JP3735000B2 - シールド電線の端末接続装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド電線の端末を機器内に装備された端子に接続するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シールド電線からなるモータケーブルの端末をモータのステータ端子に接続する部分では、図7に示すような構造が採用されていた。すなわち、モータケーブル1の端末では、編組線からなるシールド層1Aの端末にシールド筒体2が嵌着されて、その外周にアース部2Aが張り出し形成されているとともに、前端側にシールリング2Bが嵌着され、また芯線1Bに端子金具3が接続されている。一方、モータ4のケース4Aには取付孔5が開口されている。そして、モータケーブル1の先端の端子金具3が取付孔5からモータケース4A内に挿入されて、ボルト6によりステータ端子7に接続されるとともに、シールド筒体2のシールリング2Bが取付孔5に緊密に嵌合されることで防水が図られ、またシールド筒体2のアース部2Aがモータケース4Aにボルト8で止められてアースが取られることで電磁シールドされる構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
言い換えると従来のものは、モータケーブル1の端末がモータケース4Aを貫通してステータ端子7と直に接続される構造となっているため、モータケーブル1を接続する作業を、モータ4を車両に組み付ける工程に合わせて行う必要があって、組付工程の自由度が制限され、また、メンテナンス等においてモータケーブル1を交換しようとした場合には、モータ4を車両から外して分解する必要があって、面倒であるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、組付工程の自由度を高め、かつメンテナンス性も向上させるところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、シールド電線の端末を機器内に設置された端子に接続するための装置であって、前記機器の外面にはシールドケースが取り付けられ、一端が前記シールドケースに形成された貫通部に挿通され前記端子に接続されたバスバーの他端が前記シールドケース内に臨んでいるとともに、このシールドケースの側面に形成された挿通部に前記シールド電線の端末が挿通されて、この端末に設けられたシールド体が前記挿通部に接触され、前記シールド電線の芯線の端末と、前記バスバーの他端とが前記シールドケース内に固定された絶縁性の端子台上で互いに結合され、前記バスバーは、前記貫通部にゴム栓を介して嵌着されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記シールドケースにおける前記端子台の設けられた箇所の外方に対応する側面には操作用開口が形成され、この操作用開口にカバーが着脱可能に被着されているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
機器にはシールドケースが予め設けられて、機器内の端子と接続されたバスバーの他端がシールドケース内に臨んでいる。シールド電線の端末を接続する場合は、芯線の端末を挿通部からシールドケース内に挿通して端子台上でバスバーの他端と結合し、併せてシールド体を挿通部と接触させて導通を取る。
シールド電線が機器内の端子に対して後から接続可能な構造であって、シールド電線を機器とは別に流通させることができ、またシールド電線の接続作業を行う時期も比較的自由に設定できる。また、シールドケース内でバスバーとの結合を外せば、シールド電線を単体で取り外すことができる。
しかも、機器内が油室になる場合、導電路が電線であると、耐油性に優れた高価な電線を必要とするが、導電路をバスバーとすれば、バスバーがシールドケースを貫通する部分にシール材を入れる等だけで、対油策として安価に対応することができる。
【0007】
<請求項2の発明>
カバーを外すと、操作用開口を通して端子台が外部に開放されるから、シールド電線の芯線の端末とバスバーの他端との結合またはその解除作業が簡単に行われる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図5によって説明する。この実施形態では、電気自動車のモータにモータケーブルの端末を接続する部分を示している。
図1において、モータ80は金属製のケース81を備えており、このモータケース81内に3個のステータ端子82が紙面の表裏方向に並んで設置されているとともに、モータケース81の所定の縦壁により、後記するシールドケース30を取り付けるための取付壁83が設定されている。なお、各ステータ端子82は、取付壁83に背を向けた斜め上向きに設けられているとともに、取付壁83には横長の長円形をなす取付孔84がステータ端子82とほぼ同一高さ位置に開口されている。
【0009】
モータケーブル10はシールド電線であって、図1及び図2に示すように、軸心側から順次に芯線11、内部絶縁層12、編組線からなるシールド層13及び外部被覆14を備えた構造であって、その端末では、上記した芯線11、内部絶縁層12及びシールド層13が順次に露出されている。
芯線11の端末には、目玉状の接続部16を有する端子金具15が、バレル17をかしめることで固着されている。一方、外部被覆14の端末には下敷き用のCリング19が嵌装されて、そのCリング19の上にシールド層13の端末が捲り上げて重ねられており、後端側を大径とした段付きの円筒形をなすシールドシェル21が備えられて、その小径部22がCリング19との間に捲り上げられたシールド層13の端末を挟んでかしめられて固着されている。また、シールドシェル21の後方には、防水ゴム栓25が大径部23で押さえられて嵌着されている。
