JP3736230B2 - 電気光学装置、その製造方法及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブマトリクス駆動方式の電気光学装置、その製造方法及び電子機器の技術分野に属し、特に半導体膜への反射光を遮光するための遮光膜を備えた電気光学装置及びその製造方法の技術分野に属する。また本発明の技術分野はこのような電気光学装置を備えたライトバルブを有する電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、TFT駆動によるアクティブマトリクス駆動方式の電気光学装置においては、縦横に夫々配列された多数の走査線及びデータ線並びにこれらの各交点に対応して多数のTFTがTFTアレイ基板上に設けられている。各TFTは、走査線にゲート電極が接続され、データ線に半導体層のソース領域が接続され、画素電極に半導体層のドレイン領域が接続されている。
【0003】
ここで、TFTアレイ基板を平面的にみると、画素電極はマトリクス状に形成され、隣接する画素電極間の隙間に走査線、データ線及びTFTが形成される。
【0004】
ところで、画素電極間の隙間に走査線、データ線及びTFTが形成されると、これらの位置に対応したTFTアレイ基板の表面に凸部が生じる。このような凸部は画素電極の縁部にも影響を及ぼし、画素電極の縁部が凸部の一部となることがある。そして、このように画素電極に凸部が生じると、TFTアレイ基板表面に形成された配向膜をラビング処理する際に、かかる部分のラビング処理が不十分となり、液晶配向不良に起因する光抜けを生じる、という課題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、例えば画素電極と走査線やデータ線、TFTとの間に形成される層間絶縁膜を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理、スピンコート処理、リフロー法等により行ったり、有機SOG(Spin On Glass)、無機SOG、ポリイミド膜等を利用して平坦化することで、TFTアレイ基板の表面を平坦化することが考えられるが、このような平坦化処理は、結果的にTFTアレイ基板全面に亘って平坦性の制御が要求されるため、高精度で手間のかかる工程となる、という問題がある。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、簡単な工程で画素電極の平坦性を確保し、配向不良に起因する光抜けをなくすことができる電気光学装置、その製造方法及び電子機器を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明の電気光学装置は、基板上に、複数の走査線と、前記走査線に交差する複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差に対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極を備え、前記薄膜トランジスタの上方に該薄膜トランジスタを覆う遮光膜を形成すると共に、前記薄膜トランジスタ及び前記遮光膜を前記基板に設けられた溝上に配置し、前記薄膜トランジスタと前記データ線との層間に形成された第1層間絶縁膜の厚さと、前記データ線と前記画素電極との層間に形成された第2層間絶縁膜の厚さとの少なくとも一方を、前記溝に対応した前記画素電極表面の凹部が前記遮光膜により遮光される位置となるように設定したことことを特徴とする。
【0008】
本発明のこのような構成によれば、薄膜トランジスタを基板に設けられた溝上に配置することで、基板(画素電極)の表面に表れる凸部をなくすことができる。ただし、かかる溝を形成することにより、溝と薄膜トランジスタとの間に隙間ができ、その隙間に対応して画素電極表面には凹部が表れるが、薄膜トランジスタを覆うように遮光膜を形成する一方で、第1層間絶縁膜の厚さと第2層間絶縁膜の厚さの少なくとも一方を制御することで、溝に対応した画素電極表面の凹部が遮光膜により遮光される位置となるようにしている。よって、本発明によれば、簡単な工程で画素電極の平坦性を確保し、配向不良に起因する光抜けをなくすことができる。
【0009】
本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記溝の深さは、前記薄膜トランジスタの厚さと前記遮光膜の厚さと前記データ線の厚さ以上であることを特徴とする。また、本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記溝の深さは、300nm〜1500nmであることを特徴とする。
【0010】
このような構成よれば、基板(画素電極)の表面に表れる凸部をなくし、平坦化することができる。
【0011】
本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記第1層間絶縁膜の厚さは、
300nm以上であることを特徴とする。また、本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記第1層間絶縁膜の厚さと前記第2層間絶縁膜の厚さとの合計の厚さは、600nm以上であることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、溝に対応した画素電極表面の凹部が遮光膜により遮光され、配向不良に起因する光抜けをなくすことができる。
【0013】
本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記第1層間絶縁膜は、NSG(ノンドープトシリケートガラス)からなることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、第1層間絶縁膜を応力に対してマージンのあるNSG(ノンドープトシリケートガラス)等で構成することにより、第2層間絶縁膜をBPSG(ボロンリンシリケートガラス)等の応力の強い材料で構成することができる。従って、本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記第2層間絶縁膜は、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の電気光学装置の一の態様によれば、前記遮光膜は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPb(鉛)からなる群の中から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、高い遮光性を得ることができ、配向不良に起因する光抜けをなくすことができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、複数の走査線と、前記走査線に交差する複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差に対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極を有する電気光学装置の製造方法であって、前記基板上に溝を形成する工程と、前記溝上に前記薄膜トランジスタを形成すると共に、これを覆うように遮光膜を形成する工程と、前記走査線を形成する工程と、前記薄膜トランジスタ上に第1層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1層間絶縁膜上にデータ線を形成する工程と、前記第1層間絶縁膜上に第2層間絶縁膜を形成する工程と、前記第2層間絶縁膜上に前記画素電極を形成する工程とを含み、前記第1層間絶縁膜の厚さと前記第2層間絶縁膜の厚さの少なくとも一方を、前記溝に対応した前記画素電極表面の凹部が前記遮光膜により遮光される位置となるように形成したことを特徴とする。
【0018】
