JP3732543B2 - 輪転印刷機 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷されるべきウエブを、圧胴を介して導いて、印刷ユニットによって印刷するような輪転印刷機に関する。
【０００２】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の技術における印刷機は、床に立つ骨組みで構築される。印刷機はコンパクトではあるが、印刷機が設置されている床面と、その周辺の床面とは制限されたり、印刷機によって騒音が発生してりて、印刷機の異なるシリンダや、印刷ユニットにアクセスすることが困難である。従って、このような印刷機において、特に印刷注文が変わった時、印刷工が作業するのは非常に大変であり、且つ印刷機が設置されている領域や、印刷機周りの領域をきれいにしておくことが非常に大変である。
【０００３】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うと、印刷機は、梁構造の周辺に構築されており、印刷ユニットと、或いは、他の手段とが梁構造から吊るされており、且つ印刷機の他の手段が梁構造上、或いは、梁構造内に配設される。
【０００４】
ここで得られる主な利点は、印刷機の下方の床が自由であるので、印刷工が、印刷ユニットの周辺で動き易く、ユニットに必要な作業を行い易い。更に、構造は非常に整然としており、印刷機内およびその周辺の清掃は、非常に簡単である。
【０００５】
好ましくは、梁構造は、柱部材によって土台（床）から支持されているが、同様に、印刷機が設置される建物の支持部分から吊るされてもよい。
【０００６】
本発明の更なる利点は、印刷ユニットは、ブラケット、またはローラコンベアの梁構造に対し横断方向へ移動可能であることである。従って、保守作業や、色およびシリンダの交換のために印刷ユニットを横断方向へ引っ張ることが可能である。
【０００７】
好ましくは、印刷ユニットは、シリンダを有するフレームからなり、そのシリンダはフレームに回転可能に連結され、且つ印刷ユニットが圧胴の下方の印刷位置にある時に、圧胴と同期して駆動されるように配設される。
【０００８】
本発明の好ましい実施例においては、梁構造は、長手梁と、横断梁とを具備する。
【０００９】
四色印刷のための輪転印刷機は、４つの印刷ユニットを有するが、また、しばしば使用する主要色（『ハウスカラー(house colours) 』）があるならば、５つの印刷ユニットを有することも可能である。本発明に従うと、４つまたは５つの印刷ユニットは、全て梁構造の下方に配設される。
【００１０】
圧胴は、梁構造に回転可能に連結され、梁構造は、作動のために、電気主モータと、長手駆動シャフトと、アングル接手とを備える。
【００１１】
上述したように、保守作業や、シリンダおよび色の交換のために、印刷ユニットを横断方向へ引っ張ることが可能である。仮に、本発明に従うと、梁構造の長い側部の各々が、腕構造を備えているならば、一組以上の印刷ユニットが、梁構造に対し横断方向へ可動に配設される。従って、第２の組が次に続く印刷注文のために準備されると同時に、一組の印刷ユニットが印刷機において印刷のために作動されている。このようにして、設定時間が非常に短くなる。
【００１２】
各腕構造は、横断バーと長手バーとからなるフレームから構成されてもよい。
【００１３】
梁構造の周辺に印刷機を構築することは、単に、上述のように印刷ユニットを吊るすという利点だけでなく、梁構造の頂側部のウエブの伝達が短く且つ簡単であり、それに伴ってとりわけ使用上の高い信頼性と、無駄となる材料が少ないという利点を含む。
【００１４】
以下、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【００１５】
【実施例】
図１に線図的に示した輪転印刷機のための印刷ユニットは、以下で説明する多数のシリンダを有しており、これらは、図１には示していない手段、例えばギア輪（図３参照）によって同期して駆動される。
【００１６】
図１に示した構造において、最も下方の位置にある印刷ユニットは、（しばしばアニロックスシリンダと呼ばれる）スクリーンシリンダ１を有しており、そのスクリーンシリンダ１は、回転すると、印刷インクをドクター室２から取り出す。好ましくは非常に高い粘性を有する印刷インクがスクリーンシリンダ１に付き、公知のように、その周囲面全体に印刷インクの取出しのための非常に多くの小さな窪みを備える。
【００１７】
