JP3733295B2 - ダイカスト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストマシンに係り、特に、金型キャビティ内の気体を溶湯圧入の前に排気し、減圧の状態でダイカストする真空ダイカスト法を用いたダイカスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイカストマシンは、たとえば、一対の固定金型と移動金型、これら固定金型および移動金型をそれぞれ保持する固定ダイプレートおよび移動ダイプレート、タイバーを伸長させて固定金型と移動金型とを型締する型締装置、固定金型と移動金型との間に形成されるキャビティに金属溶湯を射出する射出装置、溶融金属を射出装置に供給する給湯装置等を備えている。このようなダイカストマシンでは、固定金型と移動金型とを型締装置によって型締した状態で、給湯装置によって溶融金属を射出装置のスリーブに供給し、射出プランジャを駆動することにより、金型キャビティ内に溶融金属を射出・充填することによってダイカスト製品を鋳造する。
ところで、ダイカスト製品の品質のばらつきによる信頼性低下の原因の一つとして、ダイカスト製品へのガスの含有がある。すなわち、高速、高圧で射出・充填された溶湯はスリーブとキャビティ内で乱流となり、空気や気化した金型に塗布された離型剤等を巻き込む。
【0003】
上記のような問題を克服するため、真空ダイカスト法によるダイカストマシンを用いて鋳造することによって、ダイカスト製品へのガスの含有を抑制し、ダイカスト製品のガスの含有による品質のばらつきを低減する技術が知られている。真空ダイカスト法を用いたダイカストマシンにおいては、たとえば、米国特許2,785,448号に開示されているように、真空タンクで減圧された状態のキャビティ内に溶融金属を射出・充填することにより、溶融金属へのガスの含有を抑制する。
上記のような真空ダイカスト法を用いたダイカストマシンにおいては、高い強度、品質の製品を鋳造するためには、キャビティ内をより高真空化でき、減圧状態を維持できることが求められている。キャビティ内が高真空化されていないと、鋳造された製品にガスが含有し、鋳造後の焼きなまし等の熱処理を製品に施した際に、製品に歪みや変形が生じやすく、真空ダイカスト法による十分な効果を得ることが難しいからである。より高い強度、品質の製品を鋳造するためには、具体的には、数十Torr程度にまでキャビティ内を減圧することが求められている。
さらに、ダイカストマシンによる生産性を向上させる観点から、真空タンクによる排気に要する時間を可能な限り短縮化することも求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、キャビティ内を減圧するためには、真空タンクとキャビティとを連通する排気路の途中にバルブを設け、排気路をバルブによって開閉することが必要となる。
バルブの開閉は、たとえば、空圧や液圧によって作動するシリンダ装置を用いて行う方式が知られている。
バルブを閉じるタイミングは、キャビティ内の真空度の低下を防ぐ等の観点から、可能な限り金属溶湯をキャビティ内に射出・充填する直前とすることが好ましい。
しかしながら、前記シリンダ装置は応答性が低く、応答時間にばらつきが生じやすく、精密な制御が困難であるため、ある程度余裕をもってバルブを閉じる必要がある。バルブを閉じると、真空タンクによる排気が停止するため、キャビティ内への外部からの空気の侵入により、キャビティ内の真空度が低下しやすいという不利益が存在した。
【0005】
他のバルブの開閉方法として、排気路を開くときにはシリンダ装置を用い、排気路を閉じるときにはキャビティ内に射出・充填された溶融金属の慣性力によってバルブを駆動させ、あるいは、溶融金属の慣性力を圧力に変換してバルブを駆動させる方式が知られている。
しかしながら、この方法では、バルブが溶融金属に触れるため、排気路内に溶融金属が侵入する可能性があり、侵入した場合には機器に重大な損傷を与える可能性があった。また、溶融金属の慣性力を圧力に変換するには、溶融金属の流路に絞りが必要となり、この部分の断面積が小さくなり、排気を効率良く行うことが難しいという不利益も存在した。さらに、高速でキャビティ内に射出・充填された溶融金属の慣性でバルブを駆動すると、バルブが弁座に勢いよく衝突するため、その反動によって、バルブが弁座から浮き上がる可能性があり、バルブと弁座との間から溶融金属が侵入する可能性もある。
【0006】
一方、キャビティ内をより高真空化するためには、金型の合わせ面の間や製品を押し出すための押出ピンと金型との間等のシールを十分に行い、外部からの空気の侵入を防ぐ必要がある。これらのシールが確実に行われないと、真空タンクで排気しても高真空を得ることが難しい。
金型の合わせ面の間のシールは、樹脂製のシール部材を金型の合わせ面間に配置することにより可能であるが、排気路が金型の合わせ面間に形成されシール部材の近傍に位置する場合には、シール部材に耐熱性材料を用いたとしても、高温によってシール部材は連続使用に耐えられない。
このため、従来においては、金型の合わせ面の間にキャビティの周囲を連続的に囲むようにシール部材を配置することが難しく、特に金型合わせ面の延長上に真空バルブユニットを取り付ける方式では、金型の合わせ面間のシールを確実に行うことが困難であった。
押出ピンは、高温状態にある製品に直接接触するため、押出ピン自体も温度上昇が避けられない。したがって、押出ピンと金型との間のシールに樹脂性のOリング等のシール部材を用いると、シール部材が高温に耐えられないという問題が存在する。このため、従来においては、押出ピンと金型との間のシールを十分に行うことも困難であった。
