JP3730825B2 - パラジウム錯化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラジウム−ホスフィン錯化合物の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、新規なパラジウム−ホスフィン錯化合物に関し、該錯化合物は有機合成反応の触媒として有用である。
【0003】
【従来技術】
ホスフィンを配位子とする多数のパラジウム錯化合物が知られており、置換または非置換のベンゾアトを配位子とするパラジウム錯化合物の製造法について、文献(J. Am. Chem. Soc., Vol.117, No.15, 4305(1995))には、ベンゼン中に分散させた[(Ph3P)2Pd2Ph2(μ−OH)2]に安息香酸を加えて調製された薄黄色の溶液から溶媒を留去しn−ヘキサンを加えて結晶の[(Ph3P)2Pd2Ph2(μ−PhCOO)2]を得、この結晶を分散させたベンゼンにトリフェニルホスフィンを加え透明な溶液を調製し、得られた薄黄色の溶液から溶媒を留去しn−ヘキサンを加えて[(Ph3P)2PdPh(PhCOO)]で表される結晶の得られることが記載されている。
【0004】
また、文献(J.Organomet.Chem.553(1998)83-90)には、2-RS-C6H4-COOHをメタノール中で炭酸タリウムとから調製したタリウム塩2-RS-C6H4-COOTlとtrans-[PdCl(Ph)(PPh3)2]をテトラヒドロフラン中で反応させ塩化タリウムを沈殿させて、trans-[Pd(OOC-(C6H4)-2-SMe-κ1-O)Ph(PPh3)2]の得られることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、一般式
【0006】
【化6】
【0007】
(式中、Arは芳香族基、Lはそれぞれ独立にホスフィンを表す。)で表されるパラジウム−ホスフィン錯化合物の新規な製造方法を提供する。
【0008】
本発明の課題は、[(Ph3P)2PdPh(PhCOO)]で表される錯化合物の物理的、化学的性質を改良して優れた触媒活性を持つ錯化合物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、
一般式(1)、
Ar1−COOH (1)
(式中、Ar1は芳香族基を表す。)で表わされる安息香酸と一般式(2)
Ar2−X (2)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す。)で表される芳香族化合物とパラジウム化合物とホスフィンを塩基性物質の存在下で反応させることからなる一般式(3)
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、Ar1は一般式(1)、Ar2は一般式(2)におけるのと同じ芳香族基をそれぞれ表し、Lは、互いに同一かまたは異なるホスフィン配位子を表す。)で表されるパラジウム錯化合物の製造方法により解決される。
【0012】
本発明の方法によると、基本的に単一の反応器(ワンポット)内ですべての反応を完結させることができるという特徴があり、反応操作が顕著に簡略化される。当然、必要に応じていくつかの処理段階に分けることもできるが、そのような手段をとることも本発明の実施態様である。
【0013】
上記課題は、一般式(1)、
Ar1−COOH (1)
(式中、Ar1は芳香族基を表す。)で表わされる安息香酸と一般式(8)
Ar2−PdL2X (8)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Lは、それぞれ独立にホスフィン配位子を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す)で表されるパラジウム錯化合物(a)を塩基性物質の存在下で反応させることからなる一般式(3)
【0014】
【化8】
【0015】
(式中、Ar1は一般式(1)におけるのと同じ芳香族基、Ar2は一般式(8)におけるのと同じ芳香族基をそれぞれ表し、Lはそれぞれ独立に一般式(8)におけるのと同じホスフィン配位子を表す。)で表されるパラジウム錯化合物(b)の製造方法により解決される。
【0016】
前記課題は、[(Ph3P)2PdPh(PhCOO)]で表される錯化合物のベンゾエート基のフェニル基にトリフルオロメチル基を導入することで解決される。
【0017】
この新規化合物は一般式(3)
【0018】
【化9】
【0019】
(式中、Ar1は一般式(4)
【0020】
【化10】
【0021】
(式中、R1はトリフルオロメチル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で表されるアリール基を表し、Ar2は一般式(5)
【0022】
【化11】
【0023】
(式中、R2はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のうちから選ばれる何れか一のハロゲン原子、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基を表し、mは0〜4の整数を表し、Lはそれぞれ独立にホスフィン配位子を表す。)で表されるアリール基を表す。)で表されるパラジウム錯化合物である。
【0024】
本発明の方法で使用する一般式(1)
Ar1−COOH (1)
(式中、Ar1は芳香族基を表す。)で表わされる安息香酸における芳香族基Ar1はフェニル基、ナフチル基などの炭素環式基、ピリジル基、キノリル基などの複素環式基であって、置換基を有することもある。これらのうち一般式(4)
【0025】
【化12】
【0026】
(式中、R1はハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)または一価の有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表わされるアリール基が好ましく、置換基R1は本発明にかかる反応において不活性であれば特に限定されない。
【0027】
また、本発明の方法で使用する一般式(2)
Ar2−X (2)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す。)で表わされる芳香族化合物における芳香族基Ar2はフェニル基、ナフチル基などの炭素環式基、ピリジル基、キノリル基などの複素環式基であって、置換基を有することもある。これらのうち一般式(5)
【0028】
【化13】
【0029】
