JP3731617B2 - 耐熱保護フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子分野、特にカメラ、電卓、VTR、OA機器等にフレキシブルプリント回路基板やIC実装用フィルムキャリアとして用いられている銅貼り積層板或いはこれから得られる回路基板などの保護を目的として用いられる耐熱保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
これまで、フレキシブルプリント回路基板やIC実装用フィルムキャリア等の銅貼り積層板或いはこれをエッチングすることにより得られる回路基板などに用いられている保護フィルムは、有機フィルムの片面にエポキシ系接着剤を用いたものが広く使用されている。しかし、エポキシ系接着剤は下記のような欠点を有する。
▲1▼主剤と硬化剤を一定の比率で混合する必要があり、調製に手間がかかる。
▲2▼上記2液の混合時に泡を巻き込み、そのため脱泡しなければならない。
▲3▼一旦調製した接着剤は、ポットライフが短く、長期保管ができない。
▲4▼硬化のために150℃を超える高温と長時間の加圧が必要である。
▲5▼液状であるため、接着層の均一な厚み制御が難しい。
▲6▼硬化時の加圧により接着剤が積層体の周辺からはみ出し垂れる。
▲7▼硬化後の接着層の弾性率が高く(硬く)、柔軟性に欠ける。
▲8▼エポキシ系接着剤は、有機フィルム、特に現在主流として用いられているポリイミドやポリエステルフィルムとの接着力が低く、この対策として有機フィルムの表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施さなければならない。
【0003】
このため、エポキシ系接着剤を用いた従来のフレキシブルプリント回路基板やIC実装用フィルムキャリア等の銅貼り積層板や回路基板などに用いられている保護フィルムは、作製に手間と費用がかかり、更に現在高密度実装が要求されているなかで、これに対応するための十分な可撓性を有していない。
【0004】
本発明は上記欠点を解決したもので、ポリイミドやポリエステル等の有機フィルムに対する接着力が高く、可撓性に優れていると共に、容易に作製し得、銅貼り積層板又はこれから得られる回路基板などの保護に好適に用いられる耐熱保護フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、エチレンとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体を主成分とする熱硬化性接着剤層を耐熱性を有する有機フィルムの少なくとも片面に設けることによって、上記エポキシ系接着剤に見られるような欠点がなく、高品質で接着力の大きいフレキシブルな耐熱保護フィルムが容易に得られることを知見したものである。
【0006】
即ち、本発明は、以下の耐熱保護フィルムを提供する。
請求項1:
耐熱性を有する有機フィルムの少なくとも一面に、エチレンとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部、シランカップリング剤を0.01〜5重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなる熱硬化性接着剤層を設けたことを特徴とする耐熱保護フィルム。
請求項2:
熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、エポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱保護フィルム。
請求項3:
熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱保護フィルム。
請求項4:
熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、無機系、ハロゲン系又はリン系難燃剤を添加してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
請求項5:
上記共重合体のアクリレート系及び/又はメタクリレート系単位の含有率が1〜50重量%、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸単位の含有率が0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
請求項6:
銅貼り積層板又はこれから得られる回路基板の保護用である請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
【0007】
本発明による耐熱保護フィルムに用いられる接着剤は、フィルム状で提供することができるため、広い面積の耐熱性を有する有機フィルムと容易にかつ精度良く貼り合わせが可能である。また、銅貼り積層板や回路基板等との貼り合わせは、室温〜80℃程度の比較的低温で可能であり、更に本発明による接着剤には自着性(表面タック)があり、このため銅貼り積層板や回路基板等と本発明による耐熱保護フィルムとを圧着ロール等の簡便な方法を用いて積層体を形成すれば、本接着剤特有の自着力により積層体にズレや剥離がなく、加熱硬化まで自由にハンドリングができるという特長を有している。更に、前記積層体の加熱一体化のためには特に加圧の必要はなく、通常の加熱オーブンや連続加熱炉等で加熱硬化が可能である。また、本発明の耐熱保護フィルムに用いられる接着剤は、上記共重合体を主成分としているため、エポキシ系接着剤に比べ、硬化後の弾性率が低く可撓性に富むため、昨今の液晶機器やOA機器等に用いられる回路基板の高密度実装に十分対応が可能である。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の耐熱保護フィルムは、有機フィルムの少なくとも一面に、エチレンとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体を主成分とする熱硬化性接着剤層を形成してなるものである。
【0009】
ここで、本発明に用いられる耐熱性を有する有機フィルムとしては、ガラス転移温度が50℃以上の有機材料が好ましく、このような有機材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする有機フィルムを用いることができる。特にこの中で、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレートが、耐熱性や屈曲性の点で好適に用いられる。
【0010】
一方、本発明の耐熱保護フィルムに用いられる接着剤層の主成分であるエチレンとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体は、熱硬化時の反応性や硬化後の可撓性や耐久性の点からアクリレート系及び/又はメタクリレート系単位の含有率が1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜40重量%である。また、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸単位の含有率は0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%であることが好ましい。この含有率が0.01重量%より低いと接着力の改善効果が低下し、10重量%を超えると加工性の低下を招く場合がある。