【0010】
上記のように端末処理の施されたモータケーブル10が3本設けられ、それらの端末がシールドケース30に収容されるようになっている。このシールドケース30はアルミダイキャスト製であって、全体としては図3及び図4に示すように、上面の開口30Aの形成された方形の浅い箱形に形成されている。
シールドケース30の4つの側面の内の一側面には、円筒形をなす3個の挿通部31が横方向に並んで形成され、各挿通部31に、上記したモータケーブル10の端子金具15が挿通されるようになっている。
【0011】
上記した挿通部31内には、それぞれコンタクト33が装着されている。このコンタクト33は、図3に示すように、2本の側材34の間に複数の帯35を間隔を開けてわたしたものが、挿通部31内に緊密に嵌合可能な円筒形に回曲され、かつ各帯35が内側に膨出された鼓形に形成されている。
一方、上記した各挿通部31の内方の開口42は、図1に示すように、コンタクト33の前縁を突当可能に縮径されている。
【0012】
シールドケース30における上記した挿通部31の設けられた面と対向した面には、3個の円形の貫通部48が各挿通部31と対向して形成されている。各貫通部48には、上記したモータ80のステータ端子82と接続されるバスバー50が挿通可能となっている。
このバスバー50は、図4に示すように、3本が連結具72により並んで連結されており、それぞれの一端側にはステータ端子82と接続される斜め姿勢の接続部50Aが形成され、他端側にはモータケーブル10の端末の端子金具15と接続される真直な接続部50Bが形成されている。接続部50Bの直ぐ後方には、貫通部48に緊密に嵌合可能なゴム栓74が嵌着されている。
上記の貫通部48の形成された面49が、モータケース81の取付壁83に当てられて取付可能となっており、この取付面49の裏側にパッキン53が装着されているとともに、上縁の中央部と下縁の両端部とに、それぞれボルト54の挿通孔56の形成された取付脚55が突設されている。
【0013】
シールドケース30内には、合成樹脂製の端子台60が装着されている。この端子台60には、仕切壁61によって3個の載置面62が区画形成されている。端子台60は、図1に示すように、その下面に形成された取付孔63を、シールドケース30の底面から立てられたピン64に圧入することで固定され、このとき、各載置面62は、対向した挿通部31と貫通部48の間にそれぞれ位置している。この載置面62には、バスバー50の他端に形成された接続部50Bと、モータケーブル10の端末に固着された端子金具15の接続部16とが重ねて載置可能であり、また載置面62には四角ナット66が嵌め込まれている。
さらに、シールドケース30の上面の開口30Aには、パッキン68を介して金属製のカバー69が被せられ、四隅がボルト70で止められるようになっている。
【0014】
続いて、本実施形態の組付手順の一例を説明する。
シールドケース30では、各挿通部31に対してそれぞれコンタクト33が外側から挿入され、内方の開口42の口縁に突き当てられて保持される。また、シールドケース30内に、各載置面62に四角ナット66の装着された端子台60が組み付けられるとともに、取付面49にパッキン53が装着される。そして、各貫通部48に、連結具72により並んで連結された3本のバスバー50の各接続部50Bが外側から挿入され、端子台60の対応する載置面62に載せられるとともに、接続部50Bの後方に設けられたゴム栓74が貫通部48に緊密に嵌着される。
【0015】
このように組み付けられたシールドケース30が、予めモータケース81に取り付けられる。具体的には図1に示すように、バスバー50の反対側の接続部50Aが取付孔84に挿入されつつ、取付面49がモータケース81の取付壁83に当てられ、3箇所の取付脚55の挿通孔56に通したボルト54を、取付孔84の回りの所定位置に切られたネジ孔86に螺合して締め付けることで、パッキン53を圧縮しつつシールドケース30がモータケース81に対して水平に突出した状態で取り付けられる。また、バスバー50のモータケース81内に突入された接続部50Aは、モータ80の対応するステータ端子82にボルト88によって接続される。
【0016】
モータケーブル10を接続する場合は、上記の状態から、図1の矢線に示すように、各モータケーブル10の端末に設けられた端子金具15が対応する挿通部31に挿入される。端子金具15はその接続部16が端子台60の載置面62に達して、バスバー50の接続部50Bの上に重ねられるまで挿入される。そうしたら、端子金具15とバスバー50の接続部16,50Bにボルト77を通して四角ナット66に螺合して締め付けると、図5に示すように、対応する端子金具15とバスバー50同士が接続されて端子台60に固定される。
【0017】
このとき、シールドシェル21の大径部23が、コンタクト33における膨出した内周面に嵌入することで弾性的に接触され、また防水ゴム栓25が挿通部31の入口に緊密に嵌着する。
3本のモータケーブル10の固定が終わったら、シールドケース30の上面の開口30Aにパッキン68を介してカバー69を被せ、その四隅をボルト70で締め付けてカバー69を閉じればよい。
