JP3730840B2 - 誘電体膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体膜を上下2つの導体電極によって挟んでなる薄膜コンデンサ中の誘電体膜などに最適な,高い比誘電率を有するABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化,薄型化が要求されている。電子機器は、ICやコンデンサなどの電子部品(素子)が実装された回路基板等から構成され、電子機器内に使用される電子部品、回路基板にも小面積化,薄型化が要求されている。ここで、電子部品(素子)の中でも、コンデンサは特に大面積を占有するために、その小面積化による電子部品の小面積化,薄型化の効果が大きいといえる。
【0003】
一方、コンデンサ中の電荷や分極を情報として利用するメモリの用途は近年飛躍的に拡大しており、コンデンサの形態も種々の構造が提案されている。例えば、小型かつ薄型のコンデンサを実現するために、半導体基板上だけでなく、ガラスやセラミック,金属箔,あるいはフレキシブルな有機高分子フィルムなどの小型,軽量,低コストの基体の上に、電極薄膜と高誘電体薄膜との積層構造からなる小型、軽量の薄膜コンデンサが提供されている。
【0004】
特に、化学量論的組成がABO3 (A,Bは金属原子)で表されるペロブスカイト構造を有する誘電体膜は、高い比誘電率を示し、電子部品の小面積化,小型化を図る上で重要な材料である。また、ペロブスカイト構造を有する誘電体膜の方位や種類によっては、電圧の印加が除去されても所定の分極量が残るというヒステリシス特性を有するために、強誘電体膜としても機能することがある。ペロブスカイト構造を有する誘電体の1つであるSrTiO3 (いわゆるSTO)は、比較的高い比誘電率を有することから、非接触ICカード中の薄膜コンデンサとしての利用が進みつつある。
【0005】
かかるペロブスカイト構造の誘電体膜は、しばしば有機金属の反応を利用したいわゆるMOCVD法などのCVD法によって形成されることが多いが、スループットの向上,製造コストの低減のためにスパッタリング法,蒸着法なども利用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ペロブスカイト構造の誘電体膜は、上述のような優れた特性を有するが、以下のような未解決の課題もある。
【0007】
まず、ペロブスカイト構造の誘電体膜は高誘電率,強誘電性を有しているが、このような誘電特性は誘電体膜の結晶性に依存することが知られており、例えば誘電体膜の結晶化率や配向性が悪いと比誘電率や残留分極量も低下することが知られている。ところが、安価な薄膜コンデンサを形成すべくスパッタリング法を採用すると、誘電膜の組成が化学量論的組成からずれることが多く、その場合には結晶性が悪化するので必ずしも期待した誘電特性が得られないことがある。
【0008】
また、素子の薄型化や高容量化を目的として誘電膜の厚みを薄くすると、どうしてもリーク電流が増大する傾向があるが、特に、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜中に結晶欠陥が多く存在すると、リークの発生が顕著になる。この結晶欠陥としては、ABO3 で表されるペロブスカイト構造の結晶格子における酸素原子(O)の欠損(酸素欠損)や、金属原子A,Bの存在比率の1:1からのずれなどがある。その結果、誘電体膜の絶縁破壊が起こりやすくなったり、あるいは誘電体膜中にメモリとして記憶保持していた情報が揮発しやすくなったり、強誘電体膜として用いる場合には電圧を印加しても十分な分極量が得られないなどの不具合がある。
【0009】
上述のような不具合は、特に低温条件におけるスパッタリング法や蒸着法を採用した場合に顕著である。つまり、低コスト化を目的としたスループット向上のために、スパッタリング法,蒸着法などを用いて高堆積速度で膜形成を行うと、特に低温条件においては、結晶性の悪化や、結晶欠陥の発生が生じやすいという現象が現れる。ところが、ICカードなどの耐熱性が低いフレキシブルな有機フィルム上に形成される薄膜コンデンサの場合、低温での膜形成が避けられない。したがって、このような耐熱性の低い基板上にSTO膜などのABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を有する薄膜コンデンサを低コストで形成することが困難となっている。
【0010】
本発明の目的は、誘電特性,リークなどの誘電特性を良好に維持しつつ、低コストで製造可能なABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体膜は、元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有するとともに、上記ペロブスカイト構造中に窒素を5%以下含んでいて、上記窒素は、上記元素A及び元素Bのうち少なくともいずれか一方の元素と結合していて、上記元素Aは、Sr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの物質であり、上記元素Bは、Ti,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの物質であって、有機材料からなる基板上に設けられたコンデンサの容量絶縁膜として機能する。
【0012】
これにより、ペロブスカイト構造中の窒素の存在によって、誘電体膜の上下方向から電圧を印加したときのリークが低減する。また、誘電体膜の結晶性が向上し、かつ、誘電体膜が緻密になるので、比誘電率や、誘電体膜の上下方向から電圧を印加したときの残留分極量,誘電損失などの特性も向上する。
【0014】
本発明の誘電体膜は、有機材料からなる基板上に設けられたコンデンサの容量絶縁膜として機能する場合に、いわゆるフレキシブル基板上にコンデンサを設ける場合に、高い比誘電率を有する誘電体膜からなる容量絶縁膜を低コストで実現することが可能になる。すなわち、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサを提供することが可能になる。
【0015】
本発明の第1の誘電体膜の製造方法は、元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造方法であって、Arよりも軽い元素を含むガスとArガスと酸素ガスと窒素を含むガスとの混合ガスをチャンバー内に供給するステップ(a)と、金属部材から元素Aの原子及び元素Bの原子をチャンバー内の空間に引きだして、上記元素A,元素B及び酸素を含むペロブスカイト構造を有する誘電体膜を被加工面上に堆積するステップ(b)とを含み、上記元素Aは、Sr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの物質であり、上記元素Bは、Ti,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの物質である。