【0011】
なお、アクリレート系モノマー、メタクリレート系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル等が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルのほか、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが例示される。これらはその1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
本発明の耐熱保護フィルムに用いられる接着剤層の硬化のために添加される有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、接着剤の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合わせ)条件、接着剤の貯蔵安定性等を考慮して選択される。
【0013】
使用可能な過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシアセテート;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチルケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;ヒドロキシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオキサイド;オクタノイルパーオキサイド;デカノイルパーオキサイド;ラウロイルパーオキサイド;クミルパーオキシオクトエート;サクシニックアシッドパーオキサイド;アセチルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート);m−トルオイルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシイソブチレート;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0014】
有機過酸化物としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、その添加量は、上記共重合体100重量部に対し0.1〜10重量部で十分である。
【0015】
また、本発明の接着剤には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記共重合体100重量部に対し通常0.01〜5重量部で十分である。
【0016】
更に、本発明の接着剤には、同様に接着性及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は上記共重合体100重量部に対し0.1〜20重量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
【0017】
また、本発明の接着剤層の諸物性(接着性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性など)を更に向上させる或いは接着剤の硬化を促進する目的で、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加することができる。
【0018】
この目的に供せられる化合物としては、アクリル酸或いはメタアクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が、上記共重合体100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部添加して用いられる。0.1重量部未満であると耐熱性、機械的強度向上という改良効果を低下させることがあり、50重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜性を低下させることがある。
【0019】
なおまた、本発明の接着剤には、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0020】
上記炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、上記共重合体100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜150重量部である。
【0021】
更に、本発明においてはその目的を損わない範囲内で、前記以外の接着促進剤、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、難燃剤、その他無機又は有機の充填剤等を添加してもよい。特に、耐熱保護フィルムとしての要求特性の一つに難燃性が挙げられており、無機系、ハロゲン系、リン系の従来公知の難燃剤を有効量添加することができる。無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸グアニール尿素、水酸化マグネシウム、ハロゲン系難燃剤としては、塩素化パラフィン、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、レオフォストリアリルホスフェート、オクチルクレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。
【0022】
本発明の熱硬化性接着剤は、上記共重合体と上述の添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることができる。なお、製膜に際してはブロッキング防止、有機フィルムとの圧着時の脱気を容易にするため、エンボス加工を施してもよい。また、上記共重合体と上述の添加剤とを有機フィルムに何ら影響を及ぼさない溶媒に均一に溶解させ、溶液タイプの接着剤として用いることもでき、フィルムの表面に均一に塗布し、仮圧着した後、加熱して接着硬化させることができる。
【0023】
本発明の熱硬化性接着剤の硬化条件としては、用いる有機過酸化物の種類に依存するが、70〜170℃、特に70〜150℃で2〜60分、特に5〜30分とすることが好ましい。この場合、硬化は好ましくは0.01〜50kgf/cm2、特に0.1〜20kgf/cm2の加圧下で行うことが推奨される。
【0024】
本発明における耐熱保護フィルムの製造方法を以下に例示するが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得る方法であればいずれの方法を用いてもよい。
【0025】
