JP3918887B2 - 電子デバイス用封止フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL素子、液晶素子、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス等)、タッチパネル、各種電極(ITO、銅電極、錫電極、半田電極等)、ICドライバ等の電子デバイスを封止、保護するために用いられる電子デバイス用封止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、上記電子デバイスを封止、保護する場合は、光透過性を有する基材フィルムと接着剤とを別々に用意し、基材フィルムに接着剤を塗布した後、これを電子デバイスと一体化することが行われていた。
【0003】
しかし、この電子デバイスの封止方法は、基材フィルムに対する接着剤の塗布工程を有し、作業性が劣り、生産性の点で問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、電子デバイスに対する封止作業が簡単化され、かつ電子デバイスに密着よくしかもピンホール等の封止上の欠陥なく電子デバイスを封止、保護することができる電子デバイス用封止フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明は、上記目的を達成するため、下記の電子デバイス用封止フィルムを提供する。
(1)光線透過率が50%以上、屈折率が1.8以下の基材フィルムの少なくとも一面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、上記共重合体100重量部に対し、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルから選ばれる1種又は2種以上のエポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなる熱及び/又は光硬化性接着剤層を設けたことを特徴とする電子デバイス用封止フィルム。
(2)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる(1)記載のフィルム。
(3)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部添加してなる(1)記載のフィルム。
(4)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部と有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる(1)記載のフィルム。
(5)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、シランカップリング剤を0.01〜5重量部添加してなる(1)乃至(4)のいずれか1項記載のフィルム。
(6)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1項記載のフィルム。
(7)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1項記載のフィルム。
(8)エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が10〜50重量%であることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1項記載のフィルム。
(9)接着剤層の表面に平均粗さが50μm以下の凹凸が形成されていることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1項記載のフィルム。
【0006】
本発明の電子デバイス用封止フィルムによれば、下記の利点を有する。
▲1▼基材フィルムに硬化性接着剤層を設け一体化することができるため、電子デバイスの封止の際、部材点数が減り、生産性が向上する。
▲2▼基材フィルムと一体化が可能なので、打ち抜き作業が1回で済む。また、打ち抜きカット性が大幅に向上する。
▲3▼液状封止剤と比較し、ピンホール等の封止上の欠陥が全くない。また、フィルム状でハンドリングも極めて容易である。
▲4▼熱ロールラミネーター、真空ラミネーター、真空袋、熱プレス、加熱オーブン、オートークレーブ等、連続式あるいはバッチ式の広範囲の封止方法が目的に応じて選択できる。
【0007】
この場合、本発明で用いる接着剤は、フィルム状とすることができるので、基材フィルムと容易かつ高精度で貼り合わせることができ、また本発明で用いる接着剤は自着性(表面タック)を有するので、電子デバイスとの貼り合わせも容易であり、室温〜80℃程度の比較的低温で貼り合わせが可能である。更に、上記のようにこの接着剤は自着性を有するので、貼り合わせ後にズレや剥離がなく、硬化までに自由にハンドリングができる。また、上記接着剤はその硬化後の弾性率が低く、可撓性に富むため、電子デバイスの保護作用に優れたものである。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の電子デバイス用封止フィルムは、光透過性を有する基材フィルムの一面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、エポキシ基含有化合物を添加してなる熱及び/又は光によって硬化する硬化性接着剤層を形成したものである。
【0009】
ここで、基材フィルムとしては、光線透過率が50%以上、特に70%以上のものが好ましい。光線透過率が低いと、デバイスとしての効率が低下し、特に光を取り入れるデバイス、例えば発電、光によるセンサー、電気伝導度の変化を利用するデバイスなどの効率が低下するおそれがある。更に、光の利用効率の点から屈折率が1.8以下、特に1.3〜1.65であることが好ましい。
【0010】
また、基材フィルムは、ヤング率が0.1kg/cm2以上、特に0.5kg/cm2以上であるものが好ましく、ヤング率が小さすぎると少しの力で伸び縮みが起こり、変形が生じて、封止性が低下するおそれがある。
【0011】
基材フィルムの厚さは適宜選定されるが、通常1〜1000μmの範囲である。この場合、基材フィルムの光線透過率が50%以上、特に70%以上となるように厚みを選定することが好ましい。
【0012】
具体的には、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等のほか、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等のフッ素含有樹脂などの有機樹脂を主成分とする有機フィルムを用いることができる。また、場合によっては、耐候性を向上させる目的で、これらの樹脂中に紫外線吸収剤を練り込んだり、あるいは樹脂フィルム表面にコーティングを施して使用してもよい。特にこの中で、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレートが、耐熱性や屈曲性の点で好適に用いられる。
【0013】
一方、本発明の電子デバイス用封止フィルムに用いられる接着剤層の主成分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、硬化時の反応性、硬化後の可撓性や耐久性の点から酢酸ビニル含有率が10〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは15〜45重量%である。
【0014】
本発明の接着剤の硬化のためには、有機過酸化物又は光増感剤を用いることができるが、硬化性接着剤が熱硬化性接着剤である場合には、通常、有機過酸化物が用いられ、硬化性接着剤が光硬化性接着剤である場合には、通常、光増感剤が用いられる。
【0015】
本発明の接着剤層の硬化のために添加される有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、接着剤の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合わせ)条件、接着剤の貯蔵安定性等を考慮して選択される。