(式中、R2はハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)または一価の有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表わされるアリール基が好ましく、置換基R2は本発明にかかる反応において不活性であれば特に限定されない。
【0030】
一般式(4)または一般式(5)で表されるアリール基Ar1またはAr2におけるR1またはR2は、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)を表す)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基を挙げることができる。
【0031】
さらに、一般式(4)または一般式(5)で表されるアリール基としては置換基R1またはR2の少なくとも1個がトリフルオロメチル基であるアリール基が好ましい。
【0032】
一般式(4)または一般式(5)で表されるアリール基を例示すれば、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などのトリフルオロメチル基を1個有するアリール基;2−トリフルオロメトキシフェニル基、3−トリフルオロメトキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基などのトリフルオロメトキシ基を1個有するアリール基;2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基などのフッ素を1個有するアリール基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基などの塩素を1個有するアリール基;2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基などの臭素を1個有するアリール基;2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基などのヨウ素を1個有するアリール基;2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基などのニトロ基を1個有するアリール基;2−アセチルフェニル基、3−アセチルフェニル基、4−アセチルフェニル基などのアセチル基を1個有するアリール基;2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのシアノ基を1個有するアリール基;2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基などのアルキル基を1個有するアリール基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基などのアルコキシ基を1個有するアリール基;2−メトキシカルボニルフェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、2−エトキシカルボニルフェニル基、3−エトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基などのアルコキシカルボニル基を1個有するアリール基などが挙げられる。
【0033】
また、一般式(4)または一般式(5)で表されるアリール基は、2個以上の置換基を有することもでき、任意の組み合わせが可能であるが、そのうちの1個の置換基がトリフルオロメチル基であるアリール基が好ましく、たとえば、2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、1−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基など;2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4,5−ジメチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、5,6−ジメチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル基など;2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−エトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−エトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基など;2−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基など;2−シアノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−シアノ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−フルオロ−3−シアノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−クロロ−5−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基など;(2−アミノ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−アミノ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基)などを例示することできるがこれらに限られない。
【0034】
また、一般式(4)または一般式(5)で表されるアリール基としてはトリフルオロメチル基を2個以上有するアリール基がより好ましい。
【0035】
トリフルオロメチル基を2個のみ有するアリール基としては、2,3−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などが挙げられる。
【0036】
また、さらに前記した置換基を有するアリール基としては、2,3,4−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル基、1−ブロモ−2,3,4−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ブロモ−4,5、6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基など;3,5−ジクロロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−ニトロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、5,6−ジクロロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などが例示できるがこれらに限られない。