まず、本発明における熱硬化性接着剤の調製方法は、主成分である上記共重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部、シランカップリング剤を0.01〜10重量部、エポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部秤量し、目的に応じて更にこれにアクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1種類を0.1〜50重量部添加し、また目的を損わない範囲で、前記以外の接着促進剤、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、難燃剤、その他無機又は有機の充填剤等を秤量し、これらの各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解、分散させる。次に、この溶液を耐熱性を有する有機フィルム上に、フローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等によりドライ厚みが1〜100μmの範囲で膜厚精度が±3μmとなるように塗工する。この塗工した接着剤層に、シリコーンやフッ素系の離型剤を処理した離型性フィルムを積層して巻き取ってもよく、また回路等との積層一体化時の脱気のために接着剤層の表面にエンボス加工を施しながら巻き取ってもよい。
【0026】
この積層体と銅貼り積層板や回路基板等との貼り合わせ法としては、上記接着剤の塗工直後、即ち加熱炉を積層体が出た直後に銅貼り積層板や回路基板等を圧着ロール等で連続的にラミネートしてもよいし、ラミネート後、更に赤外線ヒーター、誘導加熱、熱ロール等を用いて加熱を行い、インラインで接着剤層の硬化を行ってもよい。また、銅貼り積層板や回路基板等をインラインで貼り合わせず、耐熱性を有する有機フィルムと熱硬化性接着剤との積層体を一旦巻き取り、オフラインで加熱プレス、真空袋、真空ラミネーター等を用いて銅貼り積層板や回路基板等との貼り合わせを行ってもよい。本発明の熱硬化性接着剤は、目的に応じて有機フィルムの片面或いは両面に塗工してもよく、銅貼り積層板や回路基板等と多層に貼り合わせてもよい。
【0027】
本発明の耐熱保護フィルムに用いられる熱硬化性接着剤は、上記共重合体を主成分としているので、加熱時の溶融粘度が5000cps以上であり、従来のエポキシ系接着剤のように硬化時に積層板の端部より接着剤の低分子成分がはみ出し垂れるようなことが全くなく、また予め所定の厚みに精度良く有機フィルム上に形成させることができるため、信頼性の高い耐熱保護フィルムを提供することが可能である。
【0028】
本発明の耐熱保護フィルムは、銅貼り積層板をエッチングして回路形成した回路基板の保護、或いはこのような回路形成していないIC等の接続用などの銅貼り積層板の保護などに用いることができるが、その用途はこれに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0030】
〔実施例、比較例〕
表1に示す配合No.A〜Cの各成分を秤量し、これを40℃のトルエン中でそれぞれ均一に混合溶解し、溶質濃度20%のトルエン溶液を調製した。この溶液を、25μmの厚みのポリイミドフィルム上にリバースロールコーターを用いて塗布し、ドライ厚みで20±1μmの膜厚精度の熱硬化性接着剤層を有する積層体を作製した。この積層体を130℃に設定した熱ロールラミネーターを用い、硬化一体化して、耐熱保護フィルムを得た。これに対し、比較例として、エピコート828(油化シェルエポキシ社製)100重量部に対し、グリシジルメタクリレート10重量部、ジシアンジアミド0.5重量部を添加し、均一に混合した接着剤層20μmをポリイミドフィルムの片面に設けて実施例と同様の方法で積層体を得た。この積層体をニッカン工業社製のポリイミド系フレキシブルプリント基板の銅箔面側に130℃に設定した熱ロールラミネーターを用い、硬化一体化して、耐熱保護フィルムを得、各信頼性試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0031】
信頼性試験の評価項目としては、耐熱耐久性(85℃×1000時間)、湿熱耐久性(60℃、90%RH×1000時間)、冷熱サイクル耐久試験(−30℃×6時間→70℃×6時間の50サイクル)、屈曲疲労試験(屈曲度:10mmR、屈曲回数:10万回)の4種類について実施した。判定基準としては、試験終了後、接着剥離や反り、ズレ等の外観変化の有無を目視により観察し、何らかの異常が認められた場合は×、異常が全くない場合は○と判定した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
各配合A〜Cにおいて、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体として上記▲1▼〜▲3▼のものを用いたいずれの信頼性試験においても、本発明による耐熱保護フィルムに外観異常は認められず、信頼性に優れた耐熱保護フィルムを提供できることが確認された。特に10万回という過酷な屈曲疲労試験では、試験初期において比較例の耐熱保護フィルムはエポキシ系の接着剤層に細かいひび割れとポリイミドフィルム界面での接着剥がれが観察され、本発明による耐熱保護フィルムとの差は歴然としていた。
【0035】
【発明の効果】
本発明の耐熱保護フィルムは、有機フィルムとの接着性がよく、可撓性に優れ、高品質なものであり、しかも簡単に作業性よく製造でき、銅貼り積層板やこれから得られる回路基板などの保護に有用である。
Claims (6)
- 耐熱性を有する有機フィルムの少なくとも一面に、エチレンとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部、シランカップリング剤を0.01〜5重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなる熱硬化性接着剤層を設けたことを特徴とする耐熱保護フィルム。
- 熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、エポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱保護フィルム。
- 熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱保護フィルム。
- 熱硬化性接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、無機系、ハロゲン系又はリン系難燃剤を添加してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
- 上記共重合体のアクリレート系及び/又はメタクリレート系単位の含有率が1〜50重量%、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸単位の含有率が0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
- 銅貼り積層板又はこれから得られる回路基板の保護用である請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐熱保護フィルム。
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