JP3731821B2 - 仮設資材用解体治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、建設工事の際の仮設資材の解体を、能率的、且つ安全に行えるようにした、仮設資材用解体治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、土木建設工事、修繕工事の際、施工構築物に使用される仮設資材のうち、施工者の足場は、主として所定の規格化されたユニット(建枠、布枠、ブレース等)により、施工構築物周囲に、複数列、複数段に組み上げて構成している。また、このような足場の解体は、上段から下段まで作業者の手によって、一段、一段建枠や布枠を取り外すことで行われていくため、作業者の転落防止のために、手摺枠を配置するようにしている(特開2003−120018号公報)。
この場合、手摺枠は、建枠に沿わせて設置された、互いに隣接する支柱パイプ間に、支柱パイプ側に設けた連結手段により、前記手摺枠を簡単に嵌め込む一方、脱落しないように結合する構成としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような取り付け方で前記手摺枠を取り付けるため、手摺枠の取り付け作業は容易ではあるが、撤去の際は、上記支柱パイプ側に設けた連結手段を、一つ一つ手で解除操作して、手摺枠を取り外さなくてはならない。その際、作業者は、取り外す手摺枠における足場にいて解除操作を行うため、転落のおそれがあった。
そこで、前記取り外す手摺枠より一段下の、転落するおそれのない足場にいて、当該上段の手摺枠の取り外し作業をすれば、安全に作業を遂行できるであろうという観点に至り、そのための道具を案出することとなった。
本発明は、以上のような背景から提案されたものであって、建設工事の際の仮設資材の解体を、能率的、且つ安全に行えるようにした、仮設資材用解体治具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、仮設資材である建枠と手摺枠とを備え、前記建枠に設けたロック部材を有する突部を手摺枠に設けた受具の係止穴に挿通し、前記ロック部材を弾性力により、前記突部の径方向に突出させ、前記建枠に前記手摺枠を組み付ける連結手段において、操作杆と、この操作杆先端側に傾斜構成したロック解除具とを有し、前記操作杆は、操作基杆と、この操作基杆に対し、格納引き出し可能に設けた調節杆とによって構成して、この調節杆を前記操作基杆に対し、所定位置に保持するための拘束手段を備え、前記ロック解除具は前記連結手段における突部を装入可能に開口し、ロック解除具の開口端から前記突部を装入させて、前記操作杆を変位操作することで、前記ロック解除具内壁により、突部内にロック部材を弾性力に抗して押し込んで、前記手摺枠の受具を建枠の突部から離脱させて、前記手摺枠を取り外す構成とした仮設資材用解体治具を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記拘束手段は、前記調節杆の末端寄りの箇所に突出する方向に付勢された、突没可能な押圧係止部材と、前記操作基杆側に、前記調節杆の進退通路に沿って適所に形成し、前記押圧係止部材を付勢力により操作基杆内側から突出させることで、前記調節杆を拘束するようにした拘束穴とによって構成した仮設資材用解体治具を提案する。
また本発明では、請求項3において、前記ロック解除具は、前記連結手段に嵌入可能な中空パイプ材で構成し、前記操作杆に対して鈍角をなすように操作杆に接続した仮設資材用解体治具を提案する。
また本発明では、請求項4において、前記ロック解除具の中間に、携帯用フックロッドを突設した仮設資材用解体治具を提案する。
さらに本発明では、請求項5において、前記操作杆に、落下防止用ロープを連結する連結具を設けた仮設資材用解体治具を提案する。
【0005】
請求項1によれば、作業者は、使用状況に応じて、操作基杆に対し、調節杆を格納した状態で、あるいは操作基杆から調節杆を引き出して、拘束手段により固定した状態で、調節杆先端側のロック解除具を、ロック解除具の開口端から、足場の建枠と手摺枠とを組み付ける連結手段の突部を装入させて、前記操作杆を変位操作することで、前記ロック解除具内壁により、突部内にロック部材を弾性力に抗して押し込んで、前記手摺枠の受具を建枠の突部から離脱させて、前記手摺枠を取り外すことができる。
【0006】