【0037】
一般式(1)で表される安息香酸としては、上に例示した化合物のうち、生成物の有用性の顕著なことからR1の少なくとも1個がトリフルオロメチル基である安息香酸が好ましく、また、R1の少なくとも2個がトリフルオロメチル基である安息香酸がより好ましい。
【0038】
一般式(2)で表される芳香族化合物としては、上に例示した化合物のうち、生成物の有用性の顕著なことからR2の少なくとも1個がトリフルオロメチル基である芳香族化合物が好ましく、また、R2の少なくとも2個がトリフルオロメチル基である芳香族化合物がより好ましい。
【0039】
さらに、本発明の方法における生成物の有用性の顕著なことから芳香族化合物が3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンまたは3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼンなどであり、安息香酸類が3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸であるか、少なくとも芳香族化合物か安息香酸類の何れかがこれらの化合物であるのが特に好ましい。
【0040】
一般式(8)で表されるパラジウム錯化合物(a)としては、上に例示した化合物のうち、生成物の有用性の顕著なことからR2の少なくとも1個がトリフルオロメチル基であるパラジウム錯化合物(a)が好ましく、また、R2の少なくとも2個がトリフルオロメチル基であるパラジウム錯化合物(a)がより好ましい。
【0041】
さらに、本発明の方法では得られる物質の有用性の顕著なことから、少なくとも何れか一方の化合物が、Ar2が3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるパラジウム錯化合物(a)か、若しくは安息香酸類が3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸であるのが特に好ましい。
【0042】
本発明の方法に使用するホスフィンは特に限定されないが、一般式(6)、
P(R3)3 (6)
で表されるホスフィンである。ここで、R3はそれぞれ独立に無置換であるかまたは炭素数1〜6のアルキル基が置換したフェニル基、または炭素数1〜6の分岐を有することもあるアルキル基である。具体的には、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基などから選ばれた基であることが好ましい。また、Lで表されるホスフィン配位子は、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィンまたはトリス(n−ブチル)ホスフィンなどが好ましく、トリフェニルホスフィンは特に好ましい。
【0043】
本発明の方法では、原料である一般式(2)で表される芳香族化合物自体が反応溶媒として使用できることがある他、各種の溶媒を使用することもできる。そのような溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ピリジンなどの第三アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの酸アミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどの含硫黄化合物、水などを使うことができる。水溶性の塩基性物質を使用する際には、少なくとも溶媒の一部に水を使用することは好ましい。
【0044】
本発明に係る反応には塩基性物質の存在が必要であるがその種類は特に限定されない。塩基性物質としては、アンモニア類、アミン類、無機塩基類が使用できる。アンモニア類としてはアンモニア、ヒドロキシアミンなど;第一アミンとしては、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミンなど;第二アミンとして、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなど;第三アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなど;脂環式アミンとして、シクロプロピルアミンなど;芳香族アミンとして、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、N−メチルモルホリンなどが挙げられ、無機塩基類として、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩、あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。
【0045】
パラジウム化合物としては、パラジウム塩として、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウムなどが好適である。また、二価のパラジウム錯化合物、例えば、[Pd(NH3)4]Y2、Pd(NH3)2Y2、[Pd(NH3)4][PdY4]等も好適に使用できる。ここでYはハロゲン(塩素、臭素およびヨウ素)である。
【0046】
一般式(8)
Ar2−PdL2X (8)
で表されるパラジウム錯化合物(a)はどの様な方法で製造したものでもよい。この製造方法としては、安定な0価のパラジウム錯体とハロゲン化アリール(Ar3-X1)(式中、Ar3はアリール基を表し、X1はハロゲンを表す)を反応させる方法が知られている。例えば、文献( J.Organomet.Chem.,1971,28,287)には、安定な0価錯体Pd0(PPh3)4とハロゲン化アリール)を反応させてAr3Pd(PPh3)2X1を得る方法が記載されており、また、文献( Organometallics,1996,15(17), 3708)には、0価のパラジウムとして Pd2(dba)3を用いて同様に反応させてAr3Pd(PPh3)2X1を得る方法が記載されている。
また、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)とトルエンを炭酸カリウムの存在下130℃で1時間反応させると少量のブロモ[メチルフェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の得られることが文献(J.Chem. Commun.,1994,121)に記載されている。
さらに、一般式(2)
Ar2−X (2)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す)で表される芳香族化合物とパラジウム化合物とホスフィンを塩基性物質の存在下混合し反応させて一般式(8)