インクは、スクリーンシリンダ１からフォームシリンダ３へ移され、そのフォームシリンダ３は、スクリーンシリンダ１に接して同じ速度で回転しており、その表面は、研磨ゴム材料からなるので、幾分か弾性を有する。フォームシリンダ３のインクをできるだけ均一に分配するために、振動シリンダ４（研磨されたスチールシリンダ）がフォームシリンダ３と回転可能に係合されており、ゴムシリンダ５は振動シリンダ４と回転可能に係合される。好ましい実施例において、フォームシリンダ３のインクを十分満足に分配することは、２つのシリンダ４および５によって得られるが、勿論、非常に多くのインク分配シリンダを、フォームシリンダ３の周辺に配設してもよい。
【００１８】
印刷ユニットにある次のシリンダは、プレートシリンダ６であり、そのプレートシリンダ６の周囲には、印刷プレートが設けられている。プレートシリンダ６の周囲の少なくとも一部は、磁性金属材料からなり、一方で、薄くて柔軟な印刷プレートは、プレートシリンダ６の周辺に接着する金属基部を有する。印刷プレートは、金属基部に渡って可塑性層を備えており、ここで望ましい印刷パターンが形成される。プレートシリンダ６の印刷プレートを取り付ける他の方法は、機械的な手段、または真空を基礎とした手段によっても可能である。プレートシリンダ６は、フォームシリンダ３に接しており、同じ周速度を有する。
【００１９】
スクリーンシリンダ１、フォームシリンダ３、およびプレートシリンダ６は、好ましくは、同じ直径を有する。
【００２０】
像は、プレートシリンダ６から、そのプレートシリンダ６に接して同じ周速度を有するゴムブランケットシリンダ７（つまり、ゴムブランケットで被覆されたスチールシリンダ）へ移される。好ましくは、ゴムブランケットシリンダ７は、プレートシリンダ６の二倍の大きさの直径を有し、且つ従って二倍の周囲を有するので、ゴムブランケットシリンダ７は、各回転毎にプレートシリンダ６から２つの完全な印刷を得る。選択可能には、ゴムブランケットシリンダ７は、プレートシリンダ６の三倍以上の大きさの直径を有することもできる。
【００２１】
最終的にゴムブランケットシリンダ７と係合するのは、圧胴８であり、これは好ましくは前のものと同じ直径を有する。印刷されるべきウエブ９は、これら２つのシリンダの間を導かれ、このウエブ９は、紙材、または適切であればいかなる材料から作られてもよい。
【００２２】
図１は印刷ユニットを非常に線図的に示してある。連結、駆動等は示していない。これらに関する事項は、図２および図３で説明する。
【００２３】
上述の印刷ユニットによって、フレキソ印刷とオフセット印刷との間の中間体と言われる印刷工程を得ることができる。一種類の色を使用して大領域を印刷し、四色印刷ではない印刷に最も適切であるフレキソ印刷における使用は、圧胴とは異なり、ウエブと係合するブロックシリンダと、インクを受けるためにブロックシリンダと協働するスクリーンシリンダとからなる。一方、オフセット印刷における工程は、非常に多くのシリンダや、印刷インクと（プレートの非印刷部分の）浸し水とを有するので、より複雑である、
【００２４】
新しい印刷工程においては、オフセット印刷によってのみ得ることが可能であるのと非常に近い印刷品質を得ることが可能である。
【００２５】
図２は輪転印刷機の側面図である。この印刷機は、図１で示した種類の（または、選択可能には幾つかの他の種類の）４つの印刷ユニットを備える。このような印刷ユニットの各々は、まとめて参照番号１０を付しており、ウエブを導く圧胴８は、この印刷ユニット１０には含まれない。何故４つという数字が選択されたかというと、勿論、従来のもの、つまり全ての印刷色が４つの色、即ち黄色、青みを帯びた赤（マゼンダ）、緑がかった青（シアン）、および黒によって、得られるからである。特別な場合においては、特別な色（『ハウスカラー(house colours) 』）が印刷の広範囲で使用される時には、五色印刷ユニットが、この色のために設けられる。
【００２６】
図２に従った印刷機の特有の特徴は、強い梁構造１１の周辺に形成されるということであり、印刷ユニット１０は、この梁構造１１から吊るされ、原則的に、この梁構造１１に以下に説明する全ての他の設備が配設される。この梁構造１１は、示した場合においては、床から柱部材１２によって支持されているが、加えて、原則的には印刷会社の建物の天井から吊るされてもよい。このような構造の利点は、印刷機の下方の床が、操作者にとって自由であり、印刷ユニットおよび他の設備が非常にアクセスし易いということである。
【００２７】
各印刷ユニット１０は、フレーム１３に配設されており、従って、フレーム１３は、梁構造１１から吊るされる。フレーム１３と各印刷ユニット１０とは、まとめてカセットと呼ばれており、簡単に取り外したり、新しいものに交換しおよび／または修理することが可能である。
【００２８】
