JP3735200B2 - フッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗鬱剤として有用な塩酸パロキセチン等の製造に有用な中間体である後記式(2)で表されるフッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)を高純度で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
式(2)
【0003】
【化3】
【0004】
(式中、R1 は前記と同義である。)で表される、フッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)は、抗鬱剤である塩酸パロキセチンの有用な中間体である。
フッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)は、従来式(1)
【0005】
【化4】
【0006】
(式中、A1 、A2 、R1 およびR2 は前記と同義である。)で表される化合物(1)を還元することによって製造されている。その還元の際、強い還元条件が要求されるので、還元反応に伴ってベンゼン環上のフッ素原子が脱離した化合物(以下、脱フッ素体と略する)が一部副生する。この脱フッ素体は除去が困難であり、フッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)の単離を困難にする。従って、例えば最終目的物である塩酸パロキセチンの純度を低下させることになる。
このため、脱フッ素体の副生しにくいフッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)の製造方法の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、副生成物である脱フッ素体の生成を抑制できるフッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、上記還元の際に、反応系にハロゲン置換ベンゼンを存在させることによって、脱フッ素体の生成が大幅に抑制され、フッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)、ひいては塩酸パロキセチンの純度が向上することを見いだした。
本発明はかかる新知見に基づいて完成したものであり、下記の発明に関する。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)式(1)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、A1 およびA2 は同一または異なっていてもよく、それぞれ酸素原子または2個の水素原子を、R1 は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基を、R2 は水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
で表される化合物(1)をハロゲン置換ベンゼンの存在下で還元することを特徴とする式(2)
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で表されるフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法、
(2)還元剤としてヒドリド系還元剤または金属水素化物類還元剤を用いる上記(1)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法、
(3)還元剤として水素化アルミニウムリチウムを用いる上記(1)または(2)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法、
(4)ハロゲン置換ベンゼンがオルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、およびパラジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法、
(5)式(1)および式(2)において、R1 が水素原子、R2 がメチル基、A1 が酸素原子、A2 が2個の水素原子であり、フッ素の置換位置が4位である上記(1)〜(4)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法、および(6)式(1)および式(2)において、ピペリジン環の3位または5位置換基と4位置換基とがトランス配位である上記(1)〜(5)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書において、各記号は次のことを意味する。
R1 およびR2 に関して、炭素数1〜6の低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが例示され、好ましくは炭素数1〜4のものである。
【0015】
R1 に関して、炭素数7〜12のアラルキル基としては、具体的にはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルなどが例示され、好ましくは炭素数7または8のものである。
【0016】
原料化合物(1)は、例えば、特開平9−278754号、特公平6−96551号、またはこれに準ずる方法で製造される。
【0017】
本発明で使用されるハロゲン置換ベンゼンとは、同一または異なっていてもよく、好ましくは1〜3個、特に好ましくは1または2個のハロゲン原子で置換されたベンゼンであり、該ハロゲン原子は、好ましくは塩素、臭素である。具体的には、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、2−ブロモクロロベンゼン、3−ブロモクロロベンゼン、4−ブロモクロロベンゼン、ブロモベンゼン、オルトジブロモベンゼン、メタジブロモベンゼン、パラジブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼンなどが挙げられ、好ましくは、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどが挙げられる。
【0018】
該ハロゲン置換ベンゼンの添加量は、原料化合物(1)に対して通常0.01〜20倍モル量であり、好ましくは0.05〜5倍モル量である。
【0019】
本発明で使用する還元剤としては、ヒドリド系還元剤または金属水素化物類還元剤が好ましく、具体的には水素化アルミニウムリチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリ(t−ブトキシ)リチウムアルミニウムヒドリド、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリメトキシ水素化ホウ素ナトリウム、ジボランなどが挙げられ、これらのうち水素化アルミニウムリチウムが好適なものとして挙げられる。
【0020】
該還元剤の使用量は、原料化合物(1)に対して1〜4倍モル量でよく、好ましくは1.4〜3.5倍モル量である。
【0021】
溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒などの単独又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、トルエン、テトラヒドロフランなどの単独、または混合溶媒が好ましいものとして挙げられる。
【0022】
反応温度としては0℃から100℃の範囲でよく、通常室温から80℃の範囲で実施するとよい。
【0023】
式(1)の化合物および式(2)のフッ素置換フェニルピペリジン化合物に関して、ピペリジン環の3位または5位置換基と4位置換基とは、トランス配位、シス配位のどちらでもよく、好ましくはトランス配位である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製造例1