Ar2−PdL2X (8)
(式中、Lはホスフィン配位子を表し、Ar2、Xは一般式(7)における意味と同じ)で表されるパラジウム錯化合物(a)を得る方法がある。例えば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンと酢酸パラジウムとトリフェニルホスフィンをアンモニア水の存在下で反応させてブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を得ることができる。
原料各物質の使用比率は特に限定されないが、パラジウムを有効に利用するために、パラジウム化合物はパラジウム1モルに対して、一般式(1)で表される安息香酸と一般式(2)で表される芳香族化合物はそれぞれ1モル以上用い、ホスフィンは2モル以上使用するのが好ましい。他の塩基性物質、溶媒等は適宜の量を使用すればよい。
【0047】
本発明の方法において、原料各物質の使用比率は特に限定されないが、パラジウムを有効に利用するために、パラジウム錯化合物(a)のパラジウム1モルに対して、一般式(1)で表される安息香酸は1モル以上用いるのが好ましい。他の塩基性物質、溶媒等は適宜の量を使用すればよい。
【0048】
本発明のパラジウム錯化合物(b)の製造方法は通常は次のように行えばよいが必ずしもこの通りである必要はなく、適宜変更できる。容器にパラジウム錯化合物(a)またはパラジウム化合物とホスフィン、一般式(1)で表される安息香酸、塩基性物質および必要に応じて溶媒を仕込む。容器は加圧してもしなくてもよく、攪拌してもしなくてもよい。仕込んだ原料などは0〜200℃程度、通常は50〜150℃程度に加熱して反応の進行を速める。所定の時間が経過した後、容器を冷却して内容物を取り出す。内容物に適宜抽出溶媒を加え固形分を分離除去して、濾液から揮発成分を留去すれば目的とするパラジウム錯化合物(b)が得られる。必要に応じて再結晶、もしくはシリカゲルクロマトグラフィー等により精製することができる。
【0049】
本発明のパラジウム錯化合物(b)として好ましい態様は上述の説明から明らかであるが、より理解を助けるために具体的に以下に示す。すなわち、本発明のパラジウム錯化合物は、一般式(3)
【0050】
【化14】
【0051】
(式中、Ar1は一般式(4)
【0052】
【化15】
【0053】
(式中、R1はトリフルオロメチル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で表されるアリール基を表し、Ar2は一般式(5)
【0054】
【化16】
【0055】
(式中、R2はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のうちから選ばれる何れか一のハロゲン原子、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基を表し、mは0〜4の整数を表す。)で表されるアリール基を表し、Lはそれぞれ独立にホスフィン配位子を表す。)で表されるパラジウム錯化合物である。
【0056】
ここで、一般式(4)で表されるアリール基がビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるのが好ましく、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるのがより好ましい。
【0057】
また、一般式(5)で表されるアリール基のR2がフェニル基であるかまたは少なくとも1個がトリフルオロメチル基であるのが好ましく、トリフルオロメチルフェニル基またはビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるのがより好ましく、3−トリフルオロメチルフェニル基または3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるのがさらに好ましい。
【0058】
さらに、一般式(5)で表されるアリール基がフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基または3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であって、一般式(4)で表されるアリール基が3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であるのが特に好ましい。
【0059】
また、Lで表されるホスフィン配位子が一般式(6)、
P(R3)3 (6)
(R3はそれぞれ独立にフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基または、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で表されるホスフィン配位子であるのが好ましく、二個のLがトリフェニルホスフィンであるのがさらに好ましい。
【0060】
本発明の特に好ましいパラジウム錯化合物(b)として、[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)や[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’−トリフルオロメチルフェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が例示できるが、もちろんこれらに限られる訳ではない。
【0061】
本発明の方法により製造される一般式(3)で表されるパラジウム錯化合物(b)は、結晶性の場合もあり、多くの有機溶媒に溶解し、安定である。また、室温において空気中で安定である。
【0062】
このような物理的、化学的性質を有するために単離操作が容易であるので高純度の物質が得られやすく、保存も容易であるので工業的な使用においても取り扱い易いという特徴がある。
【0063】
本発明の化合物は各種の反応、例えば、ハロゲン化アリールへの一酸化炭素類の挿入反応とそれに続く還元的脱離による芳香族化合物のカルボニル化、ハロゲン化アリールへのオレフィン類の挿入反応とそれに続く還元的脱離によるビニル化反応、ハロゲン化アリールのカップリング反応などに対して触媒活性を有する。例えば、下図で表される[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)は
【0064】
【化17】
【0065】
ハロゲン化アリールへのオレフィン類の挿入反応とそれに続く還元的脱離によるビニル化反応において触媒活性を示す。
【0066】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を説明するがこれらの実施態様に限られない。