ウエブ９は、図２の右側で印刷機に入り、最初に参照番号１４のところの表面処理部へ露出され、その後、参照番号１５のところでクリーニングするために露出される。側部案内構造１６は、梁構造１１の端部に配設されており、梁構造１１の長手軸線に対し平行な軸線の周りで回転することによって、側部方向の案内が達成される。印刷機の機能および印刷の質にとって不可欠なウエブの引っ張りは、入口ニップシリンダ１７と、出口ニップシリンダ１７’とによって制御され、また必要に応じて、ウエブ引っ張り構造１７’’によって制御され、ウエブ引っ張り構造１７’’は、傾斜レバーからなり、この傾斜レバーは、気圧シリンダによって制御され、且つウエブ９を導くローラを有する。
【００２９】
ウエブ９が高粘性の印刷インクの配列の形態の像を備えながら、印刷ユニットの圧胴８に渡って通された後、ウエブ９は、乾燥装置１８を通される。実際には、この乾燥装置１８は、使用された印刷インクが、ＵＶ放射線によって硬化するタイプであるならば、ＵＶランプからなる。選択可能には、高温空気による乾燥、または他の乾燥を使用してもよい。
【００３０】
ウエブ９が、印刷機の印刷ユニット１０全てを通り、望ましい四色印刷を備える時、検査システム、例えばストロボスコープランプ１９を通るので、操作者は、ウエブ９が図２の左で印刷機を離れる前に、印刷の質を検査できる。
【００３１】
ウエブ９を導く圧胴８は、梁構造１１に回転可能に連結される一方で、各印刷ユニット１０のシリンダ１、３〜７は、フレーム１３に回転可能に連結される。印刷のフォーマットを交換する際、つまりシリンダの直径を変える際、或いは印刷インクを変える際に、印刷ユニットカセット１０、１３を、簡単に印刷機から取り外したり、新しいカセットと交換したりできる。これら新しいカセットは、前の運転中に準備される。これは、概して、カセットの交換の際の時間のロスが非常に短くなるということを意味する。更にウエブ９は、カセットの交換の際に、影響を受けず、これは、交換の際の無駄になるウエブを最小限にする。
【００３２】
図２から分かるように、印刷ユニットカセット１０、１３は、梁構造１１の下側にブラケット２０から吊るされており、従って、横手方向へ引っ張られて、例えば、トローリやトラバースで操作される。
【００３３】
構造は、非常にオペレータにとって便利であり、原則的に床は自由のままである。吊るされた印刷ユニットが、最も遠い下のところにインク貯蔵室（ドクター室２）を有するので、インクが設備に渡って注がれないという効果がある。印刷ユニット間のウエブ９の進路は、非常に短く且つ安定している。
【００３４】
図３における印刷機は、斜め上方からみた図であり、梁構造１１の頂側部の装置は、あるデザイン特徴をより明らかにし、且つこれらの装置によって遮断されないように、省略されている。
【００３５】
図３から明らかなように、図示した梁構造１１は、長手梁１１’と、横断梁１１’’からなる。梁構造１１は柱部材１２によって支持されている。圧胴８と、入口ニップシリンダ１７と、出口ニップシリンダ１７’とは、梁構造の長手梁１１’に回転可能に連結されている。
【００３６】
梁構造１１の圧胴８と、入口ニップシリンダ１７とは、長手駆動シャフト２２とアングル接手２３とを介して電気主モータ２１によって駆動されるように配設される。出口ニップシリンダ１７’は、電気モータ２１’によって駆動されるように配設される。
【００３７】
ジブ構造、即ち腕構造２４は、梁構造１１の両側に設けられ、且つ例えば長手梁１１’に取り付けられる横断バー２４’と、長手バー２４’’とからなる。また、梁構造１１の一側の腕構造２４は、図２で見られる。腕構造２４は、必要に応じて、柱部材１２によって支持されてもよい。
【００３８】
上述のブラケット２０、または印刷ユニットカセット１０、１３のためのローラコンベアは、腕構造２４の下方側部に配設される。図３で示したように、これは、第２の組の印刷ユニットカセット１０、１３が、圧胴８の下方における印刷位置にあると同時に、前の印刷後の事後処理、且つ次の印刷準備のために、一組の印刷ユニットカセット１０、１３が、腕構造２４の下方の右側へ引っ張られることが可能であることを意味する。（分かり易くするために、図３では、印刷位置の印刷ユニットカセット１０、１３の参照番号は、１つだけ付してある。）印刷が終了した時、第２の組の印刷ユニットカセット１０、１３は、簡単に図３の左で腕構造２４の下方に運びだされ、一方で、次の印刷のために準備されている、腕構造２４の下方の図３の右で印刷ユニットカセット１０、１３は、圧胴８の下での印刷のための所定位置へ運ばれる。異なる印刷を行う間の交換時間が非常に短く、従って非常に効率が高い。
【００３９】
システムは、二組以上の印刷ユニットカセット１０、１３を操作するために、トローリ、またはトラバースの形態の外部操作システムを備える。
【００４０】
図３から明らかなように、各印刷ユニットカセット１０、１３の異なるシリンダは、組のギア輪によって互いに接続される。カセットが、圧胴８の下の印刷位置に運ばれる時、このギア輪の組の最も上方のギア輪は、圧胴８のアウトゴーイングシャフト、即ち出力シャフトの出力ギアボックス２５の対応するギア輪と係合する。
