JPH1121525A - 電子デバイス用封止フィルム - Google Patents

電子デバイス用封止フィルム

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JPH1121525A
JPH1121525A JP19651097A JP19651097A JPH1121525A JP H1121525 A JPH1121525 A JP H1121525A JP 19651097 A JP19651097 A JP 19651097A JP 19651097 A JP19651097 A JP 19651097A JP H1121525 A JPH1121525 A JP H1121525A
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泰大 森村
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秀夫 杉山
Hideshi Kotsubo
秀史 小坪
Makoto Sakurai
良 桜井
Takahiro Matsuse
貴裕 松瀬
Tetsuo Kitano
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光線透過率が50%以上、屈折率が1.
8以下の基材フィルムの少なくとも一面に、エチレン−
酢酸ビニル共重合体を主成分とする熱及び/又は光硬化
性接着剤層を設けたことを特徴とする電子デバイス用封
止フィルム。 【効果】 本発明の電子デバイス用封止フィルムは、電
子デバイス封止時の作業性が良好である上、電子デバイ
スを確実にしかも良好に封止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、EL素子、液晶素
子、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス等)、
タッチパネル、各種電極(ITO、銅電極、錫電極、半
田電極等)、ICドライバ等の電子デバイスを封止、保
護するために用いられる電子デバイス用封止フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
上記電子デバイスを封止、保護する場合は、光透過性を
有する基材フィルムと接着剤とを別々に用意し、基材フ
ィルムに接着剤を塗布した後、これを電子デバイスと一
体化することが行われていた。
【0003】しかし、この電子デバイスの封止方法は、
基材フィルムに対する接着剤の塗布工程を有し、作業性
が劣り、生産性の点で問題があった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、電子デバイスに対する封止作業が簡単化され、かつ
電子デバイスに密着よくしかもピンホール等の封止上の
欠陥なく電子デバイスを封止、保護することができる電
子デバイス用封止フィルムを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は、上記目的を達成するため、下記の電子デバイス
用封止フィルムを提供する。 (1)光線透過率が50%以上、屈折率が1.8以下の
基材フィルムの少なくとも一面に、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体を主成分とする熱及び/又は光硬化性接着剤
層を設けたことを特徴とする電子デバイス用封止フィル
ム。 (2)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、有
機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる(1)記
載のフィルム。 (3)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光
増感剤を0.1〜10重量部添加してなる(1)記載の
フィルム。 (4)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、光
増感剤を0.1〜10重量部と有機過酸化物を0.1〜
10重量部添加してなる(1)記載のフィルム。 (5)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、シ
ランカップリング剤を0.01〜5重量部添加してなる
(1)乃至(4)のいずれか1項記載のフィルム。 (6)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、ア
クリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物
及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1
〜50重量部添加してなることを特徴とする(1)乃至
(5)のいずれか1項記載のフィルム。 (7)接着剤が、上記共重合体100重量部に対し、炭
化水素樹脂を1〜200重量部添加してなることを特徴
とする(1)乃至(6)のいずれか1項記載のフィル
ム。 (8)エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有
率が10〜50重量%であることを特徴とする(1)乃
至(7)のいずれか1項記載のフィルム。 (9)接着剤層の表面に平均粗さが50μm以下の凹凸
が形成されていることを特徴とする(1)乃至(8)の
いずれか1項記載のフィルム。
【0006】本発明の電子デバイス用封止フィルムによ
れば、下記の利点を有する。 基材フィルムに硬化性接着剤層を設け一体化すること
ができるため、電子デバイスの封止の際、部材点数が減
り、生産性が向上する。 基材フィルムと一体化が可能なので、打ち抜き作業が
1回で済む。また、打ち抜きカット性が大幅に向上す
る。 液状封止剤と比較し、ピンホール等の封止上の欠陥が
全くない。また、フィルム状でハンドリングも極めて容
易である。 熱ロールラミネーター、真空ラミネーター、真空袋、
熱プレス、加熱オーブン、オートークレーブ等、連続式
あるいはバッチ式の広範囲の封止方法が目的に応じて選
択できる。
【0007】この場合、本発明で用いる接着剤は、フィ
ルム状とすることができるので、基材フィルムと容易か
つ高精度で貼り合わせることができ、また本発明で用い
る接着剤は自着性(表面タック)を有するので、電子デ
バイスとの貼り合わせも容易であり、室温〜80℃程度
の比較的低温で貼り合わせが可能である。更に、上記の
ようにこの接着剤は自着性を有するので、貼り合わせ後
にズレや剥離がなく、硬化までに自由にハンドリングが
できる。また、上記接着剤はその硬化後の弾性率が低
く、可撓性に富むため、電子デバイスの保護作用に優れ
たものである。
【0008】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の電子デバイス用封止フィルムは、光透過性を有
する基材フィルムの一面に、エチレン−酢酸ビニル共重
合体を主成分とする熱及び/又は光によって硬化する硬
化性接着剤層を形成したものである。
【0009】ここで、基材フィルムとしては、光線透過
率が50%以上、特に70%以上のものが好ましい。光
線透過率が低いと、デバイスとしての効率が低下し、特
に光を取り入れるデバイス、例えば発電、光によるセン
サー、電気伝導度の変化を利用するデバイスなどの効率
が低下するおそれがある。更に、光の利用効率の点から
屈折率が1.8以下、特に1.3〜1.65であること
が好ましい。
【0010】また、基材フィルムは、ヤング率が0.1
kg/cm2以上、特に0.5kg/cm2以上であるも
のが好ましく、ヤング率が小さすぎると少しの力で伸び
縮みが起こり、変形が生じて、封止性が低下するおそれ
がある。
【0011】基材フィルムの厚さは適宜選定されるが、
通常1〜1000μmの範囲である。この場合、基材フ
ィルムの光線透過率が50%以上、特に70%以上とな
るように厚みを選定することが好ましい。
【0012】具体的には、基材フィルムとして、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系
樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMX
D6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等の
ケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリ
ル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレ
ン、ポリビニルクロライド等のほか、ポリテトラフルオ
ロエチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン
−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、
ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド
等のフッ素含有樹脂などの有機樹脂を主成分とする有機
フィルムを用いることができる。また、場合によって
は、耐候性を向上させる目的で、これらの樹脂中に紫外
線吸収剤を練り込んだり、あるいは樹脂フィルム表面に
コーティングを施して使用してもよい。特にこの中で、
ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレー
ト、ポリエチレンテレフタレートが、耐熱性や屈曲性の
点で好適に用いられる。
【0013】一方、本発明の電子デバイス用封止フィル
ムに用いられる接着剤層の主成分であるエチレン−酢酸
ビニル共重合体は、硬化時の反応性、硬化後の可撓性や
耐久性の点から酢酸ビニル含有率が10〜50重量%で
あることが好ましく、更に好ましくは15〜45重量%
である。
【0014】本発明の接着剤の硬化のためには、有機過
酸化物又は光増感剤を用いることができるが、硬化性接
着剤が熱硬化性接着剤である場合には、通常、有機過酸
化物が用いられ、硬化性接着剤が光硬化性接着剤である
場合には、通常、光増感剤が用いられる。
【0015】本発明の接着剤層の硬化のために添加され
る有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解して
ラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であ
るが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが
好ましく、接着剤の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合
わせ)条件、接着剤の貯蔵安定性等を考慮して選択され
る。
【0016】使用可能な過酸化物としては、例えば2,
5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオ
キサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキシン−3;ジ−t−ブチルパーオキサ
イド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;
ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチル
パーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,
4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,
2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ
アセテート;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチ
ルケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキ
サイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;ヒドロ
キシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオ
キサイド;オクタノイルパーオキサイド;デカノイルパ
ーオキサイド;ラウロイルパーオキサイド;クミルパー
オキシオクトエート;サクシニックアシッドパーオキサ
イド;アセチルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ
(2−エチルヘキサノエート);m−トルオイルパーオ
キサイド;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパー
オキシイソブチレート;2,4−ジクロロベンゾイルパ
ーオキサイドなどが挙げられる。
【0017】有機過酸化物としては、これらのうちの1
種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、
その添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重
量部に対し0.1〜10重量部で十分である。
【0018】一方、上記接着剤を光硬化させる場合は、
光増感剤を添加することができる。光増感剤としてはラ
ジカル光重合開始剤が好適に用いられる。
【0019】ラジカル光重合開始剤のうち水素引き抜き
型開始剤としては、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル
安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェ
ニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエ
チルチオキサントン、エチル−4−(ジエチルアミノ)
−ベンゾエート等が用いられる。ラジカル光重合開始剤
のうち分子内開裂型開始剤としては、ベンゾインエーテ
ル、ベンジルジメチルケタールなど、α−ヒドロキシア
ルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル
−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオ
キシレート、ジエトキシアセトフェノンなどが使用でき
る。更に、α−アミノアルキルフェノン型として、2−
メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
リフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチル
アミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン
−1などが、またアシルフォスフィンオキサイドなどが
用いられる。
【0020】光増感剤としては、これらのうち少なくと
も1種を単独で又は2種以上を混合して、前記共重合体
100重量部に対し0.1〜10重量部添加して用いら
れる。
【0021】なお、本発明の接着剤では、上記光増感剤
と有機過酸化物とを併用してもよく、これによって光硬
化と共に熱硬化を併用することができる。
【0022】また、本発明の接着剤には、接着促進剤と
してシランカップリング剤を添加することができる。こ
のシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキ
シシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を
単独で又は2種以上を混合して用いることができる。こ
れらシランカップリング剤の添加量は、エチレン−酢酸
ビニル共重合体100重量部に対し通常0.01〜5重
量部で十分である。
【0023】更に、本発明の接着剤には、同様に接着性
及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を添加
することができる。エポキシ基含有化合物としては、ト
リグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;
アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリ
シジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノ
ールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリ
シジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o
−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリ
レート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。ま
た、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリ
ゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを
添加することによっても同様の効果が得られる。これら