【0016】
この方法により、低温条件においても、チャンバー内に引き出される元素Aの原子と元素Bの原子との存在比を、ABO3 型ペロブスカイト構造の化学量論的組成に近い組成を有する誘電体膜を形成する条件に調整することが可能になり、誘電特性の良好な誘電体膜を耐熱性の低い基板上に形成することが可能になる。
【0017】
上記ステップ(b)では、上記元素A及び元素Bの原子を金属部材からのスパッタリングによりチャンバー内の空間に引き出すことにより、誘電体膜の堆積速度を高くすることができ、量産に適したプロセスの提供を図ることができる。
【0018】
上記ステップ(b)では、上記誘電体膜の堆積速度が毎分10nm以上であることにより、生産性が向上し、低コストで誘電体膜を形成することができる。
【0019】
上記ステップ(b)における被加工面を、有機材料からなる基板上に設けられた金属電極の上面とすることにより、フレキシブル基板などの上に、低温条件で特性のよい誘電体膜を形成することが可能になり、本発明の誘電体膜を有する安価なコンデンサのプロセスを実現することができる。すなわち、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサの製造に供することができる。
【0020】
本発明の第2の誘電体膜の製造方法は、元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造方法であって、重さが異なる少なくとも2種類のスパッタリング用ガスと酸素を含むガスとをチャンバー内に供給するステップ(a)と、上記2種類のガスと酸素を含むガスとをプラズマ状態にするステップ(b)と、上記プラズマ化された2種類のガス原子をターゲット部材に衝突させて、元素Aの原子及び元素Bの原子をチャンバー内の空間に引きだして、上記元素A,元素B及び酸素を含むペロブスカイト構造を有する誘電体膜を被加工面上に堆積するステップ(c)とを含み、上記元素Aは、Sr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの物質であり、上記元素Bは、Ti,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの物質である。
【0021】
この方法により、互いに重さが異なる少なくとも2種類のガスによって元素A,Bがスパッタリングされることから、この少なくとも2種類のガスの流量比を変えると元素A,Bのスパッタリング量の比も変化する。すなわち、少なくとも2種類のガスの流量比の調整によって、元素A,Bの存在比が化学量論的組成を得るための最適な比になるように調整することが可能になる。
【0022】
上記2種類のスパッタリング用ガスは、不活性ガスであることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における薄膜コンデンサの構成を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の薄膜コンデンサは、硼珪酸ガラスからなる基体1の上に設けられたPt/Ti積層膜からなる下部電極2と、下部電極2の上に設けられたSrTiO3 膜からなる容量絶縁膜3と、容量絶縁膜3の上に設けられたPt膜からなる上部電極4とを備えている。すなわち、下部電極2と上部電極4との間に容量絶縁膜3を介在させた構造を有している。
【0024】
次に、本実施形態における薄膜コンデンサの製造方法について説明する。図2(a)〜(e)は、本実施形態における薄膜コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0025】
まず、図2(a)に示す工程で、硼珪酸ガラスからなる厚さ0.5mmの基体1を準備して、DCスパッタリングにより、基体1の上に下部電極となるPt/Ti膜10を形成する。DCスパッタリング条件は、例えば、10-6Torr(0.0013Pa)レベルの高真空チャンバー内において、Ar雰囲気中、DC電力は200Wで、成膜圧力は8×10-3Torr(1.1Pa)で、基体温度が25℃の条件である。Pt/Ti膜10の厚みは、Pt膜が100nmで、Ti膜が10nmである。また、堆積レートはともに約10nm/minである。
【0026】
次に、図2(b)に示す工程で、メタルマスクを用いてPt/Ti膜をパターニングして、基体1の上に下部電極2を形成する。下部電極2のサイズは約5×5mmである。
【0027】
次に、図2(c)に示す工程で、RFマグネトロンスパッタリング法により、基板上に、容量絶縁膜となる誘電体膜であるSrTiO3 膜11を形成する。このとき、SrTiO3 膜11を形成する際には、成膜ガスとしてArガス,O2 ガス及びN2 ガスを用いている。つまり、プラズマにより形成されるArイオンをSr,Tiのターゲットに衝突させて、運動量の交換作用によりSr原子,Ti原子をスパッタリングさせ、雰囲気中のO原子と、スパッタリングされたSr原子,Ti原子とを基板上に堆積させて、SrTiO3 膜を形成するのである。このとき、スパッタリング条件として、チャンバー内を10-6Torr(0.13mPa)レベルの高真空にして、成膜圧力を8×10-3Torr(1.1Pa)に、RF電力を200Wに、基体温度を200℃にしている。
【0028】
ここで、本実施形態においては、スパッタリング時に、Ar/O2 /N2 =2/1/0.5の割合で混合された成膜ガス中においてSrTiO3 膜を形成した。SrTiO3 膜11の膜厚は約300nmであり、膜の堆積速度は約3.0nm/minである。
【0029】
そして、図2(d)に示す工程で、SrTiO3 膜11をパターニングして、下部電極2の上に容量絶縁膜3を形成する。このとき、容量絶縁膜3のサイズは約4×4mmである。
【0030】
次に、図2(e)に示す工程で、DCマグネトロンスパッタリング法により、基板上にPt膜を堆積した後、Pt膜をパターニングして、容量絶縁膜3の上に上部電極4を形成する。上部電極4を構成するPt膜の堆積条件は、下部電極2におけるPt膜の堆積条件と同じである。このとき、上部電極4の平面寸法は約3×3mmである。すなわち、容量絶縁膜3のうち下部電極2と上部電極4とによって挟まれている部分のサイズは、約3×3mmである。
【0031】