【0016】
使用可能な過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシアセテート;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチルケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;ヒドロキシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオキサイド;オクタノイルパーオキサイド;デカノイルパーオキサイド;ラウロイルパーオキサイド;クミルパーオキシオクトエート;サクシニックアシッドパーオキサイド;アセチルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート);m−トルオイルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシイソブチレート;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0017】
有機過酸化物としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、その添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し0.1〜10重量部で十分である。
【0018】
一方、上記接着剤を光硬化させる場合は、光増感剤を添加することができる。光増感剤としてはラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。
【0019】
ラジカル光重合開始剤のうち水素引き抜き型開始剤としては、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチル−4−(ジエチルアミノ)−ベンゾエート等が用いられる。ラジカル光重合開始剤のうち分子内開裂型開始剤としては、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、α−ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンなどが使用できる。更に、α−アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン−1などが、またアシルフォスフィンオキサイドなどが用いられる。
【0020】
光増感剤としては、これらのうち少なくとも1種を単独で又は2種以上を混合して、前記共重合体100重量部に対し0.1〜10重量部添加して用いられる。
【0021】
なお、本発明の接着剤では、上記光増感剤と有機過酸化物とを併用してもよく、これによって光硬化と共に熱硬化を併用することができる。
【0022】
また、本発明の接着剤には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し通常0.01〜5重量部で十分である。
【0023】
更に、本発明の接着剤には、同様に接着性及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量はエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し0.1〜20重量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
【0024】
また、本発明の接着剤層の諸物性(接着性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性など)を更に向上させる或いは接着剤の硬化を促進する目的で、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加することができる。
【0025】
この目的に供せられる化合物としては、アクリル酸或いはメタアクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部用いられる。0.1重量部未満であると耐熱性、機械的強度向上という改良効果を低下させることがあり、50重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜性を低下させることがある。
【0026】
なおまた、本発明の接着剤には、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0027】
上記炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜150重量部である。
【0028】
更に、本発明においてはその目的を損わない範囲内で、前記以外の接着促進剤、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、その他無機又は有機の充填剤等を添加してもよい。また、無機系、ハロゲン系、リン系の従来公知の難燃剤を有効量添加することができる。無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸グアニール尿素、水酸化マグネシウム、ハロゲン系難燃剤としては、塩素化パラフィン、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、レオフォストリアリルホスフェート、オクチルクレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。
【0029】
本発明の接着剤は、前記共重合体と上述の添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることができる。なお、製膜に際してはブロッキング防止、基材フィルムとの圧着時の脱気を容易にするため、エンボス加工を施してもよい。エンボス加工の方法としては公知の手法が採用でき、例えばエンボスロールでの型付け、離型性を有するエンボスフィルムでの転写法が好適に採用される。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体と上述の添加剤とを基材フィルムに何ら影響を及ぼさない溶媒に均一に溶解させ、溶液タイプの接着剤として用いることもでき、フィルムの表面に均一に塗布し、仮圧着した後、加熱して接着硬化させることができる。
【0030】
この場合、上記エンボス加工等により接着剤層の表面(電子デバイスと貼り合わせるべき表面)に平均粗さ(Ra)が50μm以下、より好ましくは0.01〜50μm、更に好ましくは0.1〜20μmの凹凸を形成することが好ましく、これによりデバイスとの接着面において空気が抜け易く、デバイス表面の複雑な凹凸を埋めることが可能である。
【0031】
また、接着剤層の厚さは1〜1000μm、特に5〜500μmとすることが好ましい。1μmより薄いと封止性が劣り、デバイスの凹凸を埋めきれない場合が生じる。一方、1000μmより厚いとデバイス全体の厚みが増し、デバイスの収納、アッセンブリー等に問題が生じるおそれがあり、更に光線透過に影響を与えるおそれもある。
【0032】
本発明の接着剤の硬化条件としては、有機過酸化物を使用して熱硬化する場合は、用いる有機過酸化物の種類に依存するが、70〜170℃、特に70〜150℃で2〜60分、特に5〜30分とすることが好ましい。この場合、硬化は好ましくは0.01〜50kgf/cm2、特に0.1〜20kgf/cm2の加圧下で行うことが推奨される。
【0033】
また、光増感剤を用いる光硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数十秒〜数十分程度である。
【0034】
また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
【0035】