請求項2によれば、調節杆が操作杆内に格納された位置から、操作杆における拘束穴に係止した押圧係止部材を付勢力に抗して押し込みながら、調節杆を引っ張ることで、操作基杆から調節杆が、前記操作基杆内側の進退通路に沿って引き出され、操作基杆の適所における拘束穴に前記押圧係止部材がもたらされると、付勢力により操作基杆内側から突出して、前記調節杆をその位置で固定することができる。
【0007】
請求項3によれば、操作杆先端側のロック解除具における開口部を、連結手段に係合して前記操作杆の手元側を押し込むことで連結手段のロック解除がなされる。
【0008】
請求項4によれば、解体作業にするにあたり、解体治具を作業服の腰のベルト部分にフックロッドを引っ掛けた状態で足場を移動して、解体箇所に移動することができる。
【0009】
請求項5によれば、移動中に、解体治具が作業服の腰のベルト部分からフックロッドから外れても、落下を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる仮設資材用解体治具につき、一つの実施の形態を示し、添付の図面に基づいて説明する。
図1、図2に仮設資材用解体治具1を示し、この仮設資材用解体治具1は、長さを切り換え可能な操作杆2と、この操作杆2先端側に、仮設資材による足場に併設した転落防止用の手摺枠(後述)を結合する連結手段(後述)のロック解除をするためのロック解除具3を設けている。
このロック解除具3は、前記連結手段に係合して前記操作杆2を変位操作させることで、前記連結手段のロック作用を解除する構成としている。
【0011】
前記解体治具1は、全体が例えばアルミニウム等の軽金属で構成することができる。もちろん、所定の強度があれば、合成樹脂も可能である。
【0012】
前記操作杆2は、断面方形状の中空杆であり、操作基杆2aと、この操作基杆2aに格納可能に設けた調節杆2bとによって構成し、この調節杆2bを前記操作基杆2aに格納した状態と、操作基杆2aに対し最大限に引き出した状態で保持するための拘束手段4を有している。もちろん、前記操作杆2は、断面円筒状の中空杆で構成することもできる。
この拘束手段4は、前記調節杆2bの末端寄りの箇所に突出する方向に付勢された、突没可能な押圧係止部材5と、前記操作基杆2a側に、前記調節杆2bの進退通路の沿って適所に形成した、前記押圧係止部材5を付勢力により操作基杆2a内側から突出させることで、前記調節杆2bを拘束するようにした拘束穴6とによって構成している。
【0013】
ここで、前記拘束手段4についてさらに詳細に説明する。
前記調節杆2bの末端寄りの箇所に設けた押圧係止部材5は、図2に示すように、円筒押しボタン形状のもので、この押圧係止部材5は、前記調節杆2b内に、ガイドGに沿って、ばね部材7により突出する方向に付勢する状態で突没可能に取り付けている。
このように構成することにより、前記解体治具1は、操作杆2における拘束穴6に係止した押圧係止部材5を付勢力に抗して押し込みながら、調節杆2bを引っ張ることで、操作基杆2aから調節杆2bが、前記操作基杆2a内側の進退通路に沿って引き出され、操作基杆2a先端側の拘束穴6に前記押圧係止部材5がもたらされることで、前記ばね部材7の付勢力により操作基杆2a内側から突出して、前記調節杆2bをその位置で固定するようにしている。
【0014】
そして、前記調節杆2b先端側のロック解除具3は、所定長さの中空パイプ材で構成し(図4参照)、前記調節杆2bに対して120度程度の鈍角で溶着している(図2参照)。この場合、ロック解除具3の内径は、後述する手摺枠を結合する連結手段に対応して嵌入可能に設定している。
また前記ロック解除具3の中間には、携帯用フックロッド8を突設している。このフックロッド8は、適宜な軸部材を用いて構成し、中間から先端にかけて、前記調節杆2bに略平行になるように屈曲させている。これによって、前記フックロッド8は、作業服の腰ベルト等に引っ掛けやすく、前記解体治具1に携帯性をもたらしている(図5参照)。
【0015】
さらに前記操作杆2のうちの操作基杆2aには、作業服の腰ベルト等に設けた落下防止用ロープLを連結する連結リング9を設けている。
【0016】
ここで、仮設資材による足場Fについて説明する。
足場Fは、図6に示すように、建枠A、布枠B、3角枠C等により、施工構築物周囲に、複数列、複数段に組み上げて構成しており、さらに、転落防止用の手摺枠Dを設けている。この手摺枠Dは、建枠Aに沿って設けた連結手段10によって取り付けている(図7参照)。