本発明のこのような構成によれば、画素電極の平坦性を確保し、配向不良に起因する光抜けをなくすことができる電気光学装置を簡単な工程で製造することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法の一の態様によれば、前記第1層間絶縁膜及び前記第2層間絶縁膜をCVD法により形成することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、スピンコート法等と比べ、画素電極表面の凹部を光膜により遮光される位置に確実に形成することが可能となる。
【0021】
本発明の電子機器は、光源と、入射光を投射する光学系と、前記光源と前記光学系との間に介挿され、前記光源からの光を変調して前記光学系に導く、上記構成の電気光学装置を有するライトバルブとを具備したことを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、光源光は、ライトバルブにより変調され、前記投射光学系へと導かれ、例えばスクリーンなどに投影される。そして、本発明によれば、ライトバルブが光抜けのない電気光学装置により構成されているので、高品位の画像を投影することができる。
【0023】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(電気光学装置の実施形態)
本発明による電気光学装置の一実施形態である液晶装置の構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路であり、図2は、データ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のA−A’断面図である。尚、図3においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0026】
図1において、本実施形態における液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配設された複数の画素には、画素電極9aを制御するためのTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。
【0027】
図2において、液晶装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜等からなる半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、図中右上がりの斜線で示した領域に夫々形成されておりバッファとして機能する導電層80(以下、バリア層と称す。)を中継して、第1コンタクトホール8a及び第2コンタクトホール8bを介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域1a’(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aがゲート電極として対向配置されたTFT30が設けられている。
【0028】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部とを有する。
【0029】
また、図中太線で示した領域には夫々、走査線3a、容量線3b及びTFT30の下側を通るように、第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には図2において、第1遮光膜11aは夫々、走査線3aに沿って縞状に形成されていると共に、データ線6aと交差する箇所が図中下方に幅広に形成されており、この幅広の部分により各TFTのチャネル領域1a’をTFTアレイ基板側から見て夫々覆う位置に設けられている。
【0030】
次に図3の断面図に示すように、液晶装置は、透明な一方の基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な他方の基板の一例を構成する対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0031】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0032】
TFTアレイ基板10には、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
【0033】
対向基板20には、更に図3に示すように、各画素の非開口領域に、ブラックマスク或いはブラックマトリクスと称される第2遮光膜23を設けても良い。このため、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やソース側LDD領域1b及びドレイン側LDD領域1cに侵入することはない。更に、第2遮光膜23は、コントラストの向上、カラーフィルタを形成した場合における色材の混色防止などの機能を有する。
【0034】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材(図12参照)により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。
【0035】
更に図3に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各画素スイッチング用TFT30との間には、第1遮光膜11aが設けられている。第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの反射光(戻り光)等が光に対して励起しやすい画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やソース側LDD領域1b、ドレイン側LDD1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、これに起因した光電流の発生により画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0036】
更に、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。下地絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。下地絶縁膜12により、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。
【0037】
また本実施形態では、半導体層1aを高濃度ドレイン領域1eから延設して第1蓄積容量電極1fとし、これに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とし、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設してこれらの電極間に挟持された第1誘電体膜とすることにより、第1蓄積容量70aが構成されている。更に、この第2蓄積容量電極と対向するバリア層80の一部を第3蓄積容量電極80bとし、これらの電極間に誘電体膜81を設け、これにより第2蓄積容量70bが形成されている。そして、これら第1及び第2蓄積容量70a及び70bが第1コンタクトホール8aを介して並列接続されて蓄積容量70が構成されている。
【0038】
図3において、画素スイッチング用TFT30は、LDD構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b及び低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つがバリア層80を中継して接続されている。本実施形態では特にデータ線6aは、Al等の低抵抗な金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性且つ導電性の薄膜から構成されている。また、バリア層80及び誘電体膜81の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及びバリア層80へ通じるコンタクトホール8bが各々形成された第1層間絶縁膜4が形成されている。この高濃度ソース領域1dへのコンタクトホール5を介して、データ線6aは高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6a及び第1層間絶縁膜4の上には、バリア層80へのコンタクトホール8bが形成された第2層間絶縁膜7が形成されている。このコンタクトホール8bを介して、画素電極9aはバリア層80に電気的接続されており、更にバリア層80を中継してコンタクトホール8aを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第2層間絶縁膜7の上面に設けられている。