本実施形態の製造方法によると、成膜ガスとして、Ar/O2 ガスに加えてN2 ガスを用いることにより、成膜ガスとしてAr/O2 ガスのみを用いるよりも、比誘電率の高い,リークの少ないSrTiO3 膜を形成することができ、このSrTiO3 膜を用いることにより、後に示すように、良好な特性を有する薄膜コンデンサを得ることができる。
【0032】
−実施形態と比較例との特性の比較−
ここで、上記実施形態によって形成されたSrTiO3 膜や、これを用いた薄膜コンデンサについて、従来品との比較を行なうために、上記実施形態の製造工程中の図2(c)に示す工程において、成膜ガスとしてAr/O2 =2/1の割合で混合されたガス中においてSrTiO3 膜を形成した。SrTiO3 膜の膜厚は約300nmであり、膜の堆積速度は約3.5nm/minである。以下、上記実施形態と比較例とのSrTiO3 膜の構造や特性の比較について、各種の評価結果に基づいて説明する。
【0033】
図3(a),(b)は、上記比較例と本実施形態とにおけるPt/SrTiO3 /Pt/Ti/glass構造を有する積層膜のうちのSrTiO3 膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析して得られた像を示す図である。図3(a)に示すように、成膜ガスとしてAr/O2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜は表面の凹凸が大きく結晶粒界も粗であるが、図3(b)に示すように、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜は表面の凹凸が小さく、結晶粒界も緻密であることがわかる。
【0034】
図4(a),(b)は、上記比較例と本実施形態とにおけるPt/SrTiO3 /Pt/Ti/glass構造を有する積層膜の深さ方向における成分の変化を、2次イオン質量分析法(SIMS)を用いて分析して得られたプロファイルを示す図である。図4(a)に示すように、成膜ガスとしてAr/O2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜における窒素濃度は約1016/cm3 である。一方、図4(b)に示すように、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜には、Ar/O2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜よりも窒素が多く含まれていることがわかる。しかも、窒素は膜中に均一に存在していることがわかる。SIMSのデプスプロファイルから算出されたSrTiO3 膜中の窒素濃度は約3at%であった。
【0035】
図5は、成膜ガスとしてAr/O2 /N2ガスを用いて形成された本実施形態のSrTiO3 膜における窒素の結合状態を、X線光電子分光法(XPS)を用いて分析した結果を示す図である。同図に示すデータを得るにあたって、窒素の同定はN1Sのスペクトルを用いて行った。通常、窒素は単体の状態では結合エネルギーが399〜400eVを示す。ところが、図5のデータによると、Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成された本実施形態のSrTiO3 膜中の窒素は、それよりも低い396eV程度のエネルギーでの結合状態にあり、窒素が何らかの金属と結合していることを示すものと思われる。すなわち、SrTiO3 膜中において、窒素はSrあるいはTiと結合した状態で存在していると考えられる。なお、上述したように、成膜ガスとしてAr/O2 ガスを用いて形成された比較例の(従来の)SrTiO3 膜においては、窒素元素の濃度が約1016/cm3 であり、窒素の含有量が少ないため、N1SのスペクトルはXPSの検出感度以下になり、観測されなかった。
【0036】
図6は、上記比較例と本実施形態とにおけるPt/SrTiO3 /Pt/Ti/glass構造を有する積層膜中のSrTiO3 膜を、カソードルミネッセンス法(CL)を用いて分析した結果得られた発光スペクトルである。同図に示すように、波長が530nm近傍のCLスペクトルは酸素欠損に関与した発光スペクトルである。そして、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いて形成された本実施形態のSrTiO3 膜においては、成膜ガスとしてAr/O2 ガスを用いて形成された比較例のSrTiO3 膜よりもCLスペクトル強度が大幅に低下していることがわかる。すなわち、本実施形態におけるAr/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜には窒素が含有されており、窒素が金属と結合することにより、SrTiO3 膜中に含まれる酸素欠損の悪影響が補償されているものと推測される。図4(b)に示すSIMSのデプスプロファイル、図5に示すXPSを用いた分析による窒素の結合エネルギーデータ、および図6に示すCLを用いた分析による発光スペクトルのデータが、SrおよびTiのうち少なくともいずれか一方と窒素とが結合していることを示している。
【0037】
図7(a),(b)は、それぞれAr/O2 ガス,Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜の結晶構造の推定モデルを示す結晶構造図である。つまり、図7(a)に示すように、Ar/O2 ガスを用いて形成された比較例のSrTiO3 格子中には酸素欠損により空孔(破線参照)が形成されているが、Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成された本実施形態のSrTiO3 格子中においては、図7(b)に示すごとく空孔が窒素原子によって置換されていたり、窒素原子が格子内のいずれかの位置にあって金属原子と何らかの結合を行なっているものと推定される。そして、窒素原子が空孔によって生じた金属原子の未結合手と結合するので、後述するように、酸素欠損の悪影響を補償してリークを低減する効果が得られる。
【0038】
下記表1は、それぞれAr/O2 ガス,Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜を備えた薄膜コンデンサの各種特性を評価した結果を示す表である。同表の各特性の値は、測定周波数を1kHzとして得られたものであり、リーク電流は、下部電極を接地して上部電極に+5Vを印加して得られたデータである。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すように、Ar/O2 ガスを用いて形成された比較例のSrTiO3 膜は、比誘電率が70で、誘電正接が0.7%で、電流密度が2.1×10-6mA/cm2 であったのに対し、Ar/O2 /N2 を用いて形成されたSrTiO3 膜は比誘電率が80で、誘電正接が0.4%で、電流密度が2.6×10-7mA/cm2 であった。つまり、本実施形態のSrTiO3 膜は従来の(比較例の)SrTiO3 膜に比べて、比誘電率が大きく、誘電正接が小さく、リーク電流が小さいことがわかる。このような本実施形態と比較例とにおけるSrTiO3 膜の誘電正接や電流密度などの特性値の相違は、SEM,SIMS,XPS及びCLによって観察されたSrTiO3 膜の微細な構造の相違や結晶性の相違を反映しているものと考えられる。