エポキシ基含有化合物の添加量はエチレン−酢酸ビニル
共重合体100重量部に対し0.1〜20重量部で十分
で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独
で又は混合して添加することができる。
【0024】また、本発明の接着剤層の諸物性(接着
性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性など)を更
に向上させる或いは接着剤の硬化を促進する目的で、ア
クリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合
物を添加することができる。
【0025】この目的に供せられる化合物としては、ア
クリル酸或いはメタアクリル酸誘導体、例えばそのエス
テルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル
残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリ
ル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシ
ル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2
−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−ク
ロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。ま
た、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に
用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的
である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリ
ルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル
酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリ
ル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物
が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し
0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部用
いられる。0.1重量部未満であると耐熱性、機械的強
度向上という改良効果を低下させることがあり、50重
量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜性を低下
させることがある。
【0026】なおまた、本発明の接着剤には、加工性や
貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加
することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂
は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天
然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が
好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系
樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導
体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、
エステル化、金属塩化したものを用いることができる。
テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテル
ペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いるこ
とができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、
コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合
成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン
系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石
油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合
系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、
クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノー
ル系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール
樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレ
ン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0027】上記炭化水素樹脂の添加量は適宜選択され
るが、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対
して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜
150重量部である。
【0028】更に、本発明においてはその目的を損わな
い範囲内で、前記以外の接着促進剤、老化防止剤(重合
禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、その他無機
又は有機の充填剤等を添加してもよい。また、無機系、
ハロゲン系、リン系の従来公知の難燃剤を有効量添加す
ることができる。無機系難燃剤としては、水酸化アルミ
ニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、スルフ
ァミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸グアニ
ール尿素、水酸化マグネシウム、ハロゲン系難燃剤とし
ては、塩素化パラフィン、テトラブロモビスフェノール
A、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシ
クロドデカン、オクタブロモジフェニルエーテル、1,
2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビ
ステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモベンジルポ
リアクリレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル−
1)イソシアヌレート、リン系難燃剤としては、トリフ
ェニルホスフェート、レオフォストリアリルホスフェー
ト、オクチルクレジルジフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェートなどが挙げられる。
【0029】本発明の接着剤は、前記共重合体と上述の
添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した
後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーショ
ン等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることが
できる。なお、製膜に際してはブロッキング防止、基材
フィルムとの圧着時の脱気を容易にするため、エンボス
加工を施してもよい。エンボス加工の方法としては公知
の手法が採用でき、例えばエンボスロールでの型付け、
離型性を有するエンボスフィルムでの転写法が好適に採
用される。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体と上述
の添加剤とを基材フィルムに何ら影響を及ぼさない溶媒
に均一に溶解させ、溶液タイプの接着剤として用いるこ
ともでき、フィルムの表面に均一に塗布し、仮圧着した
後、加熱して接着硬化させることができる。
【0030】この場合、上記エンボス加工等により接着
剤層の表面(電子デバイスと貼り合わせるべき表面)に
平均粗さ(Ra)が50μm以下、より好ましくは0.