【0039】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0040】
ここで、図4は図2のB−B’断面を概略的に示した図である。
【0041】
図4に示すように、TFTアレイ基板10上に形成された基板としての下地絶縁膜12上には溝26が形成されている。この溝26の深さは少なくともこの上に形成される半導体層1aと走査線3a(容量線3b)の厚さを含む薄膜トランジスタの厚さとデータ線6aと遮光膜24の厚さの合計と等しくなるようにされている。より具体的には、この溝26の深さは、300nm〜1500nm程度、より好ましくは650nm程度とされている。溝26をこの範囲の深さとすることで、これらの上方に形成される画素電極9aの表面を平坦化することが可能となる。
【0042】
この溝26上には、半導体層1a、その上に誘電体膜81を挟んで容量線3bが形成され、更にこの上に半導体層1aを覆うように第3遮光膜24が形成されている。第3遮光膜24は、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。また、第3遮光膜24の溝側壁からの距離x1は、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上となるように設定されている。
【0043】
第3遮光膜24の上には、第1層間絶縁膜4が形成され、更にその上にはデータ線6aが形成されている。ここで、第1層間絶縁膜4は、好ましくはNSG(ノンドープトシリケートガラス)等から構成される。
【0044】
そして、データ線6aの上には第2層間絶縁膜7が形成され、その上に画素電極9aが設けられている。ただし、溝26の直上は画素電極9a間の隙間9bとなっている。ここで、第2層間絶縁膜7は、好ましくはBPSG(ボロンリンシリケートガラス)等から構成される。
【0045】
また、第1層間絶縁膜4の厚さtaと第2層間絶縁膜7の厚さtbの少なくとも一方は、画素電極9a表面に表れる2つの凹部9cが第3遮光膜24により遮光される位置、例えば2つの凹部9cの間隔をx2とするとx1>x2となるような厚さとされている。ここで、第1層間絶縁膜4の厚さは、300〜1000nm、好ましくは800nmとされ、第2層間絶縁膜7の厚さは、300〜1000nm、好ましくは800nmとされている。
【0046】
このように本実施形態によれば、半導体層1a等の下方のTFTアレイ基板10上に下地絶縁膜12上に溝26を設けることで、画素電極9aの表面に表れる凸部をなくし、更に溝26によって生じる画素電極9a表面上の凹部9cを半導体層1aの上に形成された第3遮光膜24によって遮光するように構成したので、液晶配向不良に起因する光抜けをなくすことができる。
【0047】
(電気光学装置における製造プロセス)
次に、以上のような構成を持つ実施形態における液晶装置の製造プロセスについて、図5から図10を参照して説明する。尚、図5から図10は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を、図3と同様に図2のA−A’断面に対応させて示す工程図である。
【0048】
先ず図5の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス、シリコン基板等のTFTアレイ基板10を用意する。ここで、好ましくはN2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1300℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板10に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板10を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。そして、このように処理されたTFTアレイ基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPb等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚、好ましくは約200nmの膜厚の遮光膜11を形成する。尚、遮光膜11上には、表面反射を緩和するためにポリシリコン膜等の反射防止膜を形成しても良い。
【0049】
次に工程(2)に示すように、該形成された遮光膜11上にフォトリソグラフィにより第1遮光膜11aのパターン(図2参照)に対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して遮光膜11に対しエッチングを行うことにより、第1遮光膜11aを形成する。
【0050】
次に工程(3)に示すように、第1遮光膜11aの上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12を形成する。
【0051】
次に工程(4)に示すように、フォトリソグラフィにより溝26に対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して下地絶縁膜12に対しエッチングを行うことにより、溝26を形成する。
【0052】
次に工程(5)に示すように、下地絶縁膜12の上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施することにより、ポリシリコン膜1を約50〜200nmの厚さ、好ましくは約100nmの厚さとなるまで固相成長させる。固相成長させる方法としては、RTA(Rapid Thermal Anneal)を使ったアニール処理でも良いし、エキシマレーザー等を用いたレーザーアニールでも良い。
【0053】
この際、図3に示した画素スイッチング用TFT30として、nチャネル型の画素スイッチング用TFT30を作成する場合には、当該チャネル領域にSb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素の不純物イオンを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。また、画素スイッチング用TFT30をpチャネル型とする場合には、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素の不純物イオンを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。尚、アモルファスシリコン膜を経ないで、減圧CVD法等によりポリシリコン膜1を直接形成しても良い。或いは、減圧CVD法等により堆積したポリシリコン膜にシリコンイオンを打ち込んで一旦非晶質化(アモルファス化)し、その後アニール処理等により再結晶化させてポリシリコン膜1を形成しても良い。
【0054】
次に工程(6)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き第1蓄積容量電極1fを含む所定パターンを有する半導体層1aを形成する。
【0055】