【0041】
−リーク発生のメカニズムとその低減効果との説明−
図8は、SrTiO3 膜(STO膜)などのABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を備える薄膜コンデンサのリークのメカニズムを説明するための部分的なバンド図である。同図に示すように、リーク電流が発生する過程には、大きく分けると電位障壁のトンネリングと、電位障壁の飛び越えとがある。そして、電位障壁のトンネリングには、
▲1▼価電子帯から伝導帯へのトンネリング
▲2▼不純物準位から伝導帯へのトンネリング
▲3▼下部電極(低電位側電極)から伝導帯へのトンネリング
▲4▼価電子帯から上部電極(高電位側電極)へのトンネリング
がある。
【0042】
一方、電位障壁の飛び越えには、
▲5▼上部電極から伝導帯へのショットキー効果による飛び越え
▲6▼不純物準位から伝導帯へのプールフレンケル効果による飛び越え
がある。
【0043】
ここで、▲1▼価電子帯から伝導帯へのトンネリングは、主として結晶粒界を電子が流れることにより発生すると考えられる。したがって、粒界の面積を小さくすることが必要であり、一方向(具体的には膜面が(111)面となる方向)に配列したSrTiO3 膜などのABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成することにより膜の緻密化を図れば、これを低減することができると考えられる。
【0044】
▲2▼不純物準位から伝導帯へのトンネリングは、主としてABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜中に形成される酸素欠損がドナー準位を形成し、ドナー準位に捕獲された電子が伝導帯にトンネリングすることにより発生する。したがって、酸素欠損に起因するドナー準位の少ないABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成することにより、このトンネリングに起因するリークを低減することができる。
【0045】
▲3▼下部電極から伝導帯へのトンネリングや、▲4▼価電子帯から上部電極へのトンネリングは、電極−誘電体膜間の接合部に形成されるといわれているショットキー障壁の誘電体膜側に存在する空間電荷領域を通して、電極から伝導帯又は価電子帯から電極に浸みだした電子によって発生すると考えられる。したがって、空間電荷領域を広くするすることにより、電子の浸みだしを抑制することが重要であり、空間電荷領域を広くするには、誘電体膜中のキャリア濃度を低くすること、つまり、誘電体膜中に含まれるドナー準位を形成する格子欠陥を低減することなどが重要である。
【0046】
▲5▼上部電極から伝導帯への飛び越えは、電極−誘電体膜間に形成されるといわれているショットキー障壁を飛び越えて放出される電子によって発生すると考えられる。したがって、ショットキー障壁高さ(Φm −χ)を高くすることにより、電子の飛び越えを抑制することが可能であり、ショットキー障壁高さを高くするには下部電極の仕事関数Φm を大きくすればよい。
【0047】
▲6▼不純物準位から伝導帯への飛び越えは、ペロブスカイト側誘電体膜中に形成される酸素欠損などがドナー準位を形成し、ドナー準位に捕獲された電子がドナー準位と伝導帯とポテンシャル差を飛び越えることにより発生すると考えられる。したがって、酸素欠損に起因するドナー準位の少ない誘電体膜を形成することにより、この飛び越えに起因するリークを低減することができる。
【0048】
以上のことから、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜におけるリークの低減には、酸素欠損に起因するドナー準位の低減と、格子欠陥などの欠陥の低減(つまり結晶性の向上)とが特に有効であることがわかる。
【0049】
その点、本実施形態の製造方法によって形成されたSrTiO3 膜は上述の評価結果から高い窒素濃度を示し、その内部においては窒素が結晶格子内に入り込んでSr又はTiと結合している。そして、窒素がSr又はTiと結合することにより、酸素欠損に起因するドナー準位が低減しているものと推定される。このように、窒素の存在によって酸素欠損の悪影響が補償されるので、リークの低減を実現しているものと考えられる。また、SrTiO3 膜中において窒素が酸素欠損に入り込むと、結晶性のよい緻密な膜構造が得られることになる。なお、後述するスパッタリング時の雰囲気の調整によっても、化学量論的組成に近い組成を有する結晶性のよいSrTiO3 膜が得られる。
【0050】
すなわち、本実施形態のABO 3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜においては、窒素が含有されることにより結晶性が向上し、酸素欠損に起因するドナー準位が少なく緻密な誘電体膜の形成が可能となる結果、高容量かつ低損失でリーク電流が小さくなるものと考えられる。また、リークが小さいほど、高周波電圧の印加に対する熱損失が小さいことから、誘電正接(tan δ)の値も小さくなる。よって、本実施形態の製造方法により、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサを提供することができる。
【0051】
なお、SrTiO3 膜の窒素濃度が5at%を越えると、膜質の劣化が生じる結果、すべての薄膜コンデンサ特性は低下する傾向を示している。したがって、SrTiO3 膜中に含まれる窒素濃度は5at%以下であることが好ましい。また、SrTiO3 膜中に含まれる窒素濃度は、意図的に誘電体膜中に窒素を導入しなくても含まれる窒素含有量(1016/cm3 程度)を超える値であることが望ましい。
【0052】
ここで、誘電体膜としては、高い比誘電率又は自発分極(強誘電特性)が得られるようなSrTiO3 、(Sr,Ca)TiO3 、(Sr,Bi)TiO3 、BaTiO3 、PbTiO3 、(Pb,La)TiO3 、Pb(Zr,Ti)O3 およびそれらの固溶体からなる群より選択される少なくとも1つの物質であることが好ましい。
【0053】