【００４１】
下方に配設された印刷ユニットカセット１０、１３を有する梁構造１１は、構造の中心であり、腕構造２４は存在しても、しなくてもよいということが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に従った印刷機の印刷ユニットの線図的側面図である。
【図２】本発明に従った印刷機の側面図である。
【図３】明確にするために、頂側部の、ある部分を省略した、図２に従った印刷機の斜め上方から見た図である。
【符号の説明】
１…スクリーンシリンダ
２…ドクター室
３…フォームシリンダ
４…振動シリンダ
５…ゴムシリンダ
６…プレートシリンダ
７…ゴムブランケットシリンダ
８…圧胴
９…ウエブ
１０…印刷ユニット
１１…梁構造
１２…柱部材
１３…フレーム
１７…入口ニップシリンダ
１７’…出口ニップシリンダ
１７’’…ウエブ引っ張り構成
１８…乾燥装置
１９…ストロボスコープランプ
２０…ブラケット
２１…電気主要モータ
２１’…電位モータ
２２…長手駆動シャフト
２３…アングル接手
２４…腕構造
２４’…横断バー
２４’’…長手バー
２５…出力ギアボックス

Claims (10)

1. 印刷されるべきウエブ（９）を導くための圧胴（８）と、ウエブに印刷するための印刷ユニット（１０，１３）と、これら圧胴および印刷ユニットを支持するための梁構造（１１）と、これら圧胴、印刷ユニットおよび梁構造以外の構成要素であって前記梁構造に支持される構成要素と、を具備する輪転印刷機において、前記圧胴と前記印刷ユニットと前記構成要素の下方の床が自由な状態となっているように、前記印刷ユニットが前記梁構造に吊されると共に、前記圧胴が前記梁構造上に配設され、前記構成要素も前記梁構造上に配設されていることを特徴とする輪転印刷機。
2. 前記梁構造（１１）が柱部材（１２）によって土台から支持されることを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
3. 前記梁構造（１１）が当該輪転印刷機が配設される建物の天井から吊るされることを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
4. 前記梁構造（１１）が前記ウエブの進路に沿って延びる長手梁（１１’）と前記ウエブの進路を横断する方向へ延びる横断梁（１１’’）とを具備し、前記長手梁に腕構造（２４）が取り付けられ、該腕構造の下側にブラケット（２０）またはローラコンベアが設けられ、該ブラケットまたはローラコンベヤ内において前記梁構造の長手梁に対して横断方向へ前記印刷ユニット（１０，１３）が移動可能であることを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
5. 前記印刷ユニット（１０，１３）がシリンダを備えたフレーム（１３）からなり、該シリンダが該フレームに回転可能に連結されており、該シリンダは印刷ユニットが圧胴（８）の下方の印刷位置にあるときに圧胴と同期して駆動されるように配設されることを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
6. 前記梁構造（１１）が前記ウエブの進路に沿って延びる２つの長手梁（１１’）と前記ウエブの進路を横断する方向へ延びる横断梁（１１’’）とを具備することを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
7. 幾つかの印刷ユニット（１０，１３）が前記梁構造（１１）の下方に配設されることを特徴とする請求項６に記載の輪転印刷機。
8. 前記圧胴（８）が前記梁構造（１１）に回転可能に連結され、前記梁構造（１１）が前記圧胴の作動のために電気主モータ（２１）と、長手駆動シャフト（２２）と、アングル接手（２３）とを備えることを特徴とする請求項７に記載の輪転印刷機。
9. 前記梁構造（１１）が前記ウエブの進路に沿って延びる２つの長手梁（１１’）と、これら長手梁間において前記ウエブの進路を横断する方向へ延びる横断梁（１１’’）と、各長手梁に関して横断梁とは反対側に配置された腕構造（２４）とを備え、一組以上の印刷ユニット（１０，１３）が各腕構造（２４）の下方で前記ウエブの進路を横断する方向へ可動に配設されることを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機。
10. 各腕構造（２４）が前記長手梁に対して垂直に該長手梁から延びる横断バー（２４’）と前記長手梁に沿って延びる長手バー（２４’’）とからなる骨組みから構成されることを特徴とする請求項９に記載の輪転印刷機。

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