次に図6の工程(7)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aと共に第1蓄積容量電極1fを約900〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化することにより、約30nmの比較的薄い厚さの熱酸化シリコン膜2aを形成し、更に工程(8)に示すように、減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜からなる絶縁膜2bを約50nmの比較的薄い厚さに堆積し、熱酸化シリコン膜2a及び絶縁膜2bを含む多層構造を持つ画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜2と共に蓄積容量形成用の第1誘電体膜2を同時に形成する。この結果、第1蓄積容量電極1fの厚さは、約30〜150nmの厚さ、好ましくは約35〜50nmの厚さとなり、ゲート絶縁膜2(第1誘電体膜)の厚さは、約20〜150nmの厚さ、好ましくは約30〜100nmの厚さとなる。このように高温熱酸化時間を短くすることにより、特に大型基板を使用する場合に熱によるそりを防止することができる。但し、ポリシリコン膜1を熱酸化することのみにより、単一層構造を持つゲート絶縁膜2を形成してもよい。
【0056】
次に工程(9)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等によりレジスト層500を第1蓄積容量電極1fとなる部分を除く半導体層1a上に形成した後、例えばPイオンをドーズ量約3×1012/cm2でドープして、第1蓄積容量電極1fを低抵抗化しても良い。
【0057】
次に工程(10)に示すように、レジスト層500を除去した後、減圧CVD法等によりポリシリコン膜3を堆積し、更にリン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。又は、Pイオンをポリシリコン膜3の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。ポリシリコン膜3の膜厚は、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約300nmに堆積する。
【0058】
次に図7の工程(11)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの走査線3aと共に容量線3bを形成する。走査線3a及び容量線3bは、高融点金属や金属シリサイド等の金属合金膜で形成しても良いし、ポリシリコン膜等と組み合わせた多層配線としても良い。
【0059】
次に工程(12)に示すように、図3に示した画素スイッチング用TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合、半導体層1aに、先ず低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)をマスクとして、PなどのV族元素の不純物イオンを低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープする。これにより走査線3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’となる。この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも低抵抗化される。
【0060】
次に工程(13)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層600を走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素の不純物イオンを高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。また、画素スイッチング用TFT30をpチャネル型とする場合、半導体層1aに、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、BなどのIII族元素の不純物イオンを用いてドープする。尚、例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、走査線3aをマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも更に低抵抗化される。
【0061】
尚、これらのTFT30の素子形成工程と並行して、nチャネル型TFT及びpチャネル型TFTから構成される相補型構造を持つデータ線駆動回路、走査線駆動回路等の周辺回路をTFTアレイ基板10上の周辺部に形成してもよい。このように、本実施形態において画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aをポリシリコンで形成すれば、画素スイッチング用TFT30の形成時にほぼ同一工程で、周辺回路を形成することができ、製造上有利である。
【0062】
次に工程(14)に示すように、レジスト層600を除去した後、容量線3b及び走査線3a並びにゲート絶縁膜2(第1誘電体膜)上に、減圧CVD法、プラズマCVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜からなる誘電体膜81を10nm以上200nm以下の比較的薄い厚さに堆積する。
【0063】
次に工程(15)に示すように、バリア層80と高濃度ドレイン領域1eとを電気的接続するためのコンタクトホール8aを、例えば反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。このようなドライエッチングは、指向性が高いため、小さな径のコンタクトホール8aを開孔可能である。或いは、コンタクトホール8aが半導体層1aを突き抜けるのを防止するのに有利なウエットエッチングを併用してもよい。このウエットエッチングは、コンタクトホール8aに対し、より良好なコンタクトをとるためのテーパを付与する観点からも有効である。
【0064】
次に工程(16)に示すように、第1層間絶縁膜81及びコンタクトホール8aを介して高濃度ドレイン領域1eに接続されるように、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPb等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜をスパッタ処理により堆積して、50〜500nm程度の膜厚の導電膜80’を形成する。尚、この導電膜80’上には、表面反射を緩和するためにポリシリコン膜等の反射防止膜を形成しても良い。また、導電膜80’は応力緩和のためにドープトポリシリコン膜等を用いても良い。
【0065】
次に工程(17)に示すように、該形成された導電膜80’上にフォトリソグラフィによりバリア層80のパターン(図2参照)に対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して導電膜80’に対しエッチングを行うことにより、第3蓄積容量電極80aを含むバリア層80を形成するとともに、第3遮光膜24を形成する。
【0066】
次に図9の工程(18)に示すように、誘電体81、第3遮光膜24及びバリア層80を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の膜厚は、約300〜1000nmが好ましい。尚、第2層間絶縁膜4は厚くするほど平坦性に効果大であるが、応力が生じるため、1000nm以下であることが好ましい。
【0067】
次に工程(19)の段階で、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約1000℃のアニール処理を20分程度行った後、データ線6aに対するコンタクトホール5を開孔する。また、走査線3aや容量線3bを基板周辺領域において図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5と同一の工程により第1層間絶縁膜4に開孔することができる。
【0068】