誘電体膜の形成法としては、RFマグネトロンスパッタリング法、ECRマグネトロンスパッタリング法を用いることが好ましい。誘電体膜の堆積速度としては、製造コストの観点から毎分10nmを下限とすることが好ましい。成膜ガス中の不活性ガスである希ガスとしては、He,Ne及びArからなる群より選択される少なくとも1つのガスであることが好ましい。
【0054】
−堆積速度と膜の特性との関係−
図9は、本実施形態及び比較例のSrTiO3 膜を形成する際のプラズマ発生のためのRFパワー(高周波電力)や、成膜ガスの組成を変えて膜形成を行なう際のプラズマ雰囲気のプラズマ発光分光(以下、略してOES(Optical Emission Spectroscopy)という)による分析データを示す図である。同図に示すように、SrTiO3 膜を形成する際のRFパワー及び成膜ガスを、それぞれ、200W及びAr/O2 ガス、1000W及びAr/O2 ガス、1000W及びAr/O2 /N2 ガス(流量比12/5.5/1)、1000W及びAr/O2 /N2 ガス(流量比12/5.5/5)という4つの条件に設定している。また、同図において、左側に示す縦軸は、Sr元素,Ti元素のOES強度(任意単位)を表し、右側の縦座標はTi/Sr発光強度比を表している。ただし、SrとTiとでは、検出感度が異なるので、両者の発光強度比は実際の雰囲気中のSrとTiとの存在割合を示すものではない。経験的には、この検出方法で検出されたTi/Sr発光強度比が約「2」のときに、化学量論的組成に近い組成を有するSrTiO3 膜が形成されることがわかっている。また、SrTiO3 膜が化学量論的組成に近いほど、結晶粒の配向性がよく所望の比誘電率や強誘電特性を得ることが容易となる。
【0055】
同図に示されるように、Ar/O2 ガスを用いた場合、RFパワーを200Wとすると、Ti/Sr発光強度比が「2」となって化学量論的組成に近いSrTiO3 膜が得られるが、雰囲気中のTi,Sr濃度が低く、膜の堆積速度が低いので、量産用プロセスには適しない。一方、Ar/O2 ガスを用いて、RFパワーを1000Wとすると、Ti,Srの堆積速度は向上するが、Sr濃度がTi濃度よりもはるかに高くなって、SrTiO3 膜の組成が化学量論的組成から大きくはずれ、所望の誘電特性が得られないおそれが大きい。それに対し、Ar/O2 /N2 ガス(流量比12/5.5/1)を用いRFパワーが1000Wの場合には、Ar/O2 ガスを用いた場合に比べてTi,Srの濃度が高くなり、かつ、Ti/Sr発光強度比が「2」に近くなる。したがって、高い堆積速度によっても化学量論的組成に近い組成を有するSrTiO3 膜を形成することができる。さらに、Ar/O2 /N2 ガス(流量比12/5.5/5)を用いた場合、つまり、RFパワーが1000WのままでAr/O2 /N2 ガス中のN2 ガスの割合を大きくした場合には、Ti/Sr発光強度比がより「2」に近くなっていることがわかる。このような効果が生じるメカニズムはよくわかっていないが、N2 ガスのプラズマ化したイオンによる2種の金属に対するスパッタリング量の調整作用が行なわれている可能性がある。
【0056】
図10(a),(b)は、RFパワーを800Wとし、成膜ガスとしてAr/O2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜と、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図である。図10(a)に示すように、Ar/O2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜は表面の凹凸が大きく、結晶粒界も粗であるが、図10(b)に示すように、Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜は表面の凹凸が小さく、結晶粒界も緻密であることがわかる。
【0057】
【表2】
【0058】
表2は、上記2つの条件で形成された誘電体膜を容量絶縁膜として備える薄膜コンデンサの諸特性を示す表である。同表に示すように、高速成膜化に伴い、Ar/O2 ガスを用いて成膜したSrTiO3 膜を有する薄膜コンデンサにおいては、誘電正接(tan δ)が1.8%、リーク(電流密度)が5.3×10-5mA/cm2 と大きく劣化していることがわかる。これに対し、Ar/O2 /N2 を用いて成膜したSrTiO3 膜を備えた薄膜コンデンサにおいては、RFパワーを200Wとして得られたデータに比べ、誘電正接(tan δ)やリーク(電流密度)の大きな劣化現象はみられない。これらの誘電正接(tan δ)やリーク(電流密度)の特性の変化の相違は、SEMで観察されたSrTiO3 膜の微構造の違いや結晶性の違いを反映した結果であると考えられる。すなわち、図10及び表2のデータによって、窒素ガスを導入することにより高速成膜化に伴う結晶性などの劣化を回避することが可能であることが裏付けられている。
【0059】
このデータから、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成する際には、誘電体膜の堆積速度が10nm/min以上でも、誘電体膜中に窒素が含有された、結晶性の高い、酸素欠損に起因するドナー準位の少ない、緻密な誘電体膜の形成が可能となることがわかる。
【0060】
また、上記図3に示すように、成分ガスとしてAr/O2 ガスに代えてAr/O2 /N2 ガスを用いることにより結晶化率が高くなるが、Ar/O2 /N2 ガスを用いた場合には、RFパワーを1000Wにすることにより、RFパワーが200Wのときよりも結晶化率が高くなることもわかっている。
【0061】
したがって、本実施形態の製造方法によると、成分ガスとして、Ar/O2 /N2 ガスを用いることにより、つまり、従来のAr/O2 ガスにN2 ガスを添加することにより、堆積能率を高くして製造コストの低減を図りつつ、低温条件であっても、化学量論的組成に近い膜質のよいSrTiO3 膜を形成することができる。すなわち、ポリイミドなどの有機材料からなるフレキシブル基板上にも形成しうる条件で、良好な特性を有する薄膜コンデンサを形成することができる。
【0062】
このような効果は、ターゲット金属の種類を変えて、SrTiO3 膜以外のABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜をスパッタリング法により堆積する際にも、一般に適用できる。