以上により、各モータケーブル10の端末がバスバー50を介して対応するモータ80のステータ端子82に接続される。このとき、シールドケース30がアースされた金属製のモータケース81と電気的な接続状態にあり、モータケーブル10の端末の端子金具15からバスバー50にわたる回りが、挿通部31、シールドケース30とカバー69、さらにはモータケース81によって隙間無く完全に包囲された状態となるから、モータケーブル10に対してノイズが侵入したり、逆にノイズが洩れることが確実に防止される。
【0018】
メンテナンス等においてモータケーブル10を外す場合は、ボルト70を緩めてカバー69を外す。そうすると、端子台60の部分が上方に露出するから、ボルト77を緩めて引き抜くことで端子金具15の固定が解除され、引き続いてモータケーブル10を後方に引っ張ると、端子金具15を挿通部31に通過させつつ、モータケーブル10の端末をシールドケース30から引き抜くことができる。
【0019】
以上説明したようにこの実施形態では、モータケース81に予めシールドケース30を取り付けて、ステータ端子82と接続したバスバー50の他端をシールドケース30内の端子台60に臨ませておき、モータケーブル10の端子金具15を上記の端子台60においてバスバー50と接続する構造となっており、言い換えると、モータケーブル10をステータ端子82に対して後から接続できるようになっているから、モータケーブル10をモータ80とは別に流通させることができ、またモータケーブル10の接続作業を行う時期も比較的自由に組み込むことができる。
また、カバー69を外してボルト77を緩めることで端子金具15の固定を解除すれば、モータ80やシールドケース30をそのままにしてモータケーブル10を単体で取り出すことができ、その交換等を簡単に行うことができる。
【0020】
また、モータケース81内を油室として使用する場合、ステータ端子82からシールドケース30内に臨む導電路に電線を用いると、耐油性に優れた高価な電線が必要となる。その点この実施形態では、導電路にバスバー50を利用しているから、後はシールドケース30とモータケース81との間にパッキン53を装着し、またシールドケース30の貫通部48にゴム栓74を嵌着するだけで、比較的安価に対油策を講じることができる。
【0021】
<第2実施形態>
図6は本発明の第2実施形態を示す。上記したようにモータケーブルの端末は、シールドケースに対して電磁シールド用の導電処理と防水処理とを施すようになっており、このシールドケースは、モータケースに比べて形状変更がしやすいから、モータケーブルの端末構造にも簡単にバリエーションを持たせることができる。
この第2実施形態はその一例を示すものであり、特にシールドシェル90の形状とその取付構造に変更が加えられている。
【0022】
すなわち、シールドシェル90は前端部の外周が薄肉とされた段付きの円筒形に形成されており、段付き部分の外周からアース部91が張り出し形成されているとともに、前端側にシールリング92が嵌着されている。このシールドシェル90の後端側が、捲り上げられたシールド層13の端末の外周に被せられて固定されている。
このように端末処理の施されたモータケーブル10Aでは、端子金具15が挿通部を通してシールドケース(図示せず)内に挿通されたのち、シールリング92が挿通部の内周に緊密に嵌合することで防水が図られ、またアース部91がシールドケースにボルト93で止められてアースが取られることで電磁シールドされる。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、モータのステータ端子にモータケーブルの端末を接続する場合に限らず、シールド電線の端末を機器内に装備された端子に接続する場合全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るモータケーブルの端末の接続動作を示す縦断面図
【図2】モータケーブルの端末の平面図
【図3】シールドケースの分解斜視図
【図4】シールドケースと相手のバスバーとの接続構造を示す分解斜視図
【図5】モータケーブルとバスバーとが接続された状態の縦断面図
【図6】第2実施形態に係るモータケーブルの端末構造を示す一部切欠側面図
【図7】従来例の断面図
【符号の説明】
10…モータケーブル(シールド電線)
11…芯線
13…シールド層
15…端子金具
21…シールドシェル
25…防水ゴム栓
30…シールドケース
30A…開口
31…挿通部
33…コンタクト
50…バスバー
50A,50B…接続部
60…端子台
69…カバー
77…ボルト
80…モータ(機器)
81…モータケース
82…ステータ端子
10A…モータケーブル(シールド電線)
90…シールドシェル

Claims (2)

  1. シールド電線の端末を機器内に設置された端子に接続するための装置であって、
    前記機器の外面にはシールドケースが取り付けられ、一端が前記シールドケースに形成された貫通部に挿通され前記端子に接続されたバスバーの他端が前記シールドケース内に臨んでいるとともに、このシールドケースの側面に形成された挿通部に前記シールド電線の端末が挿通されて、この端末に設けられたシールド体が前記挿通部に接触され、前記シールド電線の芯線の端末と、前記バスバーの他端とが前記シールドケース内に固定された絶縁性の端子台上で互いに結合され
    前記バスバーは、前記貫通部にゴム栓を介して嵌着されていることを特徴とするシールド電線の端末接続装置。
  2. 前記シールドケースにおける前記端子台の設けられた箇所の外方に対応する側面には操作用開口が形成され、この操作用開口にカバーが着脱可能に被着されていることを特徴とする請求項1記載のシールド電線の端末接続装置。
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