次に工程(20)に示すように、第1層間絶縁膜4の上に、スパッタリング等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜6として、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約300nmに堆積する。
【0069】
次に工程(21)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0070】
次に図10の工程(22)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜7を形成する。第2層間絶縁膜7の膜厚は、約300〜1000nmが好ましい。
【0071】
次に工程(23)に示すように、画素電極9aとバリア層80とを電気的接続するためのコンタクトホール8bを、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。また、テーパ状にするためにウェットエッチングを用いても良い。
【0072】
次に工程(24)に示すように、第2層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積し、更に工程(25)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。尚、当該液晶装置を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0073】
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16(図3参照)が形成される。
【0074】
他方、図3に示した対向基板20については、ガラス基板等が先ず用意され、第2遮光膜23及び額縁としての第2遮光膜(図11及び図12参照)が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。尚、これらの第2及び第3遮光膜は、Cr、Ni、Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。尚、TFTアレイ基板10上で、データ線6a、バリア層80、第1遮光膜11a等で遮光領域を規定すれば、対向基板20上の第2遮光膜23を省くことができる。
【0075】
その後、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜を約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22(図3参照)が形成される。
【0076】
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜16及び22が対面するようにシール材(図11及び図12参照)により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
【0077】
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された各実施形態における液晶装置の全体構成を図11及び図12を参照して説明する。尚、図11は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図12は、図11のH−H’断面図である。
【0078】
図11において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第3遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る画像表示領域の周辺を規定する額縁としての第3遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定タイミングで供給することによりデータ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線3aに走査信号を所定タイミングで供給することにより走査線3aを駆動する走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。そして、図12に示すように、図11に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。尚、本実施の形態によれば、対向基板20上の第2遮光膜23はTFTアレイ基板10の遮光領域よりも小さく形成すれば良い。また、液晶装置の用途により、第2遮光膜23は容易に取り除くことができる。
【0079】
以上図1から図12を参照して説明した各実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0080】
以上説明した各実施形態における液晶装置は、カラー液晶プロジェクタに適用される場合、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。あるいは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーフィルタ層を形成することも可能である。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に各実施形態における液晶装置を適用できる。
【0081】
以上説明した各実施形態における液晶装置では、従来と同様に入射光を対向基板20の側から入射することとしたが、第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板10の側から入射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしても良い。即ち、このように液晶装置を液晶プロジェクタに取り付けても、半導体層1aのチャネル領域1a’及びソース側LDD領域1b、ドレイン側LDD領域1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR(Anti Reflection)被膜された偏光板を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があったが、各実施形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1aの少なくともチャネル領域1a’及びソース側LDD領域1b、ドレイン側LDD領域1cとの間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光板やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、本実施形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光板貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
【0082】
また、各画素に設けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、各実施形態は有効である。
【0083】
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶装置100を備えた電子機器の実施の形態について図13から図15を参照して説明する。
【0084】
先ず図13に、このように液晶装置100を備えた電子機器の概略構成を示す。
【0085】
図13において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶装置100、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶装置100を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶装置100を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
【0086】
次に図14から図15に、このように構成された電子機器の具体例を各々示す。
【0087】
図14において、電子機器の一例たる液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶表示モジュールを3個用意し、各々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに各々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0088】
図15において、電子機器の他の例たるマルチメディア対応のラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)1200は、上述した液晶装置100がトップカバーケース内に設けられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
【0089】
以上図14から図15を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図12に示した電子機器の例として挙げられる。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態によれば、製造効率が高く高品位の画像表示が可能な液晶装置を備えた各種の電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気光学装置の第1実施形態である液晶装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路図である。
【図2】 第1実施形態の液晶装置におけるデータ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図3】 図2のA−A’断面図である。
【図4】 図2のB−B’断面を概略的に示した図である。
【図5】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その1)である。
【図6】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その2)である。
【図7】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その3)である。
【図8】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その4)である。
【図9】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その5)である。
【図10】 本実施形態の液晶装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その6)である。
【図11】各実施形態の液晶装置におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図12】図11のH−H’断面図である。
【図13】本発明による電子機器の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図14】電子機器の一例として液晶プロジェクタを示す断面図である。
【図15】電子機器の他の例としてのパーソナルコンピュータを示す正面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
3b…容量線
4…第1層間絶縁膜
6a…データ線
7…第2層間絶縁膜
9a…画素電極
9b…画素電極間の隙間
9c…凹部
10…TFTアレイ基板
12…下地絶縁膜
24…第3遮光膜
26…溝
Claims (11)
- 基板上に、複数の走査線と、前記走査線に交差する複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差に対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極を備え、
前記薄膜トランジスタの上方に該薄膜トランジスタを覆う遮光膜を形成すると共に、前記薄膜トランジスタ及び前記遮光膜を前記基板に設けられた溝上に配置し、
前記薄膜トランジスタと前記データ線との層間に形成された第1層間絶縁膜の厚さと、前記データ線と前記画素電極との層間に形成された第2層間絶縁膜の厚さとの少なくとも一方を、前記溝に対応した前記画素電極表面の凹部が前記遮光膜により遮光される位置となるように設定したことことを特徴とする電気光学装置。 - 前記溝の深さは、前記薄膜トランジスタの厚さと前記遮光膜の厚さと前記データ線の厚さとを合計した厚さ以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記溝の深さは、300nm〜1500nmであることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
- 前記第1層間絶縁膜の厚さは、300nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 前記第1層間絶縁膜の厚さと前記第2層間絶縁膜の厚さとの合計の厚さは、600nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 前記第1層間絶縁膜は、NSG(ノンドープトシリケートガラス)からなることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 前記第2層間絶縁膜は、BPSG(ボロンリンシリケートガラスからなることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 前記遮光膜は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPb(鉛)からなる群の中から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 基板上に、複数の走査線と、前記走査線に交差する複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差に対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極を有する電気光学装置の製造方法であって、
前記基板上に溝を形成する工程と、
前記溝上に前記薄膜トランジスタを形成すると共に、これを覆うように遮光膜を形成する工程と、
前記走査線を形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜上にデータ線を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜上に第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2層間絶縁膜上に前記画素電極を形成する工程とを含み、
前記第1層間絶縁膜の厚さと前記第2層間絶縁膜の厚さの少なくとも一方を、前記溝に対応した前記画素電極表面の凹部が前記遮光膜により遮光される位置となるように形成したことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 前記第1層間絶縁膜及び前記第2層間絶縁膜をCVD法により形成することを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の製造方法。
- 光源と、
入射光を投射する光学系と、
前記光源と前記光学系との間に介挿され、前記光源からの光を変調して前記光学系に導く、請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の電気光学装置または請求項10または請求項11に記載の製造方法により製造した電気光学装置を有するライトバルブと、
を具備したことを特徴とする電子機器。
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