方に設けられている。また、入力信号処理用の回路基板群4bはシールドケース2の右側に設けられている。装置の右側面には、各種の映像信号を入力信号処理用の回路基板群4bに入力する入力端子が設けられている。
【0011】
外装ケース1の背面には2つの吸気口1aが設けられており、前面右側には1つの排気口1bが設けられている。またシールドケース2の背面には1つの吸気口2aが設けられており、前面左側には1つの排気口2bが設けられている。シールドケース2の排気口2bは、最も発熱量の大きいランプ5の前面に設けられている。
【0012】
吸気口1a,2aが設けられている装置背面部において、外装ケース1とシールドケース2との間隔は十分に広くとられ、吸気チャンバ3が形成されている。そして、外装ケース1の吸気口1aはケース背面の左右に2つ設けられ、シールドケース2の吸気口2aはケース背面の中央に1つ設けられている。これにより、外装ケース1の吸気口1aとシールドケース2の吸気口2aとが音響的に直接つながらず、ケース内部の換気音が背面から外部に殆ど漏れなくなる。換気音としてはファンの音、カラーフィルタを回転させるモータ音、装置内の各部を空気が流れるときの風切り音などがある。なお、外装ケース1の2つの吸気口1aには、それぞれ連続気泡のスポンジからなるフィルタ11が設けられている。
【0013】
このように装置の各動作部を収納する筐体を外装ケース1、シールドケース2の二重構造とし、吸気部において、外装ケース1とシールドケース2との間隔を開けて吸気チャンバ3を形成し、且つ、外装ケース1の吸気口1aとシールドケース2の吸気口2aをずらせて配置したことにより、装置の消音化に寄与することができる。この構成により、吸気口から漏れるノイズを2dB抑制することができた。
【0014】
装置前面において、シールドケース2と外装ケース1との間には排気用のモータファンユニット8、ダクト9およびサイレンサ10が設けられている。モータファンユニット8は、ダクト9のファンケース部9aに収納され、シールドケース2の排気口2bに対向して設けられている。このモータファンユニット8は、図4に示すように、側面から吸入した空気を周方向に排出するいわゆるシロッコファン83(図4参照)を備えたファンユニットであり、シールドケース2内の空気を吸入してダクト9のダクト本体部9bに排出する。これにより、ランプ5が発生した熱はシールドケース2内に流れることなく外部に排出される。ダクト本体部9bは、装置前面の外装ケース1とシールドケース2の間でレンズ7の下側を迂回するようにして左側のファンケース9aと右側のサイレンサ10をつないでいる。レンズ7を迂回することにより、レンズを中央に配置して操作性を良くすることができるとともに、ファンケース9aおよびサイレンサを左右に配置してダクト長を長くして消音効果を向上させることができる。サイレンサ10では、ダクト9から流入した空気を吸音材に衝突させたのち排気口から排出する。外装ケース1の排気口1bはグリル状になっている。
なお、信号処理用の回路基板群4b側にも小型のファン12が設けられており、このファンとサイレンサ10とはシールドケース2に開設された小排気口2cを介して接続されている。
【0015】
図3は、ダクト9の平面図および正面図である。この図ではサイレンサ10を取り付けた状態を示している。ダクト9は、ファンケース部9aおよびダクト本体部9bからなっている。ファンケース部9aは、シロッコファンを備えたモータファンユニット8を内蔵し、背面側すなわちシールドケース2側に開口部を有している。この開口部を介してシールドケース2内の空気を吸入し、ダクト本体部9bに排出する。ダクト本体部9bは、ファンケース部9aとサイレンサ10とをレンズ7の下を迂回して接続している。レンズ7を迂回する湾曲部でダクト本体部9bは、高さが低くなっているが、その分奥行きが大きくなっており、ダクト本体部9b全体で断面積がほぼ同じになるようにされている。
【0016】