2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルの合成
温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の4つ口フラスコに、メタノール150ml、p−フルオロ桂皮酸メチル33.0g、シアノ酢酸メチル36.3g、および28%ナトリウムメチラートメタノール溶液52.96gを仕込み、混合した後還流温度まで加熱した。反応液を同温度でさらに90分間攪拌した後、ロータリーエバポレーターで減圧下に溶媒を除去して反応液を濃縮した。
【0025】
濃縮残留物をトルエン150mlと5%塩酸水200mlとの混合液中に注ぎ、攪拌したあと静置し、分液したあと水層を除去した。有機層は、飽和重曹水100mlで2回洗浄し、次いで水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧下で溶媒を除去して有機層を濃縮した。
【0026】
濃縮残渣を蒸留すると、沸点が168〜170℃(4mmHg)の2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチル(収率:p−フルオロ桂皮酸メチルに対して82.7%)が得られた。このものの一部をメタノール中で再結晶し、融点80.2℃の結晶を得た。
【0027】
製造例2
2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルの合成
温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の4つ口フラスコに、酢酸メチル90mlおよびナトリウムメチラート10.5gを仕込み、このスラリー液に10〜20℃で酢酸メチル10mlとp−フルオロベンズアルデヒド10.0gとの混合溶液を30分間かけて滴下した。同温度でさらに30分間攪拌した後、この反応液に酢酸メチル20mlとシアノ酢酸メチル11.9gとの混合溶液を10〜20℃で45分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに57〜58℃で13時間攪拌した。反応終了液をトルエン100mlと5%塩酸水150mlとの混合液中に注ぎ、攪拌したあと静置し、分液したあと水層を除去した。有機層は、飽和重曹水100mlで2回洗浄し、次いで水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧下で溶媒を除去して有機層を濃縮した。
【0028】
濃縮残留物を蒸留すると、沸点が168〜170℃(4mmHg)の2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチル(収率:p−フルオロベンズアルデヒドに対して69.3%)が得られた。
【0029】
製造例3
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの合成
500ml容のオートクレーブに、メタノール200ml、製造例1または2で得られた2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチル10.0gおよびラネーコバルト1.0mlを仕込み、圧力15〜17kgf/cm2 、反応温度85〜95℃で水素ガスを添加した。同条件下で1時間攪拌した後、20〜30℃まで冷却した。圧力を常圧まで戻し、反応液を濾過して触媒を除去し、濾液からロータリーエバポレーターで減圧下で溶媒を除去して反応液を濃縮し、(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの粗結晶(収量:8.97g)が得られた。
【0030】
この粗結晶にトルエン50mlを加え、十分に攪拌した後、結晶を濾別し風乾すると(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(収量6.55g、収率:2−シアノ−3−(4’−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルに対して72.8%)が白色結晶として得られた。
【0031】
実施例1
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(188ml)に水素化アルミニウムリチウム(10.5g/0.278mol)を溶解した後、o−ジクロロベンゼン(2.2g/0.015mol)を添加した。この溶液中にトルエン(113ml)とTHF(75ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(37.7g/0.15mol)を懸濁させた液を、約20分かけて滴下し、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液380mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層からTHFを除きトルエンに置換したのち、室温まで冷却し析出した結晶を濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(25.6g/0.122mol/収率81.4%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.089%であった。
【0032】
実施例2
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(88ml)に水素化アルミニウムリチウム(4.9g/0.130mol)を溶解した後、m−ジクロロベンゼン(1.0g/0.007mol)を添加した。この溶液中にトルエン(53ml)とTHF(35ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(17.6g/0.070mol)を懸濁させた液を、約15分かけて滴下し、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液180mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層からTHFを除きトルエンに置換したのち、室温まで冷却し析出した結晶を濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(11.2g/0.053mol/収率76.2%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.172%であった。
【0033】
実施例3
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(188ml)に水素化アルミニウムリチウム(10.5g/0.278mol)を溶解した後、o−ジクロロベンゼン(22.1g/0.150mol)を添加した。この溶液中にトルエン(113ml)とTHF(75ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(37.7g/0.150mol)を懸濁させた液を、約15分かけて滴下し、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液380mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層からTHFを除きトルエンに置換したのち、室温まで冷却し析出した結晶を濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(24.2g/0.116mol/収率77.2%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.019%であった。
【0034】
比較例1