【0017】
前記連結手段10は、建枠Aに突設した突部11に、ばね部材によって突出する側に付勢したロック部材12を設けて構成している。この突部11を、手摺枠Dの四隅に設けた受具13の係止穴hに挿通することで、前記ロック部材12を前記突部11の径方向に突出させて、手摺枠Dを、受具13を介して脱落しないように保持するようにしている。
【0018】
このような連結手段10における突部11のロック部材12は、前記ロック解除具3先端の開口端からロック解除具3内面に嵌入させて、ロック解除具3を変位させることで、ロック解除具3内壁により、突部11内にロック部材12をばね力に抗して押し込むことでロック解除して、前記手摺枠Dを手摺枠Dの四隅に設けた受具13を突部11から離脱させて、取り外す構成である。
【0019】
本発明にかかる仮設資材用解体治具1は、以上のように構成されるものであり、次に仮設資材用解体治具1による足場F、手摺枠Dの解体手順を説明する。
土木工事、建築工事、修繕工事等が終了し、施工構築物に使用されている仮設資材は、最上部から順に外していくようにする。そのために、作業者は、足場Fを伝って最上部まで上っていき、建枠A、布枠B、3角枠Cを一つ一つ、外していくことになる。この際、作業者は解体治具1を、作業服の腰ベルト等に調節杆2b先端のロック解除具3に設けたフックロッド8を引っ掛けて携帯することができる。また、操作基杆2aの連結リング9に、作業服の腰ベルト等に設けた落下防止用ロープLを連結すれば解体治具1を落としてしまうようなことはない(図5参照)。
【0020】
先ず、作業者は、外すべき最上部の足場Fにきて、その位置の布枠Bに乗り、最上部の足場Fを構成する建枠Aと共に3角枠Cを外し、その最上部の足場Fの一段下の位置にきて、前記布枠Bを外す。
次いで、前記最上部の手摺枠Dを外すわけだが、手摺枠Dの下側の双方の受具13における連結手段10の突部11のロック部材12を押し込んでそれぞれ取り外し、再びロックされないように手摺枠Dの下側を引き離す(図6、図8参照)。
【0021】
次に、腰ベルトに引っ掛けた解体治具1を手にとり、調節杆2b先端のロック解除具3が、手摺枠Dの上側の受具13における連結手段10に届くかどうか確かめる。
前記ロック解除具3が前記手摺枠Dの上側の受具13における連結手段10に届けばそのまま、前記ロック解除具3先端の開口端に、連結手段10の突部11、およびロック部材12に嵌め入れていき解除操作を開始する(図9参照)。
【0022】
また、ロック解除具3が、手摺枠Dの上側の受具13における連結手段10に届かないときは、解体治具1の操作杆2の長さを変える。すなわち、操作杆2における拘束穴6に係止した押圧係止部材5を付勢力に抗して押し込みながら、調節杆2bを引っ張ることで、操作基杆2aから調節杆2bが、前記操作基杆2a内側の進退通路に沿って引き出され、操作基杆2a先端側の拘束穴6に前記押圧係止部材5がもたらされると、ばね部材7の付勢力により操作基杆2a内側から突出して、前記調節杆2bをその位置で固定することができる。
このようにすることで、操作基杆2aと調節杆2bとは、一つの杆のごとくぐらつくことなく固定される。
【0023】
以上のように操作杆2の長さを合わせることで、解除操作を行うことができる。前記ロック解除具3先端の開口端に、連結手段10の突部11、およびロック部材12に嵌め入れた状態で、操作杆2の握り箇所側を建枠Aに向かって押し込むことで、ロック解除具3内壁によって、連結手段10のロック部材12がばね力に抗して押し込まれ、これにより前記連結手段10のロック作用を解除することができ、手摺枠Dを建枠Aから取り外すことができる(図10、図11、図8参照)。
そして、もう一方の連結手段10を同様にして解体治具1により取り外せば、その手摺枠Dの解体が完了する。
このようにして、足場Fの上部側から順次、取り外しにかかる足場Fの一段下の布枠Bに乗った状態で、手摺枠Dの解体作業を行うことができ、簡単で速やかに、しかも一段下の手摺枠Dで囲まれた状態で作業を遂行することができるので、転落のおそれはない。
なお、上記解体治具1は、アルミニウム等の軽金属によって構成しているので、特に上腕に対する負担を軽減し、長時間に亘る作業が可能となる。
【0024】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば
(1)作業者は、操作杆先端側のロック解除具を、連結手段に係合して前記操作杆を変位操作させることで、前記連結手段のロック作用を解除することができ、足場ユニットを取り外すことができる。
(2)足場の構造に応じて、操作基杆に対し調節杆を出し入れするだけで、操作杆の長さを調節することができ、一層、解体作業が容易となり、能率が向上する。
(3)操作杆先端側のロック解除具における開口部を、連結手段に係合して前記操作杆の手元側を押し込むことで連結手段のロック解除を行うことができ、解体作業が容易となる。
(4)解体作業にするにあたり、解体治具を作業服の腰のベルト部分にフックロッドを引っ掛けた状態で足場を移動して、解体箇所に移動することができる。
(5)移動中に、解体治具が作業服の腰のベルト部分からフックロッドから外れても、落下を防止することができる。
(6)取り外しにかかる足場の一段下の、手摺枠で囲まれた状態の足場において仮設資材の解体作業を行うので、転落のおそれなく作業を遂行することができる
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる仮設資材用解体治具の一例を示す、外観斜視図である。
【図2】 図1に示す仮設資材用解体治具の一側面図である。
【図3】 図1に示す仮設資材用解体治具の操作杆を拡張した状態を示す、一側面図である。
【図4】 図1に示す仮設資材用解体治具を別方向から見た、外観斜視図である。
【図5】 本発明にかかる仮設資材用解体治具のフックロッドを、作業服の腰ベルト等に引っ掛け、落下防止用ロープを連結したところを示す説明図である。
【図6】 足場において解体作業をする際の説明図である。
【図7】 足場に敷設された手摺枠の保持構造を示した要部説明図である。
【図8】 足場に敷設された手摺枠の解体作業の説明図である。
【図9】 足場に敷設された手摺枠の上部側を、仮設資材用解体治具を用いて解体する際の説明図である。
【図10】 仮設資材用解体治具におけるロック解除具を、連結手段に係合したところを示す要部断面説明図である。
【図11】 仮設資材用解体治具におけるロック解除具を、連結手段に係合して操作杆を変位操作させるところを示す要部断面説明図である。
【符号の説明】
1 仮設資材用解体治具
2 操作杆
2a 操作基杆
2b 調節杆
3 ロック解除具
4 拘束手段
5 押圧係止部材
6 拘束穴
7 ばね部材
8 フックロッド
9 連結リング
10 連結手段
11 突部
12 ロック部材
13 受具
G ガイド
L 落下防止用ロープ
F 足場
A 建枠
B 布枠
C 3角枠
D 手摺枠
h 係止穴
Claims (5)
- 仮設資材である建枠と手摺枠とを備え、前記建枠に設けたロック部材を有する突部を手摺枠に設けた受具の係止穴に挿通し、前記ロック部材を弾性力により、前記突部の径方向に突出させ、前記建枠に前記手摺枠を組み付ける連結手段において、操作杆と、この操作杆先端側に傾斜構成したロック解除具とを有し、前記操作杆は、操作基杆と、この操作基杆に対し、格納引き出し可能に設けた調節杆とによって構成して、この調節杆を前記操作基杆に対し、所定位置に保持するための拘束手段を備え、前記ロック解除具は前記連結手段における突部を装入可能に開口し、ロック解除具の開口端から前記突部を装入させて、前記操作杆を変位操作することで、前記ロック解除具内壁により、突部内にロック部材を弾性力に抗して押し込んで、前記手摺枠の受具を建枠の突部から離脱させて、前記手摺枠を取り外す構成としたことを特徴とする仮設資材用解体治具。
- 前記拘束手段は、前記調節杆の末端寄りの箇所に突出する方向に付勢された、突没可能な押圧係止部材と、前記操作基杆側に、前記調節杆の進退通路に沿って適所に形成し、前記押圧係止部材を付勢力により操作基杆内側から突出させることで、前記調節杆を拘束するようにした拘束穴とによって構成したことを特徴とする請求項1記載の仮設資材用解体治具。
- 前記ロック解除具は、前記連結手段に嵌入可能な中空パイプ材で構成し、前記操作杆に対して鈍角をなすように操作杆に接続したことを特徴とする請求項1記載の仮設資材用解体治具。
- 前記ロック解除具の中間に、携帯用フックロッドを突設したことを特徴とする請求項1または3記載の仮設資材用解体治具。
- 前記操作杆に、落下防止用ロープを連結する連結具を設けたことを特徴とする請求項1ないし3記載のうち、いずれか1記載の仮設資材用解体治具。
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