同図(A)の平面図において、ダクト9は本体20および蓋21で構成されており、本体20は、その背面が3つの平面で構成されており、その中央部の平面はファンケース部9aの背面と同一平面上に並ぶようにされている。これにより、ダクト9のシールドケース2への取り付けを容易にしている。一方、蓋21はダクト本体部9bの中央部付近で手前に盛り上げて奥行きが大きくなっている。これによって高さが低くなっている湾曲部の断面積を他の部分と同じにしている。蓋21の奥行きは、ダクトの高さが低くなるのに合わせて大きくなっており、これによって本体20および蓋21を組み合わせたとき、ダクト本体部9bの全体にわたって断面積がほぼ同じになる。このように断面形状が変化しても断面積がほぼ同じであるため、排気される空気の圧力変化がなく流体抵抗が大きくならない。また、この奥行きの変化を殆ど蓋21側で形成しているため、本体20の背面を平らにすることができ、ダクト9のシールドケース2への取り付けが容易になる。
【0017】
図4はモータファンユニット8の正面図および背面図である。ファンケース9a内では同図(A)に示した正面が開口部側(シールドケース側)になるように取り付けられる。このモータファンユニット8は、モータ(不図示)で駆動されるシロッコファン83と、巻き貝形のケーシング80を有している。ケーシング80は、正面に円形の吸気口84を有し、側面に排気口85を有している。シロッコファン83は、吸気口84の周にそって回転するよう設けられている。ケーシング80には突出部である取付部81が2か所形成されており、この取付部81に取付用のネジ穴82が開設されている。2か所の取付部81はシロッコファン83の回転軸83cに対して対称の位置に形成されており、シロッコファン83が回転したときの揺動を支えることができるようになっている。
【0018】
なお、このビデオプロジェクタにおいては、ネジ穴82にネジを通してモータファンユニット8を取り付ける方式ではなく、このネジ穴82の両側にゲル状緩衝材19(図5参照)を張りつけ、このゲル状緩衝材19を介してファンケース9aに取り付けられる。ゲル状緩衝材としては、ソルボセイン(商標)などが用いられる。
【0019】
図5はダクト9のうち、本体20側のファンケース9aの内部を示す図である。ファンケース9aの壁面にはモータファンユニット8のケーシング80の吸気口84に合わせて開口部93が開設されており、開口部93の周囲にはモータファンユニット8とファンケース9aとの隙間を塞ぐための周状のリブ91が形成されている。ただし、このリブ91はモータファンユニット8のケーシング80に接触しないように設けられている。また、この開口部の外側にはシールドケース2の排気口2bに嵌合する矩形のリブ92が形成されている。内部に収納されるモータファンユニット8の排気口85はファンケース9aとダクト本体部9bの接続部94に対向するように取り付けられる。接続部94では、モータファンユニット8とファンケース9aとが極めて近接し(接触はしない)、ダクト本体部9bはモータファンユニット8の排出口85と同じ内法になるように形成されているため、モータファンユニット8の排気は殆ど漏れることなくダクト本体部9bに排出される。
【0020】
同図(B)の断面図に示すように、モータファンユニット8は、その取付部82とファンケース9aの受け部90との間にゲル状緩衝材19を介在させて支持されている。また、吸気口84、排気口85においてもモータファンユニット8は、ファンケース9aに接触していない。これにより、モータファンユニット8の回転による振動は、ゲル状緩衝材19で吸収され、ダクト9やシールドケース2に伝達しない。これによってファンノイズを軽減している。
【0021】
なお、ゲル状緩衝材19はそれ自体で粘着性があるためモータファンユニット8(ケーシング80)の取付部81およびファンケース9aの内側に圧着させるのみで固定可能であり、横方向への振動はゲル状緩衝材19の剪断方向の変形で吸収するようにしている。
【0022】
なお、受け部90を同図(C)のように凹部で構成するとともに、円板状のゲル状緩衝材19の一方の面の中央を盛り上げてこれを取付部81のネジ穴82にはめ込み、他方をファンケース9aの凹部になっている受け部90にはめ込むことでさらに横方向へのズレを防止することができる。
【0023】