【0063】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態で使用したSrTiO3 誘電体膜の代わりに、他のABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体である(Sr0.85Ca0.15)TiO3 、(Sr0.9 Bi0.1 )TiO3 、BaTiO3 、PbTiO3 、(Pb0.9 La0.1 )TiO3 、Pb(Zr0.5 Ti0.5 )O3 および固溶体の(Ba0.2 Sr0.8 )TiO3 と(Pb0.1 Sr0.9 )TiO3 を用い、RFパワーを200Wとして、第1の実施形態と同様のプロセスにより、つまり、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いて誘電体膜を作成した。(Sr0.85Ca0.15)TiO3 、(Sr0.9 Bi0.1 )TiO3 、BaTiO3 、PbTiO3 、(Pb0.9 La0.1 )TiO3 、Pb(Zr0.5 Ti0.5 )O3 および固溶体の(Ba0.2 Sr0.8 )TiO3 と(Pb0.1 Sr0.9 )TiO3 の形成には、各誘電体中の金属からなるターゲットを用いている。
【0064】
【表3】
【0065】
上記表3は、本実施形態におけるABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を容量絶縁膜とする薄膜コンデンサ(図1に示す構造)の諸特性を示す。上記表2に示されるように、本実施形態により、SrTiO3 膜以外のABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を容量絶縁膜として備えた薄膜コンデンサにおいて、高い比誘電率と低い誘電正接(tan δ)と小さいリーク(電流密度I)を得ることができた。
【0066】
従って、窒素を含有するABO 3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜のA元素としてSr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの物質を用い、B元素としてTi,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの物質を用いることにより、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサを提供することが可能である。
【0067】
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、SrTiO3 膜の形成方法として、第1の実施形態におけるRFマグネトロンスパッタリング法に代えて、ECRマグネトロンスパッタリング法を用いる。ECRスパッタリングの条件は、例えば、10-6Torr(0.0013Pa)レベルの高真空チャンバー内において、チャンバー内雰囲気をAr/O2 /N2 (流量比2/1/0.5)の混合雰囲気に、成膜圧力を8×10-3Torr(1.1Pa)に、RF電力を200Wに、マイクロ波電力を200Wに、基体温度を300℃にしている。そして、形成されたSrTiO3 膜の膜厚は約300nmで、膜堆積速度は約3.5nm/minである。その他のプロセス条件は、第1の実施形態と同様である。
【0068】
本実施形態においても、得られたSrTiO3 膜を容量絶縁膜として備えた薄膜コンデンサの特性は、第1の実施形態とほぼ同様の傾向を示している。
【0069】
従って、誘電体膜の形成法としてRFマグネトロンスパッタリング法、ECRマグネトロンスパッタリング法からなる群より選択される手段を用いることにより高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサを提供することが可能である。
【0070】
(第4の実施形態)
第4の実施形態として、第1の実施形態で使用したSrTiO3 膜の形成条件において、N2 ガスの代わりにN2 Oガスを用いている。このとき、N2 Oガスの導入に伴い、Ar/O2 ガスのArガスとO2 ガスとの流量比を4/1に設定する。ここでは、RFパワーを800Wとしており、その他のスパッタ条件は、第1の実施形態と同様である。
【0071】
【表4】
【0072】
上記表4は、本実施形態のN2 Oガスを用いて形成された誘電体膜を容量絶縁膜として備えた薄膜コンデンサの諸特性を示す表である。同表に示されるように、本実施形態においても、第1の実施形態におけるN2 ガスを用いて形成された誘電体膜を備えた薄膜コンデンサとほぼ同等の特性を得ることができる。
【0073】
従って、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜の形成の際に、成膜ガスとして、N2 ガスの代わりにN2 OガスをAr/O2 ガスに加えることにより、窒素によって酸素欠損部の悪影響が補償されたABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成することができ、結晶性のよい、緻密な誘電体膜が得られることがわかる。そして、このABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を容量絶縁膜として用いることにより、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサの提供を図ることが可能である。
【0074】
(第5の実施形態)
第5の実施形態においては、SrTiO3 膜の形成条件に際し、成膜ガスとして、ArガスだけでなくArガス以外の希ガスをO2 ガスと共に用いてSrTiO3 膜を形成する。Arガス以外の希ガスとして、Heガス、Neガス、Xeガスを用いて検討を行った。スパッタリング条件は、第1の実施形態の比較例におけるAr/O2 ガスを用いた条件と同じとする。
【0075】
図11は、成膜ガスとして、Heガス,Neガス,Arガス及びXeガスをO2 ガスと共に用いたときのプラズマ中におけるTi/Sr発光強度比をOESを用いて観察した結果を示す図である。ただし、RFパワーは1000Wとしている。同図において、x軸方向にプロットしている希ガスは左側に記載されているもの程軽い元素である。希ガスが軽い元素のガスになるほど、Ti/Sr発光強度比は増加して、「2」に近づいている。つまり、軽い希ガスを用いるほど、プラズマ中の雰囲気を化学量論的組成のSrTiO3 膜が得られる条件に近づけることができることがわかる。特に、Arガスよりも軽い希ガスを用いることにより、より化学量論的組成に近い組成を有し結晶性のよいSrTiO3 膜を形成することができる。なお、成膜時におけるRF電力を大きくするに従い、希ガス同士の間でのTi/Sr発光強度比の違いが大きくなることがわかっている。
【0076】
また、チャンバー内に供給する成膜ガスとして、N2 /O2 ガスを用いても、He,Neガスと同様の機能が得られる。