【0007】
以上のように、従来においては、キャビティ内を減圧するための排気路を開閉するバルブの構造および金型の合わせ面の間や押出ピンと金型との間のシール構造に起因して、キャビティ内を数十Torr程度の高真空に減圧し、これを維持することが困難であった。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、真空ダイカスト法を用いたダイカスト装置において、金型キャビティ内をより高真空にすることができるダイカスト装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のダイカスト装置は、一対の金型の間に形成されるキャビティ内を減圧し、当該キャビティ内に金属溶湯を射出・充填してダイカスト製品を成形するダイカスト装置であって、前記キャビティにおいて成形される成形品を押し出し可能に、前記金型に形成された前記キャビティに連通する挿入孔に挿入された押出ピンと、前記押出ピンと前記挿入孔の間を密封し、減圧された前記キャビティ内への空気の流入を防ぐ、前記押出ピンの外周に嵌合するシール部材と、前記成形品との接触により温度上昇する前記押出ピンのすくなくとも前記シール部材の嵌合する位置近傍の温度上昇を防ぐ温度上昇防止手段とを有し、前記温度上昇防止手段は、冷却液によって前記押出ピンの前記シール部材の嵌合する位置近傍を強制冷却すると共に、前記温度上昇防止手段は、前記金型の背面に固定され、前記シール部材を保持し、内部に冷却液が収容される収容空間を備える冷却液収容部を有し、前記押出ピンは、前記冷却液収容部に保持されたシール部材に嵌合し、前記収容空間を横断するように前記冷却液収容部を貫通している
【0013】
前記冷却液収容部と前記金型の背面との間には、熱の移動を防ぐための隙間が形成されている。
【0014】
本発明では、減圧されたキャビティ内への押出ピンと挿入孔との間からの空気の流入を防ぐシール部材の高温による劣化を防ぐために、少なくとも押出ピンのシール部材が嵌合する位置近傍の温度上昇を防ぐ温度上昇防止手段を備えている。
このため、たとえば、Oリング等のシール部材によって簡易にかつ確実に減圧されたキャビティ内への空気の流入を防ぐことができ、キャビティ内を高真空にすることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明が適用されるダイカストマシンの構成の一例を示す図である。
図1において、ダイカストマシン1は、ベース100と、ベース100上に設置された固定ダイプレート91と、固定ダイプレート91に取り付けられた固定金型2と、固定ダイプレート91の固定金型2とは反対側に設けられた射出装置95と、固定ダイプレート91に対向してベース100上に設置された移動ダイプレート92と、固定金型2に対向するように移動ダイプレート92に取り付けられた移動金型3と、移動ダイプレート92を間において固定ダイプレート91とタイバー80によって連結されたリンクハウジング71と、リンクハウジング71と移動ダイプレート92とを連結する複数のリンクからなるトグル機構110とを備えている。
【0016】
固定ダイプレート91は、ベース100に固定されており、移動ダイプレート92はベース100に移動可能に設けられている。
リンクハウジング71と固定ダイプレート91とは、移動ダイプレート92を貫通する4本のタイバー80によって連結されている。
【0017】
トグル機構110は、複数のリンクで構成されており、リンクハウジング71と移動ダイプレート92とを連結している。なお、トグル機構110の構成は、周知の構成であり、詳細については省略する。
このトグル機構110は、クロスヘッド72と連結されており、このクロスヘッド72がねじ軸73に沿って矢印A1およびA2方向に移動することにより作動し、リンクハウジング71と移動ダイプレート92とを接近または離隔させる。
ねじ軸73は、リンクハウジング71に設けられた図示しないサーボモータによって駆動され、ねじ軸73の回転によってこれに螺合するクロスヘッド72が矢印A1およびA2方向に移動する。
【0018】
図1に示すように、図示しないサーボモータの駆動によってクロスヘッド72を矢印A2方向へ移動させると、トグル機構110が作動し、移動ダイプレート92はリンクハウジング71に対して離隔する向き(型閉方向)に移動し、固定金型2と移動金型3の型閉が行われる。さらに、クロスヘッド72を矢印A2方向に移動させると、タイバー80が伸長し、タイバー80に発生した張力によって固定金型2と移動金型3との型締が行われる。
【0019】
射出装置95は、型締された固定金型2および移動金型3に形成される図示しないキャビティに溶融金属を射出・充填する。キャビティに射出・充填された溶融金属が凝固することにより、ダイカスト製品が得られる。
【0020】
一方、ダイカスト製品を鋳造したのち、ダイカスト製品を取り出す際には、図2に示すように、クロスヘッド72を矢印A1方向へ移動させると、移動ダイプレート92はリンクハウジング71に対して接近する向き(型開方向)に移動し、移動金型3は固定金型2に対して開く。固定金型2と移動金型3を開くと、ダイカスト製品は移動金型3に嵌まった状態で移動する。この移動金型3に嵌まった状態のダイカスト製品を後述する押出機構によって移動金型3から押し出すことによって、ダイカスト製品を取り出す。
【0021】
図3は、本発明のダイカスト装置の第1の実施形態に係る金型周辺の構造を示す断面図である。また、図4は固定金型2の合わせ面(分割面)の構造を示す図であり、図5は移動金型3の合わせ面(分割面)の構造を示す図である。なお、図3に示す固定金型2および移動金型3は型締状態にある。