本発明における電子デバイス用封止フィルムの製造方法を以下に例示するが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得る方法であればいずれの方法を用いてもよい。
【0036】
まず、本発明における接着剤の調製方法は、前記共重合体に上述した所用の成分を所用量添加し、また目的を損わない範囲で、前記以外の接着促進剤、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、難燃剤、その他無機又は有機の充填剤等を秤量し、これらの各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解、分散させる。次に、この溶液を基材フィルム上に、フローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等によりドライ厚みが1〜100μmの範囲で膜厚精度が±3μmとなるように塗工する。この塗工した接着剤層に、シリコーンやフッ素系の離型剤を処理した離型性フィルムを積層して巻き取ってもよく、また回路等との積層一体化時の脱気のために接着剤層の表面にエンボス加工を施しながら巻き取ってもよい。
【0037】
この封止フィルムと電子デバイスとの貼り合わせ法としては、上記接着剤の塗工直後、即ち加熱炉を封止フィルムが出た直後に電子デバイスを圧着ロール等で連続的にラミネートしてもよいし、ラミネート後、更に赤外線ヒーター、誘導加熱、熱ロール等を用いて加熱を行い、インラインで接着剤層の硬化を行ってもよい。また、電子デバイスをインラインで貼り合わせず、基材フィルムと接着剤との積層体(封止フィルム)を一旦巻き取り、オフラインで加熱プレス、真空袋、真空ラミネーター等を用いて電子デバイスとの貼り合わせを行ってもよい。本発明の接着剤は、目的に応じて基材フィルムの片面或いは両面に塗工してもよく、酸等や水蒸気のバリヤー性などを考慮して同種又は異種の基材フィルムと多層に貼り合わせてもよい。
【0038】
本発明の封止フィルムに用いられる接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としているので、加熱時の溶融粘度が5000cps以上であり、予め所定の厚みに精度良く基材フィルム上に形成させることができるため、信頼性の高い封止フィルムを提供することが可能である。
【0039】
本発明の封止フィルムは、EL素子、液晶素子、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス等)、タッチパネル、各種電極(ITO、銅電極、錫電極、半田電極等)、ICドライバ等の封止、保護に好適に用いられるが、適用される電子デバイス用はこれに限られるものではない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の電子デバイス用封止フィルムは、電子デバイス封止時の作業性が良好である上、電子デバイスを確実にしかも良好に封止することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0042】
〔実施例、比較例〕
表1に示す配合No.A,Bの各成分を秤量し、これを40℃のトルエン中でそれぞれ均一に混合溶解し、溶質濃度20%のトルエン溶液を調製した。この溶液を、50μmの厚みのテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルム上にリバースロールコーターを用いて塗布し、ドライ厚みで20±1μmの膜厚精度の接着剤層を有する積層体を作製した。
【0043】
この積層体と、3mm厚ガラス上に2μm厚のアモルファスシリコンをスパッタリングして形成させた模擬デバイスとを、配合Aについては150℃に設定した熱ロールラミネーターを用い、配合Bについては100℃に設定した熱ロールラミネーターで脱気圧着し、冷却前に4kW照射装置により波長365nmの紫外線を1分間照射し、硬化一体化して、電子デバイス用封止フィルムを得た。これに対し、比較例として、エピコート828(油化シェルエポキシ社製)100重量部に対し、グリシジルメタクリレート10重量部、ジシアンジアミド0.5重量部を添加し、均一に混合した接着剤層を前記模擬デバイス上に膜厚20μmになるように塗布し、150℃のオーブン中で15分間加熱し、一体化した。これらフィルムの各信頼性試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0044】
信頼性試験の評価項目としては、耐熱耐久性(100℃×1000時間)、湿熱耐久性(60℃、90%RH×1000時間)、冷熱サイクル耐久試験(−30℃×6時間→70℃×6時間の50サイクル)の3種類について実施した。判定基準としては、試験終了後、接着剥離や反り、ズレ、ピンホール等の外観変化の有無を目視により観察し、何らかの異常が認められた場合は×、異常が全くない場合は○と判定した。
【0045】
【表1】
*[1]「ウルトラセン710」(エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、
酢酸ビニル含量28%))
[2]「ウルトラセン627」(エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、
酢酸ビニル含量20%))
[3]「ウルトラセン760」(エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、
酢酸ビニル含量42%))
[4]「ウルトラセン634」(エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、
酢酸ビニル含量26%))
** 参考例
【0046】
【表2】
* 参考例
Claims (9)
- 光線透過率が50%以上、屈折率が1.8以下の基材フィルムの少なくとも一面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、上記共重合体100重量部に対し、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルから選ばれる1種又は2種以上のエポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなる熱及び/又は光硬化性接着剤層を設けたことを特徴とする電子デバイス用封止フィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる請求項1記載のフィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部添加してなる請求項1記載のフィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部と有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる請求項1記載のフィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、シランカップリング剤を0.01〜5重量部添加してなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のフィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフィルム。
- 接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のフィルム。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のフィルム。
- 接着剤層の表面に平均粗さが50μm以下の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のフィルム。
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