【0077】
図12(a),(b),(c)は、順に、成膜ガス中の希ガスとしてHeガス、Arガス及びXeガスを用いて成膜したSrTiO3 膜の表面形態を示すSEM写真図である。ただし、RFパワーは800Wである。図12(a),(b)に示すように、Heガスを用いて形成されたSrTiO3 膜の表面形態はフラットで、結晶粒界も比較的緻密であり、Arガスを用いて形成されたSrTiO3 膜の表面形態はややこれよりも劣るもののこれに準ずるものであることがわかる。これに対し、図12(c)に示すように、Xeガスを用いて形成したSrTiO3 膜の表面には多数の突起物が観測されている。この突起物を、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて組成分析した結果、Sr:Ti=21:19とややSrが過剰な組成を有している化合物であった。これは、図11に示すOESで観測されたTi/Sr発光強度比の低下に対応しているものと考えられる。
【0078】
【表5】
【0079】
表5は、本実施形態において、N2 ガスをも加えて形成されたSrTiO3 膜を容量絶縁膜として備えた薄膜コンデンサの各種特性を示す表である。Heガス、Neガスを用いて形成された誘電体膜を有する薄膜コンデンサにおいては、表2に示すArガスを用いて形成された容量絶縁膜を有する薄膜コンデンサの特性よりも良好なコンデンサ特性が得られている。しかし、Krガス、Xeガスを用いて形成された容量絶縁膜を有する薄膜コンデンサにおいては、Arガスを用いて形成された容量絶縁膜を有する薄膜コンデンサよりも、比誘電率、誘電正接(tan δ)、リーク(電流密度I)共に劣化していることがわかる。この原因は、図12(c)に示す突起物の生成によって結晶性の劣化が甚だしいためと考えられる。また、KrガスやXeガスは高価であるため、製造コストの観点からも望ましくない。
【0080】
従って、窒素を含ませたABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜の形成時における希ガスとして、Arガスよりも軽いHeガス又はNeガスを用いることにより、結晶性のよい、酸素欠損の悪影響が補償された、緻密なABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜の形成が可能となる。そして、その結果、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサの提供を図ることができる。
【0081】
(第6の実施形態)
第6の実施形態においては、より大きいコンデンサ容量を得るために、第1の実施形態におけるSrTiO3 膜よりも薄い膜厚を有するSrTiO3 膜を形成する。例えば、本実施形態におけるSrTiO3 膜の膜厚は100nmである。スパッタリング条件は、RFパワーを200Wとし、第1の実施形態における条件と同じとする。つまり、成膜ガスとしてAr/O2 /N2 ガスを用いてSrTiO3 膜の形成を行なう。また、比較のために(比較例)、成膜ガスにAr/O2 ガスを用いてSrTiO3 膜の形成も行なう。
【0082】
【表6】
【0083】
上記表6は、本実施形態及び比較例におけるSrTiO3 膜を容量絶縁膜として備えた薄膜コンデンサの諸特性を示す表である。
【0084】
同表に示すように、Ar/O2 ガスを用いて成膜したSrTiO3 膜を有する薄膜コンデンサにおいては、薄膜化に伴い、リーク(電流密度I)が4.8×10-5mA/cm2 と膜厚が300nmのものよりもさらに大きくなっており、リーク特性が劣化していることがわかる。これに対し、Ar/O2 /N2 を用いて形成されたSrTiO3 膜を備えた薄膜コンデンサにおいては、リーク(電流密度)の大きな劣化はみられない。すなわち、成膜ガスとして窒素ガスを導入することにより、薄膜化に伴うリーク電流の増大を抑制する効果が確認されている。
【0085】
従って、より薄膜化されたABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成する際にも、成膜ガスとして、窒素ガスを導入することにより、酸素欠損に起因するドナー準位の少ない、緻密な誘電体膜の形成が可能となる。そして、その結果、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサの提供を図ることができる。
【0086】
上記各実施形態においては、スパッタリング法により、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を形成したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、蒸着法,イオンプレーティング法を用いた場合にも適用が可能である。
【0087】
その場合、雰囲気中に含ませるガスとしては、上記窒素以外に、ヘリウム(He),ボロン(B),フッ素(F),ネオン(Ne),カーボン(C),アルミニウム(Al),シリコン(Si),リン(P),いおう(S),塩素(Cl)などのArよりも軽い元素を用いることができる。すなわち、スパッタリングなどの際に、プラズマ雰囲気中にこれらの元素が存在するような条件を作り出すことにより、ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜中の酸素欠損の悪影響を補償することができ、上述のような本発明の作用効果を有効に発揮することができる。特に、ヘリウム(He),ネオン(Ne)等の不活性ガスを用いた場合には、プラズマ雰囲気中での金属元素との反応を考慮せずにスパッタリング等を行なうことができるという利点がある。
【0088】
また、上記実施形態では、STO膜を形成するための条件として、各種不活性ガスを用いた場合の効果について説明したが、一般的に、元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造においては、互いに重さが異なる少なくとも2種類のスパッタリング用ガスを用いることにより、元素A,Bの存在比が化学量論的組成を得るための最適な比になるように調整することが可能になる。互いに重さが異なる少なくとも2種類のガスによって元素A,Bがスパッタリングされることから、この少なくとも2種類のガスの流量比を変えると元素A,Bのスパッタリング量の比も変化するからである。
【0089】