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(138ml)に水素化アルミニウムリチウム(7.7g/0.204mol)を溶解した。この溶液中にトルエン(84ml)とTHF(55ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(27.6g/0.11mol)を懸濁させた液を、約20分かけて滴下し、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液280mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層からTHFを除きトルエンに置換した後、室温まで冷却し析出した結晶を濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(17.6g/0.084mol/収率76.4%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.848%であった。
【0035】
実施例4
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジンの合成
THF(28ml)に水素化アルミニウムリチウム(0.78g/20.46mmol)を溶解した後、o−ジクロロベンゼン(1.5g/10.23mmol)を添加した。この溶液中にトルエン(12ml)に(±)−トランス−3−エトキシカルボニル−4−(4’−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−2,6−ジオン(2.0g/6.82mmol)を懸濁させた液を滴下し、40℃、1時間熟成した後、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液22mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層を減圧濃縮し、得られた油状物を氷冷下でトルエン−ヘキサンより結晶化させた。これを濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジン(1.19g/5.33mmol/収率78.3%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.11%であった。
【0036】
比較例2
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジンの合成
THF(28ml)に水素化アルミニウムリチウム(0.78g/20.46mmol)を溶解した。この溶液中にトルエン(12ml)に(±)−トランス−3−エトキシカルボニル−4−(4’−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−2,6−ジオン(2.0g/6.82mmol)を懸濁させた液を滴下し、40℃、1時間熟成した後、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液22mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層を減圧濃縮し、得られた油状物を氷冷下でトルエン−ヘキサンより結晶化させた。これを濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジン(1.02g/4.57mmol/収率67.1%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチル−N−メチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、2.16%であった。
【0037】
実施例5
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(32ml)に水素化アルミニウムリチウム(0.84g/22.09mmol)を溶解した後、o−ジクロロベンゼン(1.5g/10.23mmol)を添加した。この溶液中にトルエン(14ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(3.0g/11.94mmol)を懸濁させた液を滴下し、40℃、1時間熟成したあと、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液31mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層を濃縮し、得られた油状物にトルエンを加え室温で放置することで結晶が析出した。これを濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(1.05g/5.02mmol/収率42.0%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、0.51%であった。
【0038】
比較例3
(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの合成
THF(32ml)に水素化アルミニウムリチウム(0.84g/22.09mmol)を溶解した。この溶液中にトルエン(14ml)に(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン(3.0g/11.94mmol)を懸濁させた液を滴下し、40℃、1時間熟成した後、2時間還流した。反応液を室温まで冷却したのち、約3%水酸化ナトリウム水溶液31mlで、余剰の水素化アルミニウムリチウムを潰し水層を除去した。有機層を濃縮し、得られた油状物にトルエンを加え室温で放置することで結晶が析出した。これを濾過し、乾燥して(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン(1.11g/5.30mmol/収率44.4%)を得た。
HPLC分析の結果、得られた(±)−トランス−4−(4’−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対してその脱フッ素体は、1.79%であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、ベンゼン環からフッ素が脱離した化合物の生成を抑制し、純度の高いフッ素置換フェニルピペリジン化合物(2)を製造することができる。従って、本発明の製造方法により、抗鬱剤である塩酸パロキセチンの製造に有用な中間体を高い純度で提供できる。
Claims (6)
- 還元剤としてヒドリド系還元剤または金属水素化物類還元剤を用いる請求項1記載のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法。
- 還元剤として水素化アルミニウムリチウムを用いる請求項1または2記載のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法。
- ハロゲン置換ベンゼンがオルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、およびパラジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法。
- 式(1)および式(2)において、R1 が水素原子、R2 がメチル基、A1 が酸素原子、A2 が2個の水素原子であり、フッ素の置換位置が4位である請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法。
- 式(1)および式(2)において、ピペリジン環の3位または5位置換基と4位置換基とがトランス配位である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素置換フェニルピペリジン化合物の製造方法。
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