図3に示すように、固定金型2の背面側には、射出装置95が設けられている。
【0022】
射出装置95は、固定金型2の背面側に設けられた円筒状のスリーブ96と、このスリーブ96の内周に嵌合するプランジャチップ97と、プランジャチップ97と一端が連結されたプランジャロッド98と、プランジャロッド98の他端部と連結された射出シリンダ装置99とを備えている。
【0023】
スリーブ96は、供給口96aを備えており、この供給口96aからラドル100によってスリーブ96内に金属溶湯MLが供給される。
射出シリンダ装置99は、ピストンを内蔵しており、このピストンに連結されたピストンロッド99aとプランジャロッド98とがカップリング99bによって連結されている。この射出シリンダ装置99は、油圧によって駆動され、ピストンロッド99aを伸縮する。
【0024】
プランジャチップ97は、プランジャロッド98に連結されており、射出シリンダ装置99の駆動により、スリーブ96内を移動する。プランジャチップ97が金属溶湯MLが供給されたスリーブ96内を固定金型2側に向けて移動することにより、金属溶湯MLが固定金型2と移動金型3とによって形成されるランナー部Rnを通じてキャビティCに充填される。
なお、98aはプランジャロッド98の外周に軸方向に対し一定ピッチで磁極N,Sが形成され、この磁極の通過数をパルス列として検出するセンサであって、プランジャチップ97の射出速度を計測するものである。図示の如く、センサ出力はマシンコントローラ52へ与えられる。マシンコントローラ52内の52aは射出プランジャ現在位置カウンタであって、プランジャチップ97の位置を示す。また、52bは溶湯供給口通過位置設定レジスタ、52cは高速射出開始位置設定レジスタであって、前記カウンタ52aの値がそれぞれレジスタ52b,52cの値と一致したとき、マシンコントローラ52は対応するバルブの開閉動作を行うようバルブコントローラ51へ指令を与えるようになっている。
【0025】
ランナー部Rnは、図5に示す移動金型3の分割面3aに形成された溝部Rnaと固定金型2の分割面2aによって形成される。
キャビティCは、図4に示す固定金型2の分割面2aにダイカスト製品の形状に合わせて形成された凹面Caおよび図5に示す移動金型3の分割面3aにダイカスト製品の形状に合わせて形成された凹面Cbとによって形成される。
【0026】
キャビティCの上方には、図3に示すように、排気路Epが形成されている。この排気路Epは、図5に示した、移動金型3の分割面3aに形成された凹面Cbに連なる溝部Epaと、図4に示した固定金型2の分割面2aに形成された溝部Epbとによって形成される。なお、溝部Epbに隣接する凹部Saは、後述するバルブの当接部である。
【0027】
図3に示すように、固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aとの間に形成された排気路Epに連通してバルブ機構部21が設けられている。
このバルブ機構部21の周辺の構造を図6を参照して説明する。
【0028】
図6に示すように、バルブ機構部21は、電磁アクチュエータ22と、電磁アクチュエータ22に連結されたバルブ軸23と、バルブ軸23の先端に一体に形成された円板状の弁体24を備える。
バルブ軸23および弁体24は、たとえば、ステンレス等の金属材料で形成されている。
電磁アクチュエータ22は、移動金型3に形成された挿入孔3hに嵌合挿入される有底筒状のガイド部材29の開口端29bにフランジ部材32を介して固定されている。
ガイド部材29と移動金型3に形成された挿入孔3hとの間には、樹脂製のOリング30が介在しており、挿入孔3hとガイド部材29との間をシールしている。
【0029】
ガイド部材29の有底部には、ガイド孔29aが形成されている。このガイド孔29aにバルブ軸23が移動可能に嵌合挿入されている。バルブ軸23は、移動の際の安定化の観点から、ガイド孔29aに嵌合する部分が弁体24側よりも大径化している。また、ガイド孔29aとバルブ軸23とは精密に嵌合しており、ガイド孔29aとバルブ軸23との間はシールされている。
バルブ軸23は、内部が空洞部23aとなっている。軽量化によりバルブ軸23の慣性を減らして、バルブ軸23の移動を高速にするためである。
【0030】
移動金型3には、上記した排気路Epに連通し、バルブ軸23が挿入される排気路26が分割面3aに垂直な方向に沿って形成されている。なお、移動金型3の排気路26が形成される部分は、バルブ機構部21を移動金型3に組み込むために別の金属部材3dで形成されている。
【0031】
排気路26の先端部(分割面3a側)には、弁座部39が形成されている。この弁座部39は、弁体24に相対しており、弁座部39に形成された弁座面39aに弁体24が当接することにより、排気路26を閉塞する。なお、弁座面39aは、移動金型3の分割面3aに沿って形成されている。
この弁座部39は、弁体24よりも軟らかく、弁体24と接触した際になじみの良い材料で形成されている。具体的には、銅合金等の金属材料である。
【0032】
移動金型3には、排気路26に直交する向きに沿って排気路25が形成されている。排気路25と排気路26とは連通している。この排気路25の上方には、装着孔3gが形成されており、この装着孔3gに排気管55が挿入されている。
排気管55は、先端外周部にねじが形成されており、このねじと装着孔3gの内周に形成されたネジとが螺合している。
さらに、装着孔3gの上端側外周には、排気管55と装着孔3gとの間を密封するために、樹脂性のOリング59aおよび59bを介してリング部材59が固定されている。
【0033】
電磁アクチュエータ22は、ケースの内部にバルブ軸23と連結される軸部材22aと、この軸部材22aに固定された図示しない永久磁石と、この永久磁石の周りに設けられた図示しない電磁石とを有する。
電磁石に外部から電力を供給することにより、永久磁石と電磁石との間に吸引力が発生し、軸部材22aが直動する。
電磁アクチュエータ22は、電磁石に供給する電流の向きを適宜変更することにより、弁体24を図6の矢印C1およびC2で示す排気路26を開閉する方向に駆動する。
【0034】
この電磁アクチュエータ22は、図3に示したように、バルブコントローラ51に電気的に接続されており、バルブコントローラ51から電力供給を受ける。
バルブコントローラ51は、電磁アクチュエータ22の駆動制御を行い、弁体24を開閉させる。このバルブコントローラ51は、ダイカストマシン1を総合的に駆動制御するマシンコントローラ52に電気的に接続されており、マシンコントローラ52から入力される信号に応じて電磁アクチュエータ22の駆動制御を行う。
【0035】
上記の排気管55は、図3に示したように、真空タンク50に接続されている。この真空タンク50は、排気管55、排気路25、排気路26および排気路Epを通じてキャビティC内を排気する。真空タンク50としては、数Torr〜数十Torr程度の高真空に排気できるものを使用する。
【0036】
移動金型3の分割面3aには、シール部材35をはめ込む溝3bが形成されており、この溝3bにシール部材35がはめ込まれ、シール部材35の一部は分割面3aから突出している。シール部材35の突出した部分が移動金型3の分割面3aと固定金型2の分割面2aを合わせたときに、分割面2aに接触し、分割面2aと分割面3aとの間をシールする。
シール部材35は、たとえば、シリコンゴム等の比較的耐熱性の高い材料で形成されたものを用いることが好ましい。なお、シール部材35を固定金型2の分割面2aにはめ込む構成とすることも可能である。
【0037】
シール部材35は、図5に示したように、移動金型3の分割面3aの外周部に連続して設けられており、継ぎ目が存在しない。
さらに、シール部材35の内周側に、排気路Ep、キャビティCおよびランナー部Rnが配置されており、こららはシール部材35から十分に離隔している。
【0038】
次に、押出機構部41の具体的構成について説明する。
押出機構部41は、図3に示したように、移動金型3の背部に設置されている。
この押出機構部41は、複数の押出ピン42と、押出ピン42の一端を保持する保持板43、44と、保持板43、44が固定された可動板45と、可動板45を移動金型3に対して移動可能に案内する案内軸46と、シール冷却機構部61とを備えている。
【0039】
押出ピン42は、たとえば、ステンレス等の金属部材で形成されており、移動金型3に形成された各挿入孔3kに嵌合挿入されている。なお、後述するように、挿入孔3kは、移動金型3の分割面3aに近いところでのみ押出ピン42に嵌合し、それ以外の部分は押出ピン42が摺動しやすいように、拡径されている。
この挿入孔3kは、図5に示したように、移動金型3の分割面3aに開口している。各挿入孔3kは、ランナー部RnやキャビティCの周辺や排気路Epに対して設けられている。これらの挿入孔3kから押出ピン42の先端部を突き出すことにより、移動金型3に嵌まっているダイカスト製品を押し出すことができる。
【0040】
保持板43、44は、各押出ピン42の拡径した後端部を挟持している。この保持板43、44は、可動板45に固定されている。
可動板45は、図3に示したように、矢印E1およびE2の向きに移動可能に案内されている。この可動板45は、図示しない駆動手段によって、矢印E1およびE2の向きに所定の範囲で移動させられる。矢印E2の向きに可動板45を移動させることにより、押出ピン42の先端部が移動金型3の分割面3aから突出する。
【0041】
押出ピン42と挿入孔3kとは嵌合しており、溶湯金属MLが押出ピン42と挿入孔3kとの間に侵入する可能性はないが、押出ピン42と挿入孔3kとの間に空気が侵入する可能性がある。押出ピン42と挿入孔3kとの間に外部から空気が侵入すると、キャビティC内を減圧した際に、キャビティC内を高真空にすることができない。
また、押出ピン42は高温のダイカスト製品に直接触れるため、押出ピン42自体の温度も高温になる可能性がある。このため、押出ピン42と挿入孔3kとの間に樹脂性のシール部材(Oリング)を設けて押出ピン42と挿入孔3kとの間をシールすると、Oリングが高温に耐えられず、連続使用できない可能性がある。
【0042】
本実施形態では、上記の問題を解決するためにシール冷却機構部61を移動金型3の背部に設けている。
図7は、シール冷却機構部61の具体的構造を示す図である。
図7に示すように、シール冷却機構部61は、凹部63hを有する板状の第1部材63と、この第1部材63の凹部63h側に固定された板状の第2部材64と、第1部材63および第2部材64に固定されたシール保持部材65とを有している。
【0043】
第1部材63と第2部材64とは連結されており、第1部材63の凹部63hと第2部材64の対向面との間に冷却液収容空間Saを構成している。第1部材63と第2部材64との間には、樹脂製のOリング75が介在しており、第1部材63と第2部材64との間をシールしている。
【0044】
第2部材64は、移動金型3の背面に固定されている。第2部材64と移動金型3の背面との間の外周部には、樹脂製のOリング74が介在しており、第2部材64と移動金型3の背面との間をシールしている。
Oリング74の内周側に位置し、第2部材64の移動金型3に対向する面には、凹部64aが形成されており、移動金型3と第2部材64との間には隙間Sが形成されている。
【0045】
第1部材63の周壁部には、冷却液収容空間Saに冷却液Wを供給するための供給口63bと、冷却液収容空間Saに収容された冷却液Wを排出するための排出口63cとが形成されている。
【0046】
シール保持部材65は、円筒状の部材からなり、移動金型3の背面側の端部に拡径部を備え、第1部材63に形成された挿入孔63aおよび第2部材64に形成された挿入孔64bに外周が嵌合挿入され、第1部材63および第2部材64に固定されている。第1部材63の挿入孔63aおよび第2部材64の挿入孔64bの内周には、樹脂製のOリング72および73がそれぞれ保持されている。
これらのOリング72および73は、シール保持部材65の外周と挿入孔63aおよび挿入孔64bとの間をシールしている。
【0047】
シール保持部材65は、中心部に押出ピン42が嵌合挿入される貫通孔65aを備えている。この貫通孔65aの内周であって、第2部材64側に樹脂製のOリング70を保持しており、第1部材63側に樹脂製のOリング71を保持している。
Oリング70,71は、押出ピン42と貫通孔65aとの間をシールしている。
また、シール保持部材65は、内部に空洞部65cと、押出ピン42に直交する方向に形成された貫通孔65bとを備えている。
【0048】
上記構成のシール冷却機構部61において、第1部材63の供給口63bには、冷却液供給管30が接続されており、冷却液供給管30を通じて冷却液Wが供給される。冷却液Wには、たとえば、水が用いられる。
【0049】
冷却液供給管30から供給された冷却液Wは、冷却液収容空間Sa内に導入され、一部の冷却液Wは、シール保持部材65の貫通孔65bを通じて空洞部65cに供給される。
空洞部65cに供給された冷却液Wは、空洞部65c内に露出した押出ピン42の一部を冷却する。
したがって、空洞部65c付近に存在する押出ピン42は、部分的に冷却される。
冷却液供給管30から冷却液Wが連続的に供給されることにより、空洞部65cの付近には新鮮な冷却液Wが循環し、貫通孔65bを通って排出口63cに排出される。
【0050】
一方、押出ピン42の外周に嵌合しているOリング70および71のうち、Oリング70は、移動金型3に形成された挿入孔3kと押出ピン42との間に外部から空気が侵入するのを防ぐ役割と、冷却液Wが挿入孔3k内に侵入するのを防ぐ役割を果たしている。Oリング71は、冷却液収容空間Saから冷却液Wが外部に漏れるのを防ぐ役割を果たしている。
これらのOリング70,71は、たとえば、シリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の材料で形成されていても、押出ピン42の温度が、たとえば、200℃以上の高温に達する環境下では連続使用に耐えられない。
本実施形態では、押出ピン42が高温のダイカスト製品に触れて温度が上昇したとしても、Oリング70,71の近傍に空洞部65cが配置されているため、押出ピン42のOリング70,71に接触する部分は、たとえば、100℃以下に抑えられている。この結果、Oリング70,71が熱によるダメージを受けることがない。
【0051】
次に、上記構成のダイカストマシン1の動作の一例について説明する。
まず、ダイカストマシン1が図2に示した状態、すなわち、固定金型2と移動金型3とが型開状態にある状態から、マシンコントローラ52の制御により、トグル機構110を作動させ、固定金型2と移動金型3とを型締する。
固定金型2と移動金型3とが型締されると、固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aの間は、シール部材35によってシールされる。
ダイカストマシン1の起動時には、上記したシール冷却機構部61には、冷却液Wが供給された状態にある。
また、ダイカストマシン1の起動時には、真空タンク50も起動されるが、バルブ機構部21の弁体24は排出路26を閉じた状態にある。したがって、キャビティC内は排気されない。
【0052】
一方、射出装置95のスリーブ96には、所定の量の、たとえば、アルミニウム合金等の溶湯がラドル100によって供給される。
ラドル100による溶湯の供給が完了すると、プランジャチップ97がマシンコントローラ52の制御により駆動される。プランジャチップ97の先端がスリーブ96の供給口96aを通過すると、スリーブ96がプランジャチップ97によって密封され、スリーブ96側からのキャビティCへの空気の侵入が遮断される。
なお、プランジャチップ97の移動開始時には、プランジャチップ97は通常低速で移動される。
【0053】
マシンコントローラ52は、たとえば、プランジャチップ97の検出位置からプランジャチップ97がスリーブ96の供給口96aを通過したことを判断し、バルブ機構部21の弁体24を開ける指令をバルブコントローラ51に出力する。
バルブコントローラ51は、マシンコントローラ52からの指令を受けて、バルブ機構部21の電磁アクチュエータ22を駆動する電力を電磁アクチュエータ22に供給する。
【0054】
電磁アクチュエータ22が駆動されると、図8に示すように、弁体24が矢印C2の向きに移動し、固定金型2の分割面2aに形成された当接面Saに弁体24が当接して止まる。
このとき、電磁アクチュエータ22によって弁体24を駆動しているため、たとえば、弁体24は数msec〜十数msecの時間でかつ略一定時間で開く。たとえば、弁体24の駆動に油圧シリンダを用いた場合には、弁体24が完全に開くまで2百数十msecの時間を要し、かつ、時間にばらつきが発生する。
【0055】
この弁体24の移動により、弁体24と弁座面39aとの間に隙間が形成される。この弁体24と弁座面39aとの間の隙間から、キャビティCに連通する排出路Ep、排出路26、排出路25および排出管55を通じてキャビティCの空気(ガス)が排気される。
【0056】
固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aの間は、シール部材35によって確実にシールされており、また、押出ピン42と移動金型3との間は、シール冷却機構部61に設けたOリング70によって確実にシールされているため、キャビティC内は急速に減圧される。
【0057】
ここで、図9に示すグラフを参照して、キャビティC内の減圧と射出速度との関係について説明する。
図9に示すグラフ(1)は、キャビティC内の減圧曲線を示しており、グラフ(2)はプランジャチップ97の射出速度波形を示している。なお、グラフ(3)は、比較例として、従来の電磁切換弁および油空圧シリンダ装置を用いてバルブを開閉する場合のキャビティC内の減圧曲線を示しており、グラフ(4)は排気路を閉じるときにはキャビティ内に射出・充填された溶融金属の慣性力によってバルブを駆動させる場合のキャビティC内の減圧曲線を示している。グラフ(3)(4)は、シール冷却機構部61を備えておらず、かつ、固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aとの間に連続的にシール部材を介在させていない場合である。
【0058】
グラフ(1)に示すように、減圧開始時点をPt1とすると、弁体24の応答性がよいため、減圧開始時点Pt1からキャビティC内は急速に減速される。さらに、押出ピンと金型の間あるいは固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aとの間から空気の漏れがほとんど存在しないため、減圧が短時間で効率よく行われるのがわかる。
【0059】
一方、グラフ(3)やグラフ(4)では、バルブの駆動にシリンダ装置を用いるため、減圧開始時点Pt1から実際に減圧が開始されるまでのタイムラグが比較的長く、また、押出ピンと金型の間あるいは固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aとの間から空気の漏れが存在するため、効率良く減圧されないことが分かる。
【0060】
プランジャチップ97の移動の進行に伴って、キャビティCとスリーブ96を連通するランナー部Rnにも金属溶湯MLが充填される。この状態においては、キャビティC内は、たとえば、20〜40Torr程度の高真空状態となっている。
【0061】
キャビティC内への金属溶湯MLの射出・充填は、プランジャチップ97の射出速度を高速に切り換えることによって行われる。すなわち、図9に示す高速射出開始時点Pt2において、射出速度が高速に切り換えられる。
しかしながら、高速射出に切り換える前に、バルブ機構部21に金属溶湯MLが侵入するのを防ぐために、排気路を弁体24によって閉じる必要がある。
排気路26を弁体24によって閉じるタイミングは、高速射出開始時点Pt2の直前が好ましい。すなわち、弁体24によって排気路26を閉じたのちには、キャビティC内の排気が行われず、空気の漏れによってキャビティC内の圧力が上昇する可能性があるからである。
【0062】
本実施形態では、弁体24の駆動に電磁アクチュエータ22を用い、さらに、バルブ軸23を軽量化しているため、数msec〜十数msec程度の短時間で閉じることが可能であり、かつ、電磁アクチュエータ22の応答にばらつきがほとんどないため、高速射出開始時点Pt2の直前に行うことができる。
【0063】
なお、弁体24によって排気路26を閉じるタイミングは、プランジャチップ97の検出位置や金型内に設けた圧力センサ等でキャビティC内の圧力をマシンコントローラ52が検出することによって決定する。マシンコントローラ52は、これらの信号の検出に応じて、バルブコントローラ51に指令を出力する。
【0064】
電磁アクチュエータ22を駆動して、弁体24によって排出路26を閉じたとき、弁体24は高速で弁座部39の弁座面39aに衝突するため、弁体24が弁座部39から反発して跳ね上がる可能性がある。
しかしながら、本実施形態では、弁座部39の形成材料として、反発を抑制する材料、すなわち、弁体24の形成材料よりも軟らかく、かつ、なじみの良い材料を用いているため、弁体24が弁座部39に衝突した際の跳ね上がりを極力抑制することができる。この結果、誤って、バルブ機構部21に金属溶湯が侵入することを防ぐことができる。
【0065】
高速射出開始時点Pt2において、高速射出に切り換えられると、金属溶湯MLは、キャビティC内に充填され、凝固する。これにより、所望のダイカスト製品が得られる。
【0066】
型締状態にある固定金型2と移動金型3から成形されたダイカスト製品を取り出すには、トグル機構110を作動させて、固定金型2と移動金型3とを開く。固定金型2と移動金型3とを開く(この時、プランジャチップは所定圧でランナー部に続くビスケット部を押しつけている)と、成形されたダイカスト製品は固定金型2から離れる。
この状態で押出機構部41を動作させ、押出ピン42を移動金型3の分割面3aから突出させることにより、ダイカスト製品を移動金型3から取り外すことができる。
【0067】
このとき、押出ピン42は高温状態にあるダイカスト製品に直接触れるため、押出ピン42の温度も上昇する。
一方、シール冷却機構部61において、押出ピン42に嵌合しているOリング70および71は、押出ピン42が部分的に冷却されているため、高温に晒されることがなく、Oリング70および71の機能が熱によって劣化することがない。
【0068】
さらに、シール冷却機構部61には連続的に冷却液Wが供給されているため、シール冷却機構部61の温度は移動金型3の温度よりも十分に低下する。
このため、シール冷却機構部61が移動金型3に直接触れていると、移動金型3の温度分布に影響を及ぼし、ダイカスト製品の品質に影響を与える可能性があるが、本実施形態では、シール冷却機構部61と移動金型3との間に隙間を形成し、シール冷却機構部61と移動金型3とが直接触れない構成としているため、シール冷却機構部61の移動金型3への影響を抑制することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、キャビティCと真空タンク50とを連通する排気路を開閉する弁体の駆動に電磁アクチュエータ22を用いることにより、排気路の開閉を速やかに行うことができる。電磁アクチュエータ22は、電力によって駆動されるため、作動油等を供給する必要がなく、バルブ機構部21を小型化することが可能である。このため、金型に対するバルブ機構部21の配置の自由度が増し、弁体24およびキャビティCと真空タンク50とを連通する排気路の配置を最適化することが容易となる。
キャビティCと真空タンク50とを連通する排気路の配置を最適化できるため、固定金型2の分割面2aと移動金型3の分割面3aとの外周部に切れ目なくシール部材35を介在させることができるとともに、キャビティCと真空ポンプ50とを連通する排気路とシール部材35との距離を十分に確保することができ、シール部材35の熱による焼損を防ぐことができる。
さらに、本実施形態によれば、高温となる押出ピン42を部分的に強制冷却することにより、押出ピン42と金型との間のシールにOリング等の汎用の樹脂製シール部材を容易に用いることができる。
【0070】
第2実施形態
図10は、本発明のダイカストマシンの第2の実施形態に係る金型周辺の構造を示す断面図である。なお、上述した実施形態と同一の構成部分については同一の符号を付している。
図10に示すように、本実施形態に係るダイカストマシンの移動金型3には、複数のバルブ機構部201,202が設けられている。
バルブ機構部201,202の構成は、上記したバルブ機構部21と同一構成である。
【0071】
バルブ機構部201は、移動金型3の分割面3aと固定金型2の分割面2aとの間に形成された排気路Epの中途にそれぞれ設けられている。排気路EpはキャビティCに連通している。
排気路Epは、移動金型3内にバルブ機構部201に対応して形成された排気路301および302を通じて真空タンク501と連通しているとともに、バルブ機構部202に対応して形成された排気路303および304を通じて真空タンク502と連通している。
真空タンク501および502は、同等な排気能力を備えている。
【0072】
また、バルブ機構部201および202の電磁アクチュエータ22は、共通のバルブコントローラ51に接続されている。
このバルブコントローラ51は、バルブ機構部201および202をそれぞれ独立に駆動可能となっている。
【0073】
上述した第1の実施形態において説明したように、弁体24の駆動に電磁アクチュエータ22を用いることにより、バルブ機構部を小型化でき、金型に対する配置の自由度を増加させることが可能になる。
このため、複数のバルブ機構部201,202を金型に設置することは容易に可能である。
【0074】
上記のように、複数のバルブ機構部201,202を金型に設置することにより、単一のバルブ機構部を設置する場合と比べて、排気のための排出路の総断面積を拡大することができるため、キャビティC内の効率の良い排気が可能となる。すなわち、単一のバルブ機構部を設置する場合には、真空タンクの排気能力を高めても、排出路の断面積が小さいと、短時間で急速に減圧を行うことができない。また、排出路の断面積を拡大すると、この排出路に溶湯が侵入しやすくなってしまう。
【0075】
また、複数のバルブ機構部201,202を金型に設置し、かつ、独立に駆動できる構成とすることにより、バルブ機構部の配置に応じてバルブの開閉のタイミングをそれぞれ最適化することができる。
【0076】
次に、複数のバルブ機構部201,202を用いた場合の、キャビティC内の減圧動作の一例について図11を参照して説明する。
図11において、グラフ(1)はキャビティC内の減圧曲線を示しており、グラフ(2)はプランジャチップ97の射出速度波形を示している。
まず、バルブ機構部201および202により、排出路を閉じた状態から、プランジャチップ97の低速移動を開始する。
次いで、射出開始時点Pt1において、一方のバルブ機構部201を開き、キャビティC内の減圧を開始する。なお、この状態では、他方のバルブ機構部202は閉じている。
【0077】
バルブ機構部201の開放によって、キャビティC内は真空タンク501によって急速に減圧される。
次いで、キャビティC内がある程度の圧力まで減圧された時点Pt2に達したとき、バルブ機構部201を閉じ、バルブ機構部202を開く。これによって、キャビティC内は真空タンク502によって減圧が継続される。このバルブ機構部201および202の開閉動作は、マシンコントローラ52からバルブコントローラ51へ指令が出力されることにより行われる。
【0078】
ところで、真空タンクの特性として、減圧にしたがって排気速度が次第に低下していくことが知られている。たとえば、真空タンク501によって減圧していくと、排気速度が次第に低下する。このため、真空タンク501によってある程度の減圧が進行したのち、キャビティC内を減圧する真空タンクを真空タンク502に交換することによって、排気速度の低下を極力抑えることができ、所望の圧力まで減圧するのに要する時間を短縮することができる。
【0079】
真空タンク502によるキャビティC内の減圧により、キャビティC内は高真空状態に達する。
この状態において、グラフ(2)の時点Pt3に示すように、プランジャチップ97の射出速度を高速に切り換える。
【0080】
一方、バルブ機構部202を閉じるタイミングは、キャビティC内を高真空状態に維持する観点からは可能な限り遅くすることが好ましい。したがって、高速射出に切り換えられたのちであっても、バルブ機構部202に金属溶湯が達しない限り、バルブ機構部202を開いた状態としておくことにより、真空タンク502に連通する排気路を閉じた後のキャビティC内の圧力の上昇を確実に抑制することができる。
本実施形態では、グラフ(2)における時点Pt4のように、高速射出に切り換え後に、バルブ機構部202を閉じる。
【0081】
高速射出に要する時間は、たとえば、40〜200msec程度と短いが、本実施形態では、バルブ機構部に電磁アクチュエータ22を用いているため、このような限られた時間の中で、適切なタイミングでバルブ機構部202を閉じることができる。
また、複数のバルブ機構部201,202のうち、バルブ機構部202は、バルブ機構部201と比べてキャビティCから離れた位置にあり、このように離れた位置にあるバルブ機構部202を最後に閉じることにより、キャビティCに連通する排気路を閉じるタイミングを可能な限り遅らせつつ、バルブ機構部への溶湯の侵入を防ぐことができる。
【0082】
なお、上述した実施形態では、2つのバルブ機構部201,202を金型に設けた場合について説明したが、さらに多数のバルブ機構部を設けることも可能である。
また、上述した実施形態では、2つのバルブ機構部201,202を共通の排出路Epに対して設置した場合について説明したが、分割面間に形成する排出路を複数のバルブ機構部に対応して形成する構成を採用することも可能である。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、押出ピンと金型の間を密封するシール部材の温度上昇による劣化を防ぐことができ、押出ピンと金型の間を確実にシールでき、金型キャビティ内をより高真空にすることができる。
また、本発明によれば、押出ピンと金型の間を確実にシールしているので、金型キャビティ内を短時間に効率良く減圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるダイカストマシンの構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すダイカストマシンの型開状態を示す図である。
【図3】本発明のダイカスト装置の第1の実施形態に係る金型周辺の構造を示す断面図である。
【図4】固定金型2の分割面の構造を示す図である。
【図5】移動金型3の分割面の構造を示す図である。
【図6】バルブ機構部21の周辺の構造を示す断面図である。
【図7】シール冷却機構部61の具体的構造を示す断面図である。
【図8】バルブ機構部21の動作状態を説明するための図である。
【図9】キャビティC内の減圧と射出速度との関係を説明するための図である。
【図10】本発明のダイカストマシンの第2の実施形態に係る金型周辺の構造を示す断面図である。
【図11】キャビティC内の減圧と射出速度との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ダイカストマシン
2…固定金型
3…移動金型
3k…挿入孔
21…バルブ機構部
22…電磁アクチュエータ
23…バルブ軸
24…弁体
39…弁座部
39a…弁座面
42…押出ピン
50,501,502…真空タンク
61…シール冷却機構部
65…シール保持部材
Sa…冷却液収容空間
70…Oリング
W…冷却液

Claims (2)

  1. 一対の金型の間に形成されるキャビティ内を減圧し、当該キャビティ内に金属溶湯を射出・充填してダイカスト製品を成形するダイカスト装置であって、
    前記キャビティにおいて成形される成形品を押し出し可能に、前記金型に形成された前記キャビティに連通する挿入孔に挿入された押出ピンと、
    前記押出ピンと前記挿入孔の間を密封し、減圧された前記キャビティ内への空気の流入を防ぐ、前記押出ピンの外周に嵌合するシール部材と、
    前記成形品との接触により温度上昇する前記押出ピンのすくなくとも前記シール部材の嵌合する位置近傍の温度上昇を防ぐ温度上昇防止手段と
    を有し、
    前記温度上昇防止手段は、冷却液によって前記押出ピンの前記シール部材の嵌合する位置近傍を強制冷却すると共に、
    前記金型の背面に固定され、前記シール部材を保持し、内部に冷却液が収容される収容空間を備える冷却液収容部を有し、
    前記押出ピンは、前記冷却液収容部に保持されたシール部材に嵌合し、前記収容空間を横断するように前記冷却液収容部を貫通している
    ダイカスト装置。
  2. 前記冷却液収容部と前記金型の背面との間には、熱の移動を防ぐための隙間が形成されている
    請求項に記載のダイカスト装置。
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