本発明の誘電体膜は、上記各実施形態で説明したような薄膜コンデンサの容量絶縁膜だけでなく、MISトランジスタのゲート絶縁膜、DRAMの容量絶縁膜、FeRAMにおける情報保持膜としての強誘電体膜、MFISトランジスタなどのトランジスタ中の強誘電体膜などに用いることも可能である。強誘電体膜として用いた場合にも、高い配向性を有することにより高い残留分極量が得られる。また、誘電体膜中の酸素欠損の悪影響が補償されてリーク電流が低減されることにより、上下の電極間に印加された電圧によって強誘電体膜が効果的に分極するので、高い残留分極量が得られる。
【0090】
【発明の効果】
本発明の誘電体膜によれば、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有するとともに、ペロブスカイト構造中に窒素を含んでいるので、これにより、電圧印加時のリークの低減、誘電体膜の結晶性の向上、比誘電率,分極量,誘電損失などの向上が実現する。そして、この誘電体膜を薄膜コンデンサの容量絶縁膜として用いることにより、高容量かつ低損失でリーク電流が小さく、絶縁耐圧に優れた高品質かつ高信頼性を有する薄膜コンデンサの提供を図ることができる。
【0091】
本発明の第1の誘電体膜の製造方法によれば、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造方法として、Arよりも軽い不活性ガスと酸素を含むガスとをチャンバー内に供給して、不活性ガスと酸素を含むガスとをプラズマ状態にした状態で、原子及び元素Bの原子をチャンバー内に引きだして、ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を被加工面上に堆積するようにしたので、低温条件においても、ABO3 型ペロブスカイト構造の化学量論的組成に近い組成を有する誘電体膜を形成することができ、誘電特性の良好な誘電体膜を耐熱性の低い基板上に形成することが可能になる。
【0092】
本発明の第2の誘電体膜の製造方法は、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造方法として、互いに重さが異なる少なくとも2種類のスパッタリング用ガスを用いるようにしたので、互いに重さが異なる少なくとも2種類のガスの流量比の調整によって、元素A,Bの存在比が化学量論的組成を得るための最適な比になるように調整することができ、よって、誘電特性の良好な誘電体膜を耐熱性の低い基板上に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における薄膜コンデンサの構成を示す断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、第1の実施形態における薄膜コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、比較例と第1の実施形態とにおけるSrTiO3 膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析して得られた像を示す図である。
【図4】(a),(b)は、比較例と第1の実施形態とにおけるSrTiO3 膜の深さ方向における成分の変化をSIMSにより分析して得られたプロファイルを示す図である。
【図5】成膜ガスとしてAr/O2 /N2ガスを用いて形成された第1の実施形態のSrTiO3 膜における窒素の結合状態を、XPSにより分析した結果を示す図である。
【図6】比較例と第1の実施形態とにおけるSrTiO3 膜をCLを用いて分析した結果得られた発光スペクトル図である。
【図7】(a),(b)は、それぞれAr/O2 ガス,Ar/O2 /N2 ガスを用いて形成されたSrTiO3 膜の結晶構造の推定モデルを示す結晶構造図である。
【図8】ABO3 型ペロブスカイト構造を有する誘電体膜を備える薄膜コンデンサのリークのメカニズムを説明するための部分的なバンド図である。
【図9】第1の実施形態及び比較例のSrTiO3 膜を形成する際の条件を変えて膜形成を行なう際のプラズマ雰囲気のOESによる分析データを示す図である。
【図10】(a),(b)は、成膜ガスとしてAr/O2 ガス,Ar/O2 /N2 ガスを用いてそれぞれ形成されたSrTiO3 膜の表面のSEM写真図である。
【図11】成膜ガスとして、Heガス,Neガス,Arガス及びXeガスをO2 ガスと共に用いたときのTi/Sr発光強度比を示す図である。
【図12】(a),(b),(c)は、順に、成膜ガス中の希ガスとしてHeガス、Arガス及びXeガスを用いて成膜したSrTiO3 膜のSEM写真図である。
【符号の説明】
1 基体
2 下部電極
3 容量絶縁膜
4 上部電極
10 Pt/Ti膜
11 SrTiO3 膜
Claims (4)
- 元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有するとともに、
上記ペロブスカイト構造中に窒素を5%以下含んでいて、
上記窒素は、上記元素A及び元素Bのうち少なくともいずれか一方の元素と結合していて、
上記元素Aは、Sr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの元素であり、
上記元素Bは、Ti,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの元素であり、
有機材料からなる基板上に設けられたコンデンサの容量絶縁膜として機能することを特徴とする誘電体膜。 - 元素Aと、元素Bと、酸素元素Oとを含み、化学量論的組成がABO3 であるペロブスカイト構造を有する誘電体膜の製造方法であって、
Arよりも軽い元素からなるガスとArガスと酸素ガスと窒素を含むガスとの混合ガスをチャンバー内に供給するステップ(a)と、
金属部材から元素Aの原子及び元素Bの原子をチャンバー内の空間に引きだして、上記元素A,元素B及び酸素を含むペロブスカイト構造を有する誘電体膜を有機材料からなる基板上に設けられた金属電極の上面上に堆積するステップ(b)とを含み、
上記元素Aは、Sr,Ba,Bi,La及びPbからなる群より選択される少なくとも1つの元素であり、
上記元素Bは、Ti,Ca,Nb及びZrからなる群より選択される少なくとも1つの元素であり、
誘電体膜は窒素を5%以下含んでおり、かつ窒素は上記元素A、Bのうちいずれか一方と結合していることを特徴とする誘電体膜の製造方法。 - 請求項2記載の誘電体膜の製造方法において、
上記ステップ(b)では、上記元素A及び元素Bの原子を上記金属部材からのスパッタリングによりチャンバー内の空間に引き出すことを特徴とする誘電体膜の製造方法。 - 請求項2又は3記載の誘電体膜の製造方法において、
上記ステップ(b)では、上記誘電体膜の堆積速度が毎分10nm以上であることを特徴とする誘電体膜の製造方法。
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