[実施例1][3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の合成
ステンレス製オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン65.3g、テトラヒドロフラン100ml、酢酸パラジウム50.0g、トリフェニルホスフィン175.5g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸57.6g、25%アンモニア水60.8gを仕込んだ。窒素置換を2回行い、窒素圧を3kg/cm2として攪拌を始めると内温が約50℃に上昇した。その後油浴温度を120℃に設定し加熱を開始した。約2時間後、内温が95.6℃に達した時点で油浴を外し冷却した。反応液に水200mlおよびトルエン600mlを加え、数分間攪拌した。得られた処理液を吸引濾過し、濾液の有機層(上層)を分液した後、飽和食塩水で2回洗浄し、無水マグネシウムで乾燥後、揮発成分を留去濃縮した。濃縮初期に析出した固体を濾別し、さらに濾液を濃縮した後,n−ヘキサンを加え冷却し析出した固体を濾別し粗生成物187.5gを得た。粗生成物をトルエンから再結晶し淡黄色結晶143.0gを得た。
【0067】
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
融点:168-170℃(decomp.)
IR(KBr:cm-1):3060,2926,1637,1437,1321,1277,1173,1127,748,697,518
1H-NMR(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3):
δppm 6.97(s,1H), 7.09(s,2H), 7.20-7.32(m,18H), 7.40-7.50(m,12H), 7.53(s,2H), 7.62(s,1H)
31P-NMR(基準物質:85%H3PO4 溶媒:CDCl3):δppm 25.73(s)。
【0068】
[実施例2][3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’−トリフルオロメチルフェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の合成
ステンレス製オートクレーブに、3−トリフルオロメチルブロモベンゼン25.0g、テトラヒドロフラン75ml、酢酸パラジウム25g、トリフェニルホスフィン87.3g、25%アンモニア水38g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸57.5gを仕込み、実施例1と同様な操作を行って[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’−トリフルオロメチルフェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が 32.3g得られた。
【0069】
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’−トリフルオロメチルフェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
1H-NMR(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3):
δppm 6.47(dd,J=7.3,7.8Hz,1H), 6.77(d,J=7.3Hz,1H), 6.80(brs,1H), 6.95(d,J=7.8Hz,1H), 7.24-7.30(m,18H), 7.40-7.46(m,12H)。
【0070】
[実施例3]
ブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の合成
ステンレス製オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン32.5g、酢酸パラジウム25.0g、トリフェニルホスフィン87.3g、テトラヒドロフラン75mlを混合し攪拌した。さらに25%アンモニア水38.0gを仕込んだ後、窒素置換を2回行い、窒素圧を3kg/cm2として攪拌を始めると内温が上昇した。その後油浴温度を105℃に設定し加熱を開始した。約1.8時間後、内温が97℃に達した時点で油浴を外し冷却し、反応を停止した。反応液にトルエン200mlを加え、数分間攪拌した。得られた処理液を吸引濾過し、少量のn−ヘキサンで洗浄した後、乾燥し淡緑色結晶72.1gを得た。これを塩化メチレンから再結晶精製したところブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)48.7gが得られた。
【0071】
物性:融点:(192℃以上で分解)
IR(KBr:cm-1) :3052,1435,1443,1166,1095,749,693,517
1H-NMR:(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3)
δppm 6.75(s,1H),7.09(s,2H),7.24-7.37(m,18H),7.50-7.55(m,12H)
31P-NMR:(基準物質:85%H3PO4 溶媒:CDCl3)
δppm 27.33(s)。
【0072】
trans−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3',5'−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の合成
ステンレス製オートクレーブにブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)70.0g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸39.1g、およびテトラヒドロフラン150mlを混合し攪拌した。さらに25%アンモニア水20.5gを仕込んだ後、密閉し、窒素置換を2回行い、窒素圧を3kg/cm2として攪拌を始め、その後油浴温度を100℃に設定し加熱を開始した。約2時間後、油浴を外し、冷却した。反応液を取出しトルエン500ml、25%アンモニア水200mlを加え、数分間攪拌した。上層の有機層を分液し、2回水洗し、次いで飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、揮発成分を留去、濃縮した。その結果淡黄色結晶75.3gを得た。
融点:168-170℃(decomp.)