01〜50μm、更に好ましくは0.1〜20μmの凹
凸を形成することが好ましく、これによりデバイスとの
接着面において空気が抜け易く、デバイス表面の複雑な
凹凸を埋めることが可能である。
【0031】また、接着剤層の厚さは1〜1000μ
m、特に5〜500μmとすることが好ましい。1μm
より薄いと封止性が劣り、デバイスの凹凸を埋めきれな
い場合が生じる。一方、1000μmより厚いとデバイ
ス全体の厚みが増し、デバイスの収納、アッセンブリー
等に問題が生じるおそれがあり、更に光線透過に影響を
与えるおそれもある。
【0032】本発明の接着剤の硬化条件としては、有機
過酸化物を使用して熱硬化する場合は、用いる有機過酸
化物の種類に依存するが、70〜170℃、特に70〜
150℃で2〜60分、特に5〜30分とすることが好
ましい。この場合、硬化は好ましくは0.01〜50k
gf/cm2、特に0.1〜20kgf/cm2の加圧下
で行うことが推奨される。
【0033】また、光増感剤を用いる光硬化の場合は、
光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用
でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルラン
プ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハ
ロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光
等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強
さによって一概には決められないが、数十秒〜数十分程
度である。
【0034】また、硬化促進のために、予め積層体を4
0〜120℃に加温し、これに紫外線を照射してもよ
い。
【0035】本発明における電子デバイス用封止フィル
ムの製造方法を以下に例示するが、必ずしもこれらの方
法に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得
る方法であればいずれの方法を用いてもよい。
【0036】まず、本発明における接着剤の調製方法
は、前記共重合体に上述した所用の成分を所用量添加
し、また目的を損わない範囲で、前記以外の接着促進
剤、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤など)、難燃剤、その他無機又は有機の充填剤等を秤
量し、これらの各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解、
分散させる。次に、この溶液を基材フィルム上に、フロ
ーコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイ
ヤバー法、リップダイコート法等によりドライ厚みが1
〜100μmの範囲で膜厚精度が±3μmとなるように
塗工する。この塗工した接着剤層に、シリコーンやフッ
素系の離型剤を処理した離型性フィルムを積層して巻き
取ってもよく、また回路等との積層一体化時の脱気のた
めに接着剤層の表面にエンボス加工を施しながら巻き取
ってもよい。
【0037】この封止フィルムと電子デバイスとの貼り
合わせ法としては、上記接着剤の塗工直後、即ち加熱炉
を封止フィルムが出た直後に電子デバイスを圧着ロール
等で連続的にラミネートしてもよいし、ラミネート後、
更に赤外線ヒーター、誘導加熱、熱ロール等を用いて加
熱を行い、インラインで接着剤層の硬化を行ってもよ
い。また、電子デバイスをインラインで貼り合わせず、
基材フィルムと接着剤との積層体(封止フィルム)を一
旦巻き取り、オフラインで加熱プレス、真空袋、真空ラ
ミネーター等を用いて電子デバイスとの貼り合わせを行
ってもよい。本発明の接着剤は、目的に応じて基材フィ
ルムの片面或いは両面に塗工してもよく、酸等や水蒸気
のバリヤー性などを考慮して同種又は異種の基材フィル
ムと多層に貼り合わせてもよい。
【0038】本発明の封止フィルムに用いられる接着剤
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としている
ので、加熱時の溶融粘度が5000cps以上であり、
予め所定の厚みに精度良く基材フィルム上に形成させる
ことができるため、信頼性の高い封止フィルムを提供す
ることが可能である。
【0039】本発明の封止フィルムは、EL素子、液晶
素子、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス
等)、タッチパネル、各種電極(ITO、銅電極、錫電
極、半田電極等)、ICドライバ等の封止、保護に好適
に用いられるが、適用される電子デバイス用はこれに限
られるものではない。
【0040】
【発明の効果】本発明の電子デバイス用封止フィルム
は、電子デバイス封止時の作業性が良好である上、電子
デバイスを確実にしかも良好に封止することができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0042】〔実施例、比較例〕表1に示す配合No.