図6は、サイレンサ10の内部構造を示す図である。この図は、サイレンサ10の蓋を取り外した状態の正面図である。サイレンサ内部は2室に分割されており、上側の消音室72は、吸気口74を介してダクト9に接続されている。また、下側の消音室73は、吸気口75を介して前記信号処理用の回路基板群4b側に設けられた小排気口2cに接続されている。また図2,図3に示すように、サイレンサ10の蓋には消音室72の排気口70および消音室83の排気口71が設けられている。サイレンサ10の内部はウレタンスポンジなどの吸音材76で内貼りされている。吸気口74から排気口71への経路は90度折れ曲がっており、ダクト9から流入した空気は吸音材76に衝突して方向を変えたのち排気口71から排出される。また、吸気口75から排気口72への経路はクランク状に折れ曲がっており、吸気口75から流入した空気は吸音材76に衝突して2回方向を変えたのち排気口72から排出される。このように排気の方向を変え、排出される空気が吸音材76に衝突してから排出されるようにしたことにより、ファンノイズや排気ノイズを軽減することができる。
【0024】
この実施形態では、映像再生光学系6にDLP素子を用いたが、液晶ディスプレイ素子など他の素子を用いてもよい。また、ダクト9をレンズ7の上側を迂回させるようにしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、装置前面のレンズの左右にファンおよびサイレンサを設け、これらをダクトで接続したことにより排気部の長さを長くすることができファンノイズを小さくすることができる。この場合に、ダクトをレンズの下側または上側を迂回させるようにしたことにより、装置のサイズを大きくすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるビデオプロジェクタの内部構造を示す平面図
【図2】ビデオプロジェクタの内部構造を示す正面図
【図3】ビデオプロジェクタのダクトの外観図
【図4】ダクトに収納されるファンの外観図
【図5】ダクトのファンケース部の内部構造図
【図6】ビデオプロジェクタのサイレンサの内部構造図
【符号の説明】
1…外装ケース、1a…吸気口、1b…排気口、2…シールドケース、2a…吸気口、2b…排気口、2c…小排気口、3…吸気チャンバ、4…回路基板群、4a…映像再生用回路基板群、4b…信号処理用回路基板群、5…ランプ(ハウス)、6…映像再生光学系、7…レンズ、8…ファン、9…ダクト、9a…ファンケース部、9b…ダクト本体部、10…サイレンサ、11…フィルタ、12…小型ファン、19…ゲル状緩衝材、
20…(ダクト9の)本体、21…蓋、
70,71…(サイレンサ10の)排気口、72,73…消音室、74,75…吸気口、76…吸音材、
80…(モータファンユニット8の)ケーシング、81…取付部、82…ネジ穴、83…シロッコファン、84…吸気口、85…排気口、
90…(ゲル状緩衝材19を受ける)受け部、91…(モータファンユニット8に対向する)リブ、92…(シールドケース2に対向する)リブ、93…開口部、94…(ファンケース部9aとダクト本体部9bの)接続部、95…(本体20と蓋21を接続する)ネジ穴
Claims (5)
- 装置前面に投影用のレンズを有するビデオプロジェクタにおいて、
装置前面の左右いずれか一方の側に設けられた、装置内の空気を排気するファンと、
他方の側に設けられた、排気音を消音するサイレンサと、
ファンおよびサイレンサの間を、前記レンズの下または上を迂回して接続するダクトと、
を備えたビデオプロジェクタ。 - 前記ダクトは、レンズを迂回するか所で高さが低くなっているがその分幅が広くなっており、全体にわたって断面積がほぼ同じである請求項1に記載のビデオプロジェクタ。
- 前記ダクトは、前面側の蓋と背面側の本体とで構成され、本体の背面はほぼ平面であり、蓋は高さの変化にあわせて前後幅が変化し前面が曲面になっている請求項2に記載のビデオプロジェクタ。
- 前記サイレンサは、側面に吸気口、前面に排気口を有し、内壁は吸音材で形成されている請求項1、請求項2または請求項3に記載のビデオプロジェクタ。
- ランプや回路が収納される内部ケース、および、その外側の外装ケースを有し、前記ファンは内部ケースに接続され、ファン、ダクトおよびサイレンサは、内部ケースの外側の外装ケース内に設けられている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のビデオプロジェクタ。
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