IR(KBr:cm-1):3060,2926,1637,1437,1321,1277,1173,1127,748,697,518
1H-NMR(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3):
δppm 6.97(s,1H), 7.09(s,2H), 7.20-7.32(m,18H), 7.40-7.50(m,12H), 7.53(s,2H), 7.62(s,1H)
31P-NMR(基準物質:85%H3PO4 溶媒:CDCl3):δppm 25.73(s)。
【0073】
[反応例]3,5−ビス(トリフルオロメチル)桂皮酸n−ブチルエステルの合成
真空乾燥した無水酢酸ナトリウム9.02gを200mlフラスコに取り、窒素気流下、さらに3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン29.3g、アクリル酸n−ブチル15.4gおよび実施例1で得られたパラジウム錯体210mg、N,N−ジメチルアセトアミド70mlを加えた。攪拌しつつ、油浴を用いて加熱した。110度で約1時間反応させた後室温まで冷却した。反応液を氷水に注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を分液した後、水で3回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄し次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒をエバポレータで減圧下留去し、残渣として褐色固体を得た。これをn−ヘキサンで再結晶して結晶22.3gを得た。3,5−ビス(トリフルオロメチル)桂皮酸n−ブチル: 融点:47-48℃ 1H-NMR:(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3)
δppm 0.975(t,J=7.3Hz,3H), 1.38-1.50(m,2H), 1.66-1.75(m,2H), 4.25(t,J=6.6Hz,2H),6.57(d,J=16Hz,1H), 7.70(d,J=16Hz,1H), 7.86(s,1H), 7.93(s,2H)
【0074】
【発明の効果】
本発明のパラジウム錯化合物は、各種の反応、たとえばアリールハライドのカルボニル化反応の触媒として、選択率、転化率、触媒活性などの面で優れた性能を示すものである。また、本発明のパラジウム錯化合物の製造方法は、入手の容易な安定な化学物質を用い、基本的にワンポットでの簡便な操作で各種反応の触媒として有用なパラジウム錯化合物を製造できるという効果を奏する。
Claims (10)
- 一般式(1)、
Ar1−COOH (1)
(式中、Ar1は芳香族基を表す。)で表わされる安息香酸と一般式(2)
Ar2−X (2)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す。)で表される芳香族化合物とパラジウム化合物とホスフィンを塩基性物質の存在下で反応させることからなる一般式(3)
- 一般式(1)、
Ar1−COOH (1)
(式中、Ar1は芳香族基を表す。)で表わされる安息香酸と一般式(8)
Ar2−PdL2X (8)
(式中、Ar2は芳香族基を表し、Lは、それぞれ独立にホスフィン配位子を表し、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換アリールスルホネート基を表す)で表されるパラジウム錯化合物(a)を塩基性物質の存在下で反応させることからなる一般式(3)
- 反応系にさらに溶媒を存在させる請求項1または2のいずれかに記載のパラジウム錯化合物(b)の製造方法。
- 反応が単一の反応器内で行われることを特徴とする請求項1記載のパラジウム錯化合物(b)の製造方法。
- 一般式(5)で表されるアリール基がフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基または3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であって、一般式(4)で表されるアリール基が3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である請求項5に記載のパラジウム錯化合物。
- Lで表されるホスフィン配位子が一般式(6)、
P(R3)3 (6)
(R3はそれぞれ独立にフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基または、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で表されるホスフィン配位子である請求項5または6に記載のパラジウム錯化合物。 - 両方のLがトリフェニルホスフィンである請求項5乃至7の何れかに記載のパラジウム錯化合物。
- [3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)。
- [3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’−トリフルオロメチルフェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)。
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