A,Bの各成分を秤量し、これを40℃のトルエン中で
それぞれ均一に混合溶解し、溶質濃度20%のトルエン
溶液を調製した。この溶液を、50μmの厚みのテトラ
フルオロエチレン−エチレン共重合体フィルム上にリバ
ースロールコーターを用いて塗布し、ドライ厚みで20
±1μmの膜厚精度の接着剤層を有する積層体を作製し
た。
【0043】この積層体と、3mm厚ガラス上に2μm
厚のアモルファスシリコンをスパッタリングして形成さ
せた模擬デバイスとを、配合Aについては150℃に設
定した熱ロールラミネーターを用い、配合Bについては
100℃に設定した熱ロールラミネーターで脱気圧着
し、冷却前に4kW照射装置により波長365nmの紫
外線を1分間照射し、硬化一体化して、電子デバイス用
封止フィルムを得た。これに対し、比較例として、エピ
コート828(油化シェルエポキシ社製)100重量部
に対し、グリシジルメタクリレート10重量部、ジシア
ンジアミド0.5重量部を添加し、均一に混合した接着
剤層を前記模擬デバイス上に膜厚20μmになるように
塗布し、150℃のオーブン中で15分間加熱し、一体
化した。これらフィルムの各信頼性試験を実施した。そ
の結果を表2に示す。
【0044】信頼性試験の評価項目としては、耐熱耐久
性(100℃×1000時間)、湿熱耐久性(60℃、
90%RH×1000時間)、冷熱サイクル耐久試験
(−30℃×6時間→70℃×6時間の50サイクル)
の3種類について実施した。判定基準としては、試験終
了後、接着剥離や反り、ズレ、ピンホール等の外観変化
の有無を目視により観察し、何らかの異常が認められた
場合は×、異常が全くない場合は○と判定した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松瀬 貴裕 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 喜多野 徹夫 東京都小平市小川東町3−1−1

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線透過率が50%以上、屈折率が1.
    8以下の基材フィルムの少なくとも一面に、エチレン−
    酢酸ビニル共重合体を主成分とする熱及び/又は光硬化
    性接着剤層を設けたことを特徴とする電子デバイス用封
    止フィルム。
  2. 【請求項2】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなる
    請求項1記載のフィルム。
  3. 【請求項3】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、光増感剤を0.1〜10重量部添加してなる請求
    項1記載のフィルム。
  4. 【請求項4】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、光増感剤を0.1〜10重量部と有機過酸化物を
    0.1〜10重量部添加してなる請求項1記載のフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、シランカップリング剤を0.01〜5重量部添加
    してなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含
    有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つ
    を0.1〜50重量部添加してなることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれか1項記載のフィルム。
  7. 【請求項7】 接着剤が、上記共重合体100重量部に
    対し、炭化水素樹脂を1〜200重量部添加してなるこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のフ
    ィルム。
  8. 【請求項8】 エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビ
    ニル含有率が10〜50重量%であることを特徴とする
    請求項1乃至7のいずれか1項記載のフィルム。
  9. 【請求項9】 接着剤層の表面に平均粗さが50μm以
    下の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれか1項記載のフィルム。
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