JP3733129B2 - 傾斜調節可能な、および傾倒可能な背当て部を有する自動車座席 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特許請求項１の上位概念による、自動車座席に関する。
【０００２】
【従来の技術】
公知として前提とされる様式（ドイツ連邦共和国特許第１９７ １５ ７６４号明細書）の自動車座席において、背当て部のためのロック装置は、２つの反対側に屈曲されたフックを有しており、これらフックの、ロック状態において接し合って隣接する接触面が、ほぼ負荷方向に対して横方向に指向している。これら両方のフックは、ばね力によって、互いに係合状態に保持されている。このロック装置のロック解除の際、これら両方の接触面は、負荷のもとで、相互に滑動する。これによって、相対的に小さな面が磨耗し、従って、これら面は、前方傾倒された背当て部のロック状態を、この座部の出発位置への、長手方向に摺動された座部の帰還に至るまで、常に保証するとは限らない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、公知として前提とされる様式の自動車座席を、ロック機能が、比較的に長い使用の後でも、信頼性高く作動するように形成することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決策は、特許請求項１の特徴でもって実現される。
【０００５】
提案された解決策において、接触面の磨耗は、実際的に回避される。それに加えて、ローラーのかかり角が、留め金くわえ口によって、これら協動するロック部材の分離のために、この留め金くわえ口の旋回によって増大する抗力が、克服されねばならないように与えられる。
【０００６】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項から与えられる。
【０００７】
本発明の有利な実施形態は、比較的に少数の構造部材でもって十分であり、且つ、従って相対的に構造が簡単である。
【０００８】
次に、図に基づいて、本発明の有利な実施形態を詳しく説明する。
【０００９】
【発明の実施の形態】
座部フレーム１を有する自動車座席の座部は、アダプター１ａを用いて、結合金具２を介して、背当て部と結合されており、この背当て部から、単にアダプター６だけが、図において示されており、このアダプターに、結合金具２の金具上側部２ａが固定されている。このアダプター１ａは、結合金具２の金具下側部２ｂに固定されている。この結合金具２は、公知の、および従ってここで説明されていない揺動伝動機構を有する傾斜調節金具として形成されており、この揺動伝動機構が、この背当て部の無段階の傾斜調節を許容する。この結合金具２は、それに加えて、前方傾倒状態へのこの背当て部の自由旋回を可能とし、この自由旋回の際に、この座部が、後部座席への出入り開口部を拡大するために、長手方向に摺動可能である。この目的で、ロック解除装置７が設けられており、このロック解除装置により、二腕状の操作レバー７ａが、旋回可能に座部フレーム１に支承されている。この操作レバー７ａの一方の端部において、乗り上がりローラー７ｂが設けられており、これに対して、他方の端部は、バウデンワイヤー７ｃと結合されており、このバウデンワイヤーの心線が、図示されていない長手方向位置調節装置に作用する。この操作レバー７ａは、このアダプター６に形成されている、背当て部の前方傾倒の際にこの乗り上がりローラー７ｂに突き当たる乗り上がりカム６ａによって旋回される。
【００１０】
背当て部は、ロック装置によって、この背当て部の使用状態に保持され、このロック装置が、旋回軸４ｄを中心として旋回可能な、屈曲されたレバー４を有しており、このレバーが、歯付けされた、第１のロック領域４ａでもって、揺動伝動機構の円板２ｄの相手側収容領域２ｃに係合している。図３から明らかなように、ロック領域４ａは、相手側収容領域２ｃと、カムとして形成された、操作装置３に所属するロック兼操作部材３ｂによって、係合状態に保持される。このロック兼操作部材３ｂは、引張り部材３ａによって、旋回軸３ｇを中心として旋回し、この引張り部材が、背当て部の頭部における図示されていない取っ手へと導かれている。
【００１１】
引張り部材３ａは、カムの旋回軸３ｇから離間して設けられたボルト３ｃに固定されており、このボルトが、アダプター６を貫通し、且つこの引張り部材３ａの引張り方向に対向するように指向されたばね３ｄに枢着されている。このばね３ｄは、ロック兼操作部材３ｂを、ロック方向に予負荷している。背当て部のロックされた使用位置において、このロック兼操作部材３ｂは、カム領域３ｅでもってレバー４に当接しており、このカム領域が、ただ引張り部材３ａによってだけ、このカム領域のブロック状態から取り外され得る。ロック兼操作部材３ｂが、図４により、解放方向に旋回された場合、このロック兼操作部材は、レバー４の上に向かって指向する脚部４ｅ上に突き当たり、従って、ロック領域４ａが、相手側収容領域２ｃから抜き取られる。
【００１２】
レバー４は、第１のロック領域４ａの横に、円形の留め金くわえ口４ｂを備える更に別のロック領域４ｃを有している。この留め金くわえ口４ｂは、背当て部の前方傾倒状態において、形状一体的に、相手側領域５のローラー５ａを囲繞する。このローラー５ａが、揺動アーム５ｂに回転可能に支承されており、この揺動アームは、それ自体で、ばね５ｃの力に抗して、旋回可能に、アダプター１ａに支承されている。この揺動アーム５ｂの旋回角度は、このアダプター１ａ内におけるスリットによって制限されており、このスリットを、このローラー５ａの支承軸が貫通している。図５および６において図示されているように、このレバー４は、背当て部の前方傾倒の際に、このレバーのロック領域４ａでもって、円板２ｄの外側周囲に当接しており、且つ、この場合カム領域３ｆでもってレバー４に当接している操作部材３ｂによって、このレバーの旋回位置においてブロックされる。
【００１３】
背当て部が、この背当て部の前方傾倒状態に到達する直前に、ロック領域４ｃは、増大された抗力に抗して、ローラー５ａを介して押圧され、引き続いて、このローラーが、留め金くわえ口４ｂ内へと弾性的に入り込む（einfedert）。この増大された抗力は、同様に使用位置へのこの背当て部の旋回戻しの際にも、克服されねばならない。このローラー５ａは、この留め金くわえ口４ｂによって、このローラー５ａおよび揺動アーム５ｂが、背当て部に対して加えられた力によって、相互に解離されない程度に囲繞される。このことは、ほぼ９０°のかかり角（Umschlingungswinkel）の場合にいえることである。
【００１４】
このロック状態は、ただ引張り部材３ａ、およびロック兼操作部材３ｂを用いてのレバー４の旋回によってだけで解離される。留め金くわえ口４ｂが、ローラー５ａを、一方では、結合金具２の傾倒軸線、およびこのローラー５ａの軸線によって定義された第１の平面によって、および他方では、このローラー５ａの軸線および第１の平面に対して垂直方向に指向する第２の平面によって区画されている、少なくとも１つの領域内において囲繞する場合、ロック領域４ｃを外に旋回して外した際に、同様に、増大された抗力は、克服されねばならない。上述nの安全処置によって、座部が座席長手方向で、この座部の出発位置に到達してしまう前に、背当て部がこの背当て部の使用位置を占めることは、確実に防止される。ロック領域４ｃによるローラー５ａの係合の際、およびこのローラー５ａからのこのロック領域４ｃの解離の際、常に、留め金くわえ口４ｂとローラー５ａとの間の転回運動が行われるので、如何なる顕著な磨耗も生じない。ロック装置の信頼性の高い機能は、従って、自動車座席の耐用期間にわたって維持された状態に留まる。
【図面の簡単な説明】
【図１】使用状態においてロックされた背当て部の結合金具の、内側からの正面図である。
【図２】座席フレーム部材の無い、図１による結合金具の正面図である。
【図３】図２による結合金具の、外側からの図である。
【図４】前方傾倒のためにロック解除された背当て部における、図２による結合金具の図である。
【図５】金具下側部およびアダプター板の無い、部分的に前方傾倒された背当て部における、図４による結合金具の図である。
【図６】前方傾倒状態においてロックされた背当て部における、図５による結合金具の図である。
【図７】前方傾倒状態のために、解離されたロック領域における、図５による結合金具の図である。
【符号の説明】
１ 座部フレーム
１ａ アダプター
２ 結合金具
２ａ 金具上側部
２ｂ 金具下側部
２ｃ 相手側収容領域
２ｄ 円板
３ 操作装置
３ａ 引張り部材
３ｂ ロック兼操作部材
３ｃ ボルト
３ｄ ばね
３ｅ カム領域
３ｆ カム領域
３ｇ 旋回軸
４ レバー、 ロック装置
４ａ ロック領域
４ｂ 留め金くわえ口
４ｃ ロック領域
４ｄ 旋回軸
４ｅ 脚部
５ 相手側領域、 ロック装置
５ａ ローラー
５ｂ 揺動アーム
５ｃ ばね
６ アダプター
６ａ 乗り上がりカム
７ ロック解除装置
７ａ 操作レバー
７ｂ 乗り上がりローラー

Claims (8)

1. 自動車座席であって、この自動車座席が、
   座部と背当て部との間の結合金具（２）を有しており、
   この結合金具を用いて、この背当て部が、傾斜調節可能に、および傾倒可能に、この座部に枢着されており、且つ、直立の使用位置において、並びに前方傾倒状態においてロック可能であり、
   および、この使用位置および前方傾倒状態からロック解除するための、操作装置（３）を有しており、
   その際、前方傾倒状態へのこの背当て部の旋回が、長手方向位置調節装置を、使用位置から、前方へ行われる座部の摺動のために、ロック解除し、
   その際、ロック装置（４、５）が、この背当て部のために、引張り部材（３ａ）を介して操作可能な、旋回可能なロック兼操作部材（３ｂ）を有しており、このロック兼操作部材が、使用位置のための旋回可能なロック領域（４ａ）と、および、前方傾倒状態のための旋回可能なロック領域（４ｃ）と協動し、
   その際、この前方傾倒状態のためのロック領域（４ｃ）が、相手側領域（５）を裏からグリップする留め金くわえ口（４ｂ）を備えている、様式の上記自動車座席において、
   留め金くわえ口（４ｂ）が、円形に形成されており、且つ、ローラー（５ａ）を、少なくともほぼ９０°の角度領域で、形状一体的に囲繞するように構成されていることを特徴とする自動車座席。
2. ローラー（５ａ）は、弾性的に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項１に記載の自動車座席。
3. 使用位置および前方傾倒状態のためのロック領域（４ａ；４ｃ）は、共に、レバー（４）に設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の自動車座席。
4. レバー（４）は、背当て部の前方傾倒状態において、旋回不能に、ロック兼操作部材（３ｂ）によってブロックされているように構成されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の自動車座席。
5. ローラー（５ａ）は、ばね（５ｃ）によって負荷された揺動アーム（５ｂ）に支承されていることを特徴とする請求項１から４のいずれか一つに記載の自動車座席。
6. 旋回可能なロック兼操作部材（３ｂ）は、カムであり、このロック兼操作部材に、このロック兼操作部材の旋回軸（３ｇ）から間隔を有して引張り部材（３ａ）が作用するように構成されていることを特徴とする請求項１から５のいずれか一つに記載の自動車座席。
7. 引張り部材（３ａ）は、ケーブルワイヤーまたはバウデンワイヤーであることを特徴とする請求項１から６のいずれか一つに記載の自動車座席。
8. ローラー（５ａ）は、座部に固定状態で、およびレバー（４）が背当て部に固定状態で配設されていることを特徴とする請求項１から７のいずれか一つに記載の自動車座席。

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