JP3735246B2 - ディジタル放送受信装置及びディジタル放送記録装置 - Google Patents

ディジタル放送受信装置及びディジタル放送記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル放送受信装置及びディジタル放送記録装置に関し、特に、復調に必要とするC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が異なる複数の変調方式による被変調波が時間軸多重化されて放送される階層化伝送ディジタル放送の受信装置及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
BS(Broadcasting Satellite)ディジタル放送では、複数のTS(Transport Stream:トランスポートストリーム)が多重化された信号から視聴要求のあった番組のパケットを選択する方式が採用されている。前記BS放送における階層化伝送ディジタル放送では、復調に必要なC/N値が異なる別々の変調方式で変調された被変調波が時間軸多重されて伝送される。かかる階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置の従来例を図3に示す。
【0003】
図3は従来例ディジタル放送記録装置を示すブロック図である。図3において、14はフロントエンド、15はPSK復調器、17はエラー訂正器、30はデマルチプレクサ、25はオーディオ/ビデオデコーダ、43は制御手段50に接続された操作手段、60は記録手段である。
制御手段50は、比較器29、PID選択制御部41を有するPSI処理部39、記録手段60を制御するための記録手段制御部51を備える。
【0004】
フロントエンド14では、図示しないチューナ部から供給されたBSのIF信号が直交検波器11で直交検波され、この出力はADコンバータ(ADC)13でディジタル信号に変換され、PSK復調器15に出力され。ADコンバータ(ADC)13には、搬送波電力対雑音電力比(C/N)を計測するためのC/N検出器27が接続される。PSK復調器15ではnPSK(nは8、4、2)等のディジタル復調が行われ、エラー訂正器17でエラー訂正が行われる。PSK復調器15に入力される被変調波には、番組情報である8PSK被変調波、4PSK被変調波と、制御情報であるBPSK被変調波が含まれており、PSK復調器15では各変調方式に適合する復調方式で復調される。
【0005】
デマルチプレクサ30はトランスポートストリーム分離器19(以下、TS分離器とも記す)とパケット抽出部23とで構成され、ユーザが選択した受信チャンネルに基づいて、エラー訂正器17の出力から単一のトランスポートストリームを選択し、PSI処理部39から与えられた復号すべきパケットIDのパケットを前記単一TSデータから分離する。
【0006】
即ち、エラー訂正器17からは複数のトランスポートストリーム(TS)を有する伝送主信号及びTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)データがトランスポートストリーム分離器(以下、TS分離器とも記す)19に与えられる。前記TMCCデータは、伝送方式、フレーム構造、TS−ID(トランスポートID)等の送信制御信号である。TS分離器19は、PSI処理部39から与えられるTS−IDに基づいて、ユーザが選択したチャンネルのトランスポートパケット(以下、TSパケットとも記す)を含む一つのトランスポートストリーム(以下、TSとも記す)をパケット抽出部23へ出力する。
【0007】
パケット抽出部23は、PID選択制御部41から与えられるパケットID(以下、PIDとも記す)に基づいて、TS分離器19から与えられたトランスポートストリームから、ユーザが選択したチャンネルに該当するトランスポートパケットを抽出し、オーディオ/ビデオデコーダ(以下、AV復号器とも記す)25に出力する。
AV復号器25の復号出力は図示しないテレビモニタ等の表示手段に与えられると共に、記録手段60にも与えられる。ユーザが記録手段60を操作する場合は、操作手段43から記録手段制御部51を介して制御する。
【0008】
比較器29では、C/N検出器27の出力と予め定められた閾値との大小比較が行われ、その結果がPSI処理部39に与えられる。PSI(Program Specific Information)はトランスポートパケットとして送信されており、トランスポートストリーム分離器19で受信信号から分離されたPSIがPSI処理部39に与えられる。前記PSIは、番組特定情報とも言われ、所要の番組を選択するために必要な情報で、PAT、PMT、NIT、CATの4つのテーブルからなる。
前記PMT(Program Map Table)は、番組を構成する各符号化信号を伝送するTSパケットのパケットID及び有料放送の関連情報のうち共通情報を伝送するTSパケットのパケットIDを指定する。PSI処理部39では、操作手段43から指定されたチャンネル番号のトランスポートパケットを含むTS−IDをTS分離器19に与えると共に、PID選択制御部41は、比較器29の出力と、前記PMT等の情報を基に、前記チャンネル番号に該当するパケットID(PID)をパケット抽出部23に与える。
【0009】
PSK復調器15に入力される被変調波のうち、8PSK被変調波は復調に必要なC/N値が大きく、これに比較して、4PSK被変調波は復調に必要なC/N値が小さい。そして、C/N検出器27で検出されたC/N値が所定の閾値より大きい場合には、パケット抽出部23から8PSK変調方式で変調され復調されたパケットが出力される。一方、C/N検出器27で検出されたC/N値が所定の閾値より小さい場合には、パケット抽出部23から4PSK変調方式で変調され復調されたパケットが出力される。4PSKによる変調波で伝送された信号の画像は8PSKによる画像に比べて低品質であるが、画像の出力が中止されずに継続されるという特長がある。
【0010】
8PSKによる情報と4PSKによる情報とでは、別々のPIDを有するが、TS−IDは同一の場合と異なる場合とがある。このため、比較器29の出力に基づいて、8PSKに係るパケットと4PSKに係るパケットとの内の不要な方のパケットをTS分離器19でマスクする。このマスク処理では、例えば、C/N値が小さくパケット抽出部23から4PSKによるパケットを出力する場合には、TS分離器19において8PSKによるパケットのデータをすべて0にして、8PSK情報が4PSK情報に混入してデータ誤りが増加したり、誤動作が増加するのをを防ぐようにされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
良好な天候で受信状態が良く、C/N検出器27で検出されたC/N値が所定の閾値より大きい場合には、前記したようにパケット抽出部23は8PSKによるパケットを抽出し出力する。そして、その出力をAV復号器25を介して記録手段60で記録中に、天候が悪化しC/N値が所定に閾値より小さくなった場合には、パケット抽出部23は4PSKによるパケットを抽出し出力する。4PSKによる画像は、8PSKによるそれと比べて、画質が劣化する。しかし、記録手段60は前記C/Nに関係なく記録を継続する。このため、ユーザはテレビモニタ等の表示装置に表示される受信画像の画質が、録画するに値しないほど劣化していると感じたときには、手動操作により記録手段60での記録を中止していた。また、受信画像の画質が劣化し4PSKによる画像が表示されたり、さらに受信状態が悪化して静止画が表示されるようになっても、8PSKによる画像信号を記録していたときと同一の記録速度で記録していた。
【0012】
従来の記録手段を備えたディジタル放送受信装置、或いは従来のディジタル放送記録装置では、受信した信号を記録する場合に、ディスク状記録媒体、テープ状記録媒体、半導体メモリなどの記録媒体に、必要以上に高画質の記録モードで記録したり、記録するに値しない程度に信号品質の悪い画像を記録したりして、記録媒体を無駄に使用するという問題があった。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、受信状態が悪化した場合に記録媒体を無駄に使用しないようにしたディジタル放送受信装置及びディジタル放送記録装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のディジタル放送受信装置は前記課題を解決するためになされたものであり、第1の発明は、復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサ又は前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、前記記録手段は、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報を記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送された情報を記録するようにしたディジタル放送記録装置である。
【0014】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、受信したディジタル放送信号を記録中に、降雨などにより受信状態が悪化してC/N値が第1の所定値より小さくなると、記録手段での記録が、高階層用の高品質の信号(前記第1の被変調波によって伝送された情報)から低階層用の低品質の信号(前記第2の被変調波によって伝送された情報)に自動的に切り替えられる。低階層用の低品質の信号は高階層用の高品質の信号に比して、単位時間当りのデータ発生量が少なく、アナログ信号に変換した場合は信号の周波数帯域が狭いから、記録速度を下げて記録することが出来、記録媒体の使用量を少なくすることが出来る。
【0015】
第2の発明は、第1の発明のディジタル放送記録装置において、前記記録手段は、前記受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、デジタル情報を第1のビットレートで記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、デジタル情報を前記第1のビットレートより小さい第2のビットレートで記録するようにしたディジタル放送記録装置である。
【0016】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、低階層用の低品質の信号は高階層用の高品質の信号に比して、単位時間当りのデータ発生量が少いから、低階層用の低品質の信号を、前記第1のビットレートより小さい第2のビットレートで記録するようにしても、信号の品質を低下させずに記録できる。仮に、低階層用の低品質の信号を、前記第1のビットレートのままで記録しつづけると、ダミービットを設けて実質的なビットレートを低下させて記録することになり、記録媒体が無駄に使用されることになるが、そのような事態を回避することができる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明のディジタル放送記録装置において、前記記録手段は情報を磁気テープに記録する記録手段であり、前記受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、アナログ信号を第1のテープ速度で記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、アナログ信号を前記第1のテープ速度より小さい第2のテープ速度で記録するようにしたディジタル放送記録装置である。
【0018】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、受信信号をD/A変換して得られるアナログ信号の周波数帯域が、低階層用の低品質の信号では高階層用の高品質の信号に比して狭いから、低階層用の低品質の信号を、前記第1のテープ速度より小さい第2のテープ速度で記録するようにしても、信号の品質を低下させずに記録できる。仮に、低階層用の低品質の信号を、前記第1のテープ速度のままで記録しつづけると、不必要に広帯域の記録モードで記録することになり、記録媒体が無駄に使用されることになるが、そのような事態を回避することができる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明のディジタル放送記録装置において、前記記録手段は情報を磁気ディスクに記録する記録手段であり、前記受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、アナログ信号を第1の線速度で記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、アナログ信号を前記第1の線速度より小さい第2の線速度で記録するようにしたディジタル放送記録装置である。
【0020】
本発明のディジタル放送記録によれば、受信信号をD/A変換して得られるアナログ信号の周波数帯域が、低階層用の低品質の信号では高階層用の高品質の信号に比して狭いから、低階層用の低品質の信号を、前記第1の線速度(記録ヘッドと記録媒体との相対速度)より小さい第2の線速度で記録するようにしても、信号の品質を低下させずに記録できる。仮に、低階層用の低品質の信号を、前記第1の線速度のままで記録し続けると、不必要に広帯域の記録モードで記録することになり、記録媒体が無駄に使用されることになるが、そのような事態を回避することができる。また、記録媒体の回転数を下げることにより、回転機器の寿命を延ばし、消費電力を低下させることができる。
【0021】
第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかのディジタル放送記録装置において、前記比較器の出力が変化した後に同一の出力値が継続する時間を測定し、該継続時間が所定値以上のときに、前記記録手段で記録するときの記録速度を切り替えるようにしたディジタル放送記録装置である。
【0022】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、前記比較器の出力が短時間変化しただけでは記録速度は変更されないから、記録モードが頻繁に変更されて、記録の不連続点が多数出来るのを防止することが出来る。
【0023】
第6の発明は、復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサまたは前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、前記記録手段は、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報を記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満のときには、記録を停止するようにしたディジタル放送記録装置である。
【0024】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、受信したディジタル放送信号を記録中に、降雨などにより受信状態が悪化してC/N値が所定の閾値より小さくなると、記録手段での記録が中止されるから、記録媒体の使用量を少なくすることが出来る。また、記録を中止することにより、無駄な電力の使用を削減することが出来る。
【0025】
第7の発明は、第6の発明のディジタル放送記録装置において、前記比較器の出力が変化した後に同一の出力値が継続する時間を測定し、該継続時間が所定値以上のときに、前記記録手段での記録を行うか停止するかを切り替えるようにしたディジタル放送記録装置である。
【0026】
本発明のディジタル放送記録装置によれば、前記比較器の出力が短時間の間変化しただけでは記録速度は変更されないから、記録手段において記録停止、記録再開が頻繁に行われるのを防止することが出来る。
【0027】
第8の発明は、復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置において、受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサまたは前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、前記デマルチプレクサは、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送されたトランスポートパケットを抽出して前記記録手段へ供給し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送されたトランスポートパケットを抽出して前記記録手段へ供給するようにしたディジタル放送受信装置である。
【0028】
第9の発明は、復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置において、受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサまたは前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記デマルチプレクサは前記第1の被変調波によって伝送されたトランスポートパケットを抽出して前記記録手段へ供給し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満のときには、前記デマルチプレクサはトランスポートパケットを前記記録手段へ供給せず、前記記録手段は記録を中止するようにしたディジタル放送受信装置である。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明のディジタル放送記録装置は、復調に必要なC/N値が大きい第1の変調方式(例えば8PSK)による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式(例えば4PSK)による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録する装置であり、受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、C/N値と所定の閾値との大小を比較する比較手段と、復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、記録手段とを備え、前記記録手段は、受信信号のC/N値が第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送されたパケットの情報を記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送されたパケットの情報を記録するようにして、受信状態が悪化した場合には、記録媒体の使用量を減少させるものである。
【0030】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明ディジタル放送記録装置の第1実施例を示すブロック図である。図1と図3とで、同一機能、同一作用の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図1に示す本発明ディジタル放送記録装置と図3に示す従来例ディジタル放送記録装置との主たる違いは、図1の制御手段40はタイマ33、時間判定器35、記録手段制御部37を有し、時間判定器35の出力によりPSI処理部39を制御する点と、AV復号器25の出力がバッファメモリ43を介して記録手段60に与えられている点である。
なお、以下に説明する実施例では、ディジタル放送における番組情報は、復調に要するC/N値が大きい高階層用の8PSK変調方式と、復調に要するC/N値が小さい低階層用の4PSK変調方式との2つの変調方式で変調されて、送信されるものとして説明する。
【0031】
図1において、比較器29では、C/N検出器27の出力と予め定められた閾値との大小比較が行われ、その結果がタイマ33に与えられる。比較器29は、例えば、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには"11"なる2ビットを出力し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには"10"を出力し、受信信号のC/N値が前記第2の閾値未満のときには"00"を出力する。
【0032】
タイマ33は比較器29から出力された値が同一値を維持している継続時間を計測する。時間判定器35はタイマ33から与えられた前記継続時間の値を予め定めた所定値と比較し、前記所定値を超えたときに出力をPSI処理部39と記録手段制御部37とに与える。例えば、時間判定器35の出力の初期値は"11"であり、比較器29の出力が"11"から"10"に変化してから5秒間連続して"10"を出力すると時間判定器35の出力は"10"に変化し、さらに比較器29の出力が"10"から"00"に変化してから5秒間連続して"00"を出力すると時間判定器35の出力は"00"に変化する。また、比較器29の出力が"10"から"11"に変化してから5秒間連続して"11"を出力すると時間判定器35の出力は"11"に変化する。
【0033】
PSI処理部39は、記録手段制御部37の出力とユーザが選択したチャンネル番号とに応じて、TS分離器19が出力するトランスポートストリーム(TS)とパケット抽出部23が抽出するバケットIDを変更する。8PSKに係るパケットと4PSKに係るパケットとが同一のTSに含まれる場合は、時間判定器35の出力ではバケットIDだけが変更される。
この結果、時間判定器35の出力が"11"の時には、パケット抽出部23は8PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを出力し、時間判定器35の出力が"10"の時には、4PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを出力する。さらに、時間判定器35の出力が"00"のときには、パケット抽出部23からAV復号器25への出力を停止する。
【0034】
記録手段60は記録手段制御部37による制御によって、記録モード(記録速度等)の変更、記録の一時停止、再開等を行う。例えば、時間判定器35の出力が"11"の時には、記録手段60は8PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを第1の記録レートで記録し、時間判定器35の出力が"10"の時には、4PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを前記第1の記録レートより遅い第2の記録レートで記録する。前記記録レートとは、単位時間に記録されるビット数(ビットレート)である。また、時間判定器35の出力が"00"のときには、記録手段60は記録を停止し、時間判定器35の出力が"00"以外に復帰したときには、記録を再開する。
【0035】
記録手段60において記録する記録媒体は、半導体記録媒体や、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体などがあり、形状的にはがディスク状記録媒体やテープ状記録媒体などがある。
かかる記録媒体がディスク状記録媒体であって、記録速度を変更するのに、記録媒体の回転速度を変更して記録媒体と記録ヘッドとの相対速度である線速度を変更する場合は、線速度変更のためにスピンドルモータの回転速度を変更している間は記録媒体への書き込みを一時停止して、その間にAV復号器25から出力されたデータは一時的にバッファメモリ43に格納する。そして、記録媒体の回転速度や記録線速度が所定値に変更されたあとでバッファメモリ43から記録手段60の記録媒体へデータを転送して書き込む。
【0036】
前記記録媒体がビデオテープレコーダ(VCR)のごとくテープ状記録媒体であって、記録速度を変更するために磁気テープの走行速度を変更する場合は、テープ速度の変更中は記録媒体への書き込みを一時停止して、その間のデータは一時的にバッファメモリ43に格納し、磁気テープの走行速度が所定値に変更されたあとでバッファメモリ43から記録手段60の記録媒体へ転送して書き込む。
【0037】
なお、バッファメモリ43と記録手段60との間にディジタル/アナログ変換器を設けて、記録手段60でアナログ信号を記録することも出来る。この場合にも、8PSKによる信号を記録する場合には、記録媒体への書き込み線速度やテープ走行速度を大きくし、4PSKによる信号を記録する場合には、記録媒体への書き込み線速度やテープ走行速度を小さくして、記録対象の画像信号の品質に見合った記録モードで記録する。これにより、必要以上に多くの記録媒体を使用することを防止することができる。
【0038】
次に本発明ディジタル放送記録装置の第2実施例について説明する。図2は本発明ディジタル放送記録装置の第2実施例を示すブロック図である。図1と図2とで同一機能、同一作用の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1に示す本発明第1実施例と図2に示す本発明第2実施例との主たる違いは、図2では、比較器29の出力をPSI処理部39に与え、比較器29とスイッチ31との間にスイッチ31を設け、バッファメモリ43を削除している点である。そして、この第2実施例では、受信状態が悪化して4PSKによるデータをパケット抽出部23が出力して間は、記録手段60での記録を中止する。
【0039】
図2に示すディジタル放送記録装置20において、スイッチ31は比較器29の出力によって記録手段60の制御を行うか否かを切り替えるもので、ユーザが予め設定することが出来る。比較器29の出力はPSI処理部39に与えられ、PSI処理部39は比較器29の出力とユーザが選択したチャンネル番号とに応じて、TS分離器19が出力するトランスポートストリームとパケット抽出部23が抽出するバケットIDを変更する。8PSKに係るパケットと4PSKに係るパケットとが同一のTSに含まれる場合は、バケットIDだけを変更する。
この結果、比較器29の出力が"11"の時には、パケット抽出部23は8PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを出力し、比較器29の出力が"10"の時には、4PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを出力する。さらに、比較器29の出力が"00"のときには、パケット抽出部23からAV復号器25への出力を停止する。
【0040】
記録手段60は記録手段制御部37bによる制御によって、記録モード(記録速度等)の変更、記録の一時停止、再開等を行う。例えば、時間判定器35の出力が"11"の時には、記録手段60は、8PSKの変調方式で変調され復調されたパケットのデータを記録し、時間判定器35の出力が"10"のときと"00"のときは、記録手段60は記録を停止する。
なお、記録手段60がVCRである場合に、記録中に降雨などにより受信状態が悪化して、VCRでの記録を中止した後に、磁気テープを記録開始の位置まで巻き戻しておくようにしても良い。こうすることにより、巻き戻す前に中断された記録を無効として、巻き戻した後の位置から次回の記録をすぐに開始することが出来る。
【0041】
本発明は記録手段を有するディジタル放送受信装置にも適用できる。また、本発明のディジタル放送受信装置及びディジタル放送記録装置によれば、受信状態が悪化してC/N値が所定値より小さくなると、記録手段での記録が中止されるか、記録対象の画像信号の信号品質に見合った記録速度まで記録速度を低下させているから、記録手段で使用される記録媒体や使用される記録領域を少なくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ディジタル放送記録装置の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明ディジタル放送記録装置の第2実施例を示すブロック図である。
【図3】従来例ディジタル放送記録装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 直交検波器
13 ADコンバータ(ADC)
14 フロントエンド
15 PSK復調器(復調手段)
17 エラー訂正器
19 トランスポートストリーム分離器(TS分離器)
23 パケット抽出器
25 オーディオ/ビデオデコーダ(復号手段)
27 C/N検出器(C/N測定手段)
29 比較器(比較手段)
30 デマルチプレクサ
31 スイッチ
33 タイマ
35 時間判定器
37、37b 記録手段制御部
39 PSI処理部
40 制御手段
41 PID選択制御部
43 バッファメモリ
60 記録手段

Claims (7)

  1. 復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、
    受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサ又は前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、
    前記記録手段は、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報を第1のビットレートで記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送された情報を前記第1のビットレートより小さい第2のビットレートで記録することを特徴とするディジタル放送記録装置。
  2. 復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、
    受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサ又は前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、
    前記記録手段は、情報を磁気テープに記録する記録手段であり、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報に係るアナログ信号を第1のテープ速度で記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送された情報に係るアナログ信号を前記第1のテープ速度より小さい第2のテープ速度で記録することを特徴とするディジタル放送記録装置。
  3. 復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、
    受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサ又は前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、
    前記記録手段は、情報を磁気ディスクに記録する記録手段であり、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報に係るアナログ信号を第1の線速度で記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満であってかつ前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上のときには、前記第2の被変調波よって伝送された情報に係るアナログ信号を前記第1の線速度より小さい第2の線速度で記録することを特徴とするディジタル放送記録装置。
  4. 請求項2又は3記載のディジタル放送記録装置において、前記比較器の出力が変化した後に同一の出力値が継続する時間を測定し、該継続時間が所定値以上のときに、前記記録手段で記録するときの記録速度を切り替えることを特徴とするディジタル放送記録装置。
  5. 復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信して記録するディジタル放送記録装置において、
    受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサまたは前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、
    前記記録手段は、受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記第1の被変調波によって伝送された情報を記録し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満のときには、記録を停止することを特徴とするディジタル放送記録装置。
  6. 請求項記載のディジタル放送記録装置において、前記比較器の出力が変化した後に同一の出力値が継続する時間を測定し、該継続時間が所定値以上のときに、前記記録手段での記録を行うか停止するかを切り替えることを特徴とするディジタル放送記録装置。
  7. 復調に必要なC/N(搬送波電力対雑音電力比)値が大きい第1の変調方式による第1の被変調波と、復調に必要なC/N値が小さい第2の変調方式による第2の被変調波とが時間軸多重されて伝送される階層化伝送ディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置において、
    受信信号のC/N値を測定するC/N測定手段と、該C/N測定手段から出力されるC/N値と予め定めた閾値との大小を比較する比較手段と、前記被変調波を復調する復調手段と、該復調手段から出力される復調出力から特定のトランスポートパケットを前記比較手段の出力に応じて抽出するデマルチプレクサと、該デマルチプレクサの出力を復号する復号手段と、前記デマルチプレクサまたは前記復号手段の出力を記録する記録手段とを備え、
    受信信号のC/N値が予め定めた第1の閾値以上のときには、前記デマルチプレクサは前記第1の被変調波によって伝送されたトランスポートパケットを抽出して前記記録手段へ供給し、受信信号のC/N値が前記第1の閾値未満のときには、前記デマルチプレクサはトランスポートパケットを前記記録手段へ供給せず、前記記録手段は記録を中止することを特徴とするディジタル